インフラ運用とは?作業内容・保守との違い・外注時のメリットや注意点を解説【2024年最新版】

インフラ運用とは?作業内容・保守との違い・外注時のメリットや注意点を解説

業務改善システムやWebアプリなどのシステムを開発することになり、インフラ部分の運用をどうするか検討中の担当者の方へ。

インフラ運用の作業内容がイメージできておらず、自社で行うか外注するか判断するにも知識がないので分からない方も多いはず。

・インフラ運用の作業内容は?
・システム運用や運用設計との違いは?
・外注する場合のメリットや注意点は?

本記事では、インフラ運用の外注を検討している企業の担当者に、運用の作業内容や外注時のメリット、注意点などを、過去に基幹システムの運用保守に携わっていた著者が解説します。最後まで読めば、外注するか判断するために必要な知識がすべて分かりますので、ぜひご覧ください。

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目次
  1. 1. インフラ運用とは?システム運用や運用設計・保守との違い
    1. 1-1. インフラ運用とは?システム運用との違い
    2. 1-2. インフラ運用設計とは
    3. 1-3. 「運用」と「保守」の違い
  2. 2. インフラ運用の作業一覧
    1. 2-1. システム監視
    2. 2-2. 日常メンテナンス
    3. 2-3. 保守へのエスカレーション
  3. 3. インフラ保守の作業一覧
  4. 4. インフラ運用・保守業務を外注するメリット
    1. 4-1. 人手不足の解消
    2. 4-2. 教育コスト削減
    3. 4-3. 運用・保守の質の向上
  5. 5. インフラ運用・保守業務を外注する際の注意ポイント
    1. 5-1. セキュリティ面のリスクを考慮する
    2. 5-2. 担当者の専門性や人柄を確認する
  6. 6. インフラ運用業務で知っておくべき基礎知識まとめ

インフラ運用とは?システム運用や運用設計・保守との違い

インフラ運用とは?システム運用や運用設計・保守との違い

システムの運用業務は一般的に「システム運用」と呼ばれ、システム運用は「インフラ運用」と「アプリケーション運用」に大別されます。

それぞれの言葉の定義を正しく理解して、エンジニアや外注先とのコミュニケーションで認識がずれないようにしましょう。

インフラ運用とは?システム運用との違い

インフラ運用とは、ネットワーク、サーバー、データベースなどのインフラを安定稼働させるために管理・監視を行うことです。システム本体を「家」だとすると、ネットワークやサーバーなどのインフラは「電気、水道」など、システムを稼働させるための基盤。

一方、システム運用とは、開発・リリースされたシステムの管理・監視を行うことを指します。当サイト「システム幹事」で例えるなら、システム本体(※Webサイトの作成・管理をしているシステム)に故障やバグが発生したとき対処することもシステム運用に含まれます。

そしてシステム幹事のデータを保存する倉庫(サーバー)は、AmazonのサービスであるAWSを使っており、AWS(サーバー)との間に不具合が生じたとき対処するのがインフラ運用です。
インフラ運用をイメージしていただくために、具体的な作業内容を以下にまとめました。

インフラ運用

概要

システム監視

・ネットワークやサーバーが正常に稼働するように機器や設備を監視

・機器の稼働状況やメモリの使用・残りの空き容量などを確認

・異常が発生したときに記録をとる

・ウイルスや不正アクセスなどサイバー攻撃を監視する

日常メンテナンス

・パッチ適用(※プログラムの一部を更新してバグを修正すること)

・アップデート(※システムを更新すること)対応

保守への
エスカレーション

システムにトラブル・障害の兆候が見られたときに一次対応を行い保守へ
エスカレーションする

システムは開発してリリースしたら終わりというわけではありません。リリース後も継続的に、システムが正常に動作しているか、攻撃を受けていないかを監視したり、メンテナンスをしたりする必要があります。

システム開発の流れ

関連記事:システム開発の工程・流れをプロが解説!発注者が知っておくべきポイントを紹介

インフラ運用の作業内容は、後の章でも詳しく解説します。

インフラ運用設計とは

「運用」の他に「運用設計」という概念があります。

運用設計とは、システムの運用に必要な作業を取りまとめてルール化すること。システムのスムーズな運用のために必要な工程です。以下のように、運用対象や運用体制を定義したり、監視や障害時の対応手順を定めたりします。

・ネットワーク機器やサーバーなど、運用管理の対象を定める
・社内の運用体制や委託先の委託範囲を定義する
・監視や障害対応の手順をルール化する
・バックアップや定期メンテナンスなどの定常作業を定義する
・セキュリティ関連の対応タイミングや方法を定義する

もし運用設計をしていなければ、障害時に迅速な対応ができなかったり、必要な人員が確保できなかったりする事態につながります。運用設計は、要件定義(※必要な機能などを明確にする作業)や設計の段階で行うのが好ましいでしょう。

「運用」と「保守」の違い

 

インフラ運用

インフラ保守

システム監視

 

日常メンテナンス

 

保守への

エスカレーション

 

障害の原因究明・復旧

 

システムの改善提案・実施

 

システムの運用業務には「運用」と「保守」があります。どちらもシステムの安定稼働が大きな目的であることに違いはありませんが、役割を大きく分けると以下になります。

システム運用…システムを管理・監視し、稼働状況を常に把握する
・システム保守…障害が発生した際に原因を究明しシステムを復旧・修正する

両者の違いは「システムに変更を加えるか」どうか。インフラ運用では監視や管理が基本ですが、インフラ保守の場合、障害の復旧やシステム改善のためにシステムに変更を加えることもあります。

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インフラ運用の作業一覧

インフラ運用

概要

システム監視

・ネットワークやサーバーが正常に稼働するように機器や設備を監視

・機器の稼働状況やメモリの使用・残りの空き容量などを確認

・異常が発生したときに記録をとる

・ウイルスや不正アクセスなどサイバー攻撃を監視する

日常メンテナンス

・パッチ適用(※プログラムの一部を更新してバグを修正すること)

・アップデート(※システムを更新すること)対応

保守への
エスカレーション

システムにトラブル・障害の兆候が見られたときに一次対応を行い保守へ
エスカレーションする

作業内容をイメージしていただき、自社で対応できそうか判断しやすくするために、インフラ運用の作業内容と必要なスキルを説明します。まずは上の表で概要を掴んでから、具体的な内容を確認していきましょう。

システム監視

システム監視とは、ネットワークやサーバーなどが正常に稼働しているかを監視することです。定期的な確認により、障害が発生した場合に速やかに検知し、対応できるようにします。

たとえば、運用しているサイトが何らかの原因によりネットワーク接続が途切れたり、サーバーが停止してアクセスできなくなったりしたら、どうなるでしょう。ユーザーからの信頼を失い、大きな損害が出てしまいます。こうしたトラブルを未然に防いだり、被害を最小限に抑えたりするためにシステム監視が必要です。

システム監視では、以下のような監視作業が実施されます。

監視項目

概要

性能監視

サーバーのCPUやメモリー、ディスクなどの稼働状況や

トラフィック(通信)量を監視する

死活監視

サーバーから正常な応答があるかを確認して

サーバーが停止することなく稼働しているかを監視する

ログ監視

ログ(使用記録)を確認して、不正アクセスや情報漏えいなど

セキュリティに問題がないかを監視する

システム監視には、サーバーやネットワークなどのインフラ機器の知識やコマンドの知識が必要です。ただし、監視自体はコマンドを打ったり画面上の数値をチェックするのみのことが多いため、手順書さえ整備されていれば難易度は低いといえるでしょう。

性能監視

性能監視では、サーバーのCPUやメモリー、ディスクなどの稼働状況やトラフィック(通信)量を監視して、サーバーやネットワークのパフォーマンスに問題がないかを監視します。

たとえばCPUやメモリーの使用率が高い場合、処理速度の低下につながる恐れがあります。そうした問題にいち早く気づくことで、サーバーダウンのような最悪の事態を防ぎ、影響を最小限に抑えることが可能になります。

パフォーマンスが低下している場合は、機器の増設やネットワークの分割などで対応します。

死活監視

死活監視とは、システムが正常に稼働しているかどうか、外部から監視する​​ことです。死活監視では、PINGというネットワークの疎通を確認するためのコマンドを送信し、正常な応答が一定時間内に返ってくるかどうか監視します。サーバーが停止することなく稼働しているか確認するために欠かせない作業です。

ログ監視

ログとは、システムの動作履歴のことです。ログ監視は、不正アクセスや情報漏えいがないかなどセキュリティ監査を目的に行います。

一般的には外部サービスやソフトウェアを利用してログを随時解析し、異常が起きた場合に通知します。ログを確認することで「いつどこで何が起きたか」や「いつ誰が何をしたか」を把握できます。

日常メンテナンス

日常メンテナンス

画像引用:ALSOK研究所

システムを安定的に運用するには、セキュリティパッチ(修正プログラム)の適用やシステムのアップデートなどの日常的なメンテナンスも必要です。

決まった手順に従って作業していくことがほとんどのため、専門的なスキルは必要ない場合が多いでしょう。著者の会社では、新入社員の仕事としている部署が多かったです。

パッチ適用

パッチ適用とは、プログラムの一部を更新してバグを修正することを指します。

サーバーOSやシステムのベンダー(販売元)から公開されたセキュリティパッチをいち早く適用し、システムの安全性を担保します。

アップデート対応

アップデートとは、システムを更新して最新の状態にすることです。新しい機能の追加やバグの修正などによって、システムを改善します。

なお、パッチ適用・アップデートともに保守の作業範囲として扱われることもあります。

保守へのエスカレーション

運用では、日常的な管理の他に、システムにトラブル・障害の兆候が見られたときの対応も行います。下記のような「一次対応」「二次対応」です。

■一次対応…サーバー再起動や各部の点検など、システム運用の範囲内での障害対応
■二次対応…システムの責任者・保守へエスカレーション(報告・対応要請)を行う

一次対応でトラブル・障害の解決を試み、解決できなければシステム責任者へ報告し、保守に解決を要請することが運用の仕事です。

運用におけるトラブル対応は、事前に策定された運用・保守設計、それを基にした手順書に従ってシステム監視、日常メンテナンスと共に実施されます。

高度な専門スキルは不要ですが、問題点を把握し、解決に向けて保守の担当者へ正確に状況を伝える必要があります。そのため、コミュニケーションスキルが必要といえるでしょう。

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インフラ保守の作業一覧

インフラ保守

概要

障害の原因究明・復旧

システム責任者と連携して障害の原因を特定し

早急にシステムを復旧させる

システムの改善提案・実施

トラブル・障害の再発を防止する改善案を策定し

システム責任者に提案・実施する

運用に続いて、保守の中身を説明します。保守では、上記のような改修や調整作業を行います。

障害の原因究明・復旧

障害の原因究明・復旧

保守の最も重要な作業は、発生したトラブル・障害の原因を究明し、ダウンタイム(※システムが落ちてから復旧するまでの時間)を最小限に抑えてシステムを復旧させることです。

運用担当者から報告を受けた保守担当は、システム責任者と連携を取りながら復旧作業にあたります。具体的には、システムログを含む運用記録から障害発生の日時・範囲を特定し、トラブルの原因を究明。それを基に、最善の復旧方法をシステム責任者と話し合いながら策定・実施していきます。

システムの改善提案・実施

システム障害・トラブルの対応時はなによりも復旧が最優先されるため、同様のトラブルがすぐに再発する可能性があります。こうした障害・トラブル再発を防ぐため、抜本的な障害要因を取り除くシステム改善案を策定し、システム責任者へ提案・実施することもシステム保守の仕事です。

インフラシステムの脆弱性・セキュリティホール(※セキュリティを脅かす欠陥)を改善する定期的なシステム改善も保守の作業範囲になります。

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インフラ運用・保守業務を外注するメリット

インフラ運用・保守業務を外注するメリット

専門的な人材を自社で確保できない場合、外部の専門会社へインフラ保守・運用を依頼することになります。外注のメリットを紹介しますので、自社で行うか外注するかを判断するための材料としてください。

人手不足の解消

外注することで、すでにスキルを持った人材に運用・保守を任せることができ、人手不足が解消できます。

インフラ運用・保守には、サーバーやネットワークなどのインフラ機器の知識や、運用監視のためのツールの知識、コマンド操作のスキルが必要になります。

こうしたスキルを持った人材が、24時間365日体制、1日あたりの稼働時間が8時間×20日=160時間だとすると、単純計算でも月に約4.5人(720時間÷160時間)必要です。自社でこれだけの人数を確保することが厳しい場合、外注を利用することで新たな人材を雇用・教育する必要がなくなります。

24時間365日体制で運用する企業は稀ですが、たとえ1日数時間の運用業務であっても外注することで、エンジニアのリソースをシステムの開発や改善など中核業務に当てることができます。

また、少ない人数で回そうとすると社員に残業や休日出勤を課す必要性が出てきてしまいます。社員の負担を減らす点でも外注にはメリットがあるでしょう。

教育コスト削減

外注では専門的な知識・スキルを持った人材に依頼ができるため、教育コストをかける必要性がありません。また、繁忙期だけ人を増やすなどして人員の調整も可能です。

たとえば社員5人を1年かけて教育する場合、給与だけでもざっくり30万円×12か月×5人=1,800万円のコストがかかります。実際には給与以外にも人件費はかかるはずです。

こうした人件費をかけずに、社員はコア業務に集中してスキルアップができることも外注の魅力です。

運用・保守の質の向上

スキルの高い専門会社の人材に任せることで、質の高い運用・保守作業が期待できます。

運用・保守は、システムを安定稼働させるための要となる作業です。間違った運用をしてしまっては大きなトラブルにつながりかねません。

自社で運用・保守の体制が整っていないなら、社内の管理方法を整理する意味でも外注は効果的でしょう。

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インフラ運用・保守業務を外注する際の注意ポイント

インフラ運用・保守業務を外注する際の注意ポイント

セキュリティ面のリスクを考慮する

運用・保守では個人情報を含む重要なデータを外注先に任せることになり、セキュリティ面を考慮する必要性が出てきます。

ファイルやデータベース、コマンド操作などには権限を設定して、重要な情報は閲覧・操作ができないようにしておきましょう。

また、機密情報の取り扱いに関して信頼度が高い実績のある外注先を選ぶなどして、セキュリティリスクを低くすることが重要です。

担当者の専門性や人柄を確認する

運用を任せる会社・担当者の専門性や人柄を確認しておきましょう。

企業の業績は、会社四季報やホームページのIR情報などから確認できます。また、担当者の専門性は、インフラ運用にかかわる資格を持っているかどうかが指標になります。

・ネットワークスペシャリスト試験
・データベーススペシャリスト試験
・情報セキュリティマネジメント試験
・応用情報技術者試験
・LinuC(Linux技術者認定試験)
・AWS認定
・シスコ認定
・ORACLE MASTER

自社の求める運用の対象範囲をカバーできるか、保有資格を参考にチェックするとよいでしょう。

また、実際にやりとりするシステム運用の担当者は、誠実でやりとりしやすそうか確認することも大切。コミュニケーションスキルが高く信頼できそうか、自社の雰囲気(関連部署との雰囲気)とマッチしそうか見ておくと安心です。

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インフラ運用業務で知っておくべき基礎知識まとめ

インフラ運用の作業内容や外注時のメリット、注意点などを解説しました。

・運用とはサーバーやネットワークなどのインフラを安定稼働させるために管理・監視を行うこと
・保守とは障害が発生した際に原因を究明してシステムを復旧・修正すること
・インフラ運用作業にはシステム監視、日常メンテナンス、保守へのエスカレーションなどがある
・外注により人手不足の解消、コスト削減、質の向上が期待できる
・外注する際はセキュリティ面や担当者との相性に注意

運用・保守のための十分なノウハウやリソースが自社にないなら、外注を利用するのがよいでしょう。外注先は、自社の導入目的や予算に合わせて選ぶことが大切

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Q. インフラ運用とは何ですか?

インフラ運用とは、ネットワーク、サーバー、データベースなどのインフラを安定稼働させるために管理・監視を行うことです。「異常が発生したときに記録をとる」「ウイルスや不正アクセスなどサイバー攻撃を監視する」等の特徴があります。

Q. インフラ運用とは?

インフラ運用とは「ネットワーク、サーバー、データベースなどのインフラを安定稼働させるために管理・監視を行うこと」です。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。