- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー 業務システム
経費精算システムの導入メリットとは?デメリットを払拭する選び方のポイントも解説【2024年最新版】
交通費・経費の精算は、ビジネスを展開する組織に欠かせない業務で、できればシステム化して効率化したいバックオフィス業務でもあります。しかし、経費精算システムを導入すれば経費精算業務を効率化できるのか?いまひとつイメージのわかない企業担当者の方なら、以下のようなことを知りたいはず。
・経費精算システムを導入するメリットは?
・経費精算システム導入にデメリットはある?注意点は?
・自社に最適な経費精算システムはどう選ぶ?選び方のポイントは?
そこで本記事では、申請者・管理者・経理担当者の立場から見た経費精算システムの導入メリット、考えられるデメリットを徹底解説。また、最適な経費精算システムを選ぶためのポイント、ニーズごとのおすすめ経費精算システムも紹介していきます。
※自社に合う経費精算システムの選び方がわからない、選ぶ時間がない、おすすめのツールを選んでほしい方はシステム幹事にお問い合わせください。予算や目的などをヒアリングした上で、御社に最適な経費精算システムを選定します。相談料・紹介料はいっさいかかりません。
そもそも経費精算システムとは?
メリットを見ていく前に、今一度経費精算システムについておさらいしておきましょう。
経費精算システムとは、従業員が立て替えた交通費・経費・出張旅費などの精算業務を合理化・効率化するITシステムのこと。紙の申請書を利用する従来の経費精算は、申請・承認・精算の各プロセスに手作業が必要であり、スムーズに経費精算できない、ミスが生じるなどの課題がありました。
経費精算業務を自動化できる経費精算システムなら、こうした課題を解決可能。クラウド環境に構築されたアプリケーションをインターネット経由で利用するSaaS型、自社サーバにアプリケーションを構築して利用するオンプレミス型があります。近年では、気軽に導入できるSaaS型経費精算システムが主流となっています。
経費精算システムの主な機能
サービスによってできることは異なりますが、主要な経費精算システムが搭載する機能を簡単に紹介しておきましょう。
経費精算システムの主な機能 |
概要 |
経費精算 (物品購入・交際費など) |
領収書の読み取り |
交通費精算 |
交通系ICカードの読み取り、定期区間除外、 |
ワークフロー |
経費申請・承認の自動化、支払依頼申請など |
経理関連 |
自動仕訳、FBデータ自動作成、会計ソフト連携など |
外部サービス連携 |
コーポレートカード連携、会計ソフト連携 Amazonビジネス連携など |
経費精算システムの導入メリット
経費精算システムを導入する最大のメリットは、経費精算にかかっていた手間と時間を大幅に削減できること。また、削減した手間・時間をコア業務に割り振ることで、生産性向上を実現できます。
なぜなら、経費精算システムは経費申請する申請者だけでなく、申請を承認する管理者、経費を精算する経理担当者、それぞれにメリットがあるからです。
申請者のメリット
交通費・経費精算の手間を削減
たとえば、交通系ICカードをシステム付属の端末にかざすだけで、履歴から定期区間を除外した交通費を自動算出可能。スマホのカメラで領収書を撮影すれば、OCR機能(光学文字認識)やAI機能で、物品購入費・交際費の申請に必要な情報をテキスト化して読み取れます。
読み取った交通費・経費データはそのまま経費申請に回せるため、
・乗換経路と運賃を調べて申請する
・領収書を見ながら申請書を作成する
などの手間がなくなります。
コーポレートカード(法人・個人事業の銀行口座を引き落とし先にするクレジットカード)と連携したキャッシュレス化・ペーパーレス化も推進可能。スマホアプリで交通系ICカードを読み取れるサービスもあります。これにより、交通費・乗降履歴データを自動で取り込めるのです。
外出先からも経費精算が可能
WebブラウザやWebアプリで操作可能な経費精算システムなら、外出先からでも経費申請できるメリットがあります。たとえば、営業先に向かう途中に経費で手土産を購入し、移動中に交通費とシステムのブラウザやアプリを通じて経費を申請できるのです。
月末になって、忘れていた経費をまとめて申請する、結果的に抜け漏れ・ミスが多くなるという経費精算にありがちな課題も解決できます。
経費申請・承認がスムーズに
ワークフロー機能(社内で行う決裁の承認や稟議をスムーズにする機能)を搭載する経費精算システムなら、経費の申請・承認プロセスをスムーズに進められます。
■ワークフロー機能の画面(例)
画像引用:ジョブカン
ワークフロー機能によって申請フローを見える化して、効率的に申請業務を処理できるのです。そのため、「急ぎで物品購入したいが承認が得られなければ経費として落とせない」といった申請者の悩みを解決可能。
スピーディーな対応が求められる現代ビジネスでは、意外なほど重要な要素となるでしょう。
管理者のメリット
ワークフロー機能を搭載する多くの経費精算システムは、承認ポイントの分岐、金額に応じた承認者の指定などが可能。これは管理者にとって内部統制を強化できるメリットが得られることを意味します。もちろん、経費精算システム導入による管理者の実務的なメリットもあります。
不在時でも経費の承認が可能
経費精算システムは外出先でも利用できるだけでなく、申請があったことを通知する機能が搭載されています。そのため、管理者がオフィスにいなくても経費の承認が可能。
管理者以外の代理承認者を指定できる経費精算システムなら、管理者が休日の場合でも申請・承認フローが滞ることはありません。
ボタン1つで承認・却下ができる
紙の申請書の場合は、管理者がいちいち1枚ずつ確認して押印する手間がありました。しかし、経費精算システムによって電子申請書をワークフロー画面内のボタン一つで承認や却下、差し戻しができるのです。
紙の申請者のやり取りにかかっていた時間が経費精算システム導入によって時短になり、空いた時間で管理者は他のコア作業ができるようになります。
経理担当者のメリット
経費精算システムは、申請・承認だけではなく、立て替え分の支払いとなる精算業務、すなわち経理担当者の業務も効率化するメリットが得られます。
経費精算業務の効率化
申請書という書類ではなく、データでの申請となる経費精算システムは、主要な会計ソフトとの連携や、CSVデータのインポートが可能。一つひとつ書類を付き合わせてチェックする手間が省け、転記ミスを排除できるメリットが得られます。
自動仕訳・FBデータの自動作成
ほとんどの経費精算システムは、経費の自動仕訳機能、銀行振り込みに必要なFBデータの自動作成機能を搭載しています。
※FBデータ:企業で設置しているシステムや専用の端末から、銀行などの金融機関システムにアクセスしてサービスを利用する際に取り扱うデータ(残高や入出金履歴の照会など)
会計ソフトとの連携とともに、経理担当者の工数を大幅に削減できるメリットが得られるでしょう。例えば、申請者が申請書を作成した時点で仕訳もできて、経費処理の時点で勘定科目や税区分を自動的に紐づけてCSVデータを生成できるのです。
また、社内での経費精算システムの定着とともに、経費の都度申請が浸透することも期待できます。ただでさえ忙しい月末に、経費精算が集中してしまうことも避けられるでしょう。
※メリットがわかっても、自社に合う経費精算システムの選び方がわからない、選ぶ時間がない、おすすめのツールを選んでほしい方はシステム幹事にお問い合わせください。予算や目的などをヒアリングした上で、御社に最適な経費精算システムを選定します。相談料・紹介料はいっさいかかりません。
経費精算システムの導入にデメリット・注意点はある?
数々のメリットがある経費精算システムですが、導入にあたってデメリットとなるようなことはあるかを見ていきます。
導入コストがデメリットとして挙げられる場合もありますが、業務効率化とそれにともなう生産性向上を考えれば、コストは大きなデメリットとはなり得ません。
ただし、経費精算システム導入に際して、解決しておきたい課題があることも事実です。
機能とニーズのミスマッチ
多機能化が進む経費精算システムですが、自社のビジネススタイルによっては「使わない機能がある」「足りない機能がある」などのミスマッチが生じる可能性があります。例えば、従業員数が少ない企業なのに、大企業向けの多機能かつ高額な利用料金のシステムを選んでしまうことが挙げられます。
リーズナブルな月額費用で利用できるSaaS型が普及したとはいえ、使わない機能が多い、足りない機能があるのなら、業務効率化・生産性向上という経費精算システムのメリット面を充分に享受できません。
定着が困難な場合も
経費精算システムに限ったことではありませんが、ITシステムの導入効果を最大化するためには、関連するスタッフすべてのシステム活用を定着させることが必須です。
しかし、幅広い世代の従業員が混在する組織では、経費精算システムの使いこなしが難しく感じる層がいることも珍しくありません。システム活用が定着しなければ、経費精算システムの導入効果を最大化することは困難です。
経費精算システムの選び方
経費精算システムの導入メリットを最大化するためには、課題となりがちな「機能とニーズのミスマッチ」「システムの活用・定着」を意識し、自社に最適な経費精算システムを選定することが重要です。選び方を把握することではじめて、システム導入による業務効率化・コスト削減など生産性向上につながるでしょう。
導入の目的・効率化の範囲を明確にする
機能とニーズにミスマッチのない経費精算システムを選定するには、どのような目的でシステム導入を検討しているのか、どのような業務を効率化したいのか、自社ニーズをしっかり見極めましょう。目的を明確にしないと、期待する費用対効果が得られない恐れがあります。自社ニーズを満たすために適切な機能を持つ経費精算システムを選ぶことが肝心です。
たとえば、海外を含む急な出張が多い企業では、交通・宿泊予約と連携できる「Concur Expensse」が最適です。
ただし、そもそも外回り営業や出張がそれほど多くないのであれば、高機能な経費精算システムは必要ありません。
以下から、経費精算システムに求められるよくあるニーズと、それに最適な代表的なサービスを紹介しておきます。
交通費精算を効率化したい企業に:ジョブカン経費精算
画像引用:ジョブカン経費精算
「ジョブカン経費精算」は、東京都渋谷区に本社を構えるクラウドベンダー、株式会社DONUTSが開発・提供するSaaS型経費精算システムです。
交通系ICカードの読み取り・ジョルダン乗換案内連携、仕訳データ・FBデータの自動生成、ワークフロー機能など搭載。交通費精算を効率化したい企業に最適。Amazonビジネスと連携した経費精算にも対応しています。
ワークフローは経費精算のみに特化したシンプルなものながら、条件に応じた承認経路の分岐、代理申請・承認にも対応する優れもの。標準で電子帳簿保存法に対応するだけでなく、タイムスタンプオプションも追加可能。
経費精算機能をより強化するコーポレートカード連携も予定されています。
初期費用 |
無料 |
月額費用 |
440円〜 / 1ユーザー |
主な機能 |
ICカード読み取り、ジョルダン乗換案内連携、 交通費明細作成、仕訳・FBデータ自動生成、 ワークフロー、チャットツール連携、 Amazonビジネス連携、 データ出力による会計ソフト連携など |
オプション・その他 |
タイムスタンプ、ジョブカンシリーズとの連携 |
経費申請を効率化したい企業に:jinjer経費
画像引用:jinjer経費
「jinjer経費」は、東京都新宿区に本社を構えるクラウドベンダー、jinjer株式会社が開発・提供するSaaS型経費精算システムです。
交通費・経費・交際費・出張・支払依頼、それぞれの申請を迷うことなく実行できるシンプルな操作画面。また、電子帳簿保存法にも対応可能です。スマホアプリを活用すれば、OCR機能による領収書読み取り、交通系ICカードの読み取りもできます。
承認ルートを柔軟に設定できるワークフロー、仕訳・FBデータの作成、フォーマットを選べるデータ出力機能など、充実した基本機能を搭載。また、事前承認との金額差をアラート表示する「規程違反の確認機能」も搭載されています。
将来的なコーポレートカード連携機能も予定されています。
初期費用 |
要問い合わせ |
月額費用 |
500円〜 / 1ユーザー |
主な機能 |
スマホアプリ(ICカード・領収書読み取り、各種申請) 仕訳・FBデータ自動生成、ワークフロー、 データ出力による会計ソフト連携、規程違反の確認など |
オプション・その他 |
タイムスタンプ、電子帳簿保存法対応、 jinjerシリーズとの連携 |
コーポレートカード連携したい企業に:楽楽精算
画像引用:楽楽精算
「楽楽精算」は、東京都渋谷区に本社を構えるクラウドベンダー、株式会社ラクスが開発・提供するSaaS型経費精算システムです。
豊富な機能と設定の自由度の高さで、ベンチャーから大手企業まで幅広く利用できることが特徴。経費・交通費精算だけでなく、海外を含む出張費・旅費精算や、電子帳簿保存法に対応した請求書の電子化にも対応しています。
ワークフローや仕訳・FBデータ作成、会計ソフト連携など、付随する基本機能が充実。また、スマホアプリによる交通系ICカード・領収書の読み取りも可能です。
Amazonビジネス・AI Travelと連携した経費・出張費精算の効率化が可能で、コーポレートカードやプリペイドカードとの連携も実現。経費・予算管理、規程違反チェック機能も搭載しています。
初期費用 |
110,000円 |
月額費用 |
33,000円〜(ユーザー数に応じて変動) |
主な機能 |
スマホアプリ(ICカード・領収書読み取り、各種申請) 仕訳・FBデータ自動生成、ワークフロー データ出力による会計ソフト連携、規程違反チェック 電子帳簿保存法対応、コーポレートカード連携 外部サービス連携など |
オプション・その他 |
楽楽シリーズとの連携 |
多彩なサービスと連携したい企業に:Concur Expense Standard
「Concur Expense Standard」は、世界的なERPベンダーとして知られる、SAP社が開発・提供するSaaS型経費精算システムです。
中堅中小・ベンチャー企業の経費精算業務を効率化する豊富な機能を搭載。ペーパーレスを目的にする「Only」、領収書OCR読取アプリ、分析機能を追加した「エントリー」、予実管理を追加した「ベーシック」、出張予約サイト連携も可能な「ベーシックプラス」が用意され、ニーズに応じて選択できます。
電子帳簿保存法への対応、仕訳・FBデータ自動生成・会計ソフト連携、ワークフロー、経費規程チェックなどの基本機能が充実。
また、充実したモバイルアプリで申請者の手間を大幅に軽減可能です。
AIを活用したOCR領収書読み取り、経路検索・定期代の自動控除、交通系ICカード、クレジットカード、PayPayなどに対応する決済手段が用意されています。タクシーアプリとの連携、QR決済も可能です。
初期費用 |
無料 |
月額費用 |
29,000円〜(ユーザー数 / プランに応じて変動) |
主な機能 |
スマートフォンアプリ(ICカード・領収書読み取り、 QRコード決済各種申請)、仕訳・FBデータ自動生成、 ワークフロー、データ出力による会計ソフト連携、 経費規程チェック、電子帳簿保存法対応、コーポレートカード連携、 出張予約サイト・外部サービス連携など |
オプション・その他 |
Concur Invoice、Concur Travelなど |
おすすめの経費精算システムの詳細は、下記記事をご参照ください。
関連記事:【2022年度】経費精算システム比較8選!電子帳簿保存法の対応は?機能や費用から導入ポイントまで解説!
自社・外部システムとの連携
普段活用している自社システム・外部システムとスムーズに連携できるかも、経費精算システムを選定する際のポイントです。
ほとんどの経費精算システムは、仕訳データ・FBデータの自動生成、データ出力による会計ソフト連携が可能です。しかし、タイムラグを避けながら申請・承認プロセスを進めるには、スマホアプリやチャットツール連携によるプッシュ通知があるとより効率よく進められます。
申請者・管理者・経理担当者、すべてにとって業務効率化を実現できる機能があってこそ、経費精算システムのメリットを最大化できます。各部門でどのようなことを合理化したいのか、具体的な改善ポイントを明確にしておくことがおすすめです。
定着させやすい操作性
経費精算システム導入で課題になりがちな活用の定着を促すには、なによりも申請者が使いやすい操作性を重視することがポイント。
・直感的に操作できるシンプルなインターフェースが採用されているか
・利用者に面倒だと感じさせない工夫がされているか
・初心者にもていねいに使い方を教えてくれるサポートがあるか
などに気を付けておくといいでしょう。無料トライアルを活用して、実際の操作感を確認するのもおすすめです。
経費精算システムメリットまとめ
経費精算システムの導入を検討しているが、具体的にどのようなメリットが得られるのか?知りたい方に向け、本記事では、申請者・管理者・経理担当者の立場から見た経費精算システムの導入メリット、考えられるデメリットや、最適な経費精算システムを選ぶためのポイントを解説するとともに、ニーズごとのおすすめ経費精算システムも紹介してきました。
高機能化が進むSaaS型経費精算システムは、どれを選定してもそれほど不満を感じることは少ないかもしれません。しかし、それぞれに得手不得手があるのも事実。自社の目的・ニーズを明確にしたうえで、適切なサービスを選定することが重要です。
※自社に合う経費精算システムの選び方がわからない、選ぶ時間がない、おすすめのツールを選んでほしい方はシステム幹事にお問い合わせください。予算や目的などをヒアリングした上で、御社に最適な経費精算システムを選定します。相談料・紹介料はいっさいかかりません。
コンサルタントのご紹介
岩田
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Q. 経費精算システムを導入するメリットは?
経費精算システムを導入するメリットとして「交通費・経費精算の手間が削減できる」「外出先からも経費精算が可能になる」等が挙げられます。それぞれの詳しい特徴は記事内で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Q. 経費精算システムの導入の注意点(デメリット)は?
経費精算システムの導入のデメリットは「機能とニーズのミスマッチが生じる場合がある」「定着が困難な場合もある」などです。具体的な対策や知っておくべき注意点については、記事をご参照ください。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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