ERPの導入費用を内訳や例とともに紹介|費用の変動要因も解説【2024年最新版】

ERPの導入費用を内訳や例とともに紹介!費用の変動要因も解説

「サイロ化の進んだ業務システムを統合したい」「素早く判断するために経営状態をリアルタイムに可視化したい」そんな課題を持つ企業の方なら、ERPの導入にあたって以下のようなことを知りたいはず。

・ERPの導入費用はどのくらい?
・ERP導入の費用内訳は?総額が大きく変動する理由は?
・ERP導入を成功させるためのポイントは?

そこで本記事では「わかりにくい」「高額」なイメージがあるERPの導入費用・費用内訳は実際どうなのか?費用総額が大きく変動する利用を含め、できる限りわかりやすく解説!失敗することも少なくないERP導入を成功させるにはどうすべきか?ポイントも紹介していきます。

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目次
  1. 1. そもそもERPの導入費用は幅広い
    1. 1-1. 多種多様なERPが存在しているから
    2. 1-2. アドオン開発・カスタマイズの導入数によって加算されるから
  2. 2. オンプレミス型ERPの費用内訳
    1. 2-1. イニシャルコスト
    2. 2-2. ランニングコスト
    3. 2-3. 費用例|Microsoft Dynamics 365 Business Centralの場合
  3. 3. クラウド型ERPの費用内訳
    1. 3-1. イニシャルコスト
    2. 3-2. ランニングコスト
    3. 3-3. 費用例|クラウドERP ZACの場合
  4. 4. ERP導入を成功させるポイント
    1. 4-1. ERPの導入目的は「導入」ではないことを再認識する
    2. 4-2. 「Fit & Gap」から「Fit 2 Standard」へ
    3. 4-3. ERPの導入体制を整える
    4. 4-4. データ活用・システム連携を考慮する
  5. 5. 費用以外でのERPの選ぶポイント
    1. 5-1. 拡張性・カスタマイズ性がどうなっているか
    2. 5-2. 定着に向けたサポート体制がどうなっているか
  6. 6. ERP費用まとめ

そもそもERPの導入費用は幅広い

ERPの導入・維持にかかる費用は、イニシャルコスト(サービスインまでにかかる費用)とランニングコスト(サービスイン後にかかる費用)に分類できます。イニシャルコストだけをみても数十万円から数億円まで、費用帯が幅広いことが特徴です。ERPの費用が「わかりにくい」「高額」というイメージがあるのはこのため。なぜERPの導入費用はこれほどまでに幅広いのでしょうか。

多種多様なERPが存在しているから

たとえば、オープンソースERP「Odoo(オドゥー)」「iDempiere(アイデンピエレ)」であればライセンス費用は不要。財務会計を中心としたバックオフィス機能に特化した「MFクラウドERP」のように、比較的安価に導入できるサービスもあります。

一方、エンタープライズ向けERP「SAP」「Oracle」などは、システム規模が大きくサービスインまでの期間が長期化すれば、導入費用が1億円を超えることも珍しくありません。

また、ERPを導入する企業の業種・ニーズ・規模の違いも、導入費用が大きく変動する要因のひとつです。たとえば、同じERPツールを導入する場合であっても、業種が異なれば必要なアプリケーションは異なります。ユーザー数によってライセンス費用が変動する、サービスインまでの時間数に応じたサポート費用がかかるなど、個別企業の事情・ニーズがERPの導入費用に与える影響は小さくないのです。

アドオン開発・カスタマイズの導入数によって加算されるから

ERPは、それぞれの設計思想にもとづいたベストプラクティス(標準機能)を提供してくれます。しかし、導入企業の業務プロセスとフィットしなければ、ギャップを埋めるためのアドオン開発・カスタマイズが必要になります。一般的には、カスタマイズの内容数が多くなるほどカスタマイズ費用は高くなり、数百円、高いと数千万円の費用がかかることもあります。特に、大手企業になるほど業務プロセスにシステムを合わせ込んでいく傾向が強いため、アドオン開発・カスタマイズ費用が膨れ上がり、ライセンス費用を上回ってしまうパターンもあります。

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オンプレミス型ERPの費用内訳

サーバを含む自社インフラの構築、ライセンス購入、開発費などが必要となる「オンプレミス型ERP」と、ベンダーがクラウド環境に構築したERPをインターネット経由で利用する「SaaS型ERP」では、イニシャルコスト・ランニングコストの比率が大きく異なります。

オンプレミス型ERPの費用内訳

一般的には、オンプレミス型ERPではイニシャルコストの比率が大きく、SaaS型ERPは毎月システムを利用するためランニングコストの比率が大きくなります。導入形態の違いはERPの導入費用にもっとも大きな影響を与える要因です。

それでは、導入形態の違いによるERPの費用差はどの程度の違いになるのでしょうか?まずは、オンプレミス型ERPのイニシャルコスト / ランニングコストそれぞれの費用内訳、費用目安として「Microsoft Dynamics 365 Business Central」の構築にかかる費用例を紹介していきましょう。

イニシャルコスト

ERPをオンプレミス環境に構築する方法は、大きく「スクラッチでERPを開発する」「ERPパッケージをカスタマイズ」「オープンソースERPをカスタマイズ」の3つ。ただし、よほど特殊な事情でもない限り、パッケージをカスタマイズしてオンプレミス環境にERPを構築する場合が一般的です。その場合のイニシャルコストは以下の通り。

・サーバ ・ネットワークなどのインフラ構築費用
・ERPライセンス費用
・アドオン開発・カスタマイズ費用
・導入サポート・トレーニング費用

ランニングコスト

オンプレミス環境に構築したERPは、サーバ・ネットワークを含むハードウェア、ソフトウェアの運用・保守が必要。そのためにかかる費用がランニングコストとなります。費用内訳は運用・保守費用とソフトウェア年間保守費用です。

費用例|Microsoft Dynamics 365 Business Centralの場合

費用例|Microsoft Dynamics 365 Business Centralの場合

画像引用:Microsoft Dynamics 365 Business Central

費用内訳

費用目安

Dynamics 365ライセンス費用

(財務 / 会計、CRM / SFA、在庫管理)

約600万円〜

(初年度ソフトウェア保守含む)

導入サポート / トレーニング費用

約750万円〜

(1時間単価約25,000円〜、300時間以上)

サーバ・ネットワークなどのインフラ構築費用

約300万円〜

合計

約1,650万円〜

Dynamics 365をオンプレミスで導入し、ユーザー数15名で利用する場合の費用例は上記の通りです。運用・保守・ソフトウェア保守費用を含むランニングコストは、おおよそ年間160万円程度以上かかると考えられます。

「Microsoft Dynamics 365 Business Central」は、Microsoftの中小企業向けERPソリューションです。財務・会計、CRM・SFA、カスタマーサポート、プロジェクト管理、在庫管理・倉庫管理、生産管理などの各アプリケーションを組み合わせ、BIに夜分析で中小企業の成長を促すインサイトを提供してくれます。

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クラウド型ERPの費用内訳

クラウド型ERPのイニシャルコスト・ランニングコストそれぞれの費用内訳、費用目安として「クラウドERP ZAC」の構築にかかる費用例を紹介していきます。

イニシャルコスト

クラウド型ERPの費用体系はサービスによってさまざまですが、大きくは「ERPライセンスの買い切り」もしくは「ERPライセンスのサブスクリプション契約」の2つに分類できます。以下は、ライセンス買い切りの場合を想定したイニシャルコストの内訳。サブスクリプションの場合はライセンス費用はかかりませんが、どちらにしてもサーバ・ネットワークを含むハードウェア調達費用は不要です。

・初期導入費用
・ERP基本ライセンス費用
・導入サポート・トレーニング費用

ランニングコスト

ライセンス費用を月額で支払う形のサブスクリプションタイプのクラウド型ERPの場合、ランニングコストは以下の通りです。

・ユーザー数に応じた月額ライセンス費用
・プラットフォームの運用・保守費用

ライセンス買い切りタイプのクラウド型ERPの場合、月額のライセンス費用はかかりません。しかし運用・保守費用以外に、セキュリティパッチ・アップデートなどのソフトウェア保守費用が上乗せされることが一般的です。

費用例|クラウドERP ZACの場合

費用例|クラウドERP ZACの場合

画像引用:クラウドERP ZAC

ライセンス買い切りタイプ

の場合の費用内訳

費用目安

ライセンス費用

約750万円

導入支援費用

約430万円

保守費用

約165,000円 / 月

(データセンター利用料 + ソフトウェア保守費用)

サブスクリプションタイプ

の場合の費用内訳

費用目安

導入支援費用

約430万円

月額費用

(サブスクリプション)

約32万円

保守費用

約6万円

(データセンター利用料)

従業員数120名規模の会社で、販売、購買、工数、経費、仕訳連携の各機能を選んだ場合の費用例は上記の通り。ライセンス買い切りタイプはイニシャルコストが高額になりますが、おおむね3年間以上の利用が想定される場合、サブスクリプションタイプよりも総額を抑えることが可能です。

「クラウドERP ZAC」は、東京都目黒区に本社を構えるクラウドソリューション会社、株式会社オロが開発・提供するクラウド型ERPです。案件・プロジェクト単位でビジネスを展開する企業向けの機能を網羅し、システム・IT業、広告・クリエイティブ業、士業・コンサルティング業を中心に、850社以上から導入される実績を持ちます。ZACは「ライセンス買い切り」「サブスクリプション」双方の導入形態に対応しており、ニーズに応じて選択可能です。

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ERP導入を成功させるポイント

ERP導入を成功させるポイント

1990年代から存在した比較的古い概念であるERPは、近年でこそ「期間は半年〜1年、費用総額は数千万円」程度で導入・安定稼働できた成功例が増えています。しかし、2000年代初頭は「5年、十数億かけたERPが稼働しなかった」「稼働はしたものの会計ソフトしか使っていない」などの失敗例が多数存在し、現代でも失敗のリスクがゼロになったわけではありません。ジャパンSAPユーザーグループ(JSUG)では「日本企業のためのERP導入の羅針盤」のなかで、ERP導入の失敗要因として以下の要素をあげています。

・ERPの稼働自体が目的になっている
・プロジェクトの理念、目的が不明確
・膨大なアドオン / カスタマイズでコストが膨れ上がっている
・ERP製品に対する知識・人的リソースが足りない

これらの失敗要因を踏まえ、ERP導入を成功させるポイントをいくつか紹介していきましょう。

ERPの導入目的は「導入」ではないことを再認識する

ERPは、日々更新・蓄積される業務データ・マスターデータを集約・一元管理し、すべての業務アプリケーションで活用することによって、ビジネス全体の状況をリアルタイムに把握するためのシステムです。つまりERP導入の目的は、リアルタイムに把握した経営状態を可視化して分析し、ビジネスの継続的な成長に向け、方向性を臨機応変に軌道修正する経営判断に役立てることにほかなりません。市場環境の変化が激しく、日進月歩でIT技術が進化する現代では、臨機応変な経営判断が必須。ERPはそのための「手段・道具」であることを認識することが成功へのポイントです。

「Fit & Gap」から「Fit 2 Standard」へ

ERP導入のもうひとつの目的は、「ヒト」「モノ」「カネ」という経営資源を最大限活用すること。そのためには「業務の標準化」が必要です。標準化している業務であれば、方向性を修正するときにも柔軟に対応できます。しかしこれまでの日本企業は「業務にシステムを合わせ込む」傾向が強かったのが現実。それが膨大なアドオン開発・カスタマイズにつながり、開発費用が膨れることにもつながっていたのです。

つまり、ERP導入を成功させる二つ目のポイントは、業務とシステムにどのような差異があるのか「Fit & Gap」を重視するのではなく、システムのベストプラクティスに合わせてどのように業務を標準化していくか「Fit 2 Standard」を重視することです。たとえば「SAP S4 / HANA Cloud」や「Oracle NetSuite」などを「Fit 2 Standard」で導入することにより、標準化による業務効率向上が期待できます。また、システムのタイムリーなアップデートにより、最新のIT技術の恩恵を受けられます。

ERPの導入体制を整える

ERPの導入は、全部門のビジネスプロセスを変革することとイコールです。しかし、過去の失敗例では、誰がその権限を持つのか明確でないケースが数多く見られたようです。これは、ERPという製品・システムに対する理解不足、人的リソースの不足という失敗要因とも大きく関連しています。

つまり、ERP導入を成功させる三つ目のポイントは、導入に向けた社内体制を整えておくこと。具体的には、経営層がプロジェクトオーナーとして合意形成・実行をトップダウンで進める一方、各業務ごとに要件定義の権限をもたせたプロセスオーナーを設けることです。そのためには、プロジェクトオーナー、プロセスオーナー双方がERPというシステムへの理解を深め、導入の目的を共有する必要があるでしょう。

データ活用・システム連携を考慮する

最優先すべきシステム化の目的が「正確かつスピーディーな経営判断」であれば、ERPの導入が選択肢に入ってきます。しかし、予算の関係でスモールスタートしたい場合もあるでしょう。こうしたケースでは、優先度の高い基幹業務を管理してくれるシステムから導入していくことになりますが、選定にあたっては将来的なデータ活用・システム連携を考慮に入れることが重要です。

たとえば、国産ERPとして知られる「GRANDIT」は、ワークフロー・BIなどを搭載したコアをベースに、「経理・資産・経費」「人事・給与」「販売・調達在庫・製造」などのモジュールを自在に組み合わせ可能です。現在の課題だけではなく、将来的なゴールも念頭に置きつつ、基幹システムの導入を検討していくことがポイントです。

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費用以外でのERPの選ぶポイント

費用以外でのERPの選ぶポイント

ERPの導入を検討する際は、費用以外にも注目すべき比較ポイントがあります。費用だけで選びきれない場合は、こちらで紹介するポイントを参考にしてみてください。

拡張性・カスタマイズ性がどうなっているか

経済市場の動向が急速に変化する現代では、ビジネスモデルの変更・修正が必要になる場合も少なくありません。こうした状況でも素早く対応できる基幹業務システム / ERPを導入するためには、拡張性・カスタマイズ性も確認しておくことが重要です。

システム導入時は最低限の機能を搭載させ、ビジネスの成長にあわせて機能を拡張していくことも可能。柔軟なカスタマイズに対応できるシステムなら、細かな点を自社業務に最適化させることも可能です。

定着に向けたサポート体制がどうなっているか

基幹業務システム / ERPに限ったことではありませんが、システムは活用されてこそ目的を達成できるもの。そのためには、現場の活用・定着に向けたサポート体制が整えられている基幹業務システム / ERPを選定することがおすすめです。

たとえば、訪問サポートがあるのか、訪問はなくとも24時間オンライン上で相談可能かなど、サポートの方法や対応可能時間帯はシステムによってさまざまです。

おすすめのERPの詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事基幹業務システムおすすめ11選比較|導入メリット・ERP選定のポイントも解説!

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ERP費用まとめ

ERPの導入を検討している企業担当者の方に向け、本記事では「わかりにくい」「高額」なイメージがあるERPの導入費用・費用内訳は実際どうなのか?費用総額が大きく変動する利用を含め、できる限りわかりやすく解説するとともに、失敗することも少なくないERP導入を成功させるにはどうすべきか?ポイントも紹介してきました。

すべての基幹システムを統合し、ビジネスを可視化させるERPの導入は、どのような企業であっても一大プロジェクトです。導入・運用にかかる費用は重要な要素ではありますが、費用を抑えられても充分に活かしきれないのではERPを導入した意味がありません。まずは、ERPの導入目的をしっかりと吟味し直すことが重要です。

※適切なERPの選び方がわからない、選ぶ時間がない、おすすめのERPを選んでほしい方はシステム幹事にお問い合わせください。予算や目的などをヒアリングした上で、御社に最適なERPを選定します。相談料・紹介料はいっさいかかりません。

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Q. ERPの費用相場は?

ERPの費用相場は、イニシャルコストのみに着目しても「数十万円~数億円」と幅広いです。その他の詳しい内訳については、記事内で詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。