ERP / ERPシステムとは|概念・種類・導入の形態や効果・注意点を解説!

ERP / ERPシステムとは|概念・種類・導入の形態や効果・注意点を解説!

ERPシステムを導入する企業が増えていると聞くが、そもそもERPとは?どんな効果が期待できる?中小企業にも必要?そんな疑問を持つ企業担当者の方に向け、概念・種類・導入形態から効果・注意点まで、知っておきたいERP / ERPシステムの全体像を解説していきます。

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目次
  1. 1. ERP / ERPシステムとは
    1. 1-1. 業務データを一元管理するERPシステム
    2. 1-2. 基幹システムとERP(統合基幹業務システム)の違い
  2. 2. ERP導入で得られる効果・メリット
    1. 2-1. 経営状態をリアルタイムに可視化
    2. 2-2. 適切かつスピーディーな経営判断
    3. 2-3. 業務標準化・効率化による生産性向上
  3. 3. ERP導入の注意点
  4. 4. ERPの導入方法
  5. 5. ERPの導入形態
    1. 5-1.  主流になりつつあるクラウドERP
  6. 6. ERPの種類 / タイプ
    1. 6-1. 統合型ERP
    2. 6-2. コンポーネント型ERP(モジュール型)
    3. 6-3. 業務システム型ERP
  7. 7. ERP選定 / 導入のポイント
    1. 7-1. 自社課題の明確化
    2. 7-2. ERPの導入目的・ゴールを設定
    3. 7-3. 業務フローの棚卸し / 業務設計
  8. 8. 【まとめ】ERP / ERPシステムの全体像を 解説しました

ERP / ERPシステムとは

ERPとは、日本語の「企業資産計画」を意味する「Enterprise Resources Planning」の略称です。文字通り、企業の重要な経営資源・資産である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を計画的かつ効率的に活用していく概念を「ERP」といいます。

具体的には、分散していた経営資源をまとめて一元管理し、リソースを適切に配分していくことで経営効率を高めていくことがERPの考え方。これを実現するためのシステムを「ERPシステム」または「ERPパッケージ」と呼びます。

業務データを一元管理するERPシステム

ERPの概念である「経営の効率化」を実現するには、企業の有する資源であるデータを一元管理して経営に活かしていかなければなりません。そのため、ERPシステムは「会計」「財務」「人事」「販売」「生産」などの業務データを「1つのデータベースで一元管理する」という特徴を持ちます。

業務データを一元管理するERPシステム

画像出典:freee

製品によって異なるものの、おおよそ以下のような業務システムを、1つのデータベースで統合したものが「ERPシステム」なのだと考えておけば間違いありません。

  • 財務・会計管理システム
  • 人事・労務管理システム
  • 販売管理システム
  • 在庫・倉庫管理システム
  • 生産管理システム
  • 顧客管理システム
  • ビジネスインテリジェンス(BIツール)

このため、ERPシステム / パッケージを「統合基幹業務システム」と呼ぶ場合もあります。また、ERPはもともと概念・考え方を意味する言葉でしたが、現代ではERPシステム / パッケージと「ERP」はイコールの意味で使われる場合が一般的です。

基幹システムとERP(統合基幹業務システム)の違い

それでは、統合基幹業務システムであるERPは、基幹システムとなにが違うのか?そんな疑問を感じている方のために、補足説明しておきましょう。

基幹システムとは、それがなければビジネスの遂行が困難な「企業活動の中核となる基幹業務を効率化するシステム」のこと。たとえば「会計システム」「在庫管理システム」「販売管理システム」などが基幹システムの代表例です。

個別の基幹業務を効率化することを目的とする基幹システムは、業務ごと、部門ごとに導入される場合が一般的。このため、基幹システムごとに異なるデータベースを持ち、それぞれが異なる業務データを管理しています。

基幹システム概念図

画像出典:SAP

つまり、ERPと基幹システムの違いは「目的」「カバーする業務範囲」「データの取り扱い」です。まとめておきましょう。

 

ERP

基幹システム

目的

企業経営の効率化

個別基幹業務の効率化

カバーする業務範囲

すべての基幹業務

個別の基幹業務

データの取り扱い

すべての基幹業務データを一元管理

カバーする基幹業務のデータのみ管理

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ERP導入で得られる効果・メリット

ERP導入で得られる効果・メリット

基幹システムは、個別基幹業務の効率化には非常に有用ですが、組織全体で見た場合に「情報のサイロ化(分散)や重複」という課題を抱えがちです。一方、すべての基幹業務データを一元管理するERPなら、こうした課題を解決可能。つまり、ERPを導入することによって、基幹システムの課題を解決し、さらに以下のような効果・メリットが得られます。

経営状態をリアルタイムに可視化

すべての基幹業務データを一元管理するERPなら、ただ1つのデータを変更するだけで、関連するすべての機能・システムに変更が反映されます。これは、刻一刻と変化する経営状態を「リアルタイムに可視化できる」ことにほかなりません。

たとえば、顧客に商品を販売したという情報は、販売管理だけでなく、在庫管理 / 顧客管理 / 生産管理 / 会計システムへリアルタイムに反映可能。BI機能を搭載するERPならば、データを加工して見たい情報をいつでもダッシュボードで確認できます。

適切かつスピーディーな経営判断

経営状態をリアルタイムに可視化できるERPを活用すれば、状況に応じた適切かつスピーディーな経営判断を下せます。

上述した販売の例であれば、商品の販売状況に応じた生産量の調節や、キャッシュフローに応じた資金調達計画を実行可能。月決算ではじめて問題に気がつく、といった失敗もなくせるでしょう。

業務標準化・効率化による生産性向上

業務標準化・効率化による生産性向上が見込めることもERPの導入効果・メリット。

個別の基幹システム運用は、情報がサイロ化してしまうというほかに、業務の属人化を招きやすく、システム / データ連携しにくい側面があります。データのエクスポート / インポートといった手間が生じるだけでなく、転記ミスを誘発しやすいことは否めません。

情報を唯一のデータベースで管理し、一定のルールに従って全体運用するERPなら、こうした課題を解決可能。手間・ミスを削減することによって業務効率化を促進できれば、空いたリソースを生産性向上に振り向けることも可能です。

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ERP導入の注意点

効果・メリットの大きいERPですが、導入に際しての注意点もあります。1つは「適切なERPシステムの選定が難しい」こと。もう1つは「業務フローの見直し」「従業員の活用・定着を促す教育」が必要なことです。

こうした注意点はERPに限ったことではありませんが、ビジネス全体の基幹業務に関連するため、影響は広範囲に渡りがちです。導入自体が目的化してしまわないよう、なぜERPを導入するのか?どのような効果を期待するのか?目的を明確にし、準備を整えておくことが重要です。

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ERPの導入方法

近年ではERP / ERPシステムの概念が多様化する傾向にあるため、システム選びはさらに難しくなりつつあります。適切なERPを選定 / 導入するためにも、トレンドを知っておくことが重要。ERPにはどのような「導入方法」「導入形態」「種類 / タイプ」があるのか?押さえておきましょう。まずはERPの導入方法です。

 

概要

メリット

デメリット

ERPシステム

/ パッケージ

ソフトウェアの形で

ERPシステムを提供

・導入が比較的容易

・スクラッチよりも

導入コストが安価

・スクラッチよりも

カスタマイズの自由度は劣る

・少なからず業務フローを

システムにあわせる必要がある

スクラッチ開発

ゼロからERP

システムを開発

・事実上の制限なく

 機能を盛り込める

・業務フローにあわせて

 システムを作り込める

・開発コストが高額、

開発期間が長期になりがち

・システムが陳腐化しやすい

 ただし、ERPをスクラッチ開発するのは現実的ではありません。ビジネスに関連する基幹業務を統合し、システム化することは容易ではないからです。開発コストはもちろん、システムを最新の状態に保つための機能追加、アップデート、メンテナンスなど、運用していくための負荷とコストもかかります。

ERPの導入形態

つまり、多くの企業が採用しているERPの導入方法は、SAP、ORACLEに代表されるERPパッケージです。ERPパッケージの導入形態には、大きく「オンプレミス型」「クラウド型」「ハイブリッド型」の3つがあります。

 

概要

メリット

デメリット

オンプレミス型

自社管理するサーバに

ERPパッケージを

インストールして利用

・データを自社管理できる

・セキュリティを強化しやすい

・システム運用・

保守は自社責任

・オンデマンド性

 に欠ける

クラウド型

ERPベンダーの

構築したシステムを

インターネット経由で利用

・素早くERPを導入できる

・初期費用を抑えられる

・運用 / 保守を

ベンダーに任せられる

・カスタマイズの

 自由度は

オンプレミスに劣る

ハイブリッド型

オンプレミスERPと

クラウドERPを

併用利用。

2層ERPとも呼ばれる

・本社はオンプレミス、

一部の部門や

海外拠点にクラウドなど、

双方のメリットを活かせる

・データ統合 /

一元かが難しい

 場合がある

 主流になりつつあるクラウドERP

なかでも、主流となりつつあるERPの導入形態は「クラウド型」です。これは、多様化するERPへのニーズに対応する、多様なクラウドERPが登場しているからにほかなりません。

たとえば、在庫管理の不要なプロジェクトビジネス特化型や、PaaSをベースに柔軟なカスタマイズに対応するSaaS型ERPシステムなど。新アーキテクチャ「インメモリデータベース」で高速化を実現したSAPも、最新の「S4 / HANA」ではクラウドバージョンを用意しています。

ERPの種類 / タイプ

ERPの種類 / タイプ

クラウド型に限らず、ERPシステム / パッケージが多様化した理由は、DXに備え、中小企業を含む多種多様な業種でERPに対する需要が高まったからです。当然、ERPの種類 / タイプも多様化しました。主なものを紹介しておきましょう。

統合型ERP

統合型ERPとは、経営資源を一元管理してリソースを効率的に分配するERPの考え方に基づき、すべての基幹業務を統合したERPシステムのこと。すべての情報は統合データベースに集約され、ビジネスの状態をリアルタイムに可視化。状況に応じた迅速な経営判断を下すために有効なソリューションです。

ERPの特徴 / メリットを最大化するのに役立つソリューションですが、導入時の影響は全部門におよびます。活用の定着、企業文化の変革など、解決すべき課題は少なくありません。

コンポーネント型ERP(モジュール型)

コンポーネント型ERPとは、会計 / 人事などのコアコンポーネントを核に、必要に応じた業務コンポーネントを追加 / 拡張していけるERPシステムのこと。統合型よりも導入コスト / 運用負荷を抑えられるメリットがあり、モジュール型ERPとも呼ばれます。

既存の業務システムと連携して情報の一元管理を進めたい、コア業務からERP化を進め段階的に管理領域を拡大していきたい、などのニーズに適したソリューション。「統合型を導入しても使わない機能がある」中小企業にも導入しやすいERPシステムです。

業務システム型ERP

業務システム型ERPとは、ある特定業務の一元管理を目的としたERPシステムのこと。ERP本来の目的・考え方とはやや異なりますが、ハイブリッドERP / 2層ERPの浸透とともに定着した、新たなERPの考え方だといえるでしょう。

たとえば、統合型ERPを導入する大企業が、マーケティング / 営業部門の活動を統合管理するため「Salesforce」を導入してデータ連携するイメージ。ある部門・業務に特化しているため、コンポーネント型ERPシステムより、さらに導入しやすいメリットがあります。

ERP選定 / 導入のポイント

ERP選定 / 導入のポイント

導入方法 / 形態はもちろん、さまざまな種類 / タイプの存在するERPシステムは、選定 / 導入が非常に難しいことは上述した通り。それを踏まえた上で、適切なERPシステムを導入するには、どのようなことに気を付けておけばいいのか?以下から、ヒントとなるポイントを紹介していきます。

自社課題の明確化

まずは、ERPシステムの導入が解決策として適しているのかを判断するため、自社課題を明確にしましょう。ERPは情報のサイロ化を解決し、よりよい判断を下すための経営状態可視化に役立つソリューションですが、ビジネスの成長を阻む課題は組織ごとに異なるからです。

ERPはあくまでも業務課題を解決するソリューションであり、導入自体が目的化してしまったのでは本末転倒です。自社課題を明確にし、解決するのに適したソリューションは何か?という視点を持つことが重要です。

ERPの導入目的・ゴールを設定

ERPシステムでどのような課題を解決するのか、どのような状態になればゴール達成といえるのか、導入目的・ゴールを設定しましょう。

目的・ゴールが明確になっていれば、ERPにどのような機能を求めるべきか、どのようなタイプのERPが適切なのかを把握できます。多種多様なERPシステム / パッケージから適切なプロダクトを選定するためにも目的・ゴールの設定は重要です。

業務フローの棚卸し / 業務設計

ERPシステムの導入をスムーズに進めるため、プロジェクトリーダーを中心に業務フローの棚卸し / 業務設計をしましょう。汎用的なソリューションであるERPシステムは、少なからず業務フローの変更を要求するからです。

現状を把握し、最終的な理想の姿を明確にできれば、ERPでどの業務をカバーすべきか、段階的に導入するならどの部門から導入すべきか、などが見えてきます。導入するERPの活用・定着を促す意味でも、業務設計は重要なポイントです。

【まとめ】ERP / ERPシステムの全体像を
 解説しました

ERPシステムを導入する企業が増えていると聞くが、そもそもERPとは?どんな効果が期待できる?中小企業にも必要?そんな疑問を持つ企業担当者の方に向け、概念・種類・導入形態から効果・注意点まで、知っておきたいERP / ERPシステムの全体像を解説してきました。 

市場の動向が急激に変化する現代では、状況に応じた素早い経営判断が生き残りのポイント。DX時代に対応するためにも、ERPシステム / パッケージは欠かせないソリューションとなりつつあります。

なお、ERPの導入サポート会社の探し方・選び方がわからない!という方はシステム幹事にお気軽にご相談ください。貴社の目的・予算にあった最適な会社を厳選してご紹介します。相談料・会社紹介料などは無料です。

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