- 更新日 2024.10.25
- カテゴリー 業務システム
基幹システムとは?業務システムやERPとの違い・解決できる課題・導入ポイントを解説【2024年最新版】
・基幹システムとは具体的にどんなシステム?業務システムとは違う?
・よく耳にするERPは基幹システムとは違うもの?
・基幹システムやERP導入でどのような経営課題を解決できる?
デジタル技術がビジネスを変革する概念「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が浸透した現代では、中小企業が競争力を高めるためにも、業務のシステム化推進が重要。しかし、どこから手をつけていいのか?そもそも基幹システムとはなにか?悩んでいる経営者の方は多いでしょう。
そこで本記事では、定義や具体例、解決できる経営課題、業務システムやERPとの違いなど、知っておきたい基幹システムの基本を徹底解説!基幹システム導入時に考慮しておきたいポイントも紹介していきます。
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基幹システムとは企業経営に不可欠なシステムのこと
企業・組織を運営していくためには、経営を支える基盤・根幹となる必要不可欠な業務(基幹業務)というものがあります。基幹システムとは、こうした企業経営に不可欠な個別の基幹業務をITで管理するシステム。
一般的には、以下のようなシステムが「基幹システム」として挙げられます。
・人事給与システム
・財務会計システム
・販売管理システム
・在庫管理システム
・生産管理システム
「人事」「財務」「販売」など、企業経営の重要な資源となる「ヒト」「カネ」「モノ」を管理するシステムが「基幹システム」に該当することがお分かりでしょう。基幹業務が停止すれば経営がストップしてしまうのと同じように、システムが停止すると経営がストップしてしまう重要なシステムが「基幹システム」に該当します。
基幹システムはビジネスモデルに応じて異なる
ただし、近年では「ヒト」「カネ」「モノ」以外に「情報・データ」が重要な企業資源と見なされる傾向があり、実際にシステム開発など「モノ」を扱わないビジネスモデルを基本とする業種もあります。
どのような企業でも人事・財務・会計などは基幹業務ですが、業種や企業個々のビジネスモデルによって何が基幹業務に該当するかは異なります。つまり、基幹システムの定義は固定されたものではなく、企業の基幹業務に応じて異なるものだといえるでしょう。
たとえば、プロジェクト単位で営業案件を進める業種、商材ではなくサービスを提供する企業などであれば、在庫管理システムは基幹システムとはなりません。商材を仕入れて販売するビジネスモデルであれば、生産管理システムは必要ありません。
基幹システムが解決できる経営課題
経営に必要不可欠な基幹業務をシステム化した基幹システムは、企業・組織が抱えがちな経営課題を解決する効果・メリットが得られます。
基幹業務を効率化
基幹システムを導入・活用することで、これまで人手の介在が必要だった個別の基幹業務を効率化でき、人為的なミスの削減も期待できます。
たとえば、紙やExcelを使った在庫管理では、入庫・出庫にともない商品データを手入力で追記・転記する必要があります。しかし、ハンディターミナルを活用した在庫管理システムであれば、バーコードをスキャンするだけです。入力ミスを削減できるだけでなく、工数削減・作業時間の短縮による効率化を実現できます。
在庫管理システムがそもそもどのようなシステムかについては、下記記事をご参照ください。
※関連記事:在庫管理システムとは?種類・メリット・導入ポイント・おすすめのツールや開発会社を紹介!
基幹業務の標準化・品質向上
基幹システムの導入・活用は、手順があいまいになりがちな基幹業務の標準化を促進し、結果的に業務品質を向上させることにも役立ちます。
基幹業務がシステム化されていない場合、担当するスタッフに応じて手順や結果にばらつきが生じることが少なくありません。基幹システムでロジカルに業務手順を整理すれば、誰が担当しても同じ結果を期待できます。経験・スキルなどの属人的な要素も排除できるため、組織全体の業務品質も高められるでしょう。
コア業務への集中・生産性向上
基幹システムの導入・活用は、業務効率化・標準化・品質向上によって、余裕の生じた人的リソースをコア業務へ割り振れます。結果的に、生産性の向上につながるという効果が得られるのです。
生産性向上をビジネスの成長・拡大につなげられれば、デメリット面としてあげられることのある導入コストも問題ではありません。
基幹システムと業務システムの違い
一方、基幹システムとは別に「業務システム」という言葉が使われる場合があります。「基幹業務」をシステム化したものという意味では、基幹システムも業務システムだといえます。しかし、あえて分けて表現する場合の業務システムは「基幹システム以外の業務システム」です。
一般的には、以下のようなシステムが「業務システム」として挙げられます。
・グループウェア※
・スケジューラー
・文書管理システム
・ビジネスチャット
・営業支援システム(SFA)
※グループウェアネットで情報共有やコミュニケーションをができて業務効率を上げるツール(例:メール機能、会議室予約システムなど)
主に社内外の情報共有やコミュニケーション促進、事務処理の効率化に活用されるシステムが「業務システム」に分類されていることがお分かりでしょう。このため、業務システムのことを「情報系システム」と呼ぶ場合もあります。
システムが停止すると経営がストップしてしまう基幹システムに対し、システムが停止しても経営に深刻な影響を与えにくいものが「業務システム・情報系システム」だと考えれば間違いありません。
基幹システム・業務システム比較表
基幹システム |
業務システム・情報系システム |
|
具体的なシステム例 |
・人事給与システム ・財務会計システム ・販売管理システム ・在庫管理システム ・生産管理システム |
・グループウェア ・スケジューラー ・文書管理システム ・ビジネスチャット ・営業支援システム(SFA) |
定義 |
個別の基幹業務を効率化するシステム |
基幹業務以外の業務を 効率化するシステム |
特徴 |
システムが停止すると 経営がストップしてしまう |
システムが停止しても経営に 深刻な影響を与えない |
基幹システムとERPの違い
基幹システムと混同して使われる場合のある「ERP」についても理解しておく必要があります。
企業資源計画という意味を持つ「ERP(Enterprise Resource Planning)」は、企業資源を扱う基幹システムのデータを「マスターデータベース」に集約し、ビジネスを計画的に成長させていくために活用されるシステムです。
基幹システムに該当するすべてのアプリケーションが、マスターデータベースに集約された情報を参照しています。ERPが「統合基幹システム」「基幹業務システム」と呼ばれることがあるのはこのためです。
ERPが解決できる経営課題
基幹業務を効率化するという意味では、基幹システムもERPも同じ。しかし、基幹システムが個別の基幹業務合理化・効率化を目的としているのに対し、ERPの真の目的は経営資源の戦略的活用です。当然、基幹システムでは解決できない経営課題を解決するためにERPが導入されるのだといえます。
点在していた業務データの集約・可視化
ERPの導入によって、社内に点在したまま活用することの難しかった業務データを集約・統合でき、組織の経営状態をリアルタイムに可視化する環境を構築可能です。
【データの可視化のイメージ】
※画像引用:SAP Business ByDesign
これは、すべてのアプリケーションがマスターデータベースで一元管理されるユニークデータを参照するため。データの変更はリアルタイムですべてのアプリケーションに反映され、あらゆる角度からビジネス全体の動きを分析・確認できます。
データにもとづいた正確・スピーディーな経営判断
一元管理された業務データをもとに、経営状態・ビジネス全体の動きを可視化するERPは、正確かつスピーディーな経営判断を下すための有益な企業の最新状況や最新情報などを与えてくれます。これは、急激に変化する市場動向への即応性が求められる現代において、企業経営者がもっとも解決したい課題だといえるでしょう。
もちろん、基幹システムが経営判断を下す材料を提供できないわけではありませんが、あくまでも「業務視点」での情報に過ぎません。ERPの導入価値は、自社が置かれている現在の状況・未来の予測を経営視点・全体視点から提供してくれることにあるのです。
※基幹システムの開発を得意とする開発会社を探している方、パッケージやサービスの選び方がわからないという方は、システム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適なツールや開発会社をご紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
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基幹システム導入時に注意すべきポイント
ここまでで、基幹システムの概要、業務システムやERPとの違い、解決できる経営課題などとともに解説してきましたが、これから自社業務のシステム化を検討している企業であれば、優先すべきは基幹システムもしくはERPです。それは、基幹システム・ERPの対象が、企業経営に不可欠な基幹業務であることからも明らか。
それでは、基幹システム・ERPを導入する際には、どのようなポイントに注意しておくべきなのでしょうか?以下から簡単に解説していきます。
システム化の目的・範囲を明確にする
まずやるべきは、自社業務をシステム化する目的、システム化の範囲を明確にすること。そのためには、自社業務の全体像を整理し、解決すべき課題を洗い出して、どんな業務のシステム化を優先させるべきかを検討しなければなりません。システム化の目的・範囲があいまいなままだと、基幹システムの剪定を誤ってしまう場合もあるからです。
たとえば、販売管理システムとひとことにいっても、業種によっては在庫管理機能が必要な場合もそうでない場合もあります。選択を誤ると、必要な機能がない、使わない機能があるシステムを使い続けることになってしまいます。
下記記事では、おすすめの販売管理システムを紹介して比較しているので、ご参照ください。
※関連記事:販売管理システム11選比較|ニーズごとのおすすめサービスや比較ポイントも解説!
データ活用・システム連携を考慮する
最優先すべきシステム化の目的が「正確かつスピーディーな経営判断」であれば、ERPの導入が選択肢に入ってきますが、予算の関係でスモールスタートしたい場合もあるでしょう。こうしたケースでは、優先度の高い基幹業務を管理してくれるシステムから導入していくことになりますが、選定にあたっては将来的なデータ活用・システム連携を考慮に入れることが重要です。
たとえば、国産ERPとして知られる「GRANDIT」は、ワークフロー・BIなどを搭載したコアをベースに、「経理・資産・経費」「人事・給与」「販売・調達在庫・製造」などのモジュールを自在に組み合わせ可能です。現在の課題だけではなく、将来的なゴールも念頭に置きつつ、基幹システムの導入を検討していくことがポイントです。
基幹システムの導入形態・特徴を把握する
基幹システムを新規導入するにしても、既存システムをリプレイスするにしても、導入形態は重要なポイント。基幹システムにどのような導入形態があるのか、それぞれの特徴はなにかを把握しておくことが大切です。
パッケージ(オンプレミス・クラウド)
システムベンダーが開発・提供する基幹システム・ERPを、自社サーバに設置して活用する(オンプレミス型)、あるいはAWS / Azureなどのパブリッククラウドに設置して活用する(クラウド型)タイプが「パッケージ」です。
基幹システムであれば販売管理・在庫管理システムの「Aladdin Office(アラジンオフィス)」、人事システムの「COMPANY」などが、ERPであれば「SAP Business One」「ORACLE NetSuite」「GRANDIT」などが代表的なパッケージ製品です。
パッケージ製品は、多機能かつさまざまな企業規模に対応できる傾向があり、個々の企業ニーズに応じてカスタマイズできる場合も少なくありません。ただし、ライセンス買取やサーバ構築・用意は自社で行う必要があるため、初期費用を含むコストは比較的高額になりがち。クラウド活用であれば初期費用は抑えられますが、利用した分だけのランニングコストがかかります。
SaaS
システムベンダーがクラウド環境に構築したアプリケーションを、インターネット経由で活用するタイプの基幹システム・ERPが「SaaS(Software as a Service)」です。
基幹システムであれば在庫管理システムの「ZAICO」「ロジクラ」、販売管理システムの「Aladdin Cloud Solution」、人事システムの「POSITIVE on CLOUDiS」「SmartHR」などが、ERPであれば「Microsoft Dynamics 365」「ZAC」などが代表的なSaaS製品です。
すでに構築されているアプリケーションを利用する仕組みを持つため、SaaS製品はパッケージに比べて機能が限定される傾向があり、カスタマイズにも対応できない場合がほとんど。一方、初期費用や月額費用を抑えられるため、予算が少ない企業でも導入しやすいメリットがあります。
どのシステムを選べばいいか迷う方は、在庫管理システム、人事システム、販売管理システム、基幹業務システムそれぞれのおすすめを比較した記事もございますので、ご参照ください。
※関連記事:在庫管理システム比較11選|比較ポイントは「商品の特性」
※関連記事:人事システム12選比較|タイプ別おすすめサービスや比較のポイントも解説!
※関連記事:販売管理システム11選比較|ニーズごとのおすすめサービスや比較ポイントも解説!
※関連記事:基幹業務システムおすすめ11選比較|導入メリット・ERP選定のポイントも解説!
スクラッチ開発
既存のシステムでは自社業務に最適化できない、独自性の高い業務をシステム化したいといったニーズがある場合は、基幹システム・ERPをスクラッチ開発する方法もあります。ゼロからプログラムを書くスクラッチ開発であれば、事実上の制限なしに理想のシステムを構築できるでしょう。
ただし、開発・構築コストはもっとも高額です。フレームワークなどを活用することで多少コストは抑えられますが、それなりの予算は確保しなければなりません。
スクラッチ開発の相場は、システムの規模によりますが、少なくとも300万円以上。大規模システムの開発ともなれば数千万円規模におよぶ場合も珍しくありません。
ITリソースを保有する企業であれば、ノーコード開発ツール「Claris FileMaker」を活用して販売管理・在庫管理システムを構築するのもおすすめ。「Odoo(オドゥー)」「iDempiere(アイデンピエレ)」などのオープンソースERPを活用する方法もあります。
社内にシステム開発のリソースがある場合、在庫管理システムを自作する方法もあります。詳細は下記記事をご参照ください。
※関連記事:在庫管理システムは自作できる?Excelの限界・FileMakerを活用した作り方を解説!
基幹システムとはまとめ
競争力を高めるために業務のシステムを推進したいが、どこから手をつけていいかわからない、そもそも基幹システムがなにかよくわからないという方に向け、本記事では、定義や具体例、解決できる経営課題、業務システムやERPとの違いなど、知っておきたい基幹システムの基本を解説してきました。
自社に最適な基幹システムを導入するためには、システム化の目的・範囲を明確にしておくことがなによりも重要。そもそも基幹業務は企業ごとに異なるうえ、業務視点で効率化を図るのならば個別の基幹システム、経営視点で全体最適化を図るのならばERPと、目的・範囲によって最適解も異なるからです。
※基幹システムの開発を得意とする開発会社を探している方、パッケージやサービスの選び方がわからないという方は、システム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適なツールや開発会社をご紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
Q. 基幹システムとは何ですか?
基幹システムとは、企業経営に不可欠な基幹業務をITで管理するシステムのことです。一般的には「人事給与システム」「財務会計システム」「販売管理システム」「在庫管理システム」「生産管理システム」が基盤システムとして挙げられます。
Q. 基幹システムのメリットは?
基幹システムのメリットは「工数削減・作業時間の短縮による効率化を実現できる」「手順があいまいになりがちな基幹業務の標準化を促進し、結果的に業務品質を向上させる」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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