- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー AI開発
【最新版】AI導入の費用相場を解説|失敗しない制作会社の選び方も紹介【2024年最新版】
AI(人工知能)の発達がめざましく、第3次AIブームといわれる近年、自社の業務効率化の手段として、AIの活用が注目を集めています。
一方で、
- AI導入における費用を知って、自社の予算で導入できるか検討したい
- 予算が限られているので、できるだけコストを安く済ませたい
- AI開発を依頼するにあたって、最適な制作会社がわからない
など、頭を抱えている担当者さまもいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、AIの導入費用の相場や、依頼時に失敗しないためのポイント、制作会社の選び方を解説します。最後まで読めば、AIの導入を成功に導くための知識が身に付きますので、ぜひ参考にしてください。
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AIアプリ開発に役立つ記事もご覧ください アプリ開発の費用相場!料金の事例や計算法まで詳しく紹介
開発するAI種類別の費用相場
AIシステムの開発コストは基本的に「人件費+諸経費」で計算されますが、開発するAIの種類によっても費用相場は大きく異なります。
ここでは、AIの種類別の大まかな費用相場について解説します。
開発するAIシステムの種類別の費用相場
一般的に見られるAIシステム開発の費用相場は、以下のようなイメージになります。概要をまとめたものが下記の表です。
種類 |
費用相場 |
チャットボットシステム |
初期契約:5万円〜10万円程度 運用(月額):10万円~100万円程度 |
画像認識システム (外観検査システムを含む) |
小規模なもの:20万円~80万円程度 |
大規模なもの:3,000万円程度+ライセンス料 |
|
音声認識システム |
小規模なもの:100万円~ |
大規模なもの:1,000万円以上 |
|
需要予測システム |
300万円~ |
以下で詳細を解説します。
チャットボットシステム
チャットボットは、テキストや音声で利用者と対話形式で自動的に会話をするシステムのことです。大別すると、あらかじめ登録された選択肢を利用して会話をするシナリオ型チャットボットとAIを活用してより自然な会話を実現するAI型チャットボットに分かれます。
AIを搭載したチャットボットは、初期費用5万円~10万円程度、月額10万円~100万円程度から利用可能です。ただし、AI部分が高性能なチャットボットを利用する場合は初期費用で100万円ほどかかるケースもあります。
また、会話の途中でオペレーターに切り替える機能などの機能追加をするとカスタマイズ費用が追加でかかります。
画像認識システム
AIを搭載した画像認識システムは、画像を解析して文字を読み取ったり、人や物を認識したり、複数の画像を読み込んで差分を抽出したりするシステムです。製造業の現場で外観検査をする場合などに使われています。
小規模なもので20万円~80万円程度、大規模なものになると3,000万円を超えるケースがあります。特に精度の高い画像認識システムの場合、高性能なカメラや照明などのハードウェアにも費用がかかるので、システムの価格も高くなりがちです。
音声認識システム
AIを搭載した音声認識システムは、音声を解析してテキストデータに変換したり、音声から発言者の感情を分析したりする機能をもったシステムです。音声入力システムや議事録の自動作成システムなどをイメージするとわかりやすいかもしれません。
AIを搭載した音声認識システムの導入費用は、小規模なもので100万程度、大規模なものでは1,000万円以上です。精度が高いほど高額になる傾向があります。大規模な音声認識システムは100以上の言語に対応していたり、リアルタイムに翻訳する機能がついていたりします。
需要予測システム
需要予測システムは、過去や現在のデータを元に商品やサービスの需要を予測するシステムです。一例を挙げると、プロ野球の試合日程や座席、対戦チームの過去データを分析した結果から今後の試合の需要を予測し、座席料金を変動させるシステムがあります。
需要予測システムは、300万円程度から数千万円ほどが開発・導入相場です。精度が高いAIほど高額になりやすく、予測する分野がニッチなほど高額になりやすい傾向があります。特に自社の事業が珍しいもので独自のAIモデルを作る必要がある場合は高額になりがちです。
AI導入工程ごとの費用相場
AI導入の各工程の費用は、主に以下の2つの要因によって変動します。
- 開発期間の長さ
- プロジェクトの規模(人手の数)
開発期間が長く、規模が大きいほど発生するコストが大きくなる傾向があります。以下は各工程の費用相場の例です。
工程 |
内容 |
費用相場 |
ヒアリング |
自社の課題や問題点を洗い出し、 大まかな方向性を決める工程 |
無料 |
コンサルティング |
ヒアリング内容を参照し、 プロジェクトの方向性の決定や 要件定義書や仕様書を作成する工程 |
約40万円〜80万円 |
AI化可能性チェック |
AI化が可能であるかや、AIモデルが 作成可能であるかをチェックする工程 |
約40万円〜100万円 |
PoC検証 (概念実証・実証実験) |
新たなアイデアが有効であるかを試す工程 |
約100万円〜500万円 |
AIモデル開発 |
実際にAIモデル (言語モデルや推論モデル) を開発し、 検証する工程 |
月額約80万円〜250万円×人月 |
システム開発 |
AIモデルを活用するにあたって 必要となる周辺のシステムを開発する工程 |
月額約60万円〜200万円×人月 |
運用 |
分析や予測の誤差をチューニングし、 AIの精度を高めながら運用する工程 |
月額約60万円〜200万円×人月 |
費用の合計 |
約780万円~2,500万円 |
AIの費用は工程ごとに決まります。AIを導入する前に、AI導入の流れや各工程の費用相場を知っておくことは不可欠です。一般的なAIの導入にかかる各工程の費用相場を解説します。
ヒアリング(無料)
ヒアリングでは、企業の課題や問題点を洗い出します。
例えば、企業の課題や問題点には、以下のものが挙げられます。
- 労働力人口の減少によって人手が不足している
- 売上高の6割を人件費が占めており、コスト削減がしたい
- 労働生産性が低く、効率的なアウトプットを期待することが困難である
課題や問題点を加味し、「解決するためにはどのようなAIを開発すべきか」大まかな方向性を決めます。これにはAIによって自動化できる作業の洗い出し、自社に必要な機能や技術、費用対効果の算出などが含まれます。
この段階では、システム開発にかかる見積もりを計算してもらいます。提案内容に納得できたら、正式に発注となります。
ヒアリングのレベルによっても異なりますが、ヒアリングは基本的に無料のケースが多いです。
コンサルティング(40万円~200万円)
コンサルティングでは、ヒアリングの段階で決めた方向性に沿ってシステム開発会社と認識をすり合わせ、要件定義を行います。
- AIで自動化する作業
- 機能や特徴に関する詳細な要件
- プロジェクトの方向性の決定
- 要件定義書や仕様書の作成
コンサルティングにかかる費用は、開発期間やプロジェクトの規模によって変動します。一般的には、エンジニアやコンサルタントに依頼することが多く、約40万円〜200万円が相場です。
AI化可能性チェック(40万円〜100万円)
AIモデルの「モデル」とは、日本語で「型」のことで、入力データの結果を導く仕組みを意味します。モデル化を進める前に、AI化が可能であるかどうかや、AIモデルが作成可能であるかなど、可能性をチェックすることは必要不可欠です。
導入可能な例 |
導入不可能な例 |
予算内で希望通りの機能や特徴を |
予算内で希望通りの機能や特徴を |
自社の希望と |
自社の希望より |
このフェーズでは、保有しているデータの量や内容、どの程度のAIの精度が必要なのかなどを判断します。費用相場は約40万円〜100万円です。
また、AIモデルに必要な教師データ(訓練データ、トレーニングデータ)を保有していない場合、教師データの収集も重要です。教師データとは、例題と答えを情報として付加したデータのことで、機械を訓練するために使用されます。
教師データの収集やアノテーション(教師データを作る作業)には、数百万円かかることも少なくありません。そのため、教師データを既に保有しているか、作成予定のAIに教師データとして内容が適用可能かも確認しておきましょう。
PoC検証(プロトタイプ作成)(100万円〜数百万円)
「PoC」とは、「Proof of Concept」の略で、日本語では概念実証(コンセプトが実現可能かを確認すること)と訳されます。モックアップ開発と呼ばれ、プロトタイプ(試作品・原型)を作成し、検討した仕様や機能が技術的に実現可能なのかを検証するフェーズです。
このフェーズでは、機械学習・深層学習・ディープラーニングを活用する上で不可欠なデータの質や量が確保できているかを検証します。また、きちんと求めていた精度が出るか、費用対効果に見合う処理スピードが実現できているかなどの検証も重要です。(ディープラーニング:コンピューターがデータや経験から学習し、データのルールやパターンを抽出する技術)
一般的にPoC作成の費用相場は、約100万円〜数百万円となります。一般的なAIモデルで、開発会社が既に構築しているモデルをカスタマイズする場合、既に保有しているモデル分の工数を削減できるため、費用を安く済ませられます。一方で、依頼先の会社で開発経験がないAIモデルの場合、開発費は高くなる傾向があるでしょう。
AIモデル開発(80万円〜250万円×人月)
画像引用:実用化が始まる文章生成AI 第4回:機械学習プロジェクトを成功に導くMLOpsとは | 実用化が始まる文章生成AI | 三菱総合研究所(MRI)
プロトタイプ開発が成功したら、実際の運用に向けたAIモデルの開発です。このフェーズでは、PoCで発見した課題や問題点の修正、AIモデルのチューニングなどを実施します。チューニングとは、AIの精度を高めるために入力データやパラメータの修正や調整を行うことです。また、システム内容だけでなく、実際に使う場面を想定したデザイン(UI)も形にします。
開発規模にもよりますが、期間は3ヶ月〜半年程度かかることも少なくありません。
そのため、開発体制は専任のエンジニアやデータサイエンティストを一定数・一定期間備え、開発体制を整えるラボ型が主流です。エンジニアの人数やレベルにもより幅がありますが、月額80〜250万前後×人月の費用が発生します。
システム開発(60万円〜200万円×人月)
AIモデルを単体利用するケースでは、以上のフェーズでAI開発は完了です。しかし、ほとんどのケースでは、AIモデルを活用するにあたって周辺のシステムが必要です。たとえば、以下のようなシステムが必要になります。
- AIデータの運用状況を確認するための管理画面
- データを投入し、結果を目視確認するためのシステム
- 各種センサーデータなどを収集するシステム
システム開発には、エンジニアのレベルに応じて約60万円〜200万円前後×人月の費用がかかります。
データ収集と分析、ソフトウェア・ハードウェアの費用
特に、高精度のAIを開発するにあたって、質の高いデータの収集も非常に重要です。
教師データを作成する作業をアノテーションと呼びます。アノテーションの費用はテキスト、ドキュメント、音声、画像、動画など、種類に応じて異なります。
費用相場としては、以下のイメージになります。
項目 |
費用相場 |
データ収集・分析費 |
テキスト:約30円〜(140文字程度) ドキュメント:約0.4円〜2円 音声:1分あたり約250円 画像:約100円〜 動画:約10円〜 |
また、ソフトウェアやハードウェアにかかる費用は、開発するシステムによって大きく変動します。
ソフトウェアの場合、アプリケーション上のバグ対応や通信障害などに対応する必要があります。ハードウェアの場合、管理や故障対応、バックアップやデータの保持などが必要です。
ソフトウェア・ハードウェアの費用は、一般的にシステム開発費用の5〜15%程度と見積もっておくとよいでしょう。
運用(60万円〜200万円×人月)
実装段階での確認作業が完了したら、運用フェーズへと進みます。システムが問題なく稼働するか、構想段階で設定した目標を達成できているかなどの確認を行い、分析や予測の誤差を調整・修正しながらAIの精度を高めます。
導入費用とは別に、運用維持にもコストが発生します。
運用にかかる費用はAIの機能やプロジェクト規模、追加施策の実施頻度によって変動しますが、月額60万円〜200万円前後×人月が目安です。
なお、運用費はAIシステムを稼働させている限り継続的に必要になってくるものとなります。AIの開発~導入までの初期費用とは別途、運用のための予算も算出し確保しておきましょう。
【基礎知識】一般的なシステム開発の費用算出方法
AIシステム開発の費用の話をする前に、前提知識としてシステム開発の費用がどのような項目により算出されるのか基礎知識を簡単に紹介しておきましょう。
AIシステムの作成・開発費用は「人件費+諸経費」
システム開発費用は基本的に「人件費+諸経費」で決まります。
- 人件費:エンジニアやプログラマーなどの費用
- 諸経費:開発に必要な機材などの設備費、ソフト使用のライセンス料など
システム開発では人件費の割合が大半を占めます。また、開発するシステムの種類・機能によっても人件費は変動します。
人件費は「人月×人月単価×期間」
システム開発にかかる人件費は「人月(にんげつ) ×人月単価 ×期間」で決まります。
- 人月 :エンジニア、プログラマーなど開発に必要な1ヶ月間の人員
- 人月単価:人員1人が1ヶ月作業した場合の費用
- 開発期間:開発・リリースまでに要する期間
システム開発を行う際、見積書などに出てくる「〇〇人月」という記載は開発に必要な1ヶ月間の人員の数を表します。たとえば、「3人月」は開発のために、1ヶ月に3人のエンジニアが作業するという意味になります。
さらに具体的にイメージするために、以下の条件で人件費を出してみましょう。
- 必要人員:3名(ディレクター、プログラマー、エンジニア)
- 人月単価:60万円(1人あたり費用)
- 開発期間:4ヶ月
この条件のときの人件費は、
人件費
=人月 × 人月単価 × 期間
=3名 × 60万円 × 4ヶ月
=720万円
となります。
プロジェクトに起用するメンバーの専門性・スキル・実績などによっても人件費は大きく変動してきますので、覚えておきましょう。
AI導入費用が高くなる要因とは?
AI導入費用が高くなる要因は様々です。
上で紹介した工程に加え、以下のような要因が挙げられます。
- エンジニアのレベル
- 開発規模
- 開発期間
エンジニアのレベルが高く、実績のある会社は費用が高く、個人開発であれば安い傾向があります。開発規模においては、データ収集の規模が大きくなるほど費用が高くなりがちです。また、大規模な開発の場合は期間が長くなるため、その分人件費がかかります。
AI導入時にかかる費用を安くするポイント5選
AI導入時にかかる費用負担を減らすには、いくつかの方法があります。ここでは、AI導入時にかかる費用負担を減らす方法を5つご紹介します。
1. 補助金が使えるかを確認する
補助金の種類 |
補助の対象 |
競合優位性に優れたサービス開発を計画している場合 |
|
コロナによる影響で売上が減少し、事業の再構築を計画している場合 |
|
ITツールの利用による業務効率化を計画している場合 |
|
システムの活用による販路拡大を計画している場合 |
近年では、AIの導入に活用できる補助金が用意されています。AI導入に使える主な補助金制度は、上の4つです。
▼関連記事 上記の補助金に関する詳細については、 「システム・アプリ開発の補助金はどれを選ぶ?採択率50%を突破する秘訣!」を合わせてご覧ください。 |
2. スモールスタートする
プロジェクトを小さな単位で区切りながら開発作業を進めていく「アジャイル開発」も、費用負担を減らす手法の1つです。プロジェクトを各工程に分けて、確実に工程を進めていく「ウォーターフォール開発」と異なり、「計画→設計→実装→テスト」の開発プロセスを、機能単位の小さなサイクルで繰り返します。
開発プロセスを機能単位の小さなサイクルで繰り返すことで、最初の段階で綿密に仕様を決める必要がないため、効率的かつスピーディーな開発が可能です。また、仕様の変更や機能の追加も容易となり、フレキシブルに対応できます。
風呂敷を広げて一気に開発プロセスを進めてしまうと、問題が発生した際の不具合の修正などで手戻りが発生するのでコストがかかってしまいます。スモールスタートを行うことで、戻る工程が少なくなるため、時間やコスト、リスクを最小限に抑えることが可能です。
コスト削減のみが目的化してしまうことを防ぐため、ウォーターフォール型開発とアジャイル開発のどちらが自社に適しているかを事前に綿密に設計・検討して進めるとよいでしょう。
3. 欲しい機能や目的を整理しておく
以下の項目を事前に明確化・整理しておくことで、費用の負担を抑えられます。
- AI開発の目的
- 自社に欲しい機能
- 優先すべき機能
事前になぜAIを開発するのか、どのように活用したいのかなど、開発目的をしっかり伝えておくことも重要です。開発会社が目的達成のために必須の機能を判断しやすくなるため、不要な機能の搭載による費用の高騰を防げます。
4.SaaSで開発・導入する
SaaSは、クラウドサーバー上にあるシステムやソフトウェアをインターネットを介して利用するサービスのことです。SaaSでAIシステムを導入すると自社にシステムを動かすためのサーバーを置く必要がないため、設置費用や管理の手間を削減できます。
ただし、SaaSとして提供されているAIシステムをカスタマイズして使う形になるので、カスタマイズ性があまり高くないことに注意が必要です。
5.既存のAIをカスタマイズする
既存のAIをカスタマイズして開発・導入すると1から開発するよりも費用を抑えられます。オープンソースとして無料で提供されているAIエンジンもあるので、利用できるものがあれば大幅なコスト削減効果に期待できるでしょう。
ただし、既存のAIエンジンは特定の機能に特化しているものが多い傾向があるので、求めているAIシステムにあうAIエンジンがないケースもあることに注意が必要です。
AI開発依頼で失敗しないための注意点5選
AI開発に踏み切るにあたって、失敗への懸念を抱えている方もいるのではないでしょうか。ここでは、AI開発依頼で失敗しないためのポイントを解説します。
主なポイントは以下の5つです。
- システム開発会社の「実績」と「強み(スキル)」を確認する
- AIで解決したい課題や利用目的を明確化する
- 想定外の状況に備えてリソース(ヒト・モノ・カネ・時間)は余裕をもって確保しておく
- 開発会社に丸投げしない
- 2~3社ほど相見積もりをとる
以下で詳細を解説します。
システム開発会社の「実績」と「強み(スキル)」を確認する
AIを導入するにあたって、制作会社の開発実績や、在籍しているエンジニアのレベルを確認することは必須です。AIシステム開発会社によって、特定業界に強い、あるいは音声認識や顔認証技術に強いなど、得意領域は異なります。
AI分野は技術の発展スピードが目まぐるしいため、常に最新の情報や知識、スキルを持つエンジニアの存在が不可欠です。AIシステム開発会社に依頼する際は、求めているAIの開発実績があるか、エンジニアのレベルが見合っているかどうかを確認しましょう。
AIで解決したい課題や利用目的を明確化する
AI開発を依頼する際は、AIで解決したい課題やAIの利用目的を整理しておくことが大切です。
特に自社開発ではなく外注する際は、最初に伝えた要件が正しく伝わっていないと間違ったまま設計が進んでしまうおそれもあります。そうなると再設計になったり大幅な修正が発生したりして、コストが増えてしまうかもしれません。
開発を依頼する会社に正しく伝わるように、解決したい課題や利用目的を明確化しておきましょう。
想定外の状況に備えてリソース(ヒト・モノ・カネ・時間)は余裕をもって確保しておく
AI開発では、開発途中で予算が追加で必要になることがあります。これは発注側が「やっぱりこの機能を追加したい」など新たな希望要件を追加することで発生します。
上述の通り、AIシステムの開発には数百万円から数千万円という大きなコストがかかります。
規模にもよりますが、半年から1年以上の開発期間に加え、学習データの精査や運用まで時間が必要です。
また、ヒアリング時に綿密に打ちあわせしても、新たな希望要件が発生すればその分コストがかかってきます。そのため、見積もりより1割程度多く用意しておくことがおすすめです。
依頼したAIが実装されるまでにプランが頓挫してしまうことを防ぐためにも、開発が長期化した場合に備え、社内のリソースは余裕をもって準備しておくとよいでしょう。
このとき、求めるAIシステム開発に必要となる「ヒト・モノ・カネ・時間」を適切に把握していることが重要です。そのため、開発会社数社から相見積もりをさせてもらい、想定している費用や期間の妥当性や振れ幅を確認しておくことも大切です。
開発会社に丸投げしない
AIの運用経験や知識がなくても、発注したAIシステム開発会社に開発を丸投げすることは避けましょう。
積極的にシステムの要件定義に携わり、開発会社と協力しながら開発を進めることが重要です。
実現させたいことや自社が解決したい課題を明確に伝え、必要なデータの提供や進捗の管理をきちんと行うことで、長期化を避けることができます。結果として、AI開発を成功に導くことができるでしょう。
具体的には、認識のズレを防ぐためにも、以下のポイントを意識しましょう。
- 自社の課題や目的を共有し、方向性のズレがないかを確認する
- 受託先からの提案に対し、疑問があれば積極的に質問し、アイデアを提供する
- 受託先に提示されたAIのイメージが自社のニーズとあっているか確認する
2~3社ほど相見積もりをとる
AI開発を外注する際は、相見積もりをとってそれぞれの内容を精査することがポイントです。大体の費用の目安がわかるだけでなく、内訳の項目を照らしあわせることで開発会社のミスを発見できることもあります。
ただし、見積もりを多く取りすぎてしまうと内容を精査する手間や会社を選ぶ手間が増えてしまいがちです。AI開発会社を下調べして2~3社ほどに絞ってから見積もり依頼をするとよいでしょう。
候補を2~3社に絞ることが難しいと感じた場合は、システム幹事にご相談ください。経験豊富なアドバイザーが丁寧にヒアリングをさせていただいた上で、ご要望に合った開発会社を厳選し、ご紹介します。相談料は一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
AIシステム開発会社を選ぶポイント3選
相性の良いAIシステム開発会社を見つけるためのポイントを3つご紹介します。
1. 希望要件のジャンルで開発実績はあるか
前述の通り、開発会社によって得意領域や実績、ノウハウは異なります。企業のWebサイトで設立年や導入事例・企業、各賞の受賞歴、各協会による認定の有無などを確認しましょう。そうすることで、過去の開発実績や必要な技術力の有無、培ってきたノウハウの有無、得意分野を判断できます。
また、実績が高い開発会社は業界や競合などの知見に長けており、開発の意図やニーズを汲み取ってくれやすい傾向があります。そのため、コミュニケーションが円滑でシステム開発の精度が高い可能性が高いことに期待できるでしょう。成功確率を上げるためにしっかり確認しておくことが大切です。
2. 予算を明確化しておく
開発費用が自社の予算を上回ってしまうことがないよう、以下のように開発会社へあらかじめ予算を明確に伝えておきましょう。
- 400万円以内におさめたい
- 上限は400万円まで
自社の予算を明確化しておかないと、ヒアリング時に高額な費用で見積もられてしまう可能性があります。いくら高精度で高機能なAIのプランを提示されても、自社の予算をオーバーしてしまっているようであれば、実現できません。
事前に現実的な予算を提示することによって、開発会社も実現可能なプランを提示できるようになります。
3. 開発以外のサポートはあるか
開発以外のサポートがあるかどうかもポイントです。例えば、以下のサポートが挙げられます。
- メールやチャット、電話などですぐに相談できる体制が整っているか
- 運用のための専門家によるコンサルティング支援があるか
上記のようなサポート体制を持つ開発会社を選ぶことで、知見がなくても気軽に相談したり、運用の際の戦略策定をプロの見解からアドバイスしてもらえたりといったメリットが得られます。
そのため、開発以外にどのようなサポートが用意されているか、それらのサポートが無料で用意されているかも、Webサイトまたは問い合わせ時に確認しておきましょう。
【まとめ】AI導入の費用を解説しました
以下はAI導入の工程ごとの費用・合計費用の例です。
工程 |
内容 |
費用相場 |
ヒアリング |
自社の課題や問題点を洗い出し、 大まかな方向性を決める工程 |
無料 |
コンサルティング |
ヒアリング内容を参照し、 プロジェクトの方向性の決定や 要件定義書や仕様書を作成する工程 |
約40万円〜80万円 |
AI化可能性チェック |
AI化が可能であるかや、AIモデルが 作成可能であるかをチェックする工程 |
約40万円〜100万円 |
PoC検証 |
概念実証または実証実験と呼ばれ、 新たなアイデアが有効であるかを試す工程 |
約100万円〜数百万円 |
AIモデル開発 |
実際にAIモデル(言語モデルや推論モデル) を開発し、検証する工程 |
月額約80万円〜250万円×人月 |
システム開発 |
AIモデルを活用するにあたって必要となる 周辺のシステムを開発する工程 |
月額約60万円〜200万円×人月 |
運用 |
分析や予測の誤差をチューニングし、 AIの精度を高めながら運用する工程 |
月額約60万円〜200万円×人月 |
費用の合計 |
約780万円~2,500万円 |
AIアプリの開発には、数百万円から数千万円の費用がかかります。AI導入時にかかる費用負担を抑えるには、以下のポイントに注意しましょう。
- 補助金が使えるかを確認する
- スモールスタートする
- 欲しい機能や目的を整理しておく
- SaaSで開発・導入する
- 既存のAIをカスタマイズする
AI開発依頼で失敗しないためには、事前に予算や実現させたいこと、自社が解決したい課題を明確化し、的確にAIシステム開発会社に伝えることが重要です。
コンサルタントのご紹介
岩田
専任のコンサルタントが、
お客様の予算と目的を丁寧にヒアリング。
最適な会社をピックアップ・ご紹介させていただきます!
初心者の方でも安心してご相談いただけます。
AIシステム開発会社に外注するなら、システム幹事にご相談ください。経験豊富なアドバイザーが丁寧にヒアリングをさせていただいた上で、ご要望に合った開発会社を厳選し、ご紹介します。
相談料は一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
【無料】システム幹事で最適なAIシステム開発会社を紹介してもらう
Q. AI導入の費用相場は?
AI導入の費用相場は、開発するAIの種類によって大きく異なります。チャットボットシステムだと約5万円~10万円、音声認識システムだと約100万円~、需要予測システムになると約300万円~600万円です。その他の内訳は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人
Sayah
専門分野: ビジネス、SEO、語学、海外文化
日本語と英語、スペイン語、フランス語の4ヶ国語話者。メディア運営会社で約5年間メディア運営・SNS運用に携わったのち独立。語学力と海外経験を活かし、グローバル視点でビジネス記事を執筆する傍ら、SEOの監修やオンラインPR、翻訳に従事。米国大学でBusiness Administrationを専攻。
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