- 更新日 2024.11.18
- カテゴリー システム開発
RFPとは?要件定義書やRFIとの違い・書く内容・作り方解説サンプル付【2024年最新版】
RFP(Request For Proposal)とは、システム開発・リプレイス案件を委託したい発注者が、システム開発会社からよい提案を得るために提出するドキュメント「提案依頼書」です。社内SEが在籍していない中小企業の方であれば、RFPに関連する下記のような疑問・悩みがあることでしょう。
・RFPを作成するとどのようなメリットがある?
・ITの専門知識がなくてもRFPを作れる?
・RFPの作り方を知りたい!
そこで本記事では、開発工程をスムーズに進めるために欠かせないRFP(提案依頼書)の基本・メリット・作り方を徹底解説!最後までご覧いただければ、社内SEのいない中小企業の方でもRFPを作成できるようになります。
※RFPの作成方法や開発会社選びにお悩みの方はシステム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーがご要望を丁寧にヒアリングし、最適な方法をご提案いたします。
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RFP(提案依頼書)とは何か?
RFPを作る意義・目的
RFP(提案依頼書)は、システム開発会社から見積もりやシステムの提案をしてもらうための依頼書。簡単に言えば「こんなシステムを開発したいので、いくらかかりますか?どんなシステムにすればいいですか?」と提案してもらうために作る書類です。
RFPの目的
RFPの目的は「最適な開発会社を選び抜くために、システム開発に必要な技術やコストなどの提案をお願いすること」です。システム開発会社に提出するRFPには、下記が記載されます。
・システムを開発する目的とゴール(現在の課題とあるべき状態のギャップを埋める)
・システム開発のゴール実現のために自社が求める要件(必要な機能、システムの条件)
RFPに対する返答
一方、RFPに対するシステム開発会社からの「提案書(Proposal)」には、発注者の「なぜ(Why)」を「なにで(What)解決するのか?」という回答が記載されます。
システム開発会社から、よりよい「What」を得るためには、的確に「Why」を伝えることが肝心。ドキュメントとしてのRFPを作成・提出すれば、システム開発会社に「Why」を抜け・モレなく伝えて共有できるのです。
※システム開発料金を簡単に見積もることができます。「予算がどのくらい必要かわからない」という方は、ぜひご利用ください
RFPは誰が作るか
RFPは「なぜ(Why)システムを開発するのか?」を明示して開発会社から見積もりやシステムの提案をしてもらうためのドキュメント。そのため、RFPは発注者側が作成担当となります。
RFP(提案依頼書)を作成するタイミング
RFPを作成するタイミングは、システム開発のプロジェクトを立ち上げて開発会社と話をする前です。作成したRFPをもとに開発会社とオリエンテーションを行います。開発会社は、オリエンテーションの場でRFPの不明点、疑問点を詳しく聞いたうえで提案書や見積書を作成します。
要件定義書の目的は「発注者のシステム開発目的の整理」
その他、RFPと混合しがちな要件定義について整理しておきましょう。
要件定義は、「なぜ(Why)システムを開発するのか?」システム開発の目的・ゴールを実現するため、「なにで(What)解決するのか?」システムに実装すべき機能、要求される技術・ソフトウェア・ハードウェアなどを明確にすることです。そのため、要件定義書は開発会社側が作成します。
要件定義書では、下のような項目を決めます。
- 開発目的
- ターゲット
- 予算
- 必要な機能
- 用いられる技術
- スケジュール(納期)
- 必要な人員(工数)
- 実装手順
下記が要件定義書のサンプルです。
RFP(提案依頼書)を作成するメリット
RFPには、作成するためにそれなりの時間と手間がかかるデメリットが。しかし、RFPにはそれを上回る数多くのメリットがあります。では、RFPを作成することで得られる具体的なメリットとは何か?代表的なものを簡単に紹介しておきましょう。
委託先(開発会社)とのやり取りを減らせる
システム開発における「Why」「What」は、開発の土台となる非常に重要な要素。これを明確化して、システム開発の方向性を決める重要な作業工程が「要件定義」です。「Why」を明文化したRFPがあれば、要件定義の工程を効率化できるだけでなく、システム開発の方向性をブレなく定められるメリットが得られます。
RFPがなければ、発注者の「Why」があやふやな状態になり、ヒアリングの回数を重ねる必要があり、認識のズレが方向性のブレを招く可能性もあります。
RFPで「Why」が明文化されていれば、システム開発会社は「What」を考えるだけで済みます。結果的にムダなコミュニケーションを排除した、効率的な要件定義策定を実現できます。システム開発の目的・ゴール・方向性を見つめ直し、自社ニーズを明確にするためにも、RPFの作成が役立つでしょう。
要件定義の基本、重要性、進め方を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:システム開発の要件定義とは?受託開発における重要性や進め方を解説!
提案内容を比較しやすい
RFPは、複数のシステム開発会社へ提出することが一般的。そのため、開発会社から集めた複数の提案のなかから、ベストなひとつを選んで委託先を決定することができます。
ドキュメントとして自社の「Why」を明文化したRFPを活用すれば、統一された基準をもとに作成された提案書(What)が集まります。結果的に、提案内容のみに集中して各社のアイデアを比較できるメリットが得られるのです。
RFPがなければ、委託候補先となる各システム開発会社に、自社の「Why」を口頭で説明しなければなりません。候補先が多くなればミーティングの時間も手間もかかります。説明内容が各社で食い違ってしまう、あるいは異なった意味で取られてしまえば、提出される提案書の内容もブレてしまうでしょう。
関連記事:システム開発会社の選び方7ポイント!依頼の準備と注意点も解説
見積もりを適正金額に収められる
候補先のシステム開発会社に統一した基準を提供するRFPは、各社からの見積もり金額を適正範囲内に収められるメリットが得られます。これはRFP内に、開発するシステムに必要な機能、システム条件など、明確な自社ニーズが記載されているからです。発注者のニーズが明確なら、システム開発会社も精度の高い見積もりを算出できます。
逆に、発注者のニーズがあやふやな場合は、見積もり金額が高くなる傾向にあることは覚えておく必要があります。なぜなら、ニーズがあやふやだと修正・変更などでシステム開発の工数が増える、イコール人件費が見積もり金額内で収まらなくなる可能性があるからです。
こうしたリスクを避けるため、システム開発会社はある程度の「マージン」を乗せて見積もりを算出することが一般的。ニーズがあやふやな場合は、このマージンを大きくせざるを得ないのです。
関連記事:システム開発の見積書の見方をプロが解説!注意点も紹介【サンプル付き】
RFP(提案依頼書)の構成要素
RFPに決まったフォーマットはありません。プロジェクトの規模が大きくなる大企業では、社内SEが主導してRFPを作成するケースが一般的です。そのため「ITの専門知識に乏しい自社でもRFPが作れるのか?」といった不安を感じる方がいても不思議ではありません。
しかし、自社の「Why」を明文化する、という基本に立ち返ればRFPの作成は決して難しいものではありません。RFPは以下の3つで構成すると良いです。
1.システム概要
2.提案依頼要件
3.発注先選定の進め方
RFPにはどのようなことを記載すればいいのか、中小企業の方向けに解説していきます。
システム概要 |
システム開発の背景、目的、解決したい課題、得たい効果 現行のシステムとの関連、会社・組織の概要 新システムの利用者、システム開発の予算 |
提案依頼事項 |
システムの構成、性能、品質、運用条件、納期スケジュール 納品条件、定例条件、開発体制、プロジェクト管理方法 開発言語、開発手法、現行システムからの移行方法、費用見積もり |
提案手続き |
提案依頼書に対する窓口、提供資料、選定方法 |
開発の条件 |
開発期間、作業場所、開発に使うコンピュータ機器、資料 |
契約事項 |
支払い条件、保証年数、機密事項、著作権 |
システム概要
最初に書くべき「システム概要」とは、委託したいプロジェクトの全体像を、開発会社に把握してもらうための基本情報です。システム開発の目的・ゴール・要件といった、「Why」の要素を明確に伝えるように作成することがポイント。
はじめに、システム開発の目的および、背景(なぜプロジェクトの計画に至ったのか)を記載します。端的に数行程度でまとめることがポイントです。
目的の例文 株式会社ユーティルは、事業規模の拡大に伴って販売管理システムの新規導入を計画しています。 本書は、貴社が提供可能なソリューション、プロジェクト運営の実現性について 取りまとめていただく際の参考となる (株)ユーティルの基本情報、プロジェクト要件を示すことを目的としています。 貴社からの提案書をもとに、本プロジェクトの発注先選定を行わせていただきます。 |
背景の例文 株式会社ユーティルではサイドビジネスとして○○の販売を行っていましたが 取扱量が増大したことにより業務に限界が生じています。手作業による現業務のシステム化が求められています。 |
現状の課題
システム開発によって解決すべき、現状の課題を記載します。長い文章だと意図が相手に伝わらないことが考えられるため、業務別に課題を細分化する、箇条書きをうまく使うなどの工夫が必要。
新規にシステム開発を委託したいのであれば、現在の業務手順とそれによって生じている課題を、システム刷新・リプレイスの場合は、既存システムで不満のある機能も挙げておくといいでしょう。
システム開発の目的・理由
現状の課題を踏まえ、システム化によって実現したい理想の状態(システム開発の目的)を記載します。
- システム開発によって改善したいのはどの業務範囲か
- システム開発してどのような課題を解決したいか
- システム開発によって会社をどのように変えていきたいか
なども明記します。
ただ単に「販売管理システムの開発」といった漠然とした表現ではなく、読み手がイメージできる具体的な目的を記載することが重要。
既存システムとの連携が必須など、前提条件も含めて記載しておきます。
目的の例文 上記課題をすべて解決し、仕入・出庫・在庫・顧客情報が連動した 販売管理システムの開発、かつ既存会計システムとの連携を目的とする。 |
システム開発のゴール
システム開発プロジェクトで目指すべき「ゴール」を記載します。具体的には「品質」「費用」「納期」「効果目標」などの項目を、できる限り定量的に記載することがおすすめ。
これは、システム開発プロジェクトの成果を振り返るときの材料・指標にもなります。
ゴールの例文 品質 ・現状の課題をすべて解決できること ・○名が同時にアクセスして××の処理を1秒以内に処理できること 費用 ・見積書の金額内でプロジェクトを完了できること 納期 ・202Y年MM月DD日に、既存会計システムとの連携含めて本稼働できること 効果目標(KGI) ・○名で行っている現在の業務フローを、202Y年MM月DD日までに×名まで削減する |
費用欄には、自社で想定しているプロジェクト予算を記載してもかまいませんが、システム開発会社からの提案が「コストありき」になってしまう可能性もあります。予算が潤沢ならばあえて記載しない、予算が厳しいのであれば「予算内での提案を募る」ために記載するなど、状況に応じて対応するといいでしょう。
システム開発の予算
開発費の予算も書きましょう。10万〜100万といった幅が広すぎる金額ではなく、50〜80万円など正確な予算幅にしてください。逆に予算が曖昧だと開発会社の提案もブレてしまい、戦略もボヤけてしまいます。
しかもシステム開発は追加料金が発生する場合があるので、あらかじめ上限を明確にしておかないと開発費が予想外に高騰する可能性もあります。
もし、予算が決まっていない場合は、RFPには「要相談」などと書き、開発会社に作りたいシステムのイメージを伝え、どれくらいの開発費がかかるか聞きましょう。
プロジェクトの依頼範囲
RFPを提出するシステム開発会社に、どこからどこまでの提案をして欲しいのか?プロジェクトの依頼範囲を記載します。システム開発・導入には、それに付随するさまざまな作業が発生します。システムローンチ後の運用・保守も視野に入れておく必要もあるでしょう。抜け・モレのないようにしっかりチェックしておくべき項目です。
依頼範囲の例文 ・販売管理システムの開発・導入 ・既存会計システムとの連携・インターフェース開発 ・サーバ・ネットワーク・PC端末など、必要な機器の購入・設置・設定 ・成果物のマニュアル一式 ・関係各所への導入講習 ・新システムの運用・保守 |
プロジェクトの方針
RFPのメインともいえるパートが、プロジェクトの方針。ここでは、全体的な方針とともに想定しているシステム要件、機能要件を記載します。
全体的な方針(例文) 社内にIT担当者が在籍していないため、本プロジェクトではSaaS型(※)による新システム開発、 もしくは新システム構築後の運用・保守の外部委託を求めています。 |
機能要件(例文) 開発対象となるシステムの機能は、一般的な販売管理システムの機能に加え、以下を想定しています。 ・新システムから既存会計システムへのアクセス、インターフェース共有 ・期間を指定した集計機能・BI(Business Intelligence)機能 |
システム要件(例文) ・品質要件を満たすサーバ・クライアント構成 ・仕入・在庫管理用のタブレット端末との連携 |
※SaaS型:ソフトウェアの機能をインターネットを通じたサービスとして提供する形態
会社情報
RFPを作成した委託側の会社情報を記載します。会社概要などの基本情報は、パンフレットなどを添付して別紙参照とする方法もありますが、システムに関連する下記のような会社情報を漏れなく記載しておくことがおすすめです。
組織図 |
権限管理・組織管理などのセキュリティに必要な情報 |
取扱量・店舗数(物販・小売の場合) |
システムの規模・パフォーマンスに関連する情報 |
システム利用者 |
システムの規模・パフォーマンス・権限管理に関連する情報 |
システム構成・機器情報
システムの刷新・リプレースを委託したい場合には、現行システムの構成・利用している機器情報も記載すべき項目です。具体的には、現行システムの構成図、利用しているハードウェアの種類・台数・スペック情報が必要。パッケージを活用しているのならば、すべてのパッケージ名を記載しておく必要があります。そして、システム開発後の完成システム構成図も作成しておきましょう。
提案依頼内容
「提案依頼内容」とは、RFPの概要を踏まえたうえで、作成する提案書に盛り込んで欲しい要件を、システム開発会社に伝えるための情報です。
会社・組織情報
委託候補先となるシステム開発会社の会社・組織情報をどのように提示してもらうか、指定する項目です。従来は、会社情報や実績、提供可能なサービスなどの情報開示を求める、RFI(Request For Infomation)を一次選考に活用し、二次選考にRFPを活用することが一般的でした。
しかし、インターネットで会社情報をチェックできる現代では、RFPのみの選考が主流。そのため、RFPにもRFIの要件が盛り込まれます。候補先の会社基本情報、実績、提供可能なサービスのほかにも、プロジェクトに関わる可能性のある再委託先の情報提示も求めておきたいところです。
会社・組織情報の例文 ご提案に関連するすべての会社、組織の明示をお願いします。 プロジェクト内の一部の役割に再委託がある場合は、その相手先、内容も明示してください。 |
提案システム概要・構成
RFPに記載された機能要件・システム要件に対する回答を、システム開発会社からどのような形で提供してもらうのかを指定する項目です。
提案システム概要の例文 ・ご提案いただくシステムの実装予定機能一覧を明示してください。 ・ご提案いただくシステムの概要がわかる機能関連図を明示してください。 ・ご提案いただくシステムのインターフェース概要図を明示してください。 |
提案システム構成の例文 ・ご提案いただくシステムのハードウェア・ネットワーク構成図を明示してください。 ・システムを構成するハードウェアの機器に必要なスペックを明示してください。 |
プロジェクトの体制・スケジュール
システム開発プロジェクトをどのような体制・スケジュールで進めていく予定なのか、明示してもらうための項目です。プロジェクトを遂行するなかで自社がどのように関わっていくのかを明示してもらうこともポイントです。
プロジェクト体制の例文 プロジェクトに参画する全メンバーとその役割について明示してください。 確定していないメンバーに関しては「未確定」とし、役割についてはすべてを網羅してください。 また、プロジェクトマネージャーの方の経歴がわかる資料の提示もお願いします。 |
プロジェクトスケジュールの例文 ・週単位での全体スケジュールを明示してください。 ・全体スケジュールの個々のタスクの担当(貴社・弊社・委託先など)を明示してください。 ・全体スケジュールには弊社側の作業となるタスクもすべて明示してください。 |
サポート体制・運用方法
納品・本稼働後のサポート体制・運用方法を、システム開発会社に明示してもらうための項目です。
サポート体制・運用方法の例文 本稼働後のサポート体制、窓口の受付時間と対応フロー、緊急時窓口などを明示してください。 また、緊急時に業務へ支障を与えない運用方法についても明示をお願いします。 |
納品物一覧・ドキュメントサンプル
納品物一覧をシステム開発会社に明示してもらうための項目。納品されたドキュメントが使い物にならなかった、といった事態を避けるためにも、過去のサンプルも提示してもらいましょう。納品して欲しいドキュメントが決まっているのであれば、あらかじめ記載しておくこともポイントです。
納品物一覧の例文 納品物の内容と納品のタイミング、納品形態を一覧で明示してください。 |
ドキュメントサンプルの例文 要件定義書、設計書、ユーザーマニュアルなどのドキュメントサンプルを提示してください。 |
また、下記も明記する必要があります。
- 保守運用の内容・範囲・期間
- データ移行の方法(既存システムがある場合、どのような手法でどのように移行するか)
- 新たなシステム導入後の教育の範囲と期間
関連記事:システム開発の成果物・ドキュメント|知っておきたい開発工程ごとの成果物を一覧で紹介!
概算費用
システム開発の概算費用(見積もり)をシステム開発会社に明示してもらうための項目です。初期費用、月額費用をそれぞれ内訳とともに明示してもらうことがポイント。「一式」といった概算費用を明示されても、金額の妥当性が評価できないからです。
概算費用の例文 ・初期費用は、システム開発費用、機器購入費用、初期導入費用などの項目別合計金額と その内訳がわかるように明示してください。 ・月額費用は、システム保守費用、サポート費用などの項目別単価と その内訳がわかるように明示してください。 |
制約事項
提案するシステムの制約事項をシステム開発会社に明示してもらうための項目。同時アクセス数、データベースの登録上限数などのシステム制約が、稼働時、または将来的に問題につながる可能性もあるため、必ず確認しておきたい項目です。
制約事項の例文 今回のシステム開発プロジェクトに関して、現時点で明らかな制約事項やリスクを明示してください。 |
契約内容
契約内容と支払い方法をシステム開発会社に明示してもらうための項目です。初回取引なのか、継続取引なのか、会社の規模を含めて取引方法はさざまざま。確保する予算や準備する時期に関連してくる重要な項目です。
契約内容の例文 契約内容と支払い方法を明示してください。項目別に契約内容・支払い方法が異なる、 または複数回に分けて支払いが発生する場合は、そのことがわかるように明示してください。 |
選考の進め方
「選考の進め方」とは、提案書提出後、どのような手順で委託先を選定するか、選考方法やスケジュールをシステム開発会社に伝えるための情報です。
選考スケジュール
自社が想定する選考までのスケジュールをシステム開発会社に明示する項目です。「提案書の提出締め切り」>「提案書の内容精査・選考」>「社内合意」>「発注手続き」>「プロジェクト開始」の順に、予定している日付を明示しましょう。
RFPの提出から提案書の提出までの検討期間は、2〜3週間程度かかる場合が一般的ですが、システムの内容・規模に応じてはさらなる検討期間が必要になるケースも。システム開発会社の意向も反映させながら、柔軟に対応していくことがポイントです。
提案書の提出先
提案書の提出先をシステム開発会社に明示する項目です。時間も含めた提案書の提出期限を明記し、締め切りに間に合わない場合は「選考対象外」となる旨を伝えましょう。
提案評価とその後について
選定時に何を重視するのかをシステム開発会社に明示する項目です。価格重視なのか?クオリティ重視なのか?選定基準が明確になっていれば、システム開発会社も意図に沿った提案をしやすくなります。必須の項目ではありませんが、よりよい提案を得るためにポイントを明記しておくことがおすすめです。
RFP作成の流れ
RFPを作るにはどうしたらいいのか?目安ですが、上のステップに沿って作っていくと良いでしょう。現在の課題を洗い出し、どんなシステムを作りたいのか、その効果はどれくらいか、どれくらいの予算や工数を想定しているのか、といった順番です。
RFPに記載する項目がわかったところで、実際にRFPを作成する流れを解説します。
現在の業務やシステム、課題を洗い出す
いきなり書類を書き始めるのではなく、まずは自社が抱えている課題を洗い出してください。課題をもとに、どんなシステムが必要かを考えるからです。RFPは記載項目が多く、課題が不明瞭なまま書き始めてしまうと、あとから書き直しの必要が出てくるなど、無駄な時間が発生します。
例えば、従業員の給与管理システムを開発して欲しい場合、課題は下記のようなものがあります。
- 電卓など手計算で行っており従業員が増えてきて時間がかかりすぎる
- 従業員のタイムカードなど勤怠管理システムとバラバラなのでチェックが大変
このように何に困っているのかを明確にすることで、どんなシステムを開発すればいいのか、どんな機能が必要なのかが見えてきます。
開発目的を明確にする
課題を洗い出したら、それを元に開発の目的(理想の状態やどんなシステムが必要か)を明確にします。先ほどの給与管理システムを例にすると
- 従業員の給与が自動集計されるようにしたい
- 勤怠管理システムと連携できるようにしたい
このように、理想の状態や、どんな機能が必要かが明確になってきます。先に必要なシステムが明確になっていると、開発会社にRFPを提出したときに答え合わせがしやすく、プラスアルファの提案がもらえます。
RFPの記載項目を書いていく
自社の課題、開発目的をブラッシュアップして、いよいよRFPを作成していきます。「会社は今こんな状態で、こんなことに困っている、だからこんな機能があるシステムが欲しいので、提案してください」と前述した記載項目を参考に、RFPを作って提出します。
【参考】どうしてもRFPを作成するのが難しい場合は
社内でRFPを作成する時間や人員がないケースもあるかと思います。RFPの作成を代行してくれるサービスはなく、またRFPは社内で作成するのが良いですが、場合によっては社内の事情をよく理解している経営コンサルタントや中小企業診断士などがオプションで作成を代行してくれるケースもあるようです。過去にあった例では、作成代50,000円でした。費用は、その人によって異なります。
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RFP(提案依頼書)作成時の注意点
RFPの目的でもある「よい提案を得る」ためには、システム開発会社に自社ニーズ・意図が伝わるようなRFPを作成する必要があります。的外れな回答をされないためにも、RFP作成時に注意しておくべきポイントを簡単に解説しておきましょう。
RFPの質によって提案書の質も変わる
質の高い提案書を得るためには、その基準となるRFPの質を高める必要があります。といっても、それほど難しいことではありません。RFPに記載する文章が「相手に伝わるか?」「ほかの意味に取られないか?」を考え、曖昧な表現を避けることが重要。情報を整理して相手にうまく伝える「5W1H」の法則を意識することがポイントです。
また、文章を書く際に「情報の粒度(細かさ・詳細さ)」に注意しておくこともポイント。ある表現では細かく、別の表現では荒くということではなく、RFP全体で表現の粒度を揃えることが肝心。読み手に伝わりやすい文章を作成できます。
ITコンサルタントを活用する方法も
RFPを活用して適切な提案を得たい、その後のプロジェクトの進行をスムーズにさせたい、しかし作成することが困難といった場合は、ITコンサルタントを活用する方法もあります。
システム開発プロジェクトの予算を抑えたい、そう考えるのはどんな企業でも同じ。しかし、準備を怠って使えないシステムが完成したのでは本末転倒です。プロジェクト全体の精度を高めていくためにも、ケースバイケースで検討していくことがおすすめです。
※RFPの作成方法やシステム開発会社選びにお悩みの方は、システム幹事にご相談ください。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
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RFI(情報提供依頼)との違い
RFI(Request for Information)は、RFPの前に行われるもので、発注者側が開発会社候補に「これから開発するシステムにかかる費用」「実現の可能性」などの情報を求めること。企画で出たシステム内容が現実的に開発可能か否か、どのくらいのコストがかかるかを、各開発会社から情報収集するのです。
このとき開発会社側が情報漏洩しないよう、NDA(機密保持契約)を結んでおく必要があります。
RFQ(見積依頼書)との違い
RFQとは「Request for Quotation」のことで、「見積依頼書」や「見積要求書」を指します。RFPも見積もりを求める項目があるので同じですが、RFQはシステム開発というより、ツールやサービスを導入する際の金額を教えて欲しい場合に作ります。
公式サイトだと料金の欄に「要見積もり」と表示されていて、ツールやサービスの導入時にかかる費用が不明瞭なケースが多いです。要求する条件が記されたRFQを準備しておけば、取引先への見積もり業務が効率化し、システム開発がより捗るでしょう。
システム開発会社の選び方
RFPによって各開発会社から見積もり書などを獲得して見比べても、依頼した位会社を選びきれない場合に、選び方のポイントをおさえておきましょう。
最初の3つは公式サイトの見方、次の4つは開発会社に問い合わせたときの選定ポイントです。「7つもあるのか...」と思われたかもしれませんが、システム開発は費用も高額で何ヶ月もかかる仕事。失敗がないようにポイントを押さえてください。
開発会社の選び方の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:システム開発会社の選び方7ポイント!依頼の準備と注意点も解説
システム開発におけるRFP(提案依頼書)まとめ
本記事では、システム開発会社の選定や、開発工程をスムーズに進めるために欠かせないRFP(提案依頼書)の基本・メリット・作り方を解説しました。情報量が多くなりがちなRFPは、メリットの大きさと引き換えに、作成に多くの時間と手間がかかるデメリットがあるのは事実。
しかし、システム開発会社を選定するうえでも、プロジェクトの精度を高めるためにもRFPは必須のドキュメント。ITの専門知識がなければ作成できないわけでもありません。本記事の内容を参考に、システム開発を成功に導くRFP作成にチャレンジしてみてください。
システム開発の依頼準備は他にもあるので、下記の記事も参考にしてください。
関連記事:システム開発の依頼準備8点!プロジェクトを成功に導く外注ガイド
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コンサルタントのご紹介
岩田
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Q. RFPとは何ですか?
RFPとは、システム開発会社から見積もりやシステムの提案をしてもらうための依頼書のことです。システム開発会社に「Why」を抜け・モレなく伝えて共有できるの特徴があります。
Q. RFPのメリットは?
RFPのメリットは「開発会社とのやり取りの削減」「提案内容を比較しやすい」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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