- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー AI開発
AIアプリ開発の進め方|活用方法・開発手法・知っておきたいAIの基本も解説【2024年最新版】
・そもそもAIアプリとはどんなアプリ?
・AIを応用したアプリにはどんなものがある?
・AIアプリ開発の方法は?
さまざまな分野でAI(Artificial Intelligence)の活用が広がるなか、「AIアプリを開発して自社ビジネスに役立てたい」そう考えている企業担当者の方は少なくないでしょう。そんな方であれば、上記のようなことを知りたいはず。
そこで本記事では、そもそもAIアプリとはどんなアプリなのか?AIにできることや活用方法、AIアプリ開発の手法などを含め、知っておきたいAIの基本を解説!プログラミング不要でAI開発可能な、ノーコードAIツールも紹介していきます。
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AI開発に役立つ記事もご覧ください AI開発の基礎知識をおさらい!利用されるプログラミング言語や作り方を解説
AIアプリ開発とは
そもそも、AIアプリ開発とはどのようなアプリを開発することか?AI開発と違うのか?漠然とした疑問を感じている方が多いかもしれません。AIアプリ開発の意味を具体的に理解するには、AIとはなにか?アプリとはなにか?を知っておくことが前提です。
AIとは
AI(人工知能)とは、人間の知的なふるまいを、コンピューターソフトウェアでシミュレート・再現したもの、またはその技術のこと。1950年代からはじまったAIの研究は、何度かのブレイクスルーを経て今日まで継続されています。その初期段階で登場した数式モデルが、人間の脳細胞ネットワークをシミュレートした「ニューラルネットワーク」です。
画像引用:MathWorks
1980年代以降になると、人間が経験によって自然学習することをAIに応用したアルゴリズム「機械学習」が登場。さらに2006年頃には、ニューラルネットワークの「隠れ層(Hidden Layer)」を多層化して機械学習させる「ディープラーニング」が登場したことで、さまざまな分野でAIが活用されるようになったのです。
画像引用:MathWorks
現在主流となっているAIは、ディープラーニングのほかにも「自然言語処理」などがありますが、入力 > 解析 > 出力という仕組みは同じ。こうした解析方法の違いを「AIモデル」といい、AI開発といった場合は「AIモデル開発」を意味することが一般的です。
アプリ(アプリケーション)とは
アプリ(アプリケーション)とは、ある特定の目的を達成するために、OS(Operation System)の機能を応用(Application)して活用するコンピューターソフトウェアのこと。デスクトップアプリ / ネイティブアプリのように、端末にインストールして利用するもの、Webアプリ / 業務アプリのようにサーバにアプリ・システムを構築して共有するものがあります。どちらもアプリ単体で処理を実行するため、あらかじめ設定されている以上の答えは返ってきません。
アプリケーション開発についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:アプリケーション開発とソフトウェア開発は何が違う?意味・定義や開発手順・方法を解説
AIアプリ開発とはAIモデルを実装したアプリを開発すること
それではAIアプリとはなにか?アプリへの入力に対して、AIによる解析結果を出力として返すのがAIアプリであり、AIモデルを実装したアプリを開発することが「AIアプリ開発」です。
1.ユーザーがアプリへ入力
2.アプリが入力をAIモデルへ入力
3.AIモデルが解析結果を出力
4.アプリがAIモデルの出力結果をユーザーへ返す
アプリにAIモデルを実装することで、アプリ単体では得られない人間の知能に近い論理的な回答を得られるAIアプリを実現できます。
AIモデルにできること
AIモデルにはいくつかの種類があるため、実装するAIモデルによってAIアプリにできることも違ってきます。以下から、代表的ともいえるAIモデルの種類・できること・活用事例を紹介していきます。
画像認識AI
画像引用:J!NS
アプリに入力された画像の情報を細分化し、特徴を抽出・分析することで、映っている物体の認識・意味の抽出、グループ・カテゴリ分類などを自動で行うAIです。
- 人物の顔を認識して特徴を照合する・表情を読み取る「顔認識AI」
- 画像に含まれる文字を抽出してテキストに変換する「文字認識(OCR)AI」
- 連続した画像処理で写り込む風景や人物を文字情報として落とし込む「動画認識AI」
などが一般的な画像認識AIの活用例です。
株式会社J!NSでは、ユーザーの顔を認識して在庫からおすすめのメガネをレコメンド・オンラインで試着できる「JINSデジタルサービス」で、画像認識AIともいえる「JINS BRAIN 2」が活用されています。
文章認識AI
画像引用:Panasonic
入力された文字情報を細分化し、特徴を抽出・分析することで文章の目的を推測し、目的に沿った回答をアウトプットするAIです。
- 文章の特徴やトーンから発言者の感情を類推する「感情分析AI」
- 翻訳エンジンに適用することで自然言語に近い言い回しを可能にする「翻訳AI」
などがあります。
最もシンプルな文字認識AIとしては、文章から目的を推測してあらかじめ用意されていた回答から適切なものをアウトプットする「チャットボット」が挙げられるでしょう。Panasonicが提供する社内向け問い合わせ・ヘルプデスク「WisTalk」などに、AIチャットボットが活用されています。
音声認識AI
画像引用:NTTテクノロス
入力された音声信号をテキスト化、またはテキストを音声情報に変換して読み上げるAIです。上述した文章認識AIと組み合わせて活用される場合が多く、音声情報をテキスト化して要約、目的を推測して目的に沿ってアウトプットされた回答を音声情報に変換することも可能です。例えば「Google Home」などのスマートスピーカーや「Siri」に代表される音声アシスタント、IoTプラットフォームを活用したスマート家電の音声コントローラーなどが活用例として挙げられます。
NTTテクノクロスのコールセンターソリューション「ForeSight Voice Mining」では、会話内容を自動でテキスト化して要約。質問に対する回答をレコメンドするために、ビッグデータをバックグラウンドにしたAIを活用しています。ただし、レコメンドする回答がコンプライアンスに背く内容になっていないかは、人の目で確認する必要があります。
予測AI
入力された過去の統計データをAIに学習させ、これまでの傾向から近未来に起こりうる状況を予測するAIです。学習させるためのデータが大量であるほど、予測の精度を高められる傾向があり、ビッグデータの重要性を再確認させるきっかけになったともいえるでしょう。
株式やFXなどでの市場予測、商品レコメンドなどでの活用が定着しています。また、売上・発注と市場動向を組み合わせた需給予測に役立てる、採用時のミスマッチを避けるためのHR領域など、活用される分野が広がりつつあります。
ただし、予測の正確さはAIの学習状況やAIのデータ量・質に影響されます。そのため、予測の精度が上がるにはある程度時間がかかることに留意しましょう。
AIアプリ開発の手法
ここまでの解説で、さまざまな分野に応用・活用できる、さまざまなAIモデルが存在することが理解できたのではないでしょうか?それでは、これらのAIモデルを実装したAIアプリを開発するにはどうしたらいいのかを解説していきます。
既存のAIモデルを利用
もっとも手軽かつコストを抑えてAIアプリ開発する方法は、クラウドで提供される既存のAIサービスである、コグニティブサービスを利用すること。具体的には、「IBM Watson」などのクラウドコグニティブサービスと自社アプリをAPIで接続し、エンジンとしてのAIモデルを外部リソースに頼る方法です。
※API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース):ソフトウェア同士が情報をやり取りする際に利用するインターフェースの仕組みのこと
「学習済みのAIモデル」を活用できるため、自社向けのAIモデルをゼロから開発する必要がなく、AIアプリ開発へのハードルを大きく下げることができるでしょう。以下から、AIアプリ開発に利用できる、主なコグニティブサービスをいくつか紹介していきます。
IBM Watson
画像引用:IBM Watson
「IBM Watson」は、IBMが開発・提供するコグニティブコンピューティングサービスです。日本語で利用できるさまざまなAPIが用意されており、人間が使う自然言語の意味をシミュレートして処理する自然言語認識に強みを持っているのが特徴。「質疑応答システム」「リアルタイム翻訳機能」「性格・感情の分析」「画像・音声認識」「音声合成」などのサービスを利用可能です。
構築済みのAIモデルを利用できるだけでなく、さまざまなクラウド環境にAIモデルを構築できるプラットフォームが用意されていることもWatsonのポイント。AI開発に必要なツールをまとめた統合環境「Watson Studio」で、ニーズに応じたAIモデルを構築できます。
Google Vision AI
画像引用:Google Vision AI
「Google Vision AI」は、Googleが自社で使っている研究開発基盤と同等の環境を、外部に提供するGCP(Google Cloud Platform)というサービスで使える画像認識AIサービスです。Google App Scriptというプログラミング言語を利用すれば、Vision AIとアプリをAPI接続可能。以下のような画像認識サービスを活用できます。
- 画像からオブジェクトを検出して分類
- 画像内のテキストを認識して抽出
- 画像から人物やロゴなどを識別
- 不適切コンテンツを検出して排除
- インターネットから類似の画像を検索
機能はやや限定されますが、Webブラウザで簡単に画像をアップロードでき、分析結果をデバイスにエクスポート可能な「AutoML Vison」サービスも用意されています。
他にも、音声ファイルをアップロードするだけで文字起こしができる、AWSの音声認識AI「Amazon Transcribe」などが存在します。
AIモデルを独自開発
独自データを活用する専用AIモデルを自社開発したいニーズもあるでしょう。この場合は、ニーズに応じたAIモデルを開発したうえで、アプリとして作成・構築・サーバに展開しなければなりません。一般的には、フレームワーク(開発するプログラムのベースとなるソフトウェア)を利用してAIモデルをプログラミングしていくことになります。このとき筆頭の候補となるプログラミング言語が「Python」です。
AI / 機械学習分野でPythonが圧倒的な支持を得ているのは、シンプルで可読性が高いという特徴があります。ほかに、AI / 機械学習開発に有効なPython向けフレームワークが多数存在するからです。以下から、AI / 機械学習向けの代表的なPythonフレームワークを紹介しておきましょう。
Pythonアプリ開発についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:Pythonでのアプリ開発が注目される理由とは?特徴・開発例・フレームワークも紹介!
TensorFlow
画像引用:TensorFlow
「TensorFlow」は、Googleが開発したオープンソースの機械学習 / ディープラーニングフレームワーク。機械学習に必要なアルゴリズムは一通り搭載していますが、特に画像認識・音声認識、翻訳を含めた自然言語認識・処理など、ニューラルネットワークの多層化・ディープラーニングに強みを持つのが特徴です。
macOS / Windows / Linuxなどで動作するTensorFlowは、C / C++ / Java / Goなどでもプログラミング可能ですが、圧倒的に利用されているのはPython。Googleの画像認識サービス「Vision AI」のベースとしてもTensorFlowが活用されています。
PyTorch
画像引用:PyTorch
「PyTorch」は、Facebookが開発したオープンソースの機械学習 / ディープラーニングフレームワークです。ニューラルネットワークの多層化に対応しているのはTensorFlowと同様ですが、Pythonでのプログラミングが前提となっていることが大きな違い。名前の由来もPythonから命名されたといわれています。
構造がシンプルで柔軟性が高いですが、APIの実装にスキルが必要なこともあり、研究開発目的で利用されることも少なくありません。TensorFlow同様、macOS / Windows / Linuxで動作します。
NumPy
画像引用:NumPy
「Numpy」は、1995年に初版が公開されたオープンソースの数値計算ライブラリ・Python拡張モジュール。機械学習では、大量のデータを高速に処理する必要がありますが、インタプリタ言語であるPythonの計算速度は速くありません。そのためAI開発では、C / Fortranで開発されたNumpyを追加することで、Pythonの弱点を補うことが一般的。Pythonで数値計算・機械学習プログラムを実行する際に欠かせないライブラリです。
ノーコードAIツール
一方、コグニティブサービスを活用するAIモデルを独自開発するという以外に、手軽にAIアプリ開発できる手法が注目を集めつつあります。それが、ソースコードでの記述を必要としない開発ツール「ノーコードAIツール」です。
自由度という点で見劣りするのは事実ですが、AIの用途が合致するのであれば有力な選択肢になり得ます。ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社が提供しているノーコードAIツール「Prediction One」を紹介しておきましょう。
Prediction One
画像引用:Prediction One
「Prediction One」は、ソニーが開発したオープンソースのディープラーニングソフトウェア「Neural Network Libraries」をベースにした、予測分析モデル構築を可能としたノーコードAIツールです。わかりやすいインターフェースが用意され、プログラミングの知識がなくても、数クリックで業務に必要な予測分析を実行可能。気軽に利用できるクラウド版のほか、データを社内に保持したい企業・店舗に向けたデスクトップ版が用意されており、ニーズに応じて選択可能です。
故障予測で定期点検を効率化した製造業、来客数・売上予測を活用して余剰在庫の削減に成功した小売業など、コールセンター、マーケティング、カスタマーサポート、営業を含む幅広い職種・業種で活用できることもポイント。データ加工・前処理を容易にする「データ準備機能」も搭載され、さらに使いやすさが増しています。
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AIアプリ開発で求められる知識
AIアプリ開発は「要件定義」>「設計」>「プログラミング」>「テスト」という、通常のシステム開発と同様の工程で進められることが一般的です。しかし、AIモデルを独自開発する場合は追加の工程が必要になり、AI開発ならではの知識も求められます。
データ収集・加工
AIモデルを開発して学習させるには、学習させるためのデータを収集してコンピューターが読み込める形にデータを加工しなければなりません。AIで実現したいことに応じたデータを収集するため、ときにはインターネットをクロールして情報収集する「Webスクレイピング」などの知識・スキルが必要になることもあります。
ただしスクレイピングをする際は、取得データをそのまま公開したり、複製して配布などすると著作権法違反となります。あくまで情報解析を目的にスクレイピングしましょう。
AIモデルの構築・機械学習
AIモデルをプログラムとして開発するためには、Python / フレームワーク / データベースの知識・プログラミングスキルが必要となります。プログラムの設計・機械学習のためには、数学的な知識、統計学の知識、データ分析能力が求められます。
AI開発に携わるAIエンジニアには、SE(システムエンジニア)としての実力のほかに、ある意味ではデータサイエンティストとしての知識・スキルが求められるのです。
アプリ構築
インプットに対して満足のできるアウトプットの得られるAIモデルが完成しても、アプリとして簡単に利用できなければ、AIアプリの意味がありません。つまり、AIアプリ開発では、AI開発に加えてアプリをビルド・デプロイするための知識・スキルが必要です。
どのような形でAIアプリを提供するかにもよりますが、Webアプリとして公開するのであれば、フロントエンド(ユーザーの目に見える操作画面)開発の知識・スキル、バックエンドとしてアプリをサーバに構築するスキルが求められます。
AIアプリ開発まとめ
AIアプリ開発を検討しているが、どこから手をつければいいのかわからない、という方に向け、本記事では、そもそもAIアプリとはどんなアプリなのか?AIにできることや活用方法、AIアプリ開発の手法などを含めたAIの基本を解説するとともに、プログラミング不要でAI開発可能なノーコードAIツールも紹介してきました。
ノーコードツールという選択肢が出てきたことで、AIアプリ開発は一層身近なものとなりましたが、アイデア・目的によってはシステム開発会社を頼る場面も出てくるでしょう。注意しておきたいのは、AIアプリ開発には通常のシステム開発よりも高度な知識・スキルが求められるということ。システム開発会社は慎重に選定したいものです。
※AIアプリの内製が難しい、優秀なアプリ開発会社にAIアプリ開発を依頼したいという方は、システム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適な開発会社をご紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
コンサルタントのご紹介
岩田
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Q. AIアプリ開発の流れは?
AIアプリ開発の流れは「?要件定義」「?設計」「?プログラミング」「?テスト」」です。それぞれの詳しい内容は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
Q. AIアプリ開発でできることは?
AIアプリ開発でできることは「画像認識」「文章認識」「音声認識」等が挙げられます。詳しくは記事をご覧ください。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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