- 更新日 2023.10.25
- カテゴリー AI開発
AI運用で主にきること5つ|運用のメリット・参考事例・注意点も紹介【2024年最新版】
複数事業の展開によって従業員の労働時間が長くなったために、企業で業務効率化の手段に関して検討をしているシステム担当者には、
「AI運用でできることって何?」
「AI運用にはどのようなメリットがある?」
「AI運用の参考事例を知りたい」
などの悩みを抱えている方もいるでしょう。
AI運用を行うことで、単純作業や定型作業を自動化できるため、社内の業務効率化を実現可能です。また、人が行っていた業務をAIに置き換えることで、人材不足の解消にも役立ちます。
ただし、今までにAI運用の経験がないと、何ができるのかといったことや、運用のメリットなどをイメージしづらいのではないでしょうか。AI運用を検討している方は、まずAI運用の基本情報を把握するのが重要です。
本記事ではAI運用でできることを中心に、運用のメリットやプロセスなどを解説します。本記事を読むことで、AIを運用することで何ができるようになるのかを理解できます。
※AI運用について詳しく知りたい方は、システム幹事にご相談ください。予算や目的をヒアリングし、最適な会社を選定します。相談料も紹介料も一切かかりません。
AI運用でできること
AIは「Artificial Intelligence」の略で、人間と同じような知能を人工的に作り上げる技術のこと。近年、急速に企業のITシステムの規模が大きく複雑化しており、各作業の担当者一人ひとりがシステムを管理することが難しくなっています。加えて、AI・機械学習の技術が進歩したことにより、オープンソースソフトウェアの公開やクラウド上でデータ分析できる仕組みが整ってきました。
人が担当していた業務をAIに置き換えられるようになったことで、AIによる運用のニーズが増えました。AI運用を行うなら、実際にどのようなことができるのかを把握することで導入イメージを具体的にすることができるでしょう。
音声認識
画像引用:Apple
音声認識は音声をデータに変換する技術のこと。人間が話した声をシステムが解析し、文字(テキスト)に変換できます。音声認識を活用すると、会議における議事録の自動作成や多言語間の通訳・翻訳などが実現可能です。代表的な事例では、スマホに話しかけると必要な情報を返答してくれる「Siri」や「Google音声アシスタント」などで利用されています。
ただし、音声認識は訛りや雑音が多いデータなどの解析精度はまだ高くありません。音声認識を利用する人や場面によっては、期待する効果が得られないかもしれません。静かな場所で利用したり、正しい発音で話すなどの対策が必要です。
画像認識
画像引用:Panasonic
画像認識は「画像に何が写っているのか」をコンピュータが識別する技術のこと。画像から色や形などの特徴を読み取ることで、写っているものを識別します。画像認識を活用すると、物体認識(画像に写る物体の出力)や顔認証(人間の顔を特定)、文字認識(画像内の文字や数字を識別)などを実現できます。例えば、空港の顔認証ゲートに導入されており、パスポートの顔写真とカメラに写る顔を照らし合わせて本人かを識別可能です。
ただし、人の感情のように目視できないものは、画像認識で読み取りが困難です。画像認識を利用する際は、画像から特徴が識別できるものを採用しましょう。
自然言語処理
自然言語処理とは、人間が使う言葉をコンピュータが正しく解析して処理すること。自然言語とは、人間が日常的に使用する言葉を指します。自然言語処理を活用することで、検索サイトで使われる音声入力や人手を介さずコンピュータによって音声を自動翻訳できる機械翻訳、コンピュータが人間と自動で会話できる対話型チャットボットなどの構築が可能となります。
ただし、自然言語処理では全ての自然言語に対応しているわけではありません。専門用語や微妙な言い回しの違いなどがあると、処理の精度が低くなる可能性があります。チューニング(調整)を行い、専門用語や微妙な言い回しに対応できるようコンピュータに学習させましょう。
予測
AI運用では、過去の実績データから未来の出来事や数値などを予測できます。主に「将来どのような事象が発生するのか」「過去に起きた事象が再発する可能性があるのか」をシミュレーション可能です。株価予想やECサイトの受発注予測、インフルエンザの流行予測などに活用されています。
ただし、長期的な予測になると関与するデータの種類や範囲が広く、解析の精度が下がる可能性があります。予測の精度が低い場合は、取り込むデータの質・量を見直したり、予測期間を短くするなどしててみましょう。
異常検知
AIは通常時の計測値を学習させることで、異常を検知できるようになります。人間の目視では限界があり、見落としがあって機械の故障といったトラブルが発生することがあります。AIによる異常検知を活用すると、人間の検査によるエラーを防げるので、トラブルが発生する確率を低くすることが可能です。例えば、不良品の検出、機器の故障検知などに活用されています。
AIによる異常検知を行う際は、正常と異常の判断基準を明確にしなければ、感度が悪くなり最終的に人の確認が必要になってしまいます。過去のデータから「この数値を超えたら異常の可能性あり」というように判断基準を明確にします。
AI運用を業務に導入する7つのメリット
AI運用を業務導入するメリットは7つあります。メリットを把握することで、AI運用によって得られる効果をイメージしやすくなるため参考にしてみてください。
労働力不足を解消できる
AIは単純作業や定型作業といった作業を自動化できるため、労働の負担を軽減可能です。今までは人が行っていた業務をAIシステムに置き換えられるため、少ない人員で業務を行えるようになります。例えば、コールセンターの受付業務にAIを活用することで、顧客からの問い合わせの受け答えを自動化することが可能です。
業務の生産性を向上できる
AIは同じことを繰り返す作業やミスが許されない作業を得意とします。人間が単純な作業をした場合、どんなに気をつけていてもミスをする可能性があります。AIを活用することで、ヒューマンエラーを減らせます。また、AIは人間と違って疲れがないため、24時間休みなく一定の品質を維持したまま稼働させられます。AI運用を行うことで業務の生産性向上が実現できるのです。
人件費の削減につながる
AIを運用することで、今まで人が行っていた業務を自動化できるため、新たな人材を雇用する必要がなくなります。労働力不足の解消だけでなく、人件費を削減することが可能です。例えば、AIチャットボットを導入すると、顧客からの問い合わせに自動で返答してくれます。
AI運用でコスト削減をするなら、社内のニーズを明確にしましょう。クリエイティブ業務や営業など自動化が難しい内容もあるため、ニーズを明確にして適切な業務をAIに置き換えられます。
安全性が向上する
AI運用で人が行っていた業務を代替すると「事故を未然に防ぐ」「人が巻き込まれる事故を防ぐ」効果が期待できます。とくに工場内には精密機械が多く、人の確認だと些細な変化に気づかず故障につながるようなことがあるでしょう。AIの異常検知ではデータから異常の予兆を把握できて、事故を未然に対処することができます。
また、AIは危険な場所での作業を代替可能です。例えば、AIによる自動運転を活用すると、人が立ち入ることができない場所で作業を行えるのです。人体への影響をなくせるので、安全性の向上につながります。
顧客満足度を向上できる
AIはビッグデータの分析が可能になるので、需要予測や問い合わせの自動返答などができるようになり、顧客が求める情報を提供できます。すると、サービス全体の質を良くして顧客満足度の向上ができます。例えば、ECサイトで顧客の消費行動に合わせて、おすすめ商品を表示する「レコメンド機能」を活用することで、顧客が「そういえばこれも欲しかった」と幹事、同時に複数商品を購入してもらえるかもしれません。需要に合わせて適切な在庫管理を行えれば、多くの顧客に素早く商品を届けられます。このようなAI活用を通じてサービスの品質が高まり、結果として顧客満足度の向上につながるでしょう。
Webサイト利用者の満足度を向上させたい場合、AIチャットボットを活用することで、メールや電話をしなくても疑問点を問い合わせできます。瞬時に返答をもらえるので、顧客を待たせる時間がかからず満足度を高められます。
コミュニケーションが円滑になる
AIは自然言語処理に強みがあるので、コミュニケーションを円滑にできます。例えば、AIチャットボットによる自動返信・自動応答を行うことで、営業時間外でも顧客からの問い合わせに素早く回答可能です。Q&Aに対して人間が対応した場合、営業時間外であれば翌営業日まで回答を待ってもらう必要があります。他には、自動翻訳のサービスを利用すると、外国語が得意な人材がいなくても外国人と交流ができるでしょう。
データ分析を容易にできる
AIを活用すると大量のデータでも短時間で分析を行えるようになります。目視で行う場合、データ量が多くなるほど分析に時間がかかります。AIで容易にデータ分析できるようになることで、課題を解決するための施策の検討やテストなどに時間をかけられるでしょう。
AI運用によるデータ分析を行うには、国や地方公共団体などで公開されているオープンデータの利用も検討してみてください。オープンデータとは機械判読に適したデータ形式で、二次利用が可能なデータのこと。自社で保有していないデータ・収集が困難なデータを集められるので、活用するとデータ分析の精度を高められます。
業務にAI運用を活用した参考事例
AI運用は様々な分野の業務に活用されています。参考事例を把握すると、どのようなAI運用を実現できるのかを具体的にイメージできるようになります。自社のAI運用に活用しやすくなるので、しっかり把握しましょう。
ユニクロ:倉庫業務の自動化
画像引用:webmovietv
ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングは、2018年に株式会社ダイフク、株式会社MUJINと共同で倉庫の自動化を目的にAIの導入・運用を行いました。今までアパレル製品は商品の種類が豊富で形状が柔らかいことから、伝票や指示書に基づいて商品を取り出すピッキング作業の自動化が困難でした。
そこで同社は、株式会社MUJINとモーションプランニングAI(ユーザーがロボットに作業してほしい動作を指示するだけで、カメラを活用して作業を行うこと)を用いたピッキングロボットを開発。全世界の倉庫に導入することで、倉庫業務の自動化を実現しました。これにより、業務を効率化することができ、コスト削減につながりました。物流業界でAIを活用するなら、作業を自動化できるロボットの導入が適しています。
メルカリ:商品の検索・出品の効率化
フリマアプリを展開する株式会社メルカリは、フリマ内の商品検索・出品を効率化するためにAIを導入・運用しています。写真探索機能では、メルカリにスマホから画像をアップロードするだけで、出品されている同じ商品や似た商品を自動的に表示します。これによりユーザーがSNSで発見した商品や、ブランドがわからない商品でも、メルカリ内で効率よく探せるようになりました。
また、AI出品機能を提供しています。通常メルカリでは画像を撮影・アップロードして、必要項目を入力しながら出品を行います。AI出品機能があることで、メルカリに出品したい商品の写真を撮影・アップロードすると、商品名やブランド名、カテゴリーなどを自動的に推測し、入力してくれるのです。手動で項目を入力する必要がなくなり、出品にかかる手間を簡単にできます。
ECサイトでは画像認識を使いやすく、利用することでユーザーが素早くほしい商品を探せるようになるので、満足度向上につながるでしょう。
NEC:AIカメラの顔認証で入退場管理を無人化
画像引用:NEC
顔認証精度世界トップクラスの技術を保有している日本電気株式会社は、セキュリティレベルを高める目的でウォークスルー顔認証装置の開発をしました。従来のセキュリティゲートはICカードのタッチによる個人認証を行っていましたが、ICカードの貸し借りをすることで容易に侵入できるといったセキュリティレベルの低下が問題でした。
そこで同社は、クラウドとの通信を極力減らしてデバイスと近い場所にある場所(デバイス)でAI処理するエッジAIカメラによる顔認証システムを活用することで、セキュリティゲートにICカードをタッチするといった特別なアクションをしなくてもセキュリティゲートを通過できるようになりました。これにより、あらかじめ顔の画像を登録した従業員のみが通過できるようになり、セキュリティレベルが向上しています。
※AI運用について詳しく知りたい方は、システム幹事にご相談ください。予算や目的をヒアリングし、最適な会社を選定します。相談料も紹介料も一切かかりません。
AI運用方法【AIチャットボットを導入する例】
AI運用方法として、最もイメージがしやすいAIチャットボットの導入例を紹介します。
1.チャットボットを導入する目的を明確にする
目的を明確にすることで、開発するチャットボットのイメージが決まります。例えば「どのような業務を自動化したいのか」「誰がチャットボットを利用するのか」を明確にしましょう。目的を明確にすると、高度なAIチャットボットを開発でき、顧客満足度を高める効果があります。顧客が求める情報を素早く提供できるため、興味を持ってもらいやすく、コンバージョンにつながるかもしれません。
2.チャットボットの設置場所を決める
開発したAIチャットボットをどこに設置するのか決めましょう。チャットボットは利用範囲が広いためさまざまな場所に設置できます。例えば、Webサイト、ECサイト、アプリなどがあります。
チャットボットは電話対応に導入することも可能です。音声テキスト化やテキスト音声化の機能と連携することで、無人でも質問に回答できます。
3.導入するチャットボットツールを選ぶ
AIチャットボットには「社外・コールセンター」「社内・ヘルプデスク」「マーケティング支援」など、さまざまな分野に特化したものがあるのです。適切なツールを選ぶことで、効果を最大化できます。チャットボットツールを選ぶ際は、機能やコスト、運用方法など様々な角度から複数製品を比較しましょう。
4.運営体制を整える
AIチャットボットを導入したら、基本的に自社で運営することになります。例えば、完全無人のチャットボットを運用する場合、チャットボットが自動で回答できなかったことを想定して、電話・メールの窓口を確保します。あらかじめ社内の体制を整えることで、導入後もスムーズに運用を開始できます。
5.データを準備する
AIチャットボットを開発する際は、ユーザーの質問に対する正確な回答が求められます。AIチャットボットにデータを学習させるため、自社で蓄積した「FAQ」「問い合わせ内容」「顧客情報」といった情報を準備しましょう。準備するデータによって正答率に影響が出るので、さまざまなシーンを想定したデータを用意してみてください。
6.シナリオを設計する
準備したデータをもとにシナリオ設計をしていきます。AIチャットボットのシナリオ設計をすることで、ユーザーからの質問に的確な返答ができるようになるため必要です。
Q&AのAIチャットボットの構築を検討している場合は、想定される質問を洗い出し、想定される回答を作成することでシナリオを設計しましょう。コンバージョンへの誘導を目的にしているのであれば、問い合わせや資料ダウンロードなどに導くフローを検討します。
7.テストをする
シナリオ設計が完了したら、AIチャットボットを本番運用する前にテストを行います。テストでは「質問に対して正確な回答ができるのか」「不自然なシナリオはないか」などを確認しましょう。
選択型のシナリオであれば、クリックしながら最終回答までたどり着けるか、自由入力型の設問であればキーワードを入力して正しい回答が返ってくるかをテストします。回答の精度が悪い箇所を発見したら、設定を再調整しましょう。
8.導入を開始する
最後にAIチャットボットを本番環境に導入していきます。テストを行って問題なさそうであれば、あらかじめ決めた設置場所に導入しましょう。社内利用のチャットボットであれば、企業ポータルサイトやメールなどでアナウンスして認知を広めてみてください。
チャットボットを導入するメリットの詳細は、下記記事をご参照ください。
関連記事:ECサイトにチャットボットを導入するメリット|活用方法や導入のポイントを解説
AI運用を業務に導入する際の3つの注意点
AI運用を業務に導入する際の注意点は3つあります。注意点を把握していないと、導入後にトラブルが発生するかもしれません。しっかり注意点を把握しましょう。
維持コストが発生する
AIは導入しただけでは終わりではなく、しっかり運用することで成果が出ます。AI運用では継続的に機械学習を行うことや定期的なバックアップ、システムの障害対応などが必要です。社内に専門知識がある人材がいないと専門家に外注することになるでしょう。
AI運用を行うには、AIツール・システムの管理・保守などのランニングコストがかかります。あらかじめ維持コストを把握していないと、予算が取れておらず運用ができなくなるかもしれません。
情報漏洩リスクがある
AI運用ではビッグデータを活用して、ネットワーク上で分析・判断をすることになります。悪意をもった第三者によるハッキングや、内部で情報漏洩が生じるリスクがあるのです。データの中には顧客情報や企業秘密などの機密情報が含まれることがあるので、セキュリティ対策が重要です。
セキュリティインシデント発生時のマニュアルを用意しておくと、万が一のことがあっても適切な行動が取れるようになります。
関連記事:セキュリティインシデントとは?定義・種類から対策・体制づくりまでを解説!
KPI管理も必要
AIを運用するうえで、事前に定めたKPIを開発したAIが満たしているのかを監視して評価する必要があります。KPIを管理することで、プロセスごとの達成度合いを把握でき、目標よりも下回ったらすぐに改善できます。
例えば、KPIが目標よりも下回っている場合、学習させるデータの質が悪かったり、設計ロジックに問題があったりするかもしれません。また、求めているKPIが高すぎると、AIの性能と合致していない可能性もあるでしょう。AI運用をする際はKPI管理を行い、上手くいっていなければ対応します。
KPIを設定する際は、AI運用の最終目標(KGI)を明確にした上で、逆算して考えましょう。KGIとのズレをなくす効果があり、AI運用を行う目標を達成しやすくなります。また、KPIの数は最低限にするのが効果的です。KPIを最低限にすると、管理しやすくなります。
【まとめ】AI運用で業務効率化を目指そう
AI運用をすることで画像認識や音声認識などができるようになり、業務を自動化できます。
今まで人が行っていた業務をAIに置き換えられるので、労働力不足の解消やコストの削減が実現可能です。
AI運用のプロセスは、以下の流れになります。
- モデル精度の監視・評価
- モデルの再学習
- リリース管理
運用プロセスを把握してAI導入後のイメージをしてみてください。
なお自社でAI運用を行うことに不安があるなら、システム幹事にご相談ください。
※AI運用について詳しく知りたい方は、システム幹事にご相談ください。予算や目的をヒアリングし、最適な会社を選定します。相談料も紹介料も一切かかりません。
コンサルタントのご紹介
岩田
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Q. AI運用でできることには何がある?
AI運用でできることとして「音声・画像認識」「自然言語処理」「異常検知」等があります。それぞれの詳しい内容は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
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