- 更新日 2024.02.27
- カテゴリー 業務システム
ERPの導入事例を紹介失敗の原因と成功のポイント【2024年最新版】
ERPは業務フローの効率化や、情報の一元管理、内部統制の強化に役立つツールです。しかし、ERPでできることが多いため、以下のような悩みを抱えているケースも多いのではないでしょうか。
- ERPでどのような課題が解決できるかわからない
- ERP導入が会社にどのような成果をもたらすかわからない
- ERP導入をスムーズに導入する手順がわからない
本記事ではERPの導入をご検討の方に対して、ERPの概要、導入事例、導入の手順、導入を成功させるポイント、おすすめのERPまで紹介します。ERP導入にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
「ERPの導入方法がよくわからない」「自社の課題に合わせたERPはどれか知りたい」という方はシステム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適な開発会社を紹介します。ぜひお気軽にお問い合わせください。
ERPとは?導入するメリット
ERPとは「Enterprise Resource Planning」の頭文字をとったもので、生産/販売/在庫/人事/会計などの情報を1箇所に集約できるソフトウェアのことです。
これらのソフトはそれぞれ独立して存在しているものも多々ありますが、ERPによって、様々なソフト内の情報を統合することで、以下のようなメリットがあります。
- 経営判断が速やかになる
- 業務の効率化ができる
- 情報の透明性が確保される
どのようなメリットがあるのか、次の見出しで具体的に解説します。
経営判断が速やかになる
ERPを導入することで、情報管理の効率がよくなり、経営判断がスムーズになる点がメリットです。
生産や売上などに関する情報が個別に管理されている場合、情報の保管場所が部署ごとの管理になっているため、情報のアクセスに手間がかかり、必要な情報を収集、整理、分析する手間がかかっていました。
しかし、ERPを導入することで、生産や販売などの情報が全てリアルタイムで更新されるため、アクセスできる環境さえあれば、売上や財務の最新状況を5分とかからずに確認できます。
売上や財務状況など経営判断に関わる情報に、従業員も簡単にアクセスできるようになるため、従業員自身が経営方針を理解し、行動する助けにもなるでしょう。
業務の効率化ができる
ERPは業務効率化に効果的です。例えば、生産や販売の管理を別のソフトで行っている場合、生産や販売の両方に関わる情報の管理など、ソフト同士の連携に問題があります。販売ソフトと生産ソフトに同じ情報項目がある場合に、片方の情報は編集したが片方は編集し忘れるなどのミスが起こりうるでしょう。
ミスが発生しない場合でも、データを二重登録する手間がかかり、作業効率が悪化してしまいます。
ERPの導入により、情報が集約されていれば1箇所の編集で完了し、業務の効率化に効果を発揮するでしょう。
情報の透明性が確保される
ERPを導入することで、情報の透明性が確保され、内部統制を強化できます。
生産や販売などの情報が個別で管理されている場合、情報にアクセスできる人間が限られるため、管理の仕方によっては、架空の発注書を作り、会社のお金を騙し取ることが可能です。
ERPを導入することで、全ての情報を1箇所に集約でき、従業員の多くが情報にアクセスできるため、不自然な発注やお金の動きをいち早く発見しやすくなります。
情報の透明性を確保し、内部統制を強化することで、企業としての信頼性も確保され、取引先や株主などのステークホルダーとの良好な関係性の構築につながるでしょう。
ERP導入の成功事例5選
ERP導入を通して、どのような成果が得られるのか、具体的な事例を知りたい人も多いでしょう。ここでは、ERPを導入してどのような成果が得られるのか紹介します。
カラクリ株式会社
カラクリ株式会社は、カスタマーサポート向けのAIチャットボットサービスを展開する会社です。経理業務の効率化と同時に会計ソフトと給与計算・勤怠管理ソフトの連携性を重視していたことから、カラクリ株式会社はマネーフォワード クラウドERPを導入しました。
マネーフォワード クラウドERPの導入前は経理情報などのデータ移行がしづらく、業務効率の観点で問題がありましたが、クラウド型ERPを導入することで、会計事務所や監査法人とも、会計情報の共有が簡単にでき、経理業務担当者が1人でも、問題なく業務を回せるようになりました。
参照元:マネーフォワード クラウド
Topcon Positioning Systems Inc.
Topcon Positioning Systems Inc.は、測量機器や眼科系医療機器などの製造・販売を行う企業です。Topcon Positioning Systems Inc.では、7つのシステムを1つに統合したいという課題があり、SAP S/4HANA CloudとSAP Customer Experienceを導入しました。
導入前は様々な子会社で管理システムが統一されておらず、ERPシステムも7種類に分けられている状態でした。SAP S/4HANA Cloudを導入し、ERPシステムを統合したことでできるようになったことが、企業全体の情報へのリアルタイムでのアクセスです。
リアルタイムで会社の情報にアクセスできるようになったことで、子会社は本社に依存しない経営判断が可能になりました。
参照元:SAP ジャパン株式会社
ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は、イーコマース事業や、インターネット上の広告事業などを手がける会社です。2005年からERPを導入していたものの、処理能力の限界にあり、ときにフリーズすることもあったため、Oracle E-Business Suiteを新たに導入することになりました。
既存のシステムは15個ありましたが、導入後はスムーズに決算処理ができるように。外部ソフトによる計算処理が不要になったと同時に、データ集計にかかる処理は導入前の半分に短縮されました。
参照元:TIS株式会社
旭化成メディカル株式会社
旭化成メディカル株式会社は、医療機器および医療用プロセス機器の開発・製造・販売などを手がける会社です。旭化成メディカル株式会社は8ヵ国6法人とのシステムを統一するためにMicrosoft Dynamics 365を導入しています。
Microsoft Dynamics 365を導入したことで、製品の保守サポート面で、問題発生時に、どの部署で対応するべき問題なのか、スムーズに分類できるようになりました。
また、海外拠点でも、本社から直接データにアクセスして状況を確認できるようになったことで、スムーズに業績把握ができ、内部監査にも効果を発揮しています。
参照元:旭化成メディカル株式会社
株式会社ローソン銀行
株式会社ローソン銀行は、システム構築と安定稼動や、銀行勘定系システムとの各種データ連携を目的にOBIC7を導入しました。
OBIC7を導入したことで、ローソン銀行が導入していた勘定系システムとシームレスに連携しつつ、戦略会計データベースを構築し、変化にも対応しやすい体制を構築しています。
参照元:株式会社オービック
ERP導入の具体的手順
ERPは導入して終わりではなく、導入後の運用も想定しておく必要があるため、導入までの手順を知っておくことが大切です。大まかには以下の手順で進めます。
- 導入目的の整理とサービス選定
- 導入計画の制定
- 運用体制の構築
- メンバーの教育
具体的な手順について、次で解説します。
導入目的の整理とサービス選定
最初に、導入の対象となる業務は何か、目標や課題を整理する必要があります。例えば、以下のような目的が考えられます。
- 今まで使ってきた会計や販売ソフトを1つに統合したい
- 情報を透明化し内部統制を強化したい
- 既存のシステムをERPに置き換えたい
ERPはサービスごとにできることや対応範囲、特徴が異なり、課題や目標によって選ぶべきツールも変わります。対象となる業務が明確になっていない場合、サービスの選定が難しくなることもあります。
ある程度目的を整理したら、比較サイトから情報収集し、条件に当てはまるかどうかベンダーの資料を集め、自社にとって最適な会社を選びましょう。
導入計画の制定
ベンダーを決めたら、具体的な導入計画を決めていきます。導入計画時には、導入目的と範囲、スケジュール、体制、タスク一覧、および各種管理方法などを具体化していきましょう。
導入計画を作成する際には、経営層や実際に利用するメンバーが参画して、進めることが大切です。経営者が参画するべき理由は、後述するように、導入時には業務規定や業務マニュアルの整備が伴い、経営者の判断が必要になるケースが多々あるためです。
ERPシステム導入を成功させるためには、実際に利用する担当者が使いやすいかどうかも確認しましょう。
運用体制の構築
ERPは製造から販売まで多くの部署に関わるため、システム運用のための体制を整える必要があります。業務規定や業務マニュアルの整備や、個人情報保護ポリシーや情報セキュリティポリシーの改正が必要になるケースも0ではありません。
例えば、ERPを導入することで、従業員がアクセスできる情報が大幅に増えるため、個人情報の漏えいに関する規定が必要になるなどの問題があるでしょう。
内部統制の強化を図ることを目的にERPを導入する場合であれば、内部統制のための規制を新たにつくる必要があります。業務規定が曖昧になっていると、情報が不透明になり、内部統制の強化につながりません。
ルールや規制の改訂は、規定の変更が伴うことが多いため、時間がかかる作業です。
メンバーの教育
ERPの導入の際には、ERPの使い方に加え、導入の目的や改変した規定について、使用するメンバーに対する説明が必要です。規定の変更がある際には、規定変更の内容だけではなく、目的まで伝えます。
ERPを導入することで、従業員の権限が大きくなるため、扱い方を間違えることで重大なトラブルに発展する可能性もあるため、事前の対策が重要です。例えば、ERPでアクセスできる個人情報を誤って漏えいしてしまうと、対外的な信用を失うなどの恐れがあります。
ERP導入を成功させるポイント
ERP導入の成否は、自社でどのくらいの課題意識や当事者意識を持っているかどうかなどに大きく関わります。
ここではERP導入を成功させるために、意識するべきポイントを解説します。
目的に合ったサービス選定する
ERPは様々な種類があるため、目的にあったサービス選定が重要です。
例えば、クラウド型で自社でソフトや端末なしで利用できるものもあれば、オンプレミス型のように、自社内にソフトを導入する必要があるものもあります。サービスの中には、業界に合わないものもあるかもしれません。
目的に合わないERPを導入しても、業務効率化につながらず、導入したシステムが使用されずに終わってしまいかねません。
業務プロセスやフローを整理する
ERP導入はシステム導入だけで終わるものではなく、業務プロセスやフローまで整理する必要があります。ERPツールを導入することで、多かれ少なかれ、既存の業務フローに変化があるためです。
例えば従来は紙媒体で提出していた申請書を、ERPを導入すればネットがつながる環境であれば事務所に戻らずとも処理できるようになります。
業務フローのどの部分にERPを取り入れるのか、誰がどのようにして運用するのか、運用体制を整えなければ、導入後に混乱してしまう可能性があります。
ベンダーに任せっきりにしない
ERP導入の際には、ベンダーに任せっぱなしにするのではなく、自社の担当者が積極的に動く姿勢が重要です。ベンダーはあくまでサービスの内容や運用方法の専門家であり、自社の業務内容や課題を一番理解できるのは企業の担当者であるためです。
会社の状況に合わせた運用体制を構築するには、自社の担当者が積極的にサービス内容の理解につとめ、本当に導入して効果が出るのか、ベンダーと二人三脚で進めていくことが大切です。
導入実績が豊富なおすすめERP5選
ERPサービスは種類が多く、どのサービスを選ぶべきか迷う人も多いでしょう。ここでは、導入事例が豊富なおすすめのERPを5つ紹介します。
- マネーフォワード クラウドERP
- GRANDIT miraimil
- freee会計
- SAP Business One
- Clovernet ERPクラウド
マネーフォワード クラウドERP
※画像引用:マネーフォワード クラウドERP
マネーフォワード クラウドERPは、会計から人事労務まで、連動して管理できるERPツールです。経理財務サービス、人事労務サービス、BPOサービスまで幅広く対応しており、必要なサービスを会社の成長度合いに合わせて、サービスの組み替えができるERPです。
※画像引用:マネーフォワード クラウドERP
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスにより、請求書送付や代金回収などの請求業務や請求書の受け取り、開封、保管などの支払い業務などバックオフィスの業務をアウトソーシングにも対応しています。
充実したサービス連携により、会社で導入している既存のサービスと柔軟に組み合わせ可能です。
※画像引用:マネーフォワード クラウドERP
最短1ヶ月で導入可能で、会社ごとに専任の担当者が導入前の打ち合わせから利用開始後までサポートしてくれます。
運営会社 |
株式会社マネーフォワード |
主な特徴 |
豊富なサービスから、自由に組み合わせ可能 最短1ヶ月で導入可能 安心の内部統制対応 |
主な機能 |
経理財務サービス 人事労務サービス BPOサービス ワークフローシステム SAML認証によるシングルサインオン |
費用 |
要問い合わせ |
GRANDIT miraimil
※画像引用:GRANDIT miraimil
GRANDIT miraimilは、商社・卸売業・IT・情報サービス業に特化し、中小企業が必要とする機能が揃っているERPです。
※画像引用:GRANDIT miraimil
商社であれば、仕入/売上の同時取引や仕入先から売上先に商品を直送するといった、商社・卸売業特有の取引形態に対応しています。サービス業であれば、期間契約サービスなどで発生する定期的な計上が自動化されるなどの機能が搭載されています。
クラウド型のERPのため、低価格かつ短期間での導入が可能な点も魅力です。クラウド型サービスでありながら、システムを他顧客と共有しないため、セキュリティ面でも安心して利用できます。
運営会社 |
GRANDIT株式会社(GRANDIT CORPORATION) |
主な特徴 |
商社・卸売業・IT・情報サービス業に特化したサービス 保守運用はエンジニアによるサポート体制あり |
主な機能 |
全社情報の迅速な情報開示 レポートの自動作成 月末処理の自動化 テレワーク対応 働き方改革支援 他顧客と分離したシステム管理 |
費用 |
要問い合わせ |
freee会計
※画像引用:freee会計
freee会計はクラウド型のERPで、経理の業務フローの一元管理や、月次決算の早期化や内部統制にも対応したサービスです。人事労務管理やリアルタイムな勤怠管理にも対応しています。
SalesforceやKintoneと自動連携でき、営業情報や、顧客情報と会計処理をまとめて効率化できます。
運営会社 |
freee株式会社 |
主な特徴 |
経理一元化と月次決算早期化 人事労務管理の一元化 稟議(ワークフロー)のペーパーレス化 IPO準備・内部統制対応 リアルタイムな勤怠管理 Salesforce/Kintoneと自動連携 |
主な機能 |
会計機能 人事労務機能 |
費用 |
要問い合わせ |
SAP Business One
※画像引用:SAP Business One
SAP Business Oneは、中小企業の管理・統制を強化するのに役立つERPです。財務管理や顧客管理、購買・在庫管理、財務状況を分析・レポートできる機能まで搭載されています。
業種固有で必要となる機能を豊富に搭載しており、製造業で役立つ消費者ニーズの予測や計画、管理機能や、小売業で役立つ、顧客の購買情報や性別などの属性情報に基づいたパーソナライズ機能など、ビジネスをサポートする機能が利用できます。
運営会社 |
SAP ジャパン株式会社 |
主な特徴 |
オンプレミスまたはクラウドで利用可能 ビジネスインテリジェンスの統合 SAP HANA プラットフォームとの統合 |
主な機能 |
財務管理や顧客管理 購買・在庫管理 財務状況を分析・レポートできる機能(ビジネスインテリジェンス) 業種別の機能 モバイルアプリ |
費用 |
要問い合わせ |
Clovernet ERPクラウド
※画像引用:Clovernet ERPクラウド
Clovernet ERPクラウドは、財務会計とプロジェクト収支管理を軸に、販売・仕入・在庫、給与・勤怠を管理できるクラウド型のERPです。バックオフィス業務効率化と経営状況の見える化、IT運用負荷の低減に役立ちます。
セキュリティ体制も整えており、24時間365日のセキュリティ監視体制と、ヘルプデスクにより、わからないことやトラブルがあった場合でも、安心して利用できます。
運営会社 |
NECネクサソリューションズ株式会社 |
主な特徴 |
経営データの統合管理と経営情報の見える化 バックオフィスの効率化、IT運用負荷の低減 従業員の適正管理、働き方改革の推進 インボイス制度への対応 |
主な機能 |
財務会計 給与計算 販売管理 給与・勤怠管理 |
費用 |
Clovernet ERPクラウド スタンダード 初期費用:30,000円 月額費用:15,000円~ Clovernet ERPクラウド エコノミー 初期費用:0円 月額費用:7,500円~ |
ERPの導入事例 まとめ
本記事では、ERPとはどのようなものか、成功事例から、導入の具体的な手順、成功させるポイント、おすすめのERPまで紹介しました。
ERPは会計業務から人事労務管理まで、様々な業務ツールを連携させ、業務効率化を図れますが、導入を成功させるためには、自社の課題や現状のワークフローを把握し、どの業務を改善させるべきか、把握した上でのサービス選択が必要不可欠です。さらに、ツール導入後の運用体制まで整える必要があります。
しかし、ERPは種類が多く、どのサービスを導入するべきか、どのように運用体制を整えればいいかわからない場合もあるでしょう。
ERP導入にお困りであれば、システム幹事にご相談ください。専門のコンサルタントが会社の現状や課題をヒアリングし、予算や目的に合わせたツール導入のサポートをさせていただきます。相談料は一切かかりません。
コンサルタントのご紹介
岩田
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Q. ERPの導入事例にはどのようなものがある?
ERPの導入事例として「カラクリ株式会社」「Topcon Positioning Systems Inc.」等が挙げられます。そのほか豊富な事例と参考になるポイントは記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
Q. ERP導入を成功させるポイントは?
ERPの導入の成功ポイントとして「目的に合ったサービス選定する」「業務プロセスやフローを整理する」等が挙げられます。詳しくは記事をご覧ください。
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