システム開発の予算取りの方法は?費用相場や見積もりの方法を紹介

社内でシステム開発を行うことになり、予算取りに着手するも具体的な方法がわからないとお悩みではないですか?

本記事では、システム開発の予算取りの方法を解説します。システム開発の予算を決める流れや押さえておくべきポイントがわかりますので、ぜひご覧ください。

なお、システム開発会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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目次
  1. 1. システム開発の予算取りとは?
  2. 2. システム開発の予算取りで押さえておくべきポイント
    1. 2-1. システム開発の目的を明確にしておく
    2. 2-2. 必要な機能を明確にしておく
    3. 2-3. システム開発の費用相場を把握しておく
    4. 2-4. リスクを考慮して予備費を組んでおく
  3. 3. システム開発の費用相場
    1. 3-1. 基幹システム
    2. 3-2. 顧客管理システム
    3. 3-3. Webシステム
  4. 4. システム開発にかかる費用の内訳
    1. 4-1. 開発にかかる「人件費」
    2. 4-2. 設備費やソフトライセンス料などの「諸経費」
    3. 4-3. 【注意】運用・保守費用も検討しておく
  5. 5. 売上高に対するIT予算の配分の目安
  6. 6. 【参考】システム開発の見積もり手法
    1. 6-1. トップダウン
    2. 6-2. ボトムアップ
    3. 6-3. パラメトリック見積もり
    4. 6-4. プライスツーウィン法
  7. 7. 【まとめ】システム開発の予算取りの方法を紹介しました

システム開発の予算取りとは?

予算取りとは、社内で予算の約束を取り付けることを指します。企業の予算は、役員などの幹部が中心に行う予算会議等で「来期はこれだけの予算を使ってもよい」という決定が行われ、来期の予算として組まれるという流れが一般的です。

システム開発を外注する場合、担当者が経営層に向けて「このような予算計画を組みました」と示して予算を確保するのが一般的です。本記事では、システム開発部門の担当者が、予算取りのために予算を組む必要がある場合を想定して説明を進めます。

システム開発の予算取りで押さえておくべきポイント

システム開発の予算取りで押さえておくべきポイント

まずはシステム開発の予算取りを失敗しないために、押さえておくべきポイントを確認しておきましょう。

システム開発の目的を明確にしておく

予算を組む前に、まずはシステム開発の目的を明確にしましょう。目的が定まっていなければ、システムに必要な機能や仕様を見極めることができません。システムの全容が見えていない状況では、当然予算は組めません。

システム開発を外注する場合、システム開発会社にRFP(提案依頼書)という文書を提出して、見積もりや提案を受けるのが一般的。RFPを作る上でも、システム開発の目的を定めておくことは大切です。
関連記事:RFPとは?要件定義書やRFIとの違い・書く内容・作り方解説サンプル付【2024年最新版】

目的は、以下のようにできるだけ具体的に定めるといいでしょう。

  • 顧客データをシステムで一元管理することで営業効率を向上させる
  • 勤怠管理システムを導入して勤怠管理の工数を1/2削減する

目的が具体的なほど、機能や仕様も決めやすくなります。適切な予算を組むためにも、大切な工程です。

必要な機能を明確にしておく

システムに必要な機能も明確にしておきましょう。システム開発にかかる費用は、主にエンジニアやプログラマーなどの人件費です。どれだけ人件費がかかるかは、システムの種類や必要な機能によって異なります。そのため、自社が求める機能を明確にしておくことが必要です。

  • 販売管理や在庫管理など一般的な販売管理システムの機能を搭載したい
  • 既存の会計システムと連携したい
  • 納期管理の機能は不要

上記は販売管理システムを開発する場合の一例ですが、必要な機能と不要な機能、どちらも明確にしておくといいでしょう。

システム開発の費用相場を把握しておく

システム開発の費用相場を把握しておくことも大切です。費用相場がわかっていなければ、見積もりした費用が妥当な金額か判断できず、見当違いの金額で予算取りへと進んでしまうかもしれません。適切な見積もりを行うためにも、システム開発の費用相場は確認しておきましょう。費用相場については本記事の「システム開発の費用相場」の箇所で詳しく解説します。

リスクを考慮して予備費を組んでおく

予算を組む際は、リスクを考慮して予備費を組んでおくといいでしょう。システム開発では、仕様変更や不具合対応などにより、スケジュールの遅延が起こることも珍しくありません。こうしたトラブルが発生した場合、追加で費用が発生する可能性があります。予期せぬトラブルが発生する可能性も踏まえて、余裕を持った予算組みをしておくのが賢明でしょう。

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システム開発の費用相場

システム開発の費用相場を開発形式ごとに示すと、以下の通りです。

  • ツール導入:10万円前後
  • ツールを自社用にカスタマイズする:50万円~300万円程度
  • ゼロからのシステム開発(スクラッチ開発):300万円~数千万円

また、システムの種類によっても費用相場は異なります。本記事では需要の高い「基幹システム」「顧客管理システム」「Webシステム」の費用相場を解説します。

基幹システム

楽楽販売

画像引用元:楽楽販売

基幹システムとは、販売管理や財務会計など、企業の業務の中でも必須である業務を一元管理して、効率化するためのシステムのこと。基幹システムの費用相場は、以下の通りです。

システムの種類

開発形式

費用相場

基幹システム

・販売管理

・生産管理

ツール導入

10万円前後/月〜

ツール+カスタマイズ

100万円以上

スクラッチ開発

500万円以上

・人事管理

・財務会計

ツール導入

月額1万円〜

ツール+カスタマイズ

60万円〜

スクラッチ開発

300万円以上

同じ基幹システムでも、販売管理や生産管理のシステムは業務の複雑性や重要性が高いため、人事管理や財務会計のシステムより費用相場が高くなります。スクラッチ開発の場合、実現したい機能が多いほど費用は高額になり、数千万円規模の開発費用がかかる場合もあります。

顧客管理システム

Zoho CRM

画像引用元:Zoho CRM

顧客管理システムとは、顧客管理や営業管理など、特定の業務を効率化するためのシステムです。

業務支援システムの費用相場は、以下の通り。

システムの種類

開発形式

費用相場

顧客管理システム

ツール導入

5万円前後/月

ツール+カスタマイズ

50万~200万円

スクラッチ開発

400万円以上

基幹システムよりも相場は低めで、基幹システムの80%ほどが目安です。

また、顧客管理システムは一般的に以下の3つに分類されます。

種類

目的

機能

MA

見込み客を獲得する

・見込み顧客の管理

・キャンペーン管理

・メール配信 など

SFA

営業活動を効率化する

・案件管理

・商談管理

・日報作成 など

CRM

顧客との関係性を築く

・顧客情報管理

・顧客対応管理

・ドキュメント管理 など

顧客管理システムと一口にいっても、上記のうちどの範囲の機能が備わったシステムを求めるかによって費用が異なることも押さえておきましょう。SFAだけの機能が備わったシステムよりも、SFAとCRMの機能が両方備わったもののほうが、当然費用は高くなります。

Webシステム

ユニクロ

画像引用元:ユニクロ

Webシステムとは、インターネット上で動くシステムのこと。これまで紹介した基幹システムや顧客管理システムの中にもWebシステムに該当するものが存在しますが、今回は便宜上以下のシステムをWebシステムと定義します。

  • ECサイト
  • マッチングシステム
  • 予約システム
  • CMS(ホームページやコンテンツを作るシステム)

ECサイトの費用相場は以下の通り。

システムの種類

開発形式

費用相場

Webシステム

テンプレート+軽微なカスタマイズ

50~100万円

オリジナルのデザイン

100〜300万円

オーダーメイドのデザインや機能

300万円以上

ECサイト以外のWebシステムも、相場感は上記と同様です。高度なカスタマイズが必要になるほど、費用は高騰します。

ここまで読んで、システム開発の費用相場についてさらに詳しく知りたいと思った方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:損しない!システム開発の費用・料金相場と安く抑えるコツ【2024年最新版】

システム開発にかかる費用の内訳

システム開発にかかる費用の内訳

システム開発の費用は主に「人件費」と「諸経費」の合計額で決まります。多くは人件費であり、求める種類や機能によって必要な人件費が異なります。予算を組む際の参考になりますので、理解しておきましょう。

開発にかかる「人件費」

人件費とは、エンジニアやプログラマーへ支払う開発費用のこと。システム開発の人件費は「人月(にんげつ) ×人月単価 ×開発期間」で決まります。

人月とは、開発に必要な1か月間の人員のこと。また、人月単価とは1人が1ヶ月作業した場合にかかる費用のことです。たとえば、月単価100万円のエンジニア3人が3か月間で開発を行う場合にかかる人件費は以下の通り。

3人 × 100万円 × 3か月 = 900万円

システムの規模や難易度によって必要な人数や開発期間は異なります。また、依頼する会社の規模やスキルによって人月単価が変わります。なお、人月単価の目安はシステムエンジニアで100万円前後、プログラマーで70万円前後です。人件費を変動させる要素を押さえておくと、見積もりがしやすくなるでしょう。

設備費やソフトライセンス料などの「諸経費」

諸経費とは、設備費やソフトのライセンス料など、システム開発に必要な人件費以外の費用です。具体的には、以下のような費用がかかる場合があります。

  • 開発用のパソコン代
  • システムを動かすサーバー代
  • 使用するソフトのライセンス料など

システム開発に必要な機器やライセンスにかかる費用が諸経費となります。

【注意】運用・保守費用も検討しておく

システム開発を外注する場合、開発費用だけでなく、システムが稼働してからの運用・保守にも費用がかかります運用・保守費用の目安は目安はシステム開発費の5%前後。たとえば500万円でシステムを開発したなら、月25万円ほどの費用がかかります。

システム運用・保守の作業内容について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:システム運用とは?作業内容、保守との違いをわかりやすく解説【2024年最新版】

売上高に対するIT予算の配分の目安

予算を考える際の参考として、一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会が公開している「企業IT動向調査報告書 2023」の内容を紹介します。

調査によると、22年度の売上高に対するIT予算比率は全体平均 2.10%でした。業種グループ別の22年度の売上高に対するIT予算比率をまとめると、以下の通り。

業種グループ

売上高に対するIT予算比率

建築・土木

0.85%

生活関連型・その他製造

2.17%

基礎素材型製造

1.41%

加工組立型製造

1.37%

卸売

1.23%

小売・外食

1.63%

金融・保険

10.00%

社会インフラ

1.79%

運輸・倉庫・不動産

1.48%

サービス

2.84%

また、22年度のIT予算比率の中央値は1.00%、トリム平均値(データの最大値と最小値付近の値を平均値の計算から除外する手法)は1.24%でした。

調査を参考にすれば、年間売上1億円の企業であれば210万円がIT投資額の目安ということになります。1つの目安として、参考にしてください。

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【参考】システム開発の見積もり手法

【参考】システム開発の見積もり手法

最後に、システム開発の見積もり手法についても触れておきます。開発者側に関係が深い話ではありますが、見積もり額が適正か判断するための判断材料になりますので、発注者側も知っておきましょう。

トップダウン

トップダウンは、過去にあった類似システムの事例を参考にして見積もりを行う手法です。類推見積(るいすいみつもり)とも呼ばれます。過去の事例を参考にするため、スピーディに見積もりを行えて時間がかからないことがメリットです。しかし、当然ですが過去の事例がなければ使えない手法です。また、開発が大規模で複雑になるほど、正確な見積もりを出しづらくなります。

ボトムアップ

ボトムアップは、必要な作業を細分化して、1つ1つの工数をもとに見積もりを算出する手法です。工数積上げと呼ばれることもあります。作業ごとに見積もりを行うため、抜け漏れを防ぐことができ、精度の高い見積もりをしやすい点が特徴です。一方で、見積もりに時間がかかるところはデメリットといえます。

パラメトリック見積もり

パラメトリック見積もりは、過去の事例を要素分解して得られた数式モデルを使って工数を算出する手法です。係数モデルと呼ばれる場合もあります。数式をもとに計算するため、誰が行っても結果がぶれない点がメリットです。ただし、データの蓄積数に応じて精度が決まるため、サンプルが不足していると見積もりの精度が下がってしまうのが難点です。

プライスツーウィン法

プライスツーウィン法は、予算にあわせて見積もりを算出する方法です。予算を超えることなく、予算の範囲内で見積もりが行えます。反面、予算ありきの見積もりとなるため、機能不足が発生しやすい点には注意が必要です。また、機能漏れを追加で開発することになれば、結果的に追加でコストがかかってしまう可能性があります。

【まとめ】システム開発の予算取りの方法を紹介しました

システム開発の予算取りの方法や、費用相場、見積もりの方法などを紹介しました。予算取りで押さえておきたいポイントは、以下の通り。

  • システム開発の目的を明確にしておく
  • 必要な機能を明確にしておく
  • システム開発の費用相場を把握しておく
  • リスクを考慮して予備費を組んでおく

また、システム開発の費用相場はツール導入で10万円前後、カスタマイズありで50〜300万円程、スクラッチ開発で300〜数千万円という点も押さえておきましょう。本記事の内容をシステム開発の予算取りの際にお役立てください。

なお、システム開発会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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