- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー アプリ開発
PythonでAndroidアプリ開発する方法|開発ツール・環境・手順を解説!
KotlinやJavaを学習することなく、PythonでネイティブAndroidアプリを開発したい。
そんな方に向け、必要な開発ツールから環境の整え方、開発の手順まで、PythonでAndroidアプリ開発する方法をわかりやすく解説していきます。
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そもそもPythonとは
画像出典:Python
Pythonとは、1991年に最初のバージョンがリリースされた、インタープリタ型プログラミング言語のこと。「学びたいプログラミング言語」の筆頭としてエンジニアから支持される「Python」には、以下のような特徴があります。
Pythonの主な特徴 |
概要 |
ソースコードがシンプルで可読性が高い |
記述に個人差が出にくく、 だれが見てもソースコードを読みやすい |
ソースコードの記述量を減らせる |
シンプルでソースコードを減らせるPythonは、 初心者でも学びやすい |
インタープリタ型のためコンパイラが不要 |
ソースコードをバイナリ変換する必要がないため、 記述したプログラムをすぐに実行できる |
ライブラリ・フレームワークが豊富 |
システム・アプリの開発が容易 |
汎用性が高い |
AI / 機械学習分野だけでなく、 さまざまなアプリ開発に応用可能 |
AI / 機械学習というイメージの強いPythonですが、汎用性の高さ、豊富なライブラリを利用できることから、アプリ開発の分野での活用も加速。もちろん、ネイティブのAndroidアプリをPythonで開発することも可能です。
PythonでAndroidアプリ開発するメリット
それでは、一般的なKotlinではなく、PythonでAndroidアプリ開発するメリットとはなんでしょう?大きく、以下の2つが考えられます。
クロスプラットフォームのiOSアプリも開発できる
Pythonで開発したAndroidアプリは、そのままクロスプラットフォームのiOSアプリとして利用可能。通常、iOS / Androidアプリは、それぞれ異なる開発環境を整える必要があり、アプリ本体も個別に開発しなければなりません。Pythonなら、1つの環境 / アプリで、iOS / Android両対応のクロスプラットフォームアプリを開発できます。
1つのプログラムでクロスプラットフォームアプリを作れる効率のよさは、PythonでAndroidアプリ開発する大きなメリット。iOSアプリの開発費用を節約できるのはもちろん、同じプログラムをmacOS / Windows用のデスクトップアプリへ水平展開することも可能です。
Pythonベースのハイブリッドアプリを開発できる
Pythonで開発したWebアプリをベースに、iOS / Android向けハイブリッドアプリを開発して連携させることも可能。ハイブリッドアプリ自体はWeb技術を利用しますが、フロントエンドを作る感覚で開発可能。より少ない工数でモバイルユーザーにリーチできる上、Pythonで開発したWebアプリという資産を最大限活用できます。
クロスプラットフォームのネイティブ / ハイブリッドアプリ開発に対応するPythonは、個人 / 法人を問わず、状況に応じて柔軟に活用できるプログラミング言語です。
一般的なAndroidアプリ開発の流れ
ただし、PythonでのAndroidアプリ開発は、Android Studioを利用した通常の開発とは異なるツール、環境、手順が必要です。PythonのAndroidアプリ開発方法をより深く理解するためにも、一般的なAndroidアプリ開発の大まかな流れを把握しておきましょう。
画像出典:Android Developers
Androidアプリは、IDE(統合開発環境)であるAndroid Studioとプログラミング言語「Kotlin」を組み合わせて開発される場合が一般的です。リリースまでの流れは大まかに以下の通り。
- Android Studioをインストールして開発環境を構築
- KotlinもしくはJavaでAndroidアプリを開発
- テスト / デバッグ
- AndroidアプリをビルドしてAPKファイルを生成
- Google Playに登録 / 審査を経て公開
Kotlinでプログラムを書くだけなら、テキストエディタでも問題ありません。しかし、独立したAndroidアプリとして動作させるには、プログラムをグラフィカルに表示する「GUI」が必要。こうしたGUIを開発するフレームワーク、エディタ機能などを統合した高機能IDEが「Android Studio」です。
ビルド / APKファイルとは
Android Studio + KotlinでAndroidアプリを開発しても、そのままでは公開できません。Google Playで公開するためには、開発したAndroidアプリをビルドして、登録 / 公開するためのAPKファイルを生成する必要があります。
APK(Android Application Package)ファイルとは、文字通りAndroidアプリをパッケージングしたファイル、もしくはそのファイルフォーマットのこと。開発したAndroidアプリをAPKファイルへパッケージング(コンパイル)するプロセスを「ビルド」と呼びます。Android Studioは、開発したアプリをビルドする役割も担っているのです。
Kotlin / Javaを使ったAndroidアプリ開発については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:Androidアプリ開発に必要な環境・言語・手順
PythonでのAndroidアプリ開発に必要なツール
Android Studioには、開発 / GUI作成 / テスト・デバッグ / ビルドといった、Androidアプリ開発に必要なものすべてが揃えられています。しかし、Android Studioで利用できるプログラミング言語はKotlin / Javaのみ。 PythonでAndroidアプリ開発するには、Android Studio以外のツールが必要です。
それでは、具体的にどのようなツールを揃えれば、PythonでAndroidアプリを開発する環境を整えられるのか?以下から代表的なツールを紹介していきましょう。
Python開発環境の動作するPC / Mac
Python開発環境の構築に必須なのが、インターネット環境、および8GB以上のメモリを搭載したPC、またはMacです。高スペックなCPU / 大容量ストレージを追求する必要はありませんが、最新OSが快適に動作する程度のマシンは用意しておきましょう。2020年以降に発売されたPC / Macであれば、中古品でも問題ないはずです。
また、Python自体はWin / Macどちらでも動作しますが、PCで開発環境を構築すると「iOSアプリのビルドはできない」ことに注意が必要。Androidアプリを開発したが、iOS版もリリースしたくなった、といった場合に困らないよう、はじめからMacで開発環境を構築するのがおすすめです。
ANACONDA(IDE:統合開発環境)
Kotlin同様、テキストエディタがあればPythonでプログラムを書くことは可能。しかし、できる限り快適な開発環境を整えるためにも、IDEを活用したいところです。Python向けのIDEにはいくつかの種類がありますが、本記事では標準的に利用されているIDE「ANACONDA」をおすすめしておきます。
画像出典:ANACONDA
ANACONDAとは、アプリ開発に必要なツール / ライブラリを統合した、Python向けの「ディストリビューション」です。ANACONDAをインストールすることで、Pythonを含む以下のようなライブラリが利用できます。
- 高機能IDE「Spyder」
- GUI操作を可能にする「ANACONDA Navigator」
- プログラムをWebブラウザで実行できる「Jupyter Notebook」
- GUIフレームワーク「tkinter」
Kivy(GUIフレームワーク)
Pythonディストリビューションには、標準のGUIフレームワーク「tkinter」も含まれていますが、開発できるのは残念ながらデスクトップアプリのGUIのみ。そのため、Python向けのGUIフレームワーク「Kivy」を利用し、AndroidアプリのGUIを開発します。
画像出典:Kivy
NUI(Natural User Interface)フレームワークとして開発されたKivyは、タッチパネル操作のGUI開発にも対応。Androidアプリだけではなく、iOS / macOS / Windows / Linux向けのGUIも作成できます。もちろん、クロスプラットフォーム対応のため、作成したGUIはすべてのOSで再利用可能です。
Buildozer(ラッパー)
ANACONDA / Kivyを組み合わせれば、PythonでAndroidアプリを開発可能ですが、それだけではアプリのビルド(APKファイルを生成)はできません。Android Studioの使えないPythonの場合、アプリをビルドする別のラッパーが必要。それが「Buildozer」です。
画像出典:Buildozer
PCにBuildozerをインストールする場合の注意点
Buildozerは、Python + kivyで開発した「Kivyアプリ」をビルドするためのツールですが、2024年1月時点「Windows未対応」であることに注意が必要。Buildozerの対応環境はmacOS / Linux(Ubuntu)のみのため、Windows PCを利用する場合はUbuntuの仮想環境を用意しなければなりません。
具体的には、Windows10 / 11環境でWSL(Windows Subsystem for Linux)を有効化し、Ubuntu環境を構築しておく必要があります。
PythonでAndroidアプリを開発する手順
必要なツールを確認できたところで、PythonでAndroidアプリを開発する、具体的な手順を簡単に紹介していきましょう。とはいえ、開発環境や利用するツールが異なるという以外に、手順が大きく変わることはありません。
ツールをインストールして開発環境を構築
Python / ANACONDA / Kivy / Buildpzerをダウンロード / インストールしてAndroidアプリの開発環境を構築します。将来的にiOSアプリも公開したくなった、という場合に備え、Macで開発環境を構築することがおすすめ。現時点でBuildozerがWindowsに対応していないことも、Macをおすすめする理由です。
PythonでAndroidアプリを開発
Python + ANACONDAでAndroidアプリを開発します。Pythonを使ってWebアプリのバックエンドプログラムを開発することをイメージするとわかりやすいでしょう。
AndroidアプリのGUIをKivyで開発
Pythonで開発したプログラムに対応するGUIをKivyで作成します。Kivyは、GUIのコーディングにPythonと異なる独自言語「kv」を使うことが特徴。搭載されているツールを駆使することで、以下のようなGUIを作成可能です。
- ウィジェット:ボタンやテキストボックスなどのパーツを表示
- レイアウト:ウィジェットのパーツを配置 / 固定
- イベント:マウスクリック / タッチ操作を処理
画像出典:Gravity Ride
python-for-android + Buildozerでアプリをビルド
テスト / デバッグでアプリに問題がなければ、Google Play向けにアプリをビルドします。ビルドの方法は簡単。Builddozerに「python-for-android」ライブラリがインストールされているのを確認し、ビルドを実行します。Google Playに登録するAPKファイルが生成されたら、Google Playに登録して公開を待ちましょう。
クロスプラットフォームiOSアプリをビルドするには
Pythonで開発したAndroidアプリを、クロスプラットフォームのiOSアプリとしてリリースするには、AppleのIDE「Xcode」が必要。Buildozerには、iOS向けライブラリ「kivy-ios」も用意されていますが、「xcodeprojファイル」の作成までしかサポートされていないからです。
画像出典:Apple
xcodeprojファイルとは、文字通りXcodeのプロジェクトファイルのこと。これをXcodeで読み込めば、App Storeに登録 / 公開する形式にアプリをビルドできます。
Pythonベースのハイブリッドアプリを開発するには
ここまでは、Pythonを使ったネイティブAndroidアプリ開発の基本、手順を解説してきました。それでは、Pythonベースのハイブリッドアプリは、どのように開発すればいいのか?簡単に紹介しておきましょう。
PythonでWebアプリを開発
Pythonベースのハイブリッドアプリを開発するには、大前提として「Pythonで開発されたWebアプリ」が必要です。
そもそも、AI / ディープラーニングの印象の強いPythonは、近年、Webアプリの開発言語としても注目が高まっています。なぜなら、Django / Bottleなど、Python向けの強力なWebアプリケーションフレームワークが多数登場したからです。
これからWebアプリを開発するのであれば、Pythonを活用することで、ハイブリッドアプリはもちろん、ネイティブアプリにもPythonの知見を活かせます。
画像出典:django
フレームワークでハイブリッドアプリのGUIを開発
Pythonで開発されたWebアプリがあれば、ハイブリッドアプリを開発するのは簡単。なぜなら、ハイブリッドアプリはHTML / CSS / JavaScriptといったWeb技術で作られるから。Pythonで開発したWebアプリのバックエンドに、ハイブリッドアプリというフロントエンドを開発するイメージです。
たとえば、ハイブリッドアプリ開発用のフレームワーク「APACHE CORDOVA」や、アプリ開発ツール「Monaca」などを利用可能。Pythonを使ったWebアプリ開発のスキルさえあれば、新たな技術を習得する必要もありません。
画像出典:Monaca
【まとめ】PythonでAndroidアプリ開発する方法を紹介しました
KotlinやJavaを学習することなく、PythonでネイティブAndroidアプリを開発したい。そんな方に向け、必要な開発ツールから環境の整え方、開発の手順まで、PythonでAndroidアプリ開発する方法をわかりやすく解説してきました。
なお、Androidアプリ開発会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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