システム開発の内製化は正解なのか?メリット・課題・考慮すべきポイントを解説【2024年最新版】

システム開発の内製化は正解なのか?メリット・課題・考慮すべきポイントを解説!

必要なシステムを自社内で開発する「システム開発の内製化」に取り組む企業が増えていると聞くが、自社も検討すべきなのか?そんな悩みを抱える経営者、企業担当者の方なら、以下のような疑問を解決したいはず。

・システム開発の内製化に取り組む企業が多いのはなぜ?
・システム開発の内製化によって得られるメリットは?課題やデメリットはある?
・システム開発の内製化を検討すべき企業は?内製化の方法やポイントは?

そこで本記事では、システム開発の内製化が注目される理由、メリットを紹介するとともに、考えられる課題、内製化に向けて考慮すべきポイントを解説!システム開発の内製化を推進するヒントも紹介していきます。

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目次
  1. 1. システム開発の内製化が注目されているのはなぜか
    1. 1-1. ビジネス / 市場環境の変化
    2. 1-2. 外注先とのシステム開発経験
  2. 2. システム開発の内製化で得られるメリット
    1. 2-1. 自社事業に最適化したシステムを開発できる
    2. 2-2. ニーズの変動に応じた柔軟かつスピーディな対応が可能
    3. 2-3. 社内にITノウハウ・ナレッジを蓄積できる
  3. 3. どのような組織がシステム開発内製化に取り組むべきか
    1. 3-1. システムによっては内製化の効果が得られないことも
  4. 4. 内製するシステムの事業領域・種類
    1. 4-1. 外注を含めて手法を使い分ける
    2. 4-2. ノーコード / ローコードツールの活用
  5. 5. システム内製化の課題・ポイント
    1. 5-1. 経営層の強力なコミットメント
    2. 5-2. CDOを中心とした開発組織体制
    3. 5-3. IT人材の確保・育成
    4. 5-4. アジャイル / クラウドのノウハウ
    5. 5-5. システムの維持・管理
  6. 6. システム開発の内製化を推進するには?
    1. 6-1. 内製化支援サービスの利用がおすすめ
  7. 7. システム開発内製化のポイントを紹介しました

システム開発の内製化が注目されているのはなぜか

自社IT部門を持たないことが少なくない日本企業では、長らくシステム開発を外注に頼る状況が続いていました。しかし、大きく「ビジネス / 市場環境の変化」「外注先とのシステム開発経験」という2つの要因により、システム開発の内製化に取り組む企業が増えています。

ビジネス / 市場環境の変化

膨大な開発コストを投入したシステムは、できる限り長く使いたいもの。しかし、アナログの業務をデジタルに置き換えれば済んだ時代は過ぎ去り、デジタルに付加価値を持たせるDX(デジタルとランスフォーメーション)の時代が到来しています。

当然、激しく変化するビジネス / 市場環境に対応してエンドユーザーに価値を届けるためには、システム自体を臨機応変に適応させていくことが必須。増大する一方のデータを管理・活用するためにも、自社ですべてをコントロールできるシステム開発の内製化ニーズが高まっているのです。

従来、コストセンターとしてアウトソーシングされていた「コールセンター」が、オムニチャネルの要となるコンタクトセンターとして見直され、内製化する企業が多くなったのと似た状況だともいえるでしょう。

外注先とのシステム開発経験

システムベンダー / SIerは、システム開発プロジェクトで頼りになる存在ではありますが、要件定義以降の設計・開発・テストなど、開発プロセスのほとんどを一任するのが日本式スタイルです。こうした外注先との協業経験が豊富な企業ほど、システム開発内製化を検討する傾向にあるかもしれません。外注先の選定・交渉・契約などに時間を要するのはもちろん、ミスコミュニケーションによるプロジェクト失敗リスクがあることを、経験上理解しているからです。

なによりも、契約によってシステムの完成を目指すアウトソーシングの場合、DXを実現するための「スピード感を持って臨機応変に対応する」ことが困難です。

関連記事:システム開発の契約についてより詳しく知りたい方は、「システム開発の契約とは?契約形態・契約書の注意点を解説!」をあわせてご覧ください。

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システム開発の内製化で得られるメリット

システム開発を外注から内製に切り替えることにより、「ビジネス / 市場環境の変化へ対応」を可能とし、「外注のリスクを軽減」するいくつかのメリットが得られます。具体的に解説していきましょう。

自社事業に最適化したシステムを開発できる

自社の事業をもっともよく理解しているのは、自社の従業員です。事業の目的・ゴールを理解した社内スタッフで開発内製化を推進すれば、自社事業に最適化したシステムを開発しやすい環境を構築できるでしょう。

一方、システム開発のアウトソーシングでは、どうしてもミスコミュニケーションのリスクが付きまといます。ベンダー / SIerはシステム開発の専門家ではありますが、自社事業の専門家にはなり得ないからです。開発するシステムの認識の違いを丁寧にすり合わせておかなければ、想定したものとはかけ離れたシステムができあがってしまうこともあります。

ニーズの変動に応じた柔軟かつスピーディな対応が可能

システム内製化によってすべてをコントロールできる開発体制が整えば、ニーズを反映した仕様変更に柔軟な対応が可能になるほか、第三者の介在を排除したスピーディーな開発も実現できます。アジャイル型システム開発を採用し、サービスを素早くリリースしつつ、ユーザーの反応を見ながら継続的に改善していくことも可能でしょう。

一方、近年ではアジャイル型開発に対応するSIerも増えてきていますが、システム開発を外注する場合はウォーターフォール型が主流です。はじめから完成形を目指して開発プロジェクトがスタートするため、半年から長くて数年など、リリースまでには長い期間を要します。開発中に仕様変更が生じた場合、対応が困難、または不可能であることも多く、開発コストとの兼ね合いで妥協を強いられることも少なくありません。

関連記事:ウォーターフォール型・アジャイル型システム開発についてより詳しく知りたい方は、「システム開発の手法4つの特徴・メリット・デメリットを解説!」をあわせてご覧ください。

社内にITノウハウ・ナレッジを蓄積できる

当然のことですが、内製化によってシステム開発の経験を積んだ分だけ、社内にITのノウハウ・ナレッジを蓄積できます。蓄積されたノウハウ・ナレッジは、新たなシステムを開発する際に役立つのはもちろん、自社開発したシステムの継続的な改善、自社IT人材の育成などにも役立てられるでしょう。

一方、システム開発を外注する場合、依頼側が関わるのは「要件定義」「基本設計」などの上流工程のみです。開発フェーズに関するノウハウが蓄積できないだけでなく、プログラムがブラックボックス化して改修・改善ができないなど、自社のコントロールが及ばなくなる可能性も考えられます。

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どのような組織がシステム開発内製化に取り組むべきか

ここまでに挙げた具体的なメリットは「変化の激しい、DX時代のビジネス / 市場で競争力を発揮する」ことに集約できます。これは、システム開発内製化の最大のメリットであり、目的 / ゴールでもあります。

つまり、システム開発の内製化推進は、DX時代に対応するための経営戦略です。自社のコア事業や成長事業のシステム開発を検討している組織であれば、業種 / 業態の違いや規模の大小を問わず、ビジネスを成長させるために内製化への取り組みを開始すべきでしょう。

システムによっては内製化の効果が得られないことも

ただし、内製化がすべてのシステムに有効な開発手法だとは限りません。たとえば定型業務の効率化を目的にしたシステムなど、継続的な改修・改善を必要としないものは、内製化の効果を得にくいでしょう。

これは、内製化を実現するために、システム開発部門・チームの創設・運営・維持コストが必要だからです。開発対象となるシステムの性格を見極め、内製化した場合、外注した場合のQ(品質)C(コスト)D(納期)を比較検討することが重要。そもそも、システム開発の頻度が少ないのであれば、内製化を検討する必要はありません。

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内製するシステムの事業領域・種類

それでは、内製化に取り組んでいる企業は、どのようなシステム開発に内製を活用しているのでしょうか?自社システムすべてを内製しているのでしょうか?日本とアメリカの比較も交えながら解説していきましょう。

外注を含めて手法を使い分ける

日本 / アメリカともに、内製によるシステム開発以外に、事業領域・システムの種類によって複数の開発手法を組み合わせている企業が大多数です。具体的な手法は以下の5つ。

・内製による自社開発
・外部委託による開発
・パッケージ導入
・SaaS導入
・パッケージ / SaaSをベースに開発(カスタマイズ)

ただし、IPAの公開する「DX白書2021」によると、開発手法の使い分けが日米で大きく異なっていることがわかります。

IPA「DX白書2021」

画像出典:IPA「DX白書2021」

コア事業 / 競争領域でシステムの内製が多いという点は日米で共通していますが、どの事業領域 / システムの種類でも「特定の手法を適用しない」が多数派であるのが日本の特徴。事業領域 / システムの種類ごとに採用する開発手法がハッキリしているアメリカとは対照的です。

ノーコード / ローコードツールの活用

これは、システム開発の内製化が定着しているアメリカに比べ、まだまだ日本の内製化率が低いからだといえるでしょう。こうした状況を補って内製化を推進するため、注目されているのが「ノーコード / ローコードツール」の活用です。

ノーコード / ローコードツールとは、プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップなどの簡単操作でシステム / ソフトウェアを開発できるツールのことノーコードはソースコードの記述が不要、ローコードはソースコードの記述が最小限という意味です。業務アプリ開発に活用されるローコードツールには、Microsoft Power Apps、Claris FileMaker Proなどがあります。

ノーコード / ローコードツールを活用する最大のメリットは、現場スタッフ自らアプリを開発することで、業務の実情を反映した使いやすいシステムを構築できること。

ただし、ノーコード / ローコードはツールの持つ機能以上のことはできないため、システム開発の内製化を代替するものとはなり得ません。ツールの特性を把握したうえで適材適所に利用するなど、内製化を補完していく目的で活用するのが適切です。

関連記事:FileMaker Proの使い方についてより詳しく知りたい方は、「在庫管理システムは自作できる?Excelの限界・FileMakerを活用した作り方を解説!」をあわせてご覧ください。

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システム内製化の課題・ポイント

システム開発の内製化は、DX時代を勝ち抜く競争力を高めるための有効な手段ですが、実現するためのハードルは低くありません。安易にツールを導入してお茶を濁すのではなく、内製化に向けた課題、実現に向けたポイントを把握し、経営戦略として計画的に実行することが成功への秘訣です。具体的に解説していきましょう。

経営層の強力なコミットメント

システム開発の内製化を実現するための、もっとも重要なポイントは「内製化に向けた経営層の強力なコミットメント」です。なぜなら、システム開発の内製化推進は経営戦略とイコールであり、経営戦略を実現させるためには、全従業員が目指す方向を指し示す経営層の強力なコミットメントが必要不可欠だからです。

そのためには、経営層に「ITへの深いリテラシー」が求められますが、DX先進国のアメリカと比べた場合、日本の現状は厳しいといわざるを得ません。

IPA「DX白書2021」

画像出典:IPA「DX白書2021」

「ITに見識がある役員の割合が3割未満」と回答した日本企業は、全体の80%近く。システム開発内製化を成功させるためにも、経営層自らが解決しなければならない課題だといえます。

CDOを中心とした開発組織体制

経営戦略を実行計画に落とし込み、システム開発内製化を実現させるためのキーとなるのが、CDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)の存在であり、CDOを中心にした開発組織体制です。

計画的に内製化を進めていくためにも、開発組織を構築するためにも、CDOの存在は必要不可欠ですが、日本ではその存在自体が広く知られていないのかもしれません。それは業種別に見た、日米の「CDOの有無」を比較しても明らか。内製化の最初のステップを踏むためにも、解決しておきたい課題です。

IPA「DX白書2021」

画像出典:IPA「DX白書2021」

IT人材の確保・育成

開発組織を構築するためには、当然のことながらIT人材を確保し、継続的に育成していく仕組みも作らなければなりません。実は、システム開発の内製化を進める際に、もっとも大きな課題となりがちな要因です。

なぜなら、2022年時点でもエンジニア不足が深刻化しており、少子高齢化が一層進む今後は、さらに人材確保が困難になることが予想されるからです。アメリカほどではありませんが、日本でもエンジニアの人件費が高騰する傾向にあるため、相応の投資額を念頭に置いておく必要もあります。

また、どのような開発組織を構築するのかを明らかにし、内製化に対する自社の方針に沿った人材を確保していく必要もあるでしょう。

関連記事:エンジニアの職種・役割についてより詳しく知りたい方は、「開発系エンジニアとインフラ系エンジニアの違い・それぞれの役割を解説!」をあわせてご覧ください。

アジャイル / クラウドのノウハウ

柔軟かつスピーディーにシステムを開発できるという、内製化のメリットを活かすには、アジャイル型開発 / クラウドのノウハウがポイントになります。すべてのシステムにアジャイル型開発がフィットするとは限りませんが、ユーザーニーズに合わせながら拡張していけるという点では、クラウド技術とともにDX時代には欠かせないテクノロジーです。

システムの維持・管理

内製したシステムをしっかりと維持・管理していく体制づくりも重要なポイントです。日常的な運用・保守、顧客ニーズを集約させて反映させていく改修・改善計画はもちろん、自社システムすべてを管理していく必要があります。

特に、ITリソースが不足がちな企業では、ノーコード / ローコードツールを活用して簡易な社内システムを開発する傾向が強まっていますが、一歩間違えばシャドーITが横行する結果になりがちです。社内全体のIT環境をコントロールしていく仕組み作りも課題のひとつです。

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システム開発の内製化を推進するには?

ここまでの解説でもお分かりのように、システム開発の内製化を推進するポイントは解決すべき課題と表裏一体です。内製化が簡単でないのはこのためであり、中長期的な観点で計画を進めていく必要があるでしょう。

しかし、DX時代の特徴は「ビジネス / 市場環境が急激に変化する」こと。時代の波に乗るためにも、できる限り素早く内製化プロジェクトを進めたいと考える方も多いはずです。

内製化支援サービスの利用がおすすめ

こうしたニーズを持つ方であれば、システム開発の「内製化支援サービス」を利用するのがおすすめです。サービスを提供する企業によってプログラムの内容は異なりますが、開発体制の構築からサポートしてくれ、IT戦略に沿ったノウハウを提供してくれます。

たとえば、国内7か所、海外6か所の拠点から、アプリケーション開発・ITコンサルティングなどのサービスを提供するクラスメソッド株式会社は、2021年11月から内製化支援サービスの提供を開始しています。「体制づくり」「スキル開発・定着」「ビジネス開発」の領域に対応し、アセスメントから計画、実行までをサポートしています。

クラスメソッド株式会社「内製化支援サービス」https://classmethod.jp/services/insource/

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システム開発内製化のポイントを紹介しました

システム開発の内製化に取り組むべきなのか?悩んでいる方に向け、本記事では、システム内製化が注目される理由、メリットを紹介するとともに、考えられる課題、内製化に向けて考慮すべきポイントを解説してきました。

システム開発の内製化は、実現へのハードルが高いだけでなく、失敗のリスクもつきまといます。反面、実現できれば「市場競争力の強化」という、何ものにも代え難いアドバンテージが得られます。自社ビジネスにおけるシステムの位置付けを見直し、慎重に検討していくことが重要です。

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Q. システム開発の内製化とは何ですか?

システム開発の内製化とは、必要なシステムを自社内で開発することです。変化の激しい現代ビジネスにおいて、増加し続けているデータを管理・活用するためにも、自社で全てをコントロールできるシステム開発の内製化ニーズが高まっています。