- 更新日 2023.10.25
- カテゴリー 業務システム
電子帳票システムとは?法改正で注目される導入メリット・機能を解説【2024年最新版】
・電子帳票システムとは?なぜ注目されている?
・電子帳票システムを導入するメリットは?
・どんな機能がある?おすすめの電子帳票システムは?
帳票とは、企業が経済活動を展開するなかで作成される、請求書や納品書などの帳簿・伝票類を総称したもの。古くから提唱されながら、なかなかペーパーレスが進まなかった分野でもありますが、近年電子帳票システムによる帳票電子化への関心が急速に高まっています。それはなぜか。
そこで本記事では、電子帳票システムとはなにか、なぜ注目されているのか、きっかけとなった法改正の概要を解説。知っておきたい電子帳票システムのメリット・機能も徹底解説します!
おすすめの電子帳票システムも紹介していきます。
※自社に合う電子帳票システムの選び方がわからない、選ぶ時間がない、おすすめのツールを選んでほしい方はシステム幹事にお問い合わせください。予算や目的などをヒアリングした上で、御社に最適な電子帳票システムを選定します。相談料・紹介料はいっさいかかりません。
電子帳票システムとは
画像引用:日立電子帳票システム
電子帳票システムとは、請求書や納品書などの帳票を電子データとして作成・管理・出力・配布可能なITツールのこと。企業の経済活動に欠かせない帳票に関連する業務を合理化・効率化し、ペーパーレス化も促進できます。
基幹システムの一部機能として、業務ごとに必要な帳票を作成・管理できる場合もあります。ただ近年注目されているのは、組織全体の帳票電子化を促し、一元的に管理していく電子帳票システムです。クラウドに構築されたアプリをインターネット経由で利用するSaaS型が普及したことにより、中小企業でも電子帳票システムの導入が加速しています。
電子帳票システムの機能
電子帳票システムを導入することでなにができるか。市場には多種多様な電子帳票システムが存在するため、サービスによって異なりますが、どのサービスにも基本的に備わっている主な機能を紹介しておきましょう。
帳票作成機能
請求書や納品書などの帳票レイアウト作成機能、および業務システムなどと連携してデータを反映させた取引先向け帳票を自動作成できる機能。PDF / HTML / Excelフォーマットなどの出力に対応する電子帳票システムが多く、従業員間で帳票レイアウトを共有できたり、そのまま取引先に送付することも可能です。
データ入出力はCSVファイルのインポート・エクスポートで対応するほか、業務システムとAPI連携可能なシステムもあります。
帳票管理機能
作成した帳票にタグ付けするなど、システム内で検索によって目当ての帳票をすぐ探せるように管理・保存できる機能です。顧客ごと帳票の種類ごとにまとめて保存できます。書類ごと、フォルダごとに権限を付与するなど、セキュリティ機能を強化したシステムも多く、電子帳簿保存法にフル対応する電子帳票システムもあります。
帳票出力・配信機能
作成・保存された帳票を出力・配信する機能です。対象となる帳票をローカルPCにダウンロードしたり、プリント出力もできます。メール配信(ダウンロードURL / ファイル添付)、FAX送信なども可能です。FAX送信はFAX機が自社内になくても、システム上で取引先に送れます。
紙の帳票のみ受け付けるという取引先に向け、帳票の郵送代行サービスを提供している電子帳票システムもあります。
スキャン機能
取引先から受け取った紙の帳票、過去に作成・保存した紙の帳票をスキャンし、電子データとして保存する機能を持つ電子帳票システムもあります。AIを活用したスキャンデータの自動分類・仕分機能を持つシステムもあります。タイムスタンプ付与を含め、電子帳簿保存法にフル対応する電子帳票システムも少なくありません。
帳票の保存義務と電子帳簿保存法の改正
個人事業主や企業経営者の方であればご存知のように、そもそも帳票には電子帳簿保存法によって保存義務があり、帳票の種類ごとに一定期間「紙で保存」することが原則とされてきました。
これは税務署が国税関係の調査をする際に、証憑としての帳票提出を求められるようにしておくためです。しかし、帳票の保存にかかるコストや事務作業は、企業にとって大きな負担であったことも事実。
これを解決するため、1998年に施行されたのが「電子帳簿保存法」です。電子帳簿保存法の施行によって、電子データで作成した帳票類を「電子データ保存」すること、取引先から受け取った紙の帳票を電子化する「スキャナ保存」することが法的に認められたのです。
ただし、電子帳簿保存法と相性のいい電子帳票システムの導入や、ペーパーレス化が進んだのかといえば、そうではありませんでした。なぜなら電子帳簿保存法には、電子データ保存・スキャナ保存するために、クリアすべき要件が細かく規定されていたからです。
改正電子帳簿保存法のポイント
帳票電子化が遅々として進まない状況を踏まえ、現状を打破するターニングポイントとして2022年1月に施行されたのが「改正電子帳簿保存法」です。要点を簡単に解説しておきましょう。
事前承認制度の廃止
これまでの電子帳簿保存法では、帳票類の電子データ保存・スキャン保存を導入する3か月前までに、税務署へ申請・承認を得る必要がありましたが、法改正によって事前承認制度は廃止されました。これで国税関係帳票・書類の電子化に備えた手続きの必要がなくなり、タイミングを気にせずいつでも帳票電子化をスタートできる状況が整ったのです。
タイムスタンプ・検索要件の緩和
事前承認制度とともに電子帳簿保存法のハードルとなっていたのが「細かな要件のクリア」ですが、これも法改正によって緩和されました。具体的には、最低以下の3点を満たせば電子データ保存・スキャン保存が認められます。
・システム関係書類(仕様書やマニュアル)を備え付ける
・保存場所にディスプレイやプリンターを備え付け、視認・出力できる
・税務職員の求めに応じて電子データをダウンロードできる
また、電子データの検索要件が「日付」「取引金額」「取引先」のみに緩和されたほか、スキャナ保存で必須とされていたタイムスタンプ要件も緩和。変更履歴が残る、変更・削除できない電子帳票システムであれば、タイムスタンプの付与も必要なくなりました。
関連記事:タイムスタンプとは?役割・仕組み・利用目的・対象となる書類・利用方法を解説!
適正事務処理要件の廃止
スキャナ保存に関しては、不正防止の観点から必要とされていた「社内規程の整備」「相互牽制」「定期的な検査」「検査が完了するまで原本保存が必須」などの適正事務処理要件も廃止。これによって、スキャン後の原本保存が必要なくなり、スキャン作業も1名のみで対処できるようになります。電子データの事務処理にかかる労力軽減を実現できることとなったのです。
注意!電子取引では電子帳票で保存しなければならない
改正電子帳簿保存法の注意点として挙げられる注意点は、インターネット取引を始めとした電子取引の取り扱いです。
従来、インターネット取引で電子的に受け取った帳票類は、プリントアウトして紙で保存している企業が少なくありませんでした。しかし法改正後は、電子データで受け取った帳票は電子データのまま保存しなければなりません。
帳票電子化を加速させる狙いがあるのかもしれません。いずれにせよ、法令を遵守する立場の組織としては、電子帳票作成・管理のハードルが下がった反面、別の意味で対応を強化する必要性に迫られたことも事実。結果的に電子帳票システムへの注目が高まっているのです。
※電子調達システムの機能など理解できたが、自社に合う電子帳票システムの選び方がわからない、選ぶ時間がない、おすすめのツールを選んでほしい方はシステム幹事にお問い合わせください。予算や目的などをヒアリングした上で、御社に最適な電子帳票システムを選定します。相談料・紹介料はいっさいかかりません。
ニーズの高まる電子帳票システムの導入メリット
それでは、法改正によってニーズが高まりつつある電子帳票システムは、導入によってどのようなメリットが得られるのか。導入を検討している方のために、具体的なメリットを幾つか紹介しておきましょう。
業務効率化・標準化
帳票を作成するために、都度Excelテンプレートに数値を入力していたような企業であれば、電子帳票システム導入によって大幅な業務効率化が可能です。作成した帳票の送信を半自動化できる、目的の帳票をすぐに検索できる機能が、日々膨大な帳票を扱う企業ほど得られるメリットも大きくなるでしょう。
また、システム化によって帳票に関連する業務を標準化できることも電子帳票システム導入のメリット。担当者が退職したために帳票レイアウトの修正ができない、新たな帳票レイアウトを作れないなどの業務の属人化も避けられます。
コスト削減が期待できる
業務効率化による生産性向上というコスト削減効果のほか、印刷・郵送・保管という紙の帳票で必要な実質コスト削減も期待できます。
印刷・郵送にかかるコストは、取引先との関係もあるため実質ゼロにはできませんが、帳票電子化の流れが加速する現代ではいずれ解決できる課題です。それよりも、意外に場所をとる帳票保管スペースを節約できるのは大きなメリット。保管のための管理者を社内に置く必要もなくなります。
電子帳票システムにデメリットはある?
初期コスト・ランニングコストが必要という点はデメリットかもしれません。しかし長い目で見れば、メリット面で紹介したコスト削減効果がデメリットを上回るのは間違いありません。コスト削減に加え、業務効率化や業務の標準化も進められるため、電子帳票システム導入にデメリットはないといってもいいでしょう。
運用が定着するまで時間がかかる場合も
ただし、帳票の作成や管理業務自体は比較的属人化しやすい業務であることも事実。業務標準化するにあたって従業員の教育が必要になる、電子帳票システムの運用・定着に時間がかかるなどの可能性があります。
帳票の作成・管理手順を徹底する、マニュアルを整備する、教育も含めた管理担当者を選任するなど、システムの運用・定着を促す仕組みづくり・体制づくりがポイントになります。
電子帳票システムの選定ポイント
改正電子帳簿保存法の施行を受け、メリットの大きい電子帳票システムの導入を検討している企業担当の方が増えています。しかし冒頭でも紹介したように、市場には多種多様な電子帳票システムが存在するため、どのサービスを選べばいいのか迷ってしまう場合も少なくありません。
そこで、自社に最適な電子帳票システムを選定する際のポイントを紹介していきます。
大前提!電子帳票システム導入の目的を明確にする
帳票には作成する、メール・FAXなどで配信する、保管・管理するというライフサイクルがあり、電子帳票システムによってそれぞれ得意分野が異なるからです。もちろん、一気通貫で対応可能な電子帳票システムも少なくありません。
しかし、さまざまなレイアウトの帳票を作りたいがうまくいかないなどの事態にならないよう、重要視しておくポイントを明確にしておくことが肝心です。帳票作成を自動化したい、帳票保管を楽にしたいなど、自社でとくにネックになっている課題を洗い出しましょう。
電子帳票のフォーマット・外部連携
電子帳票システムが対応するファイルフォーマット、どのような外部システムと連携できるのかもチェックしておくべき重要なポイント。
「CSV」「Excel」「PDF」に対応する電子帳票システムが多いため、対応ファイルフォーマットが問題になることは多くありません。しかし、念のためにチェックしておくことが重要。請求書・納品書などの作成・配信・保管・管理を半自動化したいなら、会計ソフトとAPI連携できるシステムが望ましいでしょう。
おすすめの電子帳票システム
それでは最後に、どのシステム・サービスを導入すべきか迷っている方に向け、おすすめの電子帳票システムをいくつか紹介していきます。
楽楽明細
画像引用:楽楽明細
「楽楽明細」は、東京都渋谷区に本社を構えるクラウドベンダー、株式会社ラクスが開発・提供するSaaS型電子帳票システムです。データ取り込み・帳票作成から、配信・管理にいたるまで、特別な知識がなくても簡単に処理できることから、導入企業3,000社以上という人気を誇る電子帳票システム。改正電子帳票保存法にも対応済みです。
請求書・支払明細・納品書・領収書などの帳票に標準で対応し、現在利用している帳票レイアウトを簡単に再現できるなど、デザインの自由度が高いのも魅力。会計システムなどからCSVをアップロードして帳票原本を保管すると同時に、取引先などへ複数の方法で配信可能です。
帳票と同時にCSVも配信できるため、相手側の事務処理を軽減させるなどの配慮も可能。特殊な帳票の発行にもカスタマイズで対応できます。
初期費用 |
11,000円〜 (帳票デザインのカスタマイズが必要な場合は 別途費用が必要) |
月額料金 |
26,400円〜 |
主な機能 |
CSV明細情報送付、個別ファイル送信、 一括同封機能、帳票レイアウト作成、承認フロー、 顧客からのファイル返送対応、毒ドメイン運用対応、 改正電子帳簿保存法対応など |
無料プラン / トライアル |
無料デモが可能 |
おすすめの企業 |
システムの利用が苦手な社員が多い |
e-imageシリーズ
画像引用:e-image
「e-imageシリーズ」は、東京都中野区に本社を構えるパッケージシステムベンダー、三菱電機ITソリューションズ株式会社が開発・提供するパッケージ型電子帳票システムです。帳票の仕分・保存・出力・検索・閲覧機能を持つ「e-image」、仕分・出力機能を持つ「e-PrintJunction」、両者の機能を統合した「e-image +plus」をラインナップ。1,600社を超える企業から導入される実績を誇ります。
印刷データ、またはCSV / TXTデータとして取り込まれた帳票は、日付・得意先・担当者別などでの仕分・保存から、ビューワでの閲覧・印刷・CD化・メール配信までを自動化可能。オーバーレイ機能で控え・写しを持った帳票レイアウトを作成することも簡単です。もちろん、電子帳簿保存法にも完全対応。サポート体制も万全です。
初期費用 |
要問い合わせ |
月額料金 |
- |
主な機能 |
スプールデータ/CSV/ TXTインポート、 帳票作成・オーバーレイ機能、 自動分類定義、閲覧・検索、タイムスタンプ、 メール一括送信、データ二次利用、出力機能など |
無料プラン / トライアル |
× |
おすすめの企業 |
たくさんの帳票を抱えている BCP対策をしたい |
SVF
画像引用:SVF
「SVF」は、東京都港区に本社を構えるパッケージシステムベンダー、ウイングアーク1st株式会社が開発・提供する総合帳票基盤です。大手企業や公共機関を中心に、累計28,000社以上から導入される実績を持っており、請求書・納品書・発送伝票などの商取引帳票はもちろん、各種証明書などの公的機関の帳票の設計〜出力をオールインワンで実現可能。ニーズに合わせた最適なソリューションを構築できます。
用意されたラインナップは豊富。帳票の作成・データ化に特化したパッケージ型の「SVF」、SaaS型の「SVF Cloud」をメインに、業務システムとも連携できる帳票生成インターフェース「SVF Connect SUITE」に、出力モジュール「SVF Print SUITE」「RDE SUITE」などを自由に組み合わせ可能。基幹システムと統合したスマートな環境を構築したい企業に最適です。
初期費用 |
要問い合わせ |
月額料金 |
要問い合わせ |
主な機能 |
帳票設計、フォーム設計、 データインポートによる帳票生成、 帳票出力、IMB / Salesforce連携など (ツールによって異なる) |
無料プラン / トライアル |
× |
おすすめの企業 |
グローバル展開している企業 |
電子帳票システムとは まとめ
電子帳票システムとはなにか?なぜ注目されているのか?知りたい方に向け、本記事では、電子帳票システムが注目されるきっかけとなった法改正の概要を解説するとともに、知っておきたい電子帳票システムの概要・メリット・機能を解説するとともに、おすすめの電子帳票システムも紹介してきました。
数ある業務システムのなかでも、やや後回しにされがちな感のあった電子帳票システム。しかし、だからこそシステム化・合理化による業務効率・生産性向上が見込まれることも事実です。改正電子帳簿保存法によって、紙の帳票保存自体も難しくなります。
この機会に、電子帳票システムの導入を真剣に検討してみてはいかがでしょうか。
コンサルタントのご紹介
岩田
専任のコンサルタントが、
お客様の予算と目的を丁寧にヒアリング。
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※自社に合う電子帳票システムの選び方がわからない、選ぶ時間がない、おすすめのツールを選んでほしい方はシステム幹事にお問い合わせください。予算や目的などをヒアリングした上で、御社に最適な電子帳票システムを選定します。相談料・紹介料はいっさいかかりません。
Q. 電子帳票システムとは何ですか?
電子帳票システムとは、請求書や納品書などの帳票を電子データとして作成できるITツールのことです。企業の経済活動に欠かせない帳票に関連する業務を合理化・効率化し、ペーパーレス化も促進できます。
Q. 電子帳票システムのメリットは?
電子帳票システムのメリットは「業務効率化・標準化が図れる」「コスト削減が期待できる」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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