- 更新日 2023.10.26
- カテゴリー AI開発
売上予測とは?計算方法、予測の精度を高める方法を徹底解説【2023年最新版】
売上予測を基に今後の新プロジェクトを計画したい人にとって、具体的な計算方法や便利なツールがわからないのは大きな悩みです。
・売上予測ツールを導入したいが、メリットや利用するツールがわからない
・売上予測を立てたいが(立てろと上司に言われたが)やり方・計算方法がわからない
・売上予測の精度を高めたい
この記事では、売上予測について何も知らない人からすでに売上予測に携わっている人まで学べるよう、深いノウハウを紹介しています。ぜひ最後までご覧ください。
※自社で売上予測に関するツールを探す時間がない、おすすめのツールを早く教えてほしい方はシステム幹事にご相談ください。予算や目的をヒアリングし、自社に最適なツールを選定します。相談料も紹介料も一切かからない完全無料サービスです。
売上予測(フォーキャスティング)とは
売上予測とは、企業が「いつ」「どのくらい」売上を獲得できるかの見込みのことです。
例えば、
- 今年度下半期の売上は5億円になりそうだ
- 今月の売上は100万円になりそうだ
など、一定期間における具体的な数値を指し、個人の主観によるものではなく、客観的なデータをもとに論理立てて導き出されます。
データには「過去の売上」や「去年と比較しての成長率」「市場の動向」「営業部の活動実績」などが含まれます。
精度の高い売上予測を立てることで人員配置や予算管理、在庫管理といった社内業務や、適切な資金繰りに注力できるようになるため、売上予測は極めて重要な経営指標です。
売上予測の立て方と必要なデータ
売上予測の立て方がわからない人のために、計算方法や計算に必要なデータを計算方法ごとに解説します。
現在の売上実績から算出する
すでに得られている過去の売上データをもとに計算する方法。既存商品の生産数の増減を検討している企業におすすめの方法です。
算出方法:売上予測=一定期間の売上高×平均成長率
算出に必要な主なデータ
- 一定期間(例、月ごと・四半期ごと・年度ごとなど)の売上高
- 商品別の売上高
- 平均成長率
例えば、一か月の売上高が100万円で先月から10%上がっている(平均成長率)とすると、来月の売上は110万円になると見積れます。
企業全体での売上を予測することもできますが、商品ごとのデータがあれば商品ごとに予測を立てられます。商品ごとに予測を立てた方が、より詳細な立案が可能です。
現在の営業データから算出する
売上予測は、獲得したリード数やアプローチしたクライアント数など、営業部の活動成績から導き出すこともできます。
実際に契約に繋がった数 ÷ アプローチ数(営業をかけた相手の数)=CV(コンバージョン率)
CVの増減・変化率=一定期間(一か月など)ごとにデータを取り、前期と今期の比を算出
(契約が取れるようになっているのか、取れなくなっているのか、どのくらいなのか)
ただし、アプローチ開始から契約締結までは時間がかかるため、契約までの時間を考慮する必要があります。
また、既存の契約の更新・継続についても考える必要があります。新規契約が増えても既存の契約が更新されていなければ全体としての売り上げは増加しないためです。
算出に必要な主なデータ:
- セールスリード(見込み客)から契約へのコンバージョン率
- 案件化してから受注するまでにかかる平均期間
- 平均的な契約期間
- サービスの更新率(リピート率)
- サービスの解約率
- 現時点での案件化数
市場データや業界全体に対するシェア率から算出する
市場動向や社会情勢、新しいテクノロジーの動向、競合他社の状況などからも売上を予測することができます。市場動向や社会情勢など考慮すべき要素が多いので、既存ビジネスの場合はあまり使われません。仮定ベースになるため、既存事業よりも新規事業での売上予測を考える際に使われます。
算出に必要な主なデータ:
- 業界の平均値(成長率やシェア、顧客平均単価)
- 公的な統計データ
- 競合企業の決算資料
- 自社で実施したアンケート調査 など
特に決まった計算方法があるわけではありませんので、自社の商品・サービスに関係のあるデータを参考にしましょう。
売上予測を立てる意味
売上予測を立てることには、以下3つの意味があります。
- 適した売上目標を設定できる
- 在庫量、人員の把握につながる
- 金融機関や株主とのコミュニケーションに役立つ
適した売上目標を設定できる
売上予測を行うことで、適した売上目標を設定できます。予測をもとにすることで、現実的かつ利益を最大化した売上目標の設定に活かせるためです。
売上目標は「〜ヵ月で〜円売上アップ」「前年比〜%アップ」といった形で設定していきます。
売上予測がなければ、実現できない高すぎる目標や、簡単に達成できる低すぎる目標を設定してしまうかもしれません。
高すぎる目標を設定し達成できなければ、従業員のモチベーション低下につながります。逆に目標が低すぎても、成長の機会を失うことになります。
適切な売上目標を設定し自社の成長につなげるためにも、売上予測を行うことが重要です。
在庫量、人員の把握につながる
売上予測は、在庫量・人員の把握にも効果があります。売上予測によって、必要な量の商品確保、必要な部門への人員配置が可能となるためです。
売上予測をもとに「商品がどのくらい売れるか」を概算できれば、必要な生産数や原材料を把握し無駄な発注を抑え、適正在庫量を実現可能です。
また、売上予測値の高い部門に人材を配置することで、業績向上とコスト削減を達成できます。
適切な在庫量、人員配置につなげる上で、売上予測が役立ちます。
金融機関や株主とのコミュニケーションに役立つ
売上予測は、金融機関や株主とのコミュニケーションにおいても役立ちます。具体的には、資金繰りの相談や株主への事業成長の説明です。
金融機関に資金繰りを相談する場合、根拠のある数値をもとにした事業計画書の提出が必要です。返済計画を立てていく上でも売上予測によって、見積もりを見誤り資金繰りで苦しむのを防ぐ効果があります。
株主に事業成長性を説明する際も、売上予測で根拠を示すことで説得力が上がり納得してもらえます。
会社運営において重要な外部とのコミュニケーションのためにも、売上予測をしっかり行いましょう。
売上予測を立てる方法
売上予測は、以下の方法で立てられます。
- 過去の売上から予測する
- 営業パイプラインを元に予測する
過去の売上から予測する
前年度同月の売上と直近数年の年間成長率から、売上を予測する方法です。年間成長率と売上予測は、以下の算出式で求めていきます。
- 年間成長率:(前年同月の売上-2年前の同月売上)÷2年前の同月売上
- 売上予測:前年同月の売上×年間成長率
ただ、この方法での算出は「購入条件が一定」「競合企業や経済など外的要因がない」ことが前提です。
不況に強い商品で市場を独占している場合以外は、高精度の予測ができないため注意しましょう。
営業パイプラインをもとに予測する
営業パイプラインとは、以下のような受注までの流れをパイプに見立ててフェーズごとに表したものです。
- 初回訪問
- ヒアリング
- 提案
- 見積もり
- 受注
上記それぞれの通過率や所要時間から実績を算出し、売上予測を立てていきます。算出方法は、以下の通りです。
- 受注数の予測:初回訪問数×各工程の通過率=受注見込み数
- 売上予測:受注見込み数×商品価格=売上見込み額
営業担当の活動状況や実績データを用いるため、精度の高い売上予測を行えます。
ただ、営業担当者による各フェーズの管理が不十分ですと、正確な売上予測を行えない恐れがあります。
売上予測の精度を高める方法
ここでは売上予測の精度を高める方法を3つ紹介します。以下の方法を知らなくても売上を予測することは可能ですが、知っていた方がより適切で妥当な経営判断を下せます。
データ収集の仕組みを整える
売上予測には複数のデータが必要です。しかし、全てのデータを1つの部署が所有・管理しているとは限りません。経営者、人事部、営業部などそれぞれが別のデータを持っていることの方が多いでしょう。
そうすると例えば、営業部が持っているデータから導き出される売上予測と人事部が持っているデータから導き出される売上予測に相違が生じてしまう可能性があります。
案件の獲得数は増えているが、今の人材だけでは今以上に業務が増加するのは耐えられない、だからといって新たな人材を確保できるだけの予算もない、となると最終的には「営業活動を少し控えめにする」という決断になるかもしれません。
このような決断になった場合、営業部の士気が低下してしまったり、他の部署や経営陣に対して不信感を抱いてしまったりする恐れもあります。
そういった事態にならないためにも、必要なデータや情報を共有できる仕組みを作っておくことが大切です。経営陣への報告だけでなく、時には部署間の横の関係での情報共有も大切になってきます。
売上予測が妥当かを検証する
導き出された予測が妥当かどうかを検証・判断することも大切です。ツールを用いて算出される予測は数値をもとに論理的に導き出されるため、場合によっては直感に反することもあります。これは、例えば天気予報をイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれません。
天気予報を鵜呑みにするだけでなく自分の目で天気を見ることが大切なように、売上予測も最後は人の目でチェックすることが大切なのです。
専用のツールを導入する
売上予測では複数のデータを参照するので、人間の頭の中だけで考えているとどうしても偏りが出てしまいます。そのため、より客観的に論理を構築するために専用のツールを利用すると良いです。
ベテランのマーケターやアナリストであっても、人間である以上、偏りを完全になくすことはできません。反面、ツールを用いて機械的に計算された売上予測には、感情などの不確定要素が入らないため、より厳密な予測を立てられます。
売上予測を便利にするおすすめのツール4選
SFA
SFAとはSales Force Automationの略で、salesforceやHubspotといった、営業の業務を自動化できるツールのことです。SFAの機能の1つに、毎日の活動内容や実績などを入力すると自動で予測を立ててくれるというものがあります。
導入コストはかかってしまいますが、日々の入力だけで簡単に予測を立てられます。営業実績から売上予測を立てたい企業や簡単に予測を立てたい企業におすすめです。
ERPシステム
ERPとはEnterprise Resources Planning の略で、経営に必要な4つの要素(ヒト・モノ・カネ・情報)の分配を最適にする考え方や計画のことです。
ERPの思想を取り入れたツールとしては、ZACやジョブマネなどがあり、ツールを導入するメリットとしては「情報管理の一元化」が挙げられるでしょう。色々な部署でそれぞれ管理していた情報を一括管理することによって企業全体の状況をスムーズに把握でき、適切な経営判断ができるようになります。
ERPにはさまざまなタイプがあるため、自社に合ったサービスを利用するようにしましょう。
AI
AIやビッグデータを活用すると、過去の需要の傾向分析や傾向からより精度の高い売上予測を出せます。売上予測を大きく外す可能性も少ないと期待されています。
AIによる精度の高い売上予測が実現できると、人・モノ・カネのリソースを最適化でき、ビジネスを加速させられるのです。
特に人件費が多く困っている企業や、他の業務で忙しく売上予測をする人材リソースがない企業におすすめです。
Excel
Excelでは統計関連の関数や回帰分析を使うことで、売上予測を立てられます。マクロを使えない場合は「予測シート」機能を使った売上予測も可能です。
予測シートによる売上予測の方法は、以下の通りです。
- 月別の売上データを入力する
- 売上を入力したセルを選択し「データ」タブの中から「予測シート」をクリック
- 予測終了期日を設定し、売上予測を作成
- 予測シート完成
上記を行うことで、表の中に新しく「予測」「信頼下限」「信頼上限」の列が追加されます。
もし期首で定めた売上目標の金額が予測終了日の範囲外でしたら、戦略の見直しが必要です。
売上予測について解説しました
本記事では、売上予測を立てたいけれどどうしたらよいのかわからないという方に向けて計算方法や精度を高める方法、おすすめのツールなどを解説してきました。より早く正確に売上を予測するにはツールを使うのがおすすめです。
※自社で売上予測に関するツールを探す時間がない、おすすめのツールを早く教えてほしい方はシステム幹事にご相談ください。予算や目的をヒアリングし、自社に最適なツールを選定します。相談料も紹介料も一切かからない完全無料サービスです。
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Q. 売上予測とは何ですか?
売上予測とは、企業が「いつ」「どのくらい」売上を獲得できるかの見込みのことです。精度の高い売上予測が立てられると、人員配置・予算管理・在庫管理といった社内業務や、適切な資金繰りに注力できるようになります。
Q. 売上予測(フォーキャスティング)とは?
売上予測とは企業が「いつ」「どのくらい」売上を獲得できるかの見込みのこと。一定期間における具体的な数値を指し、個人の主観によるものではなく、客観的なデータをもとに論理立てて導き出されます。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
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