- 更新日 2023.10.25
- カテゴリー ECサイト開発
ECサイトにチャットボットを導入するメリット|活用方法や導入のポイントを解説【2024年最新版】
「最近競合のサイトにチャットボットが設置されているのを目にすることが多くなった」
と気になるECサイトのオーナー・担当者の方であれば、以下のようなことを知りたいはず。
・そもそもチャットボットとは?
・ECサイトでチャットボットを活用する方法は?
・ECサイトにはどんなチャットボットが向いている?
そこで本記事では、ECサイトにチャットボットを導入することでどんなメリットが得られるのか?チャットボットの種類・仕組みや、ECサイトでの活用方法、導入のポイントを含めて徹底解説!注目しておきたいECサイトへのチャットボット導入事例も紹介していきます。
※自社に合うチャットボットの選び方がわからない、チャットボット開発を依頼できる開発会社を探している方はシステム幹事にご相談ください。予算や目的などをヒアリングした上で、御社に最適なツールや開発会社を選定します。相談料・紹介料はいっさいかかりません。
チャットボットとは
画像引用:SYNALIO
チャットボット(Chatbot)とは、テキストや音声でユーザーと自動会話するプログラムのこと。「Chat(おしゃべりする)」と、Robotの略称である「bot」を組み合わせた造語であり、英語圏では「Chatterbot」と呼ばれることもあります。LINE / Facebookなどに実装されるほか、Siri / Cortanaなどのように音声会話できるチャットボットもあります。ECサイトに実装されるのは「ポップアップで質問を受け付けるチャットボット」が大多数です。
種類・仕組み
チャットボットは、テキストや音声の入出力を受け持つ「アプリケーション」と、質問を解釈して返答する「Botシステム」の組み合わせで成り立っています。アプリで受け付けた質問はAPI経由でシステムに送られ、データベースを参照しながら「ロジック」で解釈・生成された回答が、再びAPI経由でアプリに戻される仕組みです。
どのようなチャットボットでも仕組みはほぼ同じです。ただし、Botシステム内の「音声 / 言語解析」「ロジック」に何を用いるかによって、チャットボットは大きく「シナリオ型」「AI型」の2種類に分類できます。
シナリオ型チャットボット
シナリオ型チャットボットとは、「チャットボットが選択肢を複数提示」>「ユーザーが選択」>「選択した内容に応じてさらに選択肢を提示」という流れを繰り返し、最終的な回答を導くタイプのチャットボットのこと。あらかじめ、回答へ導くシナリオ・ルールを用意しておく必要があるため、ルールベース型、人工無能型と呼ばれることもあります。
質問内容を整理して回答したり、よくある汎用的な質問に有効である反面、選択肢のない質問には回答できません。
AI型チャットボット
AI型チャットボットとは、言語解析・ロジックにAI(人工知能)を利用し、より人間に近い自然な会話を可能にしたチャットボットのこと。シナリオ型では対応できない領域にも利用でき、機械学習によって回答の精度を高めていけることも特徴です。
人工知能型、機械学習型と呼ばれることもありますが、AIチャットボットの精度はエンジンであるAIモデルの精度に大きく左右されます。
ツールを導入するか?独自開発するか?
大きく2種類があるチャットボットは、ECサイトへ導入する方法も大きく2つ。SaaS型に代表される既存のチャットボットツールを導入するか、自社独自のチャットボットを開発するかです。
近年では、IBM Watsonに代表されるSaaS型コグニティブツールがいくつか登場しているため、ゼロからAIモデルを開発する必要はありませんが、独自チャットボット開発には大きなコストがかかります。顧客ごとに個別の対応が必要といった場合を除けば、既存ツールの検討からはじめることがおすすめです。
文章認識AIエンジンを活用したAI型チャットボットサービスも少なくないため、ECサイトの運営にぴったりのツールが見つかるはずです。なかには、ECサイトを含めた複数の販売チャネルに対応するAI型チャットボットもあり、現代で不可欠になりつつあるオムニチャネル対策も推進できます。
ECサイトでのチャットボット活用方法
「チャットボットの概要は理解できたが、ECサイトでどのように活用できるか?」具体的なイメージがわかない方に向け、ECサイトでの代表的なチャットボット活用方法を紹介します。
Web接客
ECサイトは、時間を気にせずいつでも利用できる気軽さが魅力ですが、実店舗のように「接客でニーズを掘り起こす」ことはできません。チャットボットに「Web接客」させることにより、ECサイトのデメリットでもある顧客のニーズを喚起できます。
たとえば、検討している商品の色違いはあるか?サイズのバリエーションはあるのか?といった簡単な質問に回答できます。顧客の購入履歴からおすすめをレコメンドするなども可能。ECサイトのWeb接客目的であれば、AI型チャットボットがおすすめです。
カスタマーサポート
商品の検索から決済まで、購入するための手順を踏む必要のあるECサイトでは「よくある質問とその答え」を用意することが一般的。しかし、回答が用意されていても、そこまで辿り着けないユーザーが少なからずいるのも事実です。
チャットボットを導入して「カスタマーサポート」を任せることにより、スムーズに顧客の疑問を解決可能。電話がつながらない・メールの返事が遅いなどのユーザーの悩みも解決できるでしょう。ECサイトのカスタマーサポート目的であれば、シナリオ型チャットボットがおすすめです。
データを活用したマーケティング
ECサイトに設置したチャットボットは、ユーザーの生の声という貴重なデータ、ユーザーの続映や人気商品などのデータも収集可能です。このデータを活用することによって、ECサイトの成長につながるマーケティング活動を展開できるでしょう。
LINE / Facebookなどのチャットボットを活用して、クーポンを配布するなどの方法もあります。共有資料をまとめる手間もなくして、膨大な量のデータを手軽に社内で貯められるのです。会話ログをダウンロードできるチャットボットや、データをダッシュボードで分析できるチャットボットなどを選択するのがおすすめです。
オムニチャネル展開
コミュニケーション手法が多様化した現代では、商品を購入するにも複数のタッチポイントを利用するユーザーが大多数。こうしたユーザーを取り込むためのオムニチャネル展開にも、チャットボットの導入は有効です。
たとえば、電話で問い合わせを受け付け、ECサイトで購入した商品を実店舗で渡すといった場合でも、チャットボットを軸に対応すればシームレスな連携が可能。音声会話に対応するAI型チャットボットをうまく活用するのがおすすめです。
ECサイトにチャットボットを導入するメリット
「Web接客」「カスタマーサポート」「マーケティング」「オムニチャネル展開」へのチャットボット活用は、ある意味で「業務効率化」という、ECサイトの運営店舗側のメリットといっても間違いではありません。それでは、業務効率化以外のECサイトにチャットボットを導入するメリットをいくつか挙げてみましょう。
ユーザーの利便性向上
Web接客やカスタマーサポートにチャットボットを活用すれば、メールや電話で問い合わせすることなく不明点を解決可能。ECサイトを含む複数の販売チャネルで顧客の質問内容などの情報共有ができていれば、ユーザーは何度も同じことを答えなくても済みます。
そもそも、ECサイトのゴールデン帯は店舗・オフィスの営業時間外であることがほとんど。なによりも24時間365日の対応が可能なチャットボットを導入すれば、ユーザーはいつでも同じクオリティのサービスを受けられるのです。
ユーザーの満足度・イメージアップを図るには、チャットボットを通してユーザーの質問内容を社内で関連部署にも共有しましょう。質問内容によってサイト改善・新たなマーケティング施策発案にも応用でき、サイト自体の利便性・有益性も上がります。
CVR・アクセス向上
ECサイトへのチャットボット導入には、運営者の業務効率化というメリットのほかにも、CVR(コンバージョン率)向上効果も期待できます。なぜなら、「欲しい時が買いたい時」のユーザーにとって、不明点があることは購買意欲の低下につながってしまうからです。ユーザーの利便性向上というチャットボットのメリットは、ユーザーの購買意欲維持にも効果的であり、運営者側にとってもメリットに作用するといえるのです。
また、チャットボットで収集したデータで、適切なマーケティングを展開することによって、ECサイトへのアクセスも増やせるでしょう。アクセス増加・滞在時間の増加・ユーザビリティの向上によって、ECサイト全体の売り上げ向上も実現できます。
※自社に合うチャットボットの選び方がわからない、おすすめのツールを選んでほしい、チャットボット開発を依頼できるシステム開発会社を探している方はシステム幹事にお問い合わせください。予算や目的などをヒアリングした上で、御社に最適なツールやシステム開発会社を選定します。相談料・紹介料はいっさいかかりません。
ECサイトへのチャットボット導入事例
「チャットボットの活用法やメリットがわかっても、具体的なイメージがわかない」そんな方に向け、参考になるECサイトへのチャットボット導入事例をいくつか紹介していきましょう。
オムニ7
画像引用:オムニ7
「オムニ7」は、セブン&アイ・ホールディングスが運営する総合ECサイト。西武、そごう、LOFTなどの商品が購入でき、食材から電子書籍・CDまで、幅広く取り扱っているのが特徴です。
トップページやお問い合わせ、ご利用ガイド、よくある質問ページなどにAIチャットボットが導入されており、表示されたボタンをクリックすると「短い文章で」質問できます。ポップアップ内にはよくある質問もまとめられており、誰でも使いやすいのがポイント。商品の閲覧・検索の邪魔になりそうなページはボタンを小さく、問い合わせが多いページは大きく表示するなど、買い物しやすく工夫されています。
BULK HOMME(バルクオム)
画像引用:BULK HOMME(バルクオム)
「BULK HOMME(バルクオム)」は、メンズビューティーの企画・販売会社、株式会社バルクオムが運営するECサイトです。チャットボットを活用した業務効率化だけでなく、マーケティングに積極的に活用していく「チャットコマース」の成功例としても注目されています。
FAQページなどにLINEチャットボットを設置し、ユーザーの意見・疑問を徹底的に収集。顧客の悩みを解決するアドバイスとともに商品をレコメンドして、購買へと自然に誘導する流れを作り上げています。その場で購買した顧客にはプッシュ通知も配信。CPAの改善率257%を実現しています。
LOHACO by ASKUL
画像引用:LOHACO by ASKUL
「LOHACO by ASKUL」は、オフィス用品の通販で知られる株式会社アスクルと、Yahoo!が共同で運営する個人向け日用品総合ECサイトです。ロハコ限定商品のほか、成城石井、カルディ、無印良品なども取り扱っており、ECサイトの利用に不慣れな方向けの工夫がされています。
そのひとつが、「マナミ」さんと命名されたチャットボットです。ヘルプ・お問い合わせページにメインで設置されたマナミさんを中心に、よくある質問を配置することで、情報を探し回らなくても済むように工夫が凝らされています。
ECサイトを改善するチャットボット導入時の注意点
ここまでで、参考になるECサイトのチャットボット導入事例を紹介してきました。しかし、チャットボットさえ導入すればECサイトの課題をすべて解決できるわけではありません。以下から、ECサイトにチャットボットを導入する際に気を付けておきたいポイントをいくつか紹介していきます。
導入の目的を明確にする
自社ECサイトが抱える課題と照らし合わせながら、目的を明確にしましょう。たとえば、カスタマーサポートの負担軽減・業務効率化が目的の場合と、ECサイトのCVR向上・マーケティング活用が目的の場合とでは、導入すべき適切なチャットボットが異なります。自社ECサイトに適したチャットボットを選定・導入する、あるいはチャットボットを自社開発する判断を下すためにも、目的を明確にしておくことが肝心です。
対応の流れを整理しておく
AI技術の進化に伴ってツールの精度も高まってはいますが、チャットボットは万能ではありません。最終的な回答は人間に任せなければならないこともあるため、チャットボットからサポートスタッフまでの対応の流れを整理しておく必要があります。
たとえば、サポートの営業時間内であれば、チャットボットからシームレスに問い合わせに移行できる流れを作る、営業時間外であればフォームへの導線を作るなどです。
情報を最新に保つ
チャットボット導入後でも、顧客満足度を高めるため、トラブルを未然に防ぐために、チャットボットの情報を常に最新の状態に保つことです。
AIチャットボットであれば、収集したデータをもとに回答の精度を高めていけます。しかし、そもそもの情報が間違っていたのではトラブルにつながってしまいます。送料の変更・型番の変更など、運営上の変更点をチャットボットに反映させる仕組みを作る、頻度の高い質問に的を絞って回答をブラッシュアップするなど、チャットボットのメンテナンスが欠かせません。
ECサイトチャットボットまとめ
競合のECサイトにチャットボットが導入されていて気になっている、という方に向け、本記事では、ECサイトにチャットボットを導入することでどんなメリットが得られるのか?チャットボットの種類・仕組みや、ECサイトでの活用方法、導入のポイントを含めて解説するとともに、注目しておきたいECサイトへのチャットボット導入事例も紹介してきました。
購買活動におけるオンラインの比重が高まるなか、ECサイトの使い勝手は業績に直結する重要なポイントとなりつつあります。こうした課題を解決し、ユーザーの利便性を高めるのに有効なのがチャットボットです。自社ECサイトの実情に即した適切なチャットボットを導入し、ECサイトの改善を進めていくことがおすすめです。
コンサルタントのご紹介
岩田
専任のコンサルタントが、
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※自社に合うチャットボットの選び方がわからない、おすすめのツールを選んでほしい、チャットボット開発を依頼できるシステム開発会社を探している方はシステム幹事にお問い合わせください。予算や目的などをヒアリングした上で、御社に最適なツールやシステム開発会社を選定します。相談料・紹介料はいっさいかかりません。
Q. ECサイトにチャットボットを導入するメリットは?
ECサイトにチャットボットを導入するのメリットとして「ユーザーの利便性が向上する」「CVR・アクセスが伸びる」等が挙げられます。それぞれの詳しい特徴は記事内で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
Q. ECサイトにチャットボットを導入する際の注意点は?
ECサイトにチャットボットを導入する際の注意点は「導入の目的を明確にする」「対応の流れを整理しておく」などです。具体的な対策や知っておくべき注意点については、記事をご参照ください。
この記事を書いた人
梓澤 昌敏
専門分野: 音楽・映像制作、オウンドメディア、ビジネス
音楽・映像制作の現場を経て、スタジオ構築側の業界へ。マネージャー・コンサルタントとして制作現場の構築に携わる一方、自社オウンドメディアの立ち上げを含むマーケティングも担当してきました。現在アメリカ在住。作曲を含む音楽制作も提供しています。
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