- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー アプリ開発
Javaアプリ開発で作れるアプリ・必要な開発環境・フレームワークを紹介【2025年最新版】
「アプリ開発するならJavaがおすすめと聞いたけど、どんなアプリが作れる?」
自社アプリの開発を検討している企業担当者の方なら、一度は耳にしたことのあるプログラミング言語「Java」について、以下のようなことを知りたいはずです。
- アプリ開発にJavaを採用するメリットは?
- Javaでどんなアプリを開発できる?
- Javaを活用したアプリ開発に必要な環境は?
そこで本記事では、プログラミング言語としてのJavaの特徴から作れるアプリ、アプリごとの開発環境まで、Javaアプリ開発の基本を解説!Javaアプリ開発を効率化するフレームワーク / ライブラリも紹介していきます。
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相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
アプリ開発に役立つ記事もご覧ください Javaでの開発におすすめ!アプリ開発かんたんマニュアル
プログラミング言語「Java」の特徴
画像引用:Java
まずはJavaについておさらいしておきましょう。Javaとは、1995年にSun Microsystemsによって開発・リリースされた、オブジェクト指向のオープンソース・プログラミング言語 / コンピューティングプラットフォームのこと。名称の似ているJavaScriptとは異なるプログラミング言語です。
新たなプログラミング言語が次々登場するなか、Javaは第一線で使われ続けている人気のプログラミング言語であり、現在はSun Microsystems社を買収したOracleによって管理されています。
マルチプラットフォームを実現する「JVM」
「Write once, run anywhere(一度コードを書けばどこでも動く)」という理念で開発された「Java」最大の特徴は「JVM(Java Virtual Machine)が動作する環境であればプラットフォームを選ばない」マルチプラットフォームを実現していること。
Javaは実行環境である仮想マシン「JVM」で動作するため、プラットフォームごとのJVMさえ用意すれば、プログラムのソースコードは同一のままでも動作するというわけです。Javaが単なるプログラミング言語であると同時に、コンピューティングプラットフォームと呼ばれるのはこのため。Windows / macOS向けのほかに、Linux用のJVMも用意されています。
高速性と安全性のバランス
コンパイラ型でありながら、不要なメモリを自動消去するガベージコレクションを実装した「Java」は、処理速度の高速性とメモリリークを防止する安全性を兼ね備えた、バランスのいいプログラミング言語だという特徴もあります。
同じコンパイラ型でも、ガベージコレクションを持たないC / C++ / Rustなどは、Javaよりも処理速度が高速ですが、その分、ソースコードを記述する際に厳密にメモリ管理する必要があります。ガベージコレクションがメモリ管理してくれるJavaなら、安全性を確保したまま高速性をさほど犠牲にすることなく生産性も高められるのです。
Javaで開発できるアプリ
マルチプラットフォーム・高速性と安全性のバランスに優れる特徴を持つJavaは、どのようなアプリを開発できるか。Javaで開発される主なアプリ・システムをいくつか紹介しておきましょう。
Webアプリ
Webアプリのバックエンド開発は、Javaの得意とする領域です。バックエンド(サーバサイド)とは、Webブラウザからアクセスするサーバ本体に格納されたアプリケーション本体のこと。
対して、ブラウザに表示される「ユーザーが目にするインターフェース」を受け持つプログラムをフロントエンド(クライアントサイド)と呼びます。
近年では、ECサイトを含むWebサービス・アプリにCMSが利用されることが多くなっており、この領域でもPHP・Rubyなどのシェアが高まっています。しかし、Javaの存在感は不動。
現在でも独自性の高いWebアプリを開発する際は、Javaが筆頭の選択肢となります。TwitterがJavaで開発されているほか、Googleの3大プログラミング言語のひとつにも挙げられています。
業務システム・アプリ
Javaの処理速度はトップクラスに速く、大容量のデータも難なく処理可能。開発当初よりセキュリティへの配慮がなされているため信頼性も高く、銀行などの基幹システムにも採用されています。習得難易度が高く一定のスキルは要求されますが、大規模システムの開発にはJavaは無くてはならない言語です。従来はCOBOL(1959年にアメリカで事務処理を目的に開発されたプログラミング言語)で開発されていた金融系・勘定系システムをJavaで書き直すプロジェクトも少なくないです。
端末にWebブラウザを活用するものも含め、サーバと端末をネットワークで接続するクライアントサーバ業務システム・アプリ開発も、古くからJavaが活用されてきた領域です。特に、端末にもクライアントアプリをインストールする、クライアントサーバ業務システムでは、Javaのマルチプラットフォーム・安全性という特徴は大きなメリットです。
Androidアプリ
公式言語としてKotlinが採用されているAndroidアプリですが、まだまだJavaでAndroidアプリを開発する現場は少なくありません。これは、Androidアプリの事実上唯一の開発環境であるAndroid Studioにおいて、依然としてJavaを開発言語として選べることからも明白。なによりも、Android Studio自体がJavaで開発されたプログラムであるため、JavaとAndroidアプリ開発の相性がいいという事実があるのです。
バージョン2.2以降のAndroid Studioには、最新の「OpenJDK」がバンドルされています。
つまり、Javaの開発キットであるJDKがAndroid Studioとともにインストールされるようになったため、特にJavaの設定を意識しなくても開発を進められるようになりました。念のため、バンドルされているOpenJDKが利用可能になっているか、「Gradle JDK」の「Embeded JDK」オプションが選択されていることを確認しておきましょう。
デスクトップアプリ
クライアントサーバ業務システムの例を見てもわかるように、Javaはマルチプラットフォームのデスクトップアプリ開発にも活用できます。バックエンドのプログラム開発というイメージの強いJavaですが、インターフェースの構築を含むデスクトップアプリ開発向けGUIライブラリが充実しているのも、歴史のあるJavaならではの特徴。もちろん、プラットフォームごとのJVMがあれば、ソースコードを書き直す必要もありません。WebブラウザのFirefoxもJavaで開発されているのです。
組み込みシステム
家電・自動車・IoT機器を含む組み込みシステム開発でも、システムプログラミング言語であるC / C++とともに、Javaが活用されることが増えています。Blue-ray Discプレイヤーの組み込み開発で多く利用され、電子レンジやテレビ、デジタルカメラなどの家電製品でも利用されています。
これは、ネットワークに接続されることの多くなった組み込みシステム開発に、より高機能が求められるようになったからだと考えられます。
Javaには、ガベージコレクション(未使用メモリ自動消去する機能)を装備したコンパイラ型の言語のため、実行速度が高い点がメリット。そのため、リアルタイム性が求められる組み込みシステムでも重宝されています。そしてJavaは、アプリケーションを起動させる際に、アクセス禁止領域を指定することで高いセキュリティを保持しています。そのため、不正アクセスで意図的にシステム障害を発生させたり重要なデータを盗まれるといったリスクも避けられます。
Oracleでは、RTOS(Real-Time OS)を含んだ組み込みOS(Embedded OS)で動作するJava実行環境を用意しており、複雑化する組み込みシステム開発のニーズに対応しています。
ゲーム
Javaにゲーム開発のイメージを持つ方は少ないかもしれませんが、コンシューマー機・PC ・SNS・モバイル向けのゲーム開発が可能。世界でもっとも売れたといわれる「Minecraft」もJavaで開発されています。ただし、Javaには「C#のUnity」のようなゲーム開発環境がないため、開発の難易度は高め。Java向けのゲームライブラリを活用しながら、ソースコードをじっくり記述していく必要があります。
Javaはオブジェクト指向を採用しているため、実装フェーズでオブジェクトを作る手間がかかります。大規模なシステムであればオブジェクト同士の関係性を具体的にすることで開発効率が上がりますが、簡単なゲームアプリや小規模なアプリ構築には不向きです。
汎用系システム再構築
確実なトランザクション処理が求められる金融系基幹システムは、汎用機と呼ばれる大型コンピューターを使い、COBOLでプログラム開発することが一般的でした。現在でも多くの金融系システムが汎用機 + COBOLで動作していますが、古い技術のためメンテナンスが困難になってきたことも事実です。こうしたケースで、プログラムを書き直してシステムを再構築するために利用されているのがJavaです。高速性と安全性を高い次元でバランスさせているJavaだからこその活用法だといえるでしょう。
Java仮想マシン(JVM)上で動作するJavaは、JVMが動作するコンピューターであれば環境を選ばずに動作する「マルチプラットフォーム」を実現していることが最大の特徴です。
アプリ開発にJavaを採用するメリットは汎用性
ここまでの解説で、マルチプラットフォーム対応かつ高速性と安全性のバランスに優れるJavaが、非常に汎用性の高いプログラミング言語でもあることもお分かりいただけたでしょう。この汎用性の高さこそが、アプリ開発にJavaを採用するメリットです。
さまざまなシステム・アプリ開発に利用できるJavaなら、プラットフォームを跨いだサービスの水平展開も容易。しかも、JVMで動作するJavaであれば、ソースコードの再利用によって開発コストも抑えられます。
※Javaを活用したアプリ開発に豊富な実績を持つシステム開発会社を探している方は、システム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適な開発会社をご紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
Javaでアプリ開発する前に学ぶこと
Javaの基本文法を知ろう
Javaの基本文法として、まずは最低限、以下の3つを押さえましょう。
- 変数とデータ型の理解
- 制御文と演算子の活用
- クラスとオブジェクトの概念
この他にも多くの基本文法がありますので、興味のある方はさらに調べてみるとよいでしょう。
変数とデータ型の理解
Javaで使用される基本的なデータ型や変数の宣言方法、データ型の特性などについて学びます。Javaではデータ型を指定することで、変数を宣言することができます。他にも、整数や浮動小数点数、文字列などのデータ型を理解し、変数を使用してデータを格納し操作する方法を学ぶとよいでしょう。
(用語解説)
・データ型:データの種類のことを指す。例えば「みかん」という文字列が入れば文字列データ、「1」という数値が入れば数値データ、「2023/1/1」と日付が入れば日付データ等。
・宣言:データを入れる記憶する枠(変数)を用意し、それに「A」という名前をつけて使います。と指示(宣言)すること。
制御文と演算子の活用
Javaの基本的な条件分岐(if文、switch文)や繰り返し(forループ、whileループ)等の制御文の使い方と算術演算子(+,-,*,/ )、比較演算子(<,=,> )、論理演算子(&&,||,! )などの演算子の意味と使い方を理解しましょう。
これらを理解することで特定の条件に基づいた処理や繰り返し処理を実現できます。
クラスとオブジェクトの概念
オブジェクト指向プログラミングの基礎となるクラスとオブジェクトについて学びます。オブジェクト指向について、詳細は後述しますがクラスの定義方法やメンバ変数・メソッドの作成、継承、オブジェクトの生成と利用方法を習得します。これにより、データとそれに対する操作をひとまとまりにして扱うことができます。
Javaの開発環境の構築方法を知ろう
Javaプログラムを実行するには、開発環境を準備する必要があります。
代表的な開発環境は、JDK(Java Development Kit)やEclipse等の統合開発環境(IDE)、ビルドツールが該当します。
数ある中から適切な開発環境を選ぶために、開発するアプリケーションの性質や目的に合った開発環境やツールを選ぶ必要があります。例えば、大規模なプロジェクトやチーム開発の場合は、機能豊富でチームコラボレーションがしやすいIDEやビルドツールが適しています。
Javaの開発環境についてはこの後に詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
よく聞くオブジェクト指向とは
オブジェクト思考とは、プログラムの設計や実装のための考え方の1つです。プログラムを作成するにあたり、オブジェクトと呼ばれる小さな構成単位でプログラムを作成し、それを組み合わせて設計実装します。
例えば、カレーを作るプログラムを実装しようと考えた場合、
Aというオブジェクトには、買い物にいくというプログラムを、
Bというオブジェクトには、具材を切るというプログラムを、
Cというオブジェクトには、具材を煮るというプログラムを作成します。
これらA・B・Cを使ってカレーを作るプログラムを実装するというのが基本的な流れになります。
なぜ、このようにオブジェクト作成してプログラムを実装するのかというとまた違うプログラムを作ろうとなった場合、例えば、野菜炒めを作るというプログラムを実装します。
その場合、AとBのオブジェクトは野菜炒めのプログラムでも利用できます。なぜなら、買い物に行く必要があり、具材を切る必要があるからです。ただ、具材を炒めるというプログラムはないため、Dとして具材を炒めるプログラムを作成します。その結果、A・B・Dを使って野菜炒めのプログラムが実装できます。
オブジェクト指向の利点は、一度作成したオブジェクトを利用することで、開発工数を削減できるという点にあり、さらにプログラムが作った人によって書き方が異なるといった属人化も防げるということです。
オブジェクト指向について学ぶことは、効率的で保守性の高いコードの作成につながります。オブジェクト指向の基本的な概念や応用について学び、実践的なスキルを身につけることでより品質の高いJavaアプリケーションを開発することができます。
よく聞くフレームワークとは
Javaのフレームワークとは、プログラムを実装するにあたり、迅速かつ効率的にアプリケーションを構築するためのツールやライブラリの集合体です。
つまり、先ほど説明したオブジェクトの1つ1つに膨大なプログラムが書かれていると考えてください。フレームワークでは一般的に共通の課題やパターンに対するソリューションを提供し、再利用可能なコードや設計パターンを提供します。
例えば、上記ではカレーの作り方のプログラムを説明しましたが、フレームワークはレトルトカレーであったり、野菜炒めはすでにできているお惣菜というイメージです。
つまり、本来であれば、1から作らなければならないところをすでに誰かが作ってくれていて、それを使えば、誰でも簡単に安全で高品質のプログラムを作ることができる。大規模システムやアプリケーションを開発する際に膨大な量のプログラムを書く必要がありますが、フレームワークを利用することで、大幅にプログラムを書く量が削減できるのです。
Javaの世界では、多くの優れたフレームワークが存在しており、それが全世界に公開されています。オブジェクト指向に近いところがありますが、Javaフレームワークを学ぶことによって、開発する手間や時間を削減するだけではなく、フレームワークは一般的にベストプラクティスに基づいて設計されており、安定性や拡張性を提供します。
フレームワークの基本的な概念と使い方について学ぶことで、適切なフレームワークを選択することができ、より効率的かつ信頼性の高いアプリケーションの開発が可能になります。
Javaのアプリ開発環境
汎用的なアプリ開発が可能なJavaですが、プログラミング言語だけではアプリを開発できません。以下から、アプリごとに構築すべきJavaの開発環境を紹介していきましょう。
基本はJDK + Eclipse(統合開発環境)
Javaのアプリ開発に必要な環境の基本となるのは「JDK(Java Development Kit)」+「Eclipse(IDE)」です。JDKとは、文字通りJava開発に必須のツールをまとめた開発キットのこと。
具体的には、以下のようなツールがJDKに含まれます。
JRE(Java Runtime Enviroment) |
Javaの実行環境 |
コンパイラ |
JavaソースコードをJVM用の Javaバイトコードに変換するツール |
デバッカ |
バグを見つけて修正するためのツール |
Java SE |
よく使うクラスを集めたライブラリ |
Eclipseは、アプリ開発に必要なツールをまとめた統合開発環境(IDE)のこと。Eclipse以外にもさまざまなIDEを利用できますが、Javaの開発環境が標準で搭載されているEclipseは、javaアプリ開発のデファクトスタンダードともいえる存在です。
Pleiades All in One
画像引用:Pleiades All in One
JDK / Eclipseは、それぞれ個別にインストール可能です。しかし、Eclipseの日本語化プロジェクトが公開している「Pleiades All in One」を利用することで、JDK + Eclipse + 日本語化プラグインPleiadesをまとめてインストール / セットアップできます。パッケージをインストールするだけで、環境変数の設定や日本語化もしてくれるため、起動後すぐにJavaプログラミングを開始可能。macOS・Windows向けのPleiades All in Oneが公開されています。
Android Studio(Androidアプリ開発環境)
画像引用:Android Studio
Webアプリやデスクトップアプリを含め、Javaでアプリ開発する際のIDEはEclipseが基本です。
しかし、Androidアプリ開発の場合はEclipseに代えて「Android Studio」を利用します。
Android Studioでは「Kotlin」「Java」の切り替えを可能にするため、インストーラーにJDKも同梱されています。Android Studioは、デフォルトで同梱されているJDKを利用する設定になりますが、バージョン違いのJDKがインストールされていれば、そちらを利用するように設定を切り替えることも可能です。ただし、JavaでAndroidアプリを開発するのであれば、JDKのインストールが必要です。Javaを使ったAndroidoアプリ開発、Android Studioのインストール方法の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:JavaでAndroidアプリ開発するには?Android Studioのインストールや設定方法も解説!
Java Servlet / JSPは必須
JavaでWebアプリを開発する際に必要となる「Java Servlet(サーブレット)」「JSP(JaveServer Page)」についても簡単に解説しておきましょう。Javaで開発されたWebアプリは、Webブラウザからのユーザーリクエストに対し、サーバ側のプログラムが動的にHTMLページを生成してレスポンスを返す仕組みが採用されています。この際に、リクエスト内容に応じた処理を担うプログラムが「サーブレット」、ブラウザにレスポンスするHTMLファイルにJavaコードが埋め込まれたものが「JSP」です。
詳しい解説は割愛しますが、Javaで開発されるWebアプリは、サーブレット / JSPが連携することで成り立っています。この機能を利用するには「Java EE(現在の名称はJakarta EE)」というクラスを集めた開発キット・ライブラリが必要です。
画像引用:Java EE
Javaでは、プログラムの命令・実行であるクラスを「API」と呼びますが、JDKと同時にインストールされるのは、デスクトップアプリ開発に必要な最小限のAPIを集めた「Java SE(Java Platform, Standard Edition)」のみ。サーバが必要になるWebアプリのように、大規模な開発が必要な場合は「Java EE(Java Platform, Enterprise Edition)」を追加インストールする必要があります。
Java ME(Java Platform, Micro Edition)
画像引用:Java ME
同じ理由で、組み込みデバイスや家電、IoTなどのプログラムをJavaで開発する際は、Java ME(Java Platform, Micro Edition)の追加インストールが必要。SDK(開発キット)としてのJava MEのほか、IoT機器のランタイム となる「Java ME Embedded」「Java ME Embedded Client」、テレビやセットトップボックス向けの「Java TV」など、開発するプログラムに応じたツールをインストールする必要があります。
Javaアプリ開発効率化のフレームワーク・ライブラリ
アプリに応じたJavaの開発環境が構築できれば、すぐにプログラミングを開始できます。しかし、規模の大きなWebアプリなどのソースコードをゼロから書いていくのは容易なことではありません。アプリ開発プロジェクトを効率的に進めるためにも、フレームワーク・ ライブラリを活用することが一般的です。
フレームワークとは、アプリでよく使われる汎用的な機能をひとまとめにした、Java開発のベースとなるプログラムのこと。ライブラリとは、汎用性の高い機能を、再利用可能なパーツをひとまとめにしたもの。以下から、Javaのアプリ開発を効率化する、主なフレームワーク・ライブラリを紹介していきます。
Spring Framework(Webアプリ・フレームワーク)
画像引用:Spring Framework
「Spring Framework」は、SpringSourceが開発・管理するJavaプラットフォーム向けのオープンソース・アプリケーション・フレームワーク。幅広いアプリ開発に応用できる高機能フレームワークですが、サーブレット・JSPの動作に必要なアプリケーションサーバ「tomcat」が内蔵されるなど、Jakarta EEで動作する大規模Webアプリケーションに対応する拡張機能が豊富に搭載されていることが特徴。2022年現在、Javaのアプリ開発にもっとも利用されているフレームワークでもあります。
ただし、何か不明点が出てきても、Spring Frameworkの公式サイトは英語表記で、2022年11月時点ではサポートも日本語で対応していません。また、日本語での情報も乏しいといえる状況です。そのため、英語が読めないと公式サイト内の情報も理解しづらいことに注意しましょう。
Play Framework(Webアプリ・フレームワーク)
画像引用:Play Framework
「Play Framework」は、Java / Scalaで開発されたオープンソースのWebアプリケーション・フレームワークです。もともとはJavaで開発されたフレームワークでしたが、徐々にScalaによる書き直しが進められ、バージョン2.0以降のコアシステムはScalaに置き換わっています。
そのため、Java以外にもScalaで利用でき、Jakarta EEがなくてもWebアプリを開発できることが特徴。シンプルかつ軽量な開発を進めやすいフレームワークです。
LWJGL(ゲーム・ライブラリ)
画像引用:LWJGL
「LWJGL(LightWeight Java Game Library)」は、LWJGLチームが開発・管理するオープンソースのJavaプラットフォーム向けゲームライブラリです。上述したように、Unityのような仕組みを持たないJavaは、ゲーム開発に向いているとはいえませんが、これを解決することを目的に開発されたのがLWJGLです。OpenGL / Vulkan / Open AL / Open CLをjavaで使える、OSを介さずコントローラーにアクセスできるなどの特徴を持ちます。
JavaFX(デスクトップアプリ向けGUIライブラリ)
画像引用:JavaFX
「JavaFX」は、Javaで開発されるデスクトップアプリ向けのオープンソースライブラリです。
もともとはJDKに同梱されていたライブラリですが、アニメーションGUIなどのリッチなGUIを簡単に作成可能。従来のSwingなどと異なり、Scene Builderを追加インストールすることで直感的な操作でGUIをデザインできます。Oracleからのサポートが終了してしまったため、現在は「OpenJFX」から入手する必要があります。
初心者がJavaでアプリ開発する際に気を付けること
初心者がJavaでアプリ開発をする際に気をつけることは以下の2点です。
- まずは作りたいものから作ろう
- 小さく作ろう
まずは作りたいものから作ろう
当たり前のことかもしれませんが、重要なのは「自分が本当に作りたいものを作る」ということです。理由は、作品に熱意が伝わるからです。無理やり作らされたものと、心から作りたいと思って作ったものでは、完成度に大きな違いが生まれます。
なんでもいいのです。自分が便利だと感じるもの、自分でも作りたいと思うもの、その理由は問いません。ただ、ひとつ自分が本当に作りたいと思うものを作りましょう。
小さく作ろう
もう1つ重要なことは、「小さく作る」ということです。初心者の方にありがちなのは、作りたいものを一度に実現しようとして、あれもこれも機能を詰め込もうとすることです。その結果、上手く作ることができずに挫折してしまうことがしばしばあります。
作りたいものを実現するにあたって、まずは小さな範囲で作り始めることを心がけてください。最初の段階では、作りたいものをどれだけ簡単に実現できるのか、難しいのかを正確に把握するのは難しいでしょう。ですから、まずは小さなスケールで完成を目指し、成功すると感じられたら、そこから徐々に機能を追加していくのです。
このような小さな成功体験のステップを繰り返していくことがJavaアプリの開発スキルを加速させるうえで重要となります。
Javaでのアプリ開発の手順・ステップ
Javaでのアプリを開発するために必要とされる環境を把握できたところで、具体的な開発手順・ステップを簡単に解説していきましょう。
アプリの企画
「どのようなアプリを開発するのか?」ですが、システム開発の「要求定義」「要件定義」に該当するフェーズだと思えば間違いありません。具体的には、アプリ開発の目的を達成するため、アプリに求められる「できること」を決める(要求定義)、できることをアプリで実現するために求められる「方法」を決める(要件定義)ことです。
ただし、あまりにも複雑に考えすぎると、アプリとしての特徴を活かせない使い勝手の悪いアプリになってしまいます。使いやすいシンプルなアプリを企画するのがおすすめ。個人でアプリを開発するなら、あまり企画段階で作り込まないのもひとつの選択です。
下記は「要求定義」「要件定義」についてそれぞれくわしく説明した記事です。記事のタイトルは「システム開発」とありますが、アプリ開発にも共通している内容ですので、ご参照ください。
関連記事:システム開発の要件定義とは?受託開発における重要性や進め方を解説!
関連記事:システム開発における要求定義の重要性|要件定義との違いや要求定義の実態・改善ポイントを解説!
Android Studioのインストール・環境構築
難しいことはありません。準備したコンピューターにあわせて適切なAndroid Studioをダウンロード・インストールし、必要なSDK(ソフトウェア開発キット)、API(アプリケーションプログラムインターフェース)を追加インストールするだけです。
たとえば、Kotlinで開発するのであれば、Android Studioをインストールするだけでプログラミングできます。JDKがインストールされていれば、プロジェクト作成時に「Java」「Kotlin」どちらかを選択できます。
アプリの開発・プログラミング
アプリの開発環境が整い、どんなものを作るのかが決まれば、実際の開発・プログラミングに取り掛かります。Android Studioを起動し、「New Project」で新規プロジェクトを作成します。
イメージに近いActivity(テンプレートのようなもの)も選択できますが、レイアウトから自由にアプリを開発したいなら「Empty」を選択し、ソースコードを記述していきます。
アプリのテスト
一般公開を前提としたプロダクトでは「リリース前のテスト」を実施し、不具合・バグを潰しておくことが必須です。スマホが手元にあれば、開発したアプリを端末にインストールしてチェックできるため、簡単にテストを実施できます。
ただし、多数のOSバージョンが存在し多種多様なデバイスのあるAndroidの場合、複数の実機を用意してテスト・デバッグするのは現実的ではありません。Androidアプリのテストフェーズでは、PC環境にエミュレーターを用意してデバッグ(バグ・欠陥を修正すること)することが一般的。Android Studioでも「Device Manager」を使ってエミュレーターを作成・実行できます。
Android Studio以外にも「GENYMOTION」などのエミュレーターがリリースされているため、いくつか試してみて使い勝手のいいものを選ぶのがおすすめです。
下記は開発したシステムのテストについてそれぞれくわしく説明した記事です。記事のタイトルは「システム開発」とありますが、アプリ開発にも共通している内容ですので、ご参照ください。
関連記事:システム開発のテスト工程を徹底解説!システムテストと受け入れテストの違い
アプリケーションのリリース
開発の完了したアプリケーションは、依頼側の受入テストをパスしたうえでリリースされます。
アプリケーションの種類によってリリース・活用の方法は異なりますが、iOS / Androidなどのモバイルアプリの場合は、AppStore / Google Play経由でリリースする必要があります。
一例として、Google Playでのリリース手順を紹介します。リリース・公開するためには、GooglePlayのアカウントを作成してアプリケーションを登録する必要があります。
- Googleデベロッパーアカウントを作成
- デジタル署名したアプリケーションのパッケージファイルを用意
- GooglePlayにアプリケーションを登録
- 承認を経て公開・リリース
アプリは審査に合格して初めてGooglePlayやApp Storeにてリリースできます。場合によっては審査に不合格となって、アプリの修正をしなければなりません。そのためリリースに合わせてプロモーションやキャンペーンなどを打ち込む計画があるなら、期日に余裕を持たせてスケジュールを組む必要があります。
Javaでのアプリ開発で参考になる本・書籍
「自社で開発できるのかを判断する材料として本で学習したい」「アプリ開発の不明点をネット検索しても部分的でイマイチ知りたいことがわからない」などの悩みを抱えているケースもあるでしょう。アプリ開発の学習を進めていても、ネット検索では部分的な説明しかなく、セミナーに参加しても参加者のレベルが違うことから人によっては内容が難しくて理解しづらいかもしれません。本であれば、自分の学習したいレベル・内容に合わせて参考書を選んで学習できます。
スッキリわかるJava入門 実践編 第2版
画像引用:Amazon
「スッキリわかるJava入門 実践編」は開発現場ですぐ活用できるJavaの参考書です。Javaの基本機能から効果的な開発、高度な設計などJavaの開発に必要な情報を学習できます。本書の著者の中山清喬氏は、2002年より日本IBMグループ内で先進技術部隊に所属し、システム構築現場を数多く支援していました。現在では株式会社フレアリンクの代表取締役であり、著書には「スッキリわかるSQL入門 ドリル215問付き」があります。
本書のおすすめポイントは開発現場で必要な機能を網羅的に知ることができる点です。例えばJava開発において、よくあるエラーと解決方法を学習できるため、開発現場でエラーが発生しても素早く修正可能です。本書を読むことで、Javaの基本的なAPIだけでなく開発現場でどのようなコードを書くべきなのかを理解できます。Javaのアプリ開発をしたい方、開発現場で活用できるノウハウを知りたい方におすすめの本です。
アプリ開発Javaまとめ
Javaを活用したアプリ開発を検討している方に向け、本記事ではアプリごとの開発環境まで、Javaアプリ開発の基本を解説しました。Javaアプリ開発を効率化するフレームワーク / ライブラリも紹介してきました。
マルチプラットフォームで汎用性の高いJavaは、Webアプリを含むさまざまなアプリ開発の言語として筆頭の選択肢に挙げられる存在です。しかし、JVMをはじめとした独自の思想を持つJavaの学習コストは高め。アイデアをいち早くアプリとして実現させるためにも、Javaの開発・実装を外部に任せることもひとつの方法です。
コンサルタントのご紹介
岩田
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Q. Javaアプリ開発の流れは?
Javaアプリ開発の流れは「?アプリの企画」「?Android Studioのインストール」「?環境構築アプリの開発・プログラミング」「?アプリのテスト」「?アプリケーションのリリース」」です。それぞれの詳しい内容は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
Q. 初心者がJavaでアプリ開発する際に気を付けることは?
Javaアプリ開発の注意点として「まずは作りたいものから作る」「小さく作る」等が挙げられます。詳しくは記事をご覧ください。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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