- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー システム開発
ITアウトソーシングとは?メリットや導入手順、活用事例を紹介
IT化を推進して業務を効率化したいものの、社内に専門的な知識をもった人材がいなくて困っている方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめなのがITアウトソーシングです。本記事では、ITアウトソーシングのメリット・デメリット、導入手順などを紹介します。
なお、ITアウトソーシング会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。
ITアウトソーシングとは
ITアウトソーシングとは、社内のIT業務を外注することを指す言葉で、ITO(Information Technology Outsourcing)とも呼ばれます。企業は自社で必要な技術やリソースを維持・管理する手間が省けるため、業務の効率化やコスト削減につなげることが可能です。
ITアウトソーシングで依頼できる業務
ITアウトソーシングで依頼できる業務は以下の通りです。
ITアウトソーシングで依頼できる業務 |
業務内容 |
ソフトウェアの開発 |
ソフトウェアやシステムなどの開発 |
ITエンジニアリング |
ITシステムやネットワーク、 ITインフラの設計、開発、メンテナンス |
ヘルプデスクサポート |
技術的なサポートやトラブルシューティング |
データ入力業務 |
データ入力や文書管理などの一般的なオフィス業務 |
セキュリティ対策 |
セキュリティリスクの評価やトラブル対応 |
企業が行う多くの業務はITと密接な関わりがあるため、様々な領域でITアウトソーシングを活用できます。
ITアウトソーシングの形態
それぞれ解説します。
フルアウトソーシング
フルアウトソーシングとは、IT関連の業務をすべて外注する形態のことです。具体的には、以下のような業務をすべて外部の専門家に依頼できます。
- ITインフラストラクチャの構築
- アプリケーションの開発
- 保守・管理
- サポート
フルアウトソーシングのメリットは、業務を丸ごと任せられる点です。自社に専門知識をもった人材がいない場合やリソースがない場合に活用するとよいでしょう。
運用アウトソーシング
運用アウトソーシングとは、システムの運用のみを外注する形態のことです。サーバーやOS、ミドルウェアといったインフラの運用業務やITに関する問い合わせやトラブル処理を外注するケースが多い傾向にあります。
ホスティング
ホスティングとは、ネットワーク経由でサーバーを借りる形態のことです。サーバーの設定や運用、保守といった業務を自社で行わなくてよいのがメリットです。Webサーバーやメールサーバーを手軽に運用したい場合に向いています。
ハウジング
ハウジングとは、サーバーを設置・運用するスペースを借りる形態のことです。ホスティングがサーバーを借りる形態であるのに対して、ハウジングは自社で用意したサーバーをサービスの提供事業者に預けるのが大きな違いです。サーバーの保守・管理業務やトラブル処理を設置先の事業者に委託するケースが多い傾向にあります。
ヘルプデスク
ヘルプデスクとは、顧客からの問い合わせに対応するサービスのことです。アウトソーシングすれば、自社で問い合わせ窓口を設置しなくてよいため、人材配置を最適化できます。土日や祝日、夜間などの営業時間外のみ外注することも可能です。
ITアウトソーシングが注目を集めている背景
それぞれ解説します。
固定費の削減が求められている
競争が激化する中で、事業を継続させていくためには、無駄な固定費を削減することが重要です。中でも、多くの業務と密接に関係しているIT業務は固定費が高くなりがちです。日々、新しいITサービスも生まれており、すべてのIT業務を自社で完結させるのには限界があるでしょう。自社で対応しなくてもよい業務を外注すれば、固定費を抑えることが可能です。
業務効率化が求められている
IT業務には、専門的な知識やスキルが求められる場合が多く、すべてを自社で対応する場合、人材育成や研修などの手間がかかってしまいます。コア業務に注力できる時間も削られるため、業務効率も悪化するでしょう。アウトソーシングを活用すれば、リソースの配分を最適化して業務効率を高められます。
人手不足が深刻化している
人材不足の深刻化もITアウトソーシングが注目を集める背景の1つです。厚生労働省の発表によると、2023年9月の有効求人倍率は1.29倍。つまり、100人の求職者につき、129件の仕事がある状況です。特に、専門知識が必要とされるIT分野では、優秀な人材を獲得するのが難しい傾向にあります。そのため、外部の企業に業務を依頼するITアウトソーシングを活用する企業が増えているのです。
ITアウトソーシングを活用するメリット
それぞれ解説します。
コストを削減できる
必要なタイミングで必要な業務を外注できるため、ITコストの無駄を削減することが可能です。ITに関するあらゆる業務を自社で完結させる場合、新たなIT人材を採用するコストや育成コストがかかります。せっかく育成した従業員が退職してしまうと、また新たにコストを負担しなければならなくなることも。このような事態をアウトソーシングすることで回避できます。
コア業務に専念できる
自社で行う必要のない業務を外注すれば、IT部門のスタッフがコア業務に専念できます。コア業務とは、売上に直結する業務のことです。コア業務に注力できれば、生産性向上も期待できます。問い合わせの度に手が止まってしまい、コア業務に集中できなくなる事態を回避することが可能です。
専門家に業務を任せられる
ITの専門家に業務を依頼できるのもメリットです。IT分野の情報はアップデートされるスピードが速く、把握できていない情報や技術も数多くあるでしょう。ITアウトソーシングを活用すれば、対応にかかる時間を削減できるだけでなく、外注業者から自社にとって有益な情報を得ることも可能です。
柔軟な人員配置が可能になる
業務をアウトソーシングすれば、必要な人材を必要な場所に配置しやすくなります。新規事業を展開する場合に、リソースが足りなくて断念せざるを得ない事態を避けられます。「自社でしかできない業務」にIT部門のスタッフを注力させることが可能です。
ITアウトソーシングを活用するデメリット
メリットだけでなく、デメリットも把握した上で、ITアウトソーシングの導入を判断しましょう。
ITに関するノウハウが蓄積しない
IT業務を外部に任せるため、自社にノウハウが蓄積しないのがデメリットです。特に、フルアウトソーシングの場合は、丸投げできるメリットがある反面、大きなデメリットにもなります。委託業者と定期的にミーティングで情報共有を行い、自社にノウハウを蓄積する仕組みを設けるとよいでしょう。
セキュリティリスクがある
自社の情報を外部の業者と共有するため、情報が漏洩したり、流失したりするリスクがあります。委託業者を選定する際は「どのようなセキュリティ対策を実施しているか」「セキュリティに関する認証を取得しているか」などを確認しましょう。
コスト削減につながらない場合がある
外注する業務を適切に判断しなければ、かえってコストが増大する可能性があります。例えば、自社で実施していない業務の外注を提案されて承諾してしまうケース。無駄な経費を負担しなければならなくなるため、注意が必要です。外注する前に、複数の代行会社から見積もりを取って、比較・検討するのが重要です。
ITアウトソーシングを導入する手順
ITアウトソーシングを導入する際の手順を紹介します。
外注する業務の明確化
まずは、ITアウトソーシングを行う業務を明確にします。自社のリソースで対応できていない業務や生産性を低下させている業務を洗い出すとよいでしょう。その後、外注する業務内容や範囲を定めます。なお、ITアウトソーシングを導入する際は、中長期的な事業計画を考慮する必要があります。新規事業を立ち上げる予定がある場合やIT部門のスタッフ採用などを加味して判断することが重要です。
要件定義
次に要件定義を行います。要件定義とは、以下のような項目を定義づけることを指します。
- 必要な人員
- 予算
- スケジュール
ITアウトソーシングのプロジェクトは、要件定義をもとに実施されるため、重要なプロセスです。
運用設計・導入
要件を定義した後、運用設計を行います。運用設計を行う際は、以下を作成します。
- 作業フロー図
- 作業手順書
- 課題管理表
運用ルールや運用方法を定めることで、アウトソーシングをスムーズに進めることが可能です。とはいえ、実際に運用してみると、障害やトラブルは発生するもの。定期的に改善しながらブラッシュアップしていく必要があります。
ITアウトソーシングの活用事例
ITアウトソーシングの活用事例を3つ紹介します。
シチズン時計株式会社
画像引用:シチズン時計株式会社
時計の製造・販売事業を行うシチズン時計株式会社はグループ内の連携を強化することを目的にITインフラを共通化していました。しかし、オンプレミス(自社で保有・運用)型だったため、老朽化により、定期的にトラブルが発生していました。そこで、ITアウトソーシングを導入し、オンプレミス型からクラウド型に移行。運用業務もアウトソーシングし、業務効率の向上を実現しています。
dely株式会社
画像引用:dely株式会社
レシピ動画のプラットフォーム「クラシル」を手掛けるdely株式会社は、社内のIT資産を適切に管理できていないという課題を抱えていました。また、担当スタッフの管理コストが増加している点も解決したい課題の1つでした。そこでITアウトソーシングを導入。当初は、担当者1人がスプレッドシートで行っていたアカウント管理や入退社管理を可視化することに成功しました。また、担当スタッフの人件費の負担も軽減するに至りました。
ジクシス株式会社
画像引用:ジクシス株式会社
LPガスの製造や売買、輸出などを行うジクシス株式会社はLPガスの元売4社による事業統合で設立された会社です。新会社では人材もコストも限られていたため、自社でITインフラを所有するリスクが大きいと判断し、アウトソーシングを導入しました。オフィス業務で必要な情報系システムをフルアウトソーシングしたことで、コストを抑えてスピーディに業務を立ち上げることに成功しました。
ITアウトソーシング導入時の注意点
外注先の実績や対応業務を確認する
まずはITアウトソーシングを委託する企業の実績を確認しましょう。実績はホームページで公開されているケースが多いです。非公開の場合は、問い合わせてみてヒアリングしてみるとよいでしょう。実績を確認する際は、自社が委託を検討している業務と同類のものを中心にチェックすることをおすすめします。同じような課題を解決しているのであれば、成果を期待しやすくなります。
責任範囲を明確にする
導入前に外注先と責任範囲を明確にしておきましょう。責任範囲があいまいなまま導入してしまうと、トラブル発生時の対応に時間がかかってしまい、損失を被るリスクがあるからです。そのため、ITアウトソーシングを導入する際はSLA(Service Level Agreement)を締結しておくとよいでしょう。SLAとは、サービスの品質に関する合意です。業務内容や業務範囲、トラブル時の対応などを明確にした上でITアウトソーシングを導入しましょう。
情報の取り扱いに気をつける
ITアウトソーシングでは、自社の機密情報や個人情報などを外部に共有するため、情報の取り扱いには注意が必要です。情報が漏洩してしまった場合、自社が巨額の損害賠償を負担しなければならないケースもあるからです。企業の信用を著しく損なうリスクもあります。個人情報の取り扱いに関する認証であるプライバシーマークや国際的な情報セキュリティ基準を満たしているISMS認証を取得しているかチェックしましょう。
【まとめ】ITアウトソーシングの活用を積極的に検討しよう
ITアウトソーシングのメリット・デメリットや導入手順などを紹介しました。ITアウトソーシングを活用すれば、コストを削減できたり、コア業務に注力できたりするため、生産性を高められます。一方、セキュリティリスクもあるため、導入前に安心して外注できるかどうかを慎重に見極めることが重要です。
なお、ITアウトソーシング会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。
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