システム開発会社の評価の方法!提案を正しく見極めるための指標を解説【2024年最新版】

システム開発会社の評価の方法!提案を正しく見極めるための指標を解説!

システム開発の発注は、各システム開発会社の提案内容を比較して評価していきます。

しかし、開発会社からの提案書やシステムのデモではシステムの良し悪しの評価は難しいです。なぜなら、金額や納期が異なり評価基準があいまいで、定量的に策定することが困難だからです。

・どうやって評価したらいいかがわからない
・そもそもどんな流れで会社を決めたらいいのだろうか
・評価するための基準は何だろうか

上記でお悩みの担当者に向け、本記事では、システム開発会社からの提案を、客観的かつ正しく評価する方法について解説します。

システム開発会社に発注する際のチェックリストやおすすめの会社については、こちらにまとめました。あわせて参考にしてください。

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目次
  1. 1. 【評価表】システム開発の提案に対する9つの評価項目
    1. 1-1. 対応機能
    2. 1-2. 信頼性
    3. 1-3. 技術力
    4. 1-4. プロジェクトマネージャーの能力
    5. 1-5. 実施体制
    6. 1-6. スケジュール
    7. 1-7. コスト
    8. 1-8. セキュリティ
    9. 1-9. 運用・保守
  2. 2. システム開発会社の提案に対する評価の流れ
    1. 2-1. 1.RFIまたはRFPをシステム開発会社へ送付
    2. 2-2. 2.システム開発会社から提案書を受領する
    3. 2-3. 3.提案書に対し、評価項目に沿って点数を付け選択肢を絞る(一次評価)
    4. 2-4. 4.システム開発会社からプレゼンとデモを受ける
    5. 2-5. 5.評価者が評価を付ける(二次評価)
    6. 2-6. 6.評価を集計して協議する
    7. 2-7. 7.最終結果を比較し、発注先を選定する
  3. 3. 【まとめ】業者を選定する前にプロに相談しよう

【評価表】システム開発の提案に対する9つの評価項目

システム開発会社の提案内容の良し悪しを判断するためには評価するための基準が必要です。ここでは評価するうえで必要な9つの評価項目を紹介します。

観点

評価項目

対応機能

  • ・必要な機能要件に全て対応しているか
  • ・必須要件以外にどの程度対応しているか

信頼性

  • ・可用性(システムが継続して稼働できる能力)が

 担保された提案になっているか

技術力

  • ・導入したいシステムと類似の導入実績があるか
  • ・求めている技術の実績があるのか

PMの能力

  • ・PM(プロジェクトマネジャー)の開発・運用の経験
  • ・PMのプロジェクト管理スキル
  • ・PMの理解力・コミュニケーション力
  • ・PMのリスク察知力

実施体制

  • ・開発要員を確保できるのか

スケジュール

  • ・作業項目の順序や依存関係が明確かつ適切か
  • ・作成する成果物は明確になっているか

コスト

  • ・システム導入費および保守・運用費の合計額について、
  •  一定の基準を設けて評価する

セキュリティ

  • ・セキュリティ要件に対応し、対策が適切になされるか

運用・保守

  • ・運用・保守の時間帯が希望通りか
  • ・運用要件及び保守要件に対応する旨の記述があるか
  • ・トラブル発生時に迅速に対応できるか

ここからは各観点について詳しく説明します。

対応機能

自社が要求している機能を満たすことができるか否かが判断ポイントです。ただし、この時点では提案書に書かれてある内容だけで、自社が求めている機能を満たしているか判断しなければいけません。しかし、初めてシステム開発を発注される方は、自社が求めている機能が満たしているか否かの判断が難しいかもしれません。

その場合は、システム開発会社の営業担当とコンタクトを取り、不明点を明らかにするといいでしょう。特に、優先度の高い、必ず満たしてほしい機能が満たせそうかが重要です。優先度の高い機能や条件を満たしていない提案は選択肢から外してください。

信頼性

システムの可用性(システムが継続して稼働できる能力)が担保されている提案なのかどうかも重要な観点です。システムが突然使えなくなるなどのトラブルは避けたいものです。例えば、バックアップの構成が組まれているかなど、サーバーの構成は特に意識したほうがよいでしょう。

技術力

求めているシステムを構築できるスキルがあるのかを判断します。

・自社で開発したいシステムに似た開発事例はあるか
・開発で「こだわった点」や「成功した要因」など具体的な話はあるか
・プロジェクトで使用する技術に関連する資格があればなお良い
 
例:AWSを使用する場合、「AWS認定試験」
   インフラ技術者の場合、「ネットワークスペシャリスト」「オラクルマスター」等

上記の2点があるかを見てください。開発実績の例が多くても、自社で開発したいシステムの経験がないと対応できない可能性があります。多さだけでなく、必ず実績の中身まで確認しましょう。

例えば、WebサービスでもtoC(一般ユーザー向け)なのか、社内向けの業務支援システムのようなtoB(法人向け)なのかで必要な機能などは違います。

また、医療や金融系のシステムは特殊な仕組みが必要で業界知識も必要になるため、実績が豊富か特に気にしたほうが良いでしょう。

プロジェクトマネージャーの能力

プロジェクト管理は、システム開発を進めるうえで特に重要な要素です。特に、プロジェクトの推進担当者であるプロジェクトマネージャーの力量によってプロジェクトが成功するか否かが決まるといっても過言ではありません。

プロジェクトマネージャーを評価するうえでの判断ポイントを下記のとおり挙げます。

・過去にどのようなプロジェクトをプロジェクトマネージャーとして推進したか
・類似のプロジェクトを経験したことがあるのか
・プロジェクトマネージャーの説明がわかりやすいか
・質疑応答の際の受け答えが適切に行われているのか

発注者はこの先、主にプロジェクトマネージャーとコミュニケーションを取ることになりますので、技術的なスキルだけでなく、マネジメント力とコミュニケーション力が高いほうが望ましいです。

資格を持っているPMなら良い プロジェクトマネジャーの実力を測る物差しとして、資格を持っているは参考になります。PMPなどのプロジェクトマネジメントに関する資格を取得し、体系的にプロジェクトマネジメントの知識を保有しているのか。これはプロジェクトマネジメントの専門家であることを証明する資格。米国のプロジェクトマネジメント協会であるPMIが認定します。

実施体制

システム開発プロジェクト体制図

実施体制はプロジェクトの成功に影響しますし、開発費用の妥当性を判断するうえで重要な情報になります。

まずは体制表が提案資料に明示されているかを確認します。明記されている場合は、具体的なメンバーの氏名が記入されているかを必ず確認してください。氏名が明記されていなければ、開発メンバーがまだ確保できていない可能性があるため、いざプロジェクトを始めようとしても、メンバーが足りず、プロジェクトが進められないといったリスクが存在します。

また、リスクを回避するために、プロジェクトに参画される人数や各メンバーがプロジェクトにどの程度の比率で参画されるのかを明記していただくのがよいでしょう。通常は「人月」や「人日」という単位で測ります。

システム開発の体制に関しては下記の記事も参考ください。

関連記事システム開発の役割分担〜発注者が知るべきプロジェクト体制のポイントを解説

スケジュール

スケジュールが資料に明記されているかを確認します。明記されている場合は、そのスケジュールに妥当性があるのかを確認します。見積もられた金額と割り当てられた人数がスケジュールと整合性が合うかどうかを確認してください。

また、提案書にシステム開発会社が作成する成果物が明示されているかを確認します。成果物とは、要件定義書、設計書、テスト仕様書、テスト結果書、プログラムソースなどが挙げられます。発注者は画面上に動くシステムだけでなく設計書などのドキュメントに対しても対価をお支払いすることになりますので必ず成果物は明らかにすることをおすすめします。

提案書に成果物を記載することにより、提案時点とシステム開発後で、システム開発会社から納品いただくドキュメントやプログラムソースに差異が発生していないかどうかを確認することが可能になります。

システム開発のプロジェクト管理では「WBS」という表を使うことが多いです。下記の記事も参考ください。

関連記事システム開発におけるWBSとは?プロジェクト管理の基礎を解説!

コスト

開発費用を比較します。数字として出てくるので、評価項目の中でも評価が容易な項目です。ただし、低い金額が提示されている提案では、見積の対象が他の提案よりも範囲が狭い可能性がありますので、必ず見積の対象は他の提案と合っているかを確認しましょう。

システム開発で多い失敗が金額の安さだけで決めてしまうこと

「発注金額の安さ」だけで発注先を決めてしまう失敗が多いです。できるだけ安い金額で発注したいのは人情ですが、作ることが目的になってしまっては失敗のもと。他の項目も比較した上で、きちんと課題を解決できるかで決めましょう。

システム幹事への相談では、他の開発会社から驚くほど低価格の料金を提示されたお客様も多数います。ですが、その金額では目的を達成できるシステムができない場合がほとんど。金額の安さに釣られないように気をつけましょう

システム開発にどれくらい費用がかかるのか、相場情報は下記の記事を参考にしてください。

関連記事システム開発の費用・相場を徹底解説!料金を抑えるコツも紹介!

セキュリティ

近年は不正アクセスや情報漏洩などの事件が多発しています。そのため、求めているセキュリティ要件を満たすかどうかも重要な要素です。

発注者がセキュリティに関する知識が不足し、どういった観点でセキュリティを評価すればよいかわからないという方は、以下の質問を投げるといいでしょう。

・セキュリティの専門部隊が存在するのか
・セキュリティに詳しい要員がプロジェクトに参画されるのか

運用・保守

システムは開発して終わりではありません。利用者がシステムを継続利用するためには、システムを運用保守していく必要があります。

「運用」は、開発・リリースされたシステムを継続的に安定して稼働させるため、管理・監視を行うこと。「保守」は障害が発生した際に原因を究明してシステムを復旧・修正することです。

システム運用

システム監視

日常メンテナンス

保守へのエスカレーション

システム保守

障害の原因究明・復旧

システムの改善提案・実施

そのため、システム導入後の運用・保守体制は確認してください。

構築するシステムによって異なりますが、

・保守運用の部隊が存在するのか
・24時間体制での保守が可能かどうか
・外国語対応が可能か
・障害発生時に即時対応が可能か

などの評価ポイントがあります。

以上がシステム開発会社からの提案の評価項目です。

どこに発注すべきかを決める際は、下記の資料もご活用ください。

初めて見積依頼をする前にご覧ください! 開発会社の選び方、依頼前に必要な準備などをわかりますくまとめました。
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関連記事システム開発会社の選び方7ポイント!依頼の準備と注意点も解説

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システム開発会社の提案に対する評価の流れ

システム開発の発注まで

最後に、システムの導入を希望されている方が、どんな流れでシステム開発会社から提示された提案を評価するのかについて説明します。

1.RFIまたはRFPをシステム開発会社へ送付

システム導入を希望する担当者はRFI(情報提供依頼書)やRFP(提案依頼書)を送付します。

RFIとはRequest for Informationの略で、システム開発会社が保有している製品やサービスの概要などの情報を収集するための依頼書です。RFIはシステム開発会社の提案を選定するための文書ではなく、製品やサービスの情報を収集することが目的です。

RFPはできるだけ作成しよう

RFPのサンプル

Request for Proposalの略で、システム開発会社に対して具体的な提案の作成を依頼するための文書です。複数のシステム開発会社に対してRFPを送り、RFPを受けたシステム開発会社は提案書を作成します。

RFIを送付し、どのような会社なのかを理解してから、具体的な依頼をするためにRFPを送付するといった手順が一般的ですが、システム開発会社のWebのお問い合わせページから問い合わせる場合や既にシステム開発会社と面識がある場合は、RFPのみを送付するケースがあります。

RFPの代わりに社内向けの企画書などを開発会社に見せるケースもありますが、特に機能面などでより良い提案をもらうためにはRFPを作成するほうが望ましいです。

2.システム開発会社から提案書を受領する

システム開発会社は、発注者から受け取ったRFPをもとに提案書を作成します。

なお、RFPに記載している内容について理解を深めるためにシステム開発会社から打ち合わせやWeb会議を要求されることがあります。その場合は、より良い提案をいただくためにも真摯に対応するようにしましょう。

受領される提案書の内容については、下記の内容が記載されることが一般的です。会社やプロジェクトの内容によって記載される内容は変わりますが、RFPの段階で下記の項目を提案書に盛り込むよう、依頼をかけておくことをおすすめします。

システム概要

システム開発の背景、目的、解決したい課題、得たい効果

現行のシステムとの関連、会社・組織の概要

新システムの利用者、システム開発の予算

提案依頼事項

システムの構成、性能、品質、運用条件、納期スケジュール

納品条件、定例条件、開発体制、プロジェクト管理方法

開発言語、開発手法、現行システムからの移行方法、費用見積もり

提案手続き

提案依頼書に対する窓口、提供資料、選定方法

開発の条件

開発期間、作業場所、開発に使うコンピュータ機器、資料

契約事項

支払い条件、保証年数、機密事項、著作権

下記の記事を参考に、依頼準備をしてください。

関連記事システム開発の依頼準備8点!プロジェクトを成功に導く外注ガイド

3.提案書に対し、評価項目に沿って点数を付け選択肢を絞る(一次評価)

提案書の受領後は、評価項目に沿って点数を付け候補を絞ります。RFPに記載した必須条件に満たない提案はこの時点で候補から外します。選択肢が多いとその後の選考に時間を要することになりますので、3から5社程度に絞るのが望ましいです。

なお、具体的な評価項目は【評価表】システム開発の提案に対する9つの評価項目を参照ください。

4.システム開発会社からプレゼンとデモを受ける

候補を絞ったあとは、システム開発会社よりプレゼンや製品デモを受ける機会を設けます。自社の会議室や貸会議室などで対面での選考会を開くのが一般的でしたが、最近ではコロナ禍の影響により、Web会議形式で実施することもあります。通常は1時間程度で実施し、プレゼンや製品デモの後に質疑応答の時間を設けます。

プレゼンは営業の方ではなく実際にプロジェクトを主導されるプロジェクトマネージャーの方に実施いただくことをオススメします。なぜなら、実際にプロジェクトを進めるのはプロジェクトマネージャーであり、プロジェクトマネージャーの力量やシステムに対する理解度を評価するための絶好の機会となるからです。

また、発注側の評価者の選出も重要です。システムを導入する部門だけでなく、システムの利用者または利用者目線で判断ができる部門の方を評価者に含めることをおすすめします。利用者の使い勝手の良し悪しや、システムが業務に沿った内容かどうかという観点で評価できるためです。

5.評価者が評価を付ける(二次評価)

システム開発会社のプレゼンやデモが完了後、評価者があらためて【評価表】システム開発の提案に対する9つの評価項目に沿って評価を行います。各評価項目に対して点数を付けていきます

3.の開発会社を絞る段階では提案書ベースでしたか評価ができていないので、4、5で実際にプレゼンやデモを受けたうえで再度評価することになります。3で受けた印象と5時点で評価が逆転することはしばしばあります。

6.評価を集計して協議する

各評価者の点数を集計し、評価者同士で最も良かった提案について協議していきます。

7.最終結果を比較し、発注先を選定する

協議後は、発注先を選定します。採用となった企業に対しては、採用となった旨の連絡をします。その後は開発に向けた具体的な話を進めていきます。

一方で、不採用と判断した企業には不採用となった事実を伝えましょう。
別の機会で仕事を共にする可能性もありますので、提案書を作成いただいたことに対するお礼も伝えるよう心掛けてください

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【まとめ】業者を選定する前にプロに相談しよう

システム開発会社から受け取った提案書に対して以下の観点で評価し、納得のいく形で業者選定ができるよう心掛けましょう。

・作業項目の順序や依存関係が明確かつ適切か
・作成する成果物は明確になっているか
・システム導入費および保守・運用費の合計額に一定の基準を設けて評価する
・セキュリティ要件に対応し、対策が適切になされるか
・運用・保守の時間帯が希望通りか
・運用要件及び保守要件に対応する旨の記述があるか。
・トラブル発生時に迅速に対応できるか

システムの業者選定は、システムの良し悪しを大きく左右するため責任の重い仕事です。そのため、これまで多くのシステム開発会社の選定の実績があるシステム幹事に相談していただければ、選定のお手伝いをさせていただきます。

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Q. システム開発の評価項目には何がありますか?

システム開発の評価項目として「対応機能」「信頼性」「技術力」等が挙げられます。その他の評価項目は記事内で解説していますので、ぜひご覧ください。