- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー アプリ開発
アプリ開発のクロスプラットフォームとは?種類やメリット、デメリットを紹介【2024年最新版】
「クロスプラットフォーム開発により効率的にアプリ開発を行いたい」
「クロスプラットフォームを採用することでコストメリットはあるのか」
「自社にあったクロスプラットフォーム開発のプラットフォームを知りたい」
自社で複数のOSに対応したアプリを用いてビジネスをしたいが、せっかくならiOSとAndroidの両方に対応したモバイルアプリを作りたい。そのため、iOSとAndroidの両方に対応したアプリを効率的に作成できるクロスプラットフォームの利用を考えている方もいるかと思います。
そこで当記事では、以下の内容について解説します。
- クロスプラットフォームの概要・種類
- クロスプラットフォームのメリット・デメリット
- クロスプラットフォーム開発におすすめのフレームワーク
この記事を読めば、そもそもクロスプラットフォームで開発すべきか、開発するならどのフレームワークが自社に合っているかが判断できるようになりますので、ぜひ最後までお読みください。
※クロスプラットフォームを用いたモバイルアプリの開発を検討している方はシステム幹事にお問い合わせください。コンサルタントが貴社の目的や予算をヒアリングしてアドバイスします。相談料・紹介料はかかりません。
アプリ開発に役立つ記事もご覧ください アプリ開発かんたんマニュアル!おすすめ言語、開発の流れ、ツールまで解説
クロスプラットフォームとは
クロスプラットフォームとは、iOS、Android、Windows、macOS、Linuxなど仕様が異なる機械(ハードウェア)やオペレーションシステム(OS)上で、同じ仕様のアプリケーションを動かせるフレームワークのことです。「マルチプラットフォーム」と呼ばれることもあります。
クロスプラットフォームでアプリを開発するためのフレームワークが存在し、複数のOS向けのアプリを、1つの開発環境で開発することが可能になります。
「フレームワーク」の種類にもよりますが、フレームワーク固有のプログラミング言語(例:Kotlin、Dart)を使う場合や使用されるHTML、CSS、JavascriptといったデバイスやOSに依存しない言語で開発します。
クロスプラットフォームの仕組みは3種類ある
独自UI型(独自レンダラ型)
独自UI型は、ネイティブUI型とは異なる非ネイティブUI型のプラットフォームに該当します。ネイティブUI型だとOSに依存した描画になってしまいますが、独自UI型ではクロスプラットフォーム独自のシステムで画面描画を行うことで、OSに依存しない形で描画することが可能です。また、性能も比較的高いです。
そのため、ARや3DゲームなどOSの機能だけでは実現困難な高度な画面描画が必要なアプリを開発される場合は、独自UI型がおすすめです。
WebUI型(ハイブリッド型)
WebUI型は、WebViewと呼ばれるChromeやSafariなどのWebブラウザ上でアプリを動作させるための機能を使用している点が主な特徴です。
Web上の機能を使用するため、HTMLやCSS、JavascriptといったWebページ作成に馴染みのある言語を使って開発するため、比較的開発要員を集めることが容易であり、開発コストを抑えたい場合はWebUI型(ハイブリッド型)がおすすめです。
一方、Webの機能を使用することにより、処理速度がネイティブUI型、独自UI型と比べて遅くなる傾向があります。また、ネイティブUI型、独自UI型と比べて高度な機能も実現ができないこともあります。
ネイティブUI型(ネイティブ型)
前提として、OSにはプログラミング言語を解釈し、画面を描画するためのシステムが存在します。ネイティブUI型はOS内にある画面描画を行うためのシステムに命令を送ります。ネイティブアプリでは画面描画を行うためOSに直接命令を送っており、ネイティブUI型のプラットフォームでも同様にOSに命令を送るため、ネイティブアプリ同等の表現が可能です。OSに直接命令を送ることでプッシュ通知やカメラなど、OSに搭載されている機能を活用することができるようになります。
そのため、カメラやセンサーなどデバイス固有の機能を使用する場合は、ネイティブUI型がおすすめです。
クロスプラットフォームのメリット
コストを抑えることが可能
通常のネイティブアプリによる開発ではiOS向けとAndroid向けの2つの環境に対してコードを書く必要がある。クロスプラットフォームでは1つのコードで共有ができるため、アプリを開発するためのエンジニアの人件費を抑えることが可能です。
また、アプリに対して何らかの不具合が生じた場合、通常のネイティブアプリであればiOSむけとAndroid向けの2環境に対して修正を加える必要がありますが、クロスプラットフォームであれば1環境に対してしか手を加える必要がないため、エンジニアの保守運用コストも抑えられることが期待されます。
クロスプラットフォームのデメリット
クロスプラットフォームはコストを削減できるなどメリットがある一方で、注意すべきデメリットもあります。導入の判断で失敗しないためにデメリットもおさえておきましょう。
利用できる機能が制限される
クロスプラットフォーム開発に使われるフレームワークは高度なグラフィックスやアニメーション、3D効果など、ネイティブアプリで対応している機能を全てサポートしているわけではありません。そのため機能が制限され、当初実現したいことができない状況に陥る可能性があります。
機能が制限されることにより、思い通りの画面デザインにできない、本来求めていた機能が導入できないなどといったことで、アプリのデザイン性や操作性がネイティブアプリよりも劣ってしまう可能性があります。
最新OSへの対応が遅れやすい
GoogleやAppleがAndroidとiOSに対してバージョンアップを行うと、ネイティブアプリの場合はそのバージョンアップの内容に対してすぐに対応することが可能です。その理由は、GoogleやAppleが公式に展開している開発ツール(XcodeやAndroid Studio)が、最新のOSの機能をサポートしているためです。
フレームワーク自体の知見が必要な場合がある
前述のとおり、クロスプラットフォームを実現するためにはフレームワーク上での開発が必須となります。そのため、フレームワーク自体の知見が必要になります。フレームワークの知見のないプログラマーが開発を行ってしまうと、フレームワークの知見を得るための学習コストがかかってしまったり、アプリの品質担保に苦労してしまったりするリスクが出てしまいます。
クロスプラットフォームでのアプリ開発がおすすめの場合
メリット・デメリットを踏まえて、クロスプラットフォームでのアプリ開発がおすすめの場合を紹介します。
アプリ開発および保守コストを抑えたい場合
クロスプラットフォームを採用することにより、Android向けとiOS向けのアプリを個別に構築する必要がなくなるため、主にエンジニアの人件費や開発ツールの利用料などといった開発・運用コストを抑えることができます。そのため、コストを抑えたい方はクロスプラットフォームを選ばれると良いでしょう。
シンプルなアプリを作りたい場合
メッセージアプリなど複雑な処理を求めないアプリであれば、クロスプラットフォームを用いたアプリの開発で十分かもしれません。OSの最新機能を利用しないのであれば、例えOSバージョンアップに追従できないというクロスプラットフォーム開発の課題に直面することは少ないでしょう。
高度または最新の技術を使用したい場合はネイティブ開発がおすすめ
一方で、クロスプラットフォームでは対応できない最新の技術や高度な技術を利用したい場合はネイティブ開発を選ばれると良いでしょう。例えば、顔認証やリアルタイムで画像を加工する等といった機能はクロスプラットフォームでは実現が難しいです。
また、OSの最新技術についてもクロスプラットフォームでは対応できないケースが散見されます。
おすすめのクロスプラットフォームのフレームワーク5選
ここまで読んでクロスプラットフォームでアプリを開発しようと思われた方向けに、おすすめのフレームワークを紹介します。
独自UI型(独自レンダラ型)のフレームワーク
Flutter
画像引用:Flutter
Flutter(フラッター)は2017年にGoogle社がリリースしているクロスプラットフォーム用のフレームワークです。Android、iOS、Windows、macOS、Linuxのアプリを開発できます。Statistaの調査によると、全世界のクロスプラットフォームを用いたモバイルアプリ開発者の42%がアプリ開発にFlutterを使用しています。
Flutterの主な特徴としては、Googleが提唱するデザインの設計や手法(マテリアルデザイン)を採用しており、さまざまなデバイスを利用したとしても統一感のあるデザインを取り入れることが可能です。Googleのマテリアルデザインでは、色の付け方や余白の使い方、画像の配置などに対して一定のルールを持たせることでデザインに統一感を与えることができます。Googleのマテリアルデザインに関する詳細についてはこちらを参照ください。
また、Flutterには、世界中に比較的活発なユーザーコミュニティもあります。Stack Overflow Developer Survey 2021によると、Flutterは 2 番目に人気のあるフレームワーク。eBay、Alibaba、Google PayはFlutterで作られた代表的なアプリの一つです。
提供元 |
|
対応プラットフォーム |
iOS、Android、Windows、macOS、Linux |
プログラミング言語 |
Dart |
フレームワークの種類 |
独自UI型(独自レンダラ型) |
代表的なアプリ |
eBay、Alibaba、Google Pay |
Unity
画像引用:Unity
Unity(ユニティー)はUnity Technologiesが提供する独自レンダラ型のフレームワークです。Windows、macOS、UWP、Linux、iOS、Androidのアプリを開発できます。ARKitなどのAR向けのプラットフォームやPS5、Nintendo Switchなどのゲーム向けの開発もできます。C#やJavascriptを用いた開発が可能です。
Unityはゲーム開発エンジンと定義されることもあり、ゲームを作るための3D描画処理、衝突判定、物理演算などといった処理が行えるソフトウェアが組みこまれています。そのため、主に利用用途はゲーム開発目的です。
Unityには開発者同士でコミュニケーションが取れる環境が充実しています。また他の開発者が作成したプログラムの部品をストアから購入することができるため、ゼロからプログラムを組む必要もありません。
ポケモンGO、スーパーマリオラン、ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君はUnityで作られています。
提供元 |
Unity Technologies |
対応プラットフォーム |
Windows、macOS、UWP、Linux、iOS、Android、ARKit、ARCore、 Microsoft HoloLens、Windows Mixed Reality、Magic Leap(Lumin)、 Oculus、PlayStation VR、PS5、PS4、Xbox One、Xbox X|S、 Nintendo Switch、Google Stadia |
プログラミング言語 |
C#、Javascript |
フレームワークの種類 |
独自UI型(独自レンダラ型) |
代表的なアプリ |
ポケモンGO、スーパーマリオラン、 ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君 |
Web UI型(ハイブリッド型)のフレームワーク
Ionic
画像引用:wikipedia commons
Ionicは、2013 年にリリースされたオープンソースのプラットフォームです。iOS、Androidのアプリが開発できます。開発者はHTML、CSS、JavaScriptなどのWebテクノロジーを駆使してモバイルアプリを構築することが可能です。Apple App Store の10%、Google Playストアのアプリの16%がionic を使用しています。オープンソースであるため無料で利用できます。
また、IonicはPWA(Progressive Web Apps)を標準でサポートしていることも特徴の一つです。PWAとは、スマートフォンでWebサイトを表示するときに、ネイティブアプリのような動作を可能とする仕組みのことを指します。
代表的なアプリは三井住友銀行アプリ、BBC(子供向けおよび教育アプリ)です。
提供元 |
オープンソース(一般公開) |
対応プラットフォーム |
iOS、Android |
プログラミング言語 |
HTML、CSS、Javascript |
フレームワークの種類 |
Web UI型 |
代表的なアプリ |
三井住友銀行アプリ、BBC(子供向けおよび教育アプリ)、MarketWatch |
ネイティブUI型(ネイティブ型)のフレームワーク
Reactive Native
画像引用:worldvectorlogo
React Nativeは、Meta(旧Facebook)社が2015年に発表したクロスプラットフォームのフレームワークです。iOS、Androidのアプリの開発ができます。React Nativeの優れている点はJava、Javascriptなどクロスプラットフォーム以外でも利用されるプログラミング言語で開発が可能な点です。また、React Nativeは2015年に誕生したプラットフォームであるため、開発者向けのドキュメントが豊富です。
Reactive Nativeで開発された代表的なアプリとしてSkype、Shopifyがあげられます。
提供元 |
Meta(旧Facebook) |
対応プラットフォーム |
iOS、Android |
プログラミング言語 |
Java、Swift、C、Javascriptなど |
フレームワークの種類 |
ネイティブUI型(ネイティブ型) |
代表的なアプリ |
Skype、Shopify |
Xamarin
画像引用:worldvectorlogo
Xamarinは2011年にリリースされ、現在はMicrosoftが所有しています。iOS、Android、Windowsのアプリが開発できます。C#言語と.Net フレームワークを使用してAndroid、iOS、およびWindows 用のアプリを開発することができるオープンソースのクロスプラットフォーム アプリ開発フレームワークです。
代表的なアプリはUPS、Nintendo Switch Onlineのアプリです。
提供元 |
Microsoft |
対応プラットフォーム |
iOS、Android、Windows |
プログラミング言語 |
C#、.NET |
フレームワークの種類 |
ネイティブUI型(ネイティブ型) |
代表的なアプリ |
UPS、Nintendo Switch Online |
Kotlin Multiplatform Mobile
画像引用:Kotlin
Kotlin Multiplatform Mobileは、AndroidおよびiOSのアプリケーションを作成するために JetBrainsによって開発されたプラットフォームです。当プラットフォームはモバイルアプリだけでなくmacOS、Windowsにも対応しているため、パソコン向けのアプリにも対応できます。そのため、パソコン向けのアプリでクロスプラットフォームを行いたい方は当プラットフォームを利用すると良いでしょう。
ネイティブUI型のプラットフォームであるため、画面描画の表現がネイティブアプリ相当です。
Kotlinと呼ばれるプログラミング言語を使用して開発を行います。Baidu、Netflixなどが当プラットフォームを用いて作られた代表的なアプリです。
提供元 |
JetBrains |
対応プラットフォーム |
iOS、Android、macOS、Windows |
プログラミング言語 |
Kotlin |
フレームワークの種類 |
ネイティブUI型(ネイティブ型) |
代表的なアプリ |
Baidu、Netflix |
まとめ:アプリ開発のクロスプラットフォームとは
クロスプラットフォームは1つのコードで複数の環境に対応できる便利なアプリ開発の手法です。
クロスプラットフォームには独自UI型、ネイティブUI型、Web UI型の3種類が存在します。
- 独自UI型…ARや3Dゲームにおすすめ。
- ネイティブUI型…デバイス固有の機能を使用する場合におすすめ。
- Web UI型…開発コストを抑えたい場合におすすめ。
開発や保守運用コストを抑えたい場合、または、シンプルなアプリを構築したい場合は、クロスプラットフォームでの開発がおすすめです。ただし、場合によってはネイティブアプリとして開発したほうが良い場合もあります。
コンサルタントのご紹介
岩田
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クロスプラットフォームで開発すべきか迷っている方はシステム幹事にご相談ください。貴社の予算や目的をヒアリングしてコンサルタントがアドバイスします。相談料・紹介料はかかりません。
Q. アプリ開発のクロスプラットフォームとは何ですか?
アプリ開発のクロスプラットフォームとは、iOS・Android・Windows・macOS・Linuxといった仕様が異なるハードウェアやOS上で、同じ仕様のアプリケーションを動かせるフレームワークのことです。1つの開発環境で複数のOS向けアプリが開発できます。
Q. クロスプラットフォームのデメリットは?
クロスプラットフォームのデメリットは「「利用できる機能が制限される」「最新OSへの対応が遅れやすい」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人