- 更新日 2023.12.22
- カテゴリー システム開発
運用業務とは?システム運用の作業内容・保守との違い・運用費用を解説【2024年最新版】
「業務改善システムやWebアプリなど何らかのシステムを導入・開発することになったが、運用をどうするかまで考えられていない」
導入・開発後の運用や保守で任せるべき作業内容や費用相場がイメージできず、自社で行うか外注するか判断できず悩んでいる方もいるかと思います。
・運用業務の作業内容は?
・運用業務の費用相場は?
・外注するとなった場合の依頼先は?
本記事では、システムを導入・開発することになり運用業務について知っておきたいという企業の担当者に、運用の作業内容や費用相場などを解説します。基礎知識を深めることで運用業務を行う・外注する際に円滑に進められるようになりますので、ぜひご覧ください。
※運用業務の外注先を迷っている方はシステム幹事にご相談ください。予算や目的から最適な会社を紹介します。相談料などは一切かかりません。「まずは相場情報を知りたい」という方でも大歓迎です。
システム運用に役立つ記事もご覧ください システム運用の基礎知識をおさらい!仕事内容や費用相場を解説
運用業務とは?業務運用・保守との違い
システムの運用業務には「運用」と「保守」があり、両者は作業内容が異なります。また、システム運用と混同されやすい言葉に「業務運用」があります。
まずはそれぞれの言葉の定義や運用と保守の違いを正しく理解して、エンジニアや外注先とのコミュニケーションで認識がずれないようにしましょう。
システム運用とは
システム運用とは、システムを継続的に安定して稼働させるために、管理・監視を行うことです。具体的な作業内容を以下にまとめました。
システム運用 |
概要 |
システム監視 |
・システム・ネットワークが正常に稼働するように機器や設備を監視 ・機器の稼働状況やメモリの使用・残りの空き容量などを確認 ・異常が発生したときに記録をとる |
セキュリティの監視 |
ウイルスや不正アクセスなどサイバー攻撃を監視し対処する |
データバックアップ |
データベースの定期的なバックアップ |
システムは開発してリリースしたら終わりというわけではありません。リリース後も継続的に、システムが正常に動作しているか、攻撃を受けていないかを監視する必要があります。
また、何かしらのトラブルによりデータが消えた場合に備えて定期的にバックアップを取っておく必要性があります。
このように、システムの稼働後に管理・監視を行うのがシステム運用です。システム運用については後の章でも詳しく解説します。
関連記事:システム開発の工程・流れをプロが解説!発注者が知っておくべきポイントを紹介
業務運用とは
業務運用とは、システムの「業務」に関する部分を運用することです。システム運用がシステムの「全体」を見るのに対して、業務運用では「業務」の部分を見ます。
・業務運用…システムの「業務」の運用
・システム運用…システムの「全体」の運用
たとえば業務運用は、顧客情報や商品データの登録や更新、削除を行ったり、年度末や組織変更などの業務的なイベントに対応したりすることを指します。一方、システム運用はネットワークやサーバー、データベースなどシステムの改善や不具合対応、アップデートを行います。どちらもシステムを運用するために必要な役割で、相互が関わり合いながら運用を進めていきます。
「システム運用」と「システム保守」の違い
システムの運用業務には「運用」と「保守」があります。どちらもシステムの安定稼働が大きな目的であることに違いはありませんが、役割を大きく分けると以下になります。
・システム運用…システムを管理・監視し、稼働状況を常に把握する
・システム保守…障害が発生した際に原因を究明してシステムを復旧・修正する
作業内容 |
システム運用 |
システム保守 |
システム監視 |
〇 |
|
セキュリティの監視 |
〇 |
|
データバックアップ |
〇 |
|
障害の原因究明・復旧 |
〇 |
|
システムの改善提案・実施 |
〇 |
両者の違いは「システムに変更を加えるか」どうか。システム運用では監視や管理が基本ですが、システム保守の場合、障害の復旧やシステム改善のためにシステムに変更を加えることもあります。
運用業務の作業一覧
システム運用 |
概要 |
システム監視 |
・システム・ネットワークが正常に稼働するように機器や設備を監視 ・機器の稼働状況やメモリの使用・残りの空き容量などを確認 ・異常が発生したときに記録をとる |
セキュリティの監視 |
ウイルスや不正アクセスなどサイバー攻撃を監視し対処する |
データバックアップ |
データベースの定期的なバックアップ |
次に運用業務の中身を具体的に説明します。まずは上の表でシステム運用の概要を掴んでください。
システム監視
システム監視とは、ネットワークやアプリケーション、サーバなどが正常に稼働しているかを監視すること。定期的な確認により、障害が発生した場合に速やかに検知し、対応できるようにします。
たとえば、運用しているサイトが何らかの原因により停止してアクセスできなくなったり、商品・サービスの購入用のカートに正常に商品が反映されなかったりしたら、どうなるでしょう。ユーザーからの信頼を失い、大きな損害が出てしまいます。こうしたトラブルを未然に防いだり、被害を最小限に抑えたりするためにシステム監視が必要です。
よりイメージを膨らませていただくために、具体例を3つ紹介します。
クラウド環境のシステム監視(小規模)
クラウド環境とは、インターネットを通じてサービスを提供する環境のこと。ユーザーは、機器を購入したりソフトをインストールしなくてもインターネット上でサービスを使用できます。例えばGmailやSNSなどがクラウド環境のシステムに該当します。
小規模のクラウド環境では、インターネット経由でネットワーク、アプリケーション、サーバーの監視をします。監視は目視で行うこともあれば、数値を基準に一定のラインを超えたらアラートを出すなどして自動化する場合もあります。
クラウド環境のシステム監視(中〜大規模)
中〜大規模のシステムでは、複数で構成されているネットワーク、アプリケーション、サーバーを監視します。
小規模と違う点は「複数で構成されている」こと。たとえばひとつのサーバーで構成されているシステムの場合、トラブルなどによってサーバーが停止してしまったら、システムを動かすことは難しくなります。そのため、複数のサーバーを用意して、ひとつのサーバーが停止してもシステムが稼働できる構造にします。
このように予備の設備を用意しておくことを「冗長化」といい、基幹システムや決済系システムなどシステムダウンの影響が大きいシステムでは、一般的に冗長化が採用されます。
オンプレミス環境のシステム監視
オンプレミス型とは、自社にサーバーを設置し、ソフトウェアをインストールして利用する形態のこと。機密情報漏えいなどのセキュリティ面やカスタマイズ性の高さを理由にオンプレミス型を採用している企業もあります。
オンプレミス環境では、専用線経由でネットワーク、アプリケーション、サーバーを監視します。
セキュリティの監視
セキュリティの監視とは、ウイルスや不正アクセスなどのサイバー攻撃を監視し対処することを指します。たとえば、外部からの攻撃を検知するアラートが出ていないかログを監視したり、アラートが出ていた場合は対処します。
また、社内システムの場合は、社員や第三者によってパソコンやシステムが不正に使われていないかを監視することも含まれます。定められた時間以外にパソコンを使っていないか、第三者がシステムにログインしていないかなどをチェックします。
関連記事:サイバー攻撃とは?攻撃者の目的・近年の動向・攻撃の種類・手口・対策を解説!
データバックアップ
万が一のトラブル時にデータを復旧できるようシステムのバックアップを定期的に行います。バックアップ自体は基本的に自動で行われますが、システムに変更が加えられた際に(バージョンアップした際)にバックアップ範囲を拡張して運用中のシステム全体が復旧できる状態を整えていきます。
システム保守
システム運用に続いて、システム保守の中身を説明します。
システム保守の種類 |
概要 |
障害の原因究明・復旧 |
システム責任者と連携して障害の原因を特定し 早急にシステムを復旧させる |
システムの改善提案・実施 |
トラブル・障害の再発を防止する改善案を策定し システム責任者に提案・実施する |
システム保守では、上記のような改修や調整作業を行います。それぞれ詳しく説明していきます。
障害の原因究明・復旧
システム保守の最も重要な作業は、発生したトラブル・障害の原因を究明し、ダウンタイム(※システムが落ちてから復旧するまでの時間)を最小限に抑えてシステムを復旧させることです。運用担当者から報告を受けた保守担当は、システム責任者と連携を取りながら復旧作業にあたります。
具体的には、システムログを含む運用記録から障害発生の日時・範囲を特定し、トラブルの原因を究明。それを基に、最善の復旧方法をシステム責任者と話し合いながら策定・実施していきます。
システムの改善提案・実施
システム障害・トラブルの対応時はなによりも復旧が最優先されるため、同様のトラブルがすぐに再発する可能性があります。こうした障害・トラブル再発を防ぐため、抜本的な障害要因を取り除くシステム改善案を策定し、システム責任者へ提案・実施することもシステム保守の仕事です。
サーバーやシステムのアップデートなど、システムの脆弱性・セキュリティホール(※セキュリティを脅かす欠陥)を改善する定期的なシステム改善も保守の作業範囲になります。
保守・運用業務の費用相場
保守・運用業務の費用相場を紹介します。相場を知っておくことで、目安の金額が分かり、外注時には見積もり金額が適切か判断できるようになります。
保守・運用費用の目安
目安として、運用費は開発コストの5%前後といわれています。
300万円で開発したシステムであれば、運用・保守費用は月15万円ほどかかり、1年間で180万円です。また、後述しますが運用・保守費用だけではなくサービス委託費や通信費などもかかる可能性があります。保守・運用以外の工程でかかる費用も併せてチェックしたい人は以下の記事も参考にしてください。
開発記事:システム開発の費用・相場を解説!料金を抑えるコツも紹介!
保守・運用で必要な料金の内訳
それなりに大きな費用がかかる保守・運用ですが、金額は内容によっても変動します。保守・運用費用の内訳を知っておき「どこまで自社で行うか」「どこから外注するか」を考える材料としてください。
保守・運用の基本的な費用
種類 |
内容 |
ソフトウェア運用・保守費 |
アプリケーションやプログラムなどのソフトウェアの |
ハードウェア運用・保守費 |
サーバーやネットワーク機器などのハードウェアの |
保守・運用にかかる費用は大きく上記の2つです。ソフトウェアとハードウェアの運用・保守にかかる費用の合計が、先ほど説明した開発コストの5%前後の金額になるイメージです。
保守・運用の追加費用
種類 |
内容 |
サービス委託費 |
サイト運営やSEO対策、広告対策、問い合わせ対応、 |
通信費 |
通話料金やインターネットなど通信のために必要な費用 |
オペレーション人件費 |
サーバーの起動・停止や定期的なジョブの実行などの |
外部委託費 |
機能や画面の追加開発などを外部委託した場合の費用 |
場合によっては、ソフトウェアとハードウェアの運用・保守以外の費用も発生します。上記の費用がかかる可能性もあることを視野に入れておくと良いでしょう。
保守・運用業務の外注先候補と探し方
システム運用・保守は、自社内で人材を確保することは現実的とはいえません。
たとえばシステム監視を人間の目視で24時間365日実施するのであれば、3交代で最低でも6名の運用担当者が必要です。障害発生のエスカレーション(報告)先である保守担当には、原因を究明してシステムを復旧させるスキル・知識が必要です。
専門的な人材を自社で確保できない場合、外部の専門会社へ保守・運用を依頼することになります。今回は外注先の候補を2つ紹介します。
開発を担当したシステム開発会社に任せる
システム運用・保守を外部事業者に依頼する方法として最もポピュラーなのが、開発を担当したシステム開発会社にそのまま運用・保守も任せること。
システム開発から運用・保守まで、窓口を一本化したトータル対応が期待できます。要件定義フェーズから運用・保守を念頭に置いた、管理しやすい・使いやすいシステムを開発できるメリットも得られるでしょう。
ただし、すべてのシステム開発会社が万全の運用・保守体制を確保しているとは限らないことも事実。システムに求める自社の運用・保守ニーズを満たせない、サポートメニューが十分でないケースもあり得ます。
開発会社を選ぶ際は運用・保守体制がどの程度整っているかなども考慮するといいでしょう。
マネージド・サービス・プロバイダ(MSP)に任せる
「手厚いシステム運用・保守サービスを利用したい」
「限定的な運用・保守業務だけ任せたい」
上記のようなニーズがある場合、依頼先としてマネージド・サービス・プロバイダ(MSP)が挙げられます。
MSPとは、システム運用・保守に特化したサービス・技術を提供する専門事業者のこと。さまざまなシステムの運用・保守を手掛けたノウハウを持ち、ほとんどのMSPがクラウド、オンプレミスどちらにも対応可能。ニーズに応じた柔軟な運用・保守メニューが用意されているため、必要な作業だけを依頼できるメリットもあります。
外注先を探す際は、企業のホームページを探して問い合わせするか、マッチングサービスを利用するなどして複数の企業を比較検討しましょう。システム幹事にご相談いただくのも大歓迎です。予算や目的から最適な会社を紹介します。相談料などは一切かかりませんので、お気軽にお問い合わせください。
運用業務で知っておくべき基礎知識まとめ
「運用」の言葉の定義から、作業内容、費用相場などを解説しました。
・「システム運用」とはシステムを管理・監視し、稼働状況を把握すること
・「システム保守」とは障害発生時に原因を究明して復旧・修正すること
・運用費用の目安はシステム開発の5%前後
・運用・保守の外注先候補としてシステム開発会社とMSPがある
運用・保守のための十分なノウハウやリソースが自社にないなら、外注するのがよいでしょう。
外注先は、自社の導入目的や予算に合わせて選ぶことが大切です。選定に迷う方は、システム幹事にご相談ください。予算や目的から最適なツールや会社をご紹介します。相談料などは一切かかりません。
コンサルタントのご紹介
岩田
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Q. 運用業務とは何ですか?
運用業務とは、システムの「業務」に関する部分を運用することです。「顧客情報・商品データの登録や更新、削除を行う」「年度末や組織変更などの業務的なイベントに対応する」等の特徴があります。
Q. 運用業務とは?
運用業務とは「システムを継続的に安定して稼働させるために、管理・監視を行うこと」です。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いた人
七瀬 ユウ
専門分野: Webライティング
新卒で大手Slerに入社し、基幹システムの開発・プロジェクトマネジメント業務に従事。転職後、WEB広告企業でセールスライターの経験を経て、現在はフリーランスWEBライターとして活動中。「読者目線で分かりやすい記事を届ける」をモットーに執筆します。
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