クラウドネイティブ開発とは?概要や使われている技術、メリットデメリットなどをわかりやすく解説!【2024年最新版】

「クラウドネイティブ開発という言葉は知っているがどんな意味なのかよくわからない」という方も少なくないのではないでしょうか?

クラウドネイティブ開発とは、クラウドサービスを利用することを前提としてシステム開発をする考え方のことです。本記事では、クラウドネイティブ開発とは何か、採用するメリットやデメリット、注意点などを解説しますのでぜひ参考にしてください。

なお、システム開発会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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目次
  1. 1. クラウドネイティブとは
    1. 1-1. クラウドファーストやクラウドバイデフォルトとの違い
  2. 2. クラウドネイティブで活用されている技術
    1. 2-1. コンテナ
    2. 2-2. マイクロサービス
    3. 2-3. サービスメッシュ
    4. 2-4. CI/CD
    5. 2-5. 宣言型API
    6. 2-6. イミュータブルインフラストラクチャ
  3. 3. クラウドネイティブ開発を選ぶメリット
    1. 3-1. 障害発生時に被害を抑えられる
    2. 3-2. アプリケーションの性能・安定性が向上する
    3. 3-3. 開発・運用コストを抑えられる
    4. 3-4. アップデートや修正がしやすい
  4. 4. クラウドネイティブ開発を選ぶデメリット
    1. 4-1. 対応できる人材が不足している
    2. 4-2. セキュリティに配慮が必要
    3. 4-3. コスト管理が難しい
    4. 4-4. 運用・保守が属人化するおそれがある
  5. 5. クラウドネイティブ開発で注意すべきポイント
    1. 5-1. 対応できる人材の確保
    2. 5-2. 性能の測定
    3. 5-3. セキュリティ
    4. 5-4. 並列処理
    5. 5-5. 運用のしやすさ
    6. 5-6. 復旧のしやすさ
    7. 5-7. イベント駆動
    8. 5-8. 長期的に見た有効性
  6. 6. 自社でクラウドネイティブ開発が難しい場合は外注も手段の1つ
  7. 7. 【まとめ】クラウドネイティブ開発について紹介しました

クラウドネイティブとは

クラウドネイティブとは、クラウドサーバーやクラウドサービス、その他クラウド技術を活用することを前提にした考え方のことです。オンプレミス型(自社にサーバーを置く方式)のシステムにクラウドサービスを組み込む場合と違い、クラウドサービスの利点を最大限に活用することが期待できます。

クラウドサービスの利点を活かせることから、コストの削減やメンテナンスの効率化、安定性の向上効果が見込める点が特徴です。

次項から、クラウドネイティブの詳細について解説します。

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クラウドファーストやクラウドバイデフォルトとの違い

クラウドネイティブと並べて語られる用語としてクラウドファーストやクラウドバイデフォルトがあります。これらはクラウドを利用する点は同じですが、クラウドネイティブとは違う考え方です。以下で違いを説明します。

クラウドファーストは「クラウドサービスを利用することを優先する」という考え方です。クラウドネイティブの場合はクラウドサービスの利用を前提としているのに対して、クラウドファーストの場合は「利用できるなら優先する」という発想。そのため、クラウドサービスの利用よりも良い案がある場合は、クラウドサービスを使いません

クラウドバイデフォルトは、クラウドサービスの利用を最優先するという考え方です。ビジネス用語ではデフォルトは「不履行」や「怠慢」として使われますが、システム開発の分野では「初期状態」「初期値」という意味で使われます。よって「クラウドサービスを第一候補とする」という意味になります。

どちらもクラウドサービスの利用を優先することに変わりはありません。しかし、状況によってはクラウドサービスを利用しない選択肢もあることがクラウドファースト・クラウドバイデフォルトとクラウドサービスの大きな違いです。

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クラウドネイティブで活用されている技術

クラウドネイティブを実現する上で活用されている技術は、主に以下の6つです。

クラウドネイティブで活用されている技術

コンテナ

コンテナとは、あるアプリケーションを動かすための実行環境をひとまとめにしたものです。コンテナ技術は、サーバーの中にさきほどのコンテナを複数構築して、別々に稼働させる技術です。

従来のサーバー仮想化技術でもサーバーの中に複数のアプリケーション実行環境を構築できます。しかし、サーバー仮想化ソフトウェアでサーバーの中に個別の仮想マシンを作ると、さらにその中でOSを動かさなければいけません。

一方でコンテナ技術を利用すると、サーバーのOSがそれぞれのコンテナを制御してくれるので、コンテナごとにOSを動かす必要がありません。そのため、従来のサーバー仮想化技術よりもコンテナ技術を利用したほうが軽量で効率的にサーバーを利用できます。

マイクロサービス

マイクロサービスとは、1つのアプリケーションを機能ごとに分けることです。分けられたサービスは、前述のコンテナ技術を活用してコンテナに割り当てて動かします。

マイクロサービスとして機能を分けてコンテナに格納すると、負荷を分散させたり特定の機能だけ修正・メンテナンスをしたりしやすくなることがメリットです。またサーバーの1つのコンテナで障害が発生しても別のコンテナで動いている機能に及ぼす被害を抑えられる点もメリットでしょう。

サービスメッシュ

サービスメッシュとは、複数のマイクロサービス間の通信を制御する技術です。

マイクロサービスとコンテナを活用すると、各マイクロサービス間の通信が煩雑になってしまいます。そのため、通信を制御して負荷を分散したり、セキュリティを強化したり、ログをとったりする必要があります。それらの課題を解決しているのがサービスメッシュです。

一方で、マイクロサービス同士で直接通信せずに中継をする必要があることからネットワークの遅延や必要なサーバーリソースの増加という欠点もあります。

CI/CD

Continuous Integration(継続的インテグレーション)とContinuous Delivery(継続的デリバリー)の略です。特定の技術を指す言葉ではありません。ソフトウェアに変更があるたびにテストをしておき、自動的に本番環境(テストではなく実際に動作させる環境)へ実装できるようにする開発手法を指します。

マイクロサービスとして分けられている機能に修正を加えた時点で自動的にテストをし、本番環境へも自動的に実装するような使われ方をしています。そのため、実装前に不具合を発見して品質を保った上で、迅速な実装にも期待できる点がメリットです。

宣言型API

宣言型APIは、どのような状態にしたいかを指定すると自律的に動作するAPI(異なるアプリケーション間でデータをやり取りする仕組み)のことです。

命令型のAPIでは、命令とその実行順を細かく指定する必要がありますが、宣言型APIなら状態を指定すれば自動的に必要な操作を実行してくれます。そのため、管理の煩雑さや運用の手間を減らす効果に期待できます。

イミュータブルインフラストラクチャ

イミュータブルインフラストラクチャ(Immutable Infrastructure)とは、一度構築したインフラには更新やアップデートを加えないという考え方です。構築したインフラに変更を加えないことから、更新やアップデート、設定変更などを原因とする不具合の発生を防げます。

更新やアップデートが必要な場合は新しいサーバーとソフトウェアでシステムを構築し、動作に問題がなければ古い環境を停止して新しい環境のみ使用します。新しい環境で仮に不具合が出ても古い環境に戻せるため、乗り換えのリスクを抑えることが可能です。

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クラウドネイティブ開発を選ぶメリット

クラウドネイティブの考え方を導入すると、主に以下の4つのメリットがあります。

クラウドネイティブ開発を選ぶメリット

障害発生時に被害を抑えられる

クラウドネイティブでは、コンテナ技術やマイクロサービス技術によって分割されているため、障害発生時に全ての機能が使えなくリスクを抑えられます。なぜなら、コンテナ化されているクラウドネイティブでは、不具合が発生しているコンテナだけを停止して対応できるからです。

オンプレミス型(自社にサーバー機を置く方法)では、1つの機能に不具合があっただけでも全ての機能を停止しなければならないこともあります。そのため、クラウドネイティブのほうがオンプレミス型よりも障害発生時の被害を抑えられるといえるでしょう。

アプリケーションの性能・安定性が向上する

クラウドネイティブでは、マイクロサービス・コンテナ化技術によって負荷の分散や、サーバーの不要なリソース消費を抑えられます。そのため、稼働するアプリケーションやシステムの性能や安定性にも期待ができます。

クラウドネイティでは従来の「サーバー内に仮想マシンを構築してその中でアプリケーションを動かす方法」と違い、コンテナごとにOSを入れる必要がありません。よってOSが1つで済むため、サーバーのリソースを節約できるからです。

開発・運用コストを抑えられる

クラウドネイティブではクラウドサービスを使うため、サーバーの購入費や維持管理費、不具合発生時の対応費が不要です。そのため、システム構築時の初期費用や運用コストを抑える効果に期待できます。

また、利用した分だけ費用がかかるクラウドサービスを選択すれば、不要なコストを支払うリスクも軽減できるでしょう。

アップデートや修正がしやすい

マイクロサービス技術によって機能が分けられているため、アップデートや修正がしやすい点もメリットの1つです。

機能が分けられていない場合は、システム全体を停止してアップデートや修正をしなければならないケースがあります。その場合は、夜間や早朝など利用者に与える影響が小さいタイミングに対応しなければいけません。

一方でマイクロサービスの考え方で機能が分けられていると、アップデートや修正をしたい機能だけ停止すれば良いので、比較的容易に対応可能です。

クラウドネイティブ開発を選ぶデメリット

クラウドネイティブ開発を選ぶデメリットは、主に以下の4つです。

クラウドネイティブ開発を選ぶデメリット

対応できる人材が不足している

クラウドネイティブは比較的新しい技術のため、十分な知識や経験を持ったエンジニアも豊富とはいえません。そのため、クラウドネイティブに対応できる人材の確保が難しいこともある点がデメリットです。

クラウドサービスを利用することからサーバーのメンテナンスや不具合の対応は自社で行う必要がありませんが、運用は基本的に自社で行う必要があります。そのため、クラウド技術の知識を持つ人材が自社にもある程度必要になることに注意しましょう。

セキュリティに配慮が必要

クラウドネイティブではクラウドサービスの利用が前提のため、ネットワークを使うことも必須になってしまいます。そのため、ネットワークセキュリティにも配慮をしなければいけません。

基本的にはクラウドサービスを提供している事業者がセキュリティ対策をしていますが、自社のシステムに最適な状態になっているとは限りません。そのため、自社にも一定のセキュリティ知識を持った人材を用意し、セキュリティ対策をする必要があります。

コスト管理が難しい

クラウドサービスは一般的に利用した分だけ課金される従量課金制を採用しています。そのため、使用状況によっては想定外のコストが発生してしまうおそれがあることに注意が必要です。よって、コストの管理が難しい点がデメリットといえます。

ただし、従量課金制ではあまり使われなかった場合に支払うコストが安くなるので、コストが安定しない代わりに無駄なコストを払うリスクを抑える効果もあります。

運用・保守が属人化するおそれがある

クラウドネイティブに対応できる知識と経験がある人材がまだ多くないことから、運用や保守業務が属人化してしまうおそれがあります。その状況で運用・保守をしている社員が退職してしまうと、社内で対応できなくなってしまうこともあるでしょう。

そのような事態になることを避けるには、運用や保守の業務で得た経験とノウハウを共有して、属人化を防ぐ仕組みづくりをしていかなければなりません。

クラウドネイティブ開発で注意すべきポイント

クラウドネイティブでアプリケーションやシステムを開発する際には、以下の8つのポイントに注意をする必要があります。

  • 対応できる人材の確保
  • 性能の測定
  • セキュリティ
  • 並列処理
  • 運用のしやすさ
  • 復旧のしやすさ
  • イベント駆動
  • 長期的に見た有効性

次項から各項目の詳細を解説します。

対応できる人材の確保

クラウドネイティブの考え方を理解し、関連する技術に関する知識と経験がある人材の確保が大切です。しかし、従来の技術に比べれば新しい技術のため、十分な知識と経験を持った人材は豊富とはいえず、確保が難しいこともあるのが実情です。

よってクラウドネイティブを実現する人材を確保するためには、企業でサポートをしてクラウド関連スキルを持つスタッフを育てる必要があります。

自社で人材を確保することがどうしても難しい場合は、クラウドサービスに関するノウハウが豊富なシステム会社のスタッフに常駐してサポートしてもらう方法も有効です。

性能の測定

クラウドネイティブアプリケーション開発では、通信の遅延の有無やリアルタイムでのアプリケーションのパフォーマンスを測定することも大切です。

性能が十分に発揮できていないことが確認できた場合は、すぐに対処をして安定した性能を保ち続けることを意識しましょう。性能が発揮できていないままだと利用者がストレスを感じてしまい、アプリケーションが利用されなくなってしまうおそれがあります。

セキュリティ

クラウドネイティブの性質上、ネットワークを利用することは必要不可欠です。そのため、セキュリティにも気を付けなければいけません。

クラウドサービスの提供者が行っているセキュリティ対策だけに頼り切らず、セキュリティを導入し、悪意のあるソフトウェアや攻撃に備えましょう。また、攻撃を防ぐだけでなく、攻撃されてしまったときに被害を最小限に抑えるようなセキュリティ対策もあわせて実施することがポイントです。

並列処理

クラウドネイティブ開発では、必要な性能をいつでも十分に発揮できるように並列処理をする仕組みを作ることが大切です。並列処理をしていないとユーザーが一斉に1つの機能を利用して負荷がかかった際に、性能が低下してしまうおそれがあります。

あらかじめ並列処理ができるような仕組みにしておくと、一時的にユーザー数が増えるような場合にサーバーの増強や増台で対応できるのでおすすめです。

運用のしやすさ

クラウドネイティブ開発では、クラウド技術を複数利用することから運用が複雑になりがちです。特にコンテナ技術を活用している場合、それぞれのコンテナを管理しなければならないため運用する手間も増えてしまいます。

クラウドネイティブアプリケーションの設計や開発の段階から、運用のしやすさも考慮して開発することを意識しましょう。

復旧のしやすさ

クラウドネイティブ開発では、システム障害はどうしても発生するものと考え、可能な限り障害で止まっている時間やデータの破損を防ぐ設計をすることも大切です。

また、障害が発生した際にはすぐに原因を特定する必要があります。しかし、人の手で全ての機能の監視や管理をすることは難しいのが実情です。そのためシステムで自動化をすることが大切です。各機能やコンテナの監視がしやすい設計をすると良いでしょう。

イベント駆動

イベントとは、何かを操作したり特定の条件を満たしたりした際に発信される信号や通知のこと。例えば「マウスがクリックされる」と設定した条件が満たされたら「マウスがクリックされた」という情報を発信します。イベント駆動とは、イベントの発生をきっかけとして処理を始めるプログラムのことです。

クラウドネイティブアプリケーション開発では、このイベント駆動アーキテクチャの考え方も重要になります。イベントを分析して次のアクションを実行する仕組みにすることで、アプリケーションの安定性や復旧性、セキュリティの向上に期待できます。

長期的に見た有効性

クラウド技術やクラウドサービスは日々進歩し続けています。そのため、新しい技術や今の技術をさらに効率化した技術が提供された際に、柔軟に取り入れられる設計をする必要があります。

また、新しい技術を取り入れて運用できるように、自社で抱える運用担当者のITスキルを育てていくことも大切です。

自社でクラウドネイティブ開発が難しい場合は外注も手段の1つ

クラウドネイティブの考え方を取り入れたアプリケーション開発をする際は、さまざまなクラウド技術やクラウドサービスの知識と経験が必要です。そのため、自社で抱える社員の手で本当に実現可能なのかと不安を覚える方もいるのではないでしょうか。

「クラウドネイティブ開発をしたいが自社の社員だけでは不安」と考えている方は、クラウド技術の活用が得意なシステム開発会社に外注することも有効な手段です。システム開発会社によっては、要件定義より前の壁打ちの段階から相談に乗ってくれる会社もあります。

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【まとめ】クラウドネイティブ開発について紹介しました

クラウドネイティブ開発とは、クラウドサービスやクラウド技術を活用することを前提にした開発手法です。そのため、クラウドサービスやクラウド技術に関する知識が必要です。

クラウドネイティブ開発を検討する際は、本記事で紹介したクラウドネイティブ開発のメリットやデメリット、注意点を参考にしてください。

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