システム開発の工程・流れをプロが解説!発注者が知っておくべきポイントを紹介

・システム開発の工程がわからず、開発会社とのコミュニケーションが不安
・システム開発の工程の中で発注者が意識するべきことはなんだろう?
・システム完成までの流れを知って先に準備をしておきたい

システム開発の工程に関する情報は少なく、書籍やインターネットもエンジニア向けで内容が難しいものばかり。

あらかじめ開発フローを押さえておけば、依頼までの準備もしやすく、開発会社とスムーズにキャッチボールができます。

そこで本記事では、システム開発のエンジニアに取材をした内容をまとめ、発注を検討している方に依頼前の準備から運用までの流れを解説します。最後まで読んで、システム開発の外注にお役立てください。

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目次
  1. 1. システム開発とは
    1. 1-1. システム開発の種類は4種類
  2. 2. システム開発の工程・流れ一覧表
    1. 2-1. 発注者が工程・流れを知っておくべき理由
    2. 2-2. システム開発の成果物一覧 
    3. 2-3. システム開発の工程は手法によって異なる
  3. 3. システム開発の工程①発注・契約まで
    1. 3-1. 依頼準備
    2. 3-2. 見積もり・提案
    3. 3-3. 発注・契約
  4. 4. システム開発の工程②設計・開発・テスト
    1. 4-1. 要件定義
    2. 4-2. 設計
    3. 4-3. 開発(プログラミング)
    4. 4-4. テスト
  5. 5. システム開発の工程③検収・導入・運用
    1. 5-1. 検収
    2. 5-2. 導入
    3. 5-3. 運用・保守
    4. 5-4. 【参考】リスクヘッジのためのチェックリスト
  6. 6. システム開発の言語
    1. 6-1. システムの種類ごとの開発言語一覧
    2. 6-2. Webアプリケーション・サービス
    3. 6-3. モバイルアプリ
    4. 6-4. 業務アプリケーション
    5. 6-5. 汎用系業務システム
  7. 7. システム開発で成功した企業事例
    1. 7-1. ライオン株式会社
    2. 7-2. エムスリー株式会社
  8. 8. システム開発の費用・相場
    1. 8-1. 基幹システム
    2. 8-2. 業務支援システム
    3. 8-3. Webシステム
    4. 8-4. 【参考】システム開発の体制
  9. 9. システム開発のメリットとデメリット
    1. 9-1. メリット①自社の業務に最適なシステムが開発できる
    2. 9-2. メリット②事業状況に合わせた機能拡張などの柔軟性がある
    3. 9-3. デメリット①開発コストが高額・開発期間の長期化
    4. 9-4. デメリット②運用・保守・システム更新の管理が必要
  10. 10. エンジニアにおすすめのシステム開発の教本
    1. 10-1. 上流・下流工程から改善・監査までわかる システム開発のすべて
    2. 10-2. SEの基本 この一冊ですべてわかる
  11. 11. おすすめのシステム開発会社
    1. 11-1. 株式会社プラムザ
    2. 11-2. 株式会社デジタリーフ
  12. 12. システム開発を依頼するときの注意点
    1. 12-1. 目的・予算・納期を明確にする
    2. 12-2. 要件定義をしっかり固める
    3. 12-3. システム運用も事前に考えておく
  13. 13. 【まとめ】システム開発の工程・流れ
    1. 13-1. システム開発会社選びをプロに任せたい方へ

システム開発とは

システム幹事

システム開発とは、企業の業務効率を改善するITシステムや、ネットショップなどインターネットを通じて情報を処理するシステムを開発すること。当サイト・システム幹事の記事は、上の画像のような独自のシステムを使って作成しています。

システム開発の種類は4種類

種類

目的

基幹システム

会計・人事・生産・販売などの情報を管理するシステム

停止すると経営がストップしてしまう業務を指す

例:販売管理、生産管理、人事管理、財務会計システム、ERPなど

業務支援システム

顧客情報や営業活動、新たなプロジェクトなどを支援する

主に直接、顧客に関わる部分(フロント業務)に関するシステム

例:顧客管理(MA)、顧客管理(SFA)、顧客管理(CRM)システムなど

Webシステム

ネットショップ、予約システム、マッチングシステムなど

インターネットを通じて情報を処理するシステム

例:ECサイト、CMS、予約システム、マッチングシステムなど

組み込み・

制御系システム

家電製品や自動車などの輸送機器、医療機器などに

特定の機能や制御を組み込むシステム

例:コピー機、カーナビ、家庭用ゲーム機、オーディオ機器など

システム開発の種類を大きく上の4つに分類しています。上記に記載していませんが、広義ではTwitterやFacebookなどのSNS、スマートフォンでインストールするアプリもWebシステムに含まれます。

開発したいシステムの種類によって費用や開発工数などが変わるため、各システムの特徴を把握しておくことが大切です。

例えば基幹システムの中でも、販売管理・生産管理システムは業務の複雑性が高く、複数人が使うケースが多いシステム。人事や経理担当者がメインで使う人事管理・財務会計システムと比較すると開発工数や費用も増えます。

関連記事システム開発の種類|オープン系・Web系・汎用系の特徴やアプリ開発との関係を解説

システム開発の工程・流れ一覧表

システム開発ライフサイクルとは

これからシステム開発の工程・流れを詳しく説明しますが、全体像としては上の図のサイクルで進みます。ただし、聞き慣れない用語が多く、複雑なシステム開発を少し分かりやすくするため、身近な料理に置き換えてみました。

システム開発の工程

料理の工程

【企画】

勤怠管理、ECサイトなど

どんなシステムを開発したいか決める

【企画】

カレー、パスタ、オムライスなど

どんな料理を作りたいか決める

【要件定義】

費用、機能、必要な人員(工数)
スケジュール(納期)など決める

【計画】

食材、調理道具、費用
完成までの時間を決める

【基本設計】

扱うデータの整理
画面のレイアウトを決める
必要となるデータを明確化

【レシピ作り】

味付け(調味料の配分)

煮る、焼く、茹でるなど調理法

どの順番で作るかのレシピ

【開発】

プログラミング言語でシステムを開発

【調理】

包丁やフライパンなどを使って料理

【テスト】

システムを動かして

問題がないか確認する

【味見】

味見してみて

塩加減など調整する

【検収】

発注者が使ってみて問題ないか確認

操作マニュアルに不備がないか確認

【実食】

できあがった料理を食べて

味や見た目をレビューする

この表は最後にも記載しますので、全部読んだあと、もう一度見比べると理解しやすいでしょう。

発注者が工程・流れを知っておくべき理由

システム開発の流れを理解しておくべき理由は、「発注側がどの工程でどんな関わり方をすればいいのか」を知っておくためです。上記のシステム開発の工程は大きく「発注」「開発」「運用」の3つに分類できます。

システム開発の流れ

実は、システム開発が失敗する原因の多くは、関わり方がわからず、開発会社に開発工程を完全に委ねてしまうこと。丸投げは、要求した機能が不十分な状態で後半の工程に行ってしまったり、余裕のないスケジュールが設定されてしまったり、開発会社とコミュニケーションがうまく取れないことなどにつながります。それが、大幅な修正が必要になる、納期が大幅に遅れるなどのトラブルに発展するのです。

逆にシステム開発の工程を把握しておくと、プロジェクトの各工程でやるべきことや、開発会社とのコミュニケーションも取りやすくなるため、納期の遅れや追加費用も発生しにくくなります。事前準備もしやすいので、機能や性能面でも、より理想のシステムに近づくことができます。

システム開発の成果物一覧 

システム開発の工程

成果物

企画・見積もり

見積もり・提案書

要件定義

要件定義書

基本設計

基本設計書

詳細設計

詳細設計書

単体テスト

単体テスト実施報告書

結合テスト

結合テスト実施報告書

総合テスト

総合テスト実施報告書

受け入れテスト

検収書

システム開発では各工程ごとに、上のような書類・ドキュメントが作成されます。これらの書類をもとに希望どおりのシステムが開発されるか判断し、開発会社にフィードバックを行います。事前に把握しておくと、開発会社とのコミュニケーションが取りやすくなります

この記事では、「こんな成果物をもらうんだ」とだけ知ってもらえれば十分です。詳細は下記の記事を参考にしてください。

関連記事システム開発の成果物・ドキュメント|知っておきたい開発工程ごとの成果物を一覧で紹介!

システム開発の工程は手法によって異なる

システム開発の工程・流れと一口に言っても、実は開発する手法によって異なります。ここがシステム開発の厄介なところ。開発の手法は大きく分けると下の表の4種類に分かれます。

手法

内容

ウォーターフォール

決められた作業工程を一つひとつ順番に遂行していく

アジャイル

基本機能のみを開発し、発注者に使ってもらい

レビューを集め、開発とテストを繰り返す手法

プロトタイプ

開発に入る前に試作品を作成して発注者が確認する手法

スパイラル

システムの開発工程をサブシステム(機能)ごとに分割し

重要な機能から開発していく

本記事で取り扱う開発工程はウォーターフォール型

ウォーターフォール型

4つの開発手法のうち、最もオーソドックスな開発手法が「ウォーターフォール型」です。
水が上流から下流に流れるように、決められた作業工程を一つひとつ順番に進めていくシステム開発手法です。

左上の要件定義から始まり、開発が終われば次にテストを行います。順番通りに工程が進んでいくので、システム開発の流れを理解するには最適。本記事では、ウォーターフォール型の開発手法をもとに解説していきます。

なお、最近、主流となっている「アジャイル開発」は、下の図のように、小さい開発を繰り返してシステムを開発します。

アジャイル開発

ただし、システム開発の流れを理解するにはアジャイル開発は少し複雑なので、この記事では上の図解に留めておきます。発注したシステム開発がアジャイル開発になった場合は、下記の記事を参考にしてください。
関連記事アジャイル開発とは?メリット・デメリット、発注側の注意点を解説

ウォーターフォール型の開発の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事ウォーターフォール型システム開発とは?開発工程・メリット・アジャイル型との違いを解説!

システム開発の工程①発注・契約まで

システム開発の発注まで

ここからシステム開発の工程を詳しく説明していきます。
まずは、開発会社に発注するまでの流れを3つの項目に分けました。発注する側の作業が大部分を占めるので、しっかり理解しておきましょう。

依頼準備

システム開発を外注する際、まずは依頼するための準備から始まります。システム開発の成否を左右する重要な工程なので、分量多めで説明します。まずは下記の3点を決めてください。

・現状の課題(何に困っているのか)
・理想の状態(どうなれば解決するのか)
・システム機能(どんな機能があれば良いのか)

上記3つからどんなシステムが欲しいのかを決定し、企画書を作ります。その際は、IT部門だけではなく、実際にシステムを利用する関係部署の担当者に業務上の課題や要望を聞いておくといいでしょう。課題や必要な機能・性能が明確になります。

目的・納期・予算の3つは必須

目的・予算・納期の3つは必須

どんなシステムが欲しいのかを開発会社に伝えるのは当然ですが、目的・納期・予算の3つも必ず決めておきましょう。この3つを決めないと、開発会社はシステムの完成イメージがしにくく、曖昧な見積もりしか出せません。会社によって見積金額が大きく異なってしまう原因にもなります。

システム幹事に相談いただくお客様も、「準備をしないで見積もりを複数社に打診したところ、価格に倍以上の差があった...」などとおっしゃる方もいます。

良い目的の設定例

・従業員の勤怠管理の工数を1/2に削減したい
・半年で500万円の売上を出すECサイトをつくりたい

システムを作る目的は、開発会社側が必要な機能や仕様などを決めるのに重要な項目です。できれば上記のように数字で表せるような具体的な目的を設定してください。

◆目的とあわせて考えておきたい項目

機能性

どのような機能を求めているか?

操作性

システムを操作する人は誰か?求めている操作性とは?

保守性

セキュリティ面は?トラブルが発生した場合の対処法は?

移植性

システムを別の環境へ移行する予定はあるのか?

良い納期の設定例

・2022年7月1日にポータルサイトをオープンしたい
・2022年7月中に会計システムの納品希望

目的と同じく納期も具体的に決めましょう。開発したシステムは、実際に使用してみて修正が発生する場合もあるので、ある程度は余裕を持った納期を設定してください。

システム幹事に相談してくださるお客様の中にも「なるべく早く」「いつでも良い」「決まってない」などアバウトな納期の方が多いですが、少なくとも「4〜6月の間で」などの範囲は決めておいてください。期限を線引きしないと、開発会社の都合でスケジュール設計され、修正や追加作業が発生した場合に遅延につながります。

「〇〇のイベントで使用する」「商品やサービスのリリースまでに必要」など、どうしても期日を延ばせない事情がある場合も、開発会社に伝えておきましょう。

良い予算の設定例

・200万円までに納めたい
・予算上限300万円

予算もできるだけ具体的に設定してください。開発会社は予算の上限に近い金額で見積書を出す場合がほとんどです。具体的な予算を提示し、その中で最大限対応できる提案内容にしてもらうことがポイントです。

逆に、良くないのは「なるべく安く済ませたい」や「予算をいくらに設定すればいいのか開発会社に聞いてみよう!」といったケース。予算が曖昧だと開発会社の提案もブレてしまい、仕様や機能もボヤけてしまいます。

さらにシステム開発は追加料金が発生する場合があるので、あらかじめ上限を決めておかないと開発費が予想外に高騰する可能性もあります。

また、開発会社に「保守・運用」も依頼する可能性がある場合は、その予算も合わせて検討・見積もり依頼しましょう。依頼準備に特化した記事もありますので、以下も参考にしてください。

関連記事システム開発の依頼準備8点!プロジェクトを成功に導く外注ガイド

RFP(提案依頼書)も作ろう

RFPのサンプル

社内向けの企画書と同時に、開発会社に提出するRFP(提案依頼書)も作りましょう。
RFPは、システム開発会社から見積もりやシステムの提案をしてもらうための依頼書。「こんなシステムを開発したいので、この予算で作れますか?どんなシステムにすればいいですか?」の回答を提案してもらうための書類です。

システム概要

システム開発の背景、目的、解決したい課題、得たい効果

現行のシステムとの関連、会社・組織の概要

新システムの利用者、システム開発の予算

提案依頼事項

システムの構成、性能、品質、運用条件、納期スケジュール

納品条件、定例条件、開発体制、プロジェクト管理方法

開発言語、開発手法、現行システムからの移行方法、費用見積もり

提案手続き

提案依頼書に対する窓口、提供資料、選定方法

開発の条件

開発期間、作業場所、開発に使うコンピュータ機器、資料

契約事項

支払い条件、保証年数、機密事項、著作権

上の表がシステム開発のRFPに盛り込んで欲しい項目。
数が多く少し面倒臭いですが、社内向けの企画書と重なる部分も多く、1つ1つは数行程度、簡潔に書くだけで大丈夫です。

RFPのサンプル④

先にRFPを作成しておくと、開発会社も正確な見積もりを出しやすくなります。RFPに記載すべき項目は下記の記事を参考にしてください。

関連記事RFPとは?システム開発の質を高める提案依頼書の作り方を解説!【サンプルあり】

以上の項目を決めたうえで、開発会社に見積もり依頼を出します。ただし、どの開発会社に見積もりを依頼したらいいか分からない方も多いでしょう。その場合は、開発会社選びのポイントを解説した、下記の記事を参考にしてください。

関連記事システム開発会社の選び方7ポイント!依頼の準備と注意点も解説

もしくは自社で開発会社を探す時間もない、早くおすすめの会社を紹介してほしい方はシステム幹事にご相談ください。相談料・紹介料も無料です。また、紹介した開発会社に必ず発注する必要もありません。

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見積もり・提案

株式会社Lbose様より提供いただいたシステム開発の見積書

株式会社Lbose様より提供いただいたシステム開発の見積書です。

依頼準備をしたあとは、開発会社に見積もりを依頼します。面談を行った上で、システム開発にかかる費用の概算を出してもらいます。

見積もりを依頼する際に、特に意識して欲しいポイントは以下の3つ。

・分からない項目は必ず質問する
・金額だけで発注先を選定しない
・相見積もりは3〜4社が理想

まず、分からない項目は必ず質問すること。相手はプロだからと丸投げすると「その機能は必要なかった」「余計な経費がかかってしまった」「他の部分に予算をかければ良かった」と後悔の原因になります。

そして、見積もり・提案の失敗で最も多い要因が、「見積金額の安さ」だけで発注先を決めてしまうこと。できるだけ安い金額で発注したいのは人情ですが、安く作ることが目的化すると失敗につながります。金額ではなく、自分たちの目的が達成できそうかで判断してください

さらに、依頼する開発会社を選ぶときは3〜4社程度がおすすめです。特徴の違いを比較しやすく、社内で稟議を通す際もプレゼンしやすいでしょう。

逆に一括見積もりを依頼すると会社が多すぎて比較するのが大変です。どの会社も同じに見え、結局どの会社が良いか選びきれず、価格だけで決めて失敗してしまうパターンが多いです。

システム開発は2段階見積もりが多い

システム開発は2段階見積もりが多い

現在、システム開発では見積もりを2回に分ける「2段階見積もり」をする会社が増えています。本来、正確な金額は設計図を使ってみないと出せませんが、発注側からすると契約前の段階で概算の見積もりだけでも欲しいところ。

そのため、開発会社は、発注側に「どんなシステムを作りたいのか?」とヒアリングして、一度ザックリした見積書を作ります。その後、設計図を作った段階で正確な見積金額を再び出すのです。

開発会社が2段階見積もりを行う場合、最初に出される見積金額が必ずしも正確ではなく、ある程度の誤差が生まれる可能性があると覚えておいてください。

このように、システム開発の見積もりは、かなり複雑です。本記事だけでは説明しきれない注意点などもまとめた、下記の記事もご覧ください。

関連記事システム開発の見積書の見方をプロが解説!依頼する際の注意点も紹介!

システム開発の費用・相場については、こちらで詳しく解説しています。

関連記事システム開発の費用・相場を徹底解説!料金を抑えるコツも紹介!

その他システム開発の失敗の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事システム開発の失敗例・原因・防止策まで解説!失敗時の対処法も

発注・契約

 

請負契約

準委任契約(SES)

概要

契約時の見積もり金額を支払う

開発にかかった時間に対して支払う

責任

成果物(システム)の完成

業務の遂行(労働力のみ提供)

開発会社の見積書を比較・検討したら、どこに依頼するかを決定して正式に発注します。その際、契約書を締結しますが、システム開発の契約書は相当ややこしい内容です。発注者の7割ほどが契約書の内容を理解しないまま契約書を結ぶと言われており、あとからトラブルにつながるケースも少なくありません。

システム開発の契約

例えば、システムを開発する前に設計図を作りますが、そこまでは開発にかかった時間に対して支払う準委任契約がほとんど。設計図を作ってみて「やっぱり開発はやめておこう」と思っても、それまでの労働時間に対しては対価を支払う形になります。

それ以降の開発に進めば請負契約となり、開発会社側はシステムを完成させる責任があります。このように、システム開発の契約は複雑なので下記の記事もチェックしておいてください。契約が原因で起きるトラブルを避けるための、注意点・チェックポイントを詳しく解説しています。

関連記事システム開発の契約とは?契約形態・契約書の注意点を解説!

システム開発の工程②設計・開発・テスト

システム開発の完成まで

続いては、開発会社に依頼をしたあと、システムが完成するまでの流れを説明します。ここからは主に開発会社主導の工程になります。特に最初の「要件定義」が重要ですので、重点的に意識してください。

要件定義

要件定義

開発会社に発注したあと、システムの設計図を作る前にまず行うのが「要件定義」です。要件定義とは、発注者の希望を叶えるために必要な機能などを明確にする作業。料理に例えると食材、調理道具、費用、完成までの時間などを決めます。RD(Requirement Definition)の略称で呼ばれることもあり、下のような項目を決めます。

・必要な機能
・用いられる技術
・スケジュール(納期)
・必要な人員(工数)

要件定義は発注側のニーズを見える化する作業であり、プロジェクトの成否を左右するもっとも重要な工程。システム開発の失敗の原因の多くも、綿密に要件定義を詰めていなかったことで起きています。必ず納得いくまで打ち合わせを重ねてください。要件定義をしっかり固めないと、以下のような問題につながります。

・開発工程で想定以上に時間がかかる
・作ったものの役に立たなかった
・無駄に高機能になって予算オーバーになる

ポイントは「ここだけは譲れない」「絶対にこの機能だけは欲しい」など、システムの核となる部分を納得するまで話し合うこと。細かい機能やスケジュールは後から修正がききます。

要件定義について詳しくはこちらの記事もご覧ください。具体的にどんなことを決めるのか、どう進めるのかなどを詳しく解説しました。

関連記事システム開発の要件定義とは?受託開発における重要性や進め方を解説!

設計


概要

基本設計

発注者が見ても分かる設計書を作成する

詳細設計

プログラマー向けの設計書を作成する

次に、要件定義もとに、システムに実装する機能や必要なデータなどを明確化する「設計」を行います。設計は2つに分かれ、発注者が主に関わるのは基本設計です。

基本設計

基本設計はBD(Basic Design)の略称でも呼ばれ、流れは以下になります。

システム基本設計の流れ

料理に例えると、味付け(調味料の配分)、煮る、焼く、茹でるなど調理法、実際どの順番で作るかのレシピを決める工程です。

基本設計は、発注側がシステム開発開始前に関われる最後の工程のため、要件定義と並んで重要な部分。開発会社が作成した要件定義書をもとにシステムの骨組みを決定します。基本設計で行う作業内容は以下の通り。

・機能の洗い出し
・扱うデータの整理
・画面のレイアウトを決める
・必要となるデータを明確化

発注者は開発会社が作成する「基本設計書」に的確なフィードバックをすることが大切なため、下記の記事も参考に、しっかりとコミュニケーションを取りましょう。

関連記事システム開発の基本設計とは?重要性・発注者としての関わり方を解説!

詳細設計

システム詳細設計の流れ

詳細設計は、DD(Detail Design)の略称で呼ばれ、プログラマー向けの設計図を作る工程です。発注側に開示されることも少ないので、内容を詳しく理解しなくても大丈夫です。基本設計のあとに、こんな作業が行われるのかと覚えておいてください。詳細を知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

関連記事システム開発の詳細設計とは?プロジェクトの位置付け・役割をわかりやすく解説!

開発(プログラミング)

Webシステム

業務システム

モバイルアプリ

汎用系業務システム

Java

PHP

Ruby

Python

JavaScript

Java

C/C++

C#

Python

Java

JavaScript

C#

Swift

Kotlin

Java

C++

COBOL

いよいよ詳細設計書を元に、プログラマーがシステムの開発(プログラミング)をおこないます。料理に例えると包丁やフライパン、鍋などを使って実際に調理していく工程です。上記のような様々な言語にもとづいてプログラムの記述(コーディング)していきます。

システムの種類ごとの開発言語一覧

システムの種類

使われる言語

基幹システム Java、C++
Windows C#
ゲーム C#
ECサイト

ASP、HTML/CSS、JavaScript、PHP、Ruby

会計ソフト ASP
SNS HTML/CSS、JavaScript、PHP、Ruby
動画サイト JavaScript
チャット JavaScript
ブログ HTML/CSS、PHP、Ruby
掲示板 PHP
大規模サイト Java

※システム幹事独自の基準です。あくまで一つの判断指標としてご活用ください。

発注者が言語の特徴まで詳しく知っておく必要はありませんが、多少の知識があれば開発会社とコミュニケーションが取りやすい場合もあるので、下記の記事も参考にしてください。

関連記事システム開発の主要言語を解説!業務アプリケーションによく使われている言語は?

テスト

単体テスト

画面や機能ごとに、動作の検証をする

結合テスト

他の機能やシステムと連携させて、動作の検証をする

総合テスト

本運用を想定して、システム全体の動作を検証する

受け入れテスト

要求通りの機能・操作性になっているか

プログラミングが終われば、開発会社側でシステムのテストを行います。バグがないか、欠陥はないかなど主に3種類のテストを実施します。料理に例えると、味見してみて塩加減など調整する工程。

もしテスト段階でバグや欠陥が見つかった場合は、開発チームが修正して再テストを行い、実装レベルまで達しているかを確認します。

動作に問題がなければ、最後に発注側が行うのが受け入れテスト。当初の想定していた機能は満たせているか、操作して使いづらくないかなどを検証します。

V字モデル

上の図はV字モデルと呼ばれ、いま説明しているウォーターフォール型の開発をV字に置き換えたもの。要件定義で決めた内容が正しく実装されているかは、隣の総合テストで検証します。詳細設計の内容を検証するのは単体テストになります。

上記のテスト工程に発注者が関わることは少ないですが、詳しい内容を知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

関連記事システム開発のテスト工程を徹底解説!システムテストと受け入れテストの違いは?

システム開発の工程③検収・導入・運用

システム導入から運用まで

最後に、完成したシステムを導入し、運用するまでの工程を説明します。発注側も関わる部分がほとんどなので、しっかり理解しておきましょう。

検収

検収(受入れテスト)項目

内容

機能テスト

正常に動作するか?要望通りの機能を満たしているか

ユーザビリティテスト

使い勝手に問題ないか?使用感・操作性を検証する

セキュリティテスト

サイバー攻撃に対するシステム耐性をチェック

負荷テスト

大きな負荷をかけても耐久性や性能に問題が生じないか

開発会社側のテストが終われば、発注側で検収を行います。検収とは、納品された成果物(システム)が、あらかじめ設定された仕様を満たしているか確認する検査のこと。「受入れテスト」や「ユーザーテスト」と呼ばれる場合もあります。

納品された成果物(システム)に問題がないと判断すれば、「検収書」に押印して開発会社側に渡すことで開発は完了します。

システム本体の他に下記のようなドキュメントも問題ないか確認します。

種類

内容

操作マニュアル

システムの操作方法。起動・終了方法、機能なども含む

業務マニュアル

業務の進め方。業務の中で利用するシステムの機能など

障害対応マニュアル

障害が発生した際の対応マニュアル

システム仕様書

システムの仕組みや構造が書かれたドキュメント

下記の記事を参考に、検収に備えてください。

関連記事システム開発の検収トラブルを防ぐには?検収方法・契約内容・疑問を解説!

導入

システムが完成して検収が終われば導入に入ります。開発会社側で初期設定をする場合が多く、 システムの操作マニュアルの作成、操作方法の説明会なども行います。旧システムを活用している場合はシステム移行をします。

運用・保守

運用・保守費用

システム開発は作って終わりではなく、リリース後も継続的に運用や保守をしていく必要があります。「運用」は、開発・リリースされたシステムを継続的に安定して稼働させるため、管理・監視を行うこと。「保守」は障害が発生した際に原因を究明してシステムを復旧・修正することです。

システム運用

システム監視

日常メンテナンス

保守へのエスカレーション

システム保守

障害の原因究明・復旧

システムの改善提案・実施

システム開発を外注する場合は、運用・保守の方針や予算を決めておくことも重要です。目安として、運用費はシステム開発の5%前後。300万円で開発したシステムであれば運用・保守費用は月15万円ほどかかり、1年間で180万円になります。

システム開発会社を探す際は下記のことを決めておいてください。

・システム運用も同じ開発会社に依頼するのか
・依頼するなら月々の予算はどれくらいか
・運用時に開発会社に求めるものは何か

関連記事システム運用とは?開発との関係・保守との違い・重要性・作業内容を解説!

【参考】リスクヘッジのためのチェックリスト

スケジュール

開発稼働日が開発会社の都合で変更にならないか

  • □複数の関連プロジェクト間で不整合は発生しないか
  • □各フェーズの完了条件が明確で達成できそうか

コスト・費用

  • □コストと成果物の関係が曖昧で、誤解を招かないか
  • □見積もりの前提条件は明確で、第三者が見てもわかるか
  • □コストオーバー時、不測の事態に備えた想定はしてあるか

体制・人員

  • □プロジェクト担当の責任と役割が明確か
  • □担当者のスキルは必要要件を満たしているか
  • □担当者の健康面に不安、もしくは退職などの可能性はないか
  • □開発会社の窓口が明確で一本化しているか
  • □過度な長時間労働になっていないか、労働法は遵守しているか

環境

  • □作業スペースや開発環境に問題はないか
  • □作業環境のセキュリティに問題はないか
  • □バグや問題に関する情報の報告に漏れはなさそうか

品質

  • □品質・テストレビューは予定どおり行われているか
  • □欠陥への対応方針は明確か
  • □現行システムの機能が反映されているか
  • □要求が漏れなく反映されているか

システム開発は完成までに様々な工程を踏み、そこにはリスクも存在することが理解できたでしょう。上の表はシステム開発で起こりやすいリスクと、リスクヘッジ(事前に想定される危険を回避するための予防策)のためのチェックリストです。

システム開発を依頼するときは、ぜひ参考にしてください。

関連記事システム開発における発注側のリスクは?リスク管理表の作成方法、大公開!

システム開発の言語

システムの種類ごとの開発言語一覧

システムは、JavaやPHP、Rubyなど200種類以上のプログラミング言語をコンピューターに記述することで開発を行います。

システムの種類

使われる言語

基幹システム Java、C++
Windows C#
ゲーム C#
ECサイト

ASP、HTML/CSS、JavaScript、PHP、Ruby

会計ソフト ASP
SNS HTML/CSS、JavaScript、PHP、Ruby
動画サイト JavaScript
チャット JavaScript
ブログ HTML/CSS、PHP、Ruby
掲示板 PHP
大規模サイト Java

※システム幹事独自の基準です。あくまで一つの判断指標としてご活用ください。

Webアプリケーション・サービス

Webアプリケーション・サービスとは、Google、YouTube、食べログなど、Webブラウザを操作端末に利用する、Web技術を活用したアプリケーション・サービスのこと。今もっとも需要の高い、Webアプリ・サービス。サーバにあるプログラム本体を開発するサーバサイド、ブラウザのインターフェースを開発するクライアントサイドに分けられます。

クライアントサイドでは、ホームページ制作でおなじみの「HTML」「CSS」「JavaScript」が使われます。サーバサイド開発で使われる代表的なプログラミング言語には「Java」「PHP」「Ruby」「Python」などが挙げられます。

モバイルアプリ

モバイルアプリとは、iOS / Androidを使用するスマートフォン・タブレット向けアプリケーションのこと。多数存在するBtoC向けアプリ・サービスのほか、社内業務システムなどの操作端末用として開発される場合も。Webアプリ・サービスと似ていますが、端末専用のアプリ開発という点で大きく異なります。

開発言語としては「Java」「C#」のほかに「JavaScript」などが活用されてきましたが、近年ではiOS向けの「Swift」、Android向けの「Kotlin」の採用が増えているようです。Webアプリ・サービスとは異なり、JavaScript以外はコンパイラ型であることが特徴。iOSとAndroidの両方を同時に開発できる、Flutterフレームワークを活用するため、「Dart」の採用も急速に増えています。

業務アプリケーション

業務アプリケーションとは、基幹システムや在庫管理システムなどの企業向けシステムのこと。パッケージなどの業務ソフトウェア開発も業務アプリケーション開発に含まれるといえるでしょう。スタンドアローン(外部接続などをせず単独で機能)のアプリケーションもありますが、端末をサーバに接続して活用するクライアントサーバシステムが多数派。

業務アプリケーションには、クライアントサイド・サーバサイドのどちらにも柔軟に対応できる「Java」「C/C++」「C#」などのコンパイラ型プログラミング言語が活用されています。「VB(Visual Basic)」が活用されるケースもあり、近年では機械学習にも強い「Python」が業務アプリケーションに採用される例も増えています。

関連記事在庫管理システムとは?種類・メリット・導入ポイント・おすすめのツールや開発会社を紹介!

汎用系業務システム

汎用系業務システムとは、国税・年金などの行政機関や、銀行・証券などの金融機関で活用される基幹システムのこと。メインフレームとも呼ばれるNEC、IBM、富士通などの専用コンピューターのことを汎用機と呼びます。

「Java」「C++」などの言語が使われる場合もありますが、ほとんどの汎用系業務システムは「COBOL」で開発されています。汎用系は一般的なクライアントサーバシステムへのリプレイスが困難なため、運用・保守で今後もCOBOLが活用されていくと見られますが、新規開発案件はほとんどありません

発注者が言語の特徴まで詳しく知っておく必要はありませんが、多少の知識があれば開発会社とコミュニケーションが取りやすい場合もあるので、下記の記事も参考にしてください。

関連記事システム開発の主要言語を解説!業務アプリケーションによく使われている言語は?

システム開発で成功した企業事例

業務効率化や新サービスのリリースなどシステム開発は多岐に渡ります。事例に挙げた会社は独自の強みを活かしたうえでシステム開発に成功しているため、アイデアの参考になるでしょう。

ライオン株式会社

ライオン株式会社

画像引用:ライオン株式会社

・主な内容:研究開発にAI×ディープランニングを採用
・システム開発の成果:研究開発の期間の50%短縮に成功

ライオン株式会社は、2021年度にデジタル推進部を発足。歯磨きなどの「生活習慣を科学する」を目標に、研究開発本部でデータサイエンティストを採用。同社はオーラルケアが主な製品で、さまざまな味の歯磨き粉を開発しています。

従来は北米にフレーバーの買い付けに行き、フレーバリスト(香料を調整して新しい香りを作る専門家)が500種類以上もの材料を調合していました。フレーバリストは専門知識が求められ、人材育成に10年以上かかるため、AI(人工知能)に学ばせられないかと考えました。

AIに(1)500種類以上のフレーバーの特徴を数値化させたもの(2)過去に調合したもの(3)調合のための思考や判断を学ばせたことで、新製品開発の時間を約50%短縮を実現しました。

エムスリー株式会社

エムスリー株式会社

画像引用:エムスリー株式会社

・主な内容:疾患啓発システムを開発
・システム開発の成果:遺伝性血管性浮腫の早期発見を実現

エムスリー株式会社は、疾患啓発システムを開発してデジタルマーケティングに成功。このシステムを活用することで、ユーザーはチェックシートに記入するだけで気づきにくい疾患に知れて、不安なことは医師へ直接相談できます。このような仕組みを実現し、医療機関の集患支援を促進して成功を収めているIT企業です。

エムスリーは医療メディアを運営し、医療情報の提供をしています。同社は、売上が急成長していることで世間から大きな注目を浴びています。

システム開発の成功事例の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:システム開発の成功事例!失敗しないシステム開発の手順まで徹底解説!

システム開発の費用・相場

システム開発の費用の内訳

システム開発の流れや人員を理解したところで、システム開発にかかる費用を解説します。先述した「組み込み・制御系システム」は特殊なため、この記事では省略します。

システム開発の費用は「人件費(開発費)+諸経費」で決まります。人件費はシステムを開発するためにかかる人員や工数の費用。諸経費は開発用のパソコンやシステムを動かすためのサーバなどの設備費、ソフトを使用するライセンス料などです。

・人件費:エンジニアやプログラマーなどの費用
・諸経費:開発に必要な機材などの設備費、ソフト使用のライセンス料など

このうち、システム開発の費用のほとんどは人件費。業種や機能などによって必要な人件費は異なり、開発費も変動します。

この記事では、システム開発の費用が大体どれくらいかかるのか、なぜその料金が発生するのかの仕組みだけ理解してください。

基幹システム

導入・開発形式

費用・相場

開発体制

開発(導入)期間

ツール導入

カスタマイズ

100万円以上

ディレクター1名

デザイナー1名

エンジニア1名

3ヶ月〜4ヶ月

スクラッチ開発

500万円以上

ディレクター1名

デザイナー1名

エンジニア2名

4ヶ月〜8ヶ月

基幹システム(販売管理システム)の相場は100万円以上です。すでに販売されているツールを自社向けにカスタマイズ(アレンジ)するか、完全オリジナルで作成するスクラッチ開発かで金額は変動します。

基幹システムの中では、生産管理システムも費用は同額。業務の複雑性・重要性が高く、複数人が使うケースが多いので、他の基幹システムに比べると高額になります。対して、人事管理・財務会計システムの費用は、販売管理・生産管理システムの60%ほど。費用の相場は60万円以上、スクラッチ開発の場合は300万円以上になります。

ツール導入+カスタマイズ

量産部品生産管理システム「かこうくん21B」

画像引用:量産部品生産管理システム「かこうくん21B」

基幹システム(販売管理システム)の場合、既存のツールを導入し、それを自社向けにカスタマイズ(アレンジ)する場合は100万円以上が目安です。

カスタマイズは、アパレルや食品、医療などの業種や業務に合わせてデザインや機能などをアレンジしたり、経理業務など他のシステムと連携させたりすること。

例えば上の画像は「販売くん21」というソフトを購入し、それをカスタマイズしたものです。ツールを使う目的や必要な機能をヒアリングし(要件定義)、それに合わせてカスタマイズを行うため、ディレクターやエンジニアなどが関わってきます。その分の人件費がかかり、100万円以上が目安になるのです。

スクラッチ開発は500万円以上

完全オリジナルで開発する費用は500万円以上が目安になります。デザインや機能などゼロの状態から決めて開発するため、エンジニア(プログラマー)の人数や開発期間も長くなり、費用が高額になります。

以下の項目のように、求める目的や機能によっても金額が変わります。

・今のエクセルを使いやすくすればいい
・問い合わせが来たときにすぐに顧客情報が出てくるようにしたい
・販売管理に関わる人件費を2〜3人分コスト削減したい
・販売データを活用してマーケティングにも利用したい

求める機能が多く複雑になるほど開発費用は高騰し、場合によっては数千万円以上の開発費がかかる場合もあります。

業務支援システム

導入・開発形式

費用・相場

開発体制

開発(導入)期間

ツール導入

カスタマイズ

50万~200万円

ディレクター1名

デザイナー1名

エンジニア1名

3ヶ月〜4ヶ月

スクラッチ開発

400万円以上

ディレクター1名

デザイナー1名

エンジニア2名

4ヶ月〜8ヶ月

顧客管理システムの費用の目安は50万円以上。基幹システム(販売・生産管理)の80%くらいです。顧客管理システムは、大きくMA、SFA、CRMの3つに分かれます。

 

MA

SFA

CRM

機能

メール配信

効果測定・分析

商談管理

受注管理など

顧客管理

顧客対応管理など

目的

見込み客の獲得

営業活動

顧客との関係を築く

MAツール(マーケティングオートメーション)を活用して見込み客を集め、SFAツール(営業支援)によって商談や受注・契約を管理し、CRMツール(顧客関係管理)によって、顧客との良好な関係を築いていきます。

顧客管理システムは上の3つが一体となったものや、中にはSFAだけ、SFA+CRMの2つが備わったシステムなどバラバラ。当然、機能が多いほど高額になります。

ツール導入+カスタマイズ

オンプレミス?クラウド?

既存のツールを導入し、それを自社向けにカスタマイズ(アレンジ)する場合の費用は50万~200万円が目安です。ツールを買い取り、ライセンス料を支払う形のオンプレミス(パッケージ型)のパターンが多くなります。

この場合、自社のサーバー(データを保管する倉庫のようなもの)にインストールして使用するため、そのためのサーバーが必要です。

ただし、導入後のサーバー管理や障害対応などのセキュリティ対策については利用者側に委ねられることから、メンテナンスができる人材を確保する必要があります。

スクラッチ開発は400万円以上

完全オリジナルで顧客管理システムを開発する費用は400万円以上が目安になります。400万円は、3種類のうちCRM機能だけの場合であり、以下の項目のように多機能にする場合は、さらに開発費がかかります。

・SFA / CRMの機能を網羅した顧客管理システム
・MA / SFA / CRMを統合したオールインワン顧客管理システム

機能が増えるほど高額になり、場合によっては数千万円以上かかる場合もあります。

Webシステム

 

費用・相場

開発体制

開発期間

テンプレート&軽微な

カスタマイズのECサイト


50~100万円

ディレクター1名

デザイナー1名

エンジニア1名

2ヶ月〜3ヶ月

オリジナルのデザイン

100〜300万円

ディレクター1名

デザイナー1名

エンジニア1名

3ヶ月〜4ヶ月

業務に合わせた

特殊な機能もオーダーメイド

300万円以上

ディレクター1名

デザイナー1名

エンジニア2名

4ヶ月〜8ヶ月

Webシステム(ECサイト)の構築費用は、50〜1,000万円以上と幅広いです。大きくは3種類に分けられ、主に機能や扱う商品数などの規模に応じて費用が大きく変わります。

※テレビCMでお馴染みのBASEなど、無料でネットショップが作れるサービスもありますが、今回は開発会社に依頼する場合の費用のみを解説します。

テンプレートを使う場合は50~100万円

50~100万円のECサイトは、Amazonや楽天市場への出店ではなく自社のECサイトを持ちたいけどデザインや機能にこだわらない場合の費用。

デザインはすでにあるテンプレートを使用し、デザイナーがオリジナルで作成する部分も少しあります。基本的にはシンプルなレイアウトになり、他のサイトとの差別化はしにくくなります

商品点数は10個ほどで、文章や画像などのコンテンツは発注する側が用意すると考えてください。50~100万円の幅は、ページ数や商品数に応じて変動します。

オリジナルのデザインにする場合は100~300万円

100~300万円のECサイトは、デザインにこだわって独自の世界観を出したい場合の費用。デザイナーがオーダーメイドでデザインを作り、自社の事業に合わせた本格的なECサイトになります。

商品点数は20個ほどで、商品撮影や原稿などのコンテンツに関しても制作会社側で担当してくれるケースが増えてきます。100~300万円の変動幅は、ページ数や商品数によります。

特殊な機能付きにカスタマイズする場合は300万円以上

300万円以上のECサイトは、事業に合わせた特殊機能の追加(人気ランキング、店長オススメなど、独自の見せ方の開発などが必要な場合)や、自社で使用している在庫システム、会計システムとの連携など高度なカスタマイズが必要になる場合の費用

デザインは完全オリジナルで、基本的に文章はプロのライター、商品の撮影はプロのカメラマンが行います。在庫管理システムや生産管理システムなど他のツールとの連携にも対応しています。

システム幹事には費用に関して特化した記事があります。費用を安く抑えるポイントなども解説していますので、参考にしてください。

関連記事システム開発の費用・相場を徹底解説!料金を抑えるコツも紹介!

【参考】システム開発の体制

メンバー

役割

PO(プロジェクトオーナー)

プロジェクトの意思決定者

PM(プロジェクトマネージャー)

プロジェクトの執行責任者

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)

プロジェクトマネージャーのサポート役

PL(プロジェクトリーダー)

プロジェクトを実行する現場責任者

SL(サブリーダー)

プロジェクトリーダーのサポート役

SE(システムエンジニア)

要件定義、設計、プロジェクト管理

PG(プログラマー)

プログラム作成者

続いては、システム開発を依頼したとき、どんなメンバーと関わるかを解説します。プロジェクトが始まると開発会社側には、プロジェクトチームが発足します。上の表のように、PM、PL、SE、PGなど様々な役職のメンバーが関わります。

ここでは発注者が関わることの多いSE(システムエンジニア)について説明します。

SE(システムエンジニア)

人月単価の目安

SE(システムエンジニア)は顧客にヒアリングをして業務要件を整理する要件定義、基本設計書や詳細設計書を作ります。技術力だけでなく、コミュニケーション能力も必要なポジション。お金や人のリソースを割り当て、スケジュールを調整し、リスクや品質を管理をしながら、システムの完成を目指します。

SEはコミュニケーション力や交渉力、統率力が必要です。発注者や社内の要求をのんでばかりいては、プロジェクトとしての方向性が定まらず、スケジュールにも無理が出て、メンバーが疲弊してしまいます。SEの実力によってプロジェクトの成否が決まるといっても過言ではない重要なポジションです。

SEが作成した設計書に基づいて、実際にプログラミングをするのがPG(プログラマー)。混同しやすいので覚えておきましょう。

関連記事システム開発の役割分担〜発注者が知るべきプロジェクト体制作りのポイントを解説

システム開発のメリットとデメリット

メリット①自社の業務に最適なシステムが開発できる

すでに存在するツールではなく、わざわざシステムを開発をするのは、自社の業務プロセスやデータ管理が独特で複雑なため既存のツールでは対応できない場合。また、ECサイトや予約システムなどの場合は、他社のサービス(予約システムなど)と差別化してオリジナリティを出したいなどが挙げられます。

メリット②事業状況に合わせた機能拡張などの柔軟性がある

そして、自社が必要としている機能のみに絞り込んだ、コンパクトなシステムを開発できることもメリット。新規事業やサービスなどでは、最初は最小限の機能でスタートし、事業が拡大してきてから徐々に機能を拡張していくなどの柔軟性もあります。

デメリット①開発コストが高額・開発期間の長期化

自社に合わせてオリジナルでシステムを開発する場合、既存のツールを使うよりも開発コストがかかり、開発期間もかかります。機能などにもよりますが、オリジナルのシステムであれば数百万円以上が相場で、開発期間も4ヶ月以上が基本です。なぜ、このようなコスト・時間がかかるのかは「開発の流れ」「費用相場」の章で詳しく説明します。

デメリット②運用・保守・システム更新の管理が必要

オリジナルで開発したシステムは、完成後も動作に問題がないかの監視(運用)、バグが発生したときのトラブル対応(保守)を行う必要があります。

そのための運用・保守担当者を社内に設けるか、社外に依頼するかどちらかを選択しなければいけません。運用・保守については本記事の最後にもう少し詳しく説明します。

エンジニアにおすすめのシステム開発の教本

自社内のエンジニアに開発させることを検討している方に向けて、ここではまだシステム開発の経験の浅いエンジニアやシステム開発の基礎を再確認したい方におすすめの本を紹介します。またエンジニアの仕事の範囲を再確認することもできるでしょう。

上流・下流工程から改善・監査までわかる システム開発のすべて

上流・下流工程から改善・監査までわかる システム開発のすべて

画像引用:Amazon

2008年に発売されて以来、システム開発の入門本として長く親しまれています。著者の北村充晴氏は株式会社プライドの社長。独自のシステム開発方法論をベースとしてシステム開発のコンサルティングサービス等を請け負っているシステム開発のプロです。

そんな本書から以下の事を学べます。

①システム開発の全体像
②システム開発に必要な作業と成果物
③システム開発で有用な手法やフレームワーク

システム開発の上流から下流までに加え、システムの移行や開発後の運用に至るまで幅広く要点がまとめられています。システム開発の全体像を網羅的に学びたい、基本を再確認したいエンジニアにピッタリな本といえます。

SEの基本 この一冊ですべてわかる

SEの基本 この一冊ですべてわかる

画像引用:Amazon

2009年に初版が発刊されて以来ロングセラーを続けるSE入門本。著者の山田隆太氏はSE経験もあるソフトウェア工学のコンサルタントです。IT技術関連雑誌での記事執筆やIT系専門学校での特別講師を務めているほどの活躍ぶりです。

そんな本書から以下の事を学べます。

①システム開発の全体像
②SEの業務範囲
③SEに必要な技術スキル、ヒューマンスキル、マネジメントスキル
④今後のSE業務の変化

システム開発のプロセスや、エンジニアとしてどういうキャリアを歩んでいくかまで考えさせられます。SE業務の基本をしっかり学びたいエンジニア向けですが、昨今のIT事情も踏まえて将来目指すべきSE像を悩んでいる人にもおすすめの本です。

おすすめのシステム開発の本の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:【初心者必見】システム開発が学べるおすすめの本8選

おすすめのシステム開発会社

株式会社プラムザ

株式会社プラムザ

株式会社プラムザのおすすめポイント ・20年の実績とノウハウを保有
・クライアントの要件に柔軟に対応できる開発体制
・複雑なシステム、BtoCに強い『国内ラボ開発』

株式会社プラムザは東京都渋谷区に本社を置くシステム開発会社。20年間システム開発に携わり、商社、英会話学校、建築業など多種多様な業界の実績を保有しています。

同社はシステム開発サービス「PRIME ORDER」を立ち上げ、全てのプロジェクトでアジャイル開発を取り入れています。スピードだけでなく、プロジェクトの途中でレビュー会を開催し、その都度クライアントの要望を聞いて対応できることも強み開発した業務システムがクライアントの社内アワードで受賞しているほどです

また、開発途中でも仕様変更が可能な『国内ラボ開発』も用意。2週間に1度or 1ヶ月に1度の頻度で、開発の進捗を確認しつつ、フィードバックが可能です。しかも実際に動いた分のコストしかかからないため、仕様変更によって追加料金がかからないこともメリットです。

株式会社プラムザの概要・実績・料金

TEL

03-6407-0710

会社所在地

〒151-0063

東京都渋谷区富ヶ谷1-30-22 MAPLEWOOD 11 bld. 8F

設立年

1998年10月

実績詳細

飲食業界コンサルティング会社向け 基幹業務システム

全国250校で使用される 学習塾運営システム(業務システム)

和歌山県庁直営 オリジナルECモール

自治体向け 販売管理システム

不動産会社 顧客管理システム

価格感

PRIME ORDER(月額制のサブスクリプション形式)

・Helpプラン:40万円/月

・Lightプラン:80万円/月

・Standardプラン:120万円

・Customプラン:要相談

株式会社デジタリーフ

株式会社デジタリーフ

株式会社デジタリーフのおすすめポイント ・18年以上のノウハウで大手企業から小規模企業までの開発適応力
・開発から運用までワンストップで対応
・算出根拠の明確な見積りの提示

株式会社デジタリーフは東京都江戸川区を拠点としたWebシステム開発会社。

18年以上規模、業界を問わず、BtoB分野、BtoCにてWebシステムの開発を手掛けてきました。多種多様な業務分野でシステムを開発できることが強み。具体的に以下のような開発が可能です。

・顧客管理、CRM、製品・サービス管理システム

・人事管理システム、基幹業務システム

・受発注システム、ECシステム開発

上流工程からシステム構築後の運用支援を含めた様々な業務にワンストップで対応ビジネス企画、マーケティング戦略などから、実際のシステム開発作業、システム運用・保守メンテナンスも依頼可能です。

同社は見積が明確なことも特徴。見積書にはシステムの算出根拠や前提条件を具体的に記載し、各見積りの書式をシステムの規模感によってパターン化させ、あまり細かくなりすぎないレベルで、見積りを明確化してくれます。

株式会社デジタリーフの概要・実績

TEL

03-3680-0480

会社所在地

〒134-0088

東京都江戸川区西葛西 3-16-12 第2大生ビル3F

設立年

2001年8月

実績詳細

不動産賃貸仲介「GoogleMap対応型・不動産物件管理システム」

ゲーム制作会社「プロジェクト業務管理システム機能改善」

外資系製薬メーカー「神経心理学検査システム」

電鉄会社「エキナカ店舗・プロモーションシステム」(ECシステム)

外資系薬剤卸業「受発注管理&患者アンケート管理システム」

おすすめのシステム開発会社の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:東京都のおすすめシステム開発会社21選!【2022年最新版】

システム開発を依頼するときの注意点

システム開発を依頼するときの注意点

最後に発注先が決まり、開発会社にシステム開発を依頼する際に重要な注意点を3つ紹介します。

目的・予算・納期を明確にする

システムを開発する目的(ゴール)

システムを開発する目的(ゴール)を決める

依頼の際は必ずシステムを開発する目的(ゴール)を設定してください。どんな状態になれば自社の課題が解決されるのかを言語化します。

・従業員の勤怠管理の工数を1/3に削減したい
・半年で20,000人が訪れる予約サイトにしたい
・現在の商品購入率から5%上げたい

逆に良くない目的の設定例が下記のような曖昧なもの。

・デザインが古いので新しくカッコイイECサイトを作りたい。
・とにかく露出(アクセス数)を増やしたい。
・競合がリニューアルしたので、うちもリニューアルしたい

抽象的な目的では、開発会社側もどんなシステムを開発すれば良いのか、必要な機能は何か?などが設定できません。提案も曖昧になってしまいます。

本当にシステム開発が必要かも検討する システム幹事への相談の中には、わざわざシステムを開発しなくても既存のツールを導入するほうが費用も安く、時間もかからない場合があります。ネックになっている課題は何か?どんな状態になる必要があるか?それを解決するために必要な機能(システム)はどんなものかを言語化してみてください。

システム開発の予算

予算もできるだけ具体的に設定してください。

・500万円までにおさめたい
・予算の上限は500万円

良くないのは「なるべく安く済ませたい」や「いくらに予算を設定すればいいのか開発会社に聞いてみよう!」といった丸投げ。予算が曖昧だと、開発リソースやプロジェクトの進め方、活用できるパッケージなどの選定ができず、結果として開発会社の提案もブレてしまい、仕様や機能もボヤけてしまいます

そのため、最初から具体的な上限予算を提示し、その中で最大限対応できる提案内容にしてもらうことがポイントです。さらにシステム開発は追加料金が発生する場合があるので、あらかじめ上限を決めておかないと開発費が予想外に高騰する可能性もあります。

システム開発・導入の納期

システムを納品してもらう納期も具体的に決めてください。

・2022年4月1日にポータルサイトをオープンしたい
・2022年3月中に給与管理システムの納品希望

システム幹事に相談してくださるお客様の中にも「なるべく早く」「いつでも良い」「決まってない」などアバウトな納期の方が多いです。少なくとも「4〜6月の間で」などの範囲は決めておきましょう。期限を線引きをせずに伝えると、開発会社は余裕を持ったスケジュール設計をしてしまい、場合によっては納期に間に合わなくなるリスクがあります。「〇〇のイベントで使用する」「商品やサービスのリリースまでに必要」など、どうしても期日を延ばせない事情がある場合は、開発会社に伝えておきましょう。

また、何を納品とするのか、定義もハッキリさせておきましょう。開発したシステムは実際に使用してみて修正が発生する場合や、システムを導入する際の発注側の検収(依頼したシステム通りになっているかチェックする作業)、既存のシステムとの連携や移行作業などもあるので、納品の定義が曖昧になりがちです。
「システムの連携が終わるまでを納品とする」「発注側が改善を求めた部分まで修正して納品とする」など定義しましょう。

要件定義をしっかり固める

先述しましたが、要件定義は発注側のニーズを見える化する作業であり、プロジェクトの成否を左右するもっとも重要な工程です。システム開発の失敗の原因の多くも、綿密に要件定義を詰めていなかったことで起きています。必ず納得いくまで打ち合わせを重ねてください。要件定義をしっかり固めないと、以下のような問題につながります。

・開発工程で想定以上に時間がかかる
・作ったものの役に立たなかった
・無駄に高機能になって予算オーバーになる

システム開発では難しい専門用語なども登場しますが、分からないまま放っておくのではなく、必ず開発会社に質問しましょう。相手はプロだからと丸投げはNG。開発会社としっかり話し合う中で「想定していなかったけど、実はこんな機能が必要だった」など、隠れた要求が明らかになるポジティブな要素もあります。

要件定義の質を上げるためのRFP(提案依頼書)

RFP(提案依頼書)

要件定義の質を上げるために発注側のできるひとつが、しっかりとRFP(提案依頼書)を作成することです。RFPは、システム開発会社から見積もりやシステムの提案をしてもらうための依頼書。「こんなシステムを開発したいので、いくらかかりますか?どんなシステムにすればいいですか?」の回答を提案してもらうための書類です。見積もりを出してもらう前に作成しますが、要件定義を固める際にも活用できます

◎RFP(提案依頼書)の記載項目

システム概要

システム開発の背景、目的、解決したい課題、得たい効果

現行のシステムとの関連、会社・組織の概要

新システムの利用者、システム開発の予算

提案依頼事項

システムの構成、性能、品質、運用条件、納期スケジュール

納品条件、定例条件、開発体制、プロジェクト管理方法

開発言語、開発手法、現行システムからの移行方法、費用見積もり

提案手続き

提案依頼書に対する窓口、提供資料、選定方法

開発の条件

開発期間、作業場所、開発に使うコンピュータ機器、資料

契約事項

支払い条件、保証年数、機密事項、著作権

RFPに記載する項目は多いですが、一つ一つの項目はシンプルなので、下記の記事も参考に作成してください。

関連記事RFPとは?システム開発の質を高める提案依頼書の作り方を解説!【サンプルあり】

システム運用も事前に考えておく

運用・保守費用

システム開発では、システムそのものの完成だけでなく、その後の運用の方針や予算を決めておくことも重要です。システム開発は作って終わりではなく、リリース後も継続的に運用をしていく必要があります。「システム運用」とは、開発・リリースされたシステムを継続的に安定して稼働させるため、管理・監視を行うこと。

※システム運用の内容

システム運用の種類

概要

システム監視

システムを構成するサーバー、ネットワーク、

アプリケーションなどの稼働状況を監視する

サーバー再起動

メンテナンスの意味を含めた定期的なサーバー再起動

データバックアップ

データベースの定期的なバックアップ

保守(※)への

エスカレーション

手順書に従って保守・責任者に対応を要請

※保守は障害が発生した際に原因を究明してシステムを復旧・修正すること

目安として月額の運用費用はシステム開発の5%前後。100万円で開発したシステムであれば運用・保守費用は月10万円ほどかかり、1年間で50万円になります。

初期費用が安くても、月額の運用費用が高ければ、合計の支払い総額は大きくなります。システム開発会社を探す際は下記のことを決めておいてください。

・システム運用も業者に依頼するのか
・依頼するなら月々の予算はどれくらいか
・運用時に開発会社に求めるものは何か

関連記事システム運用とは?開発との関係・保守との違い・重要性・作業内容を解説!

また、システム開発では他にも発注者が注意すべきポイントがあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

関連記事:システム開発の注意点を流れに沿って解説!

【まとめ】システム開発の工程・流れ

システム開発の工程

料理の工程

【企画】

勤怠管理、ECサイトなど

どんなシステムを開発したいか決める

【企画】

カレー、パスタ、オムライスなど

どんな料理を作りたいか決める

【要件定義】

費用、機能、必要な人員(工数)
スケジュール(納期)など決める

【計画】

食材、調理道具、費用
完成までの時間を決める

【基本設計】

扱うデータの整理
画面のレイアウトを決める
必要となるデータを明確化

【レシピ作り】

味付け(調味料の配分)

煮る、焼く、茹でるなど調理法

どの順番で作るかのレシピ

【開発】

プログラミング言語でシステムを開発

【調理】

包丁やフライパンなどを使って料理

【テスト】

システムを動かして

問題がないか確認する

【味見】

味見してみて

塩加減など調整する

【検収】

発注者が使ってみて問題ないか確認

操作マニュアルに不備がないか確認

【実食】

できあがった料理を食べて

味や見た目をレビューする

以上、システム開発の流れを解説しました。システムが完成するまでは多くの工程があり、発注側が関わる部分が多いことが理解できたでしょう。流れを理解しておくと、「発注側がどの工程にどんな関わり方をすればいいのか」が明確になります。

・依頼準備
・要件定義
・基本設計

すべてを理解するのは難しいと思いますので、システム開発の成否において特に重要な上の3つを意識してください。一番やってはいけないのは、開発会社への丸投げです。決して安くない費用と膨大な時間がかかるからこそ、入念な準備とコミュニケーションをとってください。

システム開発会社選びをプロに任せたい方へ

システム開発の工程を把握したうえで、自社に合う開発会社を探すのは難しそう、何社も比較する時間がないと思われた方はシステム幹事にご相談ください。予算や目的をヒアリングし、おすすめの開発会社を紹介します。相談料・紹介料ともに完全無料です。

コンサルタントのご紹介 システム幹事 コンサルタント 岩田真 岩田 専任のコンサルタントが、
お客様の予算と目的を丁寧にヒアリング。
最適な会社をピックアップ・ご紹介させていただきます!
初心者の方でも安心してご相談いただけます。

また、紹介した会社は必ずしも発注する必要はありません。まずは、相場の情報を知りたいなどの気軽な相談だけでも大丈夫です。お気軽にご相談ください。

【無料】おすすめのシステム開発会社を紹介してもらう