- 更新日 2024.07.30
- カテゴリー アプリ開発
iOSアプリの開発言語Swiftとは|特徴・開発できるアプリ・学習方法を解説!
iOSアプリの開発言語Swiftとは?iOSアプリを開発したいがSwiftを習得すべき?そんな方に向け、開発できるアプリから習得するメリット・デメリット、必要な開発環境、学習方法まで、iOSアプリの開発言語Swiftの基本を解説していきます。
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アプリ開発言語Swiftとは
画像出典:Apple
iOSアプリの開発言語として知られる「Swift」とは、Appleが開発したオブジェクト指向のコンパイラ型プログラミング言語のこと。2014年に開催されたApple開発者向けカンファレンス「WWDC」で発表され、翌年にはオープンソースとして公開されました。
Swift(速い、迅速)という名称の通り、軽快な動作を目指して開発され、読みやすく書きやすいモダンな言語であることが特徴。AppleのIDE(統合開発環境)である「Xcode」に最適化されており、iOSアプリ開発のメイン言語として世界中の開発者から支持されています。
Objective-CとSwiftの違い
Swiftが登場する以前、Xcodeを活用したmacOS / iOSアプリ開発で利用されていたメインのプログラミング言語は「Objective-C」でした。しかし、C言語をもとに開発されたObjective-Cは、習得の難しい特殊言語という側面があり、開発効率を高めるためにも新たな言語の登場が待たれていたのです。
そんなObjective-Cを「置き換える」形で登場したのがSwiftです。そのため、Objective-Cで書かれたプログラムの一部をSwiftのコードで代用するなど、相互利用は可能なものの、文法 / 構文などに互換性はありません。
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Swiftで開発できるiOS以外のアプリ
iOSアプリ開発というイメージの強いSwiftですが、macOSを含むApple製デバイスで動作するすべてのアプリを開発可能。また、Linuxコードをコンパイルできるバイナリが用意されていること、オープンソース化されたことから、SwiftをWebアプリ開発に利用する例も増えています。
macOSアプリ開発
macOSアプリとは、MacBook / iMac / Mac Proなど、macOSで動作するApple製PC向けアプリのこと。Swift + Xcodeを活用すれば、iOSアプリ開発と同様の手順でmacOSアプリを開発できます。
グラフィカルなGUIを持つ一般的なmacOSアプリだけでなく、GUIの不要なアプリケーションソフトウェアもSwift + Xcodeで開発可能。ターミナルで操作するアプリや、バックグラウンドで操作するアプリを簡単に開発できることもポイントです。
watchOSアプリ開発
watchOSアプリとは、watchOSで動作するApple Watch向けアプリのこと。Apple Watch単体で動作するアプリのほか、iPhoneで操作するiOSアプリと連携して動作するwatchOSアプリもSwift + Xcodeで開発できます。
tvOSアプリ開発
tvOSアプリとは、tvOSで動作するApple製セットトップボックス「Apple TV」向けアプリのこと。iOSアプリより、やや印象の薄いtvOSアプリですが、動画配信サービスの視聴環境のほか、iOSデバイスのコンテンツ再生などに欠かせないアプリです。
Webアプリ開発
Xcodeと組みあわせてアプリ開発するイメージの強いSwiftですが、オープンソース化によってさまざまなWebフレームワークが登場。Webアプリ開発、特にバックエンド(ユーザーの目に映らない裏側の部分)開発にSwiftを採用する例も増えています。
PHP / Python / Ruby / Javaなどで開発されることの多いWebアプリですが、今後はモダンで読みやすく書きやすいSwiftの採用が増えるかもしれません。
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Swiftのメリット
概要・特徴・開発できるアプリを把握できたところで、Swiftを学習すべきなのか?迷っている方に向け、Swiftの主なメリットを紹介していきます。主なメリットは以下の7つです。
- 習得しやすく学習コストが低い
- 動作が高速
- Swift Playgroundで動作確認できる
- エラーを発見しやすい
- 多くのApple製品で利用できる
- 将来性がある
- 使えるフレームワークが多い
以下で、詳細を解説します。
習得しやすく学習コストが低い
文法がシンプルで読みやすく描きやすいSwiftは、初心者でも習得しやすく学習コストを抑えられるメリットがあります。なぜなら、Swiftはだれでも容易にiOSアプリを開発できるよう、習得の困難なObjective-Cを置き換える形で登場したプログラミング言語だからです。
豊富なカリキュラムの用意されたオンラインスクールを利用できるほか、書籍やチュートリアルが充実していることもSwiftを習得しやすい理由です。また、従来の言語では記述ミスによる不具合が発生しやすかった箇所に対して、文法で記述ミスを減らす工夫もされています。
動作が高速
コンパイラ言語であるSwiftは、高速に動作するアプリを開発できることもメリット。ソースコードを機械語へ一括変換するコンパイラ言語であるというほかに、文法がシンプルであることもSwiftが高速な理由です。
実際、Apple公式サイトでは、Objective-Cに比べて最大2.6倍、インタープリタ言語であるPythonの最大8.4倍高速だと公表されています。
Swift Playgroundsで動作確認できる
Swift Playgroundsアプリを使って、ソースコードの動作をリアルタイムで確認できることも、Swiftでアプリ開発する大きなメリットです。
通常のコンパイラ言語は、プログラムの動作を確認するため、記述したソースコードを都度コンパイル(実行可能なプログラムに変換すること)しなければなりません。プログラムを修正する度にコンパイルをする手間がかかることをデメリットに感じる方も少なくないでしょう。
Swift Playgroundを活用すれば、そうしたデメリットも解消できます。結果的に、アプリの開発効率を高めることも可能です。
エラーを発見しやすい
Swiftでは、従来の言語でエラーが起こりやすかった箇所に対して文法や仕様でミスを減らす工夫をしています。
例えば、Objective-Cでは記述の省略が可能だった部分を省略できなくすることで、詳細を指定し忘れるミスを防いでいます。
また、Objective-Cでは中身が空の変数を呼び出してもエラーが起こりませんが、Swiftでは指定していない限りアプリが強制終了することも工夫の1つです。そのため「動作はするが特定の条件で意図していない挙動をする」といった潜在的なエラーを発見しやすくなっています。
多くのApple製品で利用できる
Swiftは、Apple製品向けの開発言語としてApple社が開発した言語です。そのため、iPhoneからiPad、Mac、Apple Watchまで幅広く利用できます。1つの言語を習得するだけで多くのApple製品のアプリを開発できることが大きなメリットでしょう。
将来性がある
Apple社がApple製品のために開発して公開している言語なので、Apple製品が市場で使われている限り需要があると予想されます。特に日本の国内市場では2017年以降スマートフォン利用者の約半数がiPhoneを主要な端末として利用しています。(公正取引委員会の「モバイルOS等に関する実態調査報告書」より)
また、無料で利用できるオープンソースのため新規参入がしやすいこともSwiftの人気が後押しされる理由でしょう。利用している開発者が増えれば技術や知識も洗練されていくため、言語の将来性にも繋がります。
使えるフレームワークが多い
フレームワークとは、アプリ開発の骨組みや土台のようなものです。フレームワークを利用すると、多くのアプリで使われている共通処理を自分でプログラミングする手間を省けるため、効率的な開発が可能です。
利用できるフレームワークが多くあれば、開発するアプリにあわせて適したフレームワークを選べることから、より効率的に開発できるでしょう。また、フレームワークを使用することでプログラムのコードにある程度の統一性を持たせる効果にも期待できます。
Swiftのデメリット
どのようなプログラミング言語であっても、メリットの反面となるデメリットは存在します。Swiftも例外ではありません。以下から、注意しておきたいSwiftのデメリットをいくつか紹介しておきます。主なデメリットは以下の4つです。
- 汎用性は高くない
- 開発環境はmacOSが基本
- 基本的にAndroidアプリの開発ができない
- コンパイルに時間がかかる
以下で詳細を解説します。
汎用性は高くない
さまざまなアプリ開発に採用されつつあるSwiftですが、現時点での汎用性は高いとはいえません。膨大なiOSアプリ開発にSwiftが使われているとはいえ、Apple製デバイス向け分野以外では、Swiftの存在感は大きくないからです。
ただし、スマートフォン市場で大きなシェアを誇るiOSアプリ開発の主要言語であることはSwiftの強み。フレームワーク / ライブラリが充実すれば、Webアプリ開発分野以外でも、Swiftの採用が広がっていくかもしれません。
開発環境はmacOSが基本
原則として開発環境をmacOSで構築する必要があることも、Swiftの制限 / デメリットだといえるでしょう。これはiOSアプリを含むApple製デバイス向けアプリを開発 / ビルドするために、Xcodeが必須だからです。
一部のWebアプリケーションフレームワークでは、Ubuntu Linuxも利用可能ですが、Swiftの開発環境に制限があることには変わりありません。
基本的にAndroidアプリの開発ができない
SwiftはApple製品向けにアプリを開発するための言語なので、そのままではAndroid搭載機種向けのアプリ開発ができません。
ただし、Swiftでも「SCADE」などのクロスプラットフォーム開発環境を利用すれば、Androidアプリの開発も可能です。
コンパイルに時間がかかる
コンパイル言語のSwiftでは、開発したプログラムのコードをコンパイル(コードを実行できる形にすること)しなければなりません。このコンパイルに時間がかかってしまうことがSwiftで開発するデメリットです。
ただし、動作テストを目的にコンパイルする場合であれば、Swift Playgroundsを利用してリアルタイムに確認ができるのであまり気にする必要はありません。
SwiftのiOSアプリ / Appleアプリ開発環境
Swiftの概要 / メリット・デメリットを把握できたところで、SwiftのiOSアプリ / Appleアプリ開発環境を紹介しておきましょう。大前提として必要なものは、インターネット環境と8GB以上のメモリを搭載したMac。最新のmacOSが動作するのであれば、Macは新品でなくてもかまいません。
あとは、IDE(統合開発環境)であるXcodeさえあれば、iOSアプリ開発に取り掛かれます。
Xcode
画像出典:Apple
Xcodeとは、iOSアプリを含むAppleプラットフォームで動作するアプリ開発向けIDEのこと。コードエディタ、GUI作成ツール「SwiftUI」、エミュレーター「TestFlight」などが統合され、App Storeへ登録 / 公開するためにアプリをビルドすることも可能。直感的に操作できるのは、Apple製IDEならではの特徴です。
App Storeに登録 / 公開するには
Swiftで開発したiOSアプリをApp Storeに登録 / 公開するには、Apple Developer Proguramに登録 / 参加し、Ap IDを作成しなければなりません。ビルドしたiOSアプリをApp Storeで公開するまでの手順は、大まかに以下の通り。
- Apple Developer Programに登録
- App ID(App Identifier)を作成
- 証明書 / プロビジョニングファイルの作成
- App Store Connectへアプリ情報を登録
- ビルドしたiOSアプリをアップロード
- 審査を経て公開
Apple Developer Proguramへ登録 / 参加するには99ドルの登録料が必要。登録時だけではなく、毎年かかる費用であることに注意しましょう。
iOSアプリの開発方法については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:iPhone・iOSアプリ開発ガイド|必要なもの・種類・言語・開発環境・方法など徹底解説
PythonでもiOSアプリ開発は可能
一般的に、iOSネイティブアプリはSwift、もしくはObjective-Cで開発されますが、PythonでiOSネイティブアプリを開発することも可能です。ANACONDA(IDE)やKivy(GUIツール)など、Xcode以外のツールも必要ですが、同じプログラムでAndroidアプリも開発できることがポイント。Pythonのスキルがある方なら、チャレンジする価値はあります。
画像出典:Kivy
PythonでiOSアプリを開発する方法については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:Pythonでのスマホアプリ開発方法|アプリ例や必要なフレームワークも紹介
SwiftでWebアプリ開発できるフレームワーク
Webアプリ開発にSwiftを採用するケースが多くなったのは、オープンソース化によってSwift向けフレームワークが相次いで登場したからです。代表的なSwift向けWebアプリケーションフレームワークを簡単に紹介しておきましょう。
Perfect
画像出典:Perfect
Perfectは、Swift向けのオープンソースフルスタックWebアプリケーションフレームワークです。バックエンド開発だけでなく、フロントエンドもSwiftで開発できることが特徴。iOS通知機能も標準搭載し、スタートアップから大企業まで幅広いニーズに対応できるフレームワークです。
Vapor
画像出典:Vapor
Vaporは、Swiftで開発されたSwift向けオープンソースフルスタックWebアプリケーションフレームワークです。Swiftのバックエンド開発用としては、非常にポピュラーなフレームワーク。少ないコードで効率的にWebアプリを開発できます。macOS以外に、Linux Ubuntuでも動作可能です。
Kitura
画像出典:Kitura
Kituraは、サーバーやWebアプリケーションの開発に適したフレームワークです。IBM社によって公開されたフレームワークで、サーバー向けに作られていることから大規模な開発に向いています。IBM社が提供するクラウドサービスとの連携がしやすいことも特徴です。
Swifton
Swiftonは、RubyのフレームワークであるRuby on Railsのような特徴を持ったSwiftのフレームワークです。そのため、シンプルな記述でコードを書けることが特徴です。Linuxやmac OSで利用できます。RubyやRuby on Railsによる開発経験がある方におすすめのフレームワークです。
SwiftMonkey
SwiftMonkeyは、Swiftで開発したアプリのUI(ユーザーが目で見て操作する画面)のテストをできるフレームワークです。設計者が想定していない操作方法やイレギュラーな操作によるエラーを発見するためにランダム操作を行うモンキーテストを効率的に実行できます。
おすすめのSwiftの学習方法
学びやすい、習得しやすいといわれるSwiftですが、効率的に学ぶにはどのような学習方法を選択すればいいのか?悩んでいる方も多いでしょう。オンライン / オフラインスクール、書籍などの方法もありますが、Swift Playgroundアプリの活用がおすすめです。
iOSアプリ開発にも有効なSwift Playgrounds
画像出典:Apple
Swift Playgroundsは、Xcodeとも連携可能なiPad / macOSアプリです。Appleの作ったレッスンが多数揃っており、Swiftの基本を楽しみながらステップバイステップで学習できます。20以上用意されたテンプレートをもとに、オリジナルiOSアプリを開発することも可能です。
Swift Playgroundsで開発したiOSアプリをXcodeに読み込む、またはその逆も可能。iPadで楽しみながら作ったiOSアプリをXcodeでビルド / 公開する。Xcodeで開発中のiOSアプリをSwift Playgroundでリアルタイム動作確認するなども可能です。
【まとめ】iOSアプリの開発言語Swiftの基本を紹介しました
Swiftで開発できるアプリから習得するメリット・デメリット、必要な開発環境、学習方法まで、iOSアプリの開発言語Swiftの基本を解説してきました。
Swiftはプログラミング言語の中では習得しやすい言語ですが、アプリを作れるレベルまで1つのプログラミング言語を習得するのは簡単ではありません。自社で開発者を育てるのが難しいと感じた方は、アプリ開発の外注を検討してみても良いかもしれません。
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この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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