レガシーシステムをわかりやすく解説!問題点や脱却法、成功例を紹介

レガシーシステムをわかりやすく解説!問題点や脱却法、成功例を紹介

過去に作られたシステムに課題を感じている企業の方は「レガシーシステム」について理解を深めたいとお思いではないでしょうか。

本記事では、レガシーシステムについてわかりやすく解説します。レガシーシステムの問題点や脱却法を知って、解決策を検討したい方はぜひご覧ください。

なお、レガシーシステムに強いシステム開発会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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目次
  1. 1. レガシーシステムとは?
    1. 1-1. レガシーシステムと関係が深い「2025年の崖」
  2. 2. レガシーシステムが生まれる背景
    1. 2-1. スクラッチ開発の多用によるブラックボックス化
    2. 2-2. 事業部ごとの最適化の優先
    3. 2-3. 外部委託による開発
    4. 2-4. 有識者の退職
  3. 3. レガシーシステムの問題点
    1. 3-1. 保守運用のコストが膨らむ
    2. 3-2. レガシー化を繰り返すリスクがある
    3. 3-3. システムが機能している限り放置されやすい
  4. 4. レガシーシステムから脱却する方法
    1. 4-1. モダナイゼーション(既存システムの刷新)
    2. 4-2. マイグレーション(別環境への移行)
    3. 4-3. DX人材の確保
  5. 5. レガシーシステム刷新の成功事例
    1. 5-1. 富士通株式会社が担ったモダナイゼーションの事例
    2. 5-2. 日本電気株式会社(NEC)が担ったモダナイゼーションの事例
    3. 5-3. JBCC株式会社が担ったマイグレーションの事例
  6. 6. 【まとめ】レガシーシステムについて解説しました

レガシーシステムとは?

レガシーシステムとは、古い技術や仕組みで構築されているシステムを指す言葉です。明確な定義はないものの、メインフレーム(汎用機)やオフコン(オフィスコンピューター)で作られたシステムを指して「レガシーシステム」と表現される場合が多いです。他にも、過去の技術で構築されているシステムや、作られてから長い年数が経過しているシステムを「レガシーシステム」と呼ぶこともあります。

2017年に行われた一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会による「デジタル化の進展に対する意識調査」では、約8割の企業がレガシーシステムを抱えており、約7割の企業がレガシーシステムがデジタル化の妨げになっていると回答しています。

レガシーシステムはDXを妨げる要因になる可能性を指摘されており、刷新する必要性が高いとされているのです。

レガシーシステムと関係が深い「2025年の崖」

レガシーシステムと関係が深いのが「2025年の崖」と呼ばれる問題です。

経済産業省が公開した「DXレポート」では、レガシーシステムが残存した場合の経済損失は、2025年以降には最大12兆円/年にのぼる可能性があると指摘しています。

既存システムのブラックボックス化などの課題が解消できずDXが進まない場合に発生し得る問題は、以下の通り。

  • DXを実現できずデジタル競争の敗者となる恐れがある
  • システムの維持管理費が高騰し技術的負債が発生する
  • 業務基盤そのものの維持・継承が困難になる
  • システムトラブルやデータ紛失等のリスクが高まる

こうした背景から、2025年までにシステム刷新を推進する必要があると提唱しています。

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レガシーシステムが生まれる背景

レガシーシステムが生まれる背景

次に、レガシーシステムが生まれて問題となる背景についても押さえておきましょう。

スクラッチ開発の多用によるブラックボックス化

スクラッチ開発(※ゼロからシステムを開発すること)の多用によるブラックボックス化はレガシーシステムが生まれる背景の1つです。

スクラッチ開発を多用したり、過度なカスタマイズを行ったりしたシステムは、担当したシステム開発会社以外が保守や改修を行うことが難しくなります。そのため、何らかの理由で開発会社が保有している独自のノウハウが無くなった際に、ブラックボックス化してしまうという問題点があるのです。

事業部ごとの最適化の優先

事業部ごとの最適化を優先してきたことも、レガシーシステムの問題点につながっています。

日本の企業では、部署ごとにシステムの機能を改善するなど各事業の個別最適化を優先してきた傾向にあります。そのため、システムが複雑化し、企業全体で情報管理やデータ管理を行うことが難しくなっているのです。また、新たな技術を導入したとしても、利用が限定的となり効果の発揮も限定的な部分に限られてしまうという課題もあります。

外部委託による開発

システム開発を外部委託することも、レガシーシステムを生む原因になります。

外部委託による開発は、自社にノウハウが蓄積しづらい体制です。委託先に開発を任せっきりにしてしまうと、自社にノウハウが蓄積されず、委託先の企業にだけノウハウが蓄積していくことになります。その結果、自社でこまめにメンテナンスを行うことが難しくなり、ブラックボックス化が起こりやすくなります。

有識者の退職

有識者の退職によりノウハウが失われることで、レガシーシステムが生まれてしまうケースも。

日本の企業の多くは終身雇用が一般的なため、特定の人物にノウハウが蓄積されやすくなります。はじめは整備されていたドキュメントも有識者の存在によりメンテナンスがされなくなってきます。すると、有識者が定年退職の時期を迎えたタイミングで、企業としてのノウハウが失われることになってしまうのです。その結果、システムのブラックボックス化が進んでしまいます。

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レガシーシステムの問題点

レガシーシステムの問題点

続いて、レガシーシステムの問題点も把握しておきましょう。

保守運用のコストが膨らむ

レガシーシステムは保守運用のコストが膨らみがちです。システムがブラックボックス化すると、改修を行うにも調査に時間がかかり、小さな変更にも多くの時間がかかるようになってしまいます。また、不具合を解消するためのコストや、延長サポートを受けるためのコストも膨らみます。

レガシー化を繰り返すリスクがある

レガシー化を一度解消したとしても、再度レガシー化を繰り返す可能性があることにも注意が必要です。レガシー化が起こる背景にはマネジメントの問題もあるため、根本的な原因が解決していなければ、同じことを繰り返してしまうリスクは高くなります。ブラックボックス化が解消されずレガシー化を繰り返してしまうことで、より問題が深刻になってしまう可能性があります。

システムが機能している限り放置されやすい

システムがブラックボックス化していても、機能している限りは放置されやすい点も問題です。日本ではこれまでの開発の成功体験から、レガシーシステムの問題を課題として捉えずに、取り組まないまま放置されてきました。しかし、レガシーシステムが放置されると、システム障害のリスク増加や、最新技術の取り入れの難易度が上がるなどさまざまな問題につながります。

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レガシーシステムから脱却する方法

レガシーシステムから脱却する方法

次に、レガシーシステムから脱却する方法をお伝えします。

モダナイゼーション(既存システムの刷新)

モダナイゼーションの種類

モダナイゼーションとは、既存システムを活用しつつ新しい製品や設計に置き換えて刷新することをいいます。モダナイゼーションの代表的な手法として「リビルド」「リホスト」「リライト」の3つがあります。

リビルド

リビルドとは、既存システムの仕様を活かしつつ、新たな技術に基づいてイチからシステムを再構築する手法のことです。自由度が高く、企業が目指している業務プロセスに適した設計や実装を選びやすいというメリットがあります。ただし、他の手法と比べてコストが高くなる傾向にあるため注意が必要です。

リホスト

リホストとは、システムの構造やデータはそのまま利用して、新たなハードウェアやプラットフォームに移行する手法を指します。移行先のプラットフォームはクラウドかオンプレミス(※サーバやソフトウェアなどを自社で保有・管理する運用形態)のどちらかが一般的です。

クラウドの場合、初期費用を抑えて迅速に移行できる点がメリットです。オンプレミスの場合は、初期費用は高いですがカスタマイズ性やセキュリティ性を高められるという強みがあります。ただし、システムのソフトウェア部分の機能や仕様は残されるため、最新テクノロジーへの対応が難しい場合があります。

リライト

リライトとは既存システムの言語から新しい言語へプログラミング言語を書き換える手法です。たとえばCOBOLなどの従来の言語で構築されたシステムをJavaで記述しなおすケースが該当します。言語の書き換えは自動変換ツールを活用することも可能です。人材不足を見越して新しい言語に統一したい場合などに用いられます。現行システムの機能をそのまま利用できる点がメリットですが、書き換え前のドキュメントの管理状況や人手によっては、リライトが難しい場合もあるため注意が必要です。

マイグレーション(別環境への移行)

マイグレーションは、既存のソフトウェアやデータを新しい環境へ移行することを指します。モダナイゼーションと同じく「リビルド」「リホスト」「リライト」の手法があります。マイグレーションはあくまで「移行」を指す言葉のため、システムの性能や要件は変えずに環境を移動するのが特徴です。

DX人材の確保

DX人材の育成と確保も大切です。経済産業省の「DXレポート」では、人材育成・確保の対応策として以下が大切だと提唱しています。

  • アジャイル開発の実践
  • IT 技術者のスキル標準や情報処理技術者試験の活用
  • 大学を含めた産学連携

ユーザ企業、ベンダー企業がそれぞれ求められる人材スキルを整理し、必要な対応策を実施することが大切です。

レガシーシステム刷新の成功事例

最後に、レガシーシステム刷新の成功事例を紹介します。レガシーシステム刷新の方法と効果を理解するためにも、具体的な事例を確認しておきましょう。

富士通株式会社が担ったモダナイゼーションの事例

富士通株式会社「情報通信業 G社 様 事例」

※画像引用元:富士通株式会社「情報通信業 G社 様 事例」

まずは、富士通株式会社が情報通信業の会社において実現したモダイナイゼーションの事例を紹介します。

情報通信業のG社では、運用コスト削減や可用性の向上、顧客ニーズへの早期対応などの課題がありました。これらの課題を低コストで解決するため、既存アプリケーションを活かしてデジタル化に適した形態のシステムへモダナイゼーションすることが検討されました。

運用プロセスを抜本的に変革することで、運用コスト削減を実現。さらに、技術者不足の解消にもつながりました。また、可用性向上を実現し、アジャイル開発(※短いサイクルでの素早い開発を実現する手法)に対応するための土台を確率しました。

参考:富士通株式会社「情報通信業 G社 様 事例」

日本電気株式会社(NEC)が担ったモダナイゼーションの事例

日本電気株式会社「オープン系モダナイゼーション」

※画像引用元:日本電気株式会社「オープン系モダナイゼーション」

次に日本電気株式会社(NEC)が行ったオープン系(※技術的な仕様が明らかなソフトウェアや周辺機器を利用して開発する手法)モダナイゼーションの事例を紹介します。

A社では、個別最適化・老朽化した共通サーバやアプリケーション基盤の整理や重複の解消をしたいという要望がありました。そこで、コンサルティングによって、不要資産の切り分けと適したアプリケーション基盤の適用範囲の設定を実施。さらに、共通サーバのクラウド化によるITコスト削減を進めました。

その結果、不要資産を約40%削減に加え、運用コストも約40%削減。不要な資産の削減による効率化と、システム運用者の負担軽減を実現しました。

参考:日本電気株式会社「オープン系モダナイゼーション」

JBCC株式会社が担ったマイグレーションの事例

JBCC株式会社が担ったマイグレーションの事例

※画像引用元:JBCC株式会社「【豊橋飼料株式会社 様】レガシー・マイグレーションとアジャイル開発を同時進行」

最後に、JBCC株式会社が担った豊橋飼料株式会社におけるマイグレーションの事例を紹介します。

豊橋飼料株式会社では、2台のオフコンにおいて複雑化・ブラックボックス化が進み、エンドユーザーからの変更要望対応に影響が出ていました。また、大型汎用機であるACOSにおいては、バグを抱えたままの運用をしており、改善が困難になっている状況に。また、システムで対応できない機能を手作業やExcel管理で補填しており、属人化や工数の増大化、ミス発生などの問題も発生していました。

そこで、2台のオフコンを1台のIBM Powerへ統合するとともに、レガシー・マイグレーションとアジャイル開発を同時進行で実施。ブラックボックス化の解消や属人化システムからの脱却、業務標準化などを実現しました。

参考:JBCC株式会社「【豊橋飼料株式会社 様】レガシー・マイグレーションとアジャイル開発を同時進行」

【まとめ】レガシーシステムについて解説しました

レガシーシステムが生まれる背景や問題点、脱却法などを解説しました。

レガシーシステムとは、古い技術や仕組みで構築されているシステムのこと。レガシーシステムはDXを妨げる要因になるため、刷新する必要性が高いとされています。レガシーシステムから脱却する方法として、モダナイゼーションやマイグレーション、DX人材の確保があります。

本記事を参考に、レガシーシステムの課題と向き合ってみてください。

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