- 更新日 2024.03.15
- カテゴリー AI開発
動画解析とは?仕組みや活用例、導入方法をわかりやすく解説【2024年最新版】
動画解析とは、映っている物を認識・識別する技術です。労働環境の改善やコストの削減、ヒューマンエラーの軽減が期待できるため、企業での導入事例も増えています。
しかし動画解析とひとことで言っても、なかなかイメージを掴みくいですよね。
- 動画解析ってどんな仕組みだろう
- 動画解析は具体的に、何に活用できるのだろ
- 動画解析を導入すると、どんなメリットがあるのだろう
とお悩みの方も多いでしょう。
本記事では、動画解析の仕組みやメリット・課題点・活用事例などについて解説します。動画解析の導入を考えている企業担当者の方は、ぜひご覧ください。
動画解析を活用したシステム開発を検討している方は、システム幹事の相談窓口にてお気軽にご相談ください。システムに必要なもの、相場、開発会社など無料でご案内させていただきます。
動画解析とは
動画解析とは、
- 動画の中から特定の人や特定の動きをした人を見つけ出す
- 道路の標識や道路を走る車を識別する
など、カメラなどで撮影した映像から映っているものを認識し識別する技術を指します。
動画解析が注目されている背景には、AIの進化が関係しています。
もともと動画解析は、パソコンを使用して行っていましたが、リアルタイムでの処理が難しく、手間がかかる課題もありました。しかしAIによる動画解析が可能となり、工場での製品の検品・倉庫での在庫管理やオフィスでの入退室の管理などの場で活用されています。
動画解析の仕組みは「画像解析」の連続
動画解析の仕組みは、画像解析を繰り返すことにあります。そもそも動画は、複数の画像を連続再生し構成されています。そのため動画解析も、画像解析を繰り返すことで行われるのです。
画像解析は、画像から特徴を抽出し、映っているものを識別するパターンマッチング技術の1つです。(以下追記)コンピューターを使用し、特定の被写体を抽出したり動きや位置などを識別したりしていきます。
つまり動画解析は画像解析を繰り返して行うもので、仕組みとしては同じだということです。
画像解析の種類
画像解析の種類は、以下表でまとめた5つに分けられます。
画像解析の種類 | 概要 |
物体検出 |
・画像に写っている写真全体から対象の物体をすべて洗い出す。 ・倉庫での在庫管理や、橋やトンネルなど構造物に発生した クラック(ひび割れ)の検出に使用。 |
画像分類 |
・画像の中に何が写っているかを分類する。 ・自動で画像をラベリングする際に使用。 ・物体の位置や数の識別は画像分類に含まれない。 |
セグメンテーション |
・検出した物体の境界線までを抽出する。 ・スマホカメラがホワイトボードや書類を認識するのも セグメンテーションによるもの。 |
文字認識 |
・画像中の書類位置や文字のレイアウトを抽出し、 文字を割り出しテキストデータをファイルに出力 ・セグメンテーションの技術を活用。 ・スマホカメラを使った翻訳ソフトで使用している。 |
顔認識・顔認証 |
・顔のパーツのレイアウトから個人を認識する。 ・スマホやオフィスの顔認証システムで使われる。 |
画像解析は上記のように、日常生活のさまざまな場面で使用されています。現代社会において不可欠な技術と言えるでしょう。
画像解析の方法
動画解析の元となっている画像解析は、次の順番で行われます。
まずは、解析対象となる画像を取り込みます。画質のよい画像を取り込むと解析の精度は向上する反面、システム構成によっては解析に時間がかかる場合もあります。そのため、必要な画質と環境を事前にテストしておきます。
次に、画像を解析しやすいよう前処理(画像変換)を行います。
変換の種類としては、明るさやコントラストの補正・モノクロ化などの変換・ノイズ除去やエッジ処理などの加工などが挙げられます。
対象画像の変換後、特徴量を抽出します。
抽出方法には、人の手を介して組み上げられていくアルゴリズム処理による特徴量抽出と、人の手を介さないディープラーニングによる特徴量抽出の2種類があります。リアルタイム性が重要視されるような動画解析では、ディープラーニングによる特徴量抽出がよく用いられます。
動画解析と従来の技術との違い
動画解析が、機械学習やディープラーニングといった従来の技術とどう違うのか疑問に感じる方もいるでしょう。
まず機械学習やディープラーニングは、画像解析を行う手法のひとつです。そのため、動画解析との違いはありません。
機械学習とディープラーニングは、混同されることも多いですが仕組みが異なります。そこでここからは、動画解析において機械学習とディープラーニングがどう違うのかを解説します。
機械学習との違い
機械学習は、コンピューターが大量のデータから学習しルールやパターンを発見する技術です。
例として、自動車の画像を大量に読み込ませますと、画像の特徴やパターンを学習し特定の自動車を判別できるようになります。
機械学習では、事前に識別の条件を設定しなければいけません。形や色を指定することで、異なる外観であっても全て自動車として認識できるようになります。
一連の作業はコンピューターが行うため、データ処理の時間が大幅に短縮されています。
ディープラーニングとの違い
ディープラーニングは、上記で解説した機械学習のひとつです。大きく異なるのは、従来の機械学習で行なっていた「人の手による識別の条件指定」が不要なことです。
ディープラーニングでは、学習の基準をコンピューターが自動的に判断します。自動車の画像を大量に読み込んでいくと、自動車の特徴を自動的に学習し、正確に識別できるようになるのです。
コンピューターが自動的に学習するため、従来の機械学習よりも人の手がかからなくなりました。そのため、画像・動画解析の時間が短縮され、処理効率の向上が実現しています。
動画解析はPythonでも可能!
プログラミング言語のひとつであるPythonでも動画解析が行えます。ここからはPythonでどのような動画解析ができるのか、どういった流れで行うのかを解説していきます。
Pythonで行える動画解析
Pythonでは、以下のような動画解析を行えます。
- 病院での診察:心臓や関節の動きの検知
- 監視カメラ映像の解析:不審者がいた場合、Pythonが検知
- ロボット開発:人型ロボット「Pepper」の映像解析で活用
Pythonで動画解析を行うには「OpenCV」という画像処理ライブラリが必要です。無償で一般公開されているため、誰でも無料で使えます。
また、OpenCVは他のライブラリと組み合わせるとより効果的です。ScipyやNumpyといったPython用のライブラリと併用することで、より高度な動画解析を行えます。
Pythonで動画解析を行う流れ
Pythonでの動画解析は、以下の流れで行えます。
- Anacondaをインストール:機械学習ライブラリがそろう。
- OpenCVをインストール:動画処理に必須。Anacondaからインストールできる。
- OpenCVで動画を読み込む:VideoCaptureメソッドを使用。
- OpenCVで動画のプロパティを取得:getメソッドを使用。
- OpenCVで動画のプロパティを指定:setメソッドを使用。
実施には、動画処理が可能なパソコンが必要です。メモリが16GB以上でスペックの高いパソコンにした方が、動画解析をスムーズに行えます。
動画解析のメリット
動画解析を導入するメリットは、以下の3つです。
- 労働環境の改善
- 人や時間にかかるコストの削減
- ヒューマンエラーの低減
労働環境の改善
たとえば製品の検品時、細かい部分をチェックする従業員には大きな負担があるでしょう。
しかし、動画解析による検品システムを導入すれば常に目を凝らす必要がなくなり、労働時間などの環境を改善しやすくなります。
また、やトンネルなどの社会インフラを目視での維持管理は、季節によっては過酷な労働環境になりえます。目視によるチェックを自動化することで長時間過酷な環境の中にいる必要がなくなり、労働環境の改善が期待できます。
人や時間にかかるコスト削減
たとえば、無人コンビニなどで動画解析を活用することにより、従業員を削減する試みがされています。
また、工場の中の人の動線分析を動画解析により行うことで生産性向上を図る例もあります。
ヒューマンエラーの低減
人間の場合、同じ作業を長時間続けていると、疲労や集中力のばらつきによって見落としが発生する可能性があります。
対して、動画解析のアルゴリズムには疲労による見落としがないため、検品の自動化による精度の向上が見込めます。また、検品の尺度やスキルが人によって異なるという問題点も動画解析であれば解決が可能です。
さらに、製造ラインで作業員が誤って危険な行動を取ったとしても、動画解析により検知するシステムがあれば、事故を未然に防げる効果もあります。
動画解析のデメリット
動画解析はメリットが多い一方で、今後の課題点として次の3点が挙げられます。
- 機材やソフトなどにコストがかかる
- 解析精度が完璧ではない
- 自社に合ったソフトがない可能性がある
機材やソフトなどにコストがかかる
動画解析に求める要件によっては高性能なカメラが必要になるため手軽に導入できるとはいえない状況です。
さらに、動画解析システムに加え、解析結果を踏まえた制御・出力を自動で行う場合(検品結果を踏まえてワークを製造ラインから自動で外すなど)は、カスタマイズの費用も追加でかかります。
しかし、一度導入が完了すれば人件費の削減や、作業効率アップによるメリットが受けられるのも事実です。動画解析が気になる場合、まずはシステム導入の見積もり依頼するのがおすすめです。
解析精度が完璧ではない
構成によっては、人の目を超える精度で不良品の抽出が可能な動画解析です。しかし動画の画質によって精度にばらつきが生じる場合があります。そのため導入の際は、システム会社と目的や要件の共有を綿密に行うことが大切です。
自社に合ったソフトがない可能性がある
すでに実用化されている用途であれば問題ありませんが、もしも自社に合ったソフトがない場合は専用のソフトを開発する必要があるため、多くの費用がかかるでしょう。
システム会社によって得意不得意が異なるため、見積もりを依頼する際は複数のシステム会社に依頼するのをおすすめします。
動画解析の用途・活用事例10選
ここからは、動画解析の用途や活用事例について紹介します。
1. 工場やオフィスで活躍する入退室の管理
入退室時にドアやゲートの周りのカメラで顔を映し、サーバー上の認証情報と照合することで、入退室の管理が可能です。またドアやゲートの施錠に連携することで、セキュリティ向上にも役立ちます。
さらには、検温の機能を追加すれば、入退室管理と同時に従業員の体調の管理も可能です。
2. 自動化実績も多い製造ラインの検品
活用事例としては、キューピーの自社開発による原料検査装置があります。従来は不良品パターンを学習させ、不良品をマッチングさせる方法でしたが、正解のパターンだけを「良品」として学習させ、正解パターン以外をすべて「不良品」とすることで精度を向上させました。
3. 倉庫内の在庫管理
従来であれば人の目で商品のタグなどを確認し、在庫管理システムに手入力をするのが一般的でした。しかし動画解析を用いることで、タグの読み取りからシステムへ入力までを自動化させ、工数を大幅に削減するメリットがあります。
4. 製造ラインでの危険回避支援システム
製造ラインでの危険な行動を検知して、現場で共有できる機械を提供するシステムも動画解析の用途の一例でしょう。
たとえばシンクチューブの「危機回避支援システム」では、従業員が製造ラインをまたいだりロボットアームの可動範囲で作業をしたりする時など、ラインのそばで起きている不安全行動をモニタリング・検知し、社内の安全担当に共有するシステムとなっています。
5. スマホカメラを使った本人確認の効率化
銀行や通信会社などでも動画解析が用いられています。
本来、金融機関で本人確認を行うためには、免許証やマイナンバーカードといった本人確認書類を持って窓口に行く必要がありました。しかし動画解析により本人確認を行うことで、オンラインでの手続きが可能になりました。
6. 動画解析で安全を確保する自動運転
画像:SUBARU
スバルのアイサイトは、複数のカメラで解析情報を取得し、得られた情報を組み合わせて利用しています。
例えばカメラ同士の視差から距離など3D情報と、単眼での解析情報を組み合わせることで、悪天候時などの状況にも対応しています。
7. 商品や人を認識する無人店舗
レジなしコンビニの「ローソンGO」にも、動画解析は活用されています。
無人店舗に入店する際には、事前に登録された写真とカメラに写った画像を照合し、本人確認を行います。
また、無人店舗に訪れた客が手に取った商品や棚に戻した商品、かごに入れた商品なども天井に設置されたカメラにより検出が可能です。
8. 怪しい動きを認識して不審者を検出
事前に一定の条件(進入禁止エリアへ侵入しようとする、一定時間同じ場所をうろうろするなど)を登録しておけば、当てはまる人物が検出できるのも動画解析の特徴です。
画像解析を用いて、不特定多数が行き交う場面でも不審者を効率的に抽出できるようになります。
9. スポーツのコーチング
カメラで撮影された映像から、投球や打撃といった動作をデータとして抽出してデータとして蓄積します。貯めたデータは、自チームや相手チームの分析に活用できます。スポーツのコーチングは、動画解析によってよりロジカルな戦略を考えることが可能となりました。
10. スマホカメラを用いた翻訳サービス
「Googleレンズ」の翻訳機能やLINEの「OCR機能」といったスマホカメラを使った翻訳サービスも、動画解析の活用例です。カメラで文章を映し、目的の言語を選択するだけで、自動で翻訳がされます。
翻訳サービスが普及した背景には、自然言語処理の発達があります。自然言語とは、私達が普段話すような言葉のことで、従来のアルゴリズム処理では理解が困難でした。しかしAIの発達により、自然言語の理解が急速に進み、街中の文章でも翻訳可能になったのです。
動画解析を発展させたAIは、翻訳サービスの発展にも貢献しています。
動画解析の導入方法
動画解析の導入方法は、次の3ステップです。
動画解析を導入する目的や欲しい機能を洗い出す
洗い出すトピックの例としては、以下のとおりです。
- 現状の課題
- 達成したい目標
- 欲しい機能
- 希望のスケジュール
- (必要に応じて)動画解析を紐づけたい既存システムの要件希望予算
- 動画解析を含むシステムの維持管理に関わるリソースの有無
上記のトピックスは具体的であればあるほど、見積もりと実際の費用の差が少なくなります。
システム会社に見積もりを依頼する
ここで大事なことは、複数の会社に見積もりを取ることです。なぜなら、会社によって得意不得意が違う上、動画解析システム単体で見たら安価でも、業務用にカスタマイズを依頼すると実は他の会社の方が安い、といったことも起こりえるからです。
システム会社の選ぶ際は、以下の表にまとめた5つを意識しましょう。
意識すべきポイント | 概要 |
提案書、仕様書のわかりやすさ |
方針の内容がわかりやすく作業スコープがはっきりしているなど、 進め方のイメージが湧く提案書・仕様書のシステム会社がおすすめ。 |
システム会社の得意分野が 自社の要望にマッチしていること |
オリジナルのシステムを構築する必要がある場合には、 オリジナル開発の得意な会社のほうが良い |
開発担当者と直接話せるかどうか |
開発担当者と直接話す機会が持てると、 営業担当に要望がうまく伝わらない場合でも安心。 |
開発体制が多重下請け構造に なっていないか |
予算がマージンにばかり消化され、 実際の開発予算がかなり少なくなってしまう場合もある。 |
費用感 |
「安ければ安いほど良い」とは限らないため、 費用の内訳も確認し、自社の課題解決に適した会社を選ぶ。 |
どこに依頼したら良いのか迷う場合は、以下の記事も合わせてご覧ください。
まとめ
動画解析は、カメラなどの映像に映るものを認識・識別する技術です。動画解析を活用することで、労働環境の改善やコスト削減が期待できます。
動画解析をシステムに取り入れたいとお考えの方は、ぜひ「システム開発会社の選び方7ポイント」の一読をおすすめします。
ここで紹介しきれなかったシステム会社の選び方のコツを、システム開発のプロがより詳細に解説しています。ぜひご参考ください。
コンサルタントのご紹介
岩田
専任のコンサルタントが、
お客様の予算と目的を丁寧にヒアリング。
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初心者の方でも安心してご相談いただけます。
動画解析を活用したシステム開発を検討している方は、システム幹事の相談窓口にてお気軽にご相談ください。システムに必要なもの、相場、開発会社など無料でご案内させていただきます。
Q. 動画解析とは何ですか?
動画解析とは、カメラなどで撮影した映像から映っているものを識別する技術のことです。現在ではAIによる動画解析が可能となり、工場での製品の検品・倉庫内の在庫管理や、オフィスでの入退室の管理などで利用されています。
Q. 動画解析のメリットは?
動画解析のメリットは「常に目を凝らす必要がなくなり、労働時間などの環境を改善しやすくなる」「人や時間にかかるコスト削減できる」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。