システムリニューアルの進め方・行うべきタイミングを解説【2024年最新版】

システムリニューアルの進め方・行うべきタイミングを解説!

ハードウェアはもちろん、無形のソフトウェアにも寿命があります。「そろそろ自社システムのリニューアルを検討した方がいいのでは?」と感じているIT担当者の方であれば、以下のようなことを知りたいはずです。

・システムリニューアルを検討すべきタイミングは?
・システムリニューアルにはどんな方法・パターンがある?
・システムリニューアルの進め方は?

本記事では、タイミングやリニューアルの方法、プロジェクトを成功させるためのポイント・進め方など、知っておきたいシステムリニューアルの基本を解説していきます。

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目次
  1. 1. システムリニューアルのタイミング
  2. 2. システムリニューアルの方法
    1. 2-1. 再構築・リプレース
    2. 2-2. 改修・カスタマイズ
    3. 2-3. 注意点
  3. 3. システムリニューアルの進め方
    1. 3-1. システムの現状・業務フローの洗い出し
    2. 3-2. システムリニューアルの方針を決める
    3. 3-3. システムリニューアルの要求をまとめる(要求定義・RFP)
    4. 3-4. システム開発会社の選定
    5. 3-5. 要件定義
    6. 3-6. 基本設計・詳細設計
    7. 3-7. 開発・実装
    8. 3-8. テスト
    9. 3-9. 運用・保守
  4. 4. システムリニューアルを成功させるポイント
    1. 4-1. 経営・事業計画からブレイクダウンする
    2. 4-2. 現場の意見を反映させすぎない
  5. 5. システムリニューアルまとめ

システムリニューアルのタイミング

まず、検討するタイミングとして考えられるのは、主に以下の4つ

・ソフトウェア/ ハードウェアのサポートが終了する
・外部システムとの連携・整合性が取れなくなっている
・業務フローの変化にシステムが対応できなくなっている
・事業拡大にあわせたシステムのスケーリングができない

とくにソフト・ハードウェアのサポートが終了すると、OS側のアップデートなどの影響でシステムが動かなくなったり、セキュリティ問題が生じる恐れがあります。

IT担当者の方がシステムリニューアルを意識すべきタイミングが、必ずしも「サポート切れ」に代表される「稼働期間」だけではないことがおわかりでしょう。もちろん、高額なコストをかけて構築したシステムは、できれば長く使いたいのが実情でしょう。少し古い情報になりますが、日本情報システム・ユーザー協会の調査によれば、基幹業務システムのライフサイクルは約13.6年。業務に変更がない限り既存システムを使い続けたいという声も多いようです。

システムリニューアルのタイミング

画像引用:日本情報システム・ユーザー協会

システムベンダーやSIerなどの認識は「基幹業務システムのライフサイクルは10年未満」であり、依頼側の願望とは大きくかけ離れています。リニューアルを検討するシステムにもよりますが、10年間を目処に「事業の状況を見極めながら」システムリニューアルを意識していく必要があるのです。

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システムリニューアルの方法

システムリニューアルの方法

それでは、システムリニューアルするためには、どのような方法・パターンがあるのか。システムリニューアルといった場合「再構築・リプレース」「改修・カスタマイズ」という、2つの方法・パターンが考えられます。

再構築・リプレース

再構築・リプレースとは、ハードウェア / ソフトウェアを含め、すべてを新しく入れ替えるシステムリニューアルのこと。一般的には、既存システムの改善点を踏まえて新たなシステムを開発し、データ資産を移し替えていくことになります。主に、改修・カスタマイズでは対応できない下記のような場合に採用される方法です。

・サポート切れ
・業務フローの変化にシステムが対応できなくなっている
・事業拡大にあわせたシステムのスケーリングができない

システムを一新するため、将来的な事業計画にマッチさせやすい、最新の技術を採用することでセキュリティやパフォーマンスを高められる、運用・保守の負荷を減らせるなどのメリットが得られるでしょう。システムリニューアルの手法も、ニーズに応じてスクラッチ開発、パッケージ開発を選択できます。

スクラッチ開発とは、オリジナルのシステムを「ゼロから」開発すること。自社に最適化されたオーダーメイドのシステムを制作したいときに活用されます。業務課題解決に最適なシステムを自由に開発できる・システムの機能要件を最適化しやすいなどのメリットがあります。

パッケージ開発とは、主に既存パッケージ製品を自社の要件にあわせてカスタマイズすること。開発コストを抑えやすい・開発期間を短縮できるなどのメリットがあります。

スクラッチ開発・パッケージ開発についてより詳しく知りたい方は、各記事をご参照ください。
関連記事:スクラッチ開発とは?知っておきたいシステム開発の基本・構築方法の違いや選び方を解説!
関連記事:パッケージ開発とは?メリット・デメリット、スクラッチ開発との違い・選び方のポイントを解説!

改修・カスタマイズ

ただし、再構築・リプレースでシステムリニューアルする手法には、開発遅れをはじめとしたリスクがつきまとい、コストも高額であるデメリットがあります。システムに不都合はあるものの、対応できないほどではない場合であれば、既存システムの一部を改修・カスタマイズするリニューアル手法もあります。

たとえば、オンプレミスで運用しているシステムをクラウド環境に移行し、ハードウェアの不安要素をなくすなどが可能。ソフトウェアの一部を書き換えるだけであれば、リスク・コストを抑えたシステムリニューアルが可能であり、開発期間も短縮できるメリットが得られるでしょう。

一方、改修・カスタマイズによるシステムリニューアルは、単なる「延命措置」にしかなりません。どこかのタイミングで、必ずリプレースによるシステムリニューアルが必要になると考えておくべきです。

注意点

注意点

ベンダーの変更は追加コストが必要

システムリニューアルを外部のシステム開発会社に委託する場合、従来のベンダーから新たなベンダーに変更したいというのはよくあること。プロジェクトがスムーズに進まなかった、サポートが不充分、会社自体がなくなってしまっているなど、既存のベンダーに不満を持つ企業は少なくないからです。

しかし、再構築 / 改修どちらの手法でシステムリニューアルするにしても、従来の開発ベンダーからの変更を検討しているのなら、追加コストが必要になると考えておいた方がいいでしょう。これはシステム開発を進めるにあたって、新しいベンダーが既存システムの内部構造を調査する必要があるからです。

仮に既存システムのドキュメントがすべて保管されていても、内容が本当に正しいかどうかは実際に調査してみなければわかりません。カスタマイズやアップデートによって変更されている可能性も含め、どうしても調査費用はかかります。

改修・カスタマイズがリプレースコストを上回ることもある

改修・カスタマイズは、利用する側から見れば一部機能が対象になりますが、システムの内部では機能単位のプログラムが全体に大きな影響を与えることもあります。関連するプログラムを改修・カスタマイズしていたらリプレースコストを上回ってしまったということもあり得るため、注意が必要です。

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システムリニューアルの進め方

システムリニューアルの進め方

システムリニューアルするには、どのようにプロジェクトを進めていけばいいのか。具体的なステップを日本でもっとも一般的なシステム開発手法「ウォータフォール型」に沿って紹介していきます。

ウォーターフォール型システム開発の詳細は、下記記事もご参照ください。
関連記事:ウォーターフォール型システム開発とは?開発工程・メリット・アジャイル型との違いを解説!

システムの現状・業務フローの洗い出し

将来的なビジョンからシステムリニューアルの目的・ゴールを策定するのと同時に、既存システムの現状および業務フローを洗い出して整理します。現場の意見を吸い上げることも重要ではありますが、あくまでも現状を把握することに徹するのがポイントです。具体的には、洗い出した新規業務フローなどからシステム化するもの・しないものを選別していきます。

システムリニューアルの方針を決める

既存システムの現状と将来的に求められるあるべき理想の姿を比較し、システムリニューアルの方針・方向性を定めていきます。現状と比較して、あるべき理想の姿がどのくらいかけ離れているのかを把握できれば、再構築か改修かの判断をしやすくなります。

また、システムリニューアルの目的・ゴールに立ち返ったうえで、譲れるもの・譲れないものの優先順位を付けていくことも重要です。

システムリニューアルの要求をまとめる(要求定義・RFP)

システムリニューアルの要求をまとめる(要求定義・RFP)

要求定義とは、発注者の目的やニーズをヒアリングしたうえで「開発するシステムに何を求めるのか」を具体化する工程のこと。

システムリニューアル後の業務フローはどうあるべきかの将来的なビジョンも加味しながら、理想の業務フローを設計していきます。現状の業務フローと比較して、あるべき理想の業務フローが明確であれば、システムにどのような機能が必要なのかも把握できるからです。

システムリニューアルの目的・ゴール、理想の形と現状の差異、それを埋めるためにシステムにどのような機能を求めるのか、運用・保守体制なども含め、ここまでの内容を要求定義書・RFPとしてまとめていきます。RFP(Request For Proposal)とは、文字通り「提案依頼書」のこと。

自社だけで要求定義書・RFPを作成するのが難しい場合は、外部のシステム開発会社やコンサルタントに協力を仰ぐことも可能。ただし、あくまでも要求定義プロセスまでは「依頼側の責任」であるのが基本です。

要求定義の詳細は下記記事もご参照ください。
関連記事:システム開発における要求定義の重要性|要件定義との違いや要求定義の実態・改善ポイントを解説!

RFPの詳細は下記記事もご参照ください。
関連記事:RFPとは?システム開発の質を高める提案依頼書の作り方を解説!【サンプルあり】

システム開発会社の選定

候補となる数社に「要求定義書・RFP」を提出し、集まった提案書・見積書を精査して最終的な依頼先となるシステム開発会社を決定します。しっかりとした要求定義書・RFPが作成できていれば、同一の条件で提案・見積もりを依頼できるため、各社の提案力を比較しやすいメリットが得られます。のちのちのトラブルを避けるため、最終的な契約を結ぶ前に契約書の内容もしっかり確認しておく必要があります。

システム開発会社との契約についてより詳しく知りたい方は、下記記事もご参照ください。
関連記事:システム開発の契約とは?契約形態・契約書の注意点を解説!

また開発会社を選ぶ際は、開発会社に下記のことを聴くことがおすすめです。

・リニューアルしたいシステムに近い実績はあるか
・開発会社の得意分野と一致しているか
・納品後のゴールも見てくれるか

システムのリニューアルは費用も高額で何ヶ月もかかります。下記記事をご参照いただき、失敗がないようにポイントを押さえてください。
関連記事:システム開発会社の選び方7ポイント!依頼の準備と注意点も解説

※システムリニューアルに豊富な実績のある優秀なシステム開発会社を探してほしい方は、システム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適なシステム開発会社をご紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。

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要件定義

システムリニューアルプロジェクトは、ここから選定したシステム開発会社との協働となります。要求定義書で求められている業務要件を、システムでどのように実現していくのか、システムに求められる技術的な要件を定義していく「要件定義」のフェーズとなります。

要件定義とは「どんなシステムにするのかを見える化すること」。発注者の希望を叶えるために必要な機能などを明確にする作業です。具体的には下のような項目を決めます。

・開発目的
・ターゲット
・予算
・必要な機能
・用いられる技術
・スケジュール(納期)
・必要な人員(工数)
・実装手順

ウォータフォール型システム開発でもっとも重要なのが要件定義フェーズであり、要件定義の段階で依頼側 / 開発側の認識にズレがあると、そのあとの行程すべてに影響が及んでしまいます。基本的に要件定義書を作成するのは開発側の仕事ですが、依頼側の積極的な関与が欠かせません。

要件定義についてより詳しく知りたい方は、下記記事もご参照ください。
関連記事:システム開発の要件定義とは?受託開発における重要性や進め方を解説!

基本設計・詳細設計

基本設計・詳細設計

要件定義書をもとに、リニューアルするシステムを設計していく「設計」フェーズに移ります。具体的には、システムの機能・構成など、外部からシステムを見た場合の大枠・概要を設計していくのが「基本設計」フェーズ、システムに必要な機能の内部仕様を具体化していくのが「詳細設計」フェーズです。

詳細設計書は、事実上「エンジニア / プログラマー向けの指示書」に近いため、依頼側がタッチすることはほぼありません。一方の基本設計書は、ユーザーが直接操作するUI(ユーザーインターフェース)や画面遷移図なども作成されます。どちらもシステム開発会社の主導で作成されますが、依頼側が関与できるのは「基本設計」フェーズまで。認識のズレを修正する最後のチャンスだと思って関わっていきましょう。

基本設計・詳細設計についてより詳しく知りたい方は、下記記事もご参照ください。
関連記事:システム開発の基本設計とは?その位置付け・重要性・発注者としての関わり方を解説!
関連記事:システム開発の詳細設計とは?プロジェクトの位置付け・役割をわかりやすく解説!

開発・実装

リニューアルするシステムを開発・実装していくフェーズです。システムを機能に分解し、機能をモジュールに分解したうえで、詳細設計書に従ってそれぞれのプログラミングが進められていきます。

テスト

開発・実装されたプログラムをテストし、設計図通りに動作するかを確認していくフェーズです。個別にプログラミングされたモジュールをチェックするのが「単体テスト」、モジュールを結合して機能単位でチェックするのが「結合テスト」、システムとして組み上げて要件定義書通りに動作するのかをチェックするのが「システムテスト」。

最終的に本番環境にデプロイ(展開する)されたシステムが、要求定義書通りに動作するか、依頼側の責任でチェックするのが「受け入れテスト」です。テスト段階でバグや欠陥が見つかった場合は、開発チームが修正して再テストを行い、実装レベルまで達しているかを確認します。

上記のテスト工程に発注者が関わることは少ないですが、詳しい内容を知りたい方は下記の記事を参考にしてください。

関連記事:システム開発のテスト工程を徹底解説!システムテストと受け入れテストの違いは?

運用・保守

完成したシステムを安定的に稼働させていくために必要な「システム運用・保守」フェーズです。「運用」とは、システムを問題なく稼働させること、「保守」とは、システムを改修・修理・調整すること。
運用・保守では、主にシステム・ネットワークが正常に稼働するように機器や設備を監視したり、機器の稼働状況やメモリの使用・残りの空き容量などを確認します。システムに異常が発生したときに記録をとることも行います。

近年ではAWS / Azureなどのパブリッククラウド活用が広がっているため、ハードウェア面での不安は少なくなりましたが、運用・保守の必要がなくなったわけではありません。必ずしも開発を担当した会社に依頼する必要はないものの、要件定義フェーズで必ず取り上げておきたい項目です。

システム開発の運用・保守についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:システム運用とは?作業内容、保守との違い、運用会社選びの重要ポイントをわかりやすく解説

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システムリニューアルを成功させるポイント

システムリニューアルプロジェクトを成功させるポイント

再構築や改修するにしても、システムリニューアルにはコストがかかります。投資を無駄にしないためにも、システムリニューアルプロジェクトを成功させるためのポイントを押さえて計画を進めていく必要があるでしょう。

経営・事業計画からブレイクダウンする

もっとも重要なポイントは、経営計画・事業計画を含めた会社の将来的なビジョンを確認し、そこからブレイクダウンする形でシステムリニューアルの目的・ゴールを設定すること。システムはあくまでも会社のビジョンを実現するための「仕組み・手段」であり、リニューアルすること自体が目的・ゴールにはなり得ないからです。

たとえば、会社のビジョンによっては、現状の業務プロセスを変更する必要も出てきます。それを見据えてシステムリニューアルを計画しなければ、将来的に業務にそぐわない、使われないシステムが出来上がってしまいかねません。基幹システムリニューアルであれば、ライフサイクルである10年後のビジョンを反映させた目的・ゴールの明確化が必要です。

現場の意見を反映させすぎない

一般的に、現場の意見は「現行システムの改善」「改善による業務効率化」に集約される傾向にあります。しかし、システムリニューアルの目的・ゴールは、あくまでも将来的なビジョンの実現であり、目先の改善・効率化とイコールになるとは限りません。システムリニューアルの方向性がブレないように、現場の意見は「現状把握」にとどめておくことがポイントです。

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システムリニューアルまとめ

システムリニューアルを検討しているが、プロジェクトをどのように進めるのがベストなのかわからないという方に向け、本記事では、タイミングやリニューアルの方法、プロジェクトを成功させるためのポイント・進め方など、知っておきたいシステムリニューアルの基本を解説してきました。

システムは、あくまでも会社のビジョンを実現するための「仕組み・手段」に過ぎません。それはシステムリニューアルでも同じこと。それを理解したうえで、自社に寄り添った提案をしてくれる、優秀なシステム開発会社を選定することが重要です。

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Q. システムリニューアルのタイミングは?

システムリニューアルのタイミングとして、主に「ソフトウェア・ハードウェアのサポートが終了する」「外部システムとの連携・整合性が取れなくなっている」等が挙げられます。それぞれの内容は記事内で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

Q. システムリニューアルを成功させるポイントは?

システムリニューアルの進めを始めるポイントは「経営・事業計画からブレイクダウンする」「現場の意見を反映させすぎない」等が挙げられます。詳しくは記事をご覧ください。