- 更新日 2023.10.25
- カテゴリー システム開発
WebシステムのUIデザインとは?知っておきたい重要性・注意点やデザインシステム・ツールを解説【2024年最新版】
WebシステムのUIデザインはどうあるべきなのか?デザインというと、見栄えのよさばかりに意識が向きがちですが、エンドユーザーにサービスや機能を提供するWebシステムでは、ユーザーが快適に利用できることこそがデザインの本質。
自社の目的・ゴールを達成する「ユーザーから使われるWebシステム」を開発するには、「ユーザー」が直接触れる「インターフェース」である「UIデザイン」を理解し、デザイナーと積極的に意見交換することが重要です。
そこで本記事では、UIデザインの重要性、デザイン時の注意点など、Webシステム発注者が知っておきたいUIデザインの基本を徹底解説!デザイナーがどのようにUIをデザインするのか?活用されるデザインシステム・ツールも紹介していきます。
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Webシステムの基本について念のためおさらいしたい方は下記記事をご参照ください。
関連記事:実はシンプル!Webシステムの基本!具体例・Webサイトとの違い
WebシステムのUIデザインはなぜ重要か
UI(ユーザーインターフェイス)とは、ユーザー接点とも言い、エンドユーザーがサービス・機能を利用する際の接点のこと。Webシステムにおいてはクライアント(ChromやSafariといったWebブラウザなど)に表示される画面デザイン(画像、テキスト、アイコンなど)、操作性などのことを指します。
Webシステムは、エンドユーザーがUIを通じてクライアントを操作し、データ処理を行うサーバへリクエスト(要求)を送り、レスポンス(結果)を受け取る仕組み。つまりUIはエンドユーザーである利用者とWebシステムをつなぐ唯一の接点であり、サービス・機能を便利に利用するための重要な役割を担っています。
※Webシステムの仕組みついてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:Webシステムの仕組みをわかりやすく解説!大規模Webシステムで採用されるWeb3層構造とは?
UIとUXの違いと関係
なお、UIと似た言葉に「UX(ユーザーエクスペリエンス)」があります。こちらは「ユーザー体験」と訳し、Webシステムを使うエンドユーザーの体験全体のことを表します。
用語 |
意味 |
UI(ユーザーインターフェイス) *この記事で解説 |
ユーザー接点。ユーザーがサービス・機能を利用 する際の接点を指す。Webシステムにおいてはブ ラウザに表示される画面デザイン(画像、テキス ト、アイコンなど)、操作性などのことを言う。 |
UX(ユーザーエクスペリエンス) |
ユーザー体験。サービス・機能を使うユーザーの 体験全てを表す。UIによって得られる体験もその 中に含まれる。 |
UIデザインはユーザーの生産性・エンゲージメントに直結する
UI(ユーザーインターフェース)デザインの良し悪しが「使いやすさ」、ひいては生産性や顧客のエンゲージメントに直結します。
Webシステムとの唯一の接点である、UIデザインが「使いにくいもの」であったらどうなるのか?
業務にWebシステムを活用している企業・店舗であれば、エンドユーザーである従業員の生産性は確実に落ちてしまいます。Webシステムをカスタマー向けサービスとして活用しているなら、エンドユーザーであるカスタマーからのエンゲージメント(愛着心)が得られません。
結果的に、旧来の業務手順に戻ってしまった、使いやすいUIデザインの他サービスにカスタマーが流れてしまったなど、コストを投入して開発したシステムが「使われないもの」になってしまう可能性が大きいといえるでしょう。
WebシステムにおけるUIデザインが重要なのはこのため。見栄えのよさだけではなく、エンドユーザーが使いやすく、効果的に活用できるUIデザインがWebシステムには必須なのです。
WebシステムのUIデザインで気をつけるべきこと
UIデザインで気を付けるべき5つのポイント
・クライアントの環境を選ばない
・直感的に導線を理解できる
・色を使いすぎない
・シンプルなレイアウト・構造
・カスタマイズ・ショートカット
それでは、Webシステムを効果的に活用できる、エンドユーザーにとって使いやすいUIデザインとはどのようなものなのでしょうか?
それは、Webシステムに実装される多数の機能を見落とすことなく、必要な情報にストレスなくアクセスできる、適切に設計されたUIデザインです。UIデザインを適切に設計するために気を付けるべきポイントは以下の5つ。
クライアントの環境を選ばない
画像引用:https://nijibox.jp/blog/responsivedesign/
クライアントにWebブラウザを利用するWebシステム最大のメリットは、ユーザーの端末を選ばずにいつでもどこでも利用できること。つまり、Webシステムのメリットを活かすUIデザインの基本は、どのような端末・クライアントでも最適化されたレイアウトのUIを提供することです。
一般的には、PC・スマートフォン・タブレットなどの端末ごとにブレークポイントを設定する(スタイルを変更する)レスポンシブデザインが採用されますが、画面サイズが多様化する現代では表示の最適化が難しい場合も。
したがって最近ではどんなWebブラウザにも横幅を可変させて対応できる「リキッドデザイン」が採用されるケースも増えています。
直感的に導線を理解できる
Webシステムの機能を見落とすことなく、必要な情報にアクセスできるUIを実現するには、次に起こすべきアクションを直感的に理解できる導線設計・デザインが重要。ポイントとなるのは「視線誘導」「アイコン」です。
視線誘導とは、人が自然に行っている視線の流れに沿って、整理された情報を並べること。具体的には、左上 > 右上 > 左下 > 右下に情報を並べる「Z型」や、左にメニューを配置する「F型」があります。
画像引用:https://takami-design.jp/specialty
アイコンは次に起こすべきアクションへの誘導として非常に有効ですが、多すぎると混乱を招きやすいことに注意が必要。アイコンがなにを意味するのか?直感的にわかるようにデザインする工夫も必要です。
色を使いすぎない
機能・情報ごとに色を使い分けるデザイン手法は、一見、Webシステムの使い勝手を向上させる効果があるように思えますが、使い過ぎるとどれを優先すべきかわからなくなる、UIが複雑になる傾向が。
「ベース」「メイン」「アクセント」の3つを基本にカラーを絞り込み、優先度が理解できるようなルールを設定することがおすすめ。いたずらに色を増やすのではなく、アイコンの形や大きさを変えるなど色以外の工夫も必要です。
シンプルなレイアウト・構造
多数の機能が実装されるWebシステムは、情報を盛り込み過ぎるあまりレイアウトが複雑になる、あるいは階層が深くなり過ぎて目的の情報にたどり着けなくなる傾向があります。これでは、使い勝手のいいUIデザインだとはいえません。
Webシステムの画面に盛り込む情報はできるだけ少なくする、階層はできる限り「2階層」までにとどめるなど、UIのレイアウト・構造はシンプルにデザインすることが鉄則です。たとえば、1階層目はタブで、2階層目はプルダウンメニューで切り替えるなどの工夫が有効です。
1階層目はタブ、2階層目はプルダウンメニューの例(システム幹事)。ページ数が多い多層構造のサイトでも目的のページへアクセスしやすい。
カスタマイズ・ショートカット
個別ユーザーの利便性を高めるため、カスタマイズの余地を残しておく、ショートカット機能を設定できるようにしておくなども、使い勝手のいいUIをデザインするためのポイント。
特にWebシステムを業務で活用する企業であれば、業務ごとのパーソナライズは利便性・生産性の向上につながります。
たとえば、メニューに表示する機能をカスタマイズできる、お気に入りからいつも使う機能にショートカットできるなど。Webブラウザの機能範囲内という制限はありますが、検討する価値のあるデザインポイントです。
デザイナーが活用するデザインシステムとは
ほとんどの企業はUIデザインを外部制作会社・デザイナーに依頼します。そこで重要なのはどのようにUIデザインが行われるのか?を理解すること。
そこで、代表的な「デザインシステム」を知ることが彼らとのスムーズにコミュニケーションにつながります。
デザインシステムとは、UIデザインのコンポーネント(部品)をひとつにまとめ、デザインの使い方や考え方を仕組み化したもの。企業ごと、制作会社ごとに独自のデザインシステムが存在し、一般に公開されているデザインシステムもあります。ここではGoogleとAppleが提供するデザインシステムを紹介します。
Google Material Design
画像引用:https://material.io
「Material Design」は、Googleが公開・提供しているデザインシステム・ガイドライン(配色やフォントや見出しルールなど、デザイン上の共通項目をまとめたもの)です。時代を超えて共通する優れたデザイン原則を提供することを目的に、Androidをはじめとした多彩なアプリ・サービスに応用できる、統合的なデザインシステムとして開発・提供されています。
ボタンやプログレスバーなどのUIコンポーネントもダウンロードできますが、各コンポーネントの目的・意味が詳しく解説されているなど、思想からマテリアルデザインの理解を深めていく構成となっていることが特徴。
コンポーネントを実装するためのコードや、各種ツールの入手も可能です。
Apple Human Interface Guidelines
画像引用:https://developer.apple.com/design/human-interface-guidelines/
「Human Interface Guideline」は、Appleが公開・提供しているデザインシステム・ガイドラインです。Material Designとは異なり、macOS / iOS / watchOS / TvOSなど、OSごとのユーザー体験を最適化させることを目的に、それぞれのUIデザインがどうあるべきかを重視したガイドラインとなっていることが特徴。
そのため、UIコンポーネントの実装に関連するコードや情報などは公開されておらず、Apple製品を活用するためのUIデザイン情報にフォーカスされています。デバイスとOSの両方を開発し、ブランド価値を重視するAppleならではのアプローチだといえるかもしれません。
UIデザイン制作で活用されるツール
ガイドラインとして有効なデザインシステムですが、クライアントニーズに最適化されたUIデザインを制作するにはツールが必要です。以下、デザイナーがよく活用する代表的なUIデザイン制作ツール4つを紹介していきます。
・Adobe XD
・Sketch
・Figma
・InVision Studio
Adobe XD
画像引用:https://www.adobe.com/jp/products/xd.html
Adobe XDは、モバイルアプリ・WebシステムのUIを簡単にデザインできるUIデザインツールです。デザイン構想をワイヤーフレームとして簡単にスケッチするのも、アニメーションを活用したプロトタイプを制作するのも、Adobe XDのみで完結。デザイナーとディレクターがリアルタイムで共有しながらデザインを進められるなど、作業効率を高められることが人気の秘密です。
制作したUIコンポーネントをPhotoshopやIllustratorと連携させ、デザインを作り込んでいけるのはAdobe製品ならではの特徴。一度作成したUIコンポーネントは再利用も可能。変更や修正が瞬時に適用されるため、面倒なデザインのやり直しも必要ありません。
Sketch
Sketchは、UIデザインやデザインシステム制作に活用される、定番ともいえるUIデザインツールです。Adobe XDよりも古くから提供されており、ワイヤーフレームの共同制作、アニメーションを使ったプロトタイプ制作など、機能面で見劣りすることもありません。
シンプルで使いやすいことから多くのデザイン現場で活用されており、プラグインによる機能追加、外部連携にも対応。ただし、macOSのみの対応となるため、Windows環境では使えないことには留意が必要。30日間のフリートライアルも用意されています。
Figma
Figmaは、Webブラウザで活用できるオンラインUIデザインツールです。インストールの必要もなく、複数人数でのオンライン利用・編集ができるため、チームでUIデザインのアイデアを詰めていくのに最適。Adobe XDやSketchなどのデータインポートにも対応しています。
作成したUIコンポーネントの検索・共有などが簡単にできることもあり、近年ではデザインシステム構築をFigmaで行う企業も増えています。
無料の「Starter」プランが用意されるほか、フル機能の「Organization」プランでも月額45ドルと、使いやすい料金が設定されているのもポイントです。
InVision Studio
画像引用:https://www.invisionapp.com/studio
InVision Studioは、世界でもっともパワフルなスクリーンデザインツールを標榜するUIデザインツールです。簡単にレスポンシブデザインを制作できる「Adaptive Layout」、素早くプロトタイプを制作できる「Interactive Design」のほか、直感的にアニメーションを制作できる「Built-In Animation」も搭載。強力なベクタードローイングツールを使った高品質なデザインを素早く制作できます。
コラボレート機能による共同作業が可能なのはもちろん、同社のFreehandやSketchなどのデザインコンポーネントを読み込んで編集することも可能です。
関連記事:【比較】オススメのUIデザインツール8選!料金・機能・特徴&UXとの違いも解説
ちなみに、UI/UXにおすすめの開発会社の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:UI/UXデザインに強いおすすめアプリ開発会社14選!【2022年最新版】
Webシステムのデザインまとめ
本記事では、開発するWebシステムを最大限活用してもらうためにも、知っておきたいUIデザインの基本、デザイン時の注意点などを解説してきました。
どれも基本的なことではありますが、目的や提供するサービス・機能、システム規模など、Webシステムごとに最適なUIデザインは異なります。セオリーだから採用しなければ、といったことではなく、担当するUIデザイナーとしっかりコミュケートし、最適な答えを導き出していくことが重要です。
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Q. WebシステムのUIデザインとは何ですか?
WebシステムのUIデザインとは、クライアント(ChromやSafariといったWebブラウザなど)に表示される画面デザインのことです。エンドユーザーである利用者とWebシステムをつなぐ唯一の接点であり、サービス・機能を便利に利用するための重要な役割を担っています。
Q. WebシステムのUIデザインのメリットは?
WebシステムのUIデザインのメリットは「次に起こすべきアクションへの誘導として非常に有効」「Webシステムを最大限活用してもらえる」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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