- 更新日 2024.11.20
- カテゴリー アプリ開発
iPhone・iOSアプリ開発ガイド|必要なもの・種類・言語・開発環境・方法など徹底解説【2024年最新版】
Androidのシェアが大きくなったとはいえ、日本におけるiOSのシェア率は世界有数。当然、スマホユーザーにリーチしたい企業・店舗の方であれば、iPhone・iOSアプリの開発を検討していることでしょう。そんな時に気になるのが以下のような疑問。
・iPhone・iOSアプリを開発する方法・手順・開発言語・開発環境を知りたい
・iPhone・iOSアプリ開発にはMacが必要?Windows PCでは開発できない?
・iPhone・iOSアプリ開発の知識はどう学ぶ?自社で内製するのは可能?
本記事では、iPhone・iOSアプリの種類・開発方法・言語・環境・手順など、知っておきたいアプリ開発の全体像を徹底解説!アプリを自社開発したい方に向け、学習のヒントも紹介していきます。
※iPhone・iOSアプリの内製が難しい、優秀なアプリ開発会社にアプリ開発を依頼したいという方は、システム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適な開発会社をご紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
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そもそもiOSとAndroidアプリの違いってなに?
iPhoneでアプリ開発を成功させるには、iOSとAndroidの違いを把握した上で、適切なアプリ戦略の立案が欠かせません。
主に下記の点において異なるので、開発を依頼する前に確認しておきましょう。
- 使用するプログラミング言語
- 開発環境
- アプリの公開先
- 公開に必要な費用
iOSで使用するプログラミング言語はSwift・Objective-C、AndroidだとJavaが主流です。近年ではAndroidでKotlinが注目されています。
開発環境において、iOSはXcodeやXamarinが主に利用され、AndroidはAndroid Studioが選ばれています。ただし、クロスプラットフォームに対応しているアプリは、OSが異なる環境でも開発可能です。
アプリの公開先にも違いがあり、iOSはApp Store、AndroidはGoogle Playを通じてリリースしなければなりません。また公開には審査が必要で、アプリ開発の際は審査条件も把握しておく必要があります。
アプリ公開にかかる費用についても、iOSとAndroidでは違いがあります。iOSアプリだと毎年99ドルの費用が発生し、Androidでは初回登録時に25ドルが必要です。
iPhone・iOSのアプリ開発に必要なもの
1.Mac
「Xcode」はMac専用のIDEであり、Windows版は用意されていません。
つまり、App Storeで公開する必要のあるiPhoneネイティブ / ゲーム / ハイブリッドアプリ開発には「Macが必須」です。
逆に、Macであれば「Android Studio」「Unity」「APACHE CORDOVA」などがすべて動作するため、Macだけでもすべての種類のAndroidアプリを開発可能。これから開発環境を整えたい方なら「迷わずMac」を選びましょう。
アプリ開発のパソコンとして最低限必要なスペックは、下記になります。
・CPU:Core i5 以上
・メモリ:8GB 以上
・ストレージ:256GB 以上 (SSD)
・Mac OS 10.12以降
Windowsでは開発はできない? ゲームエンジンの「Unity」や「APACHE CORDOVA」などはWindowsでも動作するため、iPhoneゲーム / ハイブリッドアプリをWindows PCで開発することは可能です。ただし、Windowsでできるのは「アプリのテスト」まで。開発したアプリをApp Storeに登録・公開するには「Xcode」でアプリをビルドしなければなりません。
2.iPhone(テスト用)
Xcodeにもエミュレータは搭載されていますが、実機での動作確認のために用意しておきたいのがiPhone本体です。USBケーブルでMac本体とiPhoneを接続しておけば、Xcodeのエミュレータから開発中のアプリをテストできます。
3.Apple Developer Program
App Storeでの配布が必須となるiPhoneネイティブアプリの場合、大前提として「Apple Developer Program」への登録が必要です。Apple IDを取得済みであれば登録自体は簡単ですが、毎年$99の登録料金の支払いが必要なことは留意しておきましょう。登録からiPhone・iOSアプリリリースまでの大まかな流れは以下の通り。
- Apple Developer Programに登録
- App Identifire(App ID)の作成
- 証明書・プロビジョニングプロファイルの作成
- App Store Connectにアプリ情報を登録
- iOSアプリアップロード
- 審査を経て公開・リリース
自社内だけでiPhone・iOSアプリを配布したいというニーズのある法人向けには、台数無制限で組織内にiPhone・iOSアプリを配布できる「Apple Developer Enterprise Program」も用意されています。こちらの年間登録料は$299です。
iPhone・iOSアプリの種類
iPhone・iOSアプリというと、App Storeからダウンロード / インストールするアプリを想像する方が多いかもしれません。それは間違いではありませんが、すべてではありません。実は、iPhoneのホーム画面からアクセスできるiPhone・iOSアプリには「iPhoneネイティブアプリ」「ハイブリッドアプリ」「PWA」の3種類があります。
iPhoneネイティブアプリ
ネイティブアプリとは、ある特定のOS(Operating System)で動作するよう設計・プログラミングされたアプリケーションのこと。つまり、iPhoneのOSであるiOSで動作するように設計・プログラミングされたアプリが「iPhoneネイティブアプリ」です。
現在、iPhone・iOSアプリの主流だといえるのがネイティブアプリです。iPhoneの機能をほぼすべてを利用でき、軽快に動作するのが特徴。iPhoneネイティブアプリを入手するには、App Store経由でダウンロード / インストールする必要があります。端末の機能をフル活用できて、オフラインでも利用できるアプリの開発を希望する企業に適します。
ネイティブアプリについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:ネイティブアプリ開発のメリット!将来性・開発に必要な言語・環境も解説
ハイブリッドアプリ
画像引用:cookpad
ハイブリッドアプリとは、iOS / Androidに標準で搭載される「WebView(Webページを読み込んで画面に表示する機能)」を活用したアプリのこと。HTML / CSS / JavaScriptなどのWeb技術で作られ、文字通りiOS / Androidどちらにもインストールできるハイブリッドアプリです。
ひとつのコードでiPhone / Androidどちらでも動作するアプリを作れる、制限はあるものの端末の機能を利用できる特徴がありますが、やや動作が緩慢になりがちな一面も。ネイティブアプリ同様、App Store経由でダウンロード / インストールする必要があります。開発コストをなるべく削減しつつ幅広いユーザー層へ展開したいアプリに適します。
ハイブリッドアプリの詳細は、下記記事をご参照ください。
関連記事:ハイブリッドアプリ開発とは?Webアプリ、ネイティブアプリとの違いについて解説
PWA(Progressive Web Apps)
画像引用:Rettyグルメニュース
PWA(Progressive Web Apps)とは、ネイティブアプリのように利用できるスマホ向けWebサイト / Webアプリのことです。具体的には、アクセスしたWebサイト / Webアプリで「Add to Home Screen」をタップすれば、ホーム画面にアプリのようにアイコンを追加して起動できるものです。
PWAの実態はWebサイト / Webアプリだとはいえますが、キャッシュ機能を利用することによってオフラインでも利用できるのが特徴。ネイティブアプリ / ハイブリッドアプリのようにApp Storeを経由することなく、インターネット経由で気軽にインストールできます。端末の機能をそれほど活用しないニュースアプリなどの開発に適します。
ネイティブアプリ / ハイブリッドアプリ / PWAの違いまとめ
iPhoneで動作するアプリという共通点はありますが、ネイティブアプリ / ハイブリッドアプリ / PWAそれぞれで特徴は異なります。簡単な表にまとめてみました。
iPhoneネイティブアプリ |
ハイブリッドアプリ |
PWA |
|
インストール |
App Store / Google Play経由 |
App Store / Google Play経由 |
Webブラウザ経由 |
iPhoneの機能 |
ほぼすべて利用可能 |
制限あり |
OS / Webブラウザ による制限あり |
アプリの動作 |
最も高速 |
改善されているが遅き |
高速 |
オフラインでの利用 |
可能 |
不可 |
可能 |
クロスプラットフォーム |
iPhoneのみ対応 |
対応 |
対応 |
マルチデバイス |
不可 |
不可 |
対応 |
iPhone・iOSアプリ開発に必要な環境・言語
iPhone・iOSアプリの種類、開発の手順・流れを把握できたところで、ネイティブアプリ / ハイブリッドアプリ / PWAそれぞれで必要な開発環境を簡単に解説していきましょう。
ネイティブアプリ |
ゲームアプリ |
ハイブリッドアプリ |
PWA |
|
コンピューター |
Mac |
Mac / Windows(開発のみ) |
Mac / Windows(開発のみ) |
Mac / Windows |
Apple Developer Programの登録 |
必要 |
必要 |
必要 |
不要 |
IDE(開発環境)/ フレームワーク |
Xcode |
Xcode / Unityなど |
Xcode / APCHE CORDOVA、 React Native、Flutterなど |
Webサイト / Webアプリの開発環境 |
プログラミング言語 |
Swift / Objective-C |
C# |
HTML / CSS / JavaScriptなど |
HTML / CSS / JavaScript / PHP / Ruby / Pythonなど |
テスト用iPhone |
必要 |
必要 |
必要 |
必要 |
ネイティブアプリ開発の場合
- 開発環境:Xcode(統合開発環境)
- 言語1:Swift / Objective-C
- 言語2:Pythonでも開発可能
開発環境:Xcode(統合開発環境)
画像引用:Xcode
Xcodeは、Appleが提供するiPhone・iOSアプリ開発に必須のIDE(統合開発環境)です。iOS / macOS / iPad OS / tv OSのインターフェースを簡単に作成できる「SwiftUI」、強力なコードエディタ、作成したアプリをエミュータで確認できる「TestFlight」などが完全に統合されています。iPhone・iOSアプリ開発からビルド、App Store公開までをシームレスに実行できます。
Xcodeには、アプリ操作画面、ボタンの配置、画面の遷移の動きなどをドラッグ&ドロップだけで簡単に操作できる「ストーリーボード」という機能があります。そのため、初心者でも開発作業がしやすいです。
言語1:Swift / Objective-C
Swiftとは、2014年にAppleが発表したオープンソース・プログラミング言語。Appleが提供していることからもわかるように、iPhone / iPad / Apple Watch向けアプリだけでなく、macOS向けアプリ開発にも使えます。
Objective-Cとは、1983年に登場したオブジェクト指向プログラミング言語。C言語をベースにオブジェクト機能を持たせた上位互換言語であり、macOSの開発環境「Cocoa」に利用されたことで注目されました。
どちらでもiPhone・iOSアプリの開発は可能ですが、SwiftUIに象徴されるようにXcodeとSwiftの統合が進められているため、これからiPhone・iOSアプリの開発を始める方なら「Swift」がおすすめです。
言語2:Pythonでも開発可能
ひとつのコードを書くだけで、Android / iOSクロスプラットフォーム対応のネイティブアプリを作りたいという方であれば、Pythonを使ってアプリ開発する方法もあります。
ただし、Pythonで開発したアプリを公開できる形にビルドする「ラッパー」が、ベータ版の域を出ていないことに注意が必要。特にiPhone・iOSアプリのビルドに失敗してしまうことが多いため、リスクがあることを理解したうえで開発に取り掛かる必要があるでしょう。
Pythonを使ったスマホアプリ開発についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:Pythonでのスマホアプリ開発方法解説!開発できるアプリ例や必要なフレームワークも紹介!
ゲームアプリ開発の場合
Xcode + Swiftの組み合わせでも、iPhoneゲームアプリの開発は可能です。しかし、凝った3Dゲームを作りたい、クロスプラットフォームのゲームアプリを作りたい場合は「ゲームエンジン」の利用がおすすめです。
- 開発環境:Unity(統合開発環境)
- 言語:C#
開発環境:Unity(統合開発環境)
画像引用:Unity
「Unity」とは、Unity Technorogiesが開発する2D / 3D対応のゲームエンジン・IDEです。Android / iOS / macOS / Windowsなどのクロスプラットフォーム対応ゲームを開発でき、Playstation / Xbox / Nintendo Switch向けのゲーム開発にも対応。ゲームから得られた収益が年間10万ドルまでの個人であれば、無料で利用できるのもポイントです。
言語:C#
Unityには、3DモデルやBGMなどのデータを購入できる「AssetStore」が用意されています。簡単なゲームであれば、プログラミングの知識がなくてもゲーム開発が可能です。しかし、複雑な動きを加えるには「C#」でのプログラミングが必要です。
C#(シーシャープ)は、Microsoftが開発して2000年にリリースされた、オブジェクト指向のプログラミング言語です。JVMで動作するJavaのように仮想マシンが必要なため、.NET FrameworkやVisual Studio.NETの習得は必須ですが、Mac / Windowsで動作するマルチプラットフォームを実現しています。
ハイブリッドアプリ開発の場合
WebViewを利用して動作するiPhoneハイブリッドアプリを開発するには、JavaScriptで端末を操作するプログラムを開発できるフレームワークが必要。多くの場合、APACHE CORDOVAが利用されているようです。
- 開発環境1:APACHE CORDOVA(フレームワーク)
- 開発環境2:Flutter(フレームワーク)
- 言語:HTML / CSS / JavaScript
開発環境1:APACHE CORDOVA(フレームワーク)
画像引用:APACHE CORDOVA
「APACHE CORDOVA」とは、2009年にNitobi社が開発した「PhoneGap」を源泉に持つオープンソースのJavaScriptフレームワーク。iPhone端末のカメラ・センサーなどの制御を可能にする多彩なプラグインが用意されており、Android / iOS対応のハイブリッドアプリを簡単に開発できます。
開発環境2:Flutter(フレームワーク)
画像引用:Google Developers
Flutterとは、 Googleが提供するモバイルアプリフレームワークの1つです。フレームワークとはアプリ開発における土台となるシステムのことで、開発に役立つ便利な機能が多数備わっています。
一般的にiOS・Androidの双方でアプリリリースをする際、開発言語の違いから別々にアプリを開発する必要があります。例えば、iOS用に「Swift」Android用には「Kotlin」など、それぞれ別のプログラミング言語で開発する必要があるのです。
一方、Flutterによるクロスプラットフォーム開発(異なるプラットフォーム上で、同じ仕様のアプリを動作させること)では、1つの言語でiOS・Androidの両OSに対応したアプリを作ることができます。厳密には100%同じものではありませんが、基本的な機能であれば問題なく対応できるアプリを作ることが可能です。
ちなみに、Flutterの開発に使うのは「Dart」という言語です。この言語は元々JavaScriptに代わる新しい開発言語として2011年10月10日にリリースされたものです。JavaScriptの知識が活かせる部分も多いため、開発者の学習コストを抑えられるメリットがあります。
Flutterの詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:Flutter(フラッター)とは?メリットはクロスプラットフォーム開発が可能
言語:HTML / CSS / JavaScript
iPhoneハイブリッドアプリは、もともとWeb技術を応用したものであるため、HTML / CSS / JavaScriptなどのWeb制作技術を持つ方であれば、比較的簡単に開発可能なのがポイントです。
PWA開発の場合
PWA開発の方法は、大きく「既存のWebサイト / WebアプリをPWA化する」もしくは「PWAを実装したWebサイト / Webアプリを開発する」の2つ。つまり、iPhoneでも利用できるPWAを開発するには「Webサイト / Webアプリ開発」の環境・開発言語が必要です。
PWAの特徴である「端末ホーム画面にアプリをインストールするWeb App Manifest」「オフラインでもアプリが動作するService Workers」「プッシュ通知を実現するPush API」などの技術が必要ですが、どれもそれほど難しくはありません。ただし、2022年8月現在iOSはPush APIに対応していないため、iPhone向けのPWAにプッシュ通知を実装しても「利用できない」ことに注意が必要です。
PWA開発についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:PWA開発(Progressive Web Apps)とは?技術・開発環境・開発のメリット・注意点を解説!
iPhone・iOSアプリの開発方法【手順を解説】
大きく3種類あるiPhone・iOSアプリですが、開発の手順・流れはどれも大きくは変わりません。以下から簡単に紹介していきましょう。
手順1:アプリの企画
まずは、どのようなiPhone・iOSアプリを開発したいのか、開発の目的・ゴールに従ってiPhone・iOSアプリを企画します。方向性を含めたアプリの企画が明確になってくれば、ネイティブアプリ / ハイブリッドアプリ / PWAのうちのどれを選べばいいのかも明確になります。
目的を達成するには、アプリでどのようなことができればいいかを、一つひとつ明らかにしていきます。例えば「○名が同時にアクセスして××を1秒以内に並列処理できるアプリ」のように概要を決めていきます。
アプリ企画については下記記事をご参照ください。
関連記事:アプリ開発の企画書の役割・作り方・盛り込みたい項目
手順2:アプリ開発環境の構築
決定したiPhone・iOSアプリの種類に応じて開発環境を構築していくステップです。具体的には、開発に必要なハードウェア / ソフトウェアをセットアップし、App Storeでアプリを公開できるように準備を整えていきます。
ネイティブアプリ / ハイブリッドアプリ / PWAごとに特徴が異なるため、選定したiPhone・iOSアプリによって必要な開発環境は異なります。
ネイティブアプリ・ハイブリッドアプリ・PWA開発ごとに必要な環境の詳細は、本記事の「iPhoneネイティブアプリ開発に必要な環境」「iPhoneハイブリッドアプリ開発に必要な環境」「PWA開発に必要な環境・開発言語」をご参照ください。
手順3:アプリの設計
画像引用:Figma
企画内容に従って、iPhone・iOSアプリに求められる機能・デザインを詳細に設計していくステップです。いきなり開発に取り掛かるのではなく、画面全体のデザインやボタンの位置、ボタンをタップした時の挙動、画面遷移などを事前に決め込んでからプログラミングするのが効率的。
目に見えるインターフェースやユーザーの操作に対するアクションを定義し、アプリの機能それぞれの内部仕様を詳細に定義します。オンラインで利用できる「Figma」のようなプロトタイピングツールを設計に活用するのもひとつの方法です。
手順4:アプリの開発(プログラミング)
完成した設計図に従って、iPhone・iOSアプリを開発(プログラミング)していくステップです。基本的には、分解されたモジュール単位でプログラミングを進め、モジュールを結合して、機能同士を結合してアプリへと仕上げていきます。設計フェーズで整理・分割・割り振られた機能を、詳細設計図をもとにプログラミング・実装していくのです。
例えば、iPhoneネイティブアプリ開発では、Xcodeの「Storyboard(ストーリーボード)」でインターフェースを作り、Swiftで機能のソースコードを記述していきます。
アプリ開発のプログラミング言語の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:【目的別】アプリ開発に最適なプログラミング言語の選び方と特徴を徹底解説
手順5:アプリのテスト
開発の完了したiPhone・iOSアプリが正常に動作するかテストして確認していくステップです。一般公開を前提としたプロダクトでは「リリース前のテスト」を実施し、不具合・バグを潰しておくことが必須です。個別にプログラミングされたモジュールをチェックする「単体テスト」、モジュール同士を結合して機能単位でチェックする「結合テスト」、機能を結合してアプリケーション全体をチェックする「総合テスト」という、3段階でテストされることが一般的です。
Xcodeには「公開できる形にパッケージングしたアプリ(ビルド)」をテストできる、iPhoneのシミュレーターが用意されています。ただし、あくまでもシミュレーターでのテストとなるため、実機でも動作に問題がないか、テスト用のiPhoneを用意して動作確認することが一般的です。
アプリテストの詳細は下記記事をご参照ください。タイトルが「システム開発」とありますが、アプリ開発と内容は変わりません。
関連記事:システム開発のテスト工程を徹底解説!システムテストと受け入れテストの違いは?
手順6:アプリの登録・公開(ネイティブ / ハイブリッドアプリ)
完成したiPhone・iOSアプリを、App Storeに登録・公開していくステップです。登録手続きを済ませてから公開までは、早くて1週間程度、長い場合は数週間を要することもあります。
当然、iPhone・iOSアプリの登録・公開ステップが必要なのは、ネイティブアプリ / ハイブリッドアプリのみ。iPhoneのブラウザ(Safariなど)からインストールできるPWAは、テストが完了すればすぐに公開できます。
アプリの審査の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:【iOS・Android】アプリの審査情報まとめ!審査手順や期間、基準を満たすためのポイントを解説
iPhone・iOSアプリのバックエンドはどうする?
iPhoneネイティブアプリの場合は、端末のみで動作が完結するアプリを開発可能です。しかし、プッシュ通知を実装したい、オンラインサービスも提供したいといったニーズもあるはず。こうしたオンラインサービスを提供するためには、バックエンド(サーバ)環境の構築が不可欠です。
そもそも、ハイブリッドアプリやPWAは「バックエンド環境」の構築を前提としています。すでにPHP / Rubyなどで構築されたサーバがあるのなら、REST APIなどで連携させる方法がありますが、新たにバックエンド環境を構築するなら「mBaaS」の活用がおすすめです。
mBaaSの活用がおすすめ
画像引用:Firebase
mBaaS(mobile Backend as a Service)とは、文字通り、モバイルアプリ向けのバックエンド環境をサーバレスで実現する仕組みのこと。mBaaSには、富士通が提供するクラウドサービス「二フクラ」、Googleのサーバレスサービス「Firebase」などがあり、ニーズに応じて選択可能。近年では、AWSのようにサービスを組み合わせて利用できる「Firebase」の人気が高まっているようです。管理・保守が不要なサーバレス環境であることをはじめとするメリットがあります。ただし、Firebaseは「ゼロからスクラッチ開発」するほどの自由度を持ち合わせていないことには注意しましょう。
Firebaseについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:アプリ開発を効率化するFirebaseとは?活用するメリット・注意点・アプリとの関係性を解説!
iPhone・iOSのアプリを収益化する方法
iPhone・iOSアプリで収益化するには、主に下記の方法が挙げられます。
- ダウンロードを有料にする
- アプリ内で課金システムを導入する
- アプリ内広告を表示させる
iOSアプリを収益化する手段として、まずダウンロードを有料にする方法が挙げられます。
無料提供が一般的なスマートフォンアプリに対し、有料アプリはダウンロードを促す難易度が高いものの、一度人気が出れば継続的な収益が期待できます。1回あたりの売上額は限られますが、ダウンロード数が増えれば収益も増加する傾向です。
iOSアプリの収益化には、アプリ内課金も有効な手段の一つです。
アプリ内課金とはアプリ内で追加コンテンツや機能を販売する仕組みで、無料ダウンロードでも収益化できます。典型的な例として、ゲームアプリ内で武器やアイテムを購入する際の課金システムが挙げられます。
またアプリ内に広告を表示することでも収益化が可能です。1件あたりの広告収益は少額ですが、多くの利用者へ広告を露出すれば、安定して収益が挙げられます。
ただし広告を過度に表示させると、ユーザーが離れる恐れがあるので注意が必要です。
iPhone・iOSアプリは自社開発可能?学習方法は?
iPhone・iOSアプリ開発に必要な環境を整えること自体はそれほど難しくありません。Macがやや高額という側面はあるものの、Xcodeが動作するなら中古品でも問題なく、ツール関連はほぼ無料で利用できるため、iPhone・iOSアプリの自社開発は決して難しいことではないでしょう。ただし、IDEやフレームワーク、プログラミング言語の習得は必須。納得のいくiPhone・iOSアプリを開発できるまでには、ある程度の期間と学習コストがかかることは認識しておくべきです。
学習方法としては、オンラインスクールの利用なども考えられますが、自身のペースで学べる書籍・本、公式チュートリアルでデモアプリの作成がおすすめ。アイデアをできる限り早く具現化したいという方は、ソースコードを書かずにiPhoneハイブリッドアプリ / PWAを作成できる開発ツールを活用するのもひとつの方法です。
公式チュートリアルでデモアプリを作成する
画像引用:Apple
公式のチュートリアルサイトには、入門者向けの解説も用意されています。解説を見ながら、実際に手を動かしてお試し的に作成できます。初心者には、画面を見ながら手を動かして操作・開発できるため、書籍での学習より実践的といえます。
iOSアプリ開発なら「App Dev Tutorial」「Swift Tutorial」がおすすめです。チュートリアルでの学習によって、画面遷移やアニメーション、デザインやレイアウトの設計なども学べます。
たった2日でマスターできるiPhone・iOSアプリ開発集中講座
画像引用:TICKLECODE
iPhone・iOSアプリ開発初心者向けに編集された入門書。最新のXcodeで導入された「SwiftUI」に対応した内容になっており、プログラミング言語を学ぶというよりはサンプルアプリも活用した実践を学べるのが特徴。とにかく最短でiPhone・iOSアプリを開発してみたいという方におすすめです。
詳解Swift第5版
画像引用:dブック
「iPhone・iOSアプリ開発講座」とは対照的に、Swiftというプログラミング言語の記法について、より踏み込んだ中級者向けの内容であるのが特徴。まだまだリファレンスといえるものが存在しない「SwiftUI」の記法についても考察されているなど、一通りiPhone・iOSアプリ開発の概要を理解できた方に向けた専門書です。
Monacaを利用したハイブリッドアプリ / PWA開発
画像引用:Monaca
「Monaca」は、アシアル株式会社が開発・提供するSaaS型アプリ開発プラットフォームです。APACHE CORDOVAをベースにしており、Android / iOS対応のハイブリッドアプリ / PWAなどを簡単に開発可能。アプリのビルドサービスやデプロイ(アプリの展開)サーバなども提供しており、自社開発チームの技術サポートを依頼することも可能です。
iPhone・iOSアプリ開発にかかる費用
「開発にはいくらかかるのか?」と気になった方もいるでしょう。本章では、内製の場合と外注の場合でのiPhone・iOSアプリ開発費用の相場を紹介します。
自社内(内製)の場合
社内の社員として在籍するエンジニア・プログラマーにアプリ開発をさせる場合は、基本的には彼らの給料がアプリ開発費用となります。会社にもよりますが月30~50万円程度となるでしょう。
これに加えて、必要に応じて開発用のパソコンの購入費用などが上乗せされます。
会社によっては、アプリ画面のデザイン作業のために、デザイナーの人件費も別途必要になることもあります。また、実際のアプリ開発を行うエンジニアやデザイナーのみならず、アプリの企画や要件定義・設計書作成、チームのディレクションなどの業務を行うマネージャー担当の人件費も必要となります。
さらに、アプリ開発の経験が少ないエンジニアがアプリ開発を担当すると、作業に慣れていないことが影響して、スケジュールが遅延したり修正工数が増えることもあります。
これを防ぐために場合によっては、経験のあるエンジニアの採用を行うこともあり、その採用コストも別途かかることもあるのです。
外注の場合
アプリの種類によって異なりますが、目安は下記になります。
アプリの種類 |
主な特徴や代表的なアプリ例 |
費用相場 |
EC系アプリ |
ECサイトをアプリ化するもの。 通常のECサイトには搭載できない機能が アプリによって有効になる。 例:ニトリなど |
200~300万円 |
ゲームアプリ |
文字通りアプリで遊べるゲーム。 コンシューマーゲームに劣らないほどに 遊べるアプリも多数リリースされている。 運用費など必要な費用がたくさんかかるため、 アプリ開発のなかでも高額な部類になる。 例:癒しのウーパールーパー育成ゲームなど |
800万円~ |
金融系アプリ |
銀行や投資用証券口座などのアプリ。 投資信託などの金融商品の取引に 気軽に対応できるメリットがある。 ただし、顧客の個人情報を大量に取り扱うため、 セキュリティ対策・運用保守などには |
1000万円~ |
メディア系アプリ |
ニュースを配信するアプリのみならず、 マンガアプリ、音声・ラジオアプリなども含まれる。 |
180万円~ |
店舗系アプリ |
飲食店や美容室などの店舗で リピーターの獲得のために スタンプ・クーポン配信・プッシュ通知などの機能が 搭載されたアプリ。 |
200万円~ |
管理ツール系アプリ |
タスクの管理・todo管理をするアプリ。 便利機能もある。 |
200万円~ |
SNS位置情報系 アプリ |
ランニング・歩いた距離に応じて 消費カロリーを計算するアプリ。 友達や家族のいる位置を 地図で表示するアプリなど。 |
300万円~ |
アプリ開発費用の内訳の大部分は人件費です。人件費および人月単価の相場は80~120万円程度となります。また、アプリ開発の依頼先が大手企業・中小企業・フリーランスによっても費用や開発期間が変わります。
外注費用を少しでも抑えるために、「外注する工程を限定して、内製で担当する工程を増やす」ことが挙げられます。すると、外注依頼工程が全て外注依頼することよりも少なくなります。例えば、アプリデザインの工程は外注すると70万円ほどかかるので、内製なら20万円ほどで対応できることもあります。
iPhone・iOSアプリ開発まとめ
「iPhone・iOSアプリ開発を検討しているが、どこから手をつけていいかわからない」という方に向け、本記事では、iPhone・iOSアプリの種類・開発方法・言語・環境・手順など、知っておきたいiPhone・iOSアプリ開発の全体像を解説しました。また、iPhone・iOSアプリを自社開発したい方に向けた学習のヒントも紹介してきました。
アイデアを形にするという意味でも、iPhone・iOSアプリ開発が楽しめるものであることには違いありません。しかし、法人にとって「アプリ開発自体がゴール」ということはあり得ないでしょう。最短でアプリ開発の目的を達成するためには、足りないリソースを外部に頼ることも必要。自社のみでは難しい知見が得られることも少なくありません。
※iPhone・iOSアプリの内製が難しい、優秀なアプリ開発会社にiPhone・iOSアプリ開発を依頼したいという方は、システム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適な開発会社をご紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
コンサルタントのご紹介
岩田
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Q. iPhoneアプリ開発に必要なものは何ですか?
iPhoneアプリ開発に必要なものとして「パソコン」「テスト用iPhone」「開発ツール」「AppleID」等が挙げられます。詳しい内容は記事内で解説していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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