- 更新日 2024.02.27
- カテゴリー システム開発
ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)をわかりやすく解説【2024年最新版】
システム開発に関わり始めた人の中には、ソフトウェア開発ライフサイクルについて理解できず、以下のような悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
- システム開発の流れがわからず、担当者とのやりとりがスムーズにいかない
- システム開発のプロセスの種類がわからず、自社に合った方法が判断できない
- システム開発がどのような状態なのか把握できず問題が起きているか判断できない
そこで、本記事ではソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とはどのようなものか、プロセスや種類について解説します。
本記事を読むことで、システム開発の大まかな流れが把握でき、システム開発会社とスムーズなやりとりがしやすくなります。
ソフトウェアの開発会社を探している方はシステム幹事にご相談ください。貴社がソフトウェア開発を行う目的や予算をヒアリングし、最適な開発会社を選定いたします。
ソフトウェア開発に役立つ記事もご覧ください ソフトウェア開発ライフサイクルの前におさらい!ソフト開発の基礎知識
ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とは
ソフトウェア開発ライフサイクルとは、システム開発で使われる言葉で、システムの企画・設計から実装、運用されるまでのサイクルのことです。SDLCはシステム開発をフェーズに分けて、プロセスをわかりやすく管理できます。
「System Development Life Cycle(システム開発ライフサイクル)」という言葉もありますが、ほぼ意味は変わりません。
ソフトウェア開発ライフサイクル(Software Development Life Cycle)の頭文字を取って「SDLC」とも表記されます。本記事内ではソフトウェア開発ライフサイクルを以降「SDLC」と表記します。
ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)を発注者が知っておくべき理由
SDLCを知っておくべき理由として、プロセス全体を把握でき、開発者・顧客双方にとって管理がしやすくなることが挙げられます。システム開発で良くある失敗事例が、顧客側が開発者にシステム開発を丸投げしてしまい、要望からズレたシステムができてしまうことです。要望からズレたシステムになってしまうことで、修正の負担が大きくなり、大幅な予定変更をせざるをえなくなります。
SDLCを知っておくことで、システム開発における、見積もりやタイミング、スケジュールなどの大まかなイメージをスムーズに把握することが可能です。
開発者だけではなく、発注者がSDLCを知っておくことで、システム開発の現状を把握し、開発者に対して適切な意思疎通がしやすくなります。
ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)のフェーズ
SDLCは、大まかに以上のようなプロセスに分けられます。
ここでは、それぞれのフェーズについて説明します。
要件の収集と分析・企画
要件の収集と分析・企画はステークホルダーから、意見を集め、システム開発における1つの企画・要件を作成するフェーズです。
ステークホルダーとは、利害関係者のことで、システム開発の場面では発注者から開発者まで、プロジェクトに関わる全ての人を表します。
最終的に顧客が望むシステムは何か、以下の要素などを要件仕様書に具体化してまとめます。
- 現状の課題
- 求める機能
- 運用する人材
- スケジュール
- 開発に必要な人材やソフトウェア
集めた意見や顧客の需要を分析し、どのような機能で実現させるのか決めることが重要です。
設計
設計は要件仕様書をもとに具体的なシステム設計をはじめるフェーズです。要件仕様書から、外部設計と内部設計を具体化していきます。
外部設計とはシステムの見た目や操作感など、顧客が外からみてわかる設計部分のことです。具体的には操作画面や操作方法などが該当します。
内部設計とは外部設計で決めた内容を、具体的にどのようなシステムで実現するのかを決めることです。外部設計で決めた内容を機能ごとに分類し、機能間でどのような処理をするのかなどを決めていきます。
内部設計については、プログラマー側が見る設計で顧客が見るものではありません。
実装
実装とは作成した内部設計書や外部設計書に基づいて、実際に開発を進めていくフェーズです。
何かしらの機能を新しく追加し、使い始められる状態が実装という言葉ではイメージされがちです。SDLCにおいては、実装はシステムのリリースではなく、工場でいうところの製造工程にあたります。
プログラミング言語を使い、特定の操作をした際にコンピュータがどのような処理をするのか、コーディングという作業を通して、具体的に設定していきます。
テスト
テストは実装したシステムが、要件仕様書や外部設計、内部設計で決めた内容に基づいて動作するのかを確認するフェーズです。大まかには以下3通りのテストがあります。
- 単体テスト
- 結合テスト
- システム総合テスト
単体テストとは、ユニットテスト(UT)とよばれ、内部設計で分類した機能ごとに正しく動作するかを確認するテストです。
結合テストでは複数のシステムを組み合わせ、システム間のつなぎ目が適切に動作しているかどうかを確認します。
総合テストとは、システム全体が設計した通りに動くか、エラーがないかを確認するテストです。総合テストでは、実際に動かす環境を意識してテストを行います。
展開・運用
展開・運用とは開発したシステムが問題なく運用できるか確認し、実際に運用し始めるフェーズです。
確認する際には、バグがないことを確認し、顧客が実際に操作しながら、顧客のニーズ通りの設計になっているか、実際の運用環境で問題なく動作するかどうかを確認します。
プロジェクトマネージャーからのフィードバックに基づいて、展開に本当に問題がないか最終的なチェックをすることも重要です。
テストが完了したら、ITシステムを顧客側のシステムに導入し、運用を開始し始めます。
メンテナンス
メンテナンスとは、導入したシステムが不具合を起こしていないかどうか監視し、不具合の予防や対処を行うフェーズです。システムが実際に運用されている様子を監視し、起こりえるバグの想定や、発見した際の対処を行います。
また、不具合が見つかった場合には、必要に応じてシステムの修正やアップデート・拡張を行います。
システムサーバーに対して、悪意のある第三者から攻撃される可能性もあるため、攻撃からの予防も重要な作業の1つです。必要に応じて、機能追加を行うことも含まれます。
細分化すると10のフェーズになる
SDLCはより細分化すると、10のフェーズに分けられます。
- 予備分析
- システム分析、要件定義
- システム設計
- 開発
- 統合とテスト
- 受け入れ、インストール、展開
- メンテナンス
- 評価
- 廃棄
ただし、細分化したとはいっても、廃棄以外のフェーズは先に解説した6つのフェーズに振り分けできます。廃棄とは年月が経過するにつれて、システムが業務内容に合わなくなる、セキュリティトラブルが発生するなどした場合に、システムを廃棄するプロセスです。
SDLCのプロセスは、導入企業や業界によって、6つのフェーズではなく5つのフェーズになることもあります。そのため、上記で紹介したプロセスはあくまで代表的な例の1つです。
ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)の6つの手法
SDLCのモデルは様々なものがありますが、ここでは広く知られている6つの手法を解説します。各手法ごとにメリットとデメリットがあり、開発したいシステムによって適した手法が変わります。
そのため、次の解説を参考にしながら、自社のシステム開発と相性がいいものを見極めることが大切です。
予想型ライフサイクル(ウォーターフォール型)
予想型ライフサイクルとは、開発手法の中でも有名なモデルで、ウォーターフォール型とよばれ、最初に開発計画全体を構築し、計画通りに進めていく開発手法です。すべてを計画通りに進めていこうとするため、予定外のことが大きく、途中の要件変更がないため、スムーズに工程を進められます。
反面、スケジュールや仕様の柔軟性に欠け、リリース前にシステムの強さや弱さがわからないことがデメリットです。
そのため、大規模なプロジェクトや、要件変更がないシステム開発の場合には予想型ライフサイクルSDLCが採用されます。
予想型ライフサイクル(ウォーターフォール型)についての詳細は、「ウォーターフォール型システム開発とは?開発工程・メリット・アジャイル型との違いを解説!」を合わせてご覧ください。
V字モデル
V字モデルとは、検証と妥当性確認とよばれ、開発とテストを同時に行うモデルです。
エラーを初期段階で防げるため、大幅な修正のリスクが少なく、それぞれの工程で何をテストするのか明確になります。
テスト内容と工程が把握しやすいため、時間管理がしやすく、計画の修正が少ない点がメリットです。
しかし、デメリットとしては、開発工程で突然の仕様変更が起きた場合には、柔軟に対応できず、リスク分析に時間がかけられないことが挙げられます。
V字モデルは予想型ライフサイクルや適応型ライフサイクルなどと組み合わせて導入される場合もあります。
情報処理推進機構(IPA)はV字モデルを推奨している
V字モデルは情報処理推進機構(IPA)の「ソフトウェア開発の標準プロセス」でも推奨しているSDLCです。
システム化の方針が不明確で要件が固まらないなど、超上流工程の問題は、システム開発において、深刻な問題を引き起こします。しかし、超上流工程の問題はV字モデルを採用することで、解決が可能です。
V字モデルを採用し、それぞれのフェーズで開発とテストを平行させることで、システム全体の質を確保することにつながるとしています。
漸進型ライフサイクル(インクリメンタルモデル)
漸進型ライフサイクルはインクリメンタルモデルともよばれ、段階ごとに機能を追加して開発を進める手法です。
最初に開発するシステムには限定的な機能を追加し、段階的に機能を追加しながら、徐々に最終的なシステムを完成させていきます。
漸進型ライフサイクルのメリットは、すべてのバージョンにレビューを残せるため、修正しやすいことです。また、徐々にシステムを追加するため、新技術の適応もスムーズに行えます。
デメリットとしては、最初に機能全体の概要を把握しなければ、路線にズレが生じる可能性があることです。また、効率的に進めることを重視しているため、当初の予測に誤りがある場合、リリースの日程にも影響を及ぼします。
少しずつでも、機能を使用し、最終的なシステムの質の高さを重要視する場合におすすめの手法です。
反復型ライフサイクル
反復型ライフサイクルは、小さい単位で、開発からテストのサイクルを繰り返していく手法です。漸進型とよく似ていますが、フェーズの中に新機能の追加が含まれていない点で違いがあります。
小さなサイクルを回すため、予定や仕様の変更に対応しやすい点がメリットです。テストの段階で頻繁にコミュニケーションを取れるため、要望の変更や追加に柔軟に対応できます。
デメリットとしては、全体の計画を立てて効率的に進めることを重視するため、予定変更が多く、予測からズレてしまうと、リリースに影響を及ぼします。
仕様変更や予定変更があり、柔軟な対応を求めたい場合におすすめの手法です。
適応型ライフサイクル(アジャイル開発)
適応型ライフサイクルとは、アジャイル型開発ともよばれ、小さい開発サイクル(イテレーション)を繰り返す手法です。設計から開発、テストまでの工程を小規模で繰り返し、都度顧客からのフィードバックをもらい、改良を進めます。
適応型ライフサイクルは仕様変更を前提にしており、問題への対応がしやすく、ドキュメント管理がしやすい点がメリットです。
しかし、要件変化が激しくなりやすく、開発に時間がかかります。そのため、大規模開発の場合には、スケジュールが長期化しやすいため、おすすめできません。
仕様変更が多く、スピード感を持って開発を進めたい場合におすすめの手法です。
アジャイル型についての詳細は、「アジャイル開発とは?メリット・デメリット、発注側の注意点を解説」を合わせてご覧ください。
ハイブリッド型ライフサイクル
ハイブリッド型ライフサイクルとは、予想型と適応型の強みを組み合わせたライフサイクルです。明確に要件が定まっているものについては予想型で、不明確な部分は適応型で対応します。
ハイブリッド型ライフサイクルのメリットは、予想型のスケジュールを予定通りに動かしやすい点と、適応型の柔軟に仕様変更に対応できる点、それぞれのいい部分を生かし、デメリットを軽減した開発が可能なことです。
しかし、デメリットとしては、予想型と適応型それぞれのメリットやデメリットを正しく理解し、必要に応じて使い分けられる経験や知識が求められることが挙げられます。
まとめ
本記事ではSDLCについて、概要や大まかなフェーズ、6つの手法について解説しました。SDLCの手法ごとの特徴を把握することで、システム開発の見積もりや工程をより正確に理解し、適切なコミュニケーションを開発担当者とするのに役立ちます。
ソフトウェアの開発会社を探している方はシステム幹事にご相談ください。
貴社がソフトウェア開発を行う目的や予算をヒアリングし、最適な開発会社を選定いたします。
コンサルタントのご紹介
岩田
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Q. ソフトウェア開発ライフサイクルとは何ですか?
ソフトウェア開発ライフサイクルとは、システムの企画・設計から実装、運用されるまでのサイクルを指します。完成までのプロセスがわかりやすく管理できるのが特徴です。
Q. ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とは?
ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とは「システムの企画・設計から実装、運用されるまでのサイクルのこと」です。SDLCはシステム開発をフェーズに分けて、プロセスをわかりやすく管理できます。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
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