- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー AI開発
AI営業支援ツールとは?導入事例や導入時の注意点を解説【2025年最新版】
営業の仕事とAIの親和性は高く、仕事をサポートしてくれる心強い味方として「AI営業支援ツール」が導入されています。
しかしながら、AIが仕事にどのような影響を与えるのか、仕事にAIを導入するにはどうすればいいか、イメージが沸きづらい担当者様も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、AI営業支援ツールを導入するメリットや事例などを紹介します。
- AI営業支援ツールを導入しようと考えている
- 導入事例を見て導入するか否かの判断をしたい
- AI営業支援ツールの購入先を探している
という方は、ぜひ最後までご覧ください。
また、「AI営業支援ツールがよくわからない」「自社に最適なAI営業支援ツールを知りたい」という方は、システム幹事にご相談ください。専任のアドバイザーが最適な開発会社を無料で紹介します。ぜひお気軽にお問い合わせください。
AI営業支援ツールとは
AI営業支援ツールとは、蓄積されたデータをもとに分析し、定形業務を自動化し、業務効率化を図るシステムです。
企業との打ち合わせの日時調整や入力は、人とAIのどちらが行なっても、成果の差はほぼ無いといえるでしょう。
しかし、対面やオンラインで人とコミュニケーションを取る際は、話し方や表情といった要素も絡むため、AIと人間とでは成果に差が出る可能性があります。
AI営業支援ツールは、AIが担っても成果の差が出づらい定型業務を自動化させて、営業担当者の業務効率を向上させる目的で使用されています。
SFA・CRMとの違い
営業支援ツールには「SFA」と「CRM」の2種類があります。「SFA」と「CRM」は混同されやすい単語ではありますが、目的がそれぞれ異なります。
「SFA」は営業活動のデータを収集して、成約率を高めて売上の向上を狙うもので、SFAで獲得した契約を「CRM」で顧客の満足度の向上と維持に活用します。
一言でまとめるなら、「SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)」は営業活動全般についての情報を管理をするもの、「CRM(Customer Relationship Management:顧客との関係性を管理するもの)」は顧客を見える化するものです。
種類 |
主な機能 |
目的 |
SFA |
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CRM |
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▼関連記事 SFAの選び方については 「営業支援システム(SFA)のおすすめ13選!最適なSFAを選ぶポイントも解説」を合わせてご覧ください。 |
▼関連記事 CRMの選び方については 「顧客管理システム・CRMツール比較10選!ニーズごとの最適なツールを紹介!」を 合わせてご覧ください。 |
AIが営業の仕事を奪う可能性
「AIが発展したら営業の仕事がなくなる」「AIに仕事を奪われる」という噂を、耳にしたことはあると思います。
しかし、転職コンサルティング市場の見解は異なるようです。
求人情報メディア・人材紹介サービスを運営しているエン・ジャパン株式会社が行った2017年11月の転職コンサルタントが考えるAIに代替される職業の調査によると、営業はAIに代替されない職種だろうという評価でした。
(参考:https://corp.en-japan.com/newsrelease/2017/12077.html)
また、AI営業支援ツールに頼りきりになると、AIが出せる成果よりも大きな成果を出せず、仕事ができる営業担当者だけが生き残る状況になります。
営業担当者は「人間にしかできない営業の仕事とは何か」を考えて行動していく必要があるでしょう。
AI営業支援ツールができること
「営業の仕事がなくなるのでは」と怯えている方も多いかもしれませんが、AIは営業の仕事を奪うのではなく、営業の仕事をより効率化するものです。
AI営業支援ツールは、営業活動にどんな変化を与えるのかを見ていきましょう。
見込み客やターゲットの洗い出し
企業経営をする上で、売上の拡大は必須であり、効率的に売上を上げるために営業(もしくはインバウンドチーム)は、自社のサービスや商品に興味を持ち、売上につながりやすい見込み客を把握しておく必要があります。
見込み客の把握をする場合、問い合わせ窓口や営業担当者が、顧客のアクションやヒアリング内容を元に、見込み客かどうかを振り分けます。
しかし、人力では膨大な時間がかかってしまうでしょう。
そこでAI営業支援ツールを活用し、見込み客にはどんな特徴があるかを洗い出して、独自の項目で一定の条件を満たしている場合、見込み客として振り分けます。
たとえば「過去に資料請求をしたことがある」「過去に商品を購入したことがある」
「過去にサービスを利用したことがある」といった条件に当てはまるほど、見込み度が高くなるという仕組みです。
このようにデータを蓄積することで、AIが自動で見込み客を振り分けられるようになり、営業担当者のリソースが空きます。その結果、営業担当者は顧客のニーズをリサーチしたり、顧客とコミュニケーションをとる時間を確保できたりするでしょう。
営業の業務時間の66%が事務作業だといわれているデータもあり、こうした作業をAIが代行してくれることで、業務効率の向上が見込まれます。
参考:株式会社セールスフォース 第3回年次レポートセールス
メールなどの文書作成
AIは、過去のメールのやり取りから「反応がもらいやすい文章」「より成約率のよい書き方」を学習します。
効果的な文章を自動的に作成するため、従来のメールのやり取りよりも、見込み客を発掘できる可能性が高まります。
チャットボットによる顧客対応
チャットボット(chatbot)とは、AIを活用した「自動会話プログラム」のことです。
あらかじめ用意しておいた質問と回答のセットをAIに学習させることにより、24時間365日AIが自動で返信し、顧客からの質問に対応できるシステムです。
チャットボットを導入することで「いつでも質問できる」という安心感を顧客に与え、顧客満足度の向上にも繋がります。
音声分析による改善提案
音声分析とは、営業担当者が話している内容を録音し、音声認識技術でテキスト化する技術です。
「どんな内容を話しているのか」「どんなキーワードがあると反応がいいか」という分析を通して営業を支援します。
提案書作成などの事務作業
「提案書」「見積書」の事務作業は、過去の傾向からAIが作成し、営業担当者の手を空けることで重要な業務にとりかかる時間を増加させられます。
AI営業支援ツールができないこと
AIは、事務作業の負担を大きく減らしてくれたり、より効率的な営業方法の改善提案を行ってくれたりもします。
ただし、AI営業支援ツールにもできないことがあるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
ヒアリングや円滑なコミュニケーション
相手のコメントに合わせて決まった導線で返信するAIチャットツ―ルは、相手の意図を正確にくみ取り、的確に回答する能力までは備わっていません。
顧客が納得のいく回答をするには、人間が相手の立場や状況を理解し、丁寧にヒアリングをする必要があります。
課題分析・解決
AIも過去のデータを分析することで「見込み客やターゲットの洗い出し」「効果のある文書」「音声分析の改善提案」など様々な提案ができます。
ただし過去の例がないケースは、AIでの課題分析や解決が難しく、人間同士の言葉のニュアンスまでは汲み取れません。
人間関係や社内環境を考慮した上で提案できるのは、人間の強みといえるでしょう。
時間管理
AIは、特定の仕事にかかる時間を記録し、仕事量から逆算してスケジュールを組むことが可能です。
しかし、スケジュールを実行するのはあくまで人間です。人間がスケジュール通りに動かなければ意味を成しません。
またAIは、基本的に移動時間での作業をスケジュールに組み込むこともできません。
人間が主導で動く以上、AIが時間管理の全てを代替することは現段階では難しいでしょう。
AI営業支援ツールの導入によるメリット
続いて、AI営業支援ツールの導入によるメリットを解説します。
データに基づいた戦略が立てられる
AI営業支援ツールが顧客リストから見込み客をリストアップして、優先的に営業をかけることで成約につながりやすくなります。
またデータに基づいた戦略により、効果的な営業方法をチーム全体に共有することで営業担当者の個人差が減り、チーム全体の営業能力アップにも期待ができるでしょう。
顧客にかけられる時間が増える
過去のデータでパターン化できる「提案書」や「見積書」などは、AIを活用し事務作業の時間を短縮できます。その結果営業担当者は、顧客とのやり取りなど人間が要となる仕事に注力できるメリットがあります。
労働力不足が解消される
AI営業支援ツールを導入すること、効率的に営業活動ができるようになるため、少人数での業務遂行が可能になり、労働力不足が解消されます。
AI営業支援ツールの導入の課題
続いて、AI営業支援ツールを導入する際の課題を紹介します。
トラブルが発生すると対処が複雑になる
AIには「ディープラーニング(深層学習)」という機能があり、膨大なデータから学習して回答が導き出されます。
しかし、ディープラーニング機能にトラブルが発生してしまった場合、ニューラルネットワークのプログラムの中から、トラブルの原因を解明しづらいという課題があります。
トラブルの原因を判別するには多くの工数がかかる可能性が高いでしょう。
責任問題に発展した際は「AI営業支援ツールを利用しているユーザー」「サービスを開発している企業」どちらに法的責任があるかを判断する必要があります。
しかし現状まだまだ法整備が追いついておらず、どちらが責任を取るべきかを明確化できない場合もあるため、トラブルの原因になる可能性があるということは理解しておきましょう。
費用・コストが発生する
費用は導入するツールによって大きく異なりますが、自社にあったシステムにするために別途料金を追加してカスタマイズしていくうちに、費用が跳ね上がる可能性があります。
またAIは、即座に業務効率化に役立つわけではなく長期的に学習する時間が必要なので、運用当初は費用対効果が悪くなりがちです。
AI営業支援ツールを活用できる人材がいない場合、専門の人材を採用するか外部に委託する必要があります。
外部に委託した場合は想定していた何倍にもコストが膨らむ可能性もあるため、事前に余裕を持って予算を用意しておくと安心です。
情報セキュリティリスクが高まる
AIでデータ分析をするということは、「顧客の個人情報」「機密情報」を扱うことを意味します。
万が一ハッキングされると大きな被害が出る可能性があるため、セキュリティリスクを抑えるセキュリティ対策は、より一層重要になります。
AI営業支援ツールを活用した事例
ここからは、AI営業支援ツールがどのように活用されているのか紹介します。
株式会社大塚商会
画像引用:株式会社大塚商会
「株式会社大塚商会」は、顧客数が増え続け、ビジネス戦略や業務内容も複雑化している中で、顧客のニーズをタイムリーに捉える必要性を感じていました。
より価値のある提案を行い、「データの分析精度や量」、「スピードを向上させるための課題解決」のため、171万社の顧客データを活用できる顧客管理・営業システム「Hitachi AI Technology/H(AT/H)」を導入しました。
Hitachi AI Technology/Hを導入したことにより、過去のデータを分析し「どの顧客を訪問すればよいか」という見込み客のリストアップができるようになり、「どんな提案をすればいいか」を、過去のデータからAIが算出した傾向を参考にすることで、受注率を平均で5%向上させることに成功しました。
日本生命保険相互会社
画像引用:日本生命保険相互会社
生命保険の大手企業「日本生命保険相互会社」では、アメリカの大手企業IBM(International Business Machines Corporation)から、Watson(ワトソン)を導入しました。
「年齢」「性別」「家族構成」「契約状況」「やりとりの記録」から、保険の見直しができる顧客をリストアップすることで、往来のような大量に営業を雇い、とにかく数多くの顧客に営業をかける「人海戦術」よりも効率的な営業を可能にしました。
画像引用:日本生命保険相互会社 営業職員用 新携帯端末の導入によるお客様サービスの向上について
また、2020年からは営業トークを録音して内容をAIが判定する機能「ロープレAI」を搭載したスマートフォンを4万台導入しています。
ロープレAIは営業トークを自撮りして内容をAIで自動判定する機能で、営業担当者の会話を数値化して、「表情」「ジェスチャー」「スピード」「明瞭さ」を評価し、不足点も指摘してくれます。
現状からの改善点が明確になり、営業のさらなるスキルアップにも役立っています。
参考:営業トークの「威力」をAIが判定、日本生命がアプリ搭載スマホ4万台を職員に導入
株式会社星野リゾート
画像引用:株式会社星野リゾート
「株式会社星野リゾート」は、ブライダル事業の効率化のため、ゾーホージャパン株式会社のZohoCRMを導入しました。
AIによる情報管理で、共有された情報がリアルタイムで可視化できるようになり、接客制度やサービス品質の向上に繋がりました。
画像引用:ZOHO CRM導入事例株式会社星野リゾート 業務スピードが圧倒的に向上!
プロセスの最適化でキャンセル率50%減を実現
また、ホテル事業では「何名」「誰と」「どんな旅にしたい」といった項目を選ぶだけで、旅行に合ったホテルを提案する「ぴったりホテル診断」というサービスの提供も開始し、自社HP経由の予約率を60%まで高めるという結果を出しています。
参考:業務スピードが圧倒的に向上!プロセスの最適化でキャンセル率50%減を実現
株式会社丸井
画像引用:株式会社丸井
大手のデパートチェーンで知られる「株式会社丸井」では、過去の販売実績と外部情報を用いて、経済産業省が主催した「課題解決型AI人材育成事業「AI Quest」という、課題解決型AI人材育成プログラムに参加して、野菜や魚といった生ものの需要予測をAIで実施しました。
画像引用:経済産業省 中小企業とAI人材の協働による課題解決事例を公開
対象とした7品目だけで約380万円の削減効果が見込まれ、PoC(Proof of Concept:概念実証。理論上の計算ではなく、実際に小規模で検証を行うこと)では全25店舗中9店舗で約130万円の削減効果を出しました。
今回の予測結果により、往来の分析に必要な工数と人員のリソースを大きく削減できることが見込まれています。
参考:経済産業省 中小企業とAI人材の協働による課題解決事例を公開
MIC株式会社
画像引用:MIC株式会社
1946年創業の老舗印刷会社、「MIC株式会社(旧 水上印刷株式会社)」では、AIモデルに近年のデータ分析コンペでも、特に精度が認められている「LightGBM」「CatBoost」「XGBoost」高性能のアルゴリズムを使用しました。
複数のモデルを組み合わせて精度向上を図る「スタッキング」という手法を採用し、対象マシン2台で工数予測の精度の向上と、誤差を改善する取り組みを実施しました。
画像引用:経済産業省 中小企業とAI人材の協働による課題解決事例を公開
課題と感じていた工数予測において、作業時間が50%〜60%短縮され、AIモデルが予測した工数精度は、従来誤差を大きく下回る予測誤差となり、有効性が示されました。
工数の予測精度が上がり、現場の稼働率の向上に寄与しています。
参考:経済産業省 中小企業とAI人材の協働による課題解決事例を公開
AI営業支援ツールを有効活用するために大切なこと
最後に、AI営業支援ツールを有効活用するために大切なポイントについて解説していきます。
システムを活用できる人材を採用する・育てる
高機能なAI営業支援ツールを導入するには、活用できる人材が必要です。そのため、導入したツールを使いこなせる人材を育てる、もしくは採用することが重要です。
もし、使いこなせる人材がいないと感じていたら導入前から、担当できる人材を育成しておく必要があります。
導入する目的を明確化・共有する
導入する目的を明確化させると、自社に合ったAI営業支援ツールを選べます。
しかし、曖昧なまま進めてしまうと、
- 業務効率化に必要な機能がない
- 要らない機能を付けたせいで導入コストが上がってしまった
- 営業活動が思ったように効率化できない
といった状態になってしまいます。
AI営業支援ツールを使う目的やメリットを、AI営業支援ツールを使う従業員全体に共有してから導入するようにしましょう。
企業に合ったシステムを採用する
AI営業支援ツールを効果的に活用するには、値段や機能だけで選ぶのではなく、自社に合ったシステムかどうかで採用を決めましょう。
- 現状の知識レベルで社員に扱えるものか
- 企業の規模に見合っているか
- 必要な機能が備わっていて不要な機能が多数ついていないか
などを検討してから導入しましょう。
まとめ
AI営業支援ツールの概要やメリット・デメリット、導入事例について紹介しました。
業界や業種、異なるビジネスモデルによっても、適切なAI営業支援ツールや顧客管理システムは異なるため、自社にあったAI営業支援ツールを利用するのが重要です。
以下の記事では、
おすすめの営業支援システムや選び方について紹介していますので、ご覧ください。
▼関連記事 SFAの選び方については 「営業支援システム(SFA)のおすすめ13選!最適なSFAを選ぶポイントも解説」を合わせてご覧ください。 |
▼関連記事 CRMの選び方については 「顧客管理システム・CRMツール比較10選!ニーズごとの最適なツールを紹介!」を 合わせてご覧ください。 |
「社内に詳しい人がいない」とお悩みの方は、希望のAI営業支援ツールの選定と、導入支援までフォローしてくれる外部協力会社に頼るとスムーズにAI営業支援ツール導入が可能です。
コンサルタントのご紹介
岩田
専任のコンサルタントが、
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初心者の方でも安心してご相談いただけます。
しかしAI営業支援ツールは数多くあり、どれが自社に適しているのかわからない担当者様も多いと思います。そんな時は相談料などは一切かかりませんので、ぜひシステム幹事へお気軽にご相談ください。
Q. AI営業支援ツールとは何ですか?
AI営業支援ツールとは、蓄積されたデータをもとに定形業務を自動化し、業務効率化を図るシステムのことです。「データに基づいた戦略が立てられる」「顧客にかけられる時間が増える」等の特徴があります。
Q. AI営業支援ツールのメリットは?
AI営業支援ツールのメリットは「データに基づいた戦略が立てられる」「顧客により多くの時間が費やせられる」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人

翌檜 佑哉
専門分野: ライター、インタビュアー
北海道でインタビューを中心にライターとして活動。インタビュー記事やSEOライティングをメインに、カメラマンや動画編集者、HP制作者としても活動。「わかりやすい」「読みやすい」「伝わりやすい」文章で、人物の魅力がより伝わる文章を作成します。
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