- 更新日 2023.12.12
- カテゴリー システム開発
オープン系システム開発とは?特徴・活用される技術や汎用系・Web系との違いを解説【2024年最新版】
オープン系のシステムとは何か?システム開発を検討中の企業担当者の方であれば気になっているはず。聞いたことはあっても、実はよくわからないという方も多いでしょう。他にも、下記のような疑問を抱いてはいないでしょうか?
・オープン系システム開発にはどのような特徴がある?
・どのようなシステムを開発する時のもの?
・オープン系システム開発のメリットは?
本記事では、特徴や活用される技術、開発に向いているシステムなど、知っておきたいオープン系システム開発の基本を解説!比較されることの多い汎用系との違い、Web系との違いも紹介します。
システム開発全般の基本的な流れや工程、おすすめの開発会社についてはこちらにまとめました。あわせて参考にしてください。
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オープン系システム開発とは
「オープン系システム開発」とは、システム開発手法の一つ。
技術的な仕様・ソースコードが公開(オープンに)されているソフトウェア・ハードウェアを活用して構築するシステム開発のことです。
まずは、macOS / Windows PCなどの一般に入手しやすい機器を想像するとわかりやすいでしょう。それらのハードウェアに、仕様の公開されているOS・パッケージ・アプリケーションなどのソフトウェアを組み合わせて開発することが、オープン系システム開発です。目的・用途に応じて適切に組み合わせて開発されます。
オープン系で開発されるシステム
オープン系で開発されるシステムの多くは業務システムで、下のようなものが挙げられます。
・在庫管理・受発注管理・生産管理・倉庫管理・販売管理などの基幹系システム
・グループウェア・社内SNS・BIツールなどの情報系システム
これらのシステムは、既存のパッケージをベースにする場合もありますが、ゼロベースからスクラッチ(手組み)で開発される場合も。スクラッチとはいえども、近年の業務システム開発では、OSやミドルウェア、ハードウェアに「オープンな」製品を活用する場合が多いのです。
オープン系システム開発の3つの特徴
オープン系システム開発の特徴は以下の通りです。
・一般に入手しやすいソフトウェア・ハードウェアを活用して構築されている
・目的・用途に応じてさまざまな技術・製品を組み合わせ可能
・業務システム・アプリに最適なクライアントサーバシステム(分散型)の考え方が基本
こうした特徴を持つオープン系システム開発は、「柔軟性の高い業務システム」を開発する」ための手法として最適だといえるでしょう。
そもそもクライアントサーバシステムは、巨大で高価な従来型の業務システムを、オープン系の技術・考え方を活用してダウンサイジング(小型化・低価格化)したもの。オープン系で業務システムを開発すれば、低コストを実現できるのは当たり前なのです。
また、オープンソースを含むさまざまなソフトウェア、実現したいパフォーマンスに合わせて選べるハードウェアが豊富なこともオープン系の特徴。規模の大小、実現したい機能に応じたシステムを、柔軟に開発できるメリットが得られます。
システム開発にオープン系を採用するメリット
ITの浸透が人々の生活全てをよりよい方向に変化させるという概念、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向け、あらゆる企業が業務のシステム化を進めています。開発手法としてもっとも注目を集めているのがオープン系です。
ではなぜオープン系なのか?システム開発にオープン系を採用するメリットとは何か?汎用系・Web系と比較しながら簡単に解説していきましょう。
柔軟性の高い業務システムを低コストで開発できる
業務システム・アプリケーション開発における現在の主流は、オープン系システム開発です。これは、先述のように「柔軟性の高い業務システムを低コストで開発できる」ことがオープン系の特徴だからです。
今後、ハードウェアの高性能化・低価格化がさらに進めば、オープン系のアドバンテージがさらに大きなものになると予測されます。パブリッククラウドをはじめとしたWeb技術を応用すれば、さらなる開発コスト削減も期待できるでしょう。
一方、堅牢性・機密性・高速性などにアドバンテージがある汎用系は、まだまだ社会インフラを支える技術です。しかし、一般的な業務システムを開発するには初期投資が大き過ぎます。クリティカルな業務など、特殊な用途でなければ汎用系のコストパフォーマンスは決していいとはいえないのです。
対応できるシステム開発会社が多い
オープン系システム開発では、一般に入手しやすい技術・ハードウェアが活用されます。これは、数多くのシステム開発会社がオープン系に対応できることを意味します。対応できる会社が多ければ、開発する自社システムの目的・ゴール・用途に応じて、幅広い選択肢のなかから最適な一社を選べるでしょう。オープン系に対応する開発会社の多くは、Web系にも対応可能なこともポイントです。
一方の汎用系は、主要な開発言語である「COBOL」「FORTRAN」を扱えるエンジニアが不足する傾向にあります。先述したように、汎用系が新規システム開発に採用されることがほとんどないのは、コスト面だけでなく開発人材が不足していることも要因なのです。
※システム開発会社をお探しの方はシステム幹事にご相談ください。オープン系など、ご希望のシステム開発に対応した会社を厳選してご紹介します。
オープン系システム開発は3種類
クライアントサーバ型 |
スタンドアローン型 |
Webシステム型 |
|
向いている システム |
社内向け システム |
セキュリティを求める システム |
外部向け・社内向け システム |
特徴 |
LANなど、組織の ネットワークに つながっている |
外部のネットワークから 切り離されている |
インターネットを 通じてつながる |
メリット |
データの一元管理が楽 |
データの機密性が高い |
多様な端末で利用可能 |
一口でオープン系システム開発と言っても3つの形態に分かれ、どの形態を選ぶかは開発したいシステムによって異なります。それぞれ詳しく説明していきます。
オープン系の基本形「クライアントサーバシステム」
オープン系システムは、複数の機器類でデータ保管などの役割を分散して構成されることから、一つの機器内で機能が完結する「集中型システム」と分けて「分散型」と呼ばれることがあります。
オープン系システムの基本形ともいえる分散型システムが「クライアントサーバシステム」。業務システム・アプリケーションが多いことからもわかるように、オープン系システム開発の基本は「クライアントサーバシステム」だといえます。
クライアントサーバシステムとは、クライアントPCとサーバで役割・処理を分散させ、それぞれをネットワークに相互接続して構成するシステムのこと。安定した処理が期待できるので、オープン系同様、業務システムを作成する際に採用されることが多いです。
コンピューターの高性能化・低価格化・小型化に伴って普及が加速したクライアントサーバシステムは、オープン系システムとともに歴史を歩んでいます。
違いは、クライアントサーバシステムではネットワークが必須な点。オープン系ではインターネットのほかに、IP-VPNや社内LANなどのプライベートネットワーク・イントラネットを活用可能。ブラウザやインターネットなどのWeb技術が必ずしも必要ではない点で、オープン系の方に柔軟性があるといってよいでしょう。
1台のPCだけでシステムを開発する「スタンドアローン型」
オープン系システム開発では、すべてのデータ処理を1台のパソコン内で行うスタンドアローン型もあります。
外部とのネットワークから切り離されているため、機密性の高さが利点で、セキュリティが求められるシステム開発に向いています。
柔軟性の高い「Web系システム開発」
オープン系システム開発の3つ目の形態が「Web系システム開発」。
インターネットにPCなどを接続し、ブラウザやアプリで利用することを前提にWeb技術を活用したシステムを開発する手法をWeb系システム開発と呼びます。
クライアントマシン(PC・モバイルデバイスなど)とサーバをネットワークで相互接続するという意味では、Web系システムもクライアントサーバシステムです。一般に入手しやすいソフトウェア・ハードウェアを活用するという意味ではオープン系システムだともいえます。
つまりWeb系システムとは、インターネット、パブリッククラウド、ホスティングなどのWeb技術を活用するオープン系システム開発だといっても間違いではないでしょう。
Web系で開発されるシステム
Web技術に特化したオープン系システムともいえるWeb系は、Webサービス・アプリケーション開発に採用される場合がほとんどです。具体的には、ECサイト、マッチングサイト、ポータルサイト、予約サイト、SNS、モバイルアプリなど、BtoC、BtoB向けのWebサービス・アプリケーションが挙げられます。
Web系システム開発の特徴・技術
Web系システム開発の特徴は、オープン系と同様「柔軟性の高いシステムを低コストで開発できる」ことです。Web系では、「さらなる低コスト」も実現可能。これは、オープンな技術を組み合わせた上に、インフラ環境構築などの初期投資も抑えられるからです。
Web系の主要技術 |
具体例 |
サーバOS |
UNIX系、Linux系、Windows系など |
ミドルウェア |
Apache HTTP Server、WebLogicなど |
データベース |
SQL Server、MySQL、PostgreSQL、Oracleなど |
開発言語 |
Java、PHP、Ruby、Python、Objective-C、HTML、JavaScriptなど |
ハードウェア |
パブリッククラウド、ホスティングサービスなど |
Web系を構成する主要技術は上記の通り。
近年では、AWS(アマゾンウェブサービス)などのパブリッククラウドを活用した業務システム・アプリケーション開発も増えています。しかし、クライアントとサーバの接続をインターネットのみに依存することはほとんどありません。その意味では、Web技術を活用している業務システム・アプリはオープン系に分類されるといえるでしょう。
オープン系システム開発で活用される技術
オープン系システム開発では、プライベートネットワーク・イントラネット・インターネットなどの一般的なネットワーク技術が活用可能です。
オープン系で活用される技術には、他にはどのようなものがあるのでしょうか?ソフトウェア、開発言語(プログラミング言語)、ハードウェアに分け、それぞれ簡単に解説します。
オープン系で主に活用されるソフトウェア
オープン系では、あらかじめ用意したサーバ環境にアプリケーションを構築する場合が一般的。スクラッチでアプリケーション・システム開発する際でも、サーバ環境には既存のソフトウェアが活用されます。主な例は、下記の通りです。
ソフトウェアの種類 |
具体例 |
サーバOS |
UNIX系、Linux系、Windows系など |
ミドルウェア |
Apache HTTP Server、WebLogicなど |
データベース |
SQL Server、MySQL、PostgreSQL、Oracleなど |
開発コスト・期間を圧縮したいプロジェクトの場合、オープン系システム開発では既存のパッケージ・アプリケーションをベースにカスタマイズ(開発)するケースも少なくありません。
オープン系の主な開発言語(プログラミング言語)
目的・用途に応じて多種多様なサーバ環境を選択できるオープン系では、システム開発に活用されるプログラミング言語も多種多様。たとえば、汎用性の高い「C++」のほか、Windowsでよく使われる「C#」「VB.NET」、Linuxで多用される「PHP」「Python」、OSを問わずに活用される「Java」などが挙げられます。
オープン系の主な開発言語 |
Java、C#、C++、VB.NET、PHP、Ruby、Pythonなど |
関連記事:システム開発の主要言語を解説!業務アプリケーションによく使われている言語は?
オープン系で主に活用されるハードウェア
オープン系では、サーバ・ネットワークを含むインフラ環境、相互接続されるクライアントPCなどのハードウェアを活用してシステムを構築する場合が一般的です。
クライアントマシンとしてはmacOS / Windows搭載PCを主に活用。インフラ環境を構築するためのサーバマシン、ルーター・スイッチを含むネットワーク機器も、一般に入手しやすいハードウェアが活用されます。
汎用系システム開発とは
オープン系システムと比較されることが多いシステムに「汎用系システム」があります。
汎用系システム開発とは、上の画像のようにメインフレームとも呼ばれる高性能コンピューター(大型汎用機)を活用したシステム開発の手法です。
サーバの役割を果たすメインフレームにクライアントを接続する、という意味ではオープン系と変わらないように思えます。しかし、システム処理のほとんどをメインフレームに依存することが大きな違い。必然的に、個々のメインフレームに特化した「クローズドな」開発が必要です。
なぜ「幅広い用途・分野に用いられる」という汎用の意味からかけ離れた「クローズドな開発」が必要なのか?汎用機の登場以前は、計算処理の種類に応じた「専用機」が必要だったからです。これを高性能なメインフレーム(汎用機)1台で置き換えられるようになったことから「汎用系システム開発」と呼ばれるようになったのです。
汎用系で開発されるシステムとは?
汎用系で開発されるシステムのほとんどは、金融・物流・製造・官公庁などの基幹系システム。具体的には、以下のようなものです。
・銀行・証券・保険業界などの勘定系システム
・物流業界の流通管理システム
・官公庁の国税・保険関連システム
こうしたシステムに共通しているのは、堅牢性・機密性の確保が必須なうえ、大量のデータを高速に処理する必要のある業務がほとんどだということです。
汎用系システム開発の特徴・技術
汎用系システムの特徴である堅牢性・機密性・高速性は、高性能汎用機(メインフレーム)の活用により実現されています。また、開発基盤(OS)を含めたシステムのフルスクラッチ開発といった開発技術が汎用系の特徴。汎用系の主要技術は以下の通りです。
汎用系の主要技術 |
具体例 |
開発言語 |
COBOL、FORTRAN、PL/SQL、Java、Cなど |
ハードウェア |
IBM、NECなどの汎用機 (メインフレーム、ホストコンピューター) |
高性能汎用機の導入には高額なコストが必要です。その上、OSも含めたフルスクラッチ開発が必須の汎用系システム開発は、膨大な開発コスト・期間がかかるのも事実。運用保守を通じた既存汎用系システムの継続利用はあっても、新規システム開発はほとんど行われていません。
関連記事:システム運用とは?開発との関係・保守との違い・重要性・作業内容を解説!
オープン系開発と汎用系システム開発の違い
オープン系 |
汎用系 |
Web系 |
|
ハードウェア |
入手しやすいサーバ・ネットワーク クライアント機器など |
高性能汎用機 (メインフレーム、ホストコンピューター) |
一般に入手しやすいクライアントマシン、 パブリッククラウド、 ホスティングなど |
ネットワーク共有 |
インターネット、 イントラネット、 プライベートネットワーク |
インターネット、 イントラネット、 プライベートネットワーク |
インターネット |
向いている開発 |
業務システム アプリケーション |
金融・物流・製造・官公庁など基幹システム |
Webサービス アプリケーション |
開発コスト |
高価 |
非常に高価 |
比較的安価 |
開発期間 |
長い |
非常に長い |
比較的短い |
汎用系システムは、クローズドな開発によるセキュリティ性の高さが特徴。安定した稼働が可能ですが、費用は高めです。
一方でオープン系システムは、インターネット接続による開発なので、汎用系システムに比べるとセキュリティ性が低いです。
そもそもオープン系開発と汎用系開発は、稼働する目的が違います。
汎用系システムはひとつの機器で開発が完結するもの。一方でオープン系システムはさまざまな小型コンピューターで使用することを想定されているのです。
関連記事:システム開発の種類|オープン系・Web系・汎用系の特徴やアプリ開発との関係を解説【2023年最新版】
システム開発で最適な開発会社を選ぶポイント
システム開発で最適な開発会社を選ぶポイントは、プロジェクトの目的に応じて手法を決めること。
そして、次のポイントも合わせて確認することで、より自社の要件に合う最適な開発会社を選定できます。
- 費用対効果
- システム開発会社の得意分野と開発実績の確認
各ポイントに沿って詳しく解説します。
費用対効果
システム開発会社を選ぶ際は、費用対効果が高い会社なのかを確認しましょう。
費用対効果が高い会社を選定すれば、最小のコストで高品質なシステムが開発できるため、効率よく利益を得られる可能性が高くなります。
システム開発会社の得意分野・開発実績を確認する
システム開発会社を選ぶ際は、その会社の得意分野や開発実績の確認が重要です。
過去に似たプロジェクトの成功実績がある場合、開発したいシステムの実現性を具体的に評価でき、成功への道が開けます。
また各開発会社の得意分野は異なるため、自社の要件に適合するかも確認しましょう。
【重要】1社だけでなく複数社に見積もりを出すこと
システム開発会社を選ぶ際、特に注意する点は、1社に絞って見積もりを出さないことです。
1社に絞ってしまうと、思いがけないトラブルに発展してしまった場合もリカバリがきかず、システム開発が失敗に終わってしまうこともあります。
開発会社へ見積もりを出すときは、複数社に出すようにしましょう。
関連記事:システム開発の見積もりの内訳や見積書の見方をプロが解説|サンプル・注意点も紹介【2023年最新版】
オープン系システム開発まとめ
本記事では、オープン系システム開発の概要・特徴・技術・開発に向いているシステムを解説するとともに、比較されることの多い汎用系・Web系システム開発との違いも紹介しました。
発注側である担当者が、専門的なことまでを知る必要はないかもしれません。しかし、開発会社と円滑なコミュニケーションをとるためにも、おおまかな概要を把握しておくことは無駄ではありません。どのようなシステムをどのような開発手法でつくりたいかをイメージし、理想のシステムを構築しましょう。
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コンサルタントのご紹介
岩田
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Q. オープン系システム開発とは何ですか?
オープン系システム開発とは、仕様が公開されているOS・パッケージ・アプリケーションなどを組み合わせて開発する手法を指します。開発規模の大小に応じて、実現したい機能に適したシステムを柔軟に開発できるのが特徴です。
Q. オープン系システム開発のメリットは?
オープン系システム開発のメリットは「サービス開発やコンテンツ制作、コーポレートサイト制作など幅広く対応」「自社で運用するLIGブログのノウハウを活用できる」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人
![梓澤 昌敏](https://cdn.system-kanji.com/files/author/ydQbuwuP1LTdYQ9iuz66qSFH7bZlp1f1e9cl3Tc8.jpg)
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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