- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー システム開発
画像解析とは?できることや無料ツール、おすすめ開発会社を紹介
製品の検品や不審者検知、データ分析など何かしらの分野で画像解析を活用したいが、画像解析についての理解が不十分だとお悩みではないですか?本記事では画像解析でできることや無料ツール、おすすめ開発会社などを紹介します。自社で画像解析を取り入れるべきか判断でき、活用する方法がわかりますのでぜひご覧ください。
なお、画像解析に強いシステム開発会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。
画像解析とは?
※画像引用元:Google Cloud Vision API
画像解析とは、画像に写っているものを判断して、得た情報を分析する技術のことです。混雑情報の把握や不良品の検査など、さまざまなシーンで画像解析が活用されています。
「画像解析」と「画像認識」の違い
「画像解析」の単語と同じ文脈で目にしやすい単語に「画像認識」があります。
画像解析では画像に写っているものを判断するだけでなく、取得した情報から特徴などを解析するのが「画像解析」です。一方、「画像認識」は写っている画像から物体そのものを判断(認識)することのみを指すという違いがあります。
なお、実際は画像解析と画像認識を区別せずに一括りで記載されている場合もあることを押さえておきましょう。本記事では、「画像解析」の中に「画像認識」の意味も含まれているという認識で話を進めます。
「画像解析」と「AI」の違い
「AI」も「画像解析」とともに語られることの多い単語です。
「画像解析」と「AI」は別の意味であり、「AI」は人間が実現する知覚や知性のふるまいを人工的に再現する技術のことです。
「画像解析」にAI技術を活用したものを「AI画像解析」と呼ぶ場合があります。
画像解析の仕組み
画像解析では、以下の手順で画像の分析が行われます。
- 写された画像から対象物を抽出
- 抽出したピクセルデータを演算処理
- 演算処理に基づき判別
ピクセルとは画像を構成している最小単位のデータのこと。コンピュータが画像を認識しやすくするために画像処理を行った上で、画像データをピクセル単位で処理します。最後に、画像に写っている対象物を判別するという流れです。
画像解析でできること
画像解析には主に「画像分類」「画像検出」「画像セグメーション」の3つの手法があります。それぞれの手法について確認し、画像解析でできることを理解しておきましょう。
画像分類
※画像引用元:Google Cloud Vision API
画像分類とは、画像に写っているものが何かを判別する手法のこと。画像をピクセル単位で抽出して、特徴を把握して分類します。
たとえば上の画像では、「パソコン」「手」「本」などを判別するのが画像分類です。たくさんの画像の中からパソコンが写っているものだけを判断して抽出するといった場合に利用できます。
画像検出
※画像引用元:Google Cloud Vision API
画像検出とは、画像に写っている物体が画像内のどこにあるのか識別する手法のこと。識別した物体は四角形の枠で囲みます。
上の画像では、「パソコン」が写っている場所を識別して四角枠で囲っています。身近な例でいえば、デジタルカメラで写真を撮る際に物体や顔が四角枠で囲まれることがあるのは、ピントをあわせるために画像検出の技術を用いているからです。
画像セグメーション
画像セグメーションとは、画像に写っているものがどこからどこまでなのか境界線を識別する手法のこと。
たとえば犬が2匹写っている場合、どこからどこまでが1匹目の犬で、どこからどこまでが2匹目の犬なのかを判別するのが画像セグメーションの技術です。上の画像はあくまでイメージですが、2匹の犬の境界線が色分けされています。
画像解析の活用例
続いて、画像解析の活用例を紹介します。活用例を通して画像解析でできることの理解を深めましょう。
AI画像解析を用いた人流解析サービスで混雑状況を可視化
※画像引用元:日本エンタープライズ株式会社「施設内の混雑状態検知」
まずは、日本エンタープライズ株式会社と丸紅ネットワークソリューションズ株式会社が開始した人流解析サービスを紹介します。
人流解析サービスは、AI画像解析を用いてカメラ映像をAIが解析するサービスです。カメラで捉えた人物の人数や性別、年齢層を把握します。混雑状況を可視化し、どのエリアが混雑しているか分布図で確認が可能です。また、解析した結果を時間別や日別、人数や性別などの複数の条件で抽出して、確認ができます。
施設内の人流を分析して、商業施設の運営に活用するといった使い方が実現できます。
丸紅ネットワークソリューションズ「AI画像解析を用いた人流解析サービスを開始」
画像解析の活用により材料検査を自動化
撮影画像を解析して、繊維を認識している画像
※画像引用元:株式会社レゾナック「ディープラーニングを用いた画像解析を活用し材料検査の自動化を実現」
次に、株式会社レゾナックによる画像解析の活用により材料検査を自動化した例を紹介します。
従来の課題は、はんだ粒子やグラファイト繊維などの検査工程では目視による検査が多く、多くの時間と工程がかかることでした。また、検査員ごとに検査に要する時間が異なる点も課題でした。
課題解決のため、独自の取り組みとして高度な画像解析技術の獲得、ディープラーニング技術の絞り込み、Webアプリケーションの導入を実施。その結果、材料検査の自動化による時間短縮と、検査時間の統一化を実現しました。
参考:株式会社レゾナック「ディープラーニングを用いた画像解析を活用し材料検査の自動化を実現」
AI画像解析をドローンに活用して異常を判定
最後に、TEAD株式会社とパナソニック システムデザイン株式会社、東京航空計器株式会社が共同開発する「河川巡視ドローンシステム」を紹介します。
河川巡視ドローンシステムでは、ドローンで撮影した画像の異常をAI画像解析により瞬時に判定し、遠隔地の異常が検出された地点を表⽰します。⽬視では発⾒が困難な異常を記録し、地図上に⾃動でマッピングが可能になりました。人が行う河川巡視よりも、作業効率や安全性、品質の向上が見込まれています。
参考:PR TIMES「「河川巡視ドローンシステム」の現場ニーズと技術シーズのマッチングの現場試行結果が公表されました」
画像解析ツールを導入するメリット
次に、画像解析ツールを導入するメリットを紹介します。どんなメリットがあるか把握した上で、ツールの導入を検討しましょう。
業務の効率化によりコストが削減できる
画像解析ツールの導入はコストの削減につながります。人間が行っていた作業をツールに任せたり、業務の効率化が実現できたりすることで、必要な人員が少なくなり人件費を削減できるためです。効率化によりできた時間を社内のコア業務に充てることも可能です。
人為的なミスを削減できる
人為的なミスを削減できる点も画像解析ツールを導入するメリットの1つです。人間が手作業で行う場合、どうしても見落としやミスは避けられません。また、判断基準が人によって異なるなど、作業する人によって品質にバラつきが出てしまう点も課題となります。画像解析ツールを活用すれば、人為的なミスの削減が期待でき、業務効率のアップや精度向上につながります。
労働環境の改善につながる
画像解析ツールの導入は労働環境の改善にもつながります。深夜の作業や足場の悪い場所での作業など、人が行うには危険な作業を画像解析ツールに任せることで、事故の発生を防げるためです。たとえば、河川など人が巡視するには危険が伴う場所の監視を画像解析の機能を有したドローンに任せることもできます。また、画像解析ツールの導入により業務の効率化を実現することで、長時間労働の防止にもつながります。このように、画像解析ツールで労働環境を改善することで、社員の負担を軽減することが可能です。
画像解析ツールを導入するデメリット
画像解析ツールを導入するデメリットについても解説します。メリットだけではなく、デメリットも把握した上で画像解析ツールの導入を検討しましょう。
導入費用が高額な傾向にある
画像解析ツールは導入費用が高額な傾向にあります。画像解析ツールを利用するには、ツール導入費はもちろん、カメラやセンサーの購入費や運用管理費もかかります。費用対効果を踏まえて導入を検討しましょう。
実務で活用できるまでには手間と時間がかかる
画像解析ツールを実務で活用できるまでには、手間と時間がかかる点も押さえておきましょう。画像解析には、機械学習のために大量のデータが必要になります。また、学習のためのデータの準備や訓練には、人の手が必要になる場合もあります。画像解析ツールを導入したからといって、すぐに実務で活用できるわけではないため注意が必要です。
活用できるアプリやソフトが限られている
画像解析は発展途上の技術ということもあり、実務レベルで活用できるアプリやソフトは限られています。既存の画像解析ツールで自社の課題や目的にピッタリなものを見つけられる可能性は低いといえます。既存のツールをカスタマイズするか、自社にあわせて開発してもらうのが現実的でしょう。
無料の画像解析ツール
ここまで読んで「まずは無料の範囲で試してみたい」と感じた方向けに、無料で利用できる画像解析ツールを3つ紹介します。
Google Cloud Vision API
※画像引用元:Google Cloud Vision API
Google Cloud Vision APIのおすすめポイント
- Google独自の機械学習モデルで画像を分析
- さまざまな情報を取得可能
- 無料で試せるデモあり
Google Cloud Vision APIは、Google社が提供している画像解析ツールです。Google独自の機械学習モデルを用いて画像を分析し、さまざまなシーンで活用できます。
たとえばオブジェクトや顔の検出、手書き文字の読み取り、商品のロゴの検出など、さまざまな情報の取得が可能。画像内の商品を検出して商品カタログを検索したり、ドキュメントを分類して効率的に情報にアクセスできるようにするなどの活用ができます。
料金は「ユニット」という単位で計算され、はじめの1,000ユニットは無料。1,0001ユニット以上は利用した機能に応じて料金が発生します。無料で試せるデモがあるので、まずはデモを使って操作感を確かめてみることをおすすめします。
Google Cloud Vision APIの概要・実績・価格感
提供会社 |
|
主な機能 |
など |
価格感 |
月額費用: 画像ごとに発生 最初の 1,000 ユニット:無料 1,001~5,000,000 ユニット:1.50ドル〜(機能によって異なる) 5,000,000 ユニット〜:0.60ドル〜 |
実績詳細 |
などでの導入事例あり |
OpenCV
※画像引用元:OpenCV
OpenCVのおすすめポイント
- インテル社が開発したオープンソースライブラリ
- さまざまな画像や動画の処理が実現できる
- オープンソースのため無料で利用可能
OpenCV(正式名称はOpen Source Computer Vision Library)は、インテル社が開発・公開したオープンソースのライブラリです。
画像の作成や物体検出、画像のノイズ除去・ぼかしなどさまざまな画像処理の機能が実装されており、商業目的でも利用できます。
オープンソースのため、誰でも無料で利用が可能。商用利用も無料です。
OpenCVの概要・実績・価格感
提供会社 |
インテル |
主な機能 |
|
価格感 |
無料 |
実績詳細 |
-(要問い合わせ) |
AT-Image
※画像引用元:AT-Image
AT-Imageのおすすめポイント
- 日本人が開発したフリーソフト
- 画像処理の体験・学習に適したツール
- 無料で利用可能
AT-Imageは、日本人が開発した画像処理のフリーソフトです。
シェーディング補正やヒストグラム(※画像を構成しているピクセルの情報を分布したグラフ)変換などの画像処理を行えます。
あくまで個人用に作成されたソフトのため、まず画像処理に触れたい方やこれから勉強したい方など、画像処理の体験や学習に向いているツールです。
AT-Imageの概要・実績・価格感
提供者 |
遠藤 善道 |
主な機能 |
など |
価格感 |
無料 |
実績詳細 |
-(要問い合わせ) |
画像解析ツールの開発を依頼する場合のポイント
「既存のツールでは課題解決が難しいので開発会社に外注したい」という場合、システム開発会社への依頼を検討することになります。ここでは、開発を依頼する場合のポイントを解説します。
ツール導入の目的を明確にする
まずは、画像解析ツールを導入する目的を明確にしましょう。目的が明確でないと、システム開発会社から適切な提案が受けづらいからです。たとえば「不良品の検査に時間がかかっているという課題に対して、画像解析の技術を用いて効率化を図りたい」など、できるだけ明確な内容をシステム開発会社に伝えるようにしましょう。
実績や得意分野を確認する
システム開発会社の実績や得意分野を確認しましょう。依頼したい分野の実績が豊富で、得意分野と一致していることが望ましいです。実績や得意分野は、ホームページから確認できる場合が多いので確認しておくことをおすすめします。また、実績ページには、開発過程に工夫した点やこだわった部分、開発後の成果などが記載されていることもあります。実績ページの内容も確認しておくと、より深く開発会社を理解できるでしょう。
画像解析に強みがあるおすすめ開発会社
最後に、画像解析に強みがあるおすすめの開発会社を紹介します。
CLINKS株式会社
※画像引用元:CLINKS株式会社
CLINKS株式会社のおすすめポイント
- DX推進・AI技術開発の事業を展開
- 数理統計の知見を活かした支援が可能
- 画像認識の技術を用いたアプリ開発の実績あり
CLINKS株式会社は、東京都中央区に本社を置くシステム開発会社です。
DXとAI技術の分野で課題解決を支援する事業を展開しており、AIを利用して画像認識や音声認識、言語処理などの技術を実現します。
また、数理統計の知見を活かして活躍しているデータ分析のスペシャリスト人材による支援も可能。データ分析やデータ処理、データの可視化などをサポートします。
画像解析の分野では、画像認識の技術を用いたカメラ自動撮影アプリの設計〜開発や、カメラアプリの設計・開発・検証を行った実績があります。
CLINKS株式会社の概要・実績・価格感
TEL |
03-6262-8135 |
会社所在地 |
〒104-0032 東京都中央区八丁堀1-10-7 TMG八丁堀ビル10F |
設立年 |
2002年 |
実績詳細 |
|
価格感 |
要問い合わせ |
Cotofure株式会社
※画像引用元:Cotofure株式会社
Cotofure株式会社のおすすめポイント
- AIを中心としたプロダクトを複数保有
- 画像認識や画像処理に強みあり
- さまざまな分野におけるAI開発の実績あり
Cotofure株式会社は、東京都千代田区に本社があるシステム開発会社です。
AIを中心としたプロダクトを複数保有しており、たとえばAIを使った画像認識が利用できる「EveryAI (β)」やAI顔ぼかし加工サービス「HiFacE(β)」、「顔認証システム」などがあります。プロダクトはニーズにあわせてカスタマイズも可能です。
また、顔認証や骨格検知、モザイク加工など幅広い画像認識に対応しており、画像認識や画像処理に強みがあります。
モザイク処理の自動化システムの導入やライブ会場の顔認証入場システムの導入など、さまざまな分野におけるAI開発の実績があるところも心強い点です。
Cotofure株式会社の概要・実績・価格感
TEL |
03-6272-8885 |
会社所在地 |
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2丁目1-1 MA SQUARE AKIHABARA 8F |
設立年 |
2015年 |
実績詳細 |
|
価格感 |
要問い合わせ |
株式会社ビットストロング
※画像引用元:株式会社ビットストロング
株式会社ビットストロングのおすすめポイント
- マシンビジョン技術や医療画像解析技術を保有
- 医療機関向けの製品を多く提供
- FA分野や医療分野の実績が豊富
株式会社ビットストロングは、東京都港区に本社を構えるシステム開発会社です。
創設以来、画像系アプリケーションの開発に注力し、人間の目を代替できる技術である「マシンビジョン」や「医療画像解析技術」などを保有。中でも「マシンビジョン」は画像処理の専門家が長年研究を重ね、独自のノウハウを蓄積してきた歴史があります。
顕微鏡画像の処理や編集などが行える「ImageStation Bio& Patho」や医療機器の画像を表解析する「DicomStrong Viewer」など、医療機関向けの製品を多く提供している点も特徴です。
マイクロレンズ性能評価ソフトの開発や顕微鏡画像解析システムの開発など、FA(※生産工程の自動化を図ること)分野や医療分野での実績が豊富にあります。
株式会社ビットストロングの概要・実績・価格感
TEL |
03-3437-5315 |
会社所在地 |
〒105-0013 東京都港区浜松町1-1-10 秋間ビル6F |
設立年 |
2001年 |
実績詳細 |
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価格感 |
要問い合わせ |
【まとめ】画像解析について解説しました
画像解析でできることや無料ツール、おすすめ開発会社などを紹介しました。
混雑情報の把握や不良品の検査など、さまざまなシーンで画像解析の技術が活用されています。画像解析ツールを導入することで、コスト削減やミス削減、労働環境の改善も期待できます。一方で、導入費用の高さや活用には時間や手間がかかる点、自社にぴったりなツールを見つけるには難易度が高い点などには注意が必要です。自社の課題や目的にあったツールがない場合は、システム開発会社へ開発を依頼するのも1つの手です。
本記事を参考に、画像解析ツールを取り入れるかどうか検討してみてください。
なお、画像解析に強いシステム開発会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。
この記事を書いた人
七瀬 ユウ
専門分野: Webライティング
新卒で大手Slerに入社し、基幹システムの開発・プロジェクトマネジメント業務に従事。転職後、WEB広告企業でセールスライターの経験を経て、現在はフリーランスWEBライターとして活動中。「読者目線で分かりやすい記事を届ける」をモットーに執筆します。
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