- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー アプリ開発
iOS・iPhoneアプリの開発費用相場|アプリの種類別費用目安や自社開発の費用を解説!
iOS・iPhoneアプリの開発費用はどのくらい?検討中のプロジェクトを推進するために知りたい。そんな企業担当者の方に向け、開発の基本からアプリの種類別開発費用目安、外注費用の仕組み / 内訳、自社開発した場合の費用目安まで、iOS・iPhoneアプリの開発費用相場を解説していきます。
なお、iOS・iPhoneアプリ開発会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。
iOS・iPhoneアプリ開発の基本
開発費用相場の前に、まずはiOS・iPhoneアプリ開発の基本を知っておきましょう。iOS・iPhoneで利用できるアプリは「ネイティブアプリ」「ハイブリッドアプリ 」「Webアプリ」「PWA」の4つ。
このうち、WebアプリはiOSのWebブラウザで利用するため、あえてアプリを開発する必要はありません。WebアプリのコンテンツをiOSのアイコンに表示するPWAも、厳密にはiOS・iPhoneアプリとはいえません。つまり、iOS・iPhoneアプリは「ネイティブアプリ」「ハイブリッドアプリ 」の2つだと定義できます。
PWAについては以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:PWA開発(Progressive Web Apps)とは?技術・開発環境・開発のメリット・注意点を解説
ネイティブアプリ / ハイブリッドアプリ
ネイティブアプリとは、特定のOSで動作するよう設計 / 開発されたアプリケーションのこと。iOSのみで動作するアプリを「iOSネイティブアプリ」と呼びます。
一方のハイブリッドアプリとは、iOS / Androidに搭載されるWebView機能とWeb技術を組み合わせて開発されたアプリケーションのこと。App Storeからアプリをダウンロードするという共通点はあるものの、両者には以下のような違いがあります。
ネイティブアプリ |
ハイブリッドアプリ |
|
アプリのインストール |
App Store経由 |
App Store経由 |
利用できる端末機能 |
ほぼすべての端末機能を利用可能 |
端末機能の利用に制限がある |
アプリの動作速度 |
非常に高速 |
遅い |
オフライン利用 |
可能 |
不可 |
クロスプラットフォーム |
iOS / Android それぞれのアプリ開発が必要 |
対応 (1つのアプリでiOS / Androidに対応) |
単体のiOS・iPhoneアプリ開発費用という側面からいえば、Web技術を流用できるハイブリッドアプリの方が安価。iOS / Androidで動作するクロスプラットフォームアプリを開発できることもハイブリッドアプリのメリットです。
ただし、オンラインでの利用を前提とするハイブリッドアプリは、Webアプリやバックエンドプログラムとの連携が必須。動作が遅くユーザビリティに欠けるため、iOS・iPhoneアプリの多くがネイティブアプリとして開発されています。
つまり、ユーザビリティを重視したiOS・iPhoneアプリを開発したいのであれば、ネイティブアプリがおすすめ。参考までに、アメリカのアプリ開発会社「MLSDev」が公表している2023年の調査結果を紹介しておきましょう。
画像出典:MLSDev
ネイティブアプリ開発については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:ネイティブアプリ開発のメリット|必要な言語・環境・向いている業種も解説
バックエンドプログラム
ネイティブアプリであればオフライン / 単体での動作も可能ですが、プッシュ通知を送りたい、ユーザー情報を収集したいなどの場合はバックエンドプログラムが必要。当然、iOS・iPhoneアプリ開発費用だけではなく、バックエンドプログラムの開発費用、サーバの確保 / 維持費用がかかります。
レンタルサーバを利用する方法もありますが、高機能なiOS・iPhoneアプリを開発するなら「mBaaS」がおすすめ。mBaaS(mobile Backend as a Service)とは、文字通りモバイルアプリ向けバックエンドサービスのこと。旅行アプリで知られる「Trivago」も利用している「Firebase」なら、グローバルな大規模アプリにも対応可能です。
Firebase
画像出典:Firebase
Firebaseの詳細については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:アプリ開発を効率化するFirebaseとは?活用するメリット・注意点・アプリとの関係性を解説
Apple Developer Programの年間費用
ネイティブ / ハイブリッド、どちらのiOS・iPhoneアプリも、端末へインストールするにはApp Storeへ登録し、審査をパスして公開されなければなりません。大まかな手順は以下の通り。
- Apple Developer Programで開発者登録
- Apple IDを作成
- 証明書 / プロビジョニングプロファイルの作成
- App Store Connectへアプリ情報を登録
- 開発したiOS・iPhoneアプリをアップロード
- 審査をパスしたアプリがApp Storeに公開される
Apple Developer Programへの開発者登録にかかる費用は年間99ドル。つまり、開発したiOS・iPhoneアプリをApp Storeに公開するには、必須の費用として毎年99ドルを継続して支払う必要があります。
外注と自社開発
iOS・iPhoneアプリを開発する方法は、大きく「システム / アプリ開発会社へ外注」「自社開発」の2つ。それぞれメリット・デメリットがあるため、自社のリソースや予算を念頭に置きながら、適切な方法を慎重に選択しましょう。
メリット |
デメリット |
|
開発会社へ外注 |
・一定以上のクオリティが期待できる ・納期が早い / 明確にしやすい ・プロジェクト失敗のリスクが少ない |
・実費としての開発費用がかかる (相対的に高額) ・継続的な運用・保守・メンテナンス費用 が必要 |
自社開発 |
・相対的に開発費用を抑えられる ・アプリ開発ノウハウを蓄積できる ・自社運用・保守・メンテナンスしやすい |
・納期が長期化しやすい ・プロジェクト失敗のリスクが高い ・人件費(給与) やスキルに応じた学習費用がかかる |
種類別iOS・iPhoneアプリ開発費用の目安:外注
iOS・iPhoneアプリの定義、開発の基本を把握できたところで、外注した場合の種類別iOS・iPhoneアプリ開発費用の目安を紹介していきましょう。以下の図は、アメリカのアプリ開発会社「MLSDev」が公表しているアプリの種類別開発費用、および納期の目安です。
画像出典:MLSDev
ドルベースで見た日本の平均年収はアメリカの約65%程度。そのため、アメリカのiOS・iPhoneアプリ開発費用目安に0.65を掛け、さらに1ドル140円程度で計算すれば、日本での開発費用に近くなると考えられます。
iOS・iPhoneアプリの種類 |
開発費用の目安 |
開発期間の目安 |
ベーシックなアプリ (計算機、カメラ、時計など) |
〜約137万円 |
1か月以内 |
データアプリ (カレンダー、天気予報、株価など) |
〜約137万円+ |
1〜1.5か月 |
認証の必要な公式アプリ (マクドナルド、Google Driveなど) |
〜約546万円+ |
3〜6か月 |
SNSアプリ (Instagram、Facebook、Linkdinなど) |
約546万円〜約2,730万円 |
3〜6か月、最大9か月 |
ECアプリ (Amazon、eBay、Alibabaなど) |
約546万円〜約2,730万円 |
3〜6か月、最大9か月 |
オンデマンドアプリ (Uber、UberEATSなど) |
約637万円〜約910万円 |
5〜7か月 |
マーケットプレイスアプリ (TripAdvisor、Booking.comなど) |
約2,730万円+ |
9か月 |
IoT / ハードウェアアプリ (Beacons、DirectTVなど) |
〜約546万円+ |
3〜6か月 |
eラーニングアプリ (Udemyなど) |
〜約546万円+ |
3〜6か月 |
ヘルスケアアプリ (Calm、EMT:Pocket Prepなど) |
〜約546万円+ |
3〜6か月 |
ビデオストリーミングアプリ (Netflix、Amazon Prime Video、Huluなど) |
〜約546万円+ |
3〜6か月 |
iOS・iPhoneアプリ開発の流れと外注費用の内訳
アプリの種類によって開発費用が異なるのはもちろん、同じ種類であってもiOS・iPhoneアプリ開発費用は大きく異なることがわかります。なぜこれほどの費用差が生じるのか?以下から、アプリ開発の外注費用が決まる仕組み、および外注費用の内訳を簡単に解説していきます。
人件費と開発期間
iOS・iPhoneアプリに限ったことではありませんが、アプリ開発費用のほとんどは「人件費と開発期間(工数)」で決まります。具体的には「担当するエンジニアの人件費」「開発工程を完了するのにかかる期間(工数)」を乗じたものがアプリ開発費用とほぼイコールだと考えておけば間違いありません。これを計算するために用いられるのが「人月単価」です。
人月単価とは、1人のエンジニアが1か月稼働した場合にかかる単価のこと。エンジニアのレベルによって人月単価は変動し、スキルの高い上級エンジニアほど単価は高くなります。アプリ開発会社によって人月単価は異なりますが、おおよその相場は以下の通りです。
エンジニアのレベル |
人月単価の相場 |
プログラマー |
50万円〜100万円 |
初級エンジニア |
60万円〜100万円 |
中級エンジニア |
80万円〜120万円 |
上級エンジニア(管理職) |
120万円〜160万円 |
たとえば、半月かかる基本設計工程に上級エンジニア1名をアサインした場合、費用目安は60万円〜80万円。2か月かかる開発工程にプログラマー3名をアサインした場合、費用目安は300万円〜600万円(50〜100万円 × 3名 × 2か月)。このように、各開発工程にかかる費用を合計した金額が、iOS・iPhone開発費用の総額として計算されます。
外注先 / 機能でも開発費用は異なる
人月単価相場の幅が大きいことからもお分かりのように、iOS・iPhoneアプリ開発費用は外注先によって大きく異なります。なぜなら、人月単価はエンジニアの給与とイコールではないから。給与のほかに、会社の利益、オフィスの維持費、開発環境整備など、諸々の経費を合計した金額が人月単価。給与 / 地価の高い都心部ほど、人月単価は高くなります。
そのほか、iOS・iPhoneアプリに実装する機能によっても、開発費用が変動することは覚えておきましょう。実装する機能が多くなれば、その分だけ「工数」が増えるからです。
運用 / 保守 / OSアップデート対応
開発したiOS・iPhoneアプリの運用 / 保守などをアウトソーシングする場合は、開発費用とは別に追加費用がかかります。また、頻繁にアップデートが繰り返されるiOSへ対応させるための「アプリアップデート費用」も念頭に置いておきましょう。
ただし、バックエンドプログラムのあり / なしによって、iOS・iPhoneアプリの運用 / 保守費用は変動。OSアップデートへの対応費用も工数によって異なります。
外注先の選定は慎重に
それでは、iOS・iPhoneアプリ開発費用を抑えるには、給与 / 地価の安い地方のアプリ開発会社に依頼すればいいのか?必ずしもそうとはいえません。むしろ開発費用のみで外注先を選定するのは危険です。
外注先を選定する際に重視すべきは「作りたいアプリの開発実績」「技術力」「コミュニケーション力」など。外注の候補先を3社程度に絞り込み、相見積もりを取ってから比較検討しましょう。見積もり依頼時の対応はどうだったか?担当者のコミュニケーション力を見ておくことも重要です。
iOS・iPhoneアプリ開発費用の目安:自社開発
それでは、iOS・iPhoneアプリを自社開発すれば費用を抑えられるのでしょうか?iOS・iPhoneアプリ開発に最低限必要なものは、インターネット環境と8GB以上のメモリを搭載したMac、それに統合開発環境のXcode。つまり、Macを調達する10万円程度の費用があれば、iOS・iPhoneアプリを開発可能です。
ただし、開発を担当するスタッフの人件費を見落としてはいけません。開発言語であるSwiftや、Xcodeの知識 / スキルがなければ、学習コストもかかります。給与30万円のスタッフを開発にアサインし、学習に1か月、開発作業に2か月かかった場合のiOS・iPhoneアプリ開発費用をシミュレーションしてみましょう。
費用項目 |
費用目安 |
8GB以上のメモリを搭載したMac |
10万円〜 |
Xcode |
無償 |
Swift / Xcodeの学習費用(オンラインスクール) |
15万円〜30万円 |
開発期間の給与 |
30万円 × 3か月 = 90万円 |
合計 |
115万円〜130万円 |
開発にアサインするスタッフのスキルにもよりますが、人月単価は高くても、外注した方が開発期間 / 工数を抑えられる場合もあります。開発したiOS・iPhoneアプリのクオリティも、外注の方が高くなると考えられます。
iOS・iPhoneアプリ開発については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:iPhone・iOSアプリ開発ガイド|必要なもの・種類・言語・開発環境・方法などを徹底解説
iOS・iPhoneアプリ開発費用を最適化するには
とはいえ、ビジネス面で考えれば、投資を抑えてリターンを最大化したいところ。それでは、クオリティを担保しながら、iOS・iPhoneアプリ開発費用を最適化するにはどうすべきか?以下から、ヒントとなるポイントを紹介していきます。
Pythonでクロスプラットフォームアプリ開発
1つ目の方法は、Pythonを使ってクロスプラットフォームアプリを開発すること。iOS・iPhoneアプリは、Swift + Xcodeで開発する場合が一般的。しかし、Androidアプリも開発したいなら、Kotlin + Android Studio環境でAndroid専用アプリも開発しなければなりません。つまり、ほぼ2倍の開発費用がかかります。
Pythonであれば、開発したアプリをiOS向け、Android向けそれぞれにビルド / デプロイ(配置)可能。1つのアプリを開発する費用のみで、iOS / Androidユーザーそれぞれにリーチできます。
Pythonのクロスプラットフォームアプリ開発については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:Pythonでのアプリ開発を初心者向けに解説!手順や学習法も
クラウドツールでハイブリッドアプリ開発
すでにWebアプリを開発 / 運用していれば、クラウドツールを活用してハイブリッドアプリを開発する方法もあります。ハイブリッドアプリとは、端末のWebView機能とWeb技術を組み合わせたアプリのこと。1つのプログラムでiOS / Android向けアプリをビルドできるほか、App Store / Google Playで公開できます。
たとえば、クラウドツール「Monaca」なら、HTML / CSS / JavaScriptのスキルのみで簡単にハイブリッドアプリを開発可能。既存のWebアプリとAPI連携させることも、mBaaSを活用して新たにバックエンド開発することも可能です。
※mBaaSとは、モバイルデバイス向けのバックエンドサービスのこと。必要なバックエンド機能のみをサーバレス環境に構築できる
Monaca
画像出典:Monaca
【まとめ】iOS・iPhoneアプリの開発費用相場を紹介しました
iOS・iPhoneアプリの開発費用はどのくらい?検討中のプロジェクトを推進するために知りたい。そんな企業担当者の方に向け、開発の基本からアプリの種類別開発費用目安、外注費用の仕組み / 内訳、自社開発した場合の費用目安まで、iOS・iPhoneアプリの開発費用相場を解説してきました。
なお、iOS・iPhoneアプリ開発会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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