動画解析とは?AIの仕組みや活用例、メリットデメリットを解説【2024年最新版】

動画解析とは、映っている物を認識・識別する技術です。労働環境の改善やコストの削減、ヒューマンエラーの軽減が期待できるため、企業での導入事例も増えています。

しかし動画解析とひとことでいっても、なかなかイメージをつかみくいですよね。

  • 動画解析ってどんな仕組みだろう
  • 動画解析は具体的に、何に活用できるのだろ
  • 動画解析を導入すると、どんなメリットがあるのだろう

とお悩みの方も多いでしょう。

本記事では、動画解析の仕組みやメリット・課題点・活用事例などについて解説します。動画解析の導入を考えている企業担当者の方は、ぜひご覧ください。

動画解析を活用したシステム開発を検討している方は、システム幹事の相談窓口にてお気軽にご相談ください。システムに必要なもの、相場、開発会社など無料でご案内させていただきます。

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目次
  1. 1. AIによる動画解析とは
  2. 2. 動画解析でできること
  3. 3. 動画解析の仕組みは「画像解析」の連続
    1. 3-1. 画像解析の種類
    2. 3-2. 画像解析の方法
  4. 4. 動画解析と従来の技術との違い
    1. 4-1. 機械学習との違い
    2. 4-2. ディープラーニングとの違い
  5. 5. 動画解析はPythonでも可能!
    1. 5-1. Pythonで行える動画解析
    2. 5-2. Pythonで動画解析を行う流れ
  6. 6. Pythonで動画解析をする際に役立つライブラリ
    1. 6-1. OpenCV
    2. 6-2. scikit-image
    3. 6-3. MoviePy
    4. 6-4. Pillow
    5. 6-5. TensorFlow
    6. 6-6. PyTorch
  7. 7. 動画解析のメリット
    1. 7-1. 労働環境の改善
    2. 7-2. 人や時間にかかるコスト削減
    3. 7-3. ヒューマンエラーの低減
    4. 7-4. 作業精度の向上
  8. 8. 動画解析のデメリット
    1. 8-1. 機材やソフトなどにコストがかかる
    2. 8-2. 解析精度が完璧ではない
    3. 8-3. 自社にあったソフトがない可能性がある
  9. 9. 動画解析の用途・活用事例10選
    1. 9-1. 1. 工場やオフィスで活躍する入退室の管理
    2. 9-2. 2. 自動化実績も多い製造ラインの検品
    3. 9-3. 3. 倉庫内の在庫管理
    4. 9-4. 4. 製造ラインでの危険回避支援システム
    5. 9-5. 5. スマホカメラを使った本人確認の効率化
    6. 9-6. 6. 動画解析で安全を確保する自動運転
    7. 9-7. 7. 商品や人を認識する無人店舗
    8. 9-8. 8. 怪しい動きを認識して不審者を検出
    9. 9-9. 9. スポーツのコーチング
    10. 9-10. 10. スマホカメラを用いた翻訳サービス
  10. 10. 動画解析の導入方法
    1. 10-1. 動画解析を導入する目的や欲しい機能を洗い出す
    2. 10-2. システム会社に見積もりを依頼する
    3. 10-3. システム開発会社の選び方のポイント
  11. 11. 【まとめ】動画解析について解説しました

AIによる動画解析とは

動画解析とは、

  • 動画の中から特定の人や特定の動きをした人を見つけ出す
  • 道路の標識や道路を走る車を識別する

など、カメラなどで撮影した映像から映っているものを認識し識別する技術を指します。映像解析と呼ばれることもあります。

画像データと指示を与えて学習させる機械学習や機械学習をより多層的な構造で行って自動的に学習するディープラーニングで学習したAIを使用することが一般的です。近年のAI技術の進化でこれまでより精度の高い解析が可能になり実用性も増したことから、導入する企業や導入を検討する企業が増えています。

もともと動画解析は、パソコンを使用して行っていましたが、リアルタイムでの処理が難しく、手間がかかるという課題がありました。しかしAIによる動画解析技術の進歩とハードウェア(動画解析ソフトを動かす機械)の性能の向上によってこれまでより高精度で高速な処理ができるようになりました。

現在では、工場での製品の検品・倉庫での在庫管理やオフィスでの入退室管理などさまざまな場面で活用されています。

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動画解析でできること

AIによる動画解析では、主に以下のようなことができます。

  • 動画や静止画に映っている人や物を特定する
  • 人の動きを検知・分析する
  • 見本データとの差異を検知して不良品を発見する
  • 映っている人や物の動きから未来を予測する

具体的には、顔認証技術による入退室管理や工場での不良品検知、不審者の検出、農作物の生産量予測、予測による危険回避支援などで利用されています。

動画解析の仕組みは「画像解析」の連続

動画解析の仕組みは、画像解析を繰り返すことにあります。そもそも動画は、複数の画像の連続で構成されています。そのため動画解析も、画像解析を繰り返すことで行われるのです。

画像解析は、画像から特徴を抽出し、映っているものを識別するパターンマッチング技術の1つです。コンピューターを使用し、特定の被写体を抽出したり動きや位置などを識別したりしていきます。

つまり動画解析は画像解析を繰り返して行うもので、仕組みとしては同じだということです。

画像解析の種類

画像解析の種類は、主に以下の5つに分けられます。

画像解析の種類

概要

物体検出

  • ・画像に写っている対象の物体をすべて洗い出す
  • ・倉庫での在庫管理や、橋やトンネルなど構造物に発生した
  •  クラック(ひび割れ)の検出に使用

画像分類

  • ・画像の中に何が写っているかを分類する
  • ・自動で画像をラベリングする際に使用
  • ・物体の位置や数の識別は画像分類に含まれない

セグメンテーション

  • ・検出した物体の境界線までを抽出する
  • ・スマホカメラがホワイトボードや書類を認識するのも
  •  セグメンテーションによるもの

文字認識

  • ・画像中の書類位置や文字のレイアウトを抽出し、
  •  文字を割り出しテキストデータをファイルに出力
  • ・セグメンテーションの技術を活用
  • ・スマホカメラを使った翻訳ソフトで使用している

顔認識・顔認証

  • ・顔のパーツのレイアウトから個人を認識する
  • ・スマホやオフィスの顔認証システムで使われる

画像解析は上記のように、日常生活のさまざまな場面で使用されています。現代社会において不可欠な技術といえるでしょう。

物体検出

物体検出とは、画像に写っている物体を検出することです。物体の位置や数、向きなどを検出します。検出したいものを事前に設定しておけば、特定の物体だけを検出することも可能です。

倉庫での在庫管理や異常検知、橋・トンネルなどの構造物のひび割れ検出、防犯カメラでの監視などに利用されています。

画像分類

画像分類は、画像に写っている物体の種類を識別して分けることです。1枚の画像を複数のフレームに分けて色や形状などの特徴を抽出し、それぞれに何が写っているかをラベリングする際に利用されます。

物体検出と違い、それぞれの物体の位置や数は識別しないことが一般的です。色や形状などの特徴を抽出したデータからモデルを訓練することでより高精度な分類ができます。

セグメンテーション

セグメンテーションは、画像の中に写っている物体を検出し、あらかじめ設定したクラスやカテゴリに分類することです。物体検出や画像分類よりも高密度で詳細に認識するため精度が向上する一方で、難易度が高く作業に時間がかかりがちというデメリットがあります。

例えば、車の自動運転ではカメラの映像から信号機や標識、車線、対向車、歩行者をピクセルごとに区分けして、それぞれのカテゴリに分類して処理しています。

文字認識

文字認識は、画像の中にある文字を検出してコンピューター上で扱えるテキストデータにすることです。OCR(Optical Character Recognition)も文字認識の一種です。書類を撮影してExcelやWordのデータにするソフトなどで使われています。

スマートフォンのカメラを使った翻訳アプリでは、翻訳をするテキストデータを作成するために利用されています。

顔認識・顔認証

顔認識・顔認証は、画像の中から人の顔を検出して認識したり認証をしたりすることです。画像の中から顔を見つけ出したあと、各パーツを個別に認識して特徴や位置関係を抽出し、データベースと照らしあわせて認証します。

スマートフォンを利用した入退室管理システムや勤怠管理システムなどで利用されています。

画像解析の方法

動画解析の元となっている画像解析は、次の順番で行われます。

画像解析の方法

画像の取り込み

まずは、解析対象となる画像を取り込みます。画質のよい画像を取り込むと解析の精度は向上する反面、システム構成によっては解析に時間がかかる場合もあります。そのため、必要な画質と環境を事前にテストしておきます。

画像変換

次に、画像を解析しやすいよう前処理(画像変換)を行います。

変換の種類としては、明るさやコントラストの補正・モノクロ化などの変換・ノイズ除去やエッジ処理などの加工などが挙げられます。

特徴量抽出

対象画像の変換後、特徴量を抽出します。

抽出方法には、人の手を介して組み上げられていくアルゴリズム処理による特徴量抽出と、人の手を介さないディープラーニングによる特徴量抽出の2種類があります。リアルタイム性が重要視されるような動画解析では、ディープラーニングによる特徴量抽出がよく用いられます。

学習

機械学習は、過去のデータや学習用の教師データからパターンを学習してより効率的に動画解析ができるようにする作業です。画像解析に必須の工程ではありませんが、解析の効率を上げるために有効です。

問題の画像と正解がセットになった教師データを用意して学習させる方法と画像だけを与えてAIに学習させる方法で学習します。両方を組みあわせて、初めは教師データで学習し、ある程度学習したら膨大なデータを与えて自動的に学習させるような手法も有効です。

動画解析と従来の技術との違い

動画解析が、機械学習やディープラーニングといった従来の技術とどう違うのか疑問に感じる方もいるでしょう。

まず機械学習やディープラーニングは、画像解析を行う手法の1つです。動画解析に使われている技術が機械学習やディープラーニングという構図です。

機械学習とディープラーニングは、混同されることも多いですが仕組みが異なります。そこでここからは、動画解析において機械学習とディープラーニングがどう違うのかを解説します。

機械学習との違い

機械学習は、コンピューターが大量のデータから学習しルールやパターンを発見する技術です。

例として、自動車の画像を大量に読み込ませると、画像の特徴やパターンを学習し特定の自動車を判別できるようになります。

機械学習では、事前に識別の条件を設定しなければいけません。形や色を指定することで、異なる外観であっても全て自動車として認識できるようになります。

一連の作業はコンピューターが行うため、データ処理の時間が大幅に短縮されています。

ディープラーニングとの違い

ディープラーニングは、上記で解説した機械学習の1つです。大きく異なるのは、従来の機械学習で行なっていた「人の手による識別の条件指定」が不要なことです。

ディープラーニングでは、学習の基準をコンピューターが自動的に判断します。自動車の画像を大量に読み込んでいくと、自動車の特徴を自動的に学習し、正確に識別できるようになるのです。

コンピューターが自動的に学習するため、従来の機械学習よりも人の手がかからなくなりました。そのため、画像・動画解析の時間が短縮され、処理効率の向上が実現しています。

関連記事:ディープラーニング(深層学習)とは?AI開発の発展を支える技術・開発手法を解説

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動画解析はPythonでも可能!

プログラミング言語の1つであるPythonでも動画解析が行えます。ここからはPythonでどのような動画解析ができるのか、どういった流れで行うのかを解説していきます。

Pythonで行える動画解析

Pythonでは、以下のような動画解析を行えます。

  • 病院での診察:心臓や関節の動きの検知
  • 監視カメラ映像の解析:不審者がいた場合、Pythonが検知
  • ロボット開発:人型ロボット「Pepper」の映像解析で活用

Pythonで動画解析を行うには「OpenCV」という画像処理ライブラリが必要です。無償で一般公開されているため、誰でも無料で使えます。

また、OpenCVは他のライブラリと組み合わせるとより効果的です。ScipyやNumpyといったPython用のライブラリと併用することで、より高度な動画解析を行えます。

Pythonで動画解析を行う流れ

Pythonでの動画解析は、以下の流れで行えます。

  1. Anacondaをインストール:機械学習ライブラリがそろう。
  2. OpenCVをインストール:動画処理に必須。Anacondaからインストールできる。
  3. OpenCVで動画を読み込む:VideoCaptureメソッドを使用。
  4. OpenCVで動画のプロパティを取得:getメソッドを使用。
  5. OpenCVで動画のプロパティを指定:setメソッドを使用。

実施には、動画処理が可能なパソコンが必要です。可能であれば、予算の限度内でできる限りスペックの高いパソコンにしたほうが、動画解析をスムーズに行えます。

動画解析や画像解析をする際はメモリの容量やCPUの性能だけでなくGPU(Graphics Processing Unit)の性能も重要なので注意しましょう。GPUはグラフィックボードに搭載されているプロセッサで、主に画像に関する処理を行う部分です。

GPUがない場合はCPUが代わりに処理をしますが、画像処理に特化しているGPUで処理をしたほうが高速です。特に大量のデータを高速に処理する必要があるリアルタイムの動画解析では、GPUを使える環境を構築すると良いでしょう。

関連記事:Pythonでのアプリ開発が注目される理由とは?特徴・開発例・フレームワークも紹介

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Pythonで動画解析をする際に役立つライブラリ

Pythonでは、動画解析や画像解析に役立つライブラリが数多く使えます。その一部を紹介しますので、参考にしてください。

名称

ライブラリの用途

OpenCV

画像処理・動画解析

scikit-image

画像処理

MoviePy

動画の加工・編集

Pillow

簡易的な画像処理

TensorFlow

機械学習

PyTorch

機械学習

OpenCV

OpenCV(Open Source Computer Vision Library)は、オープンソースの画像処理・動画解析ライブラリです。

画像の読み込みから解析をするための前処理(サイズ変更・色変換・反転など)、画像内の物体検出、画像への描画などができます。また、教師データを作成するコマンドや教師データを利用して学習させるコマンドがあるため、機械学習も可能です。

オープンソースで公開されており無料で誰でも使えるため、Pythonで動画解析・画像解析をする際にもよく利用されています。

scikit-image

scikit-imageは、Python向けに画像処理に必要な機能を集めたライブラリです。オープンソースで公開されているため、無料で利用可能です。

色の処理やフィルタリング、コーナー検出などの画像処理や、特徴検出、セグメンテーションをする機能があります。

また、「NumPy」や「SciPy」などのライブラリや機械学習ライブラリの「scikit-learn」と連携がしやすい点も特徴です。

MoviePy

MoviePyは、動画の加工に必要な処理をPythonで行うためのライブラリです。本来は、動画編集を目的として利用するライブラリです。動画解析・画像解析の分野では、解析を行うためにデータを扱いやすく加工する際に使用します。

動画のカットや結合、範囲の切り取り、フィルター加工などの動画編集機能が利用可能です。動画解析を行うために動画データの加工が必要な場合に利用しましょう。

Pillow

Pillowは、画像処理をするためのライブラリです。他の画像処理ライブラリと違い高度な画像処理や検出機能は使えませんが、サイズの変更や切り抜きなどの簡単な画像処理ができます。

機能が多くない代わりにコードがシンプルで覚えやすいため、簡単な画像処理機能だけ使いたい場合に利用すると良いでしょう。

TensorFlow

TensorFlowは、Googleが開発した機械学習に必要な機能を持つオープンソースライブラリです。画像認識や音声認識機能だけでなく、機械学習が正しく行われているかを視覚的に確認できるツールが利用可能です。

顔認識や音声認識、画像検索、リアルタイム翻訳、メール分別、被写体認識などさまざまな用途で利用されています。

PyTorch

PyTorchは、Pythonで機械学習をするための機能を持つオープンソースライブラリです。FacebookのAI研究グループによって開発されました。

データの流れや計算の手順をリアルタイムに変更できる動的計算グラフを採用しているため、計算の途中で柔軟にグラフを変更できます。その結果として、機械学習モデルの構築や調整がしやすくなっていることが特徴です。

また、Pythonのデータ構造を直接利用できたり、NVIDIA社のGPUを画像処理以外の用途に使う「CUDA」を利用できたりするというメリットがあります。

Pythonの機械学習で利用される「Numpy」と似ているため、Pythonの利用者なら覚えやすいことも特徴です。

動画解析のメリット

動画解析を導入するメリットは、以下の4つです。

動画解析のメリット

労働環境の改善

たとえば製品の検品時、細かい部分をチェックする従業員には大きな負担があるでしょう。
しかし、動画解析による検品システムを導入すれば常に目を凝らす必要がなくなり、労働時間などの環境を改善しやすくなります。

また、やトンネルなどの社会インフラを目視での維持管理は、季節によっては過酷な労働環境になりえます。目視によるチェックを自動化することで長時間過酷な環境の中にいる必要がなくなり、労働環境の改善が期待できます。

人や時間にかかるコスト削減

たとえば、無人コンビニなどで動画解析を活用することにより、従業員を削減する試みがされています。
また、工場の中の人の動線分析を動画解析により行うことで生産性向上を図る例もあります。

ヒューマンエラーの低減

人間の場合、同じ作業を長時間続けていると、疲労や集中力のばらつきによって見落としが発生する可能性があります。

対して、動画解析のアルゴリズムには疲労による見落としがないため、検品の自動化による精度の向上が見込めます。また、検品の尺度やスキルが人によって異なるという問題点も動画解析であれば解決が可能です。

さらに、製造ラインで作業員が誤って危険な行動を取ったとしても、動画解析により検知するシステムがあれば、事故を未然に防げる効果もあります。

作業精度の向上

高精度の動画解析を利用すると、人間では見抜くことが難しい軽微な違いを見分けられます

また、人間の手では手間がかかりすぎてしまい確認することが非効率的になってしまう場合でも、動画解析ならすべてチェック可能です。

そのため、動画解析の導入によって作業精度の向上に期待ができます。

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動画解析のデメリット

動画解析はメリットが多い一方で、今後の課題点として次の3点が挙げられます。

動画解析のデメリット

機材やソフトなどにコストがかかる

動画解析に求める要件によっては高性能なカメラが必要になるため手軽に導入できるとはいえない状況です。

さらに、動画解析システムに加え、解析結果を踏まえた制御・出力を自動で行う場合(検品結果を踏まえてワークを製造ラインから自動で外すなど)は、カスタマイズの費用も追加でかかります。

しかし、一度導入が完了すれば人件費の削減や、作業効率アップによるメリットが受けられるのも事実です。動画解析が気になる場合、まずはシステム導入の見積もりを依頼するのがおすすめです。

解析精度が完璧ではない

構成によっては、人の目を超える精度で不良品の抽出が可能なことが動画解析の特徴です。しかし動画の画質によって精度にばらつきが生じる場合があります。画質によって精度のばらつきがあるとご認識や見落としのリスクが生じてしまうでしょう。そのため導入の際は、システム会社と目的や要件の共有を綿密に行うことが大切です。

自社にあったソフトがない可能性がある

すでに実用化されている用途であれば問題ありませんが、もしも自社に合ったソフトがない場合は専用のソフトを開発する必要があるため、多くの費用がかかるでしょう。

システム会社によって得意不得意が異なるため、見積もりを依頼する際は複数のシステム会社に依頼するのをおすすめします。

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動画解析の用途・活用事例10選

ここからは、動画解析の用途や活用事例について紹介します。

1. 工場やオフィスで活躍する入退室の管理

入退室時にドアやゲートの周りのカメラで顔を写し、サーバー上の認証情報と照合することで、入退室の管理が可能です。またドアやゲートの施錠に連携することで、セキュリティ向上にも役立ちます。

さらには、検温の機能を追加すれば、入退室管理と同時に従業員の体調の管理も可能です。

2. 自動化実績も多い製造ラインの検品

活用事例としては、キユーピーの自社開発による原料検査装置があります。従来は不良品パターンを学習させ、不良品をマッチングさせる方法でしたが、正解のパターンだけを「良品」として学習させ、正解パターン以外をすべて「不良品」とすることで精度を向上させました。

3. 倉庫内の在庫管理

従来であれば人の目で商品のタグなどを確認し、在庫管理システムに手入力をするのが一般的でした。しかし動画解析を用いることで、タグの読み取りからシステムへ入力までを自動化させ、工数を大幅に削減するメリットがあります。

4. 製造ラインでの危険回避支援システム

製造ラインでの危険な行動を検知して、現場で共有できる機械を提供するシステムも動画解析の用途の一例でしょう。

たとえばシンクチューブの「危機回避支援システム」では、従業員が製造ラインをまたいだりロボットアームの可動範囲で作業をしたりする時など、ラインのそばで起きている不安全行動をモニタリング・検知し、社内の安全担当に共有するシステムとなっています。

5. スマホカメラを使った本人確認の効率化

銀行や通信会社などでも動画解析が用いられています。

本来、金融機関で本人確認を行うためには、免許証やマイナンバーカードといった本人確認書類を持って窓口に行く必要がありました。しかし動画解析により本人確認を行うことで、オンラインでの手続きが可能になりました。

6. 動画解析で安全を確保する自動運転

システム幹事

画像:SUBARU

スバルのアイサイトは、複数のカメラで解析情報を取得し、得られた情報を組み合わせて利用しています。

例えばカメラ同士の視差から距離など3D情報と、単眼での解析情報を組み合わせることで、悪天候時などの状況にも対応しています。

7. 商品や人を認識する無人店舗

商品や人を認識する無人店舗

引用:LAWSON DIGITAL INNOVATION

レジなしコンビニの「ローソンGO」にも、動画解析は活用されています。

無人店舗に入店する際には、事前に登録された写真とカメラに写った画像を照合し、本人確認を行います。

また、無人店舗に訪れた客が手に取った商品や棚に戻した商品、かごに入れた商品なども天井に設置されたカメラにより検出が可能です。

8. 怪しい動きを認識して不審者を検出

事前に一定の条件(進入禁止エリアへ侵入しようとする、一定時間同じ場所をうろうろするなど)を登録しておけば、当てはまる人物が検出できるのも動画解析の特徴です。
画像解析を用いて、不特定多数が行き交う場面でも不審者を効率的に抽出できるようになります。

9. スポーツのコーチング

カメラで撮影された映像から、投球や打撃といった動作をデータとして抽出してデータとして蓄積します。溜めたデータは、自チームや相手チームの分析に活用できます。スポーツのコーチングは、動画解析によってよりロジカルな戦略を考えることが可能となりました。

10. スマホカメラを用いた翻訳サービス

10. スマホカメラを用いた翻訳サービス

引用:Google Japan Blog

Googleレンズ」の翻訳機能やLINEの「OCR機能」といったスマホカメラを使った翻訳サービスも、動画解析の活用例です。カメラで文章を写し、目的の言語を選択するだけで、自動で翻訳がされます。

翻訳サービスが普及した背景には、自然言語処理の発達があります。自然言語とは、私達が普段話すような言葉のことで、従来のアルゴリズム処理では理解が困難でした。しかしAIの発達により、自然言語の理解が急速に進み、街中の文章でも翻訳可能になったのです。

動画解析を発展させたAIは、翻訳サービスの発展にも貢献しています。

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動画解析の導入方法

動画解析の導入方法は、次の3ステップです。

動画解析の導入方法

動画解析を導入する目的や欲しい機能を洗い出す

洗い出すトピックの例としては、以下のとおりです。

  • 現状の課題
  • 達成したい目標
  • 欲しい機能
  • 希望のスケジュール
  • (必要に応じて)動画解析を連携させたい既存システムの要件希望予算
  • 動画解析を含むシステムの維持管理に関わるリソースの有無

上記のトピックスは具体的であればあるほど、見積もりと実際の費用の差が少なくなります。

目的にあう動画解析ソフトがある場合は導入を検討する

自社の目的に沿った動画解析ソフトがすでにパッケージ品としてある場合は、導入を検討してみても良いでしょう。

ただし、一見そのまま利用できそうでも、システム的な都合(現在利用している動画データがそのまま使えないなど)で難しいケースもあるので注意しましょう。

既製のパッケージ品の導入で課題を解決できる場合は、そのパッケージ品の開発会社やそのパッケージの導入を扱っているシステム開発会社に依頼をします。

システム会社に見積もりを依頼する

ここで大事なことは、複数の会社に見積もりを取ることです。なぜなら、会社によって得意不得意が違う上、動画解析システム単体で見たら安価でも、業務用にカスタマイズを依頼すると実は他の会社の方が安い、といったことも起こりえるからです。

システム開発会社の選び方のポイント

システム開発会社を選ぶ際は、以下の表にまとめた5つを意識しましょう。

意識すべきポイント

概要

提案書や仕様書はわかりやすいか

方針の内容がわかりやすく作業スコープがはっきりしているなど、

進め方のイメージが湧く提案書・仕様書のシステム会社がおすすめ

開発会社の得意分野が

マッチしているか

オリジナルのシステムを構築する必要がある場合には、

オリジナル開発の得意な会社のほうが良い

開発担当者と直接話せるか

開発担当者と直接話す機会が持てると、

営業担当に要望がうまく伝わらない場合でも安心

開発体制に問題はないか

予算がマージンにばかり消化され、

実際の開発予算がかなり少なくなってしまう場合もある

費用感は予算とあっているか

「安ければ安いほど良い」とは限らないため、費用の内訳も確認し、

自社の課題解決に適した会社を選ぶ

提案書や仕様書はわかりやすいか

提案書や仕様書の中身を見て内容がわかりやすく書かれているか、具体的な作業内容が明記されているかなどを確認しましょう。

内訳が詳細に書かれていないと、必要な機能が足りていなかったり、不要な機能が実装されてしまったりすることがあるので注意が必要です。

開発会社の得意分野がマッチしているか

オリジナルのシステムを新規開発する場合は、システム開発会社の得意分野が自社の分野とあっているかを確認しましょう。

得意分野がマッチしていないとノウハウがないため、要件は満たしているものの実際に利用した際にいまいち使いにくいシステムになってしまうことがあります。

得意分野を確認する際は、過去の実績や公式Webサイト上で公開している情報を確認すると良いでしょう。

開発担当者と直接話せるか

開発担当者と直接話す機会があると、要望が正しく伝わる可能性が大きくなるためおすすめです。営業担当者を経由してしまうと要望が正しく伝わらなかったり、開発者にしかできないアドバイスをもらう機会が得られなかったりします。

ただし、開発担当者は営業経験がない方も多いため、専門用語をある程度理解していないと直接話しても内容がわからないこともあるので注意しましょう。

開発体制に問題はないか

例えば、外注するシステム開発会社が多重下請け構造になっていると各社のマージンがかさんでしまい、費用が高額になってしまうことがあります。

また、開発する人数がギリギリだと予期せぬトラブルが発生した際に人員追加ができずに納期に遅れてしまうこともあるでしょう。

そのため、開発する動画解析システムの規模や予算にあう開発体制の会社を選ぶことが大切です。

費用感は予算とあっているか

開発する動画解析システムの見積金額が予算とあっている会社を選びましょう。

見積もり金額が最も安い会社を選びたくなりますが、安い見積もりには安い理由があります。なぜ安くできるのかを見積書の内訳などで確認して、納得してから発注することを心がけてください。

明確な理由がない場合は、必要な機能が抜けていないかやサポートはきちんと受けられるかなどを確認しましょう。

どこに依頼したら良いのか迷う場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:画像処理システムの開発に強い会社14選

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【まとめ】動画解析について解説しました

動画解析は、カメラなどの映像に映るものを認識・識別する技術です。動画解析を活用することで、労働環境の改善やコスト削減が期待できます。

動画解析をシステムに取り入れたいとお考えの方は、ぜひ「システム開発会社の選び方7ポイント」の一読をおすすめします。

ここで紹介しきれなかったシステム会社の選び方のコツを、システム開発のプロがより詳細に解説しています。ぜひご参考ください。

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Q. 動画解析とは何ですか?

動画解析とは、カメラなどで撮影した映像から映っているものを識別する技術のことです。現在ではAIによる動画解析が可能となり、工場での製品の検品・倉庫内の在庫管理や、オフィスでの入退室の管理などで利用されています。

Q. 動画解析のメリットは?

動画解析のメリットは「常に目を凝らす必要がなくなり、労働時間などの環境を改善しやすくなる」「人や時間にかかるコスト削減できる」などです。詳細は記事内で紹介していますので、ぜひご覧ください。