システム運用コストの相場は?内訳と削減のポイントも解説

システム運用コストの相場は?内訳と削減のポイントも解説

システム運用において、コストがいくらかかるのかわからない企業は多いかと思います。できればコストを削減して、浮いた予算は研究開発や新規事業などに充てたいですよね。

本記事では、システム運用の相場とコストが上昇している背景、削減のポイントを解説します。

なお、システム運用に強い会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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目次
  1. 1. そもそもシステム運用とは?
    1. 1-1. 運用と保守の違い
  2. 2. システム運用のコスト相場は開発費の約5~15%
  3. 3. システム運用コストの内訳
    1. 3-1. ハードウェアの運用・保守
    2. 3-2. ソフトウェアの運用・保守
    3. 3-3. 付帯サービスの費用
  4. 4. システム運用保守の適正コスト計算方法
  5. 5. システム運用コストが増加傾向にある理由
    1. 5-1. セキュリティリスクの増加
    2. 5-2. システムの老朽化
    3. 5-3. システムの複雑化・巨大化
    4. 5-4. 運用人材の不足
  6. 6. システム運用のコストを削減する方法7選
    1. 6-1. 管理体制を見直す
    2. 6-2. 部門ごとに運用予算を分配する
    3. 6-3. 運用を自動化する
    4. 6-4. システム運用に長けた人材を確保する
    5. 6-5. シンクライアントを活用する
    6. 6-6. リソースを簡素化する
    7. 6-7. 運用を外注する
  7. 7. 【まとめ】システム運用のコストと削減方法などについて紹介しました

そもそもシステム運用とは?

システム運用とは、システムが安定して稼働し続けられるよう管理、監視する業務のことを指します。主な業務内容は以下の通りです。

システム監視

・システムが問題なく稼働しているか端末や設備を監視

・機器の稼働状況やメモリの使用・空き容量などを確認

・障害発生時のログ取り

セキュリティの監視

・ウイルスや不正ログインなどのサイバー攻撃の有無を監視

データのバックアップ

・ファイルやデータベースを定期的にサーバーへ保存

ITシステムには老朽化やサイバー攻撃の被害などあらゆるリスクが潜んでいます。そのためシステムを安定稼働させるためにも、開発後のシステム運用は欠かせない業務です。

運用と保守の違い

保守とは、不具合や障害が発生した際の復旧、老朽化した機器の交換、ソフトウェアの更新などを指します。また障害復旧後に再発防止策を考えることも保守に当たります。

運用と保守の違いは、システムに手を加えるか否か。運用はあくまで監視や記録がメインなので、システムを変えることはありません。一方の保守はシステムの現状維持(もしくは品質向上)が主目的なので、必然的に修理・改修・復旧が伴います。

病院に例えると、運用が「診察」で保守が「治療」といったイメージです。

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システム運用のコスト相場は開発費の約5~15%

システムの規模や種類にもよりますが、システム運用のコスト相場は開発費(初期投資)の5〜15%程度と言われています。たとえば1,000万円で開発したシステムの運用費は、50万円~150万円程度です。

運用コストは毎月発生します。相場より高くなると会社の経営を圧迫するため、企業はコスト適正化に取り組む必要があります。

主なシステムの開発費と運用コストの相場を以下の表にまとめました。あくまで目安ですが、運用予算を見積もる際にお役立てください。

システムの種類

開発コストの相場

(※スクラッチ開発の場合)

運用コストの相場

基幹システム

販売管理

500万円以上

25~75万円以上/月

生産管理

人事管理

財務会計

業務支援システム

マーケティング

オートメーション

400万円以上

20~60万円以上/月

営業支援

顧客関係管理

セキュリティ管理

Webシステム

ECサイト

500万円以上

25~75万円以上/月

予約システム

※スクラッチ開発:ゼロからオリジナルシステムを開発すること

開発費について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。開発費を抑えるポイントを理解できれば、その分運用コストも削減できます。

システム開発依頼前にチェック! システム開発相場を目的別にまとめました。
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関連記事:損しない!システム開発の費用・料金相場と安く抑えるコツ【2024年最新版】

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システム運用コストの内訳

システム運用コストの内訳

次に、システム運用コストの内訳について解説します。何にお金がかかっているのかイメージを掴みましょう。

ハードウェアの運用・保守

ハードウェアを正常に稼働させるためには、監視・メンテナンス・修理が必要です。運用・保守の対象となるのは、以下のようなハードウェアです。

  • ネットワーク機器:ルーターや回線
  • 端末:パソコンやiPadといったタブレット
  • サーバー(自社に設置の場合)

ハードウェアは経年劣化に伴い不具合のリスクが増えるため、監視が必要です。また開発からしばらく経つとメーカーの保証終了、もしくは生産停止に伴って買い替える必要が出てきます。

ソフトウェアの運用・保守

下記のようにソフトウェアの運用・保守でも費用が発生します。

  • ソフトウェアの稼働監視
  • バージョンアップに伴うシステムの改修
  • バグ発生時の対応(通信障害、サイト停止など)

ソフトウェアも正常に稼働しているか監視が必要です。またベンダー側によるバージョンアップやサポート終了で、ソフトウェア更新(もしくは新規契約)する必要も出てくるでしょう。その際、ライセンスの更新料や新たなソフトウェアの購入費も発生します。

付帯サービスの費用

意外と見過ごされがちですが、システムや業種によっては下記のようなサービス運営に関わる費用も発生します。

  • サービス委託費:メディア運営、PR、問い合わせ対応、ヘルプデスクなど
  • 通信費:電話料金、インターネット利用料金
  • 外注費用:機能追加・改修を委託した場合の費用

システム運用保守の適正コスト計算方法

指標

計算方法

概要

即答率

即答件数÷相談件数

開発会社に問い合わせた際に

スムーズに回答してくれたか

引受数

引受件数÷依頼件数

実際に依頼を受けてくれた件数の割合

保守達成率

実績時間÷見積りの時間

実績時間に近いほどいい

納期達成率

納期を守った件数÷引受件数

納期厳守を実行できているか

内製化率

自社対応の運用・保守÷外注件数

自社で完結できる運用・保守の割合

システム運用コストの相場は5~15%と解説しましたが、より厳密にコストを算出したい企業は上の試算表を参考にしてください。

開発会社に外注する際に上記の試算表を提示しておけば、価格交渉で有利に動ける場合があるでしょう。また社内で運用予算を取る際に、上司や役員など意思決定者の理解も得られやすくなります。

システム運用コストが増加傾向にある理由

システム運用コストが増加傾向にある理由

システム運用のコストが増加傾向にある背景についても押さえておきましょう。

セキュリティリスクの増加

セキュリティリスクの増加は、システム運用コストが増加傾向にある背景の1つです。

近年はサイバー攻撃の高度化・多様化により、盤石だと思われていたセキュリティが破られるケースは珍しくありません。1度被害が発生すれば、営業活動の停止や顧客への補償など、対応費用もかかります。

このようなセキュリティリスクを排除するため、最新技術の導入や優秀なセキュリティエンジニアの人件費などで運用コストが上昇傾向にあるのです。

関連記事:サイバーセキュリティとは?重要性と被害事例・対策を解説

システムの老朽化

システムの老朽化も運用のコストが膨れ上がる要因の1つです。

  • 不具合の温床になりやすく、保守に時間がかかる
  • サポート終了や機器の生産停止により、保守の際に特注費がかかる
  • ハードウェアのエネルギー効率が悪くなり電気代が高止まりになる

このように老朽化を放置すると、更新費用は浮くかもしれませんがトータルの運用コストは高くつく可能性が高いでしょう。

システムの複雑化・巨大化

リリース当初から機能の追加・改修を繰り返すと、その都度運用コストがかかります

たとえば、部署が増えるたびに新たなシステムを追加すれば、必要なデバイスや人材が増えるでしょう。他にもリリース時は全社で共通のシステムを使っていても、部門ごとにカスタマイズが進んで巨大化することもあります。その結果、システムを個別で管理しなければいけないため、運用コストが膨れ上がってしまいます。

また、複雑なシステムは属人化(特定の業務が周囲に共有されていない状態)が発生しがちです。担当者がいなくなった途端に運用・保守の方法が分からなくなるため、システム内部の把握や見直しに余計なコストを取られる傾向にあります。
関連記事:レガシーシステムをわかりやすく解説!問題点や脱却法、成功例を紹介

運用人材の不足

運用人材の不足

画像引用:経済産業省|参考資料 (IT人材育成の状況等について)

運用人材の不足も、システム運用コストが上昇している理由の1つです。

経済産業省は「2030年に約79万人の高度IT人材が不足する」との試算を発表しました。人材不足を補うために自社で育成する企業も多いですが、スキル習得や技術の変化に対応することが負担になり、コストがかさむ傾向にあります。

また、人材不足ゆえに人件費も上昇傾向にあります。専門性が高い分、代わりの人材を見つけることが難しいためです。

このように、人材不足による教育コストと人件費の高騰で、運用コストが増加傾向にあります。

システム運用のコストを削減する方法7選

システム運用のコストを削減する方法

システム運用コストを削減する方法を紹介します。いきなり全ての項目を実践するのは難しいかもしれないので、できることから着手しましょう。

管理体制を見直す

環境情報管理システム運用・保守|株式会社コベルコE&M

画像引用:環境情報管理システム運用・保守|株式会社コベルコE&M

運用の管理体制見直しは、コスト削減に有効な手段の1つです。先述の通り、業務が属人化すると仕組みや手順がわからないため、ムダに気づけない可能性があります。また、部門ごとに運用を管理していれば、業務のダブリも発生しやすくなるでしょう。

管理体制を見直すポイントは、上の画像のように運用フローをビジュアル化すること。ムダを直感的に把握できるため、作業手順の統一、各部署の役割修正がスムーズに進みます。

部門ごとに運用予算を分配する

会社一括で運用コストを管理するのではなく、部署ごとに運用予算を与えるのもコスト削減に効果的です。部署単位でコスト意識を高めやすくなるからです。

なお予算を割り振る際には、部署の業務内容、人員、リソース(ハードウェア・メモリなど)の使用量を考慮しましょう。たとえば外回りが多い営業部門の場合、システム自体をほとんど使わないかもしれません。一方の総務や経理などのバックオフィスなら、会計ソフトや人事管理などシステムに触れる時間は多い可能性があります。

予算の割り当て方について、以下にいくつか例を載せました。会社によって考慮すべき基準は変わりますが、予算配分を考える上で役に立ちます。

例1:人数に応じて予算を割り当て

部門

人数

予算/月

運用・保守

50人

250万円

開発

40人

200万円

営業

100人

500万円

経理

10人

50万円

例2:利用人数と平均利用時間を加味

部門

人数

平均利用時間

予算

運用・保守

50人

120分/日

300万円

開発

40人

150分/日

300万円

営業

100人

70分/日

350万円

経理

10人

100分/日

50万円

運用を自動化する

運用を自動化する

画像引用:Zabbix

人手を割いていた運用業務が自動化できれば、運用コストを削減できます。

そこでシステム運用ツールを活用すると、環境設定やソフトウェアの更新などを自動で行ってくれるため、必要な人員を減らすことができます。また上の画像のようにパフォーマンスも監視してくれるため、障害に気づきやすくなる点も魅力です。

主な機能を下の表にまとめたので、ツール選びの参考にしてください。

主な機能

概要

環境設定

・クライアントPCの各種設定

・ネットワーク構成を自動化

アプリインストール

・アプリのインストール・アンインストールの自動化

インベントリ情報収集

(※)

・ハードウェア構成、ディスク使用量などの情報を収集・一元化

・不正ソフトウェアインストール検知

・ソフトウェアのライセンス管理

ウイルスソフト更新

・バージョンアップの自動化

・ウイルスチェックに使うパターンファイルの更新

リモート監視

・クライアントPCの状態を社外から監視

※インベントリ:システムの構成要素を把握するための目録

システム運用に長けた人材を確保する

システム運用に長けた人材の確保も、運用コスト削減する上で大切です。1人当たりの人件費は高くなりますが、障害発生のリスク低減や異常時の素早い対応などを期待できるため、トータルコストは安くなる可能性があります。

人材を確保するおすすめの手段は、高い専門性と実務経験を揃えている外部人材の活用です。自社人材のように教育コストもかからず、仕事の難易度や業務量にあわせて報酬を設定できる点も魅力です。

シンクライアントを活用する

シンクライアントとは、仮想デスクトップ環境下での利用に特化した端末を指します。アプリやデータの実行はサーバーで実行します。シンクライアントのメリットは以下の通りです。

  • 現地でソフトウェアの設定が要らない
  • ソフトウェアライセンスの使用料を削減できる

サーバーにインストールすればクライアントPC(※)以外の端末にアプリをインストールする必要がないため、現地で設定する費用を削減できます。また端末ごとに利用していたソフトウェアをサーバーに集約できる分、ライセンス料を削減することが可能です。
※クライアントPC:サーバーとやり取りをするパソコン

リソースを簡素化する

利用しているシステムが肥大化しているなら、リソースを簡素化することでコストを削減できます。簡素化する主な方法は以下の2つです。

  • クラウドへ移行
  • サーバー・ソフトウェアの統廃合

クラウドとは、ネットワークを介して業者のITインフラを利用するサービスのことです。自社にサーバーやネットワークなどを設ける必要がないため、リソースを削減できます。

自社でリソースを設置したい企業は、サーバーやソフトウェアを統合しましょう。部署ごとに使っているサーバーをオフィス単位にまとめたら、サーバーは1つで済むかもしれません。また、チャットやメールなどのサービスをグループウェア(※)のようなサービスに移行すれば、ソフトウェアの管理を一元化できます。
※グループウェア:組織のコミュニケーションを円滑に進めるためのソフトウェア

関連記事:オンプレミスからのクラウド移行で気をつけること(物理サーバーからのクラウド移行)【2024年最新版】

運用を外注する

システム運用は付加価値が低い割に人員を割かなければいけないケースが多いです。そのため運用そのものを外注すると、コストを削減しやすくなります。

外注の主なサービス形態は以下の通り。 

  • ハウジング:ユーザーのハード、ソフトを預かり運用
  • ホスティング:ユーザーがハード、ソフト・設備を用意し運用管理
  • データセンター:ユーザーのデータセンター業務を一括請負

ただし外注であればどこでもいいわけではありません。運用会社を選ぶポイントは以下の通り。

システム運用会社を選ぶポイント

運用会社の業績は外注する上で大切な要素です。システムは5~10年と長期にわたって運用する必要があります。もし運用会社が倒産してしまったら、不本意ながらも乗り換えなければいけません。

外注先の担当者との相性も大切。障害対応やサービスの見直しの際に、担当者が誠実な対応をするかどうかで運用の質も変わるからです。「外注先の都合を押し付けていないか」といった点をチェックしましょう。

また、見積り金額が相場から外れていないかも確認してください。特に相場より安すぎる場合は、質の悪いエンジニアを雇ってずさんな管理をしているかもしれないため注意が必要です。障害発生時に技術不足が原因で、復旧に時間がかかることも考えられます。

以下記事では「運用」だけでなく「開発」を依頼する際にも参考になる内容を解説しています。
関連記事:システム開発会社の選び方7ポイント|依頼の準備と注意点も解説【2024年最新版】

外注期間を短期化する

外注が決まった際には、契約期間を短めにすることをおすすめします。長期で依頼内容を固定すると、過剰サービスになりやすいためです。もし長期契約せざるを得ない場合は、以下のように依頼内容を変更できるか確認しましょう。

  • 重要でないシステムは年中無休からスポット監視に切り換え
  • 問い合わせが減ってきたら対応時間を短縮

【まとめ】システム運用のコストと削減方法などについて紹介しました

本記事ではシステム運用コストの相場と、コストが上昇傾向にある背景、コストを削減するポイントなどについて解説しました。まとめは以下の通りです。

  • システム運用コストの相場は開発費の5~15%/月
  • 運用コストはセキュリティリスクの増加、システムの複雑化などで上昇しがち
  • 運用コストを削減するなら、管理体制の見直し、リソースの簡素化などが有効
  • 自社でシステム運用できる自信がない企業は、プロに外注するのがおすすめ

システム運用は毎月コストがかかるため、少しのムダが経営を圧迫することがあります。本記事を参考に運用コストを見直し、付加価値の高い業務に予算を割り当てましょう。

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