Google Colaboratoryとは?メリット・注意点をAIアプリ開発向けに解説【2024年最新版】

Google Colaboratoryとは?AIアプリ開発環境としてのメリット・注意点も解説

「機械学習 / ディープラーニングを活用したAIアプリ開発にチャレンジしてみたいが、環境構築が難しそう」そんな悩みを持つ企業担当者の方であれば、Google Colaboratoryのことが気になっているはずです。

  • AIアプリ開発環境を無料で利用できるGoogle Colaboratoryとは?
  • Google Colabを利用するメリット・デメリットは?
  • Google Colabで利用するJupyter Notobookとは?

そこで本記事では、Google ColaboratoryがAIアプリ開発環境としてどう優れているのか?特徴・メリット・デメリット・注意点を含む概要を解説!Google Colaboratoryの始め方・簡単な使い方も紹介していきます。

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AI開発に役立つ記事もご覧ください Google Colaboratoryの前におさらい!AI開発の基本的な流れや手順、学習方法を解説

目次
  1. 1. アプリ開発で活用されるGoogle Colaboratory(Colab)とは
  2. 2. Google Colabと一般的な機械学習・AIアプリ開発環境の違い
    1. 2-1. Pythonのインストールすら必要ない
    2. 2-2. フレームワークが最初から用意されている
    3. 2-3. GPUの物理的な用意が不要
  3. 3. Google Colaboratory(Colab)のメリット
    1. 3-1. Googleアカウントごとの仮想マシンで動作できる
    2. 3-2. 必要なフレームワーク・ライブラリを追加インストール可能
    3. 3-3. Googleドライブ・GitHubと連携したプロジェクトの互換性がある
    4. 3-4. TPU(Tesor Processing Unit)を無償で利用できる
    5. 3-5. Googleアカウントがあれば誰でも無料で使える
    6. 3-6. 高性能なPCが不要
    7. 3-7. プロジェクト・ノートブックの共有が容易
  4. 4. Google Colaboratory(Colab)の注意点
    1. 4-1. タイムアウトで仮想マシンがリセットされる
    2. 4-2. リソースの上限は保証されない
  5. 5. Google Colaboratory(Colab)の始め方
  6. 6. Google Colaboratoryアプリ開発まとめ

アプリ開発で活用されるGoogle Colaboratory(Colab)とは

アプリ開発で活用されるGoogle Colaboratory(Colab)とは

画像引用:Google Colaboratory

「Google Colaboratory」とは、Google社の研究開発部門「Google AI」がクラウドで提供する機械学習・AIアプリ開発環境のこと。「コラボレイトリー」「コラボラトリー」あるいは、単に「Colab(コラボ)」と呼ばれることもあります。具体的には、ディープラーニングを高速化するハードウェアアクセラレーター、ニューラルネットワークを構築するフレームワーク・ライブラリを利用可能な、Jupyter Notebookサービス / Python開発環境となります。機械学習・AIモデル・アプリ開発者から注目される話題のサービスだといえるでしょう。

機械学習やディープラーニングの詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:ディープラーニング(深層学習)とは?AI開発の発展を支える技術・開発手法を解説!

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Google Colabと一般的な機械学習・AIアプリ開発環境の違い

それではなぜGoogle Colaboratoryが大きな注目を集めているのか?理由は、Google Colabを使わない「一般的な機械学習 / AIモデル・アプリ開発環境」をローカルPCに構築する場合と比較すれば明白です。

Pythonのインストールすら必要ない

Pythonのインストールすら必要ない

画像引用:Python

「R」「Scala」などが利用されることもありますが、機械学習 / ディープラーニングの分野におけるニューラルネットワーク設計・開発で、もっとも活用されているプログラミング言語は「Python」です。ローカルPCでPythonを利用するには、コマンドラインベースの「pip(ピップ)」を使ってインストールすることになりますが、Google Colabではその必要がありません。

一般的には、Python・Rなどのツール管理ディストリビューション「Anaconda」を使って、ローカルPCにJupyter Notebookをインストールします。「Jupyter Notebook」とは、Jupyterプロジェクトという非営利団体が開発・提供する、オープンソースの開発環境のこと。機械学習・AI分野で用いられることが多く、PythonのほかにR・Scalaなどでも利用可能です。一方、Jupyter NotebookサービスであるGoogle Colabは、インストールを含めた開発環境の構築は一切不要。ログインするだけで新規・既存プロジェクトを開始できるのです。

ただし、Google ColabのノートブックはJupyterとまったく同一ではない点に注意が必要。使い方に若干の違いがあるほか、正式にサポートされる言語もPythonのみです。将来的にR / Scalaなどへ対応する予定はあるようですが、現時点ではPython専用の開発環境だと考えておく必要があります。

フレームワークが最初から用意されている

効率的にニューラルネットワークを設計・開発するためにも、機械学習・AIアプリ開発では、TensorFlow・PyTorchなどのフレームワークを活用する場合が一般的です。当然、ローカル環境で開発を進めるには、必要なフレームワークを選定してPCにインストールする必要があります。しかし、Google Colabには機械学習や統計学に関する主要なフレームワーク(システム・アプリ開発に必要な機能を集めた、開発のベースとなるプログラム)が最初から用意されています。

GPUの物理的な用意が不要

設計・構築したニューラルネットワークから適切な出力(結果)を得るためには、ニューラルネットワークに機械学習させて出力精度を高めていかなければなりません。この機械学習を効率的に進めるのに必要不可欠なのがGPU(Graphic Processing Unit)です。

GPUはコンピューター画面の描画を担うハードウェアですが、膨大なピクセルから成るグラフィックを高速に表示するため、データの並列処理を得意とする特徴があります。並列処理に長けるGPUの特徴は、ニューラルネットワークの機械学習にも最適です。

ただし、ローカル環境で機械学習を効率化するためには、1枚数十万円になることもあるGPUを複数枚準備しなければなりません。プログラムのアーキテクチャが変更になれば、せっかく用意したGPUが使えない事態もあり得ます。クラウド経由でGPUリソースを利用できるGoogle Colabならば、物理的にGPUを用意する必要も、ハードウェアのマッチングを気にする必要もありません

Google Colaboratory(Colab)のメリット

Google Colaboratory(Colab)のメリット

一般的な開発環境との違い・比較でもお分かりのように、Google Colaboratoryは「Pythonによる機械学習・AIアプリ開発に必要な環境をクラウド経由で使えるようにした」サービスといえます。つづいて、Google Colabならではのメリットも紹介しておきましょう。

Googleアカウントごとの仮想マシンで動作できる

Googleアカウントごとの仮想マシンで動作できる

画像引用:Colab

Google ColabのAIアプリ開発環境は、ログインしたGoogleアカウントごとの専用仮想マシン(Colab VM)で動作します。Pythonで書いたコードの実行やGPUへのアクセス・制御はすべてColab VMで実行されるため、ユーザーはGoogleアカウントへログインできるPCおよびWebブラウザを用意するだけです。

完全に動作確認が取れているのは「Google Chrome」「Mozilla Firefox」「Apple Safari」の3つですが、主要なWebブラウザであれば問題なくGoogle Colabを利用できます。

必要なフレームワーク・ライブラリを追加インストール可能

AIアプリ開発に必要なものが一通り揃っているGoogle Colabではありますが、プロジェクトによっては標準でサポートされていないフレームワーク・ライブラリを利用したいこともあるでしょう。

この場合でも、Ubuntu(Linux 系のOS)で動作するGoogle Colabなら、ほぼすべてのフレームワーク・ライブラリを追加インストール可能です。例えば、機械学習で必要とされるNumPyやScipyなども元々インストールされています。また、Pythonのライブラリもすぐにインストールできます。

Googleドライブ・GitHubと連携したプロジェクトの互換性がある

Googleドライブ・GitHubと連携したプロジェクトの互換性がある

Colab VMがGoogleアカウントで実行されるため、プロジェクトで作成したColabノートブックはアカウントに紐づいたGoogleドライブに自動保存されます。また、Google Colab以外で作成されたJupyterノートブックとの互換性も確保されており、GitHubに保存されたノートブックをColabで読み込むことも可能です。

TPU(Tesor Processing Unit)を無償で利用できる

機械学習 / ディープラーニングに欠かせないGPUリソースを使えるほかに、TPU(Tesor Processing Unit)を利用できることもGoogle Colabの大きな特徴。TPU(Tesor Processing Unit)とは、文字通り機械学習フレームワーク「TesorFlow」に最適化されたAI開発専用ハードウェアアクセラレーターです。

描画エンジンでもあるGPUから、ラスタライズ / テクスチャマッピング(3次元コンピュータグラフィックスで作られた3Dモデル表面に質感を出す手法)などの機能を取り除き、電力あたりの入出力性能を高めたものがTPU。Googleストリートビューのテキスト処理にも利用されており、特定用途の機械学習・ディープラーニングに威力を発揮します。

Googleアカウントがあれば誰でも無料で使える

自分でGPUを用意して開発を始めるのはコストがかかります。しかし、Google Colabが機械学習・AIアプリ開発の普及、および学生を含むエンジニアの育成を目的にしていることもあり、無料で提供している所以ともいわれています。間口を大きく広げ、GPU・TPUなどの高価なハードウェアを利用できる環境が整えられているのはこのため。機械学習・AIアプリ開発に興味のある方なら、Google Colabを利用しない手はありません。

高性能なPCが不要

Googleアカウントごとの仮想マシン(Colab VM)で動作するGoogle Colabは、Webブラウザが快適に動作するのであれば、PC本体の種類・パフォーマンスは問われません。GPU・TPUも別途インストールが不要なため、一世代前のラップトップコンピューターでも快適にプログラミングできるでしょう。

プロジェクト・ノートブックの共有が容易

Googleドライブおよび標準でGitHubと連携するGoogle Colabは、開発プロジェクト・Colabノートブックをチーム間で容易に共有できるメリットがあります。特に、GitHubに慣れていない方でも、Googleドライブを利用できるのがGoogle Colabのポイントです。

普段使い慣れているGoogleドキュメント、スプレッドシートと同様、アクセス権限を設定するだけでColabノートブックを共有できます。

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Google Colaboratory(Colab)の注意点

Google Colaboratory(Colab)の注意点・デメリット

もちろん、Google Colaboratoryの利用はメリットばかりではありません。デメリットとはいえませんが、誰でも無料で利用できるがゆえの注意点があることを知っておく必要があります。

タイムアウトで仮想マシンがリセットされる

Colab VMにはリソースの上限が決められており、タイムアウトを迎えると仮想マシンはリセット(初期化)されてしまいます。Colabノートブックの保存は可能なため、過剰な心配は無用です。
しかし、Colab VMを連続して使い続けられないことは覚えておく必要があるでしょう。

また、個人のアカウントに割り当てられるリソースには、Colab VMの稼働時間、GPU・TPUの使用量などが含まれ、どのくらいでタイムアウトしてしまうかは利用状況によって変動します。Colab VMは利用できても、GPUを利用できない場合もあり、タイムアウトを迎えると翌日まで利用できないこともあります。

Colab VMの稼働時間は、おおむね90分程度だといわれていますが、アイドル状態(Webブラウザを操作していない状態)が5分を超えると、Colab VMがリセットされてしまう場合もあるため、稼働時間に配慮しつつ作業しましょう。また、PCの自動スリープの設定もOFFにしておきましょう。

Colab VMがリセットされる条件は、連続稼働時間のタイムアウトと、アイドル時間によるタイムアウトもあります。ランタイムリセットされるアイドル時間は厳密に決められているわけではありませんが、プログラミング中の熟考で思わずランタイム リセットされてしまうこともあり得ます。

こうした事態を避けるには、Webブラウザを一定時間でリフレッシュ(自動リロード)させるプラグインを活用するのが効果的です

タイムアウトで仮想マシンがリセットされる

画像引用:Google

Google Chromeの拡張機能「Easy Auto Refresh」などをインストールし、5分程度でリフレッシュする設定にしておくのがおすすめです。

リソースの上限は保証されない

明確なリソースの上限をGoogleは公開しておらず、保証もされていません。たとえば、おおむね90分の連続稼働が可能なColab VMも、場合によってはタイムアウトの時間が短縮されることもあり、翌日以降になれば「必ず使える」とも限りません。

また、Google Colabにはいくつかの種類のGPUが用意されていますが、同じ理由で「必ずしも希望するGPUが使える」わけでもありません。こうした措置は、幅広い層に無料で機械学習・AI開発環境を提供するため、ハードウェアのリソースを動的に変動させる必要があるからです。

Google Colaboratoryには有料プランが用意されており、購入することによってリソースの制限を緩和できます。プラン内容は少し複雑ですが、コンピューティングユニットとはColab VMでGPU・TPUを利用するときのリソースを表現する単位。月額$9.99の「Colab Pro」では毎月100コンピューティングユニットが、月額$49.99の「Colab Pro+」では毎月500コンピューティングユニットを利用できます。

リソースの上限は保証されない

画像引用:Google

また、Colab VMの稼働時間は明確に保証はされていませんが、Colab Proならおおむね12時間程度、Colab Pro+なら最大24時間までのランタイムが可能なようです。

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Google Colaboratory(Colab)の始め方

Google Colaboratoryの始め方は簡単です。Googleアカウントでログインしたまま、以下のリンクをクリックすれば、自動的にColabノートブックの検索・新規作成画面が表示されるため、GitHub、履歴から開くか、新規ノートブックを作成してプログラミングをすぐにスタートできます。

Google Colaboratory(Colab)の始め方

画像引用:Colab

「Getting Started」を含むチュートリアルから初めても構いません。新規作成 / 変更されたColabノートブックは、Googleドライブのスペースに「マイドライブ」に自動保存されるため、ドキュメントやスプレッドシートのようにフォルダ管理することも可能です。

Getting Started

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Google Colaboratoryアプリ開発まとめ

機械学習・ディープラーニングを活用したAIアプリ開発にチャレンジしてみたい方に向け、本記事では、Google ColaboratoryがAIアプリ開発環境としてどう優れているのか?特徴・メリット・デメリット・注意点を含む概要を解説しました。また、Google Colaboratoryの始め方・簡単な使い方も紹介してきました。

名称の通り、チーム間でのコラボレーションにも最適な環境を持つ「Google Colab」ですが、クリティカルな機械学習 / AIアプリ開発のメイン環境として活用するには「リソースの制限」が気になるところ。メインの環境としてではなく、便利に使えるサブシステムとして、うまく活用するのが賢い使い方かもしれません。

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Q. Google Colaboratoryとは何ですか?

Google Colaboratoryとは、Google社の研究開発部門「Google AI」がクラウドで提供する機械学習・AIアプリ開発環境のことです。機械学習・AIモデル・アプリ開発者から注目されています。

Q. Google Colaboratoryのメリットは?

Google Colaboratoryのメリットは「Googleアカウントごとの仮想マシンで動作できる」「必要なフレームワーク・ライブラリを追加インストール可能」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。