- 更新日 2024.09.18
- カテゴリー アプリ開発
ネイティブアプリ開発のメリット|必要な言語・環境・向いている業種も解説【2024年最新版】
「パイの大きなスマホユーザーを獲得し、ビジネスの成長につなげたい」そう考えている企業・店舗担当者の方なら、ネイティブアプリ開発を検討していることでしょう。しかし、本当にネイティブアプリ開発が正解なのか?不安を解消するためにも、以下のようなことを知りたいはず。
・ネイティブアプリ開発のメリットは?
・ネイティブアプリ開発すべきなのはどんなアプリ?
・ネイティブアプリ開発に必要なものは?
そこで本記事では、ネイティブアプリ開発のメリット・デメリットから、仕組み・向いているアプリ・将来性まで、知っておきたいネイティブアプリの基本を解説!開発環境・プログラミング言語など、ネイティブアプリ開発に必要なものも紹介していきます。
※ネイティブアプリの内製が難しい、優秀なアプリ開発会社にネイティブアプリ開発を依頼したいという方は、システム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適な開発会社をご紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
アプリ開発に役立つ記事もご覧ください ネイティブアプリ開発におすすめ!アプリ開発かんたんマニュアル
ネイティブアプリとは?
ネイティブアプリとは、ある特定のOS(Operating System)で動作するよう設計・プログラミングされたアプリケーションのこと。広い意味では、macOS / WindowsなどのPC向けOSで動作するアプリも「ネイティブアプリ」ですが、iOS / Androidなどのモバイル向けOSで動作するアプリを「ネイティブアプリ」と呼ぶ場合が一般的。現在、App StoreやGoogle Playでダウンロード・インストールできるアプリのほとんどが「ネイティブアプリ」です。
本記事でも、iOS / Androidアプリをネイティブアプリとして解説を進めていきます。
ネイティブアプリの仕組みは4つのレイヤーで構成
ネイティブアプリは、対応するOSの「最上位レイヤーAPI(Application Programming Interface)」に接続する形で動作します。iOSのアーキテクチャを例に解説してみましょう。
画像引用:Midium「Anuradh」
ひとつのまとまったプログラムだと思いがちなiOSは、それぞれ役割の異なる4つのレイヤーで構成されています。それぞれのレイヤーが果たす役割は以下の通り。
iOSのレイヤー構造 |
レイヤーの役割 |
Cocoa Touch |
iOSアプリと下層レイヤーをAPI連携させるインターフェースの役割を担うレイヤー タッチインターフェースの開発環境としても利用される |
Media |
アプリで写真・ビデオ・オーディオ・アニメーションなどの 扱いを可能にするレイヤー |
Core Service |
アプリで電話・ネットワーク・GPS・アドレス帳など コアサービスの扱いを可能にするレイヤー |
Core OS |
ハードウェア(iOS端末)を制御するコアOSのレイヤー |
iOSのネイティブアプリは、APIであるCocoa Touchの上層レイヤーに乗る形でインストールされ、Cocoa Touchを介して「Media」「Core Service」にアクセスできるようになります。これがネイティブアプリの仕組みであり、iOS標準のWebブラウザ「Safari」なども、同様の仕組みで動作しているのです。
レイヤー構造などはやや異なるものの、Androidも同様の仕組みで動作しています。インストールされたAndroidのネイティブアプリは「Java API Framwork」の上層レイヤーに設置されます。
Webアプリ・ハイブリッドアプリ・PWAとの違い
アプリの種類 |
ネイティブアプリ |
Webアプリ |
ハイブリッドアプリ |
PWA |
インストール |
Webブラウザ経由 |
必要なし |
App Store / Google Play経由 |
App Store / Google Play経由 |
iPhoneの機能 |
ほぼすべて利用可能 |
端末による影響はない |
制限あり |
OS / Webブラウザ による制限あり |
アプリの動作 |
最も高速 |
遅くなることもある |
改善されているが遅き |
高速 |
オフラインでの利用 |
可能 |
不可 |
不可 |
可能 |
マルチプラットフォーム |
iPhoneのみ対応 |
iOS / Android |
対応 |
対応 |
マルチデバイス |
不可 |
可能 |
不可 |
対応 |
向いているサービス |
GPS・カメラなど スマホ機能を活用するアプリ |
端末機能を活用しない ニュースアプリなど |
すでにWebサービスを展開していて iプッシュ通知機能などを活用したい ECストアなどのサービス |
端末機能を活用しない ニュースアプリなど |
ネイティブアプリ以外にも、スマホ・タブレットで動作するアプリには「Webアプリ」「ハイブリッドアプリ」などがあります。仕組みはネイティブアプリとまったく異なるので、それぞれを簡単に解説しておきましょう。
Webアプリ
端末にインストールされたWebブラウザを活用し、インターネット経由でアクセス・利用するアプリのこと。Gmailやポータルサイト、ECサイトなどがWebアプリの代表例です。Webアプリ本体は、インターネットに接続されるサーバ内に構築されているため、Webブラウザさえあればアプリをインストールする必要がないのが特徴。スマホ・タブレット以外の端末でも利用できます。Webアプリは、PCやスマホなどの端末の機能をほとんど活用せずに使えるサービス(ECストアアプリやニュースアプリなど)に向いています。
Webアプリの詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:Webアプリケーション開発とは?外注前に知るべき開発の流れ・費用・注意点を解説
ハイブリッドアプリ
画像引用:cookpad
iOS / Androidに標準で搭載される「WebView(Webページを読み込んで画面に表示する機能)」を活用したアプリのこと。Webアプリでは、カメラ・GPSなどのスマホ固有の機能は使えませんが、ハイブリッドアプリなら使えます。クックパッドは日本国内で人気のレシピサイトです。Webサイトだけでなくモバイル向けのアプリも展開しており、ハイブリッドアプリで構築されています。
HTML / CSS / JavaScriptなどのWeb技術を使って開発できるハイブリッドアプリは、コストを抑えられる、ストア経由で配信するため信頼感を得やすいなどのメリットがあります。
ハイブリッドアプリは、すでにWebサービスを展開していて、iOSやAndroidにてプッシュ通知機能などを活用したいサービス(ECストアなど)に向いています。ハイブリッドアプリの詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:ハイブリッドアプリ開発とは?Webアプリ、ネイティブアプリとの違いについて解説
PWA(Progressive Web Apps)
画像引用:Rettyグルメニュース
ネイティブアプリのように利用できる、スマートフォン向けWebサイト / Webアプリのことです。「レスポンシブサイトとなにが違うのか?」疑問を感じる方がいるかもしれませんが、WebコンテンツをアプリのようにインストールできることがPWAの特徴。PWAなら、URLをブックマークする必要もありません。PWAの例としては、グルメサービス「Rettyグルメニュース」のモバイル向けWebページがあります。PWAはアプリストア経由ではなく、Webサイトにアクセスすることで利用ができます。
アプリの種類・仕組みについてより詳しく知りたい方は、以下記事もご参考ください。
関連記事:アプリケーション開発の流れ|アプリの種類・仕組み、開発に必要なものも一挙解説
スマホアプリ開発の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:スマホアプリ開発に必要な環境・言語をニーズごとに紹介!開発費用や開発の流れも
ネイティブアプリ開発のメリット
それでは、ネイティブアプリ開発で得られるメリットとはなんでしょうか?Webアプリ / ハイブリッドアプリとの比較を交えながら、ネイティブアプリ開発のメリットを紹介していきます。
動作が高速
Android / iOS上で直接動作するネイティブアプリは、Webアプリ・ハイブリッドアプリと比べてキビキビと高速に動作します。そのため、ユーザビリティを高めやすいメリットがあります。
インターネット経由で利用するWebアプリは、サーバの応答を待つ間の遅延が生じやすくなります。Android / iOSの機能である「WebView」を利用するハイブリッドアプリは、WebViewを挟む分だけ反応に遅延が生じます。しかし、ネイティブアプリならそのような遅延は発生しません。
待たされることなく高速に動作するネイティブアプリなら、ユーザーの満足度を高められるのです。ただし、一部機能をサーバから提供するネイティブアプリ・ハイブリッドアプリの場合、特定の操作のみ遅延が発生する場合もあります。
端末の機能をフル活用できる
Android / iOSのAPIに直接乗る形でインストールされるネイティブアプリは、カメラ・マイク・GPSなど、端末であるハードウェアの機能をフル活用できるメリットがあります。
JavaScriptでOSの機能を呼び出せるハイブリッドアプリも端末の機能を活用できますが、すべての機能にアクセスできるわけではありません。Webブラウザから利用するWebアプリでは、事実上端末の機能は利用できません。端末の機能をフル活用できるネイティブアプリなら、より自由な発想でアプリ開発できるといえるでしょう。
また、ネイティブアプリをインストールすると、端末のホーム画面にアプリのアイコンが作成されます。そのため、インストールしたユーザーは簡単にアプリにアクセスできるようにもなるのです。
オフラインでも利用できる
インターネット接続が必須のWebアプリと異なり、ネイティブアプリならオフラインでも利用可能です。オフラインでも利用できるのはハイブリッドアプリも同じですが、端末機能へのアクセスに制限があることは上述した通り。ネイティブアプリであれば、制限を気にすることなく、魅力的なアプリを開発できるメリットが得られます。
電車通学をしている学生を対象にした、問題集・クイズなどの学習系アプリはとくにおすすめです。
信頼感を獲得しやすい
AppStore / Google Playで配信されるネイティブアプリは、登録に審査が必要なことから、ユーザーの信頼感を得られやすいです。この点に関してはハイブリッドアプリも同様ですが、Webアプリの場合はそうはいきません。自社Webアプリの信頼感を高めていくためには、ブランディング同様、自社サービスの価値を認識してもらう努力が必要です。
ネイティブアプリ・Webアプリどちらで開発する?
高速に動作してユーザーのエンゲージメントを得やすいネイティブアプリは、スマホユーザーをターゲットにする企業にとって筆頭の選択肢です。しかし、PCユーザーも含め、端末を選ばないWebアプリの新規開発が増えていることも事実。ネイティブアプリ開発か?Webアプリ開発か?頭を悩ませている方が多いかもしれません。
そんな方の参考になるよう、アメリカのアプリ開発会社「MLSDev」が公表している、スマホユーザーに関する興味深いデータを紹介しておきましょう。
画像引用:MLSDev「App Development Cost」
アメリカのデータではありますが、スマホユーザーが1日にデバイスを利用する平均時間「3時間40分」のうち、およそ90%がアプリの利用で、Webブラウザの利用はわずか10%に過ぎないことがわかります。
圧倒的な普及率を誇るモバイルデバイスのユーザーを獲得するため、ネイティブアプリが有効であることは一目瞭然。多くの企業がネイティブアプリ開発に取り組む理由はここにあります。
ネイティブアプリに向いているアプリ:スマホ機能を活用するアプリ
特にアプリをよく利用している方は、メッセージング / SNS、エンターテインメント、ゲームなどの利用が目立ちます。このことからも、プッシュ通知・GPSなど、スマホならではの機能をフル活用する「高機能アプリ」の開発にネイティブアプリがピッタリだといえるでしょう。
ただし、提供したいサービスによっては、ネイティブアプリがベストとはいい切れない場合もあります。たとえば、プッシュ通知を送りたいだけなのであれば、開発コストを抑えられるハイブリッドアプリがベストな選択になるかもしれません。すでにWebアプリでサービスを提供している企業・店舗であれば、ハイブリッドアプリにすることで開発コストを抑えながら、新たな顧客を獲得できる可能性も高まります。
ネイティブアプリの将来性は数年は安泰といえる
マホアプリの主流が、注目の高まるハイブリッドアプリへと移ってしまうのか?MLSDevの調査結果によると、そうとはいえない現実が浮かび上がってきます。
画像引用:MLSDev「App Development Cost」
ハイブリッドアプリのほかにも、JavaScriptプログラム「Service Worker」を活用したインストール不要のアプリ「PWA」なども注目されてはいます。しかし、端末の機能をフル活用でき、高速に動作するネイティブアプリのアドバンテージは失われていないといえるのかもしれません。少なくとも、ここ数年以降はネイティブアプリの将来性は安泰だといってもいいでしょう。
PWA開発の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:PWA開発(Progressive Web Apps)とは?技術・開発環境・開発のメリット・注意点を解説!
ネイティブアプリ開発に必要なもの
ここまでで、ネイティブアプリの仕組みからWebアプリ・ハイブリッドアプリとの比較を交えたネイティブアプリ開発のメリット・デメリットを開設しました。また、向いているアプリ・将来性も解説してきました。最後に、ネイティブアプリ開発にはなにが必要なのか?Android / iOSそれぞれに分けて紹介しておきます。
Androidアプリに必要な開発環境
Androidアプリ開発には、最低限以下のものを揃えて開発環境を構築する必要があります。
・インターネット環境
・8GB以上のメモリを搭載したPCまたはMac
・Android端末またはエミュレータ
・Android Studio
Androidアプリだけを開発するのであれば、用意するコンピューターはPCで問題ありません。しかし、iOSアプリも開発したいのであれば、Macを用意するのがおすすめ。Androidアプリの開発環境である「Android Studio」はMacにもインストールできますが、iOSアプリの開発環境「Xcode」はPCにインストールできないからです。Macの詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:アプリ開発にはMacがおすすめ|iOS・macOSアプリ開発だけではないMacの実力を解説
従来は、Eclipse、ADTなどのツールを組み合わせてAndroidアプリを開発することもありました。しかし2022年現在、AndroidアプリのIDE(統合開発環境)として利用できるのは「Android Studio」一択だといってもいいでしょう。
画像引用:Android studio
Androidアプリ開発に必要なプログラミング言語
Android Studioには簡単なテンプレートも付属しているため、簡単なものであれば最小限のソースコードでAndroidアプリを作れます。しかし、オリジナルなアプリを開発するならプログラミング言語のスキルが必要。現在Androidアプリ開発でもっとも強く推奨されているのが「Kotlin」、そして汎用性の高い「Java」 です。
Kotlin
画像引用:Kotlin
Kotlinとは、2011年頃に登場したオブジェクト指向プログラミング言語。JVM(Java Virtual Machine)で動作し、Javaで記述されたプログラムと相互呼び出しできるなど、Javaと非常に親和性の高いプログラミング言語です。Javaよりもコードがシンプルで初心者でも学習しやすいです。そのため近年人気の高まりつつあります。
Java
画像引用:Java
Javaとは、汎用性が高いことから、広く使われているオブジェクト指向プログラミング言語。JVM(Java仮想マシン)が動作するPCならなんでも使える「マルチプラットフォーム環境」を特徴とし、業務システムや組み込み系開発にも使われています。
Androidアプリ配布に必要なGoogle Play
画像引用:Google Play
開発したAndroidアプリを公開するためには、Google Playのアカウントを作成してアプリを登録する必要があります。大まかな手順は以下の通り。
1.Googleデベロッパーアカウントを作成
2.デジタル署名したアプリのパッケージファイルを用意
3.GooglePlayにアプリを登録
4.承認を経て公開・リリース
※Androidアプリ開発についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:Androidアプリ開発に必要な環境・言語・手順を解説!プログラミングのスキルは必要?
iOSアプリに必要な開発環境
iOSアプリ開発には、最低限以下のものを揃えて開発環境を構築する必要があります。
・インターネット環境
・8GB以上のメモリを搭載したMac
・iOS端末またはエミュレータ
・Xcode
iOSアプリの開発環境を構築するにはMacが必須。ただし、MacであればAndroid Studioもインストール可能なため、あとからAndroidアプリを開発したいと思い立っても、新たにPCを買い換える必要はありません。
iOSアプリ開発にMacが必須なのは、iOSアプリのIDEである「Xcode」がMacのみの対応だから。iOSアプリ開発に必要な機能がすべて揃っているXcodeは、macOS向けアプリ、Apple Watchアプリも開発できます。
画像引用:Xcode
iOSアプリ開発に必要なプログラミング言語
iOSアプリを開発するためのプログラミング言語としては、Objective-Cが使われていた過去がありました。しかし、現在ではほぼ「Swift」に切り替わっています。macOS向けアプリ開発ではObjective-Cが利用されることはありますが、iOSアプリ開発のみを考えているのならSwiftがおすすめです。
Swift
画像引用:Swift
Swiftとは、2014年にAppleが発表したオープンソース・プログラミング言語。Appleが提供していることからもわかるように、iPhone / iPad / Apple Watch向けアプリだけでなく、macOS向けアプリ開発にも使えます。
Objective-C
Objective-Cとは、1983年に登場したオブジェクト指向プログラミング言語。C言語をベースにオブジェクト機能を持たせた上位互換言語であり、macOSの開発環境「Cocoa」に利用されたことで注目されました。
その他アプリ開発のプログラミング言語の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:【目的別】アプリ開発に最適なプログラミング言語の選び方と特徴を徹底解説
iOSアプリ配布に必要なApp Store
画像引用:App Store
開発したiOSアプリを公開するためには、AppStoreのアカウントを作成してアプリを登録する必要があります。手続きがやや煩雑になるAppStoreですが、大まかな手順は以下の通り。
1.Apple Developer Programに参加
2.App Identifire(App ID)の作成
3.証明書・プロビジョニングプロファイルの作成
4.App Store Connectにアプリ情報を登録
5.iOSアプリアップロード
6.審査を経て公開・リリース
iPhone・iOSアプリ開発の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:iPhone・iOSアプリ開発の基本|アプリの種類・開発方法・言語・環境・手順や学習のヒントを解説!
ネイティブアプリのバックエンド環境「mBaaS」
インストールした端末のみで動作するネイティブアプリなら、Kotlin / Swiftなどで開発するだけです。しかしユーザーにプッシュ通知を送りたい、一部機能をオンラインで提供したい、ユーザー情報を収集したいなどのニーズがある場合は、Webアプリのような「バックエンド(サーバサイド)環境が」必要です。
そんなときにおすすめしたいのが「mBaaS(mobile Backend as a Service)」です。mBaaSとは、文字通りモバイルアプリの利用・開発に必要なバックエンド機能を、Web API経由で呼び出せるクラウドサービスのこと。ストレージ・データベース・ユーザー認証・プッシュ通知などの機能を一通り備えているため、ネイティブアプリのバックエンド開発を合理化・短縮化できます。
ネイティブアプリ開発のデメリット・注意点
メリットばかりのように思えるネイティブアプリにも、注意しておきたいデメリットがあります。Webアプリ / ハイブリッドアプリとの比較を交えながら、ネイティブアプリ開発のデメリットを紹介していきましょう。
OSアップデートへの対応が必須
メジャーアップデート、セキュリティ強化を含めたマイナーアップデートを問わず、Android / iOSは頻繁にアップデートが繰り返されています。ネイティブアプリは常に最新OSへの対応に気を配る必要があるのです。プログラムの大幅な書き換えが必要な場合があるのは、ネイティブアプリのデメリットといってもいいかもしれません。古いOSバージョンへの対応コストが生じるため、全OSのバージョンでの動作を保証することが困難になります。場合によっては、新しいOSへの対応のために、古い端末やOSでの動作の保証を外すこともやむなく選ばざるを得ない事態もありうることも承知しておきましょう。
ハイブリッドアプリもOSアップデートの影響は受けますが、Web技術で開発されるため対応は比較的容易。Webアプリであれば、Webブラウザの対応のみ考えれば済みます。
ストアの審査・手数料がかかる
AppStore / Google Playで配信されるネイティブアプリは、信頼感を得やすい反面、審査を通らない場合がある、アプリ販売・アプリ内課金に手数料がかかるデメリットがあります。特にAppStoreは審査が厳格なことで知られているうえ、30%の手数料は決して安いとはいえないでしょう。Webアプリであれば、ストアに縛られることなく自社のペースで開発・マネタイズが可能です。
アプリストアでのキーワード検索で探してもらえるようになるとはいえ、検索によってアプリをインストールしてもらうためにはストアへの手数料がかかります。そのため、アプリ提供元のWebサイトがあれば、そこからアプリのダウンロードをしてもらえるようにしましょう。すると、ストアへの支払い料金を削減できます。
関連記事:【iOS・Android】アプリの審査情報まとめ!審査手順や期間、基準を満たすためのポイントを解説
開発コストが高額になりがち
Web技術を活用するハイブリッドアプリが比較的安価に開発できるのに対し、ネイティブアプリの開発コストは高額になりがちです。特にAndroid / iOS向けのアプリをそれぞれ作る場合は、各OSに対応したプログラミング言語によって開発しないといけないなど、開発コストが2倍になる可能性もあります。Webアプリが安価に開発できるわけではありませんが、OSアップデートへの対応を含め、ネイティブアプリは継続的に開発コストがかかりやすいです。
費用を抑えつつアプリを開発する方法の1つとして、Yappliなどのアプリ作成ツールを用いた開発が挙げられます。ツールにはアプリ開発用のテンプレートが豊富で、ドラッグアンドドロップなどの簡単な操作でアプリ開発を進められます。
アプリ開発費用相場
実際にいくらくらいかかるものかは気になることでしょう。アプリ開発費用は、アプリの種類・実装する機能によって異なります。
種類別の費用相場一覧表
種類 |
特徴 |
費用相場 |
学習アプリ |
漢字や英語、算数などを 例:トドさんすう、スタディサプリEnglishなど |
50~300万円 |
コミュニティアプリ |
掲示板やチャット機能で |
100~500万円 |
ライブ配信アプリ |
スマホでリアルタイムに ※搭載する機能によって |
1,000万円以上 |
ECアプリ |
ECサイトをアプリ化するもの ※プッシュ機能や位置情報機能など、 通常のECサイトには搭載できない機能が アプリによって有効になる |
200~300万円 |
SNS位置情報系 |
ランニング・歩いた距離に応じて 消費カロリーを計算するアプリ ※友達や家族のいる位置を 地図で表示するアプリなど。 例:Pacer歩数計、ALKOO(あるこう)など |
300万円~ |
マッチングアプリ |
検索によりパートナーを探し、 |
400~1,500万円 |
ゲームアプリ |
ゲームに分類されるアプリ |
800万円~ |
メディア系アプリ |
ニュースを配信するアプり、 マンガアプリ、音声・ラジオアプリなど |
180万円~ |
店舗系アプリ |
飲食店や美容室などの店舗で リピーターの獲得のために スタンプ・クーポン配信・プッシュ通知 などの機能が搭載されたアプリ。 |
200万円~ |
管理ツール系アプリ |
タスクの管理・todo管理をするアプリ スヌーズさせるなどの便利機能もある |
200万円~ |
上記の表の通り、相場といっても幅があり、機能の多さや作成したいアプリの規模などによって費用は大きく異なります。
アプリをノーコード(プログラミング不要)で開発できるプラットフォームを使えるものは、150万円~200万円に抑えられます。プログラミングが必要なものは、500万円~600万円ほど。さらに特別な機能が求められるならプラス100万円ずつしていくイメージです。
例えばライブ配信アプリは、1,000万円以上が相場。スペックの機能要件や、保守運用費用もかなり高く、サーバー費用も高いため、数百万円程度しか出せない顧客だと、プロジェクトが頓挫してしまう可能性が高いです。保守運用や、サーバー費用だけでも月額100万円ほどかかります。
マッチングアプリやゲームアプリ、フリマアプリなどは高度な機能も求められるため、費用が高額です。とくにマッチングアプリにてユーザーデータを分析できるようにする場合、扱うデータ量が増えてデータベースの構造も複雑になるため、開発費用が1000万円以上することも多いです。
機能別の費用相場一覧表
種類 |
費用相場 |
他アプリとの連携 |
5~40万円 |
ログイン機能 |
10~20万円 |
通知機能 |
10~100万円 |
位置情報機能 |
12~25万円 |
メッセージ機能 |
20~40万円 |
決済システム |
20~50万円 |
データの利用 |
15~75万円 |
データの利用は、ユーザーの個人情報データと既存のデータをアプリにて連携させる機能です。
アプリ作成では、機能を追加するごとにも費用が発生します。ひとつの機能を追加するだけで万単位の金額がかかるため、追加の開発や大規模な修正が発生しないように要件を明確にしておくことが大切です。
アプリ開発費用相場の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:種類・機能別|アプリ作成・開発の費用相場!シミュレーション付
ネイティブアプリ開発におすすめの開発会社
内製するのが難しいために外注を検討している方は、無数にある開発会社からどの会社がいいか選びきるのは骨が折れる作業でしょう。そこで、システム幹事がおすすめするネイティブアプリ開発対応の会社を紹介します。
株式会社クロス・コミュニケーション
株式会社クロス・コミュニケーションのおすすめポイント
・300以上の豊富なアプリ開発実績
・アプリ開発からユーザーサポートまでワンストップで連携
株式会社クロス・コミュニケーションは、東京都新宿区に本社を置くアプリ開発会社です。
戦略立案・開発制作・運用改善の3軸でサポートし、金融アプリや会員向けアプリなど、ジャンルを問わず300以上の開発実績を持ちます。
ストア審査時のリジェクト(Appストア申請時に審査に通らないこと)対策も可能で、申請ルールに詳しい担当者が行うことで対応。ネイティブアプリ(App StoreやGoogle Playなどストア経由でインストールするアプリ)固有のセキュリティ対策のノウハウを保持していることも強みです。
また、アプリ開発から運用・ユーザーサポートまで一連のサービスを連携させ、リサーチ・調査・マーケティング・検証・運用/マーケット申請・効果測定までワンストップで対応。Webシステム開発・Web制作なども請け負い、企業の課題解決をサポートします。
株式会社クロス・コミュニケーションの概要・実績
TEL |
03-6859-2262 |
会社所在地 |
〒163-1424 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー 24F |
設立年 |
2011年8月1日 |
実績詳細 |
・航空会社 株式会社スターフライヤー「公式アプリ」 ・クレジットカード会社 株式会社クレディセゾン「カード明細アプリ」 ・一般社団法人日本自動車連盟「デジタル会員証アプリ」 ・大和証券グループ 株式会社CONNECT「スマホ証券アプリ」 |
株式会社アプキー
株式会社アプキーのおすすめポイント
・安価でネイティブアプリ開発が可能
・セミオーダーでのアプリ開発は10万円から対応
株式会社アプキーは、愛知県名古屋市中村区に本社を置くアプリ開発会社です。同社は、インドネシアにも開発拠点を置くことにより人的コストを抑え、格安でのアプリ開発を実現しています。提案は日本法人の専任担当者、さらに開発については現地日本人スタッフ主導で現地クリエイティブメンバーと共に行うため、クライアントとの円滑な意志疎通が可能です。
ネイティブアプリの開発では、企画設計だけでなく運用保守にいたるまでをワンストップで対応しているため、長期的にサポートを受けることが可能。
また、同社では業種特化型のセミオーダーシステムにより、テンプレートの種類によっては基本パッケージ10万円からという低価格で開発ができる強みもあります。用意しているテンプレートの主な種類は以下の通りです。
・予約システム付きの「医科・歯科専用アプリ」
・配送に特化した「デリバリーアプリ」
・さまざまな業種で使用できる「店舗用アプリ」
・配車システム搭載の「タクシーアプリ」
・ショッピングカート搭載で商品を売買できる「ショッピングアプリ」
テンプレートに必要な機能だけを追加できるため、コストを最小限に押さえつつニーズに合う業務アプリを制作したい場合に最適です。
株式会社アプキーの概要・実績・価格感
TEL |
0120-897-382 |
会社所在地 |
〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅4-24-16 広小路ガーデンアベニュー 4F |
設立年 |
非掲載 |
実績詳細 |
出前・宅配アプリ デリバリーアプリ 医科・歯科・美容予約アプリ ショッピングアプリ 店舗用アプリ タクシー配車アプリ |
価格感 |
出前・宅配アプリ:基本パッケージ価格 40 万円~ デリバリーアプリ:基本パッケージ価格 10 万円~ 医科・歯科・美容予約アプリ:スタンダードプラン・パッケージ価格 20 万円~ ショッピングアプリ:基本パッケージ価格20 万円~ 店舗用アプリ:基本パッケージ価格10 万円~ タクシー配車アプリ:基本パッケージ価格 50 万円~ |
その他おすすめのアプリ開発会社の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:【全国版】アプリ開発の依頼におすすめの開発会社20選!
ネイティブアプリ開発まとめ
ネイティブアプリ開発なのか?Webアプリ開発なのか?悩んでいる方に向け、本記事では、ネイティブアプリ開発のメリット・デメリットから、仕組み・向いているアプリ・将来性まで、知っておきたいネイティブアプリの基本を解説するとともに、開発環境・プログラミング言語など、ネイティブアプリ開発に必要なものも紹介してきました。
競争は激しいものの、ユーザーのエンゲージメントを得やすいネイティブアプリは、現在でもスマホユーザーを獲得するためのベストな方法です。他社と差別化するアイデアさえあれば、あとはそれを具現化するだけです。
※ネイティブアプリの内製が難しい、優秀なアプリ開発会社にネイティブアプリ開発を依頼したいという方は、システム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適な開発会社をご紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
コンサルタントのご紹介
岩田
専任のコンサルタントが、
お客様の予算と目的を丁寧にヒアリング。
最適な会社をピックアップ・ご紹介させていただきます!
初心者の方でも安心してご相談いただけます。
Q. ネイティブアプリ開発のメリットは?
ネイティブアプリ開発のメリットとして「オフラインでも利用できる」「信頼感を獲得しやすい」等が挙げられます。それぞれの詳しい特徴は記事内で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Q. ネイティブアプリ開発の注意点(デメリット)は?
ネイティブアプリ開発のデメリットは「OSアップデートへの対応が必須」「ストアの審査・手数料がかかる」などです。詳しくは記事をご参照ください。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
このライターの記事一覧