- 更新日 2023.12.28
- カテゴリー システム開発
パッケージ開発とは?メリット・デメリット、スクラッチ開発との違い・選び方のポイントを解説【2024年最新版】
新たなシステム・サービスを導入する方法のひとつとして挙げられる「パッケージ開発」。しかし、なんとなくの意味は理解していても、パッケージ開発が自社に最適なのか?判断のつかない企業担当者の方も少なくないはずです。
・パッケージ開発とは?
・スクラッチ開発となにが違う?
・パッケージ開発とスクラッチ開発…どちらを選べばいい?
など様々な疑問があるでしょう。
そこで本記事では、パッケージ開発の意味や具体例・開発方法を含めたパッケージ開発の基礎知識とともに、スクラッチ開発と比較した場合のメリット・デメリットを解説!パッケージ開発なのか?スクラッチ開発なのか?選び方のポイントも紹介していきます。
※どのパッケージを選べばいいかわからない、またはパッケージ開発に豊富な実績のある優秀なシステム開発会社を探してほしい方は、システム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適なパッケージやシステム開発会社をご紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
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パッケージ開発とは?
そもそも「パッケージ」とは、市販されているアプリケーション・ソフトウェアのことです。特定の業務で標準的に機能が幅広く搭載されており、汎用的に活用可能です。
業務パッケージは、以下の2種類に分けられます。
- オンプレミス型:自社内にサーバを構築して共有する
- クラウド型:パブリッククラウドにサーバを構築してインターネットで共有する
一般的に使われるパッケージ開発は「既存パッケージ製品を自社の要件にあわせてカスタマイズする」ことを指します。
そのため、業務パッケージをカスタマイズして利用することこそが「パッケージ開発」なのだといえます。
パッケージ開発の手法
カスタマイズに対応するパッケージでも、プログラムのソースコードが公開されていない場合もあります。そのため、依頼できるシステム開発会社が限られてしまうことも。パッケージ開発する際は、以下の3つの方法のいずれかでプロジェクトを進めます。
- 開発ベンダーにカスタマイズを依頼
- 開発パートナー企業にカスタマイズを依頼
- 自社開発チームでカスタマイズ
開発ベンダーにカスタマイズを依頼
パッケージ開発・カスタマイズは対応可能なものの、ソースコードを公開していないパッケージ販売元ベンダーの場合は、そのベンダーに依頼します。
一般的なシステム開発会社であれば、パッケージのソースコードを解析してカスタマイズする「リバースエンジニアリング」も可能です。しかし最悪の場合、著作権問題に発展する恐れもあるため、開発ベンダーに任せるのが無難です。
このパターンに当てはまるのは、極力カスタマイズなしでパッケージを提供することをポリシーとする開発ベンダーが多い傾向です。業種に最適化する形で複数のパッケージをラインナップする株式会社アイルの「Alladin Office」や、株式会社日本システムテクノロジーの「楽商」などが該当します。
開発パートナー企業にカスタマイズを依頼
パラメーター設定・アドオン開発など、導入にあたって開発・カスタマイズが前提となるパッケージの場合、開発ベンダーに加えてパートナー企業として名を連ねるシステム開発会社にも依頼できます。
このパターンに当てはまるのは、統合基幹業務システムである「ERP」パッケージの開発ベンダーが多数です。特に世界でもっとも導入されている「SAP」では、NTT・大塚商会・伊藤忠をはじめとした多数のパートナーがおり、ニーズに応じた依頼先を選定可能です。
自社開発チームでカスタマイズ
商用ライセンスを取得するなどでソースコードをカスタマイズできるパッケージなら、自社開発チームでもパッケージ開発可能です。Webサイト制作でいえば、オープンソースCMSパッケージ「WordPress」を開発・カスタマイズすることを思い浮かべると理解しやすいかと思います。
ソースコードを開示可能なベンダーは先述の「EC-Orange」のように、どちらかというとWebシステム・アプリ系のパッケージに多くあります。たとえば、EC-Orangeはユーザーに公開されたソースコードをもとに、誰でも自由に開発・カスタマイズできます。
ただし、公式サイトで紹介している開発パートナーも存在します。パッケージを導入する企業のニーズに合わせ、選択肢を用意するベンダーも少なくありません。
自社内でカスタマイズする際は、パッケージを自社業務に合わせるのではなく、自社業務のフロー・やり方をパッケージに合わせてカスタマイズするのがおすすめです。既存の自社業務フローにパッケージを合わせようとすると、無理なカスタマイズをしたせいでカスタマイズ自体が失敗する恐れがあります。
※パッケージ開発をしたいがどのように開発会社を選べばいいかわからない、パッケージ開発に豊富な実績のある優秀なシステム開発会社を探してほしい方は、システム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適なパッケージやシステム開発会社をご紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
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パッケージ開発の具体例
パッケージ開発で活用することが多いパッケージの主な例を紹介します。
ERP:SAP S/4HANA / SAP Business One(オンプレミス / クラウド)
画像引用:SAP S/4HANA / SAP Business One
「SAP S/4HANA / Business One」は、ドイツSAP社が開発・提供するERPパッケージです。
大規模企業に対応する「S/4HANA」、中堅・中小企業向けの「Business One」という違いはあるものの、どちらもベースとなるテクノロジーは同じです。インメモリデータベースによるリアルタイムアクセスを可能にしたクラウド型、堅牢なオンプレミス型を自由に選べます。
SAP ERPパッケージの特徴は、財務会計・生産管理など、必要なモジュールを必要に応じて活用できる柔軟性と拡張性を持つことです。そのため、導入企業ごとに異なる業務に合わせ、パラメーターを最適化させる「カスタマイズ」を施すことがSAPの大前提です。
また、カスタマイズで対応できない機能は、SAP独自のプログラミング言語を使って「ABAP開発」することもできます。
販売管理システム:Aladdin Office(パッケージ / SaaS)
画像引用:Aladdin Office
「Aladdin Office(アラジンオフィス)」は、大阪市北区・東京都港区に本社を構えるシステム開発会社、株式会社アイルが開発・提供するパッケージ型販売管理・在庫管理システムです。
ファッション・食品・化粧品・医療・製造など、業務・業種別に最適化された特化型パッケージが複数用意され、オプションを組み合わせたイージーオーダーであらゆる業態に対応できます。
ニーズに応じた完成度の高いパッケージを組み合わせることで、最適なシステムを構築することが前提ですが、導入形態をはじめとした細かな機能要望にもカスタマイズ対応可能できるこでテス。リアル店舗とECの連携など柔軟な拡張性を備えており、外部システムとの連携にも豊富な実績を持っています。
在庫管理システム:楽商(オンプレミス / クラウド)
画像引用:楽商
「楽商」は、東京都江東区に本社を構えるシステム開発会社、株式会社日本システムテクノロジーが開発・提供する卸売業向けパッケージ型販売管理・在庫管理システムです。
業界別の業務プロセスに最適化された16種類のパッケージが用意され、オンプレミスでの構築・展開のほか、AWSなどを活用したクラウドでのシステム構築・展開に対応。多種多様な業界・業種1,000社以上から導入される豊富な実績を誇ります。
業界別に最適化された各パッケージは、オプションの追加や外部システム連携、カスタマイズによるさらなる業務最適化にも対応。50年を超える販売管理システム開発のノウハウをもとに、個別ニーズに対応できる最適なプランを提供できます。
ECサイト:EC-Orange(クラウド)
画像引用:EC-Orange
「EC-Orange」は、POSシステム・MAシステムも手がけるオムニチャネルDX支援企業、株式会社エスキュービズムが開発・提供する中堅・大規模企業向けのECパッケージです。
2019年にPHP7 / Laravel(PHPのフレームワーク)を活用したオリジナルECパッケージとしてフルリニューアルされ、年商100億円以上のECサイトにも対応できる強固な基盤を実現しました。リアル店舗と一元化した顧客サービスなど、ECに関するあらゆるビジネス課題を解決できます。
REST API(Webシステムを設計する際の設計思想の一つであるRESTのルールで作ったAPI)の活用による外部連携にも柔軟に対応可能です。在庫・販売・会計・決済システムとの統合はもちろん、リソースをダイナミックに変更できる、AWS Lambdaなどのサーバレス環境でも利用できます。ユーザーにはソースコードが開示されるため、ベンダーロックインなしのカスタマイズも可能です。
ベンダーロックインの詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:ベンダーロックインとは|放置すると搾取のリスク!対策方法も紹介
パッケージ開発とスクラッチ開発の違い
パッケージ開発は「スクラッチ開発」というシステム開発手法と比較されることが多くあります。
パッケージ開発とスクラッチ開発は「企業・店舗における個別の業務課題を解決するため、自社に最適なITシステムを開発する」という目的は同じです。
しかし、パッケージ開発が「ベースとなるパッケージ製品をカスタマイズすること」であるのに対し、スクラッチ開発は「0からプログラムを開発すること」である点が大きく異なります。
例えるなら既製品のスーツを自分用に仕立て直すのがパッケージ開発、自分用のスーツをオーダーメイドで仕立てるのがスクラッチ開発です。
スクラッチ開発についてより詳しく知りたい方は、以下記事もご参考ください。
パッケージ開発・スクラッチ開発を選ぶ際のポイント
パッケージ開発とスクラッチ開発のどちらを選べば良いのか、迷っている方もいるかと思います。どの開発方法にするか決める際は、以下のポイントから検討するのがおすすめです。
- 課題解決に必要な機能要件を明確にする
- 機能要件を満たすサービス・パッケージを検討
- 予算・納期を含め総合的に判断
それぞれ詳しく解説します。
課題解決に必要な機能要件を明確にする
システム開発の目的・達成すべきゴールをもとに自社の業務課題を洗い出し、システムに求める機能要件を明確にしましょう。
パッケージ開発は搭載できる機能が制限されており、パッケージによっては自社で求める開発ができない場合もあります。
具体的な手順は以下の通りです。
- システム開発の目的・ゴールを明確にする
- 現状の業務課題を全て洗い出す
- あるべき理想の姿を定義する
- 理想と現状のギャップを埋める方法(機能)を明確にする
- 要求定義書(システムに求める機能要件・非機能要件)にまとめる
※非機能要件:システムのパフォーマンス・セキュリティなど、機能以外でシステムに求める要件のこと
上記の流れを、システム開発プロジェクトの最上流工程である「要求定義」といいます。
必要な機能要件が明確になれば、適したパッケージを絞っていけます。もし求める機能を搭載したパッケージがないなら、スクラッチ開発を選ぶという判断も可能です。
必要な機能要件を明確にする際のポイントは、必ずしも現状の業務フローに固執しないことです。業務フローを少し変更するだけで、効率化できる場合もあります。
※システム開発の要求定義についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
機能要件を満たす・パッケージサービスを検討
要求定義書をもとに、自社の機能要件を網羅する既存パッケージ・サービスが存在するか、市場調査を行い比較・検討するのが有効です。
自社が求める機能要件を網羅するパッケージ・サービスがあるにもかかわらず、手間とコストのかかるスクラッチ開発を選ぶ恐れがあるためです。
一般的に、0から開発するスクラッチ開発の方が、手間もコストもかかります。そのため、パッケージ開発で良いにもかかわらずスクラッチ開発を選ぶと、無駄が生じてしまいます。
余計な手間とコストをかけないためにも、事前にしっかりと市場調査することが重要です。
予算・納期を含め総合的に判断
どの開発方法にするかの最終的な判断は、予算・納期も含め総合的に行います。要求定義や候補となるパッケージ・サービスなどの情報から検討することで、適した開発方法が見えてきます。
予算・納期に余裕がないなら、求めている機能の一部だけをパッケージ開発で作るのもひとつの手です。逆に予算・納期に余裕があるなら、スクラッチ開発を選ぶのも良いでしょう。
パッケージ開発・スクラッチ開発それぞれの特徴や、向いているシステム開発プロジェクトの傾向などから、最終的な判断を下しましょう。
パッケージ開発・スクラッチ開発に向いているプロジェクト
パッケージ開発・スクラッチ開発の特徴を踏まえ、どのようなシステム開発に向いているのかを把握しておきましょう。
向いているシステム開発プロジェクトを、パッケージ開発・スクラッチ開発ごとに解説します。
パッケージ開発に向いているシステム開発プロジェクト
パッケージ開発に向いているのは、以下のようなシステム開発プロジェクトです。
・予算に制限があり、納期がタイトなプロジェクト
・課題解決に適合するパッケージが明白なプロジェクト
パッケージ開発の方がコストを抑えられますし、すでに出来上がっているパッケージを使用するため納期を短縮できます。
スクラッチ開発はシステム内容にもよりますが、400万円以上の外注費用が必要です。しかも半年~1年以上も開発期間を要します。パッケージ開発ならスクラッチ開発よりも開発費用・期間も安く短く済みます。
また、課題解決に適合するパッケージが存在するなら、パッケージ開発を選んだ方が効率的にプロジェクトを進められるためおすすめです。
スクラッチ開発に向いているシステム開発プロジェクト
スクラッチ開発に向いているのは、以下のようなシステム開発プロジェクトです。
・パッケージでは実現できない特殊な業務フロー・サービスのシステム化
・コンプライアンス・セキュリティなどの特殊な要件を満たすシステムが必要
・これまでにない新規事業・サービス向けのITシステムを開発
自社が求めるシステム化をパッケージで実現できない・難しい、スクラッチ開発が適しています。
これまでにないITシステムを開発したい場合も、パッケージ開発でのプロジェクト進行は難しいでしょう。
また、企業のコアとなる業務については、スクラッチ開発がおすすめです。独自性ある事業の場合、パッケージでは機能が不足したり、自社に不要な機能のせいで費用が無駄になったりする恐れがあります。
パッケージ開発のメリット・デメリット
パッケージ開発のメリット・デメリットを以下の表にまとめました。
パッケージ開発のメリット | パッケージ開発のデメリット |
・開発コストを抑えやすい ・開発期間を短縮できる |
・完全オリジナルのシステムは開発できない ・カスタマイズ制限の影響を受ける |
以下からメリット・デメリットについて、詳しく解説します。
パッケージ開発のメリット
パッケージは、すでに出来上がっている製品です。購入して自社内にインストールするとすぐにシステムとして活用できるため、準備期間が短くて済みます。
一方スクラッチ開発は0からプログラム開発するため、コストは開発期間の他にも「開発の専門スキル・知識」を有したエンジニアが必須です。
ただし、開発コストの総額が「パッケージ購入費用 + カスタマイズ費用」となるパッケージ開発は、カスタマイズの度合いが多くなるとスクラッチ開発よりも高額になる場合があります。これは開発期間に関しても同様です。
「開発コストを抑えられる」「開発期間を短縮できる」パッケージ開発のメリットは、どんな場合でも当てはまるとは限らないため注意が必要です。
パッケージ開発のデメリット
パッケージ開発のデメリットは「既成パッケージのカスタマイズ制限に影響される」ことです。自由度の高さではスクラッチ開発にはおよびません。
スクラッチ開発なら難易度は高いものの、専門スキル・技術さえあれば理想のシステム像を理論上は完全再現可能です。
ただし、多くの企業から求められる機能を網羅したパッケージ製品の導入は、自社業務の標準化につながる側面もあります。
パッケージ開発で独自性の高い業務領域のみカスタマイズする一方、業務標準化を推し進めることで効率化を同時に実現するのもひとつの手です。
パッケージ開発まとめ
パッケージ開発とはなにか?スクラッチ開発となにが違うのか?知りたい方に向け、本記事では、意味や具体例・開発方法を含めたパッケージ開発の基礎知識や、スクラッチ開発と比較した場合のメリット・デメリットを解説するとともに、パッケージ開発なのか?スクラッチ開発なのか?選び方のポイントも紹介してきました。
開発コストを抑えられる、開発期間を短縮できるなど、パッケージ開発にはスクラッチ開発にないメリットがありますが、本文内でも触れたように、どのような場合でもメリットを享受できるとは限りません。逆に、パッケージ開発のデメリットは、業務標準化というメリットに転換できるのも事実です。
重要なのは、開発手法ではなく「自社の課題を解決するにはどのようなシステムが必要か」という視点。そして、導入・開発の候補となる、最適な既存パッケージ・サービスを探し出すことです。
※どのパッケージを選べばいいかわからない、またはパッケージ開発に豊富な実績のある優秀なシステム開発会社を探してほしい方は、システム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適なパッケージやシステム開発会社をご紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
コンサルタントのご紹介
岩田
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Q. パッケージ開発とは何ですか?
パッケージ開発とは、システムベンダーが市販目的のアプリケーション・ソフトウェアを開発することです。「開発期間が短期間でできる」「初期費用を抑えられる」等の特徴があります。
Q. パッケージ開発のメリットは?
パッケージ開発のメリットは「開発コストを抑えやすい」「開発期間を短縮できる」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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