ソフトウェア開発見積もりの基礎知識|妥当性を判断するポイント

ソフトウェア開発の設計工程とは|位置付け・重要性・設計項目を解説!

ソフトウェア開発の委託を考える際、見積もり金額に注目して開発会社を検討するかもしれません。しかし、「見積もりを見ても内訳がわからない」「各社で見積もり金額が異なる」といった問題にお悩みではないでしょうか。

精度の高い見積もりをしてもらうためには、どのような項目が反映されているか知ることが重要。この記事では、ソフトウェア開発見積もりの手法や内訳、依頼するときのポイントを解説しています。見積もりの妥当性を判別できるようになるので、ぜひ最後までお読みください。

なお、ソフトウェア開発会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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目次
  1. 1. ソフトウェア開発見積もりが重要な理由
  2. 2. ソフトウェア開発の見積もり手法
    1. 2-1.  トップダウン見積
    2. 2-2. パラメトリック見積
    3. 2-3. ボトムアップ見積
    4. 2-4. プライス・ツー・ウィン法
  3. 3. ソフトウェア開発費用の見積もり内訳
    1. 3-1. 要件定義費
    2. 3-2. システム設計費
    3. 3-3. UIデザイン費
    4. 3-4. ソフトウェア開発費
    5. 3-5. テスト費用
    6. 3-6. 導入費
    7. 3-7. 付帯作業費
    8. 3-8. 購入費
    9. 3-9. 保守・運用費
  4. 4. ソフトウェア開発費用の見積もりに差が出る要因
    1. 4-1. 人件費
    2. 4-2. 工数
  5. 5. ソフトウェア開発費用の見積もりチェック項目
    1. 5-1. 見積もり要件が反映されているか
    2. 5-2. リスクへの対処が含まれているか
    3. 5-3. 管理工数が含まれているか
    4. 5-4. 調査・分析の工数が考慮されているか
    5. 5-5. 責任の所在が明確か
  6. 6. ソフトウェア開発費用の見積もりを依頼するときのポイント
    1. 6-1. 前提条件のすりあわせをする
    2. 6-2. 詳細な仕様について事前に話しあう
    3. 6-3. 複数の企業に相見積もりする
  7. 7. 【まとめ】ソフトウェア開発費用の見積もり基礎知識を紹介しました

ソフトウェア開発見積もりが重要な理由

外部にソフトウェア開発を委託する場合、正確な見積もり作成が成功の鍵となります。

コストや工数、スケジュールなどが含まれた見積もりは、立てた計画をコントロールするための基準となります。そのため、見積もりに失敗すると不足の事態に対応できず、工期の遅れや品質の低下、費用の増加など悪影響が出る可能性があります。

どのようなソフトウェアを開発するのか、開発手法をどれにするかによって発注金額は変わりますが、見積もりの内容も大切です。安い開発会社を選びたくなるかもしれませんが、額面だけでなく内容も精査しましょう。

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ソフトウェア開発の見積もり手法

プロジェクトごとに異なる特性にもとづき、適切な見積もり手法がとられます。ここでは、主要な4つの見積もり手法の特徴を解説します。

 

メリット

デメリット

トップダウン見積

スピーディーかつ精度の

高い見積もりが可能

類似案件に対応した実績がないと

使えない

パラメトリック見積

担当者による差異が発生しにくい

過去の情報が不十分だと

見積もりの精度が下がる

ボトムアップ見積

作業工程の抜け漏れが発生しにくい

要件や納期が変更しやすい

大規模案件に向いていない

プライス・ツー・ウィン法

予算オーバーを防げる

希望する機能を

搭載できない可能性がある

 トップダウン見積

トップダウン見積(類推見積)は、過去に対応した類似案件をもとに費用を見積もる方法です。過去の事例を参照するため、すばやい見積もりが可能。また、工数や費用感のイメージもつきやすく、精度の高い見積もりを算出しやすいのも特徴です。

ただし、類似案件に対応したことがなければトップダウン見積では算出できません。はじめてのシステム開発には使えない手法です。

パラメトリック見積

パラメトリック見積(係数モデル)とは、過去のデータをもとに、プロジェクトのコストや作業時間を数値化して見積もりする手法です。例えば、あるソフトウェアを開発するのに4ヶ月かかったとします。今回は人員が2倍になったので、半分の2ヶ月で開発できると推測できます。

数値化するため、担当者の感覚による差異が発生しにくいのがメリットです。しかし、過去のデータを参考にするため、情報が十分でないと見積もりの精度が下がる欠点があります。

ボトムアップ見積

ボトムアップ見積(工数積上げ)は、ソフトウェアの構成内容・要素を推定し、各工数を積み上げて費用を見積もる手法です。

各タスクまで分解して見積もるを取るため工程の抜け漏れが発生しにくく、精度の高い見積もりを出しやすいのが特徴。ただし、要件や納期が変更しやすい大規模案件では使いにくい手法です。

プライス・ツー・ウィン法

プライス・ツー・ウィン法は、クライアントの予算にあわせて費用を見積もる手法です。

相手の予算にあわせるため、予算オーバーを防ぎやすい特徴があります。ただし、論理的な根拠なく費用を見積もるため、搭載したい機能を実装できない可能性があるのがデメリット。追加の開発により、当初の予算を結果的にオーバーする可能性もあります。

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ソフトウェア開発費用の見積もり内訳

ここでは、ソフトウェア開発の見積もりに含まれる主要な項目を説明します。見積もりの精度を確認するには、必要な項目が明記されているかチェックすることが重要。「ソフトウェア開発一式」といった不明瞭な見積もりをする会社は工数や費用が変わる可能性があるため、避けるのがおすすめです。

要件定義費

要件定義とは、課題を解決するためにシステム全体をどのようにするか仕様として落とし込む作業です。ソフトウェア開発の詳細を決めるために必要で、クライアントと時間をかけてすりあわせするため、費用が発生します。

システム設計費

システム設計費は、ソフトウェア開発に必要なサーバーをはじめとしたインフラ構築やプログラミング言語の選定、設計図の作成などにかかる費用です。下流工程に関わる部分のため、詳細に設計することで確実なソフトウェア開発につながります。

UIデザイン費

UI(ユーザーインターフェース)デザイン費は、操作のしやすさに直結するUI制作をデザイナーに依頼する費用。多くのユーザーがスムーズに使えるソフトウェアを開発するには、デザイン費を多めにとる必要があります。

ソフトウェア開発費

ソフトウェア開発費には、エンジニアの人件費や技術費が含まれます。エンジニアの人日単価に作業日数をかけて計算します。

テスト費用

テスト費用は、開発中のソフトウェアが想定通りに動作するかチェックするのにかかる人件費です。パーツごとのテストや複数のパーツを結合させるテストなど、さまざまなテストが必要。高品質なソフトウェア開発に、テスト環境構築は必須である点を押さえておきましょう。

導入費

導入費は、完成したソフトウェアを公開するために準備が必要な費用です。担当者やユーザー向けの操作マニュアルを準備したり、クライアント向けに講習会を開催したりして、スムーズな公開をめざします。導入支援は、開発会社がサポートしてくれるのが一般的です。

付帯作業費

付帯作業費には、インフラや開発環境の構築、テスト環境の整備、セキュリティ管理などが含まれます。間接的に発生する費用のため見落としがちですが、ソフトウェア開発に必須の項目です。初期コストとして発生するほか、保守や運用でも発生する可能性があります。

購入費

購入費は、ソフトウェア開発に必要なハードウェアやミドルウェア、パッケージなどを導入するための費用。既存パッケージを流用するのであればソフトウェアだけで済みますが、別途ハードウェアの購入が必要となる場合もあります。また、Webサーバーやデータベース管理システムなどのミドルウェアの購入しなければならない可能性もあります。

保守・運用費

保守・運用費は、開発したソフトウェアのメンテナンスや改修にかかる費用です。長期的に安定してソフトウェアを利用してもらうには、保守や運用が重要。開発会社のなかには、オプションとして保守プランを複数用意するところもあります。

ソフトウェア開発費用の見積もりに差が出る要因

ソフトウェア開発費用の見積もりに差が出る要因

 同じ要望を伝えても、開発会社によって出される見積もり額は変わります。ここでは、見積もりの差異が生じる理由を解説します。

人件費

ソフトウェア開発会社によって、人件費は変わります。立地や会社規模など固定費の違いが反映されている場合があり、費用とクオリティが必ずしも一致しない可能性がある点を押さえておきましょう。

また、開発担当者のスキルやレベルによっても人件費は変動します。PL(プロジェクトリーダー)やPM(プロジェクトマネージャー)などマネジメントもできる担当者は、費用が高額になります。

工数

工数の違いも、見積もりに影響を与える要因です。開発費は人件費×工数で算出されるため、工数がかかるほど見積もりが高くなります。そのため、開発スピードや業務理解にかかる時間が短いほど費用が低くなる可能性があります。

依頼したい業務内容に近い開発経験のある会社はノウハウを持っているため、工数を削減して費用を抑えられるケースがあります。開発会社を探すときは、実績に注目して探すようにしましょう。

ソフトウェア開発費用の見積もりチェック項目

ソフトウェア開発費用の見積もりチェック項目

ここでは、ソフトウェア開発の見積もりの正確性を向上させるためにチェックすべき項目を解説します。

見積もり要件が反映されているか

まず、見積もり要件が具体的に反映されているか確認するために、次の5つの項目をチェックしましょう。

  • 依頼の範囲・範囲外
  • 使用技術
  • 機能要件
  • 検収要件
  • 開発期間・納期

ソフトウェア開発は、複数のタスクからなっています。タスクが1つずつ明確になっているかチェックしましょう。また、仕様通りに完成したかを判断するためには、検収が必須。見積もりの中に、ソフトウェアの検収方法や検収条件が入っているか確認します。

提案要望書を提出済みであれば、内容が反映されているか確認するのがおすすめです。

リスクへの対処が含まれているか

ソフトウェア開発中に想定されるリスクへの対処が含まれているかも、チェックが必要です。ソフトウェア開発では、修正やトラブル対応などが必要となります。リスクへの対処が重なると工数が増え、費用も発生します。あらかじめ修正費やトラブル対応費などが十分に含まれているか、確認しておきましょう。

管理工数が含まれているか

エンジニアを取りまとめる管理工数が含まれているかも確認しましょう。高品質なソフトウェアの開発には、エンジニアの進捗管理や品質管理が必要。工数管理ができていると精度の高いスケジューリングが期待できるので、ぜひともチェックしたい項目です。

調査・分析の工数が考慮されているか

ソフトウェア設計や開発だけでなく、調査や分析の工数も考慮されているか確認してください。要件定義を作成するには、事前調査や分析が重要。自社の課題解決につながるソフトウェア開発ができるかどうかにも関わるため、工数として計上されているかチェックが必要です。

責任の所在が明確か

見積もりの段階で責任の所在を明らかにしておくことも重要です。ソフトウェア開発では、何かしらのトラブルが発生します。トラブルが起きる前に、どこまでが開発会社の責任になるか明確にしておくと、トラブルが発生した際に事態の悪化を抑えられます。スムーズな開発のためにも、責任の範疇は明確にしておきましょう。

ソフトウェア開発費用の見積もりを依頼するときのポイント

ソフトウェア開発費用の見積もりを依頼するときのポイント

前提条件のすりあわせをする

ソフトウェア開発会社がどのような前提条件をもとに見積もりしているか、しっかりと確認しておきましょう。

エンジニアの頭の中にある、明文化されていない前提条件をもとに見積もりが提出される場合があります。前提条件の確認が不十分だと、開発会社との認識がずれてしまい、後々トラブルの原因になるかもしれません。前提条件を可視化してもらい、しっかりと把握することが重要です。

詳細な仕様について事前に話しあう

ソフトウェア開発を始める前に、使用するハードウェアやソフトウェアなど詳細な仕様について話しあう必要があります。開発会社との思い違いがあると、大きな問題になる可能性も。細かい部分かもしれませんが、できるだけトラブルのリスクを抑えるために確認しておきたい項目です。

複数の企業に相見積もりする

ソフトウェア開発会社に見積もりする場合、3社以上の企業に見積もりしましょう。複数の見積もりを依頼すると、費用相場や見積もりの妥当性を自社で判断できるようになります。安い見積もりがあっても、追加で工数や費用が発生するかどうかもわかるようになるので、低品質なソフトウェア開発を避けられるメリットもあります。

【まとめ】ソフトウェア開発費用の見積もり基礎知識を紹介しました

ソフトウェア開発見積もりの手法や内訳、見積もりの精度を高めるポイントを解説しました。高品質なソフトウェアを開発してもらうには、どのような作業工程が発生するか知っておくことが重要です。

見積もりの妥当性を判断するには、複数の開発会社に見積もりをするのがおすすめ。しかし、さまざまなソフトウェア開発会社の中から、自社にあった開発会社を探して見積もりを依頼するのは大変かもしれません。

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