- 更新日 2024.10.17
ICT(情報通信技術)とは|IT / IoTとの関係やICTの活用例を紹介
ICTとは?いつの頃からか耳にするようになった用語だが、ITとは違うのか?似たような文脈で使われることの多い、ICT / ITという用語に混乱している方は少なくないはず。そんな方に向け、IT / IoTとの関係や具体的な活用例の紹介を通じ、ICTとはなにかを解説していきます。
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ICTとは情報通信技術のこと
ICTとは、情報通信技術という日本語を意味する「Information and Communication Technology」のこと。文字通り、デジタル技術および、インターネットを含む通信技術を活用し、人と人のコミュニケーションや情報共有を促進する技術をICTといいます。
ICTの身近な例
ただし、ICTは新しい技術であるとは限りません。普段、私たちが何気なく利用している身近なものにもICTは活用されています。たとえば、インターネット検索やSNS、パンデミックで一気に利用の広まったWeb会議システムなどは身近なICTの活用例です。
Web会議システムの活用がICTであることからもお分かりのように、ビジネスの現場にもICTは浸透しています。チャットツールやグループウェアを使ったコミュニケーション、SFAを使った営業活動の報告・情報共有などは、まさに何気なく利用しているICTの好例でしょう。
ICTとITの関係 / 違い
一方、ICT以前に定着していた用語「IT」とは、情報技術という日本語を意味する「Information Technology」のことです。PCやOS / アプリなどのハードウェア / ソフトウェアはもちろん、それを利用するためのネットワーク、セキュリティを含む技術の総称がIT。ITという用語が日本に定着したのは「IT基本法」の施行がキッカケだといわれています。
ここまでの解説では、ICTとITの違いはなにか?ピンとこない方が多いかもしれません。実際、ICTとITに明確な定義は存在せず、組織や人によってそれぞれの意味や捉え方も若干異なります。一般的に、Communicationを含むICTは、技術そのものを意味するITよりも、技術の利活用や活用方法を重視する用語と認識されているようです。
ただし、上述したIT基本法でも「情報技術を利用して国民がネットワーク通信の利便性を享受」することを目的としており、ICTとITの間に大きな違いはありません。世界的には情報技術自体を「ICT」と表現する場合が多いため、ITを内包する用語として「政府を中心にICTを意識的に使う」傾向が強まっているのだと考えられます。
ICTとIoTの関係 / 違い
ICTと関連の深い用語「IoT」についても補足しておきましょう。IoTとは、モノのインターネットという日本語を意味する「Internet of Things」のこと。家電や自動車など、あらゆる「モノ」がインターネットに接続され、収集されたデータをもとにモノを相互制御する技術、または概念を意味します
たとえば、遠隔から操作するエアコンなどに代表されるスマート家電は、IoTを活用した身近な事例。完全な自動運転社会を実現するために欠かせない技術でもあり、人とモノ、およびモノ同士をつなげたデジタル社会実現に向けた概念でもあります。
デジタルデータを活用してモノを相互制御するIoTの概念は、デジタルデータを活用して人と人をつなぐICTの技術があってこそ成り立ちます。つまりICT / IoTは、どちらも「情報社会から一歩進んだ、デジタル社会実現に不可欠な技術」なのだといえるでしょう。
さまざまな分野で活用されるICTの事例
ここまでの解説でお分かりのように、ICTは私たちの暮らし / 社会全体で活用される技術です。そのため、さまざまな分野でICT活用に向けた取り組みが進められています。以下から、主な分野のICT活用事例をいくつか紹介していきましょう。
教育分野のICT活用例
これまでも取り組みがなされていなかったわけではないものの、パンデミックを機に急速なICT利活用が進展した分野は教育現場です。たとえば、文部科学省の調査によると、2020年の教育用コンピューター1台あたりの児童数は4.9人でしたが、2021年には1.4人にまで改善されています。
画像出典:文部科学省
アナログ主体だった教育をデジタルに置き換えただけという見方もできますが、そうではありません。教育分野でのICT活用は、教員と生徒の双方向 / 全員参加型授業を実現し、個別の生徒ごとに適した学習を可能にします。
つまり、教育分野でのICT活用は、これまでの学習プロセス変革を促し、教員・生徒双方にとってよりよい環境を構築するのに役立ちます。
医療 / 介護分野のICT活用例
PCやモバイルデバイスを活用した遠隔医療など、医療分野でのICT活用が進められていることはご存知の方も多いはず。それを一歩進め、医療 / 介護 / 健康分野で共有できるICT基盤整備に向けた総務省の取り組みが「PHRデータ利活用の推進」です。
PHR(Personal Health Record)とは、ICTを活用して患者自身の健康状態を記録したデータのこと。生涯型電子カルテと呼ばれる場合もあります。
画像出典:総務省
たとえば、PHRデータ流通基盤が整備されれば、生涯の医療情報を医療機関で共有する仕組み「EHR」と連携し、よりきめ細やかな医療サービスを受けられます。介護の現場でも同様であり、慢性化する人手不足という課題を軽減する生産性向上が見込めるでしょう。
建設分野のICT活用例
建設分野では、生産性を向上させ、現場の魅力を高めるため、国土交通省が主体となり「iConstruction」というICT活用への取り組みを進めています。iConstructionの目的は、現場スタッフ個々の生産性を高めることで企業の経営環境を改善し、賃金の向上 / 安全の確保へつなげていくこと。そのためには、全面的なICT活用が必須というわけです。
たとえば、建設分野でのICT活用例として挙げられるのは、ドローンなどを利用した測量の効率化など。今後は、建設ロボット技術の応用、施工の自動化・遠隔化なども進められていく予定です。
参考:国土交通省
農業分野のICT活用例
農業の分野でも、ICTを活用した作業の省力化、生産物の高品質化、生産量の拡大を目指す「スマート農業」への取り組みが進んでいます。ロボットトラクタによる作業自動化、センサーと連動した水質管理など、ロボット技術 / AI / IoTを含めたICT活用であることがスマート農業の特徴です。
画像出典:農林水産省
日本農業ならではの課題である人手不足を解消するためにも、スマート農業への取り組みは必須です。農業分野へのICT活用は、結果的に農産物の生産プロセスを変革させるものなのです。
ビジネスにもICTは浸透している
Web会議システムやチャットツール、SFAなどの例を挙げるまでもなく、ビジネス分野にもICTは浸透しています。ただし、ビジネス分野におけるICT活用は、どちらかというと「これまでアナログが主体だった業務をデジタルに置き換える」側面が大きかったといえるでしょう。
しかし、リモートワークが一般化するにしたがって、サテライトオフィス設置による地方の優秀人材獲得など、ビジネスにもこれまでとは異なる動きが見られています。たとえば、大手町から淡路島へ本社機能を移転したパソナ。地方創生とセットで語られることの多いパソナ移転ですが「本社は東京である必要はない」のが事実ではないでしょうか?
ビジネス分野でのこうした動きは、業務プロセスの変革を意味します。これは教育分野における学習プロセスの変革、農業分野における生産プロセスの変革と同様、まさにDXです。
DXを実現するためにもICT活用は必須
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術が社会に浸透していく過程で生じる変革のこと。ここでいう変革とは、テクノロジーによってさまざまな仕組み / プロセスを変革させ、人々の暮らしをよりよく変えていくことです。もちろん、ビジネスにもこれは当てはまります。
DX時代のビジネスで生き残るには、業務プロセスを変革し、新たな価値を提供しなければなりません。事例を見てもわかるように、DX時代に対応するにはIT化 / ICTの活用こそがポイント。その先に待っているのがDXなのです。
【まとめ】ICT(情報通信技術)とはなにか紹介しました
ICTとは?いつの頃からか耳にするようになった用語だが、ITとは違うのか?似たような文脈で使われることの多い、ICT / ITという用語に混乱している。そんな方に向け、IT / IoTとの関係や具体的な活用例の紹介を通じ、ICTとはなにかを解説してきました。
ICTは、ビジネス分野に限らない幅広い言葉ですが、本文でも触れたように、重要なのは「どのように活用するのか」です。一足飛びにDXを実現することは困難でも、ICTの活用を積み重ねることで業務プロセスを変革させることは可能。ビジネスを展開するすべての事業者は、ICT活用に取り組むべきなのです。
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この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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