- 更新日 2024.08.27
- カテゴリー システム開発
システム開発の保守費用相場・内訳具体例とコスト削減のポイントも解説【2024年最新版】
システムは開発して終わりではなく、安定稼働させるために運用・保守を行う必要があります。開発担当者にとっても、システムの安全性を担保する保守業務は非常に重要な項目です。
したがって自社で開発を行う際も、外部に開発委託する場合でも、以下のようなことに悩む方は多いのではないでしょうか。
- システム開発後の保守費用の相場を知りたい
- システム保守の費用対効果を算出したい
- 保守以外にもかかる費用があるか知りたい
事前にシステム開発の予算を組む際は、保守費用も含めなければ、正確な費用算出がしづらくなります。しかしシステム開発の経験が多くないと、保守にどのくらいの費用がかかるのかイメージしづらいのも事実です。
そこで本記事では、システム開発後の保守費用相場やコスト削減のポイントを解説します。本記事を読めば、具体的な費用を理解可能です。
※システム開発の保守の委託を検討しているなら、システム幹事にご相談ください。予算や目的をヒアリングし、最適な会社を紹介します。相談料も紹介料も一切かかりません。
システム運用・保守の適正価格はシステム開発費の約5%
システム運用・保守の費用は、サービス委託費を除いたシステム開発費の約5%が目安とされています。
仮に300万円でシステムを開発していた場合、年間では約15万円が必要な計算です。
システム開発費の5%を目安に、システム運用・保守の費用が適切か検討するのがおすすめです。ただし、大規模なシステムで運用・保守が複雑だったり工数が多かったりすると15%程度になるケースもあります。
なお、追加でサービス委託費や通信費などもかかり、上記金額より上乗せされる場合もあります。保守・運用以外の工程でかかる費用も知りたい場合は、以下の記事もご一読ください。
関連記事:損しない!システム開発の費用・料金相場と安く抑えるコツ
システム開発種類ごとの保守費用例
システム開発の保守費用相場を理解したところで、システムの種類ごとの保守費用を見ていきましょう。
開発規模やスケジュールなどによって変動しますが、おおよそのシステム開発費用と保守費用は、以下のとおりです。
ソフトウェア |
開発費用相場 |
保守費用(年間) |
保守費用(月額) |
基幹システム (勤怠管理システム) |
10万〜500万円 |
5,000〜25万円 |
400〜2万円 |
業務支援システム (顧客管理システム) |
〜400万円 |
〜20万円 |
〜1万7,000円 |
Webシステム (ECサイト) |
50万〜1,000万円 |
2万5,000〜50万円 |
2,000〜4万2,000円 |
コミュニティアプリ |
100万~500万円 |
5万〜25万円 |
1万7,000〜2万円 |
ECアプリ |
200万~300万円 |
10万〜15万円 |
8,000〜1万2,500円 |
ゲームアプリ |
800万円~ |
40万円〜 |
3万3,000円〜 |
サービス委託を行う場合は、上記に加えて別途費用がかかります。
システム開発の保守費用相場と内訳
システム開発後の保守内訳は、大きく「ハードウェア保守」「ソフトウェア保守」「サービス委託」の3つに分けられます。
ハードウェア保守
ハードウェア保守とは、システムを動作させるためのサーバーやストレージなどの機器を安定稼働させるための業務です。
ハードウェアで障害が発生すると、基盤上で稼働しているソフトウェアの動作に影響が発生する可能性があります。ハードウェア保守は、機器だけでなくソフトウェアの安定稼働にもつながります。
ハードウェア保守の主な業務は、以下のとおりです。
- ハードウェアの故障対応・メンテナンス
- ネットワークの監視・障害対応
- データバックアップ
- データ紛失後の復旧
- セキュリティ対策
- OSアップデート
ハードウェア保守の費用は、ソフトウェア保守とあわせてシステム開発(初期費用)の5%が相場です。300万円のシステム開発を行った場合、年間15万円(ソフトウェア保守も含む)、月額にすると12,500円程度が保守費用としてかかります。
ソフトウェア保守
ソフトウェア保守の費用は、ハードウェア保守とあわせてシステム開発費用の5%が相場です。
ソフトウェアには、システムやアプリケーションなどが含まれます。ソフトウェアの運用を行っていると、バグやトラブルが発生する可能性があります。保守を行っていれば、素早く不具合を検知して対処可能です。
主な業務は、以下のとおりです。
- システム・アプリケーションのバグ・トラブル対応
- システム・アプリケーションの修正・仕様変更
- OSアップデートによる不具合対応
- ユーザーからの問い合わせ対応
サービス委託
サービス委託とは、開発したシステムの管理を外部に委託する方法です。サイト運営やヘルプデスクを指しています。
サービス委託費用の相場は、月額20万〜50万円です。年額にすると、240万〜600万円となります。提供されるサービス内容は保守会社によって異なり、選ぶものによって費用が大きく変わる可能性があります。
主な業務内容は以下のとおりです。
- ECサイト運営
- SEO対策
- コンテンツマーケティング・インバウンドマーケティング運用
- 顧客からの問い合わせ対応
- ヘルプデスク
- Web広告運用
サービス委託はあくまでも外部に委託する際の費用であり、自社で業務を内製するとかかりません。
システム保守費用を左右するポイント
システムの保守にかかる費用に影響するポイントは、主に以下の4つです。
システムの規模・複雑さ
システムが大規模だったり複雑だったりすると、必要な保守作業が増えるため保守にかかる費用も増えてしまいます。
機能ごとに分けられたモジュールが多かったり、外部システムとの連携が多かったりする場合が複雑なシステムに該当します。また、外部システムと連携している場合で、そのシステムを他の部署や会社が管理していると、関係者間での調整が必要になるケースもあるので注意しましょう。
システムの稼働時間
システムを稼働させている時間が長ければ長いほど、メンテナンス作業にあてられる時間が限られてしまいます。
24時間稼働させているシステムの場合は、利用者が多くないタイミングでシステムを一時停止させてメンテナンスをすることになりがちです。よって、深夜や休日の作業や短時間での作業になることから、人件費も高くなってしまいます。
また、システムをどうしても停止できない場合は予備の機材や回線で動かしながらの保守管理になるので、その分の費用もかかるでしょう。
サポートの内容
障害発生時の対応だけでなく、普段から細かくサーバーやネットワークを監視してもらえる場合など、サポートが手厚ければ手厚いほど保守管理の費用も増えます。
また、24時間サポートしてもらう場合は、保守担当者を24時間体制で手配しないといけないため人件費が増加するでしょう。
自社にある程度のノウハウと人的リソースがある場合は、緊急時の対応だけをサポートしてもらい、それ以外は自社で対応すると費用を抑えられます。
システムの保守しやすさ
システムがどの言語・フレームワークで開発されたか、どのような手法で開発されたかによっても、保守費用が変わります。なぜなら、言語やフレームワーク、開発手法によってシステムの保守作業にかかる工数が変わるからです。
扱えるエンジニアが多くない言語やフレームワークで作られていると、対応できる人員が限られるため保守管理費用も高額になりがちです。
また、保守管理用のドキュメント(資料)がない状態でシステムの保守を外注する場合は、保守管理にかかる手間も増えるため、費用も高くなるでしょう。
システム開発保守費用の妥当性を判断する適正稼働率の指標
システム開発の保守を委託する場合、開発会社から提示されている費用が妥当なのか気になる方もいるでしょう。保守費用の妥当性を判断する際、適正稼働率を算出するのがおすすめです。
指標の一例
稼働率の項目 |
計算方法 |
概要 |
即答率 |
即答件数÷相談件数 |
どのくらいの頻度で 迅速な回答を得られたかの件数を算出 |
引受率 |
引受件数÷相談件数 |
全体の相談件数の中で、 引き受けてもらった件数から算出 |
保守時間達成率 |
実績時間÷見積時間 |
見積もりと実際の保守時間の差を算出 |
納期達成率 |
納期達成件数÷引受件数 |
納期が守られた件数を算出 |
自社作業完了率 |
自社で作業完了した件数 ÷ 委託数 |
自社で保守対応した件数を算出 |
例えば、自社作業完了率が高いほど、自社で保守業務を内製できていると判断できます。保守業務の委託内容を見直して、コストの削減が可能です。
即答率
即答率は、相談をした際にすぐに回答してもらえた件数がどれくらいかを計算した指標です。即答してもらえた件数を相談件数で割って計算します。
計算する際は、問題を解決できたかどうかも考慮した上で即答件数を計上して、相当率を算出すると良いでしょう。
引受率
引受率は、相談した総数のうちどれだけ引き受けてもらえたかを計算した指標です。引き受けてもらった件数を相談件数で割って算出します。
保守時間達成率
保守時間達成率は、見積もり時間と実際にかかった時間を計算して、見積もりの精度を割り出した指標です。
実際の作業にかかった見積もり時間を、見積もりをした時点での保守時間で割って算出します。
納期達成率
納期達成率は、どれだけ納期が守られたかを計算した指標です。
納期を達成した件数を数えて、引き受けてもらった件数で割って算出します。
自社作業完了率
自社作業完了率は、自社で保守対応をした件数の割合の指標です。自社作業完了率が高いほど、保守作業を内製できていると判断可能です。
自社で保守作業を完了させた件数を外注した件数で割って算出します。
システム開発の保守費用を削減する5つのポイント
システム開発の保守を外部に委託すると、毎月ランニングコストが発生します。企業としては、できる限り保守費用を抑えたいところでしょう。
ここからは、システム開発の保守費用を削減する5つのポイントを解説します。
- 委託する範囲・業務を明確にする
- 定期的に保守内容を見直す
- 委託先を見直す
- クラウド化を活用する
- 相見積もりをとる
1. 委託する範囲・業務を明確にする
システム開発の保守を委託する際は、対応範囲・業務を明確にすることが大切です。対応範囲・業務が明確であれば、不要な業務を委託しなくて良くなるためです。
システム保守と一口にいっても、対応範囲・業務は以下のように分けられます。
システムの改善提案・実施 |
障害の再発防止に向けた改善を 提案・実施する |
障害の原因究明・復旧 |
システム管理者と連携して 障害の原因を特定して復旧させる |
保守費用は、範囲や業務に応じて費用が算出されます。部分的な依頼のみであれば、保守費用を抑えることも可能です。
システム開発会社と打ち合わせを行い、対象範囲・業務の共通認識を持ちましょう。
2. 定期的に保守内容を見直す
保守の委託内容は定期的に見直すのが効果的です。システムをリリースした直後は保守を内製できていなくても、人材教育を行うことで自社対応できる業務も出てくるためです。
内製できる部分の委託内容を減らせば、コストを削減可能です。社内でシステム保守のノウハウを蓄積できるため、自社でのIT人材育成にも役立ちます。
保守契約は期間が定められているため、更新前に内容を見直して必要な業務を洗い出すのがおすすめです。
3. 委託先を見直す
システム開発の保守費用を削減するなら、委託先の見直しも効果があります。開発会社によってシステムの保守費用が異なるため、安く委託できる企業を見つけられるとコスト削減につながります。
委託先の見直しを行う際は、複数社から見積もりを取得することが重要です。相見積もりを取ることで、料金やサービス内容を比較しやすくなります。
開発するシステムの規模や難易度によって、価格とのバランスを考え委託先を見直しましょう。
4. クラウド化を活用する
保守費用の削減には、クラウドサービスの活用が有効です。システム稼働のためのサーバーを自社で用意しなくてよくなるためです。
クラウドサービスで構築したサーバーは、クラウド事業者がメンテナンスを実施します。自社で対応する保守業務が減ることで、保守費用の削減につながるのです。
また、システム自体をクラウド化するのも1つの手です。クラウド事業者にシステムの更新作業やセキュリティ対策などを代行してもらえるため、自社の負担を軽減できます。
5.相見積もりをとる
システムの保守を委託する際は、複数の会社から相見積もりをとって比較することも大切なポイントの1つです。
相見積もりをとって比較することで、各項目の見積金額が適正かや不要な項目が含まれていないか、必要な項目が漏れていないかを確認できます。そのため、費用が適正な会社を選びやすくなり、コストを抑える効果にも期待できるでしょう。
ただし、あまり見積もりを多く取りすぎると見積書の精査だけで手間がかかってしまいます。そのため、2~3社程度に候補を絞って見積もりを依頼することがおすすめです。
自社にあうシステム開発会社を2~3社に絞ることが大変だと感じた場合は、システム幹事にお気軽にご相談ください。予算や目的をヒアリングし、適した会社をご紹介します。相談料も紹介料も一切かかりません。
システム開発の保守を委託するのがおすすめの企業
システム開発の保守費用相場を紹介してきましたが、どのような企業が保守を委託すべきか気になる方もいるでしょう。
保守の委託は、以下のような企業におすすめです。
- 自社に専門知識を持つ人材がいない
- 保守体制が整っていない
1. 自社に専門知識を持つ人材がいない
自社に専門知識を持つ人材がいない場合は、システム保守を委託するのがおすすめです。専門知識を有していなければ、システム保守を行うことは困難なためです。
システム保守を行うには、システムの知識はもちろんハードウェアやOS、セキュリティなどの専門知識も必要となります。
自社に専門知識を持つ人材がいないなら、教育や採用を行わなくてはいけません。しかし、社内で一から人材を育成したり採用活動を行ったりするのはコストと時間がかかるため、システム開発会社に委託するほうが効率的です。
また、システム開発会社はスキルや経験が豊富なため、何か問題が発生しても迅速に対応してくれるでしょう。
システムの安定稼働のためにも、専門知識を有したプロに保守を委託するのがおすすめです。
2. 保守体制が整っていない
社内の人手や体制不足に悩んでいる企業は、保守の委託が有効です。十分な保守体制が整っていなければ、システムが安定稼働せずトラブルにつながる恐れもあります。
自社で保守体制が整っていないなら、外部に委託した方がトラブルなく安定的にシステムを稼働できる可能性が高まるでしょう。
また、保守の委託によって、システム運用者の負担が軽減されコア業務に集中しやすくなる効果も期待できます。
保守体制が不十分で他の業務に影響が出ているなら、効率化のためにも保守を委託することをおすすめします。
システム開発会社の選び方
システム開発の保守業務の委託を決めたら、システム開発会社の選定を行いましょう。自社に合う開発会社を選べると、期待する成果を出しやすくなります。
保守を委託するシステム開発会社を選ぶポイントは、以下のとおりです。
料金体系が自社にあうか確認する
システム開発会社によって、料金体系はさまざまです。そのため、自社にあっている料金体系かどうかを事前に確認することがポイントの1つです。
また、一見安そうに見えても後から追加で料金が発生するような料金体系もあるので、事前に確認することが大切です。
サービス内容が充分か確認する
保守管理サービスは、システム開発会社によって対応範囲が変わります。任せたい保守管理の業務内容にすべて対応してもらえるかを事前に確認しましょう。
対応してもらえると思っていた業務が対応外のケースで、後から対応をお願いすると追加料金が発生してしまうこともあります。予算が決まっている場合は、事前に確認し忘れないようにしましょう。
担当者との相性に問題はないか確認する
システムの保守管理をするのはエンジニアであっても、依頼をする際は担当者を通して行うことが一般的です。そのため、担当者との相性に問題がないかを確認しておくこともポイントです。
正式に発注する前のやりとりの中で、専門用語をわかりやすく説明してくれるか、意思の疎通に問題はないかなどをチェックしておくと良いでしょう。
また、システム会社を選ぶ際は料金の安さだけで決めないようにしましょう。安さだけで決めてしまうと、依頼したい内容に対応していないといったトラブルにつながります。
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【まとめ】システム開発の保守費用相場を解説しました
システム開発の保守費用相場は、ハードウェア・ソフトウェアあわせて初期費用の15%です。サービス委託を行うと、月額20万円〜50万円かかります。保守を委託すると、毎月ランニングが発生するので把握しておきましょう。
システム保守を委託するのがおすすめの企業は、以下のとおりです。
- 自社に専門知識を持つ人材がいない
- 保守体制が整っていない
上記に当てはまる企業は、保守の委託を検討してみてください。
なお、システム開発の保守費用相場を理解したが、自社で内製するのが難しそうならシステム幹事にご相談ください。予算や目的をヒアリングし、最適な会社を紹介します。相談料も紹介料も一切かかりません。
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岩田
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Q. システム開発の保守費用の相場は?
システム開発の保守費用の費用相場は、初期費用の15%です。その他の内訳は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
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