- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー アプリ開発
WindowsでiOSアプリ開発はできる?構築環境や言語を解説【2024年最新版】
iOSとは、Apple社が開発したiPhone向けのOS(オペレーションシステム)です。
iPhoneは世界のみならず、日本でも高いシェア率を誇っています。2022年5月にMMD研究所が公開したスマホのOSシェア調査では、スマホ利用者の4割以上がiPhoneを利用しており、10〜20代の若者の約6割以上がiPhoneユーザーという結果になりました。
このような結果を見ても、iOS(iPhone)アプリの需要は依然高い状況といえるでしょう。
そんな中、ビジネス拡大のためにiOSアプリを開発したいとはいえ、
- 企業でiPhone向けのiOSアプリを開発するにはどうすればいいのか
- iOSの開発環境を整えるために必要なものや言語には何があるのか
- WindowsでiOSアプリ開発と運用はできるのか
など、iOS開発の複雑さにお悩みの担当者も多いのではないでしょうか。
結論として、WindowsでiOSアプリの開発は可能ですが、全ての工程を行うことはできません。
そこで本記事では、
- WindowsでのiOSアプリ開発が途中までしかできない理由
- WindowsとMacの互換性
- iOSとAndroidアプリの違い
- 【Windowsの場合】iOSアプリ開発の手順
- 【Macの場合】iOSアプリ開発の手順
について解説します。
iOS開発に必要な知識を基礎から学べますので、WindowsでのiOSアプリ開発を考えているご担当者はぜひご参考になさってください。
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WindowsでのiOSアプリ開発・公開は制限がある
WindowsができるiOSアプリ開発の範囲
先に結論ですが、冒頭でも紹介したとおり、iOSアプリの開発・リリースはWindowsパソコンのみでは最後まで完了できません。
というのも、WindowsではプログラミングしたiOSアプリのビルド(実際に動作できる状態にすること)ができないためです。
さらに、AppStoreへの申請とリリースもMacがないとできません。
つまり、
- アプリの企画~設計~プログラミング:Windowsでも可能
- アプリのビルド〜AppStore申請〜公開:Windows不可。Macで可
となります。
もちろん、Windowsでプログラミングした後にMacにてビルド~公開することは可能ですが、それであれば最初からMacにてiOSアプリを開発したほうが手間なく、開発環境も整っているといえるでしょう。
よって、iOSアプリを開発するのであればMacを選択するのがおすすめです。
WindowsでiOSアプリの開発を検討している場合の注意点
WindowsでiOSアプリを開発する場合、「Xamarin」といったアプリケーションを使用すれば開発可能です。(詳しくは後述)
ただし開発できるのは、プログラム内の誤りを見つけて意図した通りの動作に修正する作業(デバッグ)までです。デバッグのあと、ソースコードに異常がないかを確認するビルドはMacの機器でないとできない作業です。
最終段階であるリリースするまで行うならば、Windowsとは別にMacパソコンも必要となってきます。まれに、パソコンを物理的に改造して、Macを使用できるようにする方もいますが、故障のリスクが高いためおすすめできません。
「初めからMacのパソコンを購入しておけばよかった……」と後悔しないためにも、開発を始める前に購入するのを推奨します。
監修者 WindowsでのiOS開発には制限があるので、本格的にiOS開発をする場合はMacを用意するのが無難です!
WindowsとMacの互換性・開発環境の違い
iOSアプリの開発にはMacをおすすめしていますが、Windowsによって開発したい場合もあるでしょう。
そこでここからは、iOSアプリ開発におけるWindowsとMacの互換性開発環境の違いを簡単に整理していきます。
WindowsとMacの互換性の違い
WindowsはMicrosoft社の端末のみならず、様々なメーカーのパソコンでインストールできるため普及率は高いのが特徴です。
一方で、基本的にWindows対応のパソコンでMacのインストールはできません。(※)使用可能な言語に制限があり、開発で必要な言語が使えないケースもあります。
(※完全に不可能ではありませんが、サードパーティツールを使った作業が必要になってくるためここでは割愛します)
MacのパソコンはApple社から公式に提供されている「Boot Camp アシスタント」にてWindowsOSのインストールが可能です。Macに加えてWindowsの機能も利用可能であり、使用可能な言語が幅広く用意されている特徴があります。
そういう意味では、MacのほうがWindowsとの互換性が高く開発環境は整っているといえます。
そのため、開発目的でパソコンの購入を検討しているのであれば、Macを選ぶといいでしょう。
iOSアプリとAndroidアプリ開発の違い
iOSアプリとAndroidアプリの開発時の違いとして、以下の2点が挙げられます。
- 開発言語
- 開発環境
それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
開発言語の違い
iOSアプリとAndroidアプリは、使用する開発言語(プログラミング言語)が異なります。どのような目的で、何のアプリを開発したいかによって、使用する開発言語を判断する必要があります。
iOSアプリで使用する言語は、JavaScript・Swift・Object-Cなどが一般的です。
とくに「Swift」はApple社が開発したプログラミング言語のためiOSアプリを開発するには最適といえます。
一方Androidアプリは、Ruby・C言語・JavaScript・Kotlin(コトリン)などの言語を使用して開発します。
開発環境の違い
開発環境とは、アプリを開発するために必要なソフトウェアやデバイスを指します。開発言語と同様に、iOSアプリとAndroidアプリを開発するかによって開発環境も変わってきます。
iOSアプリの開発環境は、Xamarin(ザマリン)やXcodeなどが主流です。
ただし「Xcode」においては、Apple社が提供している開発環境のためWindowsのパソコンでは使用できないため注意が必要です。
一方で、Androidアプリの開発環境にはAndroid Studio、Unity、Xamarinなどが挙げられます。そのなかでも「Android Studio」は、Androidアプリを開発するために必要な機能もそろっているのでおすすめです。
WindowsでのiOSアプリ開発で必要なもの
先述の通り、Windowsで行える工程は、プログラミングの欠陥を取り除くデバッグまでとなり、
ビルド以降の開発は行えません。
「それでもWindowsをメインにしてiOS開発したい」という場合は、
- Xamarin(ザマリン)
- Mac機器や実機
- プログラミング言語の知識
- Apple ID
の4つを用意しておきましょう。
Xamarin(ザマリン)
Xamarin(ザマリン)とは、Xamarin社が開発したクロスプラットフォームアプリを指します。Xamarinは2016年にMicrosoft社によって買収されました。異なるOSでも、同じ仕様のアプリケーションを操作でき、Windows上にMacの仮想環境を作ることで開発が可能となります。
XamarinはMicrosoft公式のクロスプラットフォームアプリのため、信頼性は高いといえます。
補足するとXamarinは、2024年5月1日でのサポート終了が発表されており、今後はMicrosoft社で提供しているクロスプラットフォームの「.NET」と統合される予定です。そのため、今後開発を始める方は変更内容について事前に調べておきましょう。
Xcodeでは開発できない
「Xcodeであれば、WindowsでもiOS開発ができるのでは?」と考える方がいるかもしれませんが、残念ながらXcodeはApple社の製品でしか利用できません。
XcodeはあくまでもiOSのものであり、Windowsにはそもそも対応していないアプリケーションです。どうしてもWindowsでiOS開発を行たいのであれば、Xamarinの一択となるでしょう。
Mac機器や実機
iOSアプリが正常に動くか確認するためには、Macの機器が必要です。iPhoneの実機もテスト用に必要です。初めからMac機器・テスト用iPhoneを用意しておけばすべての工程がスムーズに行えるでしょう。
プログラミング言語の知識
Xamarinのプログラミング言語は「C#(シーシャープ)」です。C#はMicrosoft社が開発したプログラミング言語で、MacOSやiOS、AndroidOSのアプリケーション開発にも使用ができます。
SwiftやObjective-CなどMacでしか使用できない言語はありますが、Windowsの場合制限はありません。ただし、XamarinではPythonを使用して開発できないため、注意が必要です。
Pythonでアプリを開発したいと考えている方は下記の記事をぜひご覧ください。
関連記事:Pythonでのアプリ開発方法解説!開発できるアプリ例や必要なフレームワークも紹介!
Apple ID
Windowsで開発したiOSアプリを公開するにはApp Storeへの申請が必要となるため、Apple IDの準備もしておきましょう。動作確認テストでもApple IDが必要になる場合もありますので、先に用意しておくとスムーズです。
WindowsでiOSアプリを開発する手順
続いて、iOSを開発する手順についても整理しておきましょう。iOSアプリの開発は、以下6つの手順に沿って行います。
- 事前準備を行う
- 開発環境を用意する
- 設計する
- 開発開始|ソースコードを書く
- 動作確認テストを行う
- 正式に申請・公開をする
1.事前準備を行う
アプリを開発するにあたり、以下の事前準備を行いましょう。
- 開発するアプリに合わせてハードウェア(パソコン・スマホなど)を購入する
- Apple IDを取得する
- 必要なソフトウェア(アプリケーション)をインストールする
- 開発言語を決める
開発担当者が複数人いる場合、事前準備を怠ると設計や開発時点でトラブルや手戻りになる恐れがあります。十分に計画を立てた上で準備しましょう。
開発言語については「4. 開発開始|ソースコードを書く」で解説しているため、参考にしてみてください。
2.開発環境を用意する
開発環境とは、開発したいアプリのOSに合わせて選ぶソフトウェアやツールのことです。iOSとAndroidでは、使用する開発環境が異なります。
WindowsでiOSアプリを開発できるのは、Xamarin(ザマリン)という開発環境です。
Xamarinはクロスプラットフォームに対応しているため、iOSだけでなくAndroid・Windowsに対応したアプリも1度に開発できます。
ただ、XamarinはWindowsではiOSアプリのコンパイルを含めたビルドを行えないため、iOSアプリを途中までしか開発できません。
他の開発環境でも途中までしか開発できないため、iOSアプリの開発では最終的にMacが必要となります。
なお、Xamarinは2024年5月1日にサポート終了が発表されており、iOS 17以降の動作は保証されません。
2024年5月1日以降にXamarinを使いたい場合は、後継の「.NET」や「.NET MAUI」にアップグレードする必要があります。
3.設計する
準備が整ったら、開発したいiOSアプリを「機能」「デザイン」「実現方法」の3つを考えた上で設計していきます。
自社で新たなiOSアプリを開発するならば、以下のイメージを開発共同者と共有することが大切です。
- どのような目的で使用するアプリか
- ユーザーが操作する際のデザインはどのようなものがいいか
- 快適に使用できるためにどのような機能が必要か
社内でまとまった企画を実際に画面の設計図として作製しておくことで、スムーズに作業を行えます。ただし理想が高い設計を行うと、途中で挫折してしまう可能性があるため、無理しない範囲で設計することがポイントです。
4.開発開始|ソースコードを書く
プログラミング言語を用いて、ソースコードを書いていきます。WindowsでのiOSアプリ開発では、基本的に以下のプログラミング言語を使用します。
- Python:統計処理やデータ分析が得意
- JavaScript:画像の拡大、アニメーションの表示など動きをつけられる
- Swift(公式標準開発言語):コードの構成がシンプルで初心者も使いやすい
- C#:独立性や拡張性を実現するためのプログラミング言語
上記の中で、XamarinはC#を開発言語として採用しています。iOSに加えAndroidアプリの開発を考えている場合、プラットフォームごとに別々の言語を用いる必要はありません。
5.動作確認テストを行う
動作確認テストは、シミュレーター機能や実機(iPhone)などのiOS対応機器で行います。Windowsでは動作確認テストができないため、iOS対応機器を用意しなければいけません。
アプリを確認する項目としては「操作中にバグは起きないか」「未完成要素はないか」などが挙げられます。
iOSアプリをリリースするためには、Apple社の審査をクリアする必要があります。審査では、デザインや機能性のほかに安全性や法的事項についてもチェックされるため、反社会的勢力やアダルト要素がないか考慮することが重要です。
6.正式に申請・公開をする
動作確認テストを経て、問題ないと判断したらApple社へ正式に申請手続きを行います。
おおまかな流れは、下記の通りです。
- Appleアカウントを作成する(事前に作成しておいてもOK)
- Apple Developer Programの登録を行う
- Certificate(証明書)を作成する
- Provisioningfile(プロビジョニングファイル)を作成する
- Apple Store Connectにアプリを登録する
- Apple情報編集を行う
- バージョン情報の編集を行う
- アーカイブ作成しアップロードを行う
- Apple Store Connectで審査申請する
手順に関しては定期的にバージョンアップされるため、随時情報をチェックする必要があります。AppleでiOSアプリをリリースするには、Apple Developer Programの登録が必須です。
また、Apple Developer Programの登録料として年間99米ドル(※2022年10月時点で14,335円)かかることも、留意しておきましょう。すべての工程が完了したら申請を行います。無事審査が通れば、iOSアプリのリリースが可能となります。
iOS・iPhoneアプリ開発の基本については以下の関連記事にて詳しく解説していますので、あわせてご覧ください
関連記事:iPhone・iOSアプリ開発の基本|アプリの種類・開発方法・言語・環境・手順や学習のヒントを解説!
【補足】MacでiOSアプリ開発をする場合の必要なもの
あわせて、Macの機器でiOSアプリ開発を行う場合、どのようなものが必要なのか紹介していきます。
Macの機器でiOSアプリの開発を行う場合には、以下のものが必要です。
- Macパソコン
- アプリテスト用のiPhone
- 開発ツールと言語
- Apple ID
Macパソコン
iOSアプリの開発からリリースまで行うためにはMacパソコンが必要です。Macの端末であれば開発は可能ですが、ストレスなく開発を行うにはスペックが高いものを選ぶといいでしょう。
例えば、
- CPUはCore i5以上
- メモリは4GB以上
- ハードディスクは64GB以上
に該当するMacパソコンがおすすめです。
とはいえ、個人や社内の予算と相談しながら、CPUやメモリ、ハードディスクの容量などを考慮した上で購入するといいでしょう。
アプリテスト用のiPhone
iOSアプリの開発にはiPhoneでスムーズに動くかどうかを確認する必要があります。
ユーザーによって使用している端末が異なるため、様々な世代のiPhoneで操作するのが理想ですが、それなりの費用が発生します。予算の関係上、難しい場合は開発時点でメジャーな端末を使用するといいでしょう。
開発ツールと言語
開発ツールはXcode、XamarinのほかにFlutter(フラッター)などがあります。
それぞれの特徴は下記の表をご覧ください。
開発ツール |
特徴 |
Xcode |
|
Xamarin |
|
Flutter |
|
また、プログラミング言語はMacでしか使用できないSwift、ほかにもJavaScript、Pyhtonがおすすめです。
Apple ID
Apple IDは完成したiOSアプリをリリースするために必要です。また、動作確認テストの際に作成していないと、開発したアプリをiPhoneにインストールできない可能性があります。慌てて作成するよりも、開発を始める前に用意しておくといいでしょう。
iOSアプリ開発が難しければ外注も検討しよう
iOSアプリの開発工程について説明しましたが、Windows・Macいずれにしても開発担当者にとってアプリ開発は難易度が高く、一から始めると挫折しやすい作業です。
また自社で開発を行う場合も、専門家に外注することで失敗しない進め方や開発方法を教えてくれます。「自社でアプリ開発するのは難しいかも……」と感じる場合は、システム開発会社へ外注も視野に入れておきましょう。
関連記事:アプリ作成・開発の費用相場は?費用を抑えるコツも解説【種類・機能別の一覧表つき】
まとめ
本記事では、WindowsとMacの違いやiOS開発の工程、WindowsでiOS開発を行う場合に必要なものなどをご紹介しました。
WindowsでiOS開発は可能ですが、ビルドやリリースなどの作業はMacパソコンが必須となります。一方でMacパソコンがあれば開発からリリースまで対応可能です。
現時点でWindows対応のパソコンしか持っていないものの、予算に余裕があるならば、Macのパソコンの購入も検討しましょう。
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岩田
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Q. WindowsでiOSアプリを開発する手順は?
WindowsでiOSアプリを開発する手順は「1.事前準備」「2.設計」「3.開発の開始」「4.動作確認テスト」「5.正式に申請」「6.公開」です。それぞれの詳しい内容は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
Q. WindowsでiOSアプリ開発はできる?
iOSアプリの開発・リリースはWindowsパソコンのみでは最後まで完了できません。WindowsではプログラミングしたiOSアプリのビルド(実際に動作できる状態にすること)ができないためです。詳しくは記事をご覧ください。
Q. WindowsでiOSアプリを開発するには何が必要?
WindowsでiOSアプリを開発するには「Xamarin」「Mac機器や実機」「Apple ID」などが必要になります。こちらも記事内で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
この記事を書いた人
Risa
専門分野: 光回線、SDGs、ビジネス、音楽、映画など
2020年9月よりフリーライターとして活動開始。「誰が読んでも分かりやすく、親しみやすい文章」がモットー。SEOやインタビュー記事、記事型LPなど幅広いジャンルで執筆中。
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