システム運用設計とは|重要性や設計の項目・流れ・注意ポイントを解説!

システム運用設計とは|重要性や設計の項目・流れ・注意ポイントを解説!

開発したシステムは安定稼働させるよう運用することが重要。その要となるのがシステム運用設計です。しかし、具体的にどう設計を進めればいいのかわからない。そんな企業担当者に向け、重要性から運用設計の項目、設計の流れ、注意ポイントまで、システム運用設計の基本を解説していきます。

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目次
  1. 1. システム運用設計とは
    1. 1-1. 運用設計の種類 / 内容はシステムごとに異なる
  2. 2. システム運用設計の重要性 / メリット
    1. 2-1. 円滑なシステム運用
    2. 2-2. ダウンタイム短縮
    3. 2-3. 業務の属人化防止
  3. 3. システム運用設計のタイミング
  4. 4. システム運用設計 / 設計書の項目
    1. 4-1. 基本方針
    2. 4-2. システム / 業務内容
    3. 4-3. システムの管理対象
    4. 4-4. システム運用 / 保守体制
    5. 4-5. 定期 / 不定期メンテナンススケジュール
    6. 4-6. システム監視計画
    7. 4-7. バックアップ計画
    8. 4-8. 障害・災害対応 / 手順書
  5. 5. システム運用設計の流れ
  6. 6. システム運用設計のポイント
    1. 6-1. 可用性(アベイラビリティ)の確保
    2. 6-2. 機密性(セキュリティ)の確保
  7. 7. 【まとめ】システム運用設計の基本を紹介しました

システム運用設計とは

システム運用設計とは、ユーザーが安定的にサービスを利用できるよう、システムの運用方法、ルール、業務手順などを策定すること。運用の方法・ルール・業務手順をフレームワーク化し、システム運用設計書や業務手順書に落とし込むことだと考えればわかりやすいでしょう。

ソフトウェア / ハードウェアなどのシステム本体だけではなく、環境や体制づくりなど、システム運用設計の対象は多岐にわたります。そのため、システム運用設計は全体を「業務運用設計」「基盤運用設計」「運用管理設計」の3つに分類して設計を進めていくことが一般的です。

 

概要

具体例

業務運用設計

システム運用者 / 利用者双方の業務を

円滑にする項目を設計

アプリケーションの正常監視、

起動 / 終了方法の定義、

サポートデスクの運用方法など

基盤運用設計

ソフトウェア / ハードウェアを含む

システムを安定稼働させる項目を設計

OS / ミドルウェアのアップデート、

ハードウェア保守、データバックアップなど

運用管理設計

システム運用に関するルールを設計

ログデータの収集方法、異常検出の基準、

定期レポート / レビューの方法など

運用設計の種類 / 内容はシステムごとに異なる

ただし、システムごとに構築方法やデプロイ環境は異なることに注意が必要。セオリー通りに設計を進めるのではなく、自社の状況にあわせ、システム運用設計の種類 / 内容を最適化していくことがポイントです。

たとえば、PaaSで自社システムを開発するのであれば、基盤運用設計に関する運用負荷は大幅に軽減できます。正常 / 異常監視(正常な動作や異常な動作を監視する)の仕組み / ルールを策定する必要はあるものの、ソフトウェア / ハードウェアのメンテナンスは不要です。

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システム運用設計の重要性 / メリット

システム運用設計の重要性 / メリット

ここまでの解説でお分かりのように、システム運用設計は「開発したシステムを継続的かつ安定的に動作させていくための指標」です。そもそも、システム化の目的は「設定した目的 / 目標を達成するためIT資産を最大限活用する」こと。システム開発そのものよりも、むしろシステムを活用し続けるための運用指標を示す「システム運用設計」が重要です。

また、システム運用設計をもとに「システム運用設計書」「業務手順書」を作成することで、以下のようなメリットも得られます。

円滑なシステム運用

システムに携わるすべてのスタッフが「システム運用設計書」「業務手順書」を共通ルールとすることで、円滑なシステム運用を実現できます。だれが、いつ、なにをすべきかが明確になるため、対応のバラツキをなくす効果も得られるでしょう。

ダウンタイム短縮

完全なITシステムというものは存在しないため、イレギュラーなトラブル発生は避けられません。しかし、あらかじめ障害時の対処法や手順をシステム運用設計で定義しておけば、システムのダウンタイムを最小限に抑えられます。

業務の属人化防止

システム運用設計で定めた方法・ルール・手順をマニュアル化することによって、プロジェクトにありがちな業務の属人化を防止できるメリットが得られます。運用を継続していくなかで得られた知見をマニュアルにフィードバックすることで、新人教育にも有用な教材として活用できるでしょう。

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システム運用設計のタイミング

それでは、システム運用設計はどのタイミングで実施するのがベストなのか。一般的には、システム開発設計時、具体的には基本設計 / 詳細設計フェーズで実施するのが望ましいとされています。

なぜなら、システム運用設計を実施するには、運用するシステムの目的や要件、詳細情報が必要だからです。すでに運用しているシステムの場合でも、運用方針の変更や改善を検討しているなら、改めてシステム運用設計を実施する必要があるでしょう。

システム運用設計 / 設計書の項目

管理者はもちろん、立場の異なる関係者が関与するシステム運用設計は、具体的な設計項目、アウトプットされる成果物「システム運用設計書」の項目も多岐にわたります。システムによっても異なりますが、一般的なシステム運用設計の項目は以下の通りです。

基本方針

システム運用の方法・ルール・手順に関する基本方針を明確化する設計項目。目的、達成すべき目標、稼働時間など、システム全体に求められる運用要件や運用計画を、機能要件 / 非機能要件をもとに設計していきます。

機能要件とは、開発するシステムに実装される必要な機能のこと。非機能要件とは、可用性、安全性、拡張性など、機能要件以外に求められるシステムの条件のことです。どちらもシステム開発の基本設計フェーズで策定される要件。システム運用設計のタイミングを開発設計時にするのはこのためです。

機能要件 / 非機能要件については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:機能要件とは|システム開発プロジェクトにおける重要性や非機能要件との違いを解説!

システム / 業務内容

システム運用の概要を把握するため、システム構成やシステムを活用した業務内容 / 手順を明確化する設計項目。システム構成図を作成するシステム設計、業務内容 / 手順を設計する業務設計も、システム開発の基本設計で策定される項目です。

システム開発の基本設計については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:システム開発の基本設計とは?その位置付け・重要性・発注者としての関わりかを解説

システムの管理対象

システム運用の対象となる管理項目を明確化する設計項目。たとえば、OS / ミドルウェア / アプリケーションなどのソフトウェア、サーバPC / ネットワーク機器などのハードウェア。ファイアウォール / WAFなどのセキュリティソリューション、ユーザーのアカウント管理などが挙げられます。

システム運用 / 保守体制

運用 / 保守の方法、担当者、管理者へのエスカレーション(報告)方法など、システム運用 / 保守体制を明確化する設計項目。自社でシステム運用を実施するのか、MSPや開発会社へ一部、またはすべてをアウトソーシングするのか、実務担当もこの時点で決定しておきます。

※MSP(Managed Service Provider)とは、システム運用 / 保守を専門とするサービス / 会社のこと

定期 / 不定期メンテナンススケジュール

システムの安定的な運用に欠かせない定期メンテナンス、不定期メンテナンスの項目 / スケジュールを明確化する設計項目。定期メンテナンスとして挙げられるのは「サーバの再起動」「データバックアップ」「セキュリティパッチの適用」「ハードウェア保守」など。不定期メンテナンスとして挙げられるのは「OS / ミドルウェアのアップデート」などです。

システム監視計画

システムを正常 / 異常監視する方法や体制、ログの収集や分析方法を明確化する設計項目。ツールの進化した現代では、システム監視の自動化が進んでいるものの、最終的なチェックには担当者が必要です。ツールからの通知を受信する方法や監視担当者を設定する必要もあります。

バックアップ計画

定期メンテナンスの1つである、データバックアップの方法 / 手順を明確化する設計項目。特に、バックアップのタイミングや作成場所、バックアップからのシステム復旧方法などは、BCPの観点からも非常に重要です。

※BCPとは、万一の場合に備えた事業継続計画のこと

障害・災害対応 / 手順書

障害時や災害時に備え、システムの復旧方法 / 手順を明確化し、手順書にまとめていく設計項目。エスカレーションのフローを含め、実務担当者の手引書として利用される重要な書類です。

システム運用設計の流れ

システム運用設計から実際の運用への流れ / 手順も解説しておきましょう。

基本方針と要件の定義

機能要件 / 非機能要件をもとに、

システム運用の基本方針と運用要件を定義

項目ごとにシステム運用設計

基本方針 / 要件定義をもとに、

項目ごとの運用設計を進める

運用テスト

システム運用設計書をもとにテスト運用し、

改善点をフィードバック

​​システム運用開始

改善:システム運用を本格稼働し、

実務を継続しながら改善点を都度フィードバック

システム運用設計のポイント

システム運用設計のポイント

項目の多岐にわたるシステム運用設計ですが、設計全体を通して意識しておきたいポイントを2つ紹介しておきましょう。

可用性(アベイラビリティ)の確保

まず1つ目のポイントは、可用性(アベイラビリティ)の確保を重視したシステム運用設計を意識すること。なぜなら、システム開発の目的を達成するには、使いたい時に使えるシステムであることが大前提だからです。そのためには、トラブルを予防する仕組み、万一の障害時のダウンタイムを最小限にとどめる仕組み / 手順の確立が必要です。

機密性(セキュリティ)の確保

2つ目のポイントは、機密性(セキュリティ)の確保を重視したシステム運用設計を意識すること。特に、機密情報を扱う業務システムやWebサービスでは絶対条件です。ファイアウォール / WAFなどの外部攻撃に備える仕組みだけでなく、アクセス権限や承認方法など、内部からの情報漏洩を防止する対策も必要です。

【まとめ】システム運用設計の基本を紹介しました

開発したシステムは安定稼働させるよう運用することが重要。しかし、その要となるシステム運用設計をどう進めていけばいいのかわからない。そんな企業担当者に向け、重要性から運用設計の項目、設計の流れ、注意ポイントまで、システム運用設計の基本を解説してきました。

なお、システム開発・運用会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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