- 更新日 2024.02.27
- カテゴリー AI開発
AIによる物体検出とは?できることやビジネス上のメリット【2024年最新版】
AIによる物体検出により、画像検出の精度が大幅に高まった結果、ビジネスシーンでも徐々に導入されはじめています。
しかし、一方でこのような悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
- 物体検出をビジネスで何ができるか判断できず、導入するべきか判断できない
- 物体検出を導入してどんなメリットがあるかわからず、導入に踏み切れない
- 物体検出をどのような手順で導入するかイメージできず、導入するのに不安を感じる
本記事では、AIによる物体検出の導入を検討している方に対して、物体検出でできることやメリット、導入する方法までわかりやすく解説します。AIによる画像検出の導入をご検討の方はぜひ参考にしてください。
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AI開発に役立つ記事もご覧ください AI開発の基礎知識をおさらい!AIモデルの仕組みや利用されるプログラミング言語
AIの物体検出とは
※画像引用:NEXT-SYSTEM
物体検出とは、画像や動画から、特定の物体の位置、状態、種類、個数などを認識する技術のこと。AI技術を利用して人間の脳のように物体を瞬時に認識することを指します。
近年ではAI技術が進化し、ディープラーニングという技術が導入された結果、高精度な物体検出が可能になりました。
ディープラーニングとは、ニューラルネットワーク(人間の脳神経の構造を模した情報伝達のモデル)の仕組みを利用し、学習する仕組みです。
ディープラーニングは大量のデータを効率的に処理できるように多層になっています。
物体検出は多様な場面で利用されている
物体検出の技術は、製造業・建設業・土木業・医療などの分野で利用されており、ビジネスから身近な場面まで、様々な場面で利用されてきました。
AI技術によって、精度が上がったことで、人間の顔を個人レベルで認識する顔認証や、自動運転における危険物の判断など、日常生活のより幅広い場面で使われはじめています。
物体検出でできること
物体検出では主に以下のことが可能です。
- 外観の異常や不良の検知
- 建物の外観診断
- 防犯や監視
- 医療分野での活用
- 商品管理や店舗改善
- レジ業務
- 自動運転
この章では物体検出がどのような場面で利用できるのか、詳しく解説していきます。
外観の異常や不良の検知
画像引用:タクミノメ
物体検出により、外観の異常や不良品の検知ができます。例えば、品質管理用のカメラを設置し、物体検出の技術を取り入れることで製品の正常な形状、異常のある形状を認識し、不良品を検出できるようになりました。不良品の検出は、目視による確認の場合、個人のスキルや経験で検出精度に差が出てしまいます。人手不足や高齢化により、不良品の検知を人力で行うことが難しい場合に、AIによる物体検出は効果を発揮します。
建物の外観診断
画像引用:PROTIMES
外壁工事の際、劣化状況を判断するのに物体検出の技術が役立ちます。従来であれば、外壁のひび割れの程度や劣化の状況判断は、調査員の経験によるところも大きく、主観的な判断も必要とされがちでした。
しかし、物体検出の場合、外壁調査時に撮影した画像から、異常がある外壁の状態を把握し、劣化の進行度別にカテゴリを分類できます。外壁の劣化状況を職人の経験に頼らない、より客観的な建物の外観診断を行えるようになります。
防犯や監視
画像引用:株式会社トリニティー
防犯や監視にもAIの物体検出が役立ちます。顧客行動パターンを分析することで、以下のような対応が可能です。
- 異常な行動をする不審者の特定
- 不審物を発見
- 不審者の追跡
防犯だけではなく、以下のような状況の検出ができ、新型コロナウイルスの感染拡大防止にも活用可能です。
- マスク着用の有無
- 人と人の距離が適切かどうか
これらの機能により、犯罪を予防でき、店舗内の安全性を高められます。
医療分野での活用
画像引用:NTT DATA
医療分野では、物体検出技術をCTやMRIのスキャン画像に取り入れ、腫瘍や病巣を発見できる技術が登場しています。
- 人の目での発見が難しい病気をいち早く発見できる
- 人の目による見逃しを防止できる
- 専門医でなくても病気の検査ができる
以上のようなメリットにより、医療業界での人的・金銭的コストの削減が図れます。
商品管理や店舗改善
画像引用:OPTiM Cloud IoT OS
飲食店やアパレルなどの店舗で、店内のカメラ画像に物体検出を取り入れることもできます。
- お客様を性別や服装の特徴などからカテゴリ分けする
- 誰がどのような商品に興味を示したか購入したか調査・集計できる
- 滞留時間やお客様の流れを把握する
- 顧客数をリアルタイムでカウントできる
これらの店内のレイアウトや動線の改善、顧客分析に役立てられます。
レジ業務
画像引用:日経XTREND
レジ業務でも物体検出の技術は利用されはじめいて、商品ごとの特徴を的確に捉える解析が可能になってきました。レジ台に商品を置くだけで自動で商品を識別し、一瞬でレジでの読み取り業務が行えます。
電子タグやバーコードの読み取りと比べると、短時間での読み取りができます。そのため、待ち時間のストレス軽減による、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
自動運転
画像引用:HONDA
自動運転の技術にも物体検出の技術が使われています。車に搭載されたカメラの画像から、
- 信号や標識を識別する
- 自分がどの車線を走っているか認識する
- 前方の車両の有無や車間距離などを判断する
等に物体検出は活用されています。リアルタイムに収集された膨大な情報を複合的に判断して、車の適切な運転をサポートしています。
その結果、交通事故が減少し、より快適な運転ができるでしょう。
物体検出をビジネスで導入するメリット
事例を見ても、まだ自社で導入すべきか判断できない人のためにどのようなメリットがあるか、解説します。
ヒューマンエラーの防止
物体検出はAIにより検出の精度が向上したことで、ヒューマンエラーの防止につながります。
検品などの業務は画像検出がないころであれば、人の目視によって行うことになります。そのような場合、個人のスキルや経験に頼る部分が大きく判断基準のムラが生じる、不良品の漏れが出るなどの可能性があります。
ある食品原材料メーカーでは、異物除去AIを導入したことで、人の手が入らない状態で、異物の検出率95.88%・誤検出率0.00%を実現しました。
物体検出を導入することで、人の手では実現困難な検品基準の平準化や、見落としの防止効果が期待できるでしょう。
業務効率化が図れる
物体検出でこれまで人の手で行うしかなかったことを、機械的に処理できるようになります。その結果、検品などの処理に必要であった人材を他の部分に回せるようになり、人件費の削減効果が期待できます。
商品やサービスの質向上
物体検出により、これまで実現できなかったサービスの提供や、サービスの質の向上が期待できるようになりました。
- 自動車の自動運転機能
- 不審者や不審物をリアルタイムで発見できる防犯カメラ
- 物体検出機能を搭載したレジ
これらの機能は、物体検出機能がなければ、実現は難しかったでしょう。また、防犯カメラに物体検出を導入することで、不審者や不審物の確認を手早く、リアルタイムで行うことも可能です。
物体検出を利用したマーケティング分析
物体検出は物体の行動や流れまで把握できるため、マーケティング分析にも活用可能です。店舗ビジネスであれば、店内で買い物をしている顧客の特徴や流れ、停留時間を把握できます。これらの情報を活用することで、店舗内のレイアウトや顧客動線の改善などに役立てられます。
また、顧客の性別や服装などの特徴をある程度検出することで、着ている服を商品データから検索し、類似商品やニーズに合った商品の提案などにも活用可能です。
物体検出の主な手法
物体検出についてもっと理解を深めたい方のために、具体的な手法も簡単に紹介します。
物体検出の手法は大まかには、以下の6つに分けられます。
- R-CNN
- YOLO
- SSD
- DCN
- DETR
- HOG
最新の手法なども、これらの手法のいずれか、または複数の手法をベースにしていることが多いです。それぞれの特徴を説明します。
これらの仕組みを知っておくことで、物体検出でできることの理解が深まり、自社のビジネスでどのように導入できるかイメージしやすくなるでしょう。
R-CNN
R-CNNは、「Region-based Convolutional Neural Network」の頭文字を取ったものです。画像を認識するための領域(バウンディングボックス)を数千個抽出して、分類する画像認識手法です。ディープラーニングを使った手法の中でも、一番早い成功事例の1つといわれています。
しかし、処理時間が遅く、精度も高くはないことが欠点です。
ビジネスでのこのような欠点を改善するため、Fast R-CNN、Faster R-CNN、Cascade R-CNNなどの新しい手法が生み出されました。
YOLO
YOLOは、「You Only Look Once」の頭文字を取ったもので、処理速度の速さが特徴です。
YOLOは、画像全体を確認し、対象物がない範囲を検出カットしたのちに、バウンディングボックスを用いた分析を行います。
このような特徴のため、対象の誤認が少なく、処理速度も早くなりました。また、プログラミング言語であるPythonで動作し、ライセンスフリーでコストをかけずに導入できる点が魅力です。
デメリットとしては、細かい画像の認識が難しく、特に小さいものが多数写っているような画像の場合、物体の見落としが発生する可能性があります。YOLOは車の自動運転や、スポーツ選手の行動分析などに使われています。
SSD
SSDは、「Single Shot Detector」の頭文字を取ったものです。精度はFaster R-CNNと同等、処理速度も早い点が特徴です。
SSDは大きさと縦横比が異なる複数のバウンディングボックスを作り、より正確なバウンディングボックスの位置を予測しながら、物体検出を行います。
そのため、物体が多数ある場合や、小さい画像の場合でも、高精度な検出が可能です。
DCN
DCNは、変形畳み込みネットワーク「Deformed Convolutional Networks」の頭文字を取ったものです。物体検出時のグリッドの形状を変えることで、特殊な形の物体検出の精度が上がっていることが特徴です。
例えば四角や丸の物体の場合、一部が突出しているような物体の場合、画像が変形する、見切れてしまうなどのエラーが起こっていました。
しかし、DCNでは、変形した形状のパターンを学習し、特殊な形状の画像でも、適切に認識しやすくなります。
DETR
DETRは、「End-to-End Object Detection with Transformers」の頭文字を取ったもので、物体検出と機械学習を融合させた画像検出方法です。
通常の物体検出では学習させたいデータに意味づけするアノテーションという工程が必要でした。しかし、DETRでは画像データのどこに注目するべきか、アテンション機構を導入していることが特徴です。
DETRでは、特にある程度大きな物体の画像検出で高精度な結果を発揮できます。
HOG
HOGは、「Histogram of oriented gradient」の頭文字を取ったもので、正確な顔認識に使われる手法です。特徴となる点を基準にし、特徴量の変化と普遍的な関係を検出することで、画像認識を行います。
ただし、顔画像の検出の際には、顔が正面を向いていなければいけません。
AIの物体検出の開発の流れ
AIの物体検出を企業で導入したいと思っても、どのような手順で導入すればいいかわからない方も多いのではないでしょうか。AI導入の流れを知っておくことで、事前に準備でき、AIをよりスムーズに導入できるでしょう。
ここでは、AIの物体検出を導入する際の流れについて解説します。
導入目的の整理
AIを導入する際には、現状の業務が抱えている問題から、導入目的を明確にし、会社の課題を具体的に整理する必要があります。
- 不良品検出を人の手で行っていて精度が現状90%だが、95%以上にしたい
- 店舗内に物体検出できるカメラを導入し、顧客動線や店内レイアウトを改善したい
上に挙げたように、課題や目的をある程度具体的にできていなければ、どのようなサービスを導入すればいいか判断できず、自社の課題解決につながりません。導入目的が明確になれば、どのようなサービスが必要か明確になり、適切な開発会社を選びやすくなるでしょう。
導入企業の選定
AI開発は高度な専門知識が求められ、会社によって得意とする技術に違いがあります。また、専門的な技術以外にも、対象となる業界に関する知識があるかどうかも重要です。業界に関する知識があれば、会社の実情に合わせた提案をしてくれる可能性が高いでしょう。
外部委託する際には、画像検出に必要な技術についてどのような実績があるか、信用できる企業かなどの観点から、開発会社を選びましょう。
データの収集
AIを導入する上で大切な工程がデータの収集とAIの学習です。AIでは学習のためのデータが多いほど、物体検出の精度が高まります。
データを読み込み、AI学習を進めさせるのは開発会社の仕事ですが、どのような画像を準備するか、どのように収集するかについては、開発会社と相談しながら内容を決め、自社で画像収集できる体制を整えなければいけません。
特にAI開発ではこの学習の過程をいかに丁寧に進めるかが、その後の画像検出の精度に関わるため、時間がかかる工程です。
テスト運用
必要なデータを収集し、開発会社により、AI学習がある程度進行したら、実際の運用を想定したテストを行いましょう。試験運用時の結果から、必要に応じて実際に運用した際のデータも収集し、AI学習を進行させます。
AIは繰り返しテストを行い、学習を進めていくことで、ビジネスの現場で実戦投入できるレベルまで、精度を高められます。
AIの稼働・効果測定
テスト運用を進め、実戦投入が可能だと判断できたら、実際に稼働させ、自社の設定した目標をどの程度達成しているか、効果測定を行いましょう。「不良品検出の精度を90%から95%以上にしたい」という場合であれば、検出時のミスの数を検出し、効果を検証します。
実戦導入後も、得られたデータを収集し、さらに学習を進めることで、AIシステムの最適化を図っていくことも大切です。
まとめ
本記事では、AIによる物体検出の導入を検討している方に対して、物体検出でできることや、導入するメリット、導入の手順について解説しました。
物体検出はAIの導入により、精度が高まったことで、ビジネスでの利用も現実的な選択肢となっています。しかし、AIの導入を成功させるためには、AIの専門知識があり、いかにして、AIの学習を的確に進めていくかが重要です。
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しかし、どのようにして、物体検出に強い会社を見つけるべきか、わからない場合もあるでしょう。物体検出の導入が得意な会社をお探しであれば、システム幹事にぜひご相談ください。
専門コンサルタントが、予算や会社の課題に合わせ、最適な会社を無料でご提案いたします。
Q. AIによる物体検出とは何ですか?
AIによる物体検出とは、画像や動画から特定の物体の位置・状態・種類・個数などを認識する技術を指します。ディープラーニングの導入により、高精度な物体検出が可能になったのが特徴です。
Q. AIによる物体検出のメリットは?
AIによる物体検出のメリットは「ヒューマンエラーの防止」「商品やサービスの質向上」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人