システム開発の著作権とは?知っておきたいプログラムの権利・帰属先・契約時の注意点を解説【2024年最新版】

システム開発の著作権とは?知っておきたいプログラムの権利・帰属先・契約時の注意点を解説!

システム開発の著作権といってもピンとこない方は多いかもしれません。

特に発注側となる企業担当者の方であれば、システム開発の著作権について以下のような疑問を感じていませんか。

・形のないプログラムに著作権がある?
・あるとしてもコストを負担する発注側に著作権があるのでは?

こうした著作権に関する疑問を曖昧にしたままシステム開発を進めると、思わぬトラブルに発展してしまう場合も。

そこで本記事では、成果物であるプログラムの著作権がだれに帰属するのか?権利関係や著作権の帰属先、契約時の注意点など、システム開発に関連する知っておきたい著作権の基本を解説!システム開発に関連するトラブルを避けるためにも必見です。

そのほか、システム開発依頼時の注意点はこちらにまとめています。あわせて参考にしてください。

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目次
  1. 1. システム開発(プログラム)の著作権はだれに帰属する?
    1. 1-1. 著作物に関する著作者の権利
    2. 1-2. 著作権は契約による譲渡も可能
  2. 2. システム開発(プログラム)著作権の契約交渉は簡単ではない
    1. 2-1. 著作権に関する発注側(クライアント)の立場
    2. 2-2. 著作権に関する受注側(システム開発会社)の立場
  3. 3. 著作権が曖昧なままだとどんなトラブルが起こる?
    1. 3-1. トラブル事例1.使用中のシステムに対して差止請求される
    2. 3-2. トラブル事例2.著作権の買い取りを請求される
  4. 4. システム開発(プログラム)の著作権帰属パターン
    1. 4-1. 1.クライアントが必要な範囲まで利用許諾を広げる
    2. 4-2. 2.クライアントに著作権を譲渡
    3. 4-3. 3.システム開発会社が保有する著作権はそのまま、それ以外をクライアントに譲渡
    4. 4-4. 4.クライアント・システム開発会社が著作権を共有
  5. 5. システム開発における著作権まとめ

システム開発(プログラム)の著作権はだれに帰属する?

著作権とは、著作物(作品)を法律(著作権法)で保護するために、著作物を創作した人(著作者)に与えられる権利のことです。

「思想または感情を創作的に表現したもの」と定義される著作物は、音楽・美術・学術・文芸作品などが身近なものとして認識されていますが、システム開発の成果物である「プログラム」も著作物に該当します。

「ではプログラムの著作者はだれなのか?」著作権法では、プログラムの著作権はシステムを開発(ソースコードを記述)したシステム開発会社に帰属するとされています。

つまり、システム開発においては、発注側が開発コスト負担したからといって、プログラムの著作権が自動的に譲渡されるわけではありません。

これはCD制作のコストをレコード会社に負担してもらっていても、楽曲の著作権がアーティストに帰属することと同じだと考えればわかりやすいでしょう。

著作物に関する著作者の権利

著作権を保有する著作者には、大きく「使用」と「利用」という、著作物を独占的に利用できる権利があります。

使用とは、著作者が許諾した範囲で「著作物をそのまま」使用することです。たとえば、楽曲の著作権を保有するアーティストが制作したCDを購入し、再生して楽しむのは使用に該当します。

利用とは、著作物を「複製」「改変」して利用することです。
たとえば、CDを複製して第三者に販売する、CDの楽曲をアレンジして新たな楽曲のCDを制作するのは利用に該当します。こうした著作物の利用は、著作者の許諾を得なければなりません。

著作権は契約による譲渡も可能

著作権は、著作物の創作と同時に著作者に帰属する特殊な権利です。たとえば、特許権を取得するためには、特許庁への申請・認定・登録を経る必要がありますが、著作権では申請や登録をする必要はなく、著作物を創作した著作者に自動的に著作権が付与されます。

ただし、著作権法の第61条には「著作権は、その全部または一部を譲渡できる」と記載されています。つまり、著作者と合意のうえで契約を締結することによって、プログラムの著作権を第三者、たとえば発注者に譲渡することも可能です。

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システム開発(プログラム)著作権の契約交渉は簡単ではない

現実には、発注側(クライアント)と受注側(システム開発会社)がプログラムの著作権譲渡に関して合意にいたることは難しい場合もあります。

なぜならば、プログラムの著作権に対する発注側の立場、受注側の立場は対立することが多いからです。簡単に解説していきましょう。

著作権に関する発注側(クライアント)の立場

開発したシステムのバックアップやメンテナンスなど、運用・保守の範囲でプログラムに加える変更に関しては「使用」として判断されるため、著作権が問題になることはほぼありません。

一方、システム開発したプログラムをコピーして系列会社で使いたい、機能追加やプログラムに大幅な改修を加えたいといった場合は「利用」として判断されるため、改変には著作者の許諾が必要になります。

機能追加・改修を著作者であるシステム開発会社に依頼するのであれば問題ありませんが、なんらかの事情で自社で行う、他社に依頼する自由がなくなるのです。

そもそも、システム開発を外部委託する場合は自社事業・業務に最適化された要求を定義するのは自社であり、開発コストも全額負担しなければなりません。

クライアントの立場としては、ソースコードを記述したというだけでシステム開発会社に著作権が与えられるという事実は到底受け入れられないものだといえるでしょう。

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翻案にあたる二次的著作物とは

これは、単なる「アイデア」は著作物として認められない、翻案にあたる二次的著作物の創作は著作者の許諾が必要という著作権法が存在するからです。

翻案とは「著作物をもとに新たな創作物を作る(二次的著作物を創作する)」ことです。

たとえば、楽曲をアレンジして新たな楽曲を創作する、小説を翻訳した英語版を創作するなどは、著作権法第27条、第28条で規定された翻案(二次的著作物)に該当します。

引用 第27条:著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
第28条:二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。
法令リード:https://hourei.net/law/345AC0000000048

当然、システム開発における著作権でもこれらが適用されます。機能追加やシステムの大幅な改変だけでなく、パッケージ販売を目的としたシステム開発の場合にも大きく関連してくる法律です。

著作権に関する受注側(システム開発会社)の立場

一方、受注側であるシステム開発会社にとっては、プロジェクトの成果物であるプログラムの「再利用可能性」が著作権譲渡の焦点になるケースがほとんどです。

開発したプログラムの著作権を保有しておけば、似たようなシステム開発案件の際に「プログラムを再利用」することで、開発コスト・リソースの削減が期待できるからです。

自社業務効率化や事業の成長のためにシステム開発会社の立場としてプログラムの著作権を保有しておきたいと考えるのは当然のことでしょう。

逆に発注側にとっては、コストをかけた開発したプログラムを競合他社のシステムに使われてしまう可能性があることを意味します。これが発注側・受注側の立場が対立してしまう理由です。

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著作権が曖昧なままだとどんなトラブルが起こる?

では、著作権の帰属先が曖昧で権利関係をクリアにしないまま、システム開発を進めたらどのようなトラブルが起こり得るのでしょうか?

トラブル事例1.使用中のシステムに対して差止請求される

契約で著作権に関する取り決めをしなければ、システム開発におけるすべての著作権は受注側であるシステム開発会社に帰属します。

この状態のまま、自社や他社ベンダーなどでプログラムの改変(翻案)を無断で行うと、使用中のシステムに対して差止請求される場合があります。

稼働中のシステムが停止してしまえば、それだけでも大きな損害ですが、システムによって得られた利益に対する損害賠償を請求される場合もあります。

著作権の判例をみると、毎年のように著作権侵害による訴訟が起きており、数百万円から数千万円の損害賠償が発生しています。

トラブル事例2.著作権の買い取りを請求される

システムの開発の費用を支払っているにも関わらず、開発会社から著作権の買い取りを請求される。

こうした事態にならないためにも、著作権の帰属先を含めた契約交渉は慎重に進める必要があります。特にパッケージ販売などを念頭においたシステム開発プロジェクトなら、交渉はより入念に行うべきです。

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システム開発(プログラム)の著作権帰属パターン

ただし、発注側・受注側どちら立場からも、著作権を自社に帰属させておきたい対立関係があることも事実です。自社の主張ばかりを押し付けるのではなく、契約交渉で妥協点を見つける必要があるでしょう。

一般的な解決策としては、以下の4パターンが考えられます。
・1.発注側(クライアント)が必要な範囲まで利用許諾を広げる
・2.クライアントに著作権を譲渡
・3.システム開発会社が保有する著作権はそのまま、それ以外をクライアントに譲渡
・4.クライアント・システム開発会社が著作権を共有

それぞれを簡単に解説していきましょう。

1.クライアントが必要な範囲まで利用許諾を広げる

プログラムの著作権をシステム開発会社に帰属させたまま、クライアントへの利用許諾(ライセンシング)を必要な範囲まで広げるパターンです。

たとえば、クライアントに将来的な系列会社での展開を認める、プログラムの改変を含む著作権行為を認めるなどが挙げられます。

発注側のクライアントにとっては自社内でのシステム活用、将来的な機能追加を自由に行えるメリットが得られるため、システム開発の目的がパッケージ販売でなければ問題が生じることはないといえるでしょう。

また、システム開発会社側にとっては開発したプログラムの汎用的な部分を再利用できるメリットが得られます。

注意しておくべきポイントとして挙げられるのは、以下の2点です。
・開発会社が廃業・事業譲渡するなどで、プログラムの著作権が第三者に譲渡された場合の取り扱い
・システム開発会社がプログラムを再利用する際の機密情報の取り扱い

2.クライアントに著作権を譲渡

システム開発における著作権のすべてを、発注側であるクライアントに譲渡するパターンです。この場合、二次的著作物の創作(翻案)にあたる、著作権法第27条・28条も含む形にしておくことがポイントです。

クライアントの立場から見れば、もっとも望ましいパターンではありますが、受注側のシステム開発会社にとっては受け入れがたいのも事実です。契約交渉が難航する場合も考えられるでしょう。

3.システム開発会社が保有する著作権はそのまま、それ以外をクライアントに譲渡

システム開発会社がもともと保有している著作権はそのままに、新規開発部分の著作権をクライアントに譲渡するパターンです。システム開発コストを抑えるため、フレームワークや既存プログラムを活用する場合に採用されるケースが多いといえるかもしれません。

2のパターンに比べれば、システム開発会社が受け入れやすいメリットはありますが、クライアント側が有利であることには変わりありません。

新規開発部分のなかで、汎用的に使えるプログラムのみシステム開発会社に著作権を残すなど、お互いの妥協点を見つけていくことが重要です。

4.クライアント・システム開発会社が著作権を共有

発注側であるクライアントと、受注側であるシステム開発会社がプログラムの著作権を共有するパターンです。

契約交渉が難航した場合、解決策として有効だと感じられる手段ではありますが、著作権を共有していても相手方の同意がなければ翻案行為ができないことに注意が必要です。

具体的には
・クライアントがプログラムを改変したい
・システム開発会社がプログラムを再利用したい

といったどちらの場合にも相手方の同意が必要であり、両社にとって著作権が足かせになってしまいかねません。

システム開発の著作権を共有する場合は、相手方の同意なしでプログラムを「利用」できるケースを細かく定めるなど、一定以上の工夫をすることが肝心です。

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システム開発における著作権まとめ

本記事では、プログラムの権利関係や著作権の帰属先、契約時の注意点など、システム開発に関連する知っておきたい著作権の基本を解説してきました。ポイントを整理しておきましょう。

・開発したプログラムの著作権は、システム開発会社に帰属することが原則
・著作者は、プログラムの「使用」「利用」に関する権利を持つ
・著作権は契約によって一部、またはすべての譲渡が可能
・開発したシステムを自由に活用するためにも、契約交渉が非常に重要
・大きく4つある契約パターンを理解し、お互いが納得できる妥協点を見つける

後々の著作権トラブルを避けるには、システム開発プロジェクトに取りかかる前の契約が重要。そのためにも、しっかりとコミュニケーションできるシステム開発会社をパートナーとして選ぶことがポイントです。

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Q. システム開発の著作権とは何ですか?

システム開発の著作権とは、成果物である「プログラム」を法律で保護するための権利のことです。プログラムの著作権は「第三者(発注者)に譲渡可能」「申請・登録しなくとも自動的に著作権が付与される」等の特徴があります。

Q. システム開発(プログラム)の著作権はだれに帰属する?

システム開発の著作権は「システムを開発(ソースコードを記述)したシステム開発会社に帰属するとされています。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。