- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー インフラ構築
AWS EC2仮想サーバーの料金体系|プラン・料金シミュレーションも紹介!
EC2仮想サーバーを利用してみたいが、AWSのサーバー料金はどのくらい?料金体系や仕組みを知りたい。そんなIT担当者の方に向け、EC2の基本・プランから、AWSの料金体系、モデルケースの料金シミュレーションまで、AWSのサーバー料金の基本を解説していきます。
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AWSの基本料金体系
日本でも導入企業が増加しているグローバルなクラウドコンピューティングサービス、それがAWS(Amazon Web Service)です。しかし、200種類を超えるサービスを提供するAWSは、サーバーの料金体系がわかりにくくなりがちなことも事実。まずは、AWSの基本的な料金体系を把握することが重要です。
利用した分を支払う従量制
クラウドコンピューティングのメリットは「利用した分だけ支払う」こと。それはAWSであっても変わりません。つまり、AWSの料金体系は、原則として「従量料金制」です。つまり、コンピューティングリソースを利用している時間だけ課金され、利用を停止している間の料金は発生しません。これによって利用コストの最適化を実現できます。
ただし、利用していないにもかかわらず、サービスを停止していなければ、利用料金を請求されてしまうことは注意点です。月額固定料金制の多いホスティングサービスとは、考え方が異なることを知っておきましょう。
ホスティングサービスについては以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:ホスティングサービスとは?プラン・機能・利用できるサービスを解説!
サービス / プランに応じて料金は変動
サービスの種類 / プランの内容に応じて、AWSの利用料金は異なります。たとえば、EC2仮想サーバーであれば、vCPU / メモリなどのサーバー構成によって、時間あたりの単価が決まります。ストレージであれば容量、通信の場合はデータ転送量が基準です。
また、リザーブドインスタンスと呼ばれる、従量料金とは異なるプランを適用できるサービスもあります。具体的には、1年間または3年間の長期契約を結ぶことで、総額からディスカウントを得られるサービス。継続的にAWSサーバーを利用したい場合に適したプランです。
USD / クレジットカードが基本
グローバルにサービスを展開するAWSの場合、支払いはUSD(アメリカドル)/ クレジットカードでの支払いが基本です。管理画面から日本円での支払いへ変更する、月額平均2,000ドル以上なら請求書払いにできる例外はありますが、料金の基本はUSD。為替の影響で日本円の支払い金額が変動することは覚えておきましょう。
AWS EC2仮想サーバーとは
それでは、具体的にAWSサーバーの料金はどのくらいなのか?料金の決まる仕組みを理解するため、まずは、AWSでよく利用される仮想サーバー「Amazon EC2」の基本を解説していきます。
AWS EC2の機能と仕組み
Amazon EC2とは、AWSクラウド上に展開される、オンデマンドかつスケーラブルなコンピューターキャパシティ(仮想サーバー / 仮想マシン)のこと。EC2は「Elastic Compute Cloud」の略称であり、EC2の仕組みをイメージ化したのが以下の図です。
画像出典:AWS
EC2の利用を開始すると、Amazonマシンイメージ(AMI)というテンプレートからインスタンス(仮想サーバー)が作成されます。仮想サーバーとユーザーはゲートウェイを通じて接続。AMIにはLinux / WindowsなどのOSイメージが含まれているため、開発したソフトウェアを仮想サーバーへ簡単にデプロイ(配置)できます。
ただし、EC2の利用を停止するとインスタンスは削除されてしまいます。次に利用する際に改めてソフトウェアをデプロイする手間を省くため、インスタンスのデータはストレージサービス「EBS」に保存される仕組みです。
AWS EC2サーバーの利用で発生する料金
このことからもわかるように、AWS EC2仮想サーバーの利用で発生するのは「インスタンス」「ストレージ」「データ転送」の料金です。外部からインスタンスへのデータ転送に関しては無料ですが、インスタンスからインターネット経由で外部へ転送するデータに関しては有料です。
AWS EC2サーバーの料金プラン
ただし、AWS EC2にはいくつかの料金プランが用意されているため、仮想サーバーの構成以外にもプランに応じてインスタンスの料金は異なります。各プランの概要を紹介しておきましょう。
オンデマンドインスタンス
オンデマンドインスタンスとは、インスタンスを利用した時間単位で料金を支払うプランのこと。月間 / 年間などの定期契約を必要とせず、利用したいときにインスタンスを利用できることが特徴です。
EC2のスタンダードなプランとして利用されており、短期的に停止できないプロジェクト、あるいは、EC2を利用したソフトウェアの開発 / テストに活用されています。
Savings Plans
Savings Plansとは、1年間、もしくは3年間の長期継続契約を結ぶ代わりに、総額からディスカウントを得られるプランのこと。1年間、もしくは3年間のオンデマンド利用料金から、最大72%割引されるお得なプラン。リザーブドインスタンスとも呼ばれます。
常時稼働の求められるWebシステム / サービスなどを、EC2で構築する場合におすすめ。EC2に適用できるいくつかのSavings Plansが用意されており、ニーズに応じて選択できます。
スポットインスタンス
スポットインスタンスとは、AWSクラウドで未使用のEC2キャパシティを低価格で利用できるプランのこと。AWS側で設定されたスポット料金に応札することで、空いているリソースをいつでも利用可能です。
ただし、空き容量がなくなるとインスタンスが停止されるため、スポットインスタンスの利用は、仮想サーバーの終了時間を柔軟に設定できるプロジェクトに限られます。
Dedicated Hosts
Dedicated Hostsとは、仮想サーバー(インスタンス)ではなく、EC2物理サーバー(ベアメタル)のことです。Windows Server / SQL Serverなどのライセンスを利用できるため、ハードウェアを占有したい、ライセンス費用を節約したい場合に適しています。
Dedicated Hosts自体はプランではありませんが、オンデマンドインスタンス / Saving Plansのオプションとして選択できます。
オンデマンドキャパシティ予約
オンデマンドキャパシティ予約とは、文字通り、任意の時期にEC2キャパシティを予約できるプランのこと。たとえば、集中的にリソースを必要とする特定の期間を予約しておくことで、追加のキャパシティを取得できなくなるリスクを回避可能。
AWS EC2オンデマンドインスタンスの料金
EC2という1つのサービスだけでも、AWSサーバー料金が非常に複雑であることがお分かりでしょう。プランすべての料金を把握することは容易ではありませんが、基本となるオンデマンド料金を知っておけば予算見積もりの目安となるはず。以下から、EC2 / EBS / データ通信の具体的な料金を一部のみ紹介していきます。
AWS EC2インスタンスタイプごとの料金例
AWS EC2インスタンスの料金は、vCPUの数 / メモリ / OSの組み合わせ、およびリージョン(データセンターのカバーするエリア)に応じて変わります。以下は、アジアパシフィック(東京)リージョンのインスタンスタイプ(Linux)ごとのオンデマンド料金です。
インスタンス名 |
1時間あたり の単価 |
vCPU |
メモリ |
利用できる ストレージ |
ネットワーク パフォーマンス |
t4g.small |
USD 0.0216 |
2 |
2GB |
ESB |
最大5Gbit |
t4g.medium |
USD 0.0432 |
2 |
4GB |
ESB |
最大5Gbit |
t4g.large |
USD 0.0864 |
2 |
8GB |
ESB |
最大5Gbit |
t4g.xlarge |
USD 0.1728 |
4 |
16GB |
ESB |
最大5Gbit |
t4g.2xlarge |
USD 0.3456 |
8 |
32GB |
ESB |
最大5Gbit |
p3.8xlarge |
USD 16.776 |
32 |
244GB |
ESB |
10Gbit |
p3.16xlarge |
USD 33.522 |
64 |
488GB |
ESB |
25Gbit |
※2023年11月7日現在の料金
AWS EBS(ストレージ)の料金例
AWS EBSの料金は、ストレージ容量、IOPS、スループット、ボリューム容量それぞれに料金が設定されています。本記事では、汎用SSDの料金例のみ紹介しておきます。
ボリュームタイプ |
料金 |
汎用SSD(gp3)- ストレージ |
USD 0.08 / GB 月 |
汎用SSD(gp3)- IOPS |
無料の3.000 IOPS、3,000を超えた プロビジョンドIOPSあたりUSD 0.005 |
汎用SSD(gp3)- スループット |
無料の125MB / sec、125を超えた プロビジョンドMB / secあたりUSD 0.040 |
汎用SSD(gp3)- ボリューム |
1か月にプロビジョニングされた ストレージ1GBあたりUSD 0.040 |
※2023年11月7日現在の料金
※IOPSとは、ストレージが1秒間に読み書きできる性能指標のこと
※プロビジョニングとは、ストレージをセットアップするプロセスのこと
データ転送料金例
上述したように、インターネットを経由したAWS EC2へのデータ転送(IN)は無料ですが、EC2からインターネットを経由したデータ転送(OUT)は有料。ただし、毎月100GBまでのデータ転送は無料で利用できます。以下は、月100GBを超えた場合のデータ転送料金です。
料金 |
|
〜10TB / 月 |
USD 0.1368 / GB |
10TB〜40TB / 月 |
USD 0.1068 / GB |
40TB〜100TB / 月 |
USD 0.1032 / GB |
150TB以上 / 月 |
USD 0.1008 / GB |
※2023年11月7日現在の料金
AWS EC2と組み合わせて利用されるサービス
AWS EC2は、柔軟な開発環境をオンデマンドに提供する優秀なサービスですが、サーバーがあるだけではシステムを構築できません。それを補うため、EC2と組み合わせてよく利用されるサービスが「Amazon RDS」および「Amazon S3」です。
Amazon RDS(データベース)
Amazon RDSとは、Amazon Relational Datbase Serviceの略称のこと。つまり、EC2をはじめとしたAWSサービスと連携できる、リレーショナルデータベースインスタンスを提供するサービスです。
MySQL、MariaDB、Oracle、PostgreSQL、SQL Serverが用意され、オンデマンドまたはリザーブドインスタンスとして利用できます。参考までに、Amazon RDS for MySQLのオンデマンドインスタンス(DB)料金例を紹介しておきましょう。リージョンはアジアパシフィック(東京)、タイプはシングルAZデプロイです。
スタンダードインスタンス(DB) |
料金(1時間) |
db.t4g.small |
USD 0.05 |
db.t4g.medium |
USD 0.101 |
db.t4g.large |
USD 0.202 |
db.t4g.xlarge |
USD 0.403 |
※2023年11月7日現在の料金
Amazon Simple Storage Service(S3)
Amazon S3とは、事実上あらゆるデータの取り扱いが可能な、オブジェクトストレージサービスのこと。オブジェクトストレージとは、動画、写真、音声データなど、非構造化データの格納 / 分析に優れたストレージのことです。
たとえば、NVIDIA GPUの利用できるAWS EC2インスタンスと組み合わせ、AI / 機械学習向けのストレージとして利用可能。ストレージのパフォーマンスに応じていくつかのS3タイプがあり、料金はそれぞれ若干異なります。本記事ではアジアパシフィック(東京)リージョン、S3標準(汎用利用)の料金を紹介しておきます。
料金 |
|
〜50TB / 月 |
USD 0.025 / GB |
50TB〜450TB / 月 |
USD 0.024 / GB |
500TB以上 / 月 |
USD 0.023 / GB |
※2023年11月7日現在の料金
AWS EC2仮想サーバーの料金シミュレーション例
AWS料金の仕組み、主要サービスの大まかな料金は把握できた。しかし、サービスを組み合わせた場合の具体的な総額をイメージできない。そんな方に向け、AWS EC仮想サーバーの料金シミュレーション例をいくつか紹介しておきましょう。
AWS EC2サーバーでWebシステムを構築
AWS EC2をメインに、会員サイト / ECサイトなどの高性能な動的Webシステムを構築するシミュレーションです。2つのデータセンターのNATゲートウェイをロードバランサーで接続し、それぞれEC2とRDSでサイトを構築。負荷を分散するとともに、トラフィックの増加に応じたスケーリングに対応する構成です。
画像出典:AWS
サービス |
料金(1か月) |
Elastic Load Balancer |
USD 20.38 |
AWS EC2 × 2 |
USD 178.56 |
Amazon EBS |
USD 34.00 |
Amazon RDS for MySQL(マルチAZ) |
USD 438.00 |
NATゲートウェイ |
USD 89.28 |
月額合計 USD 760.22 |
Windowsベースの業務システムをAWS EC2で構築
Windowsベースの業務システムをAWS EC2内に構築し、オフィスとVPN接続して利用する場合のシミュレーションです。EC2 / RDSで構成された仮想マシンを2台用意してロードバランサーで接続。冗長性と耐障害性を担保する構成。専用ネットワーク接続オプションを採用し、より安全な通信を確保することも可能です。
画像出典:AWS
サービス |
料金(1か月) |
Elastic Load Balancer |
USD 20.38 |
AWS EC2 × 2 |
USD 311.04 |
Amazon EBS |
USD 68.00 |
Amazon RDS for SQL Server(マルチAZ) |
USD 1539.60 |
AWS VPN |
USD 69.12 |
月額合計 USD 2,008.14 |
AWS EC2仮想サーバーの料金を計算する方法
AWSサーバー料金の仕組みは非常に複雑ですが、料金見積もりツールを利用可能。利用したいサービス、インスタンス、大まかなワークロード(仕事量)を把握できていれば、ほぼ正確な料金を見積もり可能です。
画像出典:AWS
AWS EC2仮想サーバー料金を適正内に抑えるには
最後に、AWSサーバー料金をムダなく適正な料金に抑える、ヒントとなるポイントを紹介しておきましょう。重要なのは以下の3点です。
- 利用していないインスタンスは停止、もしくは削除する
- リザーブドインスタンスの利用を検討する
- AWSパートナーの請求代行サービスを利用する
ただし、リザーブドインスタンスのメリットを活かせるのは、AWSサーバーを継続的に利用する場合です。中長期的に利用することが明確であっても、年間の利用時間合計によってはオンデマンドインスタンスの方が有利な場合もあります。どちらがコストメリットを活かしやすいのか?シミュレーションしておくことが重要です。
また、AWSパートナーの提供する請求代行サービスを利用することで、支払い総額から8%〜10%程度のディスカウントを得られる場合もあります。すべての代行サービスに適用されるとは限りませんが、日本円 / 請求書払いに対応するサービスも多いため、検討してみるといいでしょう。
【まとめ】AWS EC2仮想サーバーの料金体系・料金例を紹介しました
EC2仮想サーバーを利用してみたいが、AWSのサーバー料金はどのくらい?料金体系や仕組みを知りたい。そんなIT担当者の方に向け、EC2の基本・プランから、AWSの料金体系、モデルケースの料金シミュレーションまで、AWSのサーバー料金の基本を解説してきました。
AWSサーバー料金は非常に複雑な上、大前提として開発するシステムに適したサービスを選定しなければなりません。適切なサービスを選定するためにも、ランニングコストを抑えるためにも、AWSパートナーである構築 / 請求代行会社に相談することがおすすめです。
なお、AWS構築代行 / 請求代行会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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