- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー インフラ構築
【初心者向け】Microsoft Azureとは?主な機能と活用事例・メリット・注意点などわかりやすく解説【2024年最新版】
「Microsoft Azureって聞いたことはあるが、どんな機能があるのか分からない」
「自社に導入してどう業務が改善するのか想像できない」
「AWSと比べて機能・コストに大きな違いはある?」
Microsoft Azureの導入を検討しているが、自社で使うメリットが見えてこなくて導入をためらっている企業は多いですよね。下手に既存のシステムと入れ替えて、業務に支障がでないか心配な方もいるでしょう。そこで、勤め先でもMicrosoft Azureを導入している筆者が、Azure導入におすすめの企業を解説します。
- 自社のセキュリティに不安がある企業
- 属人的な業務を減らしたい企業
- 複数のシステムを一元化したい企業
記事を読めば、Microsoft Azureを導入するべきか判断できるので、ぜひ参考にしてください。
※Microsoft Azureに不安がある方は、システム幹事にお問い合わせください。予算や目的などをヒアリングした上で、最適な開発会社を提案します。相談料・紹介料は一切かかりません。
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Microsoft Azureとは何か
画像引用:Microsoft Azure
まずは、Azureが何か良くわからない方も多いので、フワッとしたイメージを掴んでもらうため、クラウドやAzureの概要から説明します。
Microsoft Azure(以下Azure)は2010年にMicrosoftがリリースしたクラウドサービスです。
クラウドインフラストラクチャ(IaaS)とは何か
クラウドインフラストラクチャとは自社にサーバーを置かず、インターネットを介してプロバイダーのサーバーやストレージを必要な時に必要な分だけ利用するシステムのこと。
近い例を出すのであれば、カーシェアやシェアサイクルが挙げられるかもしれません。従来は、車や自転車は自分で購入・保有するのが当たり前でした。(≒オンプレミス)。しかし近年は、自らで車や自転車を保有せず、使いたい時に使いたいだけ使うシェアサービスが台頭してきています。(≒クラウド)
従来の方式では、自社のデータセンターにサーバを用意する必要があり多くの初期コストがかかっていましたが、クラウドを活用することで、初期費用を抑えて開発を始めることができます。
また、その他のメリットとして、リードタイムの短さや拡張性の高さ、従量課金性なのでランニングコストを抑えられる点などが挙げられます。
IaaS、PaaS、SaaSの違い
Azureなどのクラウド事業者は、主にIaaSとPaaSサービスを提供しています。
IaaSもPaaSも開発者向けのサービスです。また、近年SaaSというワードも台頭していますが、それらはどう違うのでしょうか。
IaaSとは
開発に必要なサーバーやネットワークを、インターネット上で使用できるサービスです。
従来、自社で購入する必要があったサーバーなどを、インターネット上で従量課金で手軽に利用することができます。OSやミドルウェアまでがユーザーの責任領域なので、管理が必要な一方でカスタム性が高い特徴があります。
機能や要件が多く複雑なアプリケーション・サービスの開発に使用されます。有名なサービスとしては、Azure Virtual Machineなどが挙げられます。
PaaSとは
アプリケーションを用意するだけで、データベースやサーバー、OSの準備が不要な開発プラットフォームです。OSなどのメンテナンスが不要なため、コストを抑えてアプリケーション開発に集中できることがメリット。コストを抑えたシンプルなアプリケーション開発などに使用されます。
有名なサービスとしては、Azure FunctionsやAzure App Serviceなどが挙げられます。
SaaSとは
開発が不要で、インターネット上で利用できるソフトウェアです。IaaSやPaaSとは異なり、開発だけでなく企業や個人の特定課題の解決のために使われます。例えば、会議やチャットなどのコミュニケーションや、採用や労務の管理など、さまざまな領域でSaaSが台頭しています。
有名なサービスは書き出すとキリがないですが、メールサービスや乗換案内サービスなどが挙げられます。Azureなどのクラウド事業者は、開発に用いるIaaSやPaaSを中心に、さまざまなサービスを提供しています。
Azureでできること
Azureでは、他のクラウド事業者と同様、開発に活用できるさまざまなサービスを提供しています。
Azureの一番の差別化ポイントとして、多くの企業に導入されているOffice365やActive Directoryとの親和性の高さが挙げられます。特に業務アプリケーションなどの場合は、Office365やActive Directoryと連携することが多く、親和性の高さを決め手にAzureを採用するパターンもよく目にするようになりました。
また、Azureは従来のクラウドサービスによくあるストレージ(データを長期間保管しておく装置)、セキュリティに加え、動画などのメディア、AIやIoT、データの災害復旧などの機能を同じプラットフォーム上で利用できます。
Azureの歴史と業界での立ち位置
クラウド事業者は、2006年に業界のトップであるAmazon Web Service(AWS)が登場し、それに続き2008年にGoocle Cloud、やや遅れて2010年にAzureがサービスを開始しました。
Azureのリリース当初は、ユーザーが作ったアプリをAzure上にデプロイ(プログラムをソフトウェア上に配置)する程度の機能しかありませんでしたが、マシンやストレージなどのインフラも提供するなど徐々にサービスを拡充。
2021年にはサービス数が200を突破しました。Azureは、業界のシェア24%程度で2022年11月時点で2位ですが、1位でシェア32%のAWSにじりじり詰め寄っています。これは、Office365やActive DirectoryなどMicrosoft製品との親和性の高さであったり、小売業界がAmazonと競合関係にあるためAzureを選ぶ傾向があることなどが一因と推測できます。
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Azureの主要なサービス
Azureは、行政の事務処理の省力化や、鉄道現場での業務支援、乱立したシステムの一元化など多くの場面で採用されています。
サービスは現在200以上あり、全部は説明できないので、Azureが多機能であることを理解しやすい代表的なサービス例を8つ紹介します。
主なサービス |
概要 |
メリット |
Azure Virtual Machines |
仮想マシンを作成 |
PCやサーバーなど機器を 自前で準備する必要がない |
App Service |
開発したプログラムを Azure上で運用 |
サーバー管理・運用の 手間がいらない |
Azure Functions |
サーバレスで関数を実行 |
少量のコードで開発可能 |
Azure Active Directory |
複数のシステムに対して、 IDおよび権限を一括管理 |
バラバラのシステムを 一元化でできる |
Azure Information Protection |
ドキュメントやファイルの セキュリティを保護 |
特定の職位や部署にのみ 情報を開示・編集可能 |
Azure Logic Apps |
ローコードでアプリを開発 |
プログラミングスキル無しで 実装・開発が可能 |
Azure AI・機械学習 |
標準の学習モデルでAIを開発 |
少量のコードでAIを開発可能 |
AzureIoT Hub |
Azureの機能とデバイスを つないでネットワークを構築 |
シームレスにデバイスの データを取得 |
Azure Virtual Machines
Azure Virtual Machines(以下VM)は、Azure上で仮想マシンを作成できるIaaSサービスです。開発したアプリやシステムなどを作成したマシン上で稼働したり、データを保存したりできます。従来のオンプレミスでは、自社のデータセンターにサーバーを用意する必要があり、多くの初期コストがかかっていましたが、Azure VMを活用することで、初期費用を抑えて開発を始めることができます。
またオンプレミスの場合は、サーバーのCPUやメモリがスペック不足になった場合には増築や買い替えが必要でしたが、Azure VMを使用することでスペックのアップグレードなどがWeb上から簡単にでき、増築・買い替えのコストも削減できます。
App Service
App ServiceはWebアプリの構築プラットフォームで、開発したアプリを迅速にデプロイし運用できるPaaSサービスです。
OSとソフトウェアを実行するプログラム、データベースも自動で管理、更新してくれるため、運用の手間を抑えられる点も魅力。そのため、開発者はサーバーやOSの管理を気にすることなくWebアプリ開発に専念できます。
Azure Functions
Azure Functionsは、実行環境が用意されており、エンジニアがコーディングだけに集中できるPaaSサービスです。
サーバーレスで関数を実行できるため、サーバーの管理を気にしなくていい点もメリット。
そのため、高速かつ正確なシステム開発が可能になります。
「なるべくシンプルにコーディングしたい」
「ユーザーから大量のリクエスト(※)が来たときにサーバーの負荷を気にしたくない」
「サーバーの常時起動はせずにコストを抑えたい」
上記の企業におすすめです。
上の画像のようにテンプレートで関数を用意しているため、一からコーディングする必要がない点が魅力。例えば下記のような機能を少量のコードで実装できます。
- ストレージにあるファイルをJSON(PC間でやり取りするための表記)に変換
- タイマーに従いデータベースからデータを取得し、管理者へ通知
※:コンピュータ上で一方から他方へ要求されるデータ処理のこと
Azure Active Directory
Azure Active Directoryは、複数システムにまたがるユーザー情報や権限を一元管理する機能です。 Microsoft Office365のような他のMicrosoft製品にもアクセス可能であり、この機能を使ってAzureにログインすれば、AIやIoT Hubなど個別の機能にログインし直す必要もなくなります。
大企業を中心に多く採用されているサービスです。
また下記の表のように、ユーザーにあわせて操作権限を変えることもできます。
ユーザーの権限 |
可能な操作 |
Owner |
リソース全てにアクセス可能 |
Contributor |
リソースの作成と管理 |
Reader |
リソースの閲覧 |
User Access Administrator |
リソースへのアクセス管理 |
Azure Information Protection
Azure Information Protectionは、電子メールやMicrosoft Office 365で作成したドキュメントやメールの閲覧や書き込みなどの権限を操作して、セキュリティを守る機能。ラベルと呼ばれる機能を使って保護対象を指定したり、サーバーで一括保護したりできる点が大きな特徴です。
例えば下の画像のようにファイルを指定し、情報を保護できます。
画像引用:Microsoft
例えば、ファイルの編集や印刷の権限を制限することで、情報漏えいを予防することができます。特定の部署や職位以上向けにドキュメントやメールを発行したい場合に、便利なツールといえるでしょう。
Azure Logic Apps
画像引用:Microsoft
Azure Logic Appsは、Azureの機能同士を連携させたり、下記の表のような他の外部システムと組み合わせてアプリを開発できる、ノーコード/ローコードサービスのことです。
連携サービスの種類 |
サービスの例 |
Microsoft製品 (Azure除く) |
Excel Word Outlook One Drive Teams Power BI |
SNS |
YouTube Linked In |
インフラシステム |
AWS GitHub Slack Adobe |
特徴はGUI(コンピュータへの指示を直感的に行える仕組み)で実装が完結すること。標準装備のアイコンをパズルのように組み合わせて実装できるため、プロプラミング知識が無くてもアプリを開発できます。上の画像はAzure Logic Appsを使った開発の様子。プログラムを記述する場面はありません。もし Azure Logic Appsで提供されていない機能がある場合は、Azure Functionsを応用して拡張することも可能です。
Azure AI・機械学習
画像引用:Microsoft
機械学習とは膨大なデータを学習・分析させて近未来予測などをさせる技術のこと。Azureでも機械学習やAI関連の機能を提供しており、上図のようなチャットボットを開発できます。
AzureAI・機械学習の主な機能を以下の表にまとめました。
製品名 |
概要 |
主にできるシステムの事例 |
Azure Machine Learning |
マシンにデータを学習させて 何らかの予測や分析を行う |
・設備故障の予測 ・天気から食品の売れ筋を予想 |
Azure cognitive Services |
画像や音声などを認識するAI |
・画像の説明文の自動生成 ・顔写真と名簿の自動照合 ・動画からの文字起こし |
Azure Applied AI Services |
Azure cognitive Servicesの 機能を組み合わせたアプリ |
・ドキュメントの異常データ検出 ・Q&Aボット |
AIや機械学習の実装には膨大な労力が必要です。しかし、上記のような機能が標準装備されているため、チャットボットや画像認識システムなどのAIを少量のコードで開発できます。
Azure IoT Hub
Azure IoT Hubは、Azureの機能を家電やロボットなどのモノにつなぐサービスのこと。デバイスとAzure間でやり取りする際の中継役を担います。
例えば上図のように、家電の消費電力や稼働時間などのデータを、Azureの機能で分析することが可能。逆に、Azure側でデバイスに何らかの指示を出せるのも特徴です。
このように、Azure IoT Hubを使えばモノから得られたデータを迅速に分析したり、デバイスの挙動を設定できたりします。Azure IoT Hubのデバイス登録と削除も下図のAzure Portalという画面で簡単に行える点も魅力です。
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Microsoft Azureを導入するメリット7つ
Azureを導入することで、何ができるのかイメージを掴んでもらいました。次に、Azureを導入するメリットを詳しく解説します。
開発・運用費を最適化できる
Azureは従量課金制(使った分にのみお金が発生する仕組み)のため、月額固定制のように未使用のリソースにお金を払うといった無駄を避けられます。
従量課金制となると「自社がいくらデータを使うのか見通しが立てられない」と不安を抱く企業もいるかもしれませんが、Azureではコスト計算ツールを使って導入前から料金のシミュレーションができます。
画像引用:Microsoft
シミュレーションの項目も下記のように細かく設定できるため、より精度の高い見積りが可能になります。
- 製品
- リージョン(データセンターの集まり)
- 仮想マシンの数
- ストレージの容量
- OSのタイプ
また導入後にAzure Cost Mannagementという管理ツールを使えば、設定した予算の上限近くまでリソースを使うとアラートを出してくれます。そのため、うっかり予算オーバーするといったリスクを防げるのもポイント。このように、運用中のマシンや製品のパフォーマンスに見合うようにコストを最適化できます。
【参考】長期割や特典も豊富
Microsoft Azureを利用する際、1~3年の長期運用を前提に契約すると、従量課金分の最大72%OFFで利用できます。またWindows Server と SQL Serverを利用している場合、Azureで使えばライセンスコストを従量課金分の最大85%OFFで利用することも可能。「すでにWindows ServerとSQL Serverを使っている」「長期運用を前提にクラウドインフラの導入を検討している」という企業にとって、これらの特典は魅力的といえるでしょう。
セキュリティを強化できる
Azureでは、3,000人を超えるセキュリティのプロがデータの保全に取り組んでいます。Microsoftは「お客様のデータはお客様が所有する」という基本方針を打ち出しており、マーケティング広告などのために利用されることはありません。
クライアントが許可した場合にのみ、データ処理が行われるシステムになっているため、情報漏えいのリスクを最小限に抑えられる点も安心材料。
データセンターの場所も災害リスクが少ない地域を厳選しているため、物理的なデータ消失の危険性が低い点も魅力です。万が一データセンターが被災しても、別のデータセンターでシステムを運用できる仕組みになっています。
このように、幾重にもセキュリティ対策を行っているのもAzureを使うメリットです。
システムを一元化できる
これがAzureの最大の強みです。メールやチャット、ドキュメント、サーバーなどバラバラにサービスを使っていると、それぞれのログインIDやパスワードを管理しなければいけません。
Azureであれば1回の認証で、全てのAzureの機能とMicrosoft Offiece 365のような他のMicrosoft製品にアクセスできるため、散在しているシステムを一元化できます。加えて製品の追加や修正、プランの変更もAzure Portalから簡単に操作可能。
「チャットツールやメールを別々の会社で契約していて管理が煩雑になっている」「システム間の連携が取れていない」という企業にも、Azureは魅力的なサービスです。
属人的な業務を減らせる
製造業の工場のように属人化しやすい業務を減らせるのも、Azureの魅力です。
以下はAzureを使って属人化を排除できる事例。
- Azure IoTネットワークを活用して端末からデータ集計を自動化
- 画像認識を活用し、人の代わりに設備不具合をチェック
- チャットボット作成で顧客対応の自動化
Azureを活用すれば、これまで人手で進めてきたデータ集計を減らすことが可能。ヒューマンエラーが原因で生産活動に支障がでる作業でも、Azureを使ったシステム開発で解消することも期待できます。このように、AzureはAIサービスに力を入れており、世界各国に研究拠点も持っています。
「人手で進めている業務を減らしたい」「ベテランがいなくなって技術の精度を保てるか心配」という企業にもAzure導入のメリットは大きいです。
システムを拡張しやすい
事業や社員数などが増えた際に必要なストレージや仮想マシンの数、CPUの利用時間に合わせてシステムを拡張しやすいのも魅力です。
例えばポータル画面ではVM、IPアドレス、VMディスク(仮想マシンに生成されるファイル)、ネットワークの追加や削除が可能。リソースが利用上限に達したら、プランを変更するだけで容量を変更できます。
またIoT(モノ同士をネットワークでつなぐこと)を開発したい場合も接続のデバイスの追加や削除を1つの画面で実行可能。
このように拡張性に優れているため、将来システムの規模を拡大したり、一部の部署でしか導入していなかったアプリを迅速に全社展開できたり、といった柔軟性があります。
グローバルなサービス展開が容易
Azureは世界中で利用されているため、海外展開も含めたサービス開発がしやすい点もメリット。データセンターは世界中に60以上設けられており、進出した国の近くのデータセンターを利用すれば遅延を大幅に抑えられます。
またコンプライアンス(法令遵守)認証も、国や産業など各ジャンル合わせて90以上を取得。そのため、現地の法律や業界のコンプライアンスに違反するリスクを減らせます。
画像引用:Microsoft
このように、システムのグローバル展開で直面しがちな問題を避けやすいことも、Azureの強みといえるでしょう。
BCP対策を実現できる
Azureなどのパブリッククラウドを活用すれば、柔軟な運用が可能になり、万一の場合のBCP対策も同時にできます。
※BCP対策:自然災害などの緊急事態に直面しても企業が事業を継続または復旧するための対策
クラウドであれば、CPUリソースやストレージのキャパシティを比較的自在に変更できます。時間帯に応じてネットワークトラフィックも調整設定ができるのです。複数のデータセンターでバックアップしておけば、万一の場合もビジネスの継続が可能です。
番外|DDoS対策ソリューションもある
DoS(Denial of Service attack)とは、Webシステムに大量のデータを送りつける、連続したデータ処理を要求するなどの手法を使ったサイバー攻撃のこと。DoS攻撃を受けたWebシステムはトラフィックの増加により、
・レスポンスが遅延する
・反応が悪くなる
・最悪、システムダウンする
などの被害にあう可能性があります。
DoSを巧妙化させたものが「DDoS(Distributed Denial of Service attack)」です。DDoSは、なんらかの方法でハッカーに乗っ取られた複数台のPCを使い、Webシステムを攻撃すること。攻撃者の特定が難しいため、対策を施していないと防御の難しいサイバー攻撃だといえます。
Azure DDoS Protectionは、DDoSの兆候などを察知して、自動でDDoSと思われる通信を減らしてくれます。
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AzureとAWSを比較
料金体系
サーバやデータベース、ストレージなどの一般的なIaaS使用料については、AzureとAWSで大きな差はありません。顕著に差が出るのは、WindowsサーバやSQL Serverのデータベースを使用する際など、Windowsのライセンスが関わってくる場合。
Azureは、例えばデータベース使用時のHybrid Benefitといった割引を用意しており、ライセンスとのセット売りでAWSに対してコスト的に大幅な差をつけています。
サービス |
Azure |
AWS |
仮想マシン (Linux) |
$39.71/月 ※B2s(2 core / 4G Memory)を 従量課金で使用した場合 |
$43.31/月 ※t3.medium(2 core / 4G Memory)を 従量課金で使用した場合 |
仮想マシン (Windows) |
$30.37/月 ※B2s(2 core / 4G Memory)を 従量課金で使用した場合 |
$52.42/月 ※t3.medium(2 core / 4G Memory)を 従量課金で使用した場合 |
データベース (オープン ソース) |
$794/月 ※4 coreのDBを 従量課金で使用した場合 |
$654/月 ※db.t3.xlarge(4 core / 16G Memory)を 従量課金で使用した場合 |
データベース (SQL Server) |
$1005/月(Hybrid Benefit適用) ※4 coreのDBを 従量課金で使用した場合 |
$1610/月(ライセンス込み) ※db.t3.xlarge(4 core / 16G Memory)を 従量課金で使用した場合 |
強みを持つソリューション・領域
AzureもAWSも、サービス数は200以上と、幅広い領域・ユースケースに対してソリューションを提供しています。その中でのAzureの最大の強みとしては、やはりOffice365やActive DirectoryなどMicrosoft製品との親和性の高さが挙げられます。
AWSが業界のリーダーとしてバランスよく様々なサービスを提供している一方、Azureは特定の領域により注力しているような傾向があります。
例えばノーコード/ローコード領域は、Azure Logic AppsやMicrosoft Power Appsなどが有名です。AWSのノーコード/ローコードサービスであるAmazon Honeycodeと比較し、例えばGoogle検索で表示されるサイト数は100倍以上の差があります。
ノーコード/ローコード領域は、業務アプリケーション構築においてOffice365などとの連携が肝になってくるため、この領域ではMicrosoftが頭ひとつ抜けていると言って良いでしょう。
耐障害性やセキュリティ実績
AzureやAWSはSLA(Service Level Agreement)というサービスの品質保証基準を示しており、これを下回る場合はサービスクレジット(返金)を行うと公言しています。
両者共に高いSLAを設定しており、冗長的にシステムを構成していることがわかります。
SLA(稼働率に応じたサービスクレジット(返金率))
サービス |
Azure |
AWS |
仮想マシン |
稼働率99.0~99.99%:10% 稼働率95.0~99.0%:25% 稼働率~95.0:100% |
稼働率99.0~99.99%:10% 稼働率95.0~99.0%:30% 稼働率~95.0:100% |
データベース |
稼働率99.0~99.99%:10% 稼働率95.0~99.0%:25% 稼働率~95.0:100% |
稼働率99.0~99.95%:10% 稼働率95.0~99.0%:30% 稼働率~95.0:100% |
ストレージ |
稼働率99.0~99.9%:10% 稼働率~99.0%:25% |
稼働率99.0~99.9%:10% 稼働率95.0~99.0%:25% 稼働率~95.0:100% |
また、AzureとAWSでは、データセンターの存在するリージョン/ロケーションの数に差があります。AWSのリージョン数は2022年11月時点で27に対し、Azureのロケーション数は60以上。またAzureには政府専用のリージョンも置かれています。
リージョン/ロケーション数の多さは、アプリケーションのレイテンシー(応答時間)に直結します。例えば関西圏のユーザーは、東京よりも大阪ロケーション/リージョン上のアプリケーションにアクセスした方が早く応答(レスポンス)を得られます。
このように、物理的距離による通信速度というネックがあるため、リージョン/ロケーション数の多さがレイテンシー(応答時間)に直結します。
AWSにもレイテンシー(応答時間)改善のためのサービスはたくさんありますが、他のクラウドベンダーのリージョン/ロケーションがない国・地域などでアプリケーションを展開したい、より強固なセキュリティを確保したい企業は、Azureを選ぶといいでしょう。
AzureとAWSの比較の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:AWSとAzureを徹底比較!メリットとデメリットを解説
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Microsoft Azureの成功事例4選
ここでは実際にAzureを導入して自社の課題を解決した事例を4つ紹介します。
よりリアルに自社への導入をイメージできるはずなので、ぜひ参考にしてください。
AI/データを活用した店舗改善の取り組み | まいばすけっと
画像引用:まいばすけっと
まいばすけっとは、関東圏で930店舗を出店している都市型スーパーマーケットです。
まいばすけっとでは、パン棚の状態を可視化・データ活用するシステムを、Azure Cognitive Servicesを活用して実装しました。パンは賞味期限が短く回転が早いため、陳列と発注業務の最適化が非常に重要です。
引用画像:Microsoft お客様事例
カメラを使って取得したパン棚の状態と時間帯・売上の相関をデータ化することで、
陳列・発注業務が効率化され、パンの販売数はシステム導入前から109.7%に、昨対比で107.4%に増加しました。
自社のセキュリティ強化に成功|創価大学
画像引用:創価大学
創価大学では全学レベルでセキュリティレベルの向上に取り組んでいますが、新型コロナウイルスの流行を発端に、テレワークとオンライン講義の実施が加速しています。現場の判断でDXが進んでしまったことで、セキュリティの脆弱性が露呈。ファイアーウォールなど従来型のセキュリティ対策だけでは不十分と判断したそうです。
そこでMicrosoft Office 365の監査ログと、Windowsのセキュリティ対策ソフトMicrosoft Defenderのアラートを無料利用できるMicrosoft Sentinelを導入しました。
導入後のセキュリティ事故の検知は0件。情報漏えいの疑いがあるデータ処理を早期に検知できるなど、従来のセキュリティ体制では見落としていたリスクも可視化できるようになりました。
Azureのサービスをうまく利用し、データドリブンの意思決定を行った良い事例と言えます。
画像引用:Microsoft
研究結果や学生の個人情報などデリケートなデータを扱う大学にとって、セキュリティ対策は重要な課題です。
Azureを活用して先手のセキュリティ環境を構築した好例といえるでしょう。
属人的な業務を減らした事例|東京メトロ株式会社
画像引用:東京メトロ株式会社
東京都内の地下鉄9路線を運営する東京メトロ株式会社。鉄道運行の要ともいえる線路点検は、人の目に寄る点検が主流です。しかし、少子高齢化によるベテラン技術者の不足に直面しているため、人の経験に頼らず検査の精度を向上させることが課題になっています
そこでAzure製品の1つであるAzure Cognitive ServicesとPower Appsを利用して、線路異常の検知システム開発にチャレンジ。
画像引用:Microsoft
画像から締結装置の異常を検知するモデルを作成したところ、精度は90%を突破。
まだ実用化には至っていないようですが、Azureを使って業務の属人化を解消した成功例といえるでしょう。
個別認証していたシステムの一元化に成功|株式会社ノーリツ
画像引用:株式会社ノーリツ
株式会社ノーリツ(以下ノーリツ)は、給湯器やビルトインコンロなど住宅設備業界で50年以上、事業を展開している会社です。
ビジネスパートナーの営業支援を目的に、ノーリツでは会員制サイト「お湯net」を展開しています。会員になると、製品の技術情報や図面を検索したり、提案書や見積書を作成したりすることが可能。LINEとも連携させて社外からタブレット端末でもアクセスできるようにするなど、業務のDX化に力を入れています。
しかしお湯net内の各種サービスの認証方法がバラバラで使うサービスを変える度にログインし直す手間がかかっていました。
そこで、シームレスなサービス利用と認証基盤の統一を目的に、ノーリツではAzure Active Directoryを導入。認証方法を統一し、1回ログインすればお湯netの各種サービスを利用できるようになりました。
画像引用:Microsoft
また、かつての認証基盤ではノーリツのスタッフが取引先から送られ、紙のIDとパスワードを見てシステムに入力するなど非効率な認証方法を採用していました。しかし、Azure Active Directoryのおかげで、ユーザー自身がパスワードを管理でき、業務の工数も大幅に減少したとのこと。
散在していたサービスの認証を1つにまとめ、業務の非効率を解消した事例といえるでしょう。
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Microsoft Azureの注意点
Microsoft Azureには多様なメリットがありますが、万能ツールというわけではありません。
利用上の注意点が2つあります。
- 情報量が不十分
- 専門知識が必要なケースが多い
導入してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないように、しっかり把握しておきましょう。
情報量が不十分
Azureは歴史が浅く急速に機能数を増やしているため、情報量が不十分であるケースが多いです。
そのため技術的に躓いた時にネットで調べても、対処法が見つからないことは珍しくありません。
少しでも有益な情報を得るならコミュニティへの所属がおすすめ。MicrosoftではAzure Rock Star というAzure関連のコミュニティ紹介サポートをしているので、導入目的に合わせて利用するといいでしょう。
画像引用:Azure Rock Star
専門知識が必要
Azureは下記のような専門知識が必要になります。
- プログラミング言語
- サーバー構築
- ネットワーク
- データベース
今回紹介した主な機能もAzure Logic Appsを除き、程度の差はあれ上記のスキルがないと開発は進められません。
上記のスキルがなくても、簡単に高速にAzureを活用したい、という方には、Definer社のPrismscalerというソリューションもおすすめ。頻出のAzureのアーキテクチャ(サービスの組み合わせ)を数クリックで構築できる他、自動監視や問題検知なども自動で実施でき、クラウドエンジニアの肩代わりとなるようなソリューションです。
画像引用:Definer Inc.
もし自社で使いこなすのが難しいと感じたらプロに依頼しましょう。
「どの開発会社に任せたらいいか分からない」「どの会社も同じように見える」とお悩みの方はシステム幹事にご相談ください。導入目的に合わせて最適な開発会社をご提案します。
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Microsoft Azureのまとめ
Microsoft Azureの概要と主な機能、導入のメリット、成功事例について紹介しました。
・Microsoft AzureはOffice365などのMicrosoft製品との連携に優れているクラウドサービス
・従量課金制を採用しており、利用料に見合ったパフォーマンスを発揮
・60以上のデータセンターを保有するなどカバーしている国・地域が豊富
・90以上のコンプライアンスに準拠しているため、グローバル展開が容易
Microsoft Azureはセキュリティ監視やデータ分析、AIボットの開発など多用で便利な機能を搭載していますが、プログラミングやデータベース設計など専門知識がないと使いこなせないケースも少なくありません。
自社の力だけではAzureを使いこなすのが難しいと感じたら、プロに外注することをおすすめします。開発会社選びに困った場合は、システム幹事にご相談ください。予算や目的から最適な会社をご紹介します。相談料などは一切かかりません。
コンサルタントのご紹介
岩田
専任のコンサルタントが、
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初心者の方でも安心してご相談いただけます。
必ず開発会社に発注する必要はありません。システム開発の相場の情報から最適な会社選びまで無料でサポートします。お気軽にご相談ください。
Q. Microsoft Azureとは何ですか?
Microsoft Azureとは、2010年にMicrosoftがリリースしたクラウドサービスを指します。多くの企業に導入されているOffice365や、Active Directoryとの親和性が高いのが特徴です。
Q. Microsoft Azureのメリットは?
Microsoft Azureのメリットは「Office365やActive Directoryとの親和性が高い」「動画などのメディア、AIやIoT、データの災害復旧などの機能を同じプラットフォーム上で利用できる」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人
喜多村道秋
専門分野: ITインフラ
新卒で大手インフラ企業に入社。約10年間、工場の設備保守や運用計画の策定に従事。2018年からSEOブロガー・ライターとして活動を開始。「相手に伝わる文章を書く」を信条に執筆しています。
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