- 更新日 2023.12.13
- カテゴリー インフラ構築
サーバー構築費用相場|サーバー調達方法ごとの費用目安・内訳を解説!
サーバー構築費用の目安は?DX推進のために業務 / サービスのIT化は必須。そのためにはサーバー構築が必要です。予算確保のためにも、サーバー構築費用を知りたいと考えるのは当然でしょう。そんな企業担当者の方に向け、サーバーの基礎知識、調達方法、調達方法ごとのサーバー構築費用目安・内訳を解説していきます。
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サーバーの基礎知識
サーバーとは、機能 / サービスを提供するコンピューターハードウェア / ソフトウェアのことです。ネットワーク接続された端末(ユーザー)からのリクエストを処理し、適切なレスポンスを返すことがサーバーの役割。このことからもわかるように、サーバーには役割に応じたさまざまな種類が存在します。主なサーバーを挙げてみましょう。
サーバーの種類 |
概要 |
Webサーバー |
Webブラウザ(端末)からのリクエストに対し、機能 / サービスを提供するサーバー |
メールサーバー |
電子メールの送受信サービスを提供するサーバー |
ファイルサーバー |
ネットワークに接続された端末にファイル共有サービスを提供するサーバー |
DNSサーバー |
IPアドレスとURLの名前解決サービスを提供するサーバー |
端末のWebブラウザに機能 / サービスを提供するソフトウェアもWebサーバーと呼ばれますが、一般的にはそれを含むサーバーPCをWebサーバーと呼びます。各種サーバーは提供する機能 / サービスこそ異なりますが、基本的な仕組みは同じ。それがサーバーと端末を分離し、ネットワークで接続 / 通信する「クライアントサーバーモデル」です。
画像出典:翔泳社
社内のみで稼働させる場合はサーバーをLAN(イントラネット)へ、どこからでもアクセスできるWebシステムを構築する場合はWAN(インターネット)へ接続します。それでは、クライアントサーバモデルの中心的存在であるサーバ構築に必要なものはなにか?以下から簡単に解説していきます。
サーバー構築に必要なハードウェア
サーバー構築に必要なものは、大きく「ハードウェア」「ソフトウェア」「動作環境」の3つ。主なハードウェアは以下の通りです。
- システム / アプリの動作に必要なサーバーPC
- モニター / キーボードなどサーバーPCの動作に必要な周辺機器
- サーバーPCと端末の通信に必要なネットワーク機器
サーバーPCとはどのようなものか?イメージのできない方も少なくないでしょう。しかし、サーバーPCといっても、通常のPCと構成が変わるわけではありません。24時間365日の稼働が前提となるため耐久性に優れる、高負荷の処理に対応するスペックを持つ点が異なるだけです。
サーバー構築に必要なソフトウェア
ハードウェアであるサーバーPCは、それ単体では機能 / サービスを提供できません。機能 / サービスを提供するシステムとして動作させるにはソフトウェアが必要です。
- Linux / WindowsなどのサーバーOS
- MySQL / PostgreSQL / Apacheなどのミドルウェア
- アプリケーション
ミドルウェアとは、アプリとOSの間に配置され、それぞれの機能を補うソフトウェアのこと。代表例はデータベース管理システムやWebサーバーなどですが、動作するアプリによってはミドルウェアを必要としない場合もあります。
サーバー構築に必要な動作環境
24時間365日の稼働、高スペックかつ耐久性に優れるサーバーPCは、安定動作させるための適切な環境を必要とします。
- 空調設備 / 電源設備の整ったサーバールーム環境
- 高速 / 大容量のネットワーク環境
ただし、どこまで環境を整えればいいのかは、システム規模によって変動します。小規模なファイルサーバー程度であれば、無停電電源や消音ラックなどで対応可能でしょう。
サーバーの構築方法については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:サーバー構築の基礎知識|サーバーの意味・構築の方法・手順を解説!
サーバー構築の目的 / 調達方法で費用は変動
ここまでで、サーバーの基礎知識、構築に必要なものを解説してきました。それでは、実際にサーバ構築費用はどのくらいかかるのか?それはサーバー構築の目的や調達方法などで大きく変動します。
オンプレミス / コロケーション / ハウジング
サーバー構築に必要なハードウェア / ソフトウェア / 環境の調達方法は、大きく2つに分類されます。1つは、ハードウェアを含むサーバー構築に必要なものすべて、あるいは一部を自社で調達する方法。それが「オンプレミス」「コロケーション」「ハウジング」です。
概要 |
特徴 |
|
オンプレミス |
サーバー / ネットワーク機器 / 動作環境すべてを自社で用意する |
メリット:自由にハードウェアを 構成できる 注意点:運用・保守は自社責任。 高額な初期費用が必要 |
コロケーション |
動作環境の整った「スペース」をレンタルし、 自社サーバー / ネットワーク機器を設置 |
メリット:自由にハードウェアを 構成でき、 動作環境管理を ベンダーに任せられる 注意点:高額な初期費用と 月額利用料が必要 |
ハウジング |
動作環境の整った 「ラックスペース」をレンタルし、 自社サーバーを設置する |
メリット:サーバーのスペックを 自由に決められる。 ネットワーク / 動作環境を ベンダーに任せられる 注意点:初期費用と月額利用料が必要 |
どの調達方法もハードウェア / ソフトウェアの調達 / 管理は自社責任となるため、サーバ構築 / 維持費用は高額になりがちです。
クラウド / VPS / ホスティング
一方、サーバー構築に必要なハードウェア / 動作環境、およびソフトウェアの一部をレンタルする調達方法もあります。それが「クラウド」「VPS」「ホスティング」です。
概要 |
特徴 |
|
クラウド |
CPU / メモリ / ストレージを 必要なだけ 組み合わせてサーバーを 構築できるサービス |
利用したリソースの分だけ支払う従量料金制。 インフラだけを借りる「IaaS」、 OS / ミドルウェアを含む プラットフォームを借りる「PaaS」を利用可能 |
VPS |
仮想化技術を使って分割された 仮想サーバーを利用する |
パーテーションではないため、 OS / ミドルウェアを自由にインストール可能 |
ホスティング |
物理サーバーを複数の領域に 分割して共有利用する |
OS / ミドルウェアが用意されているため 手軽にWeb / ECサイトを構築可能。 物理サーバーを占有できる 専用サーバープランもあり |
外部リソースを活用してハードウェア / 動作環境を調達するため、サーバ構築の初期費用を抑えられることが特徴。サーバー / ネットワーク機器などの運用・保守・メンテナンスが不要なメリットもあります。
サーバー構築費用が変動するそのほかの要因
サーバー構築費用は「システム構築 / サーバー構築の目的」によっても変動します。具体的には、システムが大規模になれば、それに応じた高スペックなサーバーPCが必要。システム / サーバーを利用するユーザー数が多くなれば、より高速かつ大容量なネットワーク環境が必要です。
つまり、システム規模が大きくなれば、構築するサーバーに対する要求 / コストが大きくなるのは必然。構築するシステムの目的・規模によって、サーバー構築費用は大きく変動するのです。
オンプレミスサーバー構築費用の目安・内訳
目的や調達方法によって変動するとはいえ、ある程度の目安となるサーバー構築費用を知っておきたい。そう考える企業担当者の方に向け、調達方法別の費用目安を紹介しておきましょう。まずは、オンプレミスサーバー構築費用の目安・内訳です。
サーバーPCの費用目安
一般的なPCと構成自体は変わらないサーバーPCですが、耐久性を重視した設計となるため同スペックのPCより高価です。また、スペックによって価格差が大きいこともサーバーPCの特徴。設置環境に応じて「タワー型」「ラックマウント型」「ブレード型」筐体を選択できます。
主な用途 |
目安の費用相場 |
|
小規模向けサーバーPC |
オフィス内利用のファイルサーバーなど |
10万円〜 |
中規模向けサーバーPC |
オフィス内利用の業務アプリ用サーバーなど |
35万円〜 |
大規模向けサーバーPC |
複数拠点で利用する業務アプリ向けサーバーなど |
150万円〜 |
周辺機器の費用目安
モニター / キーボード / マウスなど、サーバーPCの動作に必要な周辺機器は、2万円〜3万円程度で入手可能。ファイルサーバーなど、オフィスの一部スペースにサーバーPCを設置するなら、静音ラックや無停電電源(UPS)が必要です。
静音ラックは25万円程度から、無停電電源(UPS)は、容量に応じて5万円〜12万円程度で調達可能です。
サーバー設計 / 構築費用の目安
サーバーをシステムとして動作させるには、OS / ミドルウェア / アプリケーションが必要。OS / ミドルウェアの多くは、無償で利用できるオープンソースですが、独自のアプリを使いたいなら開発費用も必要です。
開発するアプリ / システムにもよりますが、これをアウトソーシングするなら数十万円〜数百万円の費用が必要。ファイルサーバー程度であれば、サーバー設計 / 構築費用を3万円〜7万円程度に収められるでしょう。
ネットワーク設計 / 構築費用の目安
ネットワーク設計 / 構築費用は、システム / サーバー構築の目的や接続するクライアント数で変動します。参考のために、オフィス1フロア、25クライアントのネットワーク設計 / 構築費用目安を紹介しておきます。
目安となる費用相場 |
|
ネットワーク設計費用 |
10万円前後 |
ネットワーク構築費用(ルーター / ハブ / LANケーブルなどを含む) |
20万円前後 |
ホスティングサーバー費用の目安
ホスティングサービスとは、必要に応じてサーバーをレンタルできるサービスのこと。レンタルサーバーとも呼ばれます。
サービスにもよりますが、物理サーバーを複数ユーザーで共有する「共用サーバー」、仮想サーバーをレンタルできる「VPS」および「物理サーバー」を利用可能。共用サーバーならWordPressなどのCMSも用意されているため、サーバー費用以外の料金はほとんどかかりません。
また、どのプランも月額固定料金で利用でき、ハードウェアのメンテナンスも不要な場合が一般的。サーバー費用のみを見れば、非常に低コストで利用できることがホスティングサービスの特徴です。
ホスティングの主なプラン |
サーバー費用目安(月額) |
共用サーバー |
数百円〜5,000円程度 |
VPS |
1,500円〜10,000円程度 |
専用サーバー |
30,000円〜50,000円程度 |
ホスティングサービス / VPSについては以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:ホスティングサービスとは?プラン・機能・利用できるサービスを解説!
クラウドサーバー費用の目安
クラウドの特徴は、利用した分だけ料金を支払う従量料金制が原則となること。つまり、クラウドサーバー費用は、どのようなサービス(インスタンス)をどのくらい(時間 / 容量 / 通信量)利用するかによって大きく変動します。
インスタンスとは
クラウドサービスは膨大なコンピューティングリソース(CPU / メモリ / ストレージなど)を保有しており、これをコンピューターキャパシティと呼びます。このキャパシティを利用し、ユーザーのリクエストに応じて仮想マシン / 仮想データベースを構築するのがクラウドの仕組み。これらの仮想マシン / 仮想データベースが「インスタンス」です。
クラウドサーバー費用は、インスタンスの開始から停止、あるいはインスタンスが削除されるまでの時間 / 容量 / 通信量で決定します。クラウドサーバー費用の目安となる、シミュレーション例を紹介しておきましょう。
クラウドサーバーの費用例
AWSのIaaSサービス「EC2」を利用し、Windowsベースの業務システムをクラウド環境に構築した場合の費用例です。仮想サーバー / データベースを2つ用意して冗長化を確保し、オフィスとはVPN接続で通信します。
画像出典:AWS
サービス |
料金(1か月) |
Elastic Load Balancer |
USD 20.38 |
AWS EC2 × 2 |
USD 311.04 |
Amazon EBS |
USD 68.00 |
Amazon RDS for SQL Server(マルチAZ) |
USD 1539.60 |
AWS VPN |
USD 69.12 |
月額合計 USD 2,008.14 |
AWSのサーバー料金については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:AWS EC2仮想サーバーの料金体系|プラン・料金シミュレーションも紹介!
目的・用途に適したサーバーの調達方法
ここまででオンプレミス / ホスティング / クラウドの各サーバー費用や内訳を紹介してきましたが、サーバー構築は手段であり、決して目的にはなり得ません。なぜなら、サーバーはアプリケーションやシステムを稼働させるための手段に過ぎないから。費用を抑えられるからといって、使いたいアプリにそぐわないサーバーを構築しては本末転倒です。
つまり、サーバー構築は「アプリ / システムを利用する目的・用途」に適した方法を選択しなければなりません。では、アプリ / システムごとに適したサーバーとはなにか?サーバー調達方法の視点から紹介していきましょう。
オンプレミス / ハウジング
オンプレミスサーバー / ハウジングを利用したサーバーは、厳重に自社管理したいデータを扱う業務システムなどに向いたサーバー調達方法です。また、サーバーやネットワーク機器などのハードウェア構成を自由に決められるため、大規模かつ独自性の高いアプリ / システムを開発するのにも向いています。
ただし、管理領域が幅広いオンプレミスサーバーは、運用管理体制の構築、およびそれにかかるコストも必要。簡単なファイルサーバーなどを除けば、サーバー構築の専門知識・スキルも必要です。
VPS / ホスティング
VPS / ホスティングを利用したサーバーは、Webサイト、中規模程度のECサイト / Webシステムなどに向いたサーバー調達方法です。コストパフォーマンスが高く、システム運用・管理の多くをベンダーに任せられるため、個人事業主から中小企業のIT利用に有用です。サイト / サービスの規模拡大に応じて、共用サーバーからVPSへ変更する方法もあります。
一方、特に共用サーバーはカスタマイズの自由度に乏しいため、業務システムや複雑かつ規模の大きなWebシステム構築には向いていません。
クラウド
PaaS / IaaSなどのタイプが選べ、スケーリングにも対応するクラウドサーバーは、さまざまなアプリ / システムに対応できる柔軟性の高いサーバー調達方法です。たとえば、ハードウェアの調達が不要な特徴を活かし、アプリ / システムのテスト環境を素早く立ち上げる。高度なコンピューティングリソースを利用してAI / 機械学習環境を構築するなどが可能。
一方、利用した分の料金を支払う従量料金制であることを忘れてはなりません。シンプルなWebサイトを構築する場合、クラウドでは費用対効果が見込めないことも考えられます。構築 / 開発するアプリ / システムの特性、ほかのサーバー調達方法との比較をしながら、コスト管理することが重要です。
【まとめ】調達方法ごとのサーバー構築費用目安を紹介しました
サーバー構築費用の目安は?DX推進のために業務 / サービスのIT化は必須だが、予算確保のためにサーバー構築費用を知りたい。そんな企業担当者の方に向け、サーバーの基礎知識、調達方法、調達方法ごとのサーバー構築費用目安・内訳を解説してきました。
本文内でも触れたように、サーバー構築はあくまでも手段です。サーバー構築費用を気にするのは当然ですが、アプリ / システムの目的・用途から調達方法を選択することが重要です。
なお、サーバー構築に強いシステム開発会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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