- 更新日 2024.02.27
- カテゴリー システム開発
システム基盤とは?要件定義などの工程や開発方法・注意点を解説【2024年最新版】
DX推進にあたり、システム基盤というワードを見かける機会が増えてきました。日本の企業で使われているシステムの多くは、20年以上使われている既存システム(レガシーシステム)です。
このままレガシーシステムが使われ続けると、a経済産業省のDXレポート(平成30年)によると、数年後「2025年の崖」には、約12億円の経済損失が生じるといわれています。
とはいえ、
- 自社でシステムを開発したいけれど、導入方法がわからない
- システム基盤を導入する目的を整理したい
- 用語が難しくて、どこから始めたら良いかわからない
とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、システム基盤の概要、導入する目的、自社でシステム基盤を開発する際の検討事項などを解説します。自社外で開発する方法も合わせてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
※システム基盤を自社で開発するのが困難と少しでも思える際は、システム幹事にご相談ください。貴社におすすめのシステム基盤に強い会社を紹介します!
システム基盤とは?
システム基盤とは様々な業務システムの基盤となるものです。業務アプリケーションの運営を支える基盤を作るために「要件定義」「設計」「構築・テスト」などの段階を踏んで、業務の最適化を図るものです。
システム基盤(開発)と呼ばれるものとして、下記があります。
- ストレージ
- パソコン
- サーバー
- OS
- スマホやタブレット
- ネットワーク
- データベース
システム基盤を導入することで、作業効率の向上や情報の一括管理、セキュリティの強化などが可能となり、結果的に企業の事業拡大にもつながります。
システム基盤の事例
「基盤」という言葉の定義が広すぎてイメージが湧かない人も多いでしょう。あくまで一部ですが、システム基盤を構築する例を紹介します。
他社と統合するがシステムの基盤がバラバラ
今ご覧いただいている当サイト・システム幹事が似たようなサービスの競合を買収するとします。そうなるとオフィスに社員が増えるため、現在のWi-Fi環境ではパンクしてしまうため、さらに強化が必要になります。また、システム幹事ではデータなどの管理をするサーバーはAmazonのAWSを使用していますが、競合サービスはMicrosoftのAzureを使っているかもしれません。バラバラのサーバーを使うと管理がしにくくなるため、共通のシステム基盤にしたいと思うでしょう。これはあくまでシステム基盤の一部分ですが、イメージはそのようなものです。
全社リモートワークにするためのシステム基盤が必要
もう一つの例で言うと、今までフル出社で、デスクトップのPCで管理していたけど、リモートワークに変わるケースも当てはまります。仕事で使うデータなどを外に持ち出してノートパソコンでも使えるようにするためクラウド化するなどもシステム基盤の構築の一例です。
システム基盤を導入する主な目的
セキュリティ、コンプライアンス対策の強化
企業は、常に莫大な情報を取り扱わなければなりません。万が一、情報の漏洩が発生した場合、企業のイメージや顧客からの信頼損失、企業存続の危機にも影響してしまいます。
システム基盤を導入することで、セキュリティに関わる情報を一括管理できるようになります。自社内に標準化されたシステム基盤があれば、効率的に新たなシステムの導入や運用も可能です。
また、自社で不正利用や機密・個人情報の漏洩などのトラブル発生した際に問題箇所を特定しやすくなるため、解決にかかる時間やコスト削減にもつながるでしょう。
業務の効率化・標準化
システム基盤を活用すれば、ワークフロー(業務の流れ)の見直しを図ることができます。
例えば、グループウェアやワークフロー基盤領域の整備・見直しをすることで、システム上で情報・モノ・お金などを一括管理できるため、各業務システムで迅速な共有が可能です。
画像引用:GRANDIT
さらに、アプリケーションの仕様変更も簡単にできるため、品質も高くなります。
事業展開の加速
システム基盤の導入により既存の分散されたシステム情報を整理できれば、新たな事業展開への加速も期待できるでしょう。
業務アプリケーション開発に柔軟性がもたらされ、その時々のニーズに従った使い勝手のよい環境が提供できるようになります。
自社でシステム基盤開発する際の検討事項
システム基盤を自社開発すべきかお悩みの場合は、以下事項を検討しましょう。
1. システムの構築要素(システム・コンポーネント)
システムの構築要素とは、システムを開発する上で、どのコンポーネント(部品)を使用するかの組み合わせのことを言います。
例えば、スマートフォンを選ぶ上で「どのくらいの容量があるのか」「写真の画質はきれいか」「コンパクトだけど機能も充実しているのか」など、人によって重視する部分が異なります。
システムを構成する際も同様に、どのような人がどんな作業で使うシステムかによって、優先度の高い部品を考えて組み立てねばなりません。
ここでは、1つ1つのコンポーネントの依存性が高すぎないように注意して剪定する必要があります。いざ複数のコンポーネントを組み合わせた際に、本来不必要なインターフェースが生じ、設計が複雑化してしまうリスクが生じるからです。
2. アーキテクチャ
次に、アーキテクチャの検討です。「アーキテクチャ(Architecture)」とは、システムの設計方法や設計思想、およびその設計思想に基づいて構築されたシステムの構造を指します。先ほど述べたインターフェース(接続の仕方)を検討するのもアーキテクチャの1つです。
アーキテクチャを設計せずにプログラミングやテストを行うと、動作の不安定や速度が遅いといった予期せぬ事態に対応しにくくなります。なお本番環境への移行後も常に最適化のシステムを維持するためには、常に新しいアーキテクチャの定義を考え続ける必要があります。
3.非機能要件
「非機能要件」とは、機能以外の全ての要件を指します。対して機能要件は、システム構築にあたって使う側が必要とする機能です。
「機能が充実していれば、機能以外は重要視しなくてよいのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし、非機能要件が十分に整っているかいないかで、作ったシステムの質や満足度も変わってきます。
非機能要件には主に6つの項目が用意されており、自社が使用するシステムに合わせて非機能要件を調整します。
- 可用性
- 性能・拡張性
- 運用・保守性
- セキュリティ
- 移行性
- システム環境・エコロジー
ただし、すべての項目を満たそうとするほど予算が高くなるため、ニーズに合わせた調整が必要です。以下に詳しく解説します。
可用性
可用性とは、システムサービスを継続的に利用できる能力のことを指します。
システムの稼働において、不正利用や災害など予期せぬ事態が生じる可能性があります。また計画的なバージョンアップやメンテナンスが行われる際でも、アクセス権利のある人ならば誰でも、いつでも利用できる状態を保たなければなりません。
そのように可用性が高いシステムを保つためには、
- トラブルが発生したときのために予備の機器を用意しておく
- バックアップセンターの設置
といった対策を行う必要があります。
※システム基盤を自社で開発するのが困難と少しでも思える際は、システム幹事にご相談ください。貴社におすすめのシステム基盤に強い会社を紹介します!
性能・拡張性
性能とは「処理の速さ(スループット)」や「顧客からの要求が送信されてからどのくらいの時間で受信できるか(レスポンスタイム)」といった能力を指します。
拡張性とは、業務量や業務内容によってシステムの性能が追いつかず、拡張する必要があることも推測する要件のことを言います。
企業の業務内容は常に流動的であり、新しいシステム導入後も機能を増やさなければならない事象が発生するでしょう。また1年を通して、閑散期や繁忙期など業務量も異なってきます。
そのためには、スループットやレスポンスタイムを考えたリソースを見積もったり、将来も見据えた機器やネットワークの配置を検討しましょう。
運用・保守性
運用・保守性とは、システムの運用時に求められる稼働レベルや問題が発生した際に対応できる能力です。
対策としては、事前に問題が起きた状況を考えてマニュアル整備やトレーニング、バックアップの方法を確立し、それぞれが認知しておくなどが挙げられます。
セキュリティ
セキュリティは、不正なアクセスやウイルス感染、データ保護のためにアクセスを制限するといった要件のことです。
セキュリティを守るためには、アクセス制限や不正アクセスを防ぐために不正の検知や追跡、監視を行います。また、システムを運用する人達にセキュリティ教育を実施するのも対策の1つです。
移行性
現行システムの移行に関しても検討しなければなりません。例えば、本番環境や新システムへの移行方法や移行期間、移行量はどのくらいあるかといった項目が挙げられます。
綿密な移行スケジュールを予め制作したり、場合によっては移行リハーサルを実施するなどしてリスクを減らすことができます。
システム環境・エコロジー
システムを開発する上で、設置する環境やエコであるかどうかも要件項目として重要視される点です。システムを管理するためには、室内の温度や湿度、また耐震や騒音についての対策が必要です。
また、なるべくCO2が排出されないシステムとなっているかも要件として含まれています。
システム基盤開発の工程
ここまでの要件が定まったら、実際の開発フェーズへと移行します。
システム基盤開発には主に4つの工程があります。
- 要件定義(分析)
- 設計(基本設計・詳細設計)
- 構築・テスト
- 本番移行
1.要件定義(分析)
要件分析とは、どんなシステムを作る必要があるか情報を集める工程です。
例えば、
- どのような人が使用するか
- どのような情報を扱うのか
- どのような機能が必要か
などを考えた上で定義していきます。要件定義に不備があると、途中でミスが発覚した際に、修復するのに時間がかかります。
また、システムを作るにあたって多くの人が関わるため、要件定義の認識にズレが生じてしまうと、完成したシステムも納得したものに仕上がらないリスクがあります。システムに関わる人たちの認識を合わせるためにも、焦らず時間をかけて計画する必要があるでしょう。
要件定義の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:システム開発の要件定義とは?目的や進め方、コツ紹介|サンプル付
2.設計
要件定義が決まったら設計を行います。設計には、基本設計と詳細設計の2種類があります。
基本設計 |
システムの見た目やデザインを設計する作業 |
詳細設計 |
プログラミングのコードを設計する作業 |
システムは本来、業務の作業効率を上げる一環として導入されるものです。にもかかわらず基本設計で操作しにくいシステムを作ってしまうと、導入前に比べて作業効率が下がるリスクがあり本末転倒になりかねません。そのため、客観的な立場で設計できる人物が行う必要があるでしょう。
また詳細設計のコードが誤っていると、システムの一部の機能が使用できない可能性があります。1人に任せるのではなく、複数人でダブルチェックを行いながら進めるチーム体制を敷きましょう。
基本設計・詳細設計の詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:システム開発の基本設計とは?その位置付け・重要性・発注者としての関わり方を解説!
関連記事:システム開発の詳細設計とは?プロジェクトの位置付け・役割をわかりやすく解説!
3.構築・テスト
設計後にプログラミング作成が完了したら、実際に運用できるかテストを行います。
テストは1つだけではなく、主に以下4つのテストをクリアすると本番移行が可能と判断されます。
-
単体テスト:
要件定義で決めた計画が運用できるか -
結合テスト:
単体テストがクリアしたら複数のプログラムが組み合わさっても正常に運用するか確認 -
システムテスト:
結合テストも無事クリアしたらすべてのプログラムを組み合わせても正常に動くか確認 -
運用テスト:
本番と同じ場所で利用できるかどうか確認
運用テストでも問題ないと判断されたら、本番移行を行います。テストで問題が発生した場合は、プログラミングが誤っている可能性があるため、随時調査します。
テストを十分に行わずに実際の運用に移ってしまうと、社内の人々が使えず業務に支障が出てしまいます。そのため、テストは入念に行わなければならない作業です。
テストの詳細は下記記事をご参照ください。
関連記事:システム開発のテスト工程を徹底解説!システムテストと受け入れテストの違いは?
4.本番移行
テストで無事運用できると判断したら、最後はシステムの移行です。システムの移行には「一斉移行」と「順次移行」する方法があります。
- 一斉移行:一気にすべてのシステムを移行する方法
- 順次移行:少しずつシステムを移行する方法
なるべく早めにすべてのシステムを新しくしたい場合、一斉移行が取り入れられますが、従業員がシステムの使い方を把握していなければ、移行後の業務に支障が出てしまうでしょう。
移行前に研修や新システムに関する資料の用意、ロープレなどを徹底しておく必要があります。
急を要しないのであれば、徐々に移行していき、システムに慣れてもらうとよいでしょう。
システム基盤を自社開発以外で行う方法
自社で開発したいけれど、IT担当者や詳しい人がいない場合は、
- 受託開発を依頼する
- システム基盤の既存ソフトウェアを購入する
などの選択肢があります。
受託開発を依頼する
自社でシステム基盤を開発する場合、1から要件定義や予算、工数などを計画するのは負担が大きく時間も要します。一方で、受託開発を依頼すれば、社内にITについて詳しい人がいなくても、細かな要望や条件を提示すればシステムの開発を代行してもらえます。
自社であれば「ここが使いにくい」と、社内のエンジニアに相談することで柔軟に対応してくれますが、受託開発に依頼する場合は社内でどんなシステムを作りたいか。ある程度形にしておくとよいでしょう。
注意点
自社開発以外で行うと、自社のエンジニアの知識やノウハウなどが蓄えられなかったり、委託先によってはカスタマイズ性に制限があるといった注意点があります。また依頼側がシステムについて十分な理解をしていないと、当初の希望と違うシステムができあがるリスクも生じます。
そのため、要件定義の際に要望や予算などを細かく確認してくれる、理論立ててアドバイスを提供してくれるなどを見極めのポイントにするとよいでしょう。
システム基盤の既存ソフトウェアを購入する
システム基盤の既存ソフトウェアを導入するのも1つの方法です。
システム基盤の既存ソフトウェアを購入するメリットは、
- システム基盤について詳しい人がいなくても、新しいシステム導入が可能
- 自社の既存システムをベースにして移行が可能
などがあります。
注意点
既存ソフトウェアを購入することで、
- 性能の良さや評判を重視してしまい、自社のシステムに合わなかった
- 既存ソフトウェアの導入により、操作が複雑化し従業員の作業効率が下がる
などの事態を招くことがあります。既存のソフトウェアを選ぶ際には、カスタマイズが充実している、プログラミング作業なしでも導入可能なソフトウェアを購入するとよいでしょう。
【まとめ】システム基盤開発とは
本記事では、システム基盤開発の概要やシステム基盤の開発工程についてご紹介しました。システム基盤とは、システム基盤とは業務アプリケーションの運営を支える基盤のことです。
システムを開発する主な方法として「自社で開発する」「開発受託を依頼する」「既存ソフトウェアを購入する」の3つが挙げられます。自社で開発を行う場合は、自社にノウハウは蓄えられるメリットがありますが、システム開発について詳しい人材配置や多くの時間が必要です。
「自社で開発が難しく、システム開発を依頼したい……」「システム開発を依頼したいけれど、会社選びに困っている」とお悩みの方は、ぜひシステム幹事にご相談ください。
コンサルタントのご紹介
岩田
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Q. システム基盤とは何ですか?
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Q. システム基盤とは?
システム基盤とは、ストレージやパソコン、サーバー、OS、スマホやタブレット、ネットワーク、データベースなどを指します。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人
Risa
専門分野: 光回線、SDGs、ビジネス、音楽、映画など
2020年9月よりフリーライターとして活動開始。「誰が読んでも分かりやすく、親しみやすい文章」がモットー。SEOやインタビュー記事、記事型LPなど幅広いジャンルで執筆中。
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