- 更新日 2024.10.17
- カテゴリー インフラ構築
クラウドとは?企業がどう変わるか。AWS、Azure、GCPの活用方法や内容まとめ【2024年最新版】
「クラウドという言葉を最近よく聞くが、メリットがわからない」
「クラウド化で事業がどうよくなるかが想像つかない」
「オンプレミスと比べて何が変わるかわからない」
クラウドは高度な専門性が求められることも多く、情報を整理して理解することが大変です。特に、クラウドを使う場合はセキュリティなどが課題になりやすいため、きちんとした対策を行う必要があります。
そこで、クラウドエンジニアとして働いているプロへの取材情報をまとめ、クラウド化のメリットを解説します。最後まで読めば、クラウドに対する理解がグッと深まりますので、ぜひ参考にしてください。
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クラウドとは何か(AWS、Azure、GCPの活用)
まずは、クラウドについて具体的なイメージを掴んでもらうために、クラウドの概要について簡単に説明します。
クラウドとは自社にサーバーを置かず、インターネットを介してクラウド事業者のサーバーやストレージを必要な時に必要な分だけ利用するシステムのこと。有名なクラウドとしては、業界No1のAWSや2位のMicrosoft Azure、Googleが提供するGCP(Google Cloud)があります。また国内のクラウドとしては、富士通のニフクラなどが挙げられます。
近い例を出すのであれば、カーシェアやシェアサイクルが挙げられます。従来は、車や自転車は自分で購入・保有するのが当たり前でした。(≒オンプレミス)
しかし近年は、自らで車や自転車を保有せず、使いたい時に使いたいだけ使うシェアサービスが台頭してきています。(≒クラウド)。利用者がサーバなどのITインフラを持つことなく、必要な時に必要なだけITインフラを利用することができるサービスです。
クラウドの歴史と変遷
クラウドの概念は、1997年に南カリフォルニア大学のRamnath Chellappa教授によって提唱されました。その後もしばらくは、オンプレミスでの開発が中心の時代が続きます。
クラウドの概念が提唱されてから9年後の2006年、現在のクラウド業界のリーダーであるAmazon Web Service(AWS)が、登場します。続いて2008年にはGoogle Cloudが、2010年にはMicrosoft Azureがサービスを開始しました。
クラウド年表
AWSはIaaSからサービスを始めています。これは、使っていないデータセンターのサーバリソースを貸し出し、ビジネスを拡大させるという目的です。
一方Azureは、Windows製品をもっと世に広めるという目的を掲げ、PaaSからサービスを始めています。また、Google Cloudも同様にPaaSからサービス展開をしています。
2025年の壁イメージ
画像引用:経済産業省
日本では、経済産業省のレポートでも指摘されている「2025年の崖」が迫っていることもあり、クラウドの台頭が進んでいます。
「2025年の壁」とは、多くの日本企業にレガシーシステムが残存しており、それが足枷となって2025年以降に最大12兆円/年の経済損失が発生するという可能性があるという社会問題です。
オンプレミスとの違い
クラウドと対になる概念として、オンプレミスがあります。オンプレミスは、自社のデータセンターにネットワーク機器やサーバを用意する方式です。クラウドが台頭する以前は、各社オンプレミスでシステムを動かしていました。
多くの企業が、自社でサーバーを持つオンプレミス方式主体から、クラウドに移りつつあります。従来のオンプレミス方式では、自社のデータセンターにサーバを用意する必要があり多くの初期費用がかかるというデメリットがありました。
クラウドを活用することで、初期費用を抑えて開発を始めることができます。その他のクラウドのメリットとして、所要時間の短さや拡張性の高さ、従量課金性なのでランニングコストを抑えられる点などが挙げられます。
クラウド |
オンプレミス |
|
初期費用 |
ハードウェアの購入の必要なく 初期費用を抑えられる |
ハードウェアやデータセンターなど 初期費用が大きい |
ランニングコスト |
月額従量課金 使った分だけ費用が発生 |
空調・電源費用など メンテナンスの人件費が必要 |
使用開始までの時間 |
最短即日で開始できる |
調達などに数ヶ月が必要 |
拡張性 |
簡単な設定で柔軟に拡張可能 |
多くの費用と所要時間が必要 |
カスタマイズ性 |
クラウド事業者に依存するため 制約が多い |
自社管理のためカスタマイズは自由 |
セキュリティ |
クラウド事業者が許可する 設定のみ変更可能 |
自社管理のため自由に設定可能 |
柔軟性がある(オンプレミスの利点)
オンプレミスの場合は、環境を0から整備・構築するため、柔軟なカスタマイズが可能です。一方クラウドは既存の事業者が提供するサービスを利用する形態なので、設定項目によっては変更できない場合もあります。
例えばOSは、クラウド事業者が提供しているもののみ使用でき、一部のバージョンなどは使用できないなどのデメリットもあります。ソフトウェアやミドルウェアは、動作するOSが決まっているため、自身の使いたいソフトウェアやミドルウェアがクラウド事業者が提供しているOS上で使用可能かは、きちんと確認すべきでしょう。
また、他システムとの連携の際にも、連携できなかったり、連携できるがセキュリティ的に脆弱になってしまう設定を入れざる得なかったりする場合があるため、きちんとサービス選定を行う必要があります。
セキュリティが強固(オンプレミスのメリット)
オンプレミスの場合は、柔軟性と同じ理由で、セキュリティを最大まで厳しい設定にすることができます。クラウドを使用する場合は、使用サービスのセキュリティ設定に依存する部分が大きくなります。
また、デフォルトでインターネットに接続可能なサービスも多いため、仕様をきちんと確認し、ファイアウォールやWAFなど適切なセキュリティ対策を行う必要があります。
各クラウド事業者は、脆弱性などを検知して対処方法をレコメンドするセキュリティサービスも出していますので、それらも積極的に活用して安心安全なシステム構築を行う必要があります。
所要時間がかかる(オンプレミスのデメリット)
オンプレミスの場合、サーバの選定・調達や実際に使用可能になるまでに数ヶ月を要する場合がほとんどです。クラウドの場合は、最短その日から使用することができるため、スピーディーな開発が可能となります。
費用が高い(オンプレミスのデメリット)
オンプレミスの場合、サーバの調達に何百万~何千万単位の初期コストがかかります。クラウドの場合は自社でのサーバ購入が不要のため、初期コストはほぼ0、月々のランニングコストも数百円~数万円で開発を始めることができます。
そのため、スモールスタートで事業を始めるハードルが低いというメリットもあります。
クラウドの種類(IaaS、PaaS、SaaS)
クラウド事業者が提供するサービスにはIaaSやPaaS、SaaSといった種類があり、使い分けることで効率的な開発が可能となります。
IaaSとPaaSは、開発者向けのサービスです。
SaaSは、種類によりますが一般のユーザーも使用できるサービスも多いです。
IaaS
開発に必要なサーバやネットワークなどのITインフラリソースを、インターネット上で使用できるサービスです。従来、自社で購入する必要があったサーバーなどを、インターネット上で従量課金で手軽に利用することができます。従量課金というのは、使った分だけ払う、コインパーキングのような課金方式です。
ユースケースとしては、フルスクラッチ開発や、カスタム開発が必要なアプリケーション・サービスの開発に使用されます。有名なサービスとしては、Amazon EC2やAzure VMなどが挙げられます。
PaaS
アプリケーションを用意するだけで、データベースやサーバ、OSの準備が不要な開発プラットフォームです。開発者はアプリケーションに集中できるため、コストを抑えて開発ができます。
一方で、カスタム性はそこまで高くない場合が多いため、トレードオフの一面もあります。
有名なサービスとしては、VercelやSalesforceのHerokuなどが挙げられます。
SaaS
開発が不要で、インターネット上で利用できるソフトウェアです。ユースケースとしては、企業や個人の特定課題の解決のために使われます。
例えば、会議やチャットなどのコミュニケーションや、採用や労務の管理など、さまざまな領域でSaaSが台頭しています。日本で有名なSaaSの例としては、SanSanやSmartHRなど挙げ始めたらキリがありません。
SaaSは開発者のみならず一般の個人や企業も多く利用するソリューションである場合が多いです。これらの様々なクラウドソリューションを組み合わせることで、効率的な開発が可能となります。
もう少し専門的に説明をすると、SaaSやPaaS、IaaSは、クラウド事業者とユーザーの責任範囲(管理すべき対象範囲)によって分類されます。事業者がハードウェアやOS、ミドルウェアからアプリケーションまで全て管理し、ユーザーは使用するだけの形態がSaaSです。OSやミドルウェアまでクラウド事業者が管理し、アプリケーション部分だけにユーザーが責任を負うのがPaaSです。
OSやミドルウェアまで含めてユーザーが責任を負うのがIaaSであり、オンプレミスは当然ながら全てがユーザーの責任です。
代表的なクラウドサービス
ここからは、主要なクラウドサービスであるAWS、Azure、GCPについてご紹介していきます。
AWSの概要と特徴
AWS(Amazon Web Service)は、業界トップのクラウドベンダーです。2006年からサービスを開始しており、2022年Q1期のクラウドインフラ業界におけるシェアは33%で、継続してNo1を維持しています。
インフラストラクチャーのシェア
AWSの特徴としては、業界のリーダーとして様々な領域・ユースケースのサービスをバランスよく提供していることや、設定や実装方法に関するドキュメントがインターネットに多く存在することなどが挙げられます。
特に実際に開発する際には、ドキュメントが整備されているかどうかで開発スピードはかなり異なってくるため、情報の多さという観点も非常に重要です。インターネットへの接続は明示的にゲートウェイを作成しないと有効化されないなど、エンタープライズの厳しい要件を満たせるよう、セキュリティレベルが高い設計思想で作られていると感じます。
また、AWSの開発経験のある開発会社やエンジニアは、他のクラウドと比較しても多く存在します。開発会社の候補が多いことも、メリットの1つではないでしょうか。
AWSの有名なサービスとしては、IaaSのサーバとして使用されるEC2や、リレーショナルデータベースであるRDS、堅牢なストレージであるS3などが挙げられます
Azureの概要と特徴
Azureは、業界No2のクラウドベンダーです。2010年からサービスを開始しており、2022年Q1期のクラウドインフラ業界におけるシェアは22%と、首位のAWSとの差をじわじわ縮めています。
Azureの最大の強みとして、Microsoft OfficeやAcitive DirectoryなどのMicrosoftサービスとの親和性が高いことが挙げられます。これらのサービスと簡単に連携できるため、システム導入やシステム移行がスムーズに実施でき、コストを削減できます。
料金面でも、WindowsサーバやSQL Serverデータベースを使用する場合は、ライセンス込みで他クラウドよりも数十%安く利用できるため、Microsoftサービスを最大限活用する場合には多くの恩恵を受けられます。また、AzureはUIが統一されていてわかりやすいというのは使っていて感じるため、特にWebコンソールを主体にして開発や保守運用を行う場合は、ストレスフリーで実施できるかと思います。
画像引用:マイクロソフトサポート
AWSほどではないですが、Azure経験のある開発会社やエンジニアは多く存在しますので、開発会社は安易に見つけることができるでしょう。
Azureの有名なサービスは、PaaSとして使用されるAzure App ServiceやリレーショナルデータベースであるSQL Database、堅牢なストレージであるAzure Blob Storageなどが挙げられます。
関連記事:Microsoft Azureとは?主な機能と活用事例・メリット・注意点について解説
GCPの概要と特徴
GCP(Google Cloud)は、Googleが提供するクラウドサービスです。2008年からサービスを開始しており、2022年Q1期のクラウドインフラ業界におけるシェアは10%でした。
GCPの特長としては、Googleとして培っているデータ分析などの特定の領域に非常に強いことです。例えばBigQueryは、他クラウドと比較して低コストと高パフォーマンスでビッグデータを分析できます。また、Kubernetesも元々はGoogleが開発したという経緯もあり、GKEもGCPが推しているサービスの1つです。
有名なサービスとして、ビッグデータの分析基盤であるBigQueryや、IaaSのサーバとして使用されるGCE(Google Compute Engine)、Kubernetes(k8s)によるコンテナのオーケストレーション(構築や運用の管理)を提供するGKE(Google Kubernetes Engine)、データベースサービスであるCloud SQLなどが挙げられます。
また、GCPのPaaSサービスとしては、Google App Engineが有名です。
GCPを用いた開発は、AWSやAzureほどは多くないため、開発会社やエンジニアを見つける難易度がやや高いという懸念もあります。
クラウド化のメリット
クラウド開発のメリットとしては、以下の4点が挙げられます。
- 初期費用が抑えられる
- ランニングコスト(毎月のお金)も抑えられる
- 開発の所要時間が少ない
- 拡張性が高い
初期費用
クラウドの場合は自社でのネットワーク機器やサーバ購入が不要のため、初期費用はほぼ0で開発を始めることができます。オンプレミスの場合は、サーバの調達に何百万単位の初期費用がかかります。また、データセンターなどの物理的な場所の準備や、データセンター内の空調・電源の設置など、周辺設備への投資費用も必要です。
初期費用がかからずスモールスタートで事業を始めることができるため、その時々に合わせた柔軟でスピード感を持った事業推進が可能です。
ランニングコスト(毎月のお金)
クラウドは従量課金であり、ランニングコストを抑えられるのが特徴です。従量課金というのは、所有するのではなく使った分だけ払う、コインパーキングのような課金方式です。
常に最新のコストパフォーマンスの良いサーバーなどを使用できることもメリット。
オンプレミスの場合は、ハードウェアのメンテナンスが必要で、通常データセンターに専任のスタッフをおく必要があります。空調費用や電源費用も常にかかってきます。老朽化に伴い障害や不具合の頻度は増えていくため、管理費用は増大する傾向にあります。
一方クラウドのデメリットとしては、お試しで作ったリソースを消し忘れて毎月課金されている、サーバやデータベースの自動取得されるスナップショットが溜まり、コストを圧迫しているといったことも発生し得るということは覚えておかなければいけません。料金体系や自身のアカウント上のリソースについて、きちんと把握しておく必要があります。
所要時間
クラウドを使用すると、最短その日からサーバやデータベースを使用することができ、スピーディーな開発・事業推進が可能となります。
クラウドサービスを使用する際の注意点として、クラウドはクレジットカード払いから始まる場合がほとんどです。利用金額が一定以上になるなど、特定の条件を満たした場合にのみ請求書払いに変更することが可能な事業者もありますが、使用開始時はほとんどがクレジットカードです。
クレジットカードを準備・使用する際の自社内の手続きや承認に時間がかかる場合もありますので、早めに対応しておくことをお勧めします。
一方オンプレミスの場合、サーバーの選定・調達や実際に使用可能になるまでの設定完了までに数ヶ月を要する場合があります。特にオンプレミスでは、一度サーバを導入すると安易に置き換えできないため、性能などのスペックやOSやハードウェアの種類などは入念に吟味する必要があります。
拡張性
クラウドを使用すると、アプリケーションへのアクセスが急増した際の拡張性も簡単に拡大することができます。例えば、サーバーのスペックを上げるスケールアップは数クリックで設定することができます。また、サーバーの数を増やすスケールアウトも、クラウド事業者が提供しているサービスを使うことで簡単に実現できます。また、利用が少ない時はサーバの数を減らしコストを抑えるスケールインができることもクラウドのメリットです。
加えて、その時々の最新のハイスペック機種のハードウェアを使用できるのも魅力ではないでしょうか。CDN(Contents Delivery Network)などの一部のサービスは、クラウド事業者によってはグローバル共通で提供しています。これらを活用することで、世界中どこからのアクセスであっても高速なレスポンスを返すことができます。
一方オンプレミスの場合は、物理サーバのスペックを上げるスケールアップや、物理サーバの数を増やすスケールアウトには、大きなコストとリードタイムを要します。これは、物理サーバを増築したり、追加したりする必要があるためです。
クラウドは嵐のように変わる市場の状況に合わせて小回りを利かせやすく、コストメリットが出しやすいというメリットが評価されています。
クラウド化の成功例
AWSを使った成功例
急増するフードデリバリーの需要に柔軟に対応|株式会社出前館
出前館は、日本最大級のフードデリバリーサイトです。昨今の新型コロナウイルスによる外出自粛などで生活や消費の価値観の変化があり、さらなるビジネス拡大を見込んでいます。
画像引用:AWS
出前館の課題として、約20年間使用しているオンプレミスのシステムは、急激なアクセス増加に対して拡張性が十分でなく、また多くの運用費用もかかっていました。特に土日や雨天の食事時などのピーク時間帯にサービスが停止してしまうことがありましたが、オンプレミスなので迅速かつ柔軟な対応は難しい状況でした。
2019年からAWSへの移行に着手し、2020年にはメインのデータベースをAWS Auroraへの移行を開始しました。オンプレミスのデータベースはCPUの使用率が8割を越えることもありましたが、AWSのデータベースにオフロードすることで40%程度まで低下させることができました。
これにより、雨天や土日の食事時間帯などのピーク時においても、システムの停止や障害発生の対応に追われることはなくなりました。オンプレミスからクラウドへ移行し、事業に拡張性を持たせた好例と言えるでしょう。
新型コロナ追跡システムで大阪府民880万人に貢献|大阪府
画像引用:MapFan
関西地方の経済・交通の中心である大阪府は、880万人以上の人口を抱える自治体です。2020年に設置された大阪府のスマートシティ戦略部では、新型コロナウイルスの感染拡大抑制対策として、コロナ追跡システムの構築に乗り出しました。
イベントなど不特定の人が集まる場所にQRコードを設置し、イベント参加者がスマートフォンからQR コードを読み込み、メールアドレスで登録するというものです。
画像引用:AWS
大阪府はコロナ追跡システムのリリース時期について、緊急事態宣言の解除が予想される5月末を想定しており、残された時間は数週間程度と限られたものでした。大阪府はフットワークの軽いスタートアップ企業と協業し、Amazon EC2やS3などの基本的なサービスや、SESなどのEメールサービスを最大限を活用し、計画からわずか2 週間でサービスをリリース。
運用開始後に生じたさまざまなニーズに応える機能拡充も迅速に行いました。例えば大阪府は、メール受信者が PCR 検査や抗原検査を無償で受けられるような制度を整備しました。
Azureを使った成功例
XRで新しい買い物体験を|株式会社パルコ
画像引用:パルコ
パルコは、全国に展開している百貨店です。パルコでは、2016年ごろからXRの取り組みを始めました。XR とは、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの総称であり、仮想空間を現実世界のように感じられる技術のことです。
パルコ渋谷店では、VRを使ったバーチャルショーケースなどのイベントを開催し、1ヶ月で25000人を動員しました。その後も、XRの企画が継続的に実施されています。
画像引用:Azure
パルコのXRの取り組みを支えてきたのが、Azureの基盤です。Azure上で動くクリエイティブプラットフォームを使うことで、クリエイターはWebブラウザ上からVR空間をデザインすることができます。また、クリエイターは高性能のPCではなく一般向けのPCでも十分にデザインを作ることができるのも、大きなメリットでした。
以前はCGなどの作成・編集には、各自が性能の良いPCを使う必要があったためです。クラウドを使って新たな顧客体験を生み出した良い例と言えます。
クラウドを活用して業務を自動化・効率化|アステラス製薬株式会社
アステラス製薬は、世界70カ国以上でビジネスを展開する、日本を代表する製薬会社です。
アステラス製薬は社内業務でも先端技術を採用し、ロボティック・プロセス・オートメーション(PRA)を積極的に推し進めています。そこでの課題として、大規模業務ではエンタープライズ向けRPAツールが有効な一方、自由度の高い小規模業務については、ライセンスの問題などで既存のツールでは難しいという点がありました。
そこで、 Power Automateを採用し、小規模業務の自動化を推し進めることにしました。Microsoft 365を全社的に導入しており、親和性が高いというのも後押しとなりました。
画像引用:Microsoft
これにより、従来のRPAツールではROI基準を満たさなかった小規模業務についても、自動化を実現することができました。クラウドのノーコード/ローコードツールを使って業務を自動化・効率化した好例と言えます。
GCPを使った成功例
来店から会計までを完全自動化|くら寿司株式会社
くら寿司は1977年にお寿司の持ち帰り専門店として創業し、1984年に回転寿司に参入しました。独自の皿回収システムなどの独自性を武器にシェアを拡大し、現在では国内500以上の店舗が存在し、アメリカや台湾などにも展開しています。
画像引用:くら寿司
くら寿司は従来、オンプレミスでシステムを運用していましたが、海外展開なども見据えてGCPへ移行しました。GCPを使うことで、保守運用メンバーを海外に派遣する必要がないことも大きなメリットです。また、拡張性のあるクラウドであれば、店舗の増大にも簡単に対応できます。
スマートフォンで予約をし、チェックインすると店舗の自動案内機械が席を案内します。席ではスマートフォンを使った注文もできます。AIやQRコードを活用し、お皿を自動カウントし、会計までの全工程がシステム化されています。
画像引用:GCP
昨今の新型コロナウイルスの影響もあり、機器や人に触れないという感染症予防の観点でも特に注目されています。GCPのAIや拡張性のあるサービスを用いて、自動化を推し進めつつグローバルに事業を拡大した典型的なケースと言えるでしょう。
70万台もの自動販売機のデータ分析をリアルタイムに|コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社
コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社は、日本でコカ・コーラ製品の製造・販売を行っている企業です。主力事業である自動販売機は、日本全国におよそ70万台を展開しています。欧米ではセキュリティなどの理由から自動販売機はそこまで普及していません。この自動販売機から抽出したビッグデータをうまく活用することで、大きなビジネス成果を上げることが可能となります。古くは営業担当者の経験と勘で自動販売機の製品構成は決定されていましたが、近年はデータに基づいてより戦略的に構成が決まるようになりました。
70万台からのビッグデータを分析するためには、強力な分析基盤が必要です。従来は独自のツールを使って分析していましたが、データの大きさなどが原因でデータを処理し切れなかったり、クエリ実行しても時間がかかるといった課題がありました。そこで分析プラットフォームをGoogle Cloud上に構築する計画を2020年に開始しました。
分析プラットフォームにはBigQueryや機械学習サービスのVertex AIなどを採用し、数ヶ月でクイックに構築しました。
画像引用:GCP
その結果、1週間かかっていたデータ分析がほとんどリアルタイムで実行できるようになりました。GCPを活用することで、機械学習のパイプラインのサイクルを効率化するようなMLOpsを実現しました。クラウドで実現可能な並列処理を活用し、分析の自動化・効率化を推し進めた良い例です。
【まとめ】クラウド化でどう変わるのか
クラウドの概要や主要なクラウド事業者、クラウド化のメリットと成功事例について紹介しました。クラウド化によって、以下のようなメリットがあることがわかりました。
- 費用を抑えることができる
- 使い始めるまでの所要時間を短縮できる
- 急激なアクセス増加にも、柔軟で、簡単に対応できる
このような観点でクラウド化を検討していきますが、本当にクラウドでやりたいことが実現できるかどうかは、ある程度のITの前提知識が必要となるケースも少なくありません。
クラウド化ついて困った場合は、システム幹事にご相談ください。予算や目的から最適な会社をご紹介します。相談料などは一切かかりません。
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岩田
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この記事を書いた人
Definer Inc. | ライターチーム
専門分野: クラウド開発・クラウド移行(フルスクラッチ開発・自社SaaS提供・AI Ops構築)
外資IT企業出身のトップエンジニアが、企画・要件定義の上流から開発まで、総合的なITソリューションをワンストップ提供しております。また、AWS、Azure、GCPでのクラウド開発・移行、フルスクラッチなアプリ・システム開発を得意としています。「2025年の崖」を打破すべく、クラウドに関するお役立ち情報をお届けします。
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